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第27号 - 安芸太田町
教育目標「自立した生徒を育てる」~生かして「挑戦」 ,生かされて「感謝」 ,学ぶ喜びと「感動」の創出~ 「すばらしい生き方」と「自分の可能性」との出会いを! 【職員版】 校長だより№27 平成 28 年 2 月 22 日(月) 安芸太田町立筒賀中学校 校 長 近藤 毅 【受験期の生徒に向かい合い自立への旅立ちを迎えさせるために!】 「学び」を「生き方」につなぐ指導!感謝と感動を届けよう!~卒業式に寄せて ●先日,雪が降り続くので校舎の屋根からの落雪が気になり屋外を巡回していま した。すると歌声が聞こえてきます。本校3年生が卒業式で歌う「大切なもの」 という歌です。そっと音楽教室にはいって参観をしていると,生徒たちは私がい ることに動じることもなく落ち着いて堂々とその歌を歌っていました。 歌い終わると,先生はピアノから手を放し,生徒の方を向いて尋ねました。 「この歌,卒業式当日に最後まで歌えますか」と。 「歌えるよ」 「歌詞は全部覚えたから」 「大丈夫!」などと声が返ってきます。 先生はにっこり笑ってたちあがり,生徒たちを見廻しながら改めて尋ねました。 「卒業式のとき, この歌, 最後まで泣かないで歌えますか」一瞬沈黙の生徒たち。 ある生徒が「う~ん。わからん…」とつぶやいたので,すかさず先生が「どうし て?」というと, 「お母さんの顔を見たら,泣けてくるかもしれん…」といいます。 「そう,お母さんの顔を見て,泣けてしまうかもしれないのね。ほかのひとは?」 生徒たちは,うなずいたり,じっと目を閉じたり,思いを巡らしながらも言葉にできない様子でした。 生徒たちの心には自分を支えてきてくれた大切な人たちの姿が去来していたのかもしれません。 先生は優しいまなざしで「見ている人に感謝と感動を届けることができるよう,みんなで,すばらしい卒業 式をつくろうね」 といって, 曲のエンディングで最も大切な部分の練習に生徒の意識を繋いでいかれました。 ●これは音楽の授業のほんのひとコマですが,とても大切な場面でもありました。小学校の時から彼らにず っと関わってこられた先生であるがゆえの指導であったかもしれません。しかし,歌詞を覚えさせ,ただ歌 わせる指導ではなく,生徒の内面に共感しながら「君はどうありたい?」 「君はどう生きたい?」と生徒の 心に響く言葉を問いかけ迫りながら,学びを生きることへとつないでいこうとする自然体の先生の指導に頭 が下がる思いがしたのです。 ●「受験が近いのに,家に帰ってごろごろしているのを見るとイライラしてきます」 「ちょっと言うと子どもが乱暴な言葉を返すようにもなりました」等々 こういった内容のことを受験期の子を持つ保護者の方がよく相談してこられます。 相談された保護者の方には,いつも私は次のようなお話しをしています。 ○親も自分が受験するような気持ちにもなって落ちついた心地ではないですよね。だから子どもの様子も一 層気になるというもの。実は,受験生も同じ心境なのですよ。 『受験生でしょ。そんなことしてていいの!』 『そろそろやることがあるんじゃないの!』と子どもが帰宅 して間もなく,まくしたてられ追い立てられると, 『親は口先ばっかりでオレの気持ちなんて,わかっちゃ いない!』と,抑えていた不安やイライラ感が,いっきにピークになって爆発しそうになる。それが受験期 の生徒の心理なのです。この時期,毎日一番落ち着ついていられないのは子どもさん自身です。そして一番 不安なのも本人自身なのですよ。 ○受験日は迫ってくるし,友達は自信があるように見えたりして学校で不安を無理に抑え込んだり,平気を 装ったりしながら,頑張って勉強して帰ってくるわが子に,親が一番してやれることってなんでしょうね。 それは, 『おかえり。ゆっくりしんさい』という親の笑顔と言葉です。そうして我が 子がほっとできる雰囲気をつくること。次にバランスのとれた心のこもった手づくり の料理を食べさせることです。それだけで十分。子どもはちゃんとわかります。 我が子のことを一番に想う親の願いが届き,子どもが『よっし,がんばろう』と思 えるよう,親も教師も子どもと一緒に受験期を乗り越えていきましょう。 勉強は学校でしっかりと指導していきますからね。…………… ●「卒業式で,お母さんの顔を見たら泣けてくるかもしれん」と音楽の授業で発言した生徒の言葉の奥には,辛 いことも,我が子のためにと乗り越えながら働いて,彼を長年支えてきた母親の姿が映っていたのだと思います。 本年度は工事のために体育館での卒業式ができません。しかし,卒業生たちの「筒賀の地で卒業したい。この学校で巣立 ちたい」という意思を踏まえて「この筒賀中学でよかった!」と実感できる卒業式をこの学び舎で実施したいと思います。 生徒自身が「支えられ生かされてきた自分」をみつめて,感謝の念を抱きながら,我がふるさとへの貢献の志を胸に,新 たな進路に向けて堂々と歩み出すことができる,そのような感謝と感動のあふれる卒業式を生徒たちとともに創りだして いきましょう。そして,式に参列された方々に生徒たちの感動と感謝の心を届けましょう!卒業式まであと 20 日です。