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Title HDTV(高品位テレビ)の国際標準をめぐる規格競争と米国 の
Title Author(s) Citation Issue Date URL HDTV(高品位テレビ)の国際標準をめぐる規格競争と米国 の標準化政策 田村, 考司 經濟論叢 (1998), 161(5-6): 109-125 1998-05 http://dx.doi.org/10.14989/45222 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 虹 窄砿二.1.な 弓. ヨ 華 =げ 論叢 ︻毎 日一 日 一団 登 寛 第161巻 第5・6号 再 販 制 と返 品 制 ・ 同等 性 … 一 ・ 一 一 直一 讐 ■■ 一 蟹理 第 二 次 世.界大 戦 期 の 国 際 決 済 銀 行(3)・ …一 …麟 瀦1 … … … ・・ 西 牟 ア メ リ カ 対 外 援 助 政 策 の 再 編 と途 上 国 開 発 … ・ …中 西 台 湾 の 中心衛 星 工場 制 度 ・ … … … … … … ・… ・ ・ ……高 蓼 ・ 非 死 亡 リ ス クを 組 み 入 れ た 費 用 効 果 分 析(1)… 田 祐 二19 泰 造47 杏 華69 岸 本 充 生92 規 格 競 争 と 米 国 の 標 準 化 政 策 … ・・ …・ ………・ …田 村 考 司109 田 虞 士126 HDTV(高 品 位 テ レ ビ)の 国 際 標 準 を め ぐ る 「協 調 的 生 産 主 義 」 の 職 場 労 使 関 係 に お け る 個 人 主 義 と集 団主 義 …… … …… … ・ ……………上 平 成10年5・6月 :東 邸:大 鼻 紙 … 齊 學 會 経 済 論 叢(京 都 大 学)第161巻 HDTV(高 第5・6号,1998年5・6月 品位 テ レ ビ)の 国 際標 準 をめ ぐる 規 格 競 争 と米 国 の標 準 化政 策 田 は じ 村 老 司 め.に 日米 欧 各 国 政 府 は マ ル チ メ デ ィ ア を 次 世 代 の リ 「 デ ィ ン グ 産 業 と して 創 出 す る た め に,マ ル チ メ デ ィ ア 分 野 で の 標 準 化 政 策 を 重 要 課 題 と して 位 置 づ け て い る 。 な ぜ な ら,マ ル チ メ デ.イ ア の 発 展 の た や に は 各 種 ネ ッ ト ワ ー ク 問 で の 相 左 運 用 煙(interoperability")が 確 保 さ れ る よ う な 標 準 規 格2,の 設 定 が 必 要 と さ れ るた めで あ る。 標 準 規 格 に は 大 別 し て,事 実 ヒの 標 準(defactostandard,以 ク トス タ ン ダ ー ド と 記 述 す る)と 公 的 な 標 準(dejurestandard,以 ジ ュ ア ス タ ン ダ ー ド と記 述 す る)の2つ 中 か ら 生 じ る 標 準 規 格 で あ り,後 下 で は デ ブ.ア 下ではデ が あ る。 前 者 は 市場 で の 企 業 間 競 争 の 者 は標 準 化 機 関 に よ っ て設 定 され る標 準 規 格 で あ る% 従 来,標 準 化 政 策 は デ ジ ュ ァ ス タ ン ダ ー ドが 必 要 と さ れ る 分 野,例 通 信 な ど に お い て 行 使 さ れ て き た 。 そ し て,こ れ ら の 分 野 で は,デ ン ダ ー ド設 定 の 後 に 製 品 化 が 行 わ れ て き た 。 しか し近 年 ,標 え ば 放 送, ジ ュ アス タ 準 化 政 策 に は1市 1)種 々の応用分野の境界を越えて映像 データのや りとりを行 う場合,で きるだけ信.号の劣化が少 な く,か つ 自由に行える ことが望 ま しい。 この機能 を相互運用性 という(NHK放 送技術研究所 編 「 マ1レチ メデ ィア時代 のデ ィジタル放送技術事典」丸善株 式会社,1994年,185ペ ー ジ:1. 2〕 本稿では 「 標準 」を,利 害関係者が文字通 り 「スタンダー ド」である と認 めた特徴 を有す る製 品である,と 定義 する(淺 羽茂 「 競争 と協力の戦略 業界標準 をめ ぐる企業行動」有斐 閤,1994 年,3ペ ージ)。 3)III田 英夫 「 競争優位 の規格戦略 干 レク トロニ クス分野における規格の興亡」 ダイヤモ ン ド社, 1992年,4ベ ージ。 1三 〇(582).第161巻 第5・6号 場 で の 企 業 間 競 争 の 結 果 を 受 け て デ ジ ュ ア ス タ ン ダ ー ドを 設 定 す る と い う 変 化 が 見 ら れ る 。 つ ま り,標 準 化 政 策 に 競 争 原 理 が 活 用 さ れ て お り,デ フ ァ ク トス タ ン ダ ー ド と デ ジ ュ ア ス タ ン ダ ー ドの 境 界 が 曖 昧 に な っ て き て い る の で あ る% 私 は,こ 第1.に,近 う した変 化 の経 済 的 意 味 を分 析 す る こ とが肝 要で あ る と考 えて い る。 年,デ フ ァ ク トス タ ン ダ ー ドを め ぐ る 企 業 問 の 規 格 競 争 が マ ル チ メ デ ィ ア 分 野 に 溶 い て 活 発 化 して い る た め で あ る 。 第2に,こ う し た 変 化 が1980 年 代 以 降 の 規 制 緩 和 の 潮 流 と符 合 して い る と 思 わ れ る た め で あ る 。 そ こ で,上 述 の 課 題 に 応 え る た め に,次 DefinitionTV:高 品 位 テ レ ビ)で .上 げ た い 。 と い う の は,そ 世 代 テ レ ビで あ るHDTV(High の 米 国 の標 準 化 政 策 を分 析 対 象 と して取 り れ が,デ ジ ュ ア ス タ ン ダ ー ドが 設 定 さ れ て き た テ レ HDTVで の 米 国 の 政 策 展 開 は 大 別 す れ ば,次 本 のHDTVシ の段 階 に分 け られ る。 第 ス テ ムで あ るハ イ ビ ジ ョン昏 の 支 持 か ら独 自規 格 開 発 へ と政 策 転 換 を 行 っ た 段 階 で あ る 。 第2は,競 { ーコー 4、 1は,日 の2つ ﹂ ヨ ー ビ 放 送 分 野 に お い て 競 争 原 理 を 活 用 した 世 界 で 初 め て の 事 例 で あ る か ら で あ る 。 争 原 理 を 活 用 す る こ と を 通 じて 標 準 規 格 設 定 を 行 っ た 段 階 で あ る 。 本 稿 で は,第1段 階 を分 析 す る こ と に した いo. .1日 1日 米 欧 メ ー カ ー 間 のHDTV開 本 テ レ ビ メー カ ーの ハ イ ビ ジ ョ ン開 発 HDTVの 開 発 に 世 界 で い ち 早 く着 手 し た の は 日本 テ レ ビ メ ー カ ー で あ っ た 。 松 下 電 器 産 業,ソ ニ ー,三 日本 ビ ク タ ー,パ イ オ ニ ア,富 NHKの 発競争 キ 導 の 下 で1970年 菱 電 機,東 芝,シ ャ ー プ,日 士 通 ゼ ネ ラ ル,日 立 製 作 所,三 洋 電 気, 本 電 気 な ど主 要 メ ー カ ー は, 代 後 半 か ら 開 発 を 行 い は じ め た 。 こ のHDTVシ ス テ ム はハ イ ビジ ョン と呼 ば れ る。 日本 メ ー カ ー はNHKの 先 進 的 な 研 究 開 発 の 成 果 を 取 り込 み,ハ イ ビジ ョ ン 開 発 を 進 め て い っ た 。 日本 メ ー カ ー の テ レ ビ シ ス テ ム.の開 発 パ タ ー ン は,NH ﹂ 4〕 同上書,60ぺ 「 ジ。 HDTV(高 品位 テ レ ビ)の 国際標 準 をめ ぐる規 格競 争 と米 国 の 標準 化 政策(583)111 表1NHKに よ る ハ イ ビ ジ ョン開 発 1964年 NHK技 術 研 究所 で 次 世 代 テ レビ シ ス ナ ムの 検討 を 開始 。 1970 NHK技 術研 究 所 でHDTVの.研 1977 NHKがHDTV.の .1984 NHKが 1985 HDTVの 究 を開 始 。 暫 定 規 格 を制 定 。 衛 星 放 送 用 帯 域 圧 縮技 術MUSEを つ くば 科 学 万 博 にお い てMUSEに (出所}『 開発 ・発 表 。 愛 称 を 「ハ イ ビ ジ ョ ン」 と決 定 。 よ る 実験 放 送 を実 施 。 ハ イ ビ ジ ョ ン年 鑑 』 各 年 版 よ り作 成. Kの 研 究 開 発 の 成 果 を 共 同 技 術 研 究 を 通 じて 吸 収 し,製 ので あ り,ハ 品 化 を 進 め.ると い う も イ ビ ジ ョ ン も 白 黒 ・カ ラ ー テ レ ビ の 場 合 と 同 様 で あ っ た 。 しか し, ハ イ ビ ジ ョ ン で はNHKの 主 導 性 が よ りきわ だ って お り ,日 製 品 化 を 進 め る 上 で 決 定 的 な 役 割 を 果 た した 。 表1に 本 メ ー カ ー が 開 発, み ら れ る よ う に ,NHK は カ ラ ー テ レ ビが 本 格 的 に 普 及 しは じめ た ユ960年 代 か ら 次 世 代 テ レ ビ の 検 討 を 開 始 し,1985年 に は ハ イ.ビジ ョ ン を 一 応 の トー タ ル シ ス テ ム と し て 完 成 さ せ て い る。 こ う し て 日 本 メ ー カ ー は1980年 代 半 ば に,.世 界 で 最 も 技 術 的 に 先 進 的 で 実 用. 化 に 近 い ハ イ ビ ジ ョ ン シ ス テ ム を 完 成 さ せ,1987年 屁 放 各 局 か ら構 成 さ れ るBTA(放 に 主 要 メ ー カ ー,NHK, 送 技 術 開 発 協 議 会}が ハ イ ビ ジ ョ ン の 採 用 を 決 定 した こ と を 受 け て ,当 面,映 国 内 標 準 規 格 と して 像 ・公 共 分 野 で の 実 用 化 を 開 始 した 『}。 1980年 代 の 成 長 製 品 で あ っ たVTR需 す る 韓 国,台 TRに 湾 な どNIESメ 5)浅 賃 金 労 働 力 を武 器 と ー カ ー の 競 争 力 向 上 と い う 競 争 環 境 の 下 で,V 代 わ る 新 製 品 を 開 発 す る 必 要 に 迫 ら れ て い た 日 本 メー カ ー は ,ハ ジ ョ ン を1990年 1に,現 要 の 伸 び 悩 み,低 イ ビ 代 に お け る大 型 家 電 製 品 と して位 置 づ けて い た 。 そ の理 由 は第 行 テ レ ビ に 代 替 す る 放 送 用 受 像 機 と して の 民 生 分 野 の 需 要 だ け で は な. 虫 分 野 の 普 及 につ いて は,放 送 衛 星BS-3が 打 ち上 げ られ ,ハ イ ビジ ョン放 送 が 始 ま る1990 年 ま で は困 難 で あ った た め,日 本 メー カ ー は 映像 ・公 共分 野 か ら実 用 化 を 開 始 した(「 立 ち 上 が るか ハ イ ビ ジ ョ ン,ま ず 産 業 応 用 か ら」 『日経 エ レク トロニ ク ス」No .403,1988年10月 ヨ日〉。 ヨ 112(584):..第161巻 く,そ の 高 画 質 を 活 用 し た 映 画,博 や 医 療,教 2に,欧 育,印 物 映 像,画 刷 な ど の 公 共 分 野 で の 需 要 も見 込 ま れ て い た か ら で あ る 。 第 米 メ ー カ ー か ら 関 連 技 術 を 導 入 して 製 品 化 を 進 め た 従 来 の テ レ ビ ・V は 異 な り,日 本 独 自 の 技 術 に 基 づ く家 電 製 品 で あ っ た か ら で あ る 。 イ ビ ジ ョ ン に は 大 規 模 な 需 要 が 見 込 ま れ5},内 需 拡 大 に 寄 与 す る との 判 断 か ら,普 及 ・R&D等 の 支 援 措 置 を 講 じた 。 普 及 支 援 策 と. .し て 郵 政 省 は ハ イ ビ ジ ョ ン シ テ ィ構 想,通 想 を打 ち 出 し7〕,R&D支 産 省 は ハ イ ビ ジ ョ ン コ ミ ュ ニ テ ィ構 援 策 と して郵 政省 は プ ロ ジ ェ ク シ ョ ンデ ィス プ レイ 産 省 は フ ラ ッ トパ ネ ル デ ィス プ レ イ 開 発 に 資 金 援 助 を 行 っ た 。 そg他, 税 の 優 遇 な ど も行 わ れ た 。. 2欧 州 テ レビ メ ー カ ーの ユ ー レカ 開発 欧 州 で はEC委 ' 員 会 が1986年6月 に,ト ム ソ ン(仏),フ ボ ッ シ ュ(独),ソ ー ンEMI(英)の 州 独 自 のHDTVシ ス テ ム 開 発 を 目 指 した ユ ー レ カ95プ ロ ジ ェ ク トを 開 始 した 。 ユ ー レ カ(欧 主 要 メ ー カ ー4社 ィ リ ッ プ ス(蘭), 州 先 端 技 術 共 同 開 発 計 画)と は,米 の 提 案 を 受 け て,欧 国 レ ー ガ ン政 権 の5DI構 .に 対 抗 し て 欧 州 エ レ ク ト ロ ニ ク ス メ ー カ ー の 技 術 力 強 化 の た め に1985年 始 さ れ た 計 画 で あ り茜,,HDTV開 6).郵 か ら開 発 は こ の 計 画 の 一.一 環 と して行 わ れ る こ と に 政 省 は 「ハ イ ビ ジ ョン の推 進 に関 す る懇 談 会 」.答申(1987年)で200041に 通 産 省 は 「HDTVの 想 将 来展 望 に関 す る調 査 研 究 会 」(1987年)で2000年 ば3兆4000億 に は5兆 円. 円強 の 需 要 を見 込 ん で い た 〔 志 賀 信 夫 ・沼野 芳 脩 編 著 「ハ イ ビ ジ ョン ・ソ フ ト入 門上 日本放 送 出版 協 会, 1988年,3-6ペ ー ジ)。 7>郵 政 省 の ハ イ ビジ ョ ンシ テ ィ構 想 と は 「ハ イ ビ ジ ョ ン を都 市の 生 活空 間 に導 入 し活 気 と潤 い に あふ れ た 先 進 都 市 を構 築 し,魅 力 あ る地 域 づ く りを 目指 す 先 進 的 プロ ジ ェ ク トで あ る。 全 国 の 都 市 の中 か ら普 及 拠 点 とな るべ きモ デ ル都 市 を選 定 し,そ こへ の ハ イ ビジ ョ ンの優 先的 導 入 が ハ イ ビ ジ ョ ンの 全 国 的 な 普 及 を 促 進 す る もの と期 待 さ れ.てい る」。 通 産 省 の ハ イ ビ ジ ョ ン コ ミュ ニ テ ィ構 想 も ハ イ ビ ジ ョ ン シテ ィ構 醤 とほ ぼ 同 様 の 趣 旨で あ り,「 ハ イ ビ ジ ョ ンを 活 用 し て地 域 社 会 の活 性 化,情 報 化 を 図 る 自治体 に対 しモ デ ル地 域 に指 定 し,様 々 な 支 援 や指 導 を行 い,計 実 現 化 を 推 進 す る こ と を 目的 と し て い る」(「ハ イ ビ ジ ョ ン年X1995年 ジ 日ン年 鑑1995jニ ュー メデ ィア,1995年,142-145ペ ー ジ)。 版 」 編 集 委 員 会rハ 画の イビ 8)ユ ー レカ計 画 の特 徴 は.情 報,マ イ ク ロ エ レク トロニ ク ス.電 気 題 信,ロ ボ ッ ト,自 動 制 御 、 レーザ ー,新 素 材,医 療,バ イ オ,運 輸 シ ス テ ム,環 境 技 術 な ど幅 広 い 技 術 を 対 象 と し,商/ 翠. ﹁ 郵 政 省 と 通 産 省 は,ハ 開 発,通 像 デ ー タベ ー ス な どの映 像 分 野 、. 司、 菊.. 司ヨ TRと 第5・6号 HDTV(高 品位 テレビ)の国際標準 をめ ぐる規格競争 と米国の標準化政策(5呂5)113 な っ た 。 欧 州 独 自 のHDTVシ .上 記4社 ス テ ム は 一 般 に ユ ー レ カ と呼 ば れ る 。 の 他 に シ ー メ ンス(独),GEC(英),ノ キ ァ(フ ィ ン ラ ン ド)な ど エ レ ク トロ.ニ ク ス メ ー ヵ 一,BBC(英),RAI(伊)な ど 放 送 局 ,.大 学 ・研 究 所 か ら40機 関 が 参 加 す る こ の プ ロ ジ ェ ク トで は,1990ま で に3億 6000万 ま り 日本 ドル が 投 資 さ れ,ハ イ ビ ジ.ヨ'ン開 発 に 参 加 す る メ ー カ ー,つ メ ー カ ー に は ユ 」 レ カ の 製 造 特 許 を 譲 渡 し な い と い う 政 策 が 採 ら れ た.。そ して .1990年7月 に は ユ ー レ カ95プ ロ ジ ェ ク トは 第2段 化 を 目 指 して,さ ら に6億 階 に入 り ,1995年 まで の実 用 ドル が 投 資 さ れ る こ と に な っ た 。 欧 州 メ ー カ ー が ユ ー レ カ 開 発 に 着 手 し た 理 由 は,1980年 摩 擦 に 引 き 続 い て,VTR以 代 前 半 の 日 欧VTR 後 の 大 型 家 電 製 品 と し て 期 待 さ れ るHDTVに お い て も 日本 メ ー カ ー に 欧 州 市 場 を 奪 わ れ る.ので は な い か とい う危 機 感 を抱 い た た め で あ る 。 そ の た め ユ ー レ カ 開 発 は 急 速 に 進 め ら れ,1988年10月 (国 際 放 送 展)に 1992年 に はIBC お い て 本 格 的 な シ ス テ ム が 展 示 さ れ る に 至 っ た 。 そ の 後 も,. 召)バル セ 曽 ナ 才 リ ン ピ ッ ク に 合 わ せ て 実 験 放 送 を行 う こ と を 目標 に 開 発 が 進 め ら れ て い っ たD 3米 国 ハ イテ ク産 業 のHDTV開 .米 国 で は1989年5月 に,米 ロ ニ ク ズ 協 会)が,米 国 籍 企 業 の み で 構 成 さ れ るAEA(米 国 籍 メ ー カ ー に よ るHDTV開 開 発 計 画 を 公 表 し たQそ DAPPA(国 発 要求 と産業 政 策 論 争 の 内 容 は 第1に,基 防 高 度 研 究 開 発 局)を 標 準 院)に50⑪0万 政 府 ・学 界 か ら 構 成 さ れ るATV公 ー ジ}。 家技 術 間 企 業 の投 資 を促 進 す る た ドル を 支 出 す る こ と 。 第4.に,産 業 界 ・. 社 を 設 立 す る.こ と。 こ の 機 関 はHDTV産 、 業 ペ ー ス に 沿 っ た 開発 を行 う と こ ろに あ った(林 ミネ ル ヴ ァ書 房,1993年,147ペ ドル を90会 計 年 度 か ら3年 準 設 定 の た め 商 務 省 のNIST(国 ド ル を 支 出 す る こ と。 第3に,民 め の 直 接 融 資 お よ び 融 資 保 証 に 各5億 発 を 目 的 と し たHDTV 礎 技 術 の 開 発 の た め に 国 防省 の 通 じ て 年 間1億 間 継 続 し て 支 出 す る こ と 。 第2に,標 国 エ レク ト 悼 史 ・菰 田 文 男編 『 技 術 革 新 と現 代 世 界 経 済』 114(586)...窮161巻 第5曜6号. 業 全 般 の 発 展 の 指 導,HDTV関 実 施,ダ ン ピ7グ 連 技 術 の ラ イ セ ン ス 所 有,政 の 認 定 ・救 済,HDTV普 ど を 目 的 と し た も の で あ る 。 第5に,参 府 融 資 ・保 証 の 及 の た め の マ ー ケテ ィ ング活 動 な 加企 業 間 の共 同製 品開 発 の た め に独 占 禁 止 法 の 改 正 を 司 法 省.に要 求 す る こ と,で あ っ た 。 こ の 計 画 は ブ ッ シ ュ共 和 党 政 権 に 産 業政 策些 〕の 発 動 を 求 め る こ と を 意 味 し て い た 。 . HDTVの 次gよ う に 主 張 し て,産 業 政 策 の 発 動 を 要 求 した の で あ った 。 基 盤 技 術 に は 高 解 像 度 デ ィ ス プ レ イ,デ ン ピ ュ ー タ と 共 通 す る 技 術 が 含 ま れ,コ ン ピ ュー タ,通 国 際 競 争 力 を 低 下 さ せ る こ と に な る 。 そ こ で,米 レ ビ メ ー カ ー は1988年 導 体 な どハ イ テ 場 を 日 欧.メー カ ー に 支 配 さ れ る な れ は 単 に 民 生 用 電 子 機 器 分 野 だ け で は な く,米 開 発 が 必 要 で あ る が,そ 信,半 国 ハ イ テ ク産 業 全 般 の 国 籍 メ ー カ ー に よ るHDTV れ に は 次 の よ う な 諸 困 難 が あ る 。 第 ユに,米 にRCAが トム ソ ン に 買 収 さ れ て 以 降,ゼ と な っ て い る こ と 。 第2に,HDTV開 れ を と っ て い る こ と 。 第3に,HDTV開 国籍のテ ニ ス1社 のみ 発 に必 要 と さ れ る 基 礎 技 術 に お い て 遅 発 に は 莫 大 な 投 資 が 必 要 と さ れ る が, 民 生 用 電 子 機 器 で あ る た め に 投 資 収 益 率 が 低 くな る こ とが 予 測 さ れ る こ と,で あ る 。 し た が っ て,連 邦 政 府 は 産 業 政 策 を 発 動 す る 必 要 が あ る,とAEAは 主 張 した の で あ る 。 .ブ ッ シ ュ 共 和 党 政 権 内 部 で は 商 務 省 とDAPPAがHDTV開 あ っ た 。 モ ス パ ッ カ ー 商 務 長 官 は1989年3月 発 に積 極 的 で の 公 聴 会 に お い てHDTV開 発を 就 任 期 間 中 の 最 重 要 課 題 と.する と い う 趣 旨 の 発 言 を 行 っ て お りLの,NISTは 1990年 に,商 たATP(先 業上 有 用 な技 術 の 民 間企 業 に よ る開発 を支 援 す る こ とを 目的 と し 端 技 術 計 画)を 通 じて デ ィ ス プ レ イ,高 速 デ ー タ処 理 技 術 な どの 開 発 に資 金援 助 を行 っ てい る。 9)本 稿 で ほ 産 業 政 策 を,特 定 産 業 の.国 内 企 業 の 競 争 力 を よ り強 め る た め に 資 源 を 振 り 向 け る タ ー デ テ ィ ン グ 政 策 と 定 義 す る 。 具 体 的 に は,直 接 的 な 補 助 金,税 10)U.S.Congress,House,SubcommitteeonTelernmmunicationandFinance,Ilearing,"H/CH . DEFINITIONTELFVI.SION",101stCongress,1stsession,March8and9,1989. 額 控 除,融 資 保証 な ど。 麺 ク 分 野 へ の 波 及 効 果 が あ る た め,HDTV市 .ら ぼ,そ ジ タ ル信 号 処 理 回 路 な ど コ 一 AEAば HDTV(高 DAPPAは1988年 品位テレビ).の 国際標準をめ ぐる規格競争 と米国の標準化政策(587)115 に,デ ィ.スプ レ イ と デ ジ タ ル 信.号 処 理 技 術 の 開 発 に3000 万 ドル を 支 出 す る こ と を 決 定 した 。DAPPAがHDTV開 発 に積 極 的 で あ った の は,そ れ が 国 防 技 術 と 強 い 関 連 を 持 っ て い た.か ら で あ っ た 。 例 え ば, HDTVの 高 解 像 度 画 像 シ ス テ ム 技 術 は 戦 闘 機 の コ ッ ク ピ ッ ト用 デ ィ ス プ レ イ, 偵 察用 カ メ ラな どに応 用 す る こ とが で き る。 以 上 の よ う な 官 民 双 方 で のHDTV開 HDTVだ 発 要 求 の 高 ま り は,1980年 代 後半か ら けで は な く米 国 ハ イ テ ク産 業 全 般 の 国 際競 争 力 の 低 下 が 深 刻 化 して き て お り,し か もそ れ が 国 防 技 術 の 外 国 技 術 へ の 依 存 を もた ら し,米 国 の 安.全 保 障 上 も好 ま し くな い と い う 世 論 を 背 景 と し て い たU,。 しか し,ブ ッシ ュ共 和 党 政.権 内 の 自 由 競 争 主 義 派 はHDTV開 業 政 策 を 発 動 す る こ と に 強 く反 対 し た 。 な ぜ な ら,ブ 策 の 基 本 が,連 限 り,製 ッシ ュ政権 の科 学技 術 政 邦 政 府 に よる 資金 援 助 は競 争 前 段 階 の 共 通 基 盤 的 な研 究 開発 に 品 化 に つ な が る 応 用.研究 は 民 間 企 業 自 身 が 行 う べ き で あ る とす る 点 に あ っ た か ら で あ るL2}。 こ の 観 点 か らAEAのHDTV開 HDTVと 発 の た め に産 発 計 画 を.み る と, い う特 定 製 品 の 開 発 を 目 標 に し て お り,さ 金 総 額 が13億500⑪ 万 ドル と 巨 額 で あ っ た た め に,そ ら に連 邦 政 府 に 求 め た 資 れ は ブ ッ シ ュ政 権 に と っ て 容 認 しが た い も の で あ っ た 。 そ して1989年10月 ず,AEAが に は 議 会 予 算 局.が,HDTVは そ れ ほ ど巨 大 市 場 を 形成 せ 主 張 す る'よ う な 米 国 ハ イ テ ク 産 業 へ の 波 及 効 果 は 過 大 評 価 さ れ て い る と い う 趣 旨 の 報 告 を 発 表 したi9)。 以 上 の よ う な 政 策 論 争 の 中 で 結 局,AEAのHDTV開 な か っ たqこ の 結 果 は,日 発計 画 は 日の 目 をみ 欧 で の 官 民 共 同 に よ る 開 発 と好 対 照 を な して い る 。 11)村 山裕 三 12)同 上 脅,87ペ 「ア メ リ カ の 経 済 安 全 保 障 戦 略 」PHP研 13)詳 細 はCDngresgb酬Bu〔1geしOf6。e,TheScopeoftheHeghDefinitionTelevisionandit∫1観. μ'α 癖oη ∫bザC㈱ 究 所,1995年 。 ー ジ。 ρε師直面創 傷5,1989を 参照 の こ と。 .・ 第161巻.第 116(588〕 II国 1HDTVに HDTVを 昏56号 際 標 準 をめ ぐ る規 格 競 争 の 展 開 お け る 国際 標 準 化 の 技 術 的 意 義 含 む テ レ ビ シ ス テ ム の 開 発 に お い て は,製 品 化 の前 に デ ジ ュ ア ス タ ン ダ ー ドが 設 定 さ れ な け れ ば な ら な い 。 テ レ ビ 信 号 の 伝 送 に 用 い られ る 周 波 数 は 有 限 な 資 源 で あ り,各 国 が ば ら ば ら に 使 用 す れ ば 混 信 が 生 じ る た め に,国 際 的 な 協 定 が 必 要 と さ れ る か ら で あ る 。 こ の た め の 国 際 椎 関 がCCIR(国 際無 線 通 信 諮 問 委 員 会 〉 で あ る 。 そ れ は,国 際 連 合 の 中 の 電 気通 信 に 関す る専 門機 関 で あ るITU(国 常 設 機 関 で あ り,無 線 通 信 の 技 術 お よ 際 電 気 通 信 連 合)の び 運 用 に 関 す る 問 題 を 取 り扱 う こ と を 任 務 と して い る 。 は 大 別 し て2つ の 規 格 が あ る が,CCIRで ず ス タ ジ オ規 格 の 国 際 標 準 化 が 審 議 さ れ た 。 こ れ は,HDTVに は,ま. お い て は,現 在.の カ ラ ー テ レ ビ シ ス テ ム が 抱 え て い る 両 立 性 の 欠 如 と い う技 術 的 問 題 を な く ず こ と が 放 送 関 係 者,番 両 立 性 の 欠 如 と は,世 組 制 作 者 か ら 強 く望 ま れ た と い う 事 情 を 反 映 し て い た 。. 界 の カ ラ ー テ レ ビ シ.ス テ ム が 日 ・米 な ど のNTSC, 独 ・英 な ど のPAL,仏 な ど のSECAM.と に 分 か れ て い る た め に(表2),例 い う 規 格 の 異 な る3つ え ば,日 た テ レ ビ番 組 をPAL,.SECAMシ 米 のNTSCシ の シ ステ ム ステムで制作 され ス テ ムで 放 送 す る こ とが 不 可 能 に な る と い う問 題 で あ る 。 そ の た め,異 表2.世 な る シ ス テ ム 問 で 国 際 的 な 番 組 交 換 を 行 う際 に 界 ¢)カ ラ ー デ レ ビ シ ス テ ム の 規 格 NTSC 走査線数 525 PAL,SECAM 625 画.面縦横 比 4:3 4=3 ブ イ ー ル ド. 周波数 60Hz 50Hz (注jPALとSECAMで は 伝送 滉 格 が 異 な る。 (出所)FTV革 命 ハ イ ビ ジ 耳 ンの 実 像 』 通 商 濠 業 調 査 会.1987年,88ペ ー ジ よ り作 成 。 潮間 後 述 す る よ う にHDTVに HDTV(高 品 位 テ レビ)の 国 際標 準 を め ぐる規 格 競争 と米 国 の標 準化 政 策 〔589)117 、 表3ハ イ ビ ジ ョ ン 規 格 と ユ ー レ カ規 格 ハ イビジョン ユ ー レ カ 1125 1,250 走査線数 画面縦横比 16:9 ブ イー ル ド 周波数 60Hz 16=9 50Hz (注:)伝 送規格 は ハイ ビジ ョンで6aMUSE,ユー レカ. で はHD-MAC.い ずれ も衛星放送方式。 (出所)『TV革 命 ハ イビ ジョンの実像』 通商産 業調 査会,19H7年,89ペ ージよ り作成。 は 方 式 転 換 を 行 わ な け れ ば な ら な い が,.そ れ は 画 質 を 劣 化 さ せ,さ に 方 式 転 換 の た め の コ ス ト負 担 を も た ら し て い た 。NHKが ら に放 送 局 世 界 に先 駆 け て 1960年 代 か らハ イ ビ ジ ョ ン開 発 に 主 導 性 を 発 揮 し て き た 理 由 は,こ の技 術 的 問 題 の解 決 にあ った 。 こ こで ハ イ ビ ジ ョ ン とユ ー レ カ の 技 術 的 内 容 を み 七 お こ う 。HDTVに 別 し て ス タ ジ オ 規 格 と 伝 送 規 格 の2つ の 縦 横 比(ア ス ペ ク ト比),走 が あ る ρ 前 者 は フ ィ ー ル ド周 波 数,画 イ ビ ジ ョン とユ ー レカ は両 者 と も 現 行 テ レ ビ よ り高 画 質 な 次 世 代 テ レ ビで あ る が,表3か の 要 素 技 術 に 違 い が あ っ た 。 さ ら に,導 画 質 で は な い に し て も,現 行 テ レ ビ 受 像 機 で ハ イ ビ ジ ョ ン放 送 を 受 信 で き る)が 2国 格 で 統....早 し,そ の 後,そ れ と両 立性 格 を 導 入 す る とい う ア ブ 白 「 チ を 採 っ て い た(図1)。 際標 準 を め ぐ る 日欧 メー カ ー 問 の規 格 競 争 CCIRに HDTVを 考 慮 に い れ られ て い な い の の 「衛 星 放 送 に 関 す る.指令 」 に 基 づ い て1992年 ま で に 欧 州 全 体 の 衛 皐 放 送 方 式 をMAC規 を も つHD-MAC規 ら もわ か る よ うに規 格 入 の 仕 方 も異 な って い た。 ハ イ ビジ ョ ンで は 基 本 的 に 現 行 テ レ ビ受 像 機 と の 両 立 性(高 ー レ カ で411956年 面 査 線 数 な ど テ レ ビ受 像 機 自体 の 規 格 で あ り,後 者 は 電 波 の 使 用 周 波 数 帯 域 の 規 格 で あ るbハ に 対 し て,ユ は大 お い てHDTVが 研 究 さ れ は じ め た の は,1972年 に 日本 代 表 が 研 究 課 題 とす る こ と を 提 案 し て か ら で あ る 。1983年 に は ス タ ジ オ規 . .第161巻 図1.ユ 第5.・6号 ー レ カ 導 入 の ア ブ[1一 チ ρ 〔〕 口 自 馳L ヒ■ - 、 \ \ . 放 送 衛星 3ザ. 5 ア ダ プタ 鳳峨0→PAL/ 衛星地 上局 SEC醐 rR6B 衛.星放送 チ ューナ ケー ゴ ル ・ テ レビ放 送局 衛星 放選 チ ューナ 闇AC 衛星 放送 チ ューナ HDlV 1250本 バ6対9 →PAし/Ma τ田 τ.工 早 馬 難 鶯:等 }.7一 胤 「.一.』一.. MAC方 式 は,現 行 テ レビ信号 を衛星伝 送す るECの 統 一規格で ある。PA[ノSECAM方 式 の受 画像で見 るには,ア ダプタが要 る。16対9の ワイ ド画面 も伝 送できる。HD-MAC信 号』 を,従 来 のMAC受 像機で 見て も.十 分 な画質 が得 られ る.IID-MAC専 用の受 像機 で見れ ば,走 査線 1250本のIIDTVが 見られる。 (出所)『 次世代 テ レビへ,日 米欧 のシナリオ」 「日経エ レク トロニクスJNo.479,玉989年8月7日 格 の 国 際 標 準 化 の 勧 告 を ま と め るIWP11/6(中 年CCIR総:会 間 作 業 班)が 。 設 置 さ れ,1986 に 向 け た 国際 標 準 化 の 審 議 が 開 始 さ れ た 。 1986年 総 会 で は ハ イ ビ ジ ョ ン に よ る 国 際 標 準 化 が 有 力 視 さ れ て い た 。 と い う の は,日 本 代 表 はCCIRに お い て 開 発 成 果 を 公 表 し て,ハ 国 際 標 準 化 の 基 盤 を 整 え て きた し,ハ で か つ 実 用 化 に 近 か っ た た め,EBU.(欧 イ ビ ジ ョ ンに よ る イ ビ ジ ョ ン が 世 界 で 最 も技 術 的 に 先 進 的 州 放 送 連 合)や 一 一. 118〔590) 米 国 の 民 間 団 体,国 務 省 が ハ イ ビ ジ ョ ン を 支 持 して い た か らで あ る 。 1 HDTV〔 高品位テレビ}の国際標準をめ ぐる規格競争 と米国の標準化政策(591)119 こ の こ と は 日 本 メ ー カ ー に と っ て 次 の こ と を 意 味 し て い た 。 第1に ,ハ イ.ビ .ジ ョ ンの 国 際 的 な 普 及 の 条 件 を 拡 大 す る こ と で あ っ.た.。他 国 の シ ス テ ム が 異 な る 規 格 で あ れ ぼrハ イ ビ ジ ョ ンの 普 及 は 日 本 国 内 に 限 定 さ れ て し ま う た め,世 界 大 で輸 出市 場 を 確 保 す る た め に は ハ イ ビ ジ ョ ンに よ る国 際 標 準 化 が 必 要 で あ っ た の で あ る。 さ ら に,世 こ と が で き,価 第2に,特 界 大 で の 輸 出 市場 の確 保 に よ っ て量 産 効 果 を得 る 格 競 争 力 の強 化 に つ な が る 。 許 料 収 入 を 確 保 す る こ と で あ っ た 。 日本 メ ー カ ー は 従 来 の 家 電 製 品 の 開 発 に お い て は 欧 米 メ ー カ ー か ら 関 連 技 術 を 導 入 し て,製 .ず,そ の た め に 特 許 料 め 支 払 い を 余 儀 な く さ れ て き だ41。 さ ら に,欧 カ ー が 特 許 実 施 権 を 渡 さ な け れ ば,そ こ と が で き な か っ だ%し る た め,国 か し,ハ い て,ハ 米 メー の 規 格 に 対 応 し た 製 品 を 生 産 ・輸 出 す る イ ビ ジ ョ ンは 日本独 自の技 術 に基 づ い て い 際 標 準 に す る こ と が で き れ ば,特 これ に対 し て 欧 州 代 表 は1985年 のCCIRの 許 料 収 入 を確 保 で き る。 ス タデ ィグ ルー プ の報 告 書 に お イ ビ ジ ョ.ンに よ る 国 際 標 準 化 か ら 生 じ る 技 術 的 問 題 へ の 懸 念 を 表 明 し た 。 第1に,欧 州 の 現 行PAL,SECAMに 周 波 数 は50Hzで あ る た め,ハ お い て 採 用 さ れ て い る フ ィー ル ド イ ビ ジ ョ ン の60Hzを 者 の 利 益 を 守 れ な い と い う こ と。 第2に,1986年 に お い て1992年 こ れ は,ハ 州 の視 聴 の 「衛 星 放 送 に 関 す る 指 令 」 イ ビ ジ ョ ンの 伝 送 規 格MUSEを き な い と 》 う趣 旨 で あ っ た 。 つ ま り,ハ 技 術 上,両 採 用 す れ ば,欧 の 市 場 統 合 に 合 わ せ て 欧 州 全.体の 衛 星 放 送.方式 をMAC規 統 一 す る こ ζ を 決 定 して い る た め,ハ 14)白 品 化 せ ざ るを え 格で 採 用で イ ビ ジ ョンが 欧州 の テ レ ビシ ス テ ム と 立 性 を も た.ない こ と を 主 張 し た の で あ る 。 イ ど ジ ョ ン に よ る 国 際 標 準 化 を 阻 止 し,規 黒 テ レ ビ の場 合,日 本 メー カ ー はRCA,EMI,フ 格 の異 な る欧 州独 自の ィ リ ップス と技 術提 携 な い し特 許 権 の 実 施 契 約 を締 結 して い た 。 カ ラー テ レ ビの場 合で も 口才 メ ー カー の 技術 開 発 力 ば 向上 して い たが, や は りRCAと 技 術 提 携 を行 っ て い る 〔平 本 厚 「日本 の テ レ ビ産 業 競 争 優 位 の 構 造 』 ミ ネ ル ヴ ァ書 房,1994年,23-24ペ ー ジ 及 び95-96ペ ー.ジ), 15》PAL規 格 に 関 す る 広 範 な 特 許 を所 有 して い たAGE一 テ レ フ ケ ン(独)は 日本 メー カー に 特 許 実 施 権 を供 与 しよ う と しな か った 。 そ の た め,当 初,日 本 メー カー・はPAL規 格 に対 応 した テ レ ビ受 像 機 と関 連 機 器 を 生 産 ・輸 出す る こ とが で きな か った 〔同 上 書 ,135ペ ー ジ)、 ヨ 120(592).第161巻 HDTVシ 第5・6号 ス テ ム を 開 発 し よ う と い う 欧 州 メ ー カ ー の 戦 略 を 反 映 し て い た 】5}。 ハ イ ビ ジ ョ ンが 国 際 標 準 と な る こ と は 欧 州 メ ー カ ー に と っ て は ,特 許料 支 払 い を 余 儀 な く さ れ る こ とか ら価 格 競 争 力 を 低 下 さ せ る こ と に な り,世 界 市 場 をめ ぐる 日本 メー カー との競 争 に おい て 不 利 にな る こ とを意 味 して い たか らで あ る。 し た が っ て,日 欧 メ ー カ ー はCCIRに お い て各 国 政 府 を媒 介 と した 国 際 標 準 を め ぐ る規 格 競 争 を 行 な う こ と に な る の で あ る 。 規 格 競 争 と は,ほ ぼ同一の 機 能 を 提 供 す る 製 品 に 関 して 基 本 的 規 格 が 異 な る 複 数 の 製 品 が 存 在 す る 場 合 に 行 わ れ る 企 業 間 競 争 の こ と で あ り,標 る1㌔ つ ま り,日 あ り,国 準 規 格 は こ の 規 格 競 争 を 通 じて 決 定 さ れ 欧 メ ー カ.一間 のHDTV開 発 競 争 は規 格 競 争 で もあ っ た ので 際 標 準 の 地 位 を 獲 得 す る か ど うか が 日 欧 メ ー カ ー に と っ て 死 活 的 な 経 済 的意 味 を もって い た の で あ る 。 両 立 性 の 欠 如 と・ い う技 術 的 問 題 を 解 決 し た いNHKは,欧 き出 す た め に,ハ 州代 表 の 譲歩 を引 イ ビ ジ ョ ン で 国 際 標 準 化 さ れ る な ら ば,ス タ ジ オ規 格 に 関 し ヨ 曇 て は 特 許 料 支 払 い を 免 除 す る と い う提 案 を 行 っ た 。 こ の 提 案 は 日 本 メ ー カ ー に と っ て は,ス タ ジ オ 規 格 に 関 す る 特 許 料 収 入 を 失 うが,伝 す る 特 許 料 収 入 の 確 保 を 保 証 す る も の で あ っ た し,欧 り も,若.一Fの 譲 歩 に よ っ て1986年 州 代 表 は こ の 提 案 を 受 け 入 れ ず,次 1定を 延 期 す る こ と を 要 請 した た め,1986年 か っ た の で あ る 。 そ の 後,欧 関 州 代 表 と対 立 を 続 け る よ 総 会 で の 国 際 標 準 化 を 確 実 に す る ほ うが 世 界 大 で の 輸 出 市 場 を 確 保 で き る 点 で 望 ま しい,と し か し,欧 送 規 格MUSEに 思 わ れ た。 回 総 会(ユ990年 〉 まで 標準 設 総 会 に お い て は標 準 設 定 は な され な 州 メ.一カ ー は1で ク トの 下 で 急 速 に ユ'一 レ カ 開 発 を 進 め,1987年 み た よ う に ユ ー レ カ95プ ロ ジ ェ の 中 間会 合 で はハ イ ビ ジ ョンに 対 抗 してユ ー レカ を提 案 した の で あ った。 16)こ の よ う な 欧 州 メ 一 方 一 の 戦 略 は,カ の で あ っ た.フ 馬 せ ず.SECAMと ラ ー テ レ ビ 開 発 に.おけ る フ ラ ン ス 政 府 の 政 策 と 同 様 な も ラ 詫 ス 政 府 は 自 国 テ レ ビ メ ー カ ー 育 成 の た め に,RCAが い う 独 自 規 格 を 開 発 し た(R.7.Crane,1わ`ガ FruncaandtheCbdnrTVWar,Nocwood,NewJersey;ABLEXPublishingCorporation,1979)。 17)山 田 英 夫,前 掲 書,13ペ ー ジ. 開 発 し たNTSCを 裸 誼 ∫呼1ηf㎝'αfピ 棚 α1∫f岬 山 冠' 、HDTV(高 品位 テ レビ)の 国際 標 準 を め ぐる規 格 競争 と米 国 の標準 化 政 策(593)121 III米 1ハ 国 の 標 準 化 政 策 の 転 換 と規格 競争 の帰 結 イ ビ ジ ョン 支持 の標 準 化 政 策 米 国 のHDTV6J:ATV(AdvancedTV)と 呼 ば れ 週),そ の ス タ ジ オ 規 格 の 標 準 化 政 策 に 関 し て は 国 務 省 が 担 当 して い る 。 国 務 省 の 標 準 化 政 策 は,EI A(エ レ ク トロ ニ ク ス 産 業 協 会),SMPTE(映 (電 子 電 気 技 術 者 協 会),NAB(全 よ っ て1982年 画 テ レ ビ 技 術 者 協 会),IEEE 米 放 送 協 会),NCTA(全 に 設 立 さ れ たATSC(次 米 有 線 協 会)に 世代 テ レ ビ シ ス テ ム 委 員 会)の 勧 告 を受 けて 決 定 さ れ る 。 ATSCは1985年 に ハ イ ビ ジ ョ ンを 支 持 す る よ う国 務 省 に勧 告 した。 この 勧 告 の 背 景 は 次 の よ う な も の で あ っ た 。 第1に,EIAを 通 じた 日 本 メ ー カ ー の ハ イ ビ ジ ヲ ン支 持 要 求 で あ っ た 。 米 国 は 主 要 テ レ ビ市 場 で あ る た め,ATVス タ ジ オ規 格 の ハ イ ビ ジ ョ ン に よ る標 準 化 は 普 及 の 条 件 を 広 げ,欧 の 競 争 優 位 を 確 保 す る 上 で 必 要 で あ っ た 。EIAはAEAと 米 メ ー カ ー.と は 異 な り,日 欧企 業 が 主 要 メ ンバ ー と な っ て い る 米 国 内 の エ レ ク トロ ニ ク ス 企 業 の 業 界 団 体 で あ る た め,日 本 メ ー カ ー はEIAを 通 じ てATSCの 決 定 に影 響 力 を及 ぼ そ う と した ので あ る。 第2に,SMPTEを 通 じ た 番 組 制 作,映 画 な ど 米 国 メ デ ィ ア産 業 の ハ イ ビ ジ ョ ン支 持 要 求 で あ っ た 。 米 国 メ デ ィ ア 産 業 は 世 界 各 国 に ソ フ トを 輸 出.して い る が,現 在 の 世 界 の カ ラ ー テ レ ビ シ ス テ ム 間 に 両 立 性 が 欠 如 し て い る こ とか ら, 方 式 転 換 の コ ス ト負 担 を 要 し て い た 。 米 国 メ デ ィ ア 産 業 に と っ て ハ イ ビ ジ ョ ン に よ る 国 際 標 準 化 が な さ れ れ ば,方 を 削 減 で き る 。 さ ら に,ソ 式 転 換 の 必 要 性 が な くな る な る た め コ ス ト フ トを35㎜ フ ィ ル ム か ら ア ス ペ ク ト比4:3の 現 18)米 国では次世代 テ レビとして、HDTVだ けではな くIDTV,EDTVな ども考慮 に入れ られた, IDTV(LnprovedDefinifi・vTV)と は,現 行 のNTSC方 式 を変 更せず,受 像機の改善 によ っ て画質 を高 める方式であ る。EDTV(ExcendedDefinitionTV)と は,現 行 のNTSC方 式 と両 立性 を保ちなが ら.放 送機器 と受像機 の双 方の改善に よって画質を高める方式であ る 〔 「 次 期家. 電の柱 と.し て期待 が高まるデ ジタル技 術を使 った高解像度 テレビまずIDTV,つ いでEDTV, HDTVへ 」.「 日経エ レク トロニ クス1NO.403,1986年9月80)。 122(594).. 、 第161巻 第5・6号 行 の テ レ ビ ・ビ デ オ用 に 方 式 転 換 す る 場 合 に は 画 質 の 劣 化 が 生 じ る が,ハ ジ ョ ン の ア ス ペ ク ト比 は35mmフ ィ ル ム と 同 様 の16:9で あ る た め,そ イビ れ を防 ぐ こ とが で き る19)。こ う した 米 国 メ デ ィ ア 産 業 の 要 求 を 代 表 し て い たSMPTE は,.1970年 代 後 半 か ら ハ イ ビ ジ ョ ン に つ い て の 研 究 を 開 始 し,1985年2月 ハ イ ビ ジ ョ ン をATSCと には 国 務 省 に 推 薦 した の で あ る 。 ハ イ ビ ジ ョ ン を 支 持 す るATSCの 勧 告 を 受 け て,国 務 省 は1986年CCIR総 会 に お い て 日 本,カ ナ ダ と 共 に ハ イ ビ ジ ョ ン を 国 際 標 準 と して 提 案 し た 。 且で 叙 述 し た よ う に,こ の 総 会 で は 欧 州 代 表 の 反 対 に よ り 国 際 標 準 化 は な さ れ ず, 1990年 総 会 ま で 決 定 が 延 期 さ れ る こ と に な っ た が,1987年 イ ビ ジ ョ ン をATVの 同 年10月 に はANSI(米 ス タ ジ オ 規 格 と し て 制 定 し,1988年1月 国 規 格 協 会)が に はSMPTEが ハ に はATSC, そ れ を 承 認 し て い た た め,国 務省はハ イ ビ ジ ョンの 支持 を続 け た。 2独 自規 格 開発 へ の政 策 転.換 と こ ろ が,1989年4月 に はATSCも にANSIFt,ハ イ ビ ジ ョ ン支 持 を 見 直 し,1989年5月 こ れ ま で の 決 定 を 白 紙 撤 回 し,次 々 回(1994年)のCCIR総 会 ま で 国 際 標 準 化 の 最 終 決 定 を 遅 ら せ る こ と を 国 務 省 に勧 告 し た の で あ る 。 こ れ ら の 背 景 は 第1に,米 国 ハ イ テ ク 産 業 に よ る 独 自 規 格 の 開 発 要 求 の 高 ま りが あ っ た 。 米 国 ハ イ テ ク 産 業 はHDTVO業 HDTV開 政 策論争 の際 発 競 争 は 規 格 競 争 で も あ る こ と か ら,独 求 め て い た の で あ る 。 例 え ば,1989年 お い て レAT&Tエ よ.る.3000.万 ドル の 資 金 援 助 はHDTV技 規 格 問 題 に 関す る公 聴 会 に 半 導 体 部 門)はDAPPAに 術 の 開 発 に効 果 的で は あ るが 額 と して は 不 十 分 で は あ る こ と を 述 べ た う え で,次 19)NHKが 自規 格 の 開発 を連 邦 政 府 に のHDTVの レ ク トロ.ニク ス(AT&Tの こ の ア ス ペ ク ト比 を 採 用 し た 理 由 は,米 の よ う な発 言 を して い る。 国 メ デ ィ ア 産 業 の 要 求 が あ っ た た め で あ る (Jeff,,w.Hart,`「ThePbSf.csofHDTVfntheStates',6ttp://www.w由.star.cram/HDTV/ 1inks、html、 ユ994,P.2)b 日欧 メー カー との HDTV(高 「しか し,米 品位 テ レビ〉の国際標準をめぐる粗格競争 と米国の標準化政:策(595)123 国 に よ る包 括 的 な 標 準 化 政 策 が 採 ら れ な い な ら,い くら資 金 をつ ぎ込 ん で も効 果 は な い 。 標 準 化 政 策 こ そ が 連 邦 政 府 に相 応 しい リー ダ ー シ ッ プ で あ る2㌔ 」 「(外国 メ ー カ ー は 米 国 の 独 自 規 格 に 適 応 し て く る た め に ゲ 規 格 は 長 期 間 に 渡 る競 争 優 位 を.うえ る.こ と は な い が,最 ル を助 け る 。 こ の た め,規 初 に 競 争 す る フ ィ ー ル ドの レベ 格 の 戦 略 的 経 済 的 影響 が 考慮 され な けれ ば な ら な い2%」 第2に,米 国地 上 波 放 送 局 が ハ イ ビジ ョン導 入 に反 対 してい た こ とで あ る。 そ の 理 由 は 次 の よ う な もの で あ6窄 。 ハ.イ ビ ジ ョ ン は 衛 星 放 送 方 式 を 用 い て お り,地 上 波 放 送 が 不 可 能 で あ っ た こ と 。.また,そ の導 入 に は従 来 の 放 送 設 備 を 更 新 し て 新 た な 設 備 投 資 が 必 要 と さ れ る 一 方,受 像 機 が 高 価 格 にな る こ とが 予 想 さ れ,視 聴 者 へ の 広 範 な 普 及 が 疑 問 視 さ れ る こ と,で 主 要 な 放 送 業 界 団 体 で あ るNABとAMST(地 年 のSMPTE,1988年 のATSCの し て い た し,1989年3月 年CCIR総 あ っ た 。 全 米 の2つ の 方 放 送 局 の 業 界 固 体)は1987 ハ イ ビ ジ ョン支 持 に対 して 反 対 の 意 向 を示 に はNANBA(米 ・加 ・墨 の 放 送 業 界 団 体)が1990 会 に お い て 国 際 標 準 化 す る べ きで は な い と主 張 して い た 。 民 間 団 体 で の ハ イ ビ ジ ョ ン支 持 見 直 し の 動 き を 受 け て,.国 務 省 は1989年5月 のCCIRの 特 別 会 合 に お い て,ATSCの こ の こ と は,国 務 省 が 事 実 上,ハ 勧 告 に従 っ た行 動 を採 った の で あ る 。 イ ビ ジ ョ ン 支 持 か ら独 自規 格 の 開 発 へ 政 策 転 換 した こ と を 意 味 し て い た 。 3国 際 標 準 を め ぐ る 規 格 競 争 の 帰 結 1989年 ハ イ ビ ジ 時 点 に お い て ハ イ ョ ン 拒 否 ,ユ .20)U.S.〔h・g・ess,House,5・b・ Z)φ η吻 May31,1989. .21).[bid. ηT`瘤 ー ビ ジ ョ ン に よ る 国 際 標 準 化 レ カ の 急 速 な 開 発 ㎝mitt…nI・t・m・ti。 τ・'∫ めπノ7覧81η'8ダ 翻 ゴo副HDTレ5鯉 と い う 状 況 は,欧 下 で,不 州 代 表 可 能 の 徹 底 的 な に な り つ つ ・・ISd・ ・ti6・C・ 。perati・n ,Hearing,"High ゴ4剛.58``2・・9",101StC。.geese,1stsusion, .1﹂﹄︼ - ■週 124(596}..・'第161巻.第5'6号 あ っ た 。 こ う し た 中 で,.国 務 省 が 標 準 化 政 策 を 転 換 さ せ た た め に,日 カ ー は 強 力 な 支 持 勢 力 を 失 う こ と に な り,ハ 本 メー イ ビ ジ ョンに よ る 国際 標 準 化 は一 ﹂ 層 困 難 にな って しま った。 二.︼ た 。 こ の 提 案 は,ス 統 一 し,そ タ ジ オ 規 格 の 要 素 技 術 の 内,有 に 変 更 し な け れ ば な ら な い が,ハ イ ビ ジ ョ ン の 有 効 走 査 線 数 を1035本 か イ ビジ ョンの ス タジ オ規 格 の骨 格 を 界 大 で の 輸 出 市 場 を 確 保 す る こ と を 意 味 し て い た 。 日 本 メ ー. は ハ イ ビ ジ ョ ン 開 発 で 培 っ た 生 産 技 術 の 蓄 積 が あ る た め,共 通画面方式 に も容 易 に対 応 で きた ので あ る。 しか し,こQ提 案 も欧 州 代 表 の 反 対 を 受1あ1990年CCIR総 会で はハ イビ ジ ョ ン と ユ ー レ カ双 方 の 規 格 が 総 会 の 勧 告 に お い て 認 め ら れ,米 を 選 考 巾 と い う 形 で 決 着 す る こ と に な っ た 。 さ ら に,1992年 は 伝 送 規 格 に お い て も'MUSEとHD-MAC双 つ ま り,HDTVに 国 は独 自規 格 のCCIR会 合で 方 が認 め ら れ る こ と に な った 。 お い て も 白 黒.・ カ ラ ー テ レ ビ の 場 合 と 同 様,日 米 国 で 規 格 の 異 な る.3つ の シ ス テ ム が 併 存 す る こ と に な り,両 本 ・欧 州 ・ 立 性 の欠 如 とい う技 術 的 問 題 は 解 決 さ れ な か っ た の で あ る 。 他 方,こ の 帰 結 は,欧 こ と に 成 功 し,ハ 米 メー カー が 日本 メ ー カ 「 の 国際 競 争 力 を削 ぎ落 とす イ ビ ジ ョ ン に よ っ て 国 際 標.準化 が 行 わ れ る 場 合 よ り も 有 利 な 競 争 条 件 を 確 保 し た こ と を 意 味 して い る 。 な ぜ な ら,日 国 市 場 で は そ れ ぞ れ の 規 格 に対 応 したHDTVを 本 メ ー カ ー は 欧 州 ・米 開 発 ・生 産 せ ざ る を え ず,ハ イ ビ ジ ョ ン の 普 及 は 日本 国 内 に 制 限 さ れ た か ら で あ る 。 つ ま り,欧 米 の 独 自規 格 が 日 本.メー カ ー の ハ イ ビ ジ ョ ン普 及 に と っ て 非 関 税 障 壁 と な る の で あ る 。 さ ら に,日 本 メ 「 カ ー は 欧 米.メー カ ー に 特 許 料 支 払 い を 余 儀 な く さ れ る た め で あ る 。 レ た が っ て;米 る だ ろ う。 国 の 標 準 化 政 策 は 産 業 政 策 と し て の 機 能 を 果 た した と い え 漏 -;. 句 ほ ぼ 維 持 で き,世 カrに に れ 以外 につ い て は各 国 の 自由 にす る とい う もので あ っ た。 こ の 提 案 は 日本 メ ー カ ー に と っ て,ハ ら1080本 効 走 査 線 数 の み を1080本 ﹂■で .喬 そ こで 郵 政 省 は共 通 画 面 方 式 とい う妥 協 案 に よ って 国際 標 準 化 を 図 ろ う と し HDTV(高 品位 テ レビ)の 国 際標 準 を め ぐる規格 競 争 と米 国 の標 準化 政 策 〔597)125 お 米 国 の標 準 化 政 策 は この 後,ATVの わ り に 標準 規 格 設 定 を課 題 と した 第2段 階 に 入 る こ とに な る。 そ こで は,日 欧 政 府 が 特 定 の規 格 を官 民 双 方 で 支 援 した の に 対 して,競 争 原 理 を活 用 す る手 法 が と られ た 。 第1に,民 を組 織 した こ とで あ る。 第2に,企 間企 業 間 の 規 格 競争 業 間競 争 の 結 果 を 受.けて デ ジ ュ ア ス タ ン ダ.一ドを設 定 しよ う と して い る こ とで あ る。 次 稿 で は,こ の第2段 階 の 政 策展 開 を分 析 し,そ の 経 済 的 意 味 を 明 らか に した い。