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ギリシャ・オリンポス紀行 (2)

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ギリシャ・オリンポス紀行 (2)
ギリシャ・オリンポス紀行 (2)
SCMC
守屋益男
デルフィ
6 月 18 日(火)一行はアテネ空港から専用バスで、ギリシャ中部の観光地アラホバへ向かった。我々
をガイドしてくれるのは現地旅行会社・GMM ツアー社長・水田さん(60 歳代、男性)と現地ガイド・園
田さん(50 歳代、女性)である。水田さんはギリシャ歴 43 年、園田さんは 38 年で、共にギリシャのこと
を知り尽くした二人とみえた。今日の解説は主に水田社長がしてくれる。ギリシャは地中海東部、バル
カン半島の末端にある国で、国土面積は約 13 万k㎡、日本の約 3 分の 1 である。半島の先端はコリン
トス運河を隔ててペロポネソス半島があり、そこにコリントス、スパルタ、オリンピアなどの遺跡があ
る。ギリシャ国土の 75%は山で、高山は標高 2,400m~2,500mの山が多い。アテネの北東に見える山
はペンテリコン山(約 1,000m)と呼ばれ、大理石が多く採れ、この大理石で古代ギリシャの建造物が
建てられた。ギリシャは夏季にはほとんど雨が降らない。ひと夏に夕立が 2~3 回ある程度で、地中海、
エーゲ海に点在する大小 3,000 に及ぶ島々への観光客が多い、など解説を傾聴する。
バスは高速道路を北へ走り田園地帯へと入った。車窓に麦畑、綿花畑、トウモロコシ畑などが展開し、
流れていく。ギリシャの食料自給率は 116%で、国家財政は貧しいが、食いっぱぐれの心配はないとの
こと。日本の食料自給率は 40%であり、果たしてどちらが安心して暮らせる国なのだろうか。バスはド
ライブインで一度休憩をとり、18 時過ぎ、世界遺産・デルフィの 10 キロ手前にあるアラホバという町
のリゾートホテルに到着した。
6 月 19 日(水)ギリシャの朝は「カリメラ」の挨拶から始まる。それは「良い 1 日を」という意味。
今日のガイド役は園田さん。バスは 8:50、ホテルを出発し 9 時過ぎに世界遺産・デルフィに着いた。
デルフィは BC1,000~500 年に栄えた神託の聖地で、神話によるとゼウスの息子アポロンが、この地
の洞窟に潜んでいた大蛇ピュトンを矢で殺して神殿を建て、巫女ピュティアの身体を借りて神託を授け
るようになった。アポロンの神託は卓越した予知能力で一般に知られるようになり、名声が広がり、ギ
リシャ各地のポリスや植民地から代表や民衆が神託を受けに続々と訪れ、政治問題から商売、結婚、家
庭問題まで大小様々なことについて神託が行われた。神託の御利益に感謝したポリスや植民地からは沢
山の奉納品・宝物が寄贈され、アポロン神殿に続く参道には、それらを収納する宝庫や像が立ち並び繁
栄を極めたという。その参道をガイド園田さんの解説を聴きながら登っていく。今は、ここ、そこに大
理石の柱が残るのみ。神託・占いは、古来、洋の東西を問わず行なわれてきた。日本でも平安時代(10
世紀)の陰陽師、安倍清明が有名である。先日、
「矢掛の山登山詳細図」作成のための踏査で訪
れた阿部山(390m)には、安部清明の石碑と屋
敷跡があり、解説板には「この地で安部清明が
天体観測をしていた」と書かれており、安部清
明が天体観測で得られた日食、月食、流星群な
どの天体現象を占いに生かしていたのではない
か、と推察した。ピタゴラスやアルキメデスを
輩出したギリシャでは、もっと高度な観察結果
を得ていて、それが神託に活かされていたもの
ではなかろうか。
(以下次号)
世界遺産デルフィ遺跡を観光する
(撮影)瀬政光彦
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