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Hansen Ⅱ型椎間板ヘルニアに対する椎体部分切除術(Corpectomy)の
Hansen Ⅱ型椎間板ヘルニアに対する椎体部分切除術(Corpectomy)の 適応 ○王寺 1) 隆 1)、宇根 智 1) ネオベッツ VR センター・大阪市 1. はじめに:髄核の線維性軟骨変性および線維輪の脊柱管内膨隆を病態とする Hansen Ⅱ型の椎間板ヘル ニアでは、脊髄腹側に位置する椎間板線維輪の摘出が困難である事が多い。そのため片側椎弓切除術 による対応では、過度な脊髄操作による医原性損傷から術後の不全麻痺の悪化や回復期間の延長、改 善率の低下などが問題となる。今回我々は、MRI にて Hansen Ⅱ型椎間板ヘルニアと診断したイヌ 6 例 に対し、背外側アプローチによる椎体部分切除術( Corpectomy)を実施し、治療予後について検討を 行った。2.材料および方法:対象は後肢の神経学的異常もしくは腰背部痛を主訴として受診したイヌ 6 例である。すべての症例で MRI 検査を実施し、胸腰部 Hansen Ⅱ型椎間板ヘルニアと診断した(図-1)。 神経学的検査および画像診断より責任病変を判定し、全症例で責任病変に対し Corpectomy を実施、複 数の椎間板突出の認められた 4 例については他病変に対し経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)を併 用した。各症例について、病歴、術前・術後の神経学的グレードを評価し、予後および回復期間につ いて検討した。3.成 績:症例は 7 歳 4 カ月齢~11 歳7カ月齢(診断時年齢中央値 10 歳1カ月齢) のイヌ 6 例であり、犬種はシーズー3 例、チワワ 2 例、ミニチュア・シュナウザー1 例である。当院受 診までの保存治療として、2 例には NSAIDs、4 例に対してはステロイドが投与されていた。診断時の臨 床症状は腰背部痛のみ(グレード1)が1例および歩行可能な不全麻痺(グレード 2)が 5 例であった。 Corpectomy は横臥位による背外側アプローチにより行い、椎間板を中心として前後 2 椎体終板を削除 し、脊柱管底部より膨隆した線維輪を摘出した(図-2)。すべての症例で術直後の臨床症状の悪化は認 められず、4 例については 1 週間以内の退院時において症状の消失が観察され、他の 2 例では 1 カ月の 経過でほぼ正常な歩様が観察された。また、術後 1~15 カ月(平均観察期間 6 カ月)の経過にて合併 症の発現は認められなかった(図-3)。4.結 論:Corpectomy はこれまで予後が困難とされていた Hansen Ⅱ型の椎間板ヘルニアに対し、安全かつ容易に突出線維 輪への減圧アプローチが可能である。 また、術中の脊髄操作および静脈洞出血が最小限となることで、術後の一時的な悪化も認められず、 早期の機能回復が可能である(図-4)。 (図-1) (図-2) (図-3) (図-4)