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Yoshida Press Release

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Yoshida Press Release
Embargoed Advance Information from Science
The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science
http://www.aaas.org/
問合せ先:Natasha Pinol
+1-202-326-6440
[email protected]
Science 2013 年 1 月 18 日号ハイライト
気候と係り合いのある北極圏の脊椎動物
検索方法によりゲノムデータの提供者の一部が同定される
JPEG に勝る新たな画像圧縮技術
腸内細菌は、性ホルモンを介して自己免疫リスクに影響を与える
気候と係り合いのある北極圏の脊椎動物
Vertebrates in the Arctic Linked by Climate
極端な気象事象が多数の種の個体群動態に影響を及ぼし、関連のない個体群同士で出生率や
死亡率をシンクロ(同調)させてしまう可能性があることは知られている。しかし、ひとつ
の地域に生息する異なった種の間で気候によるそのような個体群動態のシンクロがあるか否
かは分かっていない。それを明らかにするために、Brage Hansen らは高緯度北極圏 ―― 具
体的にはノルウェーのスピッツベルゲン諸島 ―― という辺境の地に注目した。その島には
年間を通してわずか 3 種の草食動物とそれらに共通する 1 種の捕食動物しか存在しない。
Hansen らはこの島に生息するトナカイ、狩猟鳥のイワライチョウ、小型齧歯動物のロシア
ハタネズミ、および、これらの草食動物を捕食する北極ギツネの個体群に関する長年にわた
るデータを調査した。続いてそれらの個体群データとこの島の測候所で同時期に記録された
気象事象とを比較した。その結果、極端な気象事象によって実際に越冬期のこの生態系の変
化と北極ギツネの個体群動態が 1 年遅れでシンクロしていたことが判明した。Hansen らに
よると、このシンクロを引き起こした主な要因は、積もった雪の上に大量の雨が降って植物
が凍ったために、冬の間に動物に食べられなかったことだという。また、北極ギツネの個体
数の変動は死んだトナカイの肉が手に入るかどうかに直接関係していた。雨と氷の多い冬に
はトナカイの個体数は制限され、北極ギツネにとってはトナカイの死肉が豊富にあるが、そ
の次の冬には死肉は十分な量がないと Hansen らは述べている。今回の研究結果は、間接的
な下から上への気候による強制効果が冬のこの島に生息するあらゆる脊椎動物の個体群動態
の動因であることを示している。また、高緯度北極圏では着氷がさらに増えるとの予測から、
極端な気象事象は今後、北極圏の生物群集に対してより大きなカスケード効果をもたらす可
能性があると、Hansen らは述べている。
Article #8: "Climate Events Drive the Dynamics of a Resident Vertebrate Community in the High
Arctic," by B.B. Hansen; V. Grøtan; R. Aanes; B.-E. Sæther at Norwegian University of Science and
Technology in Trondheim, Norway; R. Aanes; E. Fuglei; Å.Ø. Pedersen at Norwegian Polar Institute
in Tromsø, Norway; R. Aanes; E. Fuglei; Å.Ø. Pedersen; A. Stien at Fram Centre in Tromsø, Norway;
A. Stien at Norwegian Institute for Nature Research in Tromsø, Norway; R.A. Ims; N.G. Yoccoz at
University of Tromsø in Tromsø, Norway; R. Aanes at Norwegian Directorate for Nature
Management in Trondheim, Norway.
検索方法によりゲノムデータの提供者の一部が同定される
Search Method Identifies Some Donors of Genomic Material
研究目的で個人のゲノム配列データを提供したボランティアの一部のアイデンティティは、
公開された情報のみを用いて明らかにしうることが、研究により報告された。この検索方法
は、公開されている遺伝子系図データベース内の Y 染色体の情報に依拠している。このた
め、直接には男性提供者の同定のみに使えるが、これらの提供者の女性の近親者も同定でき
る可能性がある。現時点で、そのようなデータベースは少なくとも 8 つ存在しており、一部
は無料で、検索エンジンを装備しており、全体で数十万人の男性の Y 染色体配列と姓を含
んでいる。
Melissa Gymrek らは、1000 Genomes Project などの研究活動に個人のゲノムデータを提供し
た男性ボランティアのアイデンティティを、これらのデータベースを使って特定できるかど
うかを調べた。まず、これらボランティアのセットに由来する Y 染色体配列データを用い
て、遺伝子系図データべースから関連する一連の姓を特定した。次いで、ボランティアの年
齢と居住州(やはり公開情報)とマッチする情報を探すことで、各々の姓に対応する可能性
のある個人を明らかにした。この三角測量的方法によって、ボランティアの内約 50 人のア
イデンティティを特定することができた。別の実験セットを用いて、米国の白人男性の場合、
約 12%の頻度で姓を再現できると推定した。ボランティアはインフォームドコンセントの
過程で、配列データのアイデンティティを消去してもアイデンティティが特定される場合が
あると伝えられているが、Gymrek らはボランティアのアイデンティティは示していない。
著者らは結論で、科学者にとって個人のゲノムデータの使用がより困難になることは、科学
の進歩を妨げるであろうと述べている。そのために彼らは、データ共有に関する明確な方針
の確立、参加者に対する遺伝子研究のリスクとベネフィットの教育、ならびに遺伝情報の適
切な使用に関する法律の策定を提案している。関連する Policy Forum では、Laura Rodriguez
らがこの研究の意義と国立衛生研究所(NIH)の反応についても論じている。Science の副編
集長である Barbara Jasny はこう述べている。「Science は、この論文の掲載に関連しうるリ
スクとベネフィットについてきわめて慎重に検討した。最終的に、われわれは掲載すること
により、この重要な問題について注意を喚起することができ、また、研究被験者を保護する
必要性と大規模なデータ共有の必要性とのバランスを、とくに人間の健康に影響を及ぼしう
る研究において、いかにすれば最適化できるかについての議論を促進する助けとなると考え
た。」
Article #11: "Identifying Personal Genomes by Surname Inference," by M. Gymrek; Y. Erlich at
Whitehead Institute for Biomedical Research in Cambridge, MA; M. Gymrek at Harvard-MIT Health
Sciences and Technology in Cambridge, MA; M. Gymrek at Massachusetts Institute of Technology in
Cambridge, MA; M. Gymrek at Broad Institute of MIT and Harvard in Cambridge, MA; M. Gymrek
at Massachusetts General Hospital in Boston, MA; A.L. McGuire at Baylor College of Medicine in
Houston, TX; D. Golan; E. Halperin at Tel Aviv University in Tel Aviv, Israel; E. Halperin at The
International Computer Science Institute in Berkeley, CA.
Article #1: "The Complexities of Genomic Identifiability," by L.L. Rodriguez; L.D. Brooks; E.D.
Green at National Human Genome Research Institute, NIH in Bethesda, MD; J.H. Greenberg at
National Institute of General Medical Sciences, NIH in Bethesda, MD.
JPEG に勝る新たな画像圧縮技術
New Image Compressor Beats JPEG
大量の画像ファイルの圧縮にうんざりしていないだろうか。新しいタイプのレンズは、今よ
りも効率的な方法で画像を圧縮する。JPEG 等のアルゴリズムはファイルサイズを圧縮でき
るが、この操作は画像を撮影した後に行わなければならない。これに対し、John Hunt らが
開発したメタマテリアル・センサーは、画像を記録中に圧縮できる上、より効率的に画像情
報を収集する。メタマテリアルは、自然界では見られない特性を持つように設計された人工
物質である。この成果は、メタマテリアル・センサーを搭載したカメラ、X 線スキャナー等
の画像技術が、現在必要とされるよりも少ない測定装置や検出器で、より高速で撮像できる
可能性を示唆している。Hunt らは、メタマテリアル・センサーを使用してサンプル画像を
圧縮し、このセンサーが画像を記録できること、後に圧縮しなくてもビデオレートの画像処
理が可能なほど十分な速さで、計算処理的に画像を復元できることを示した。この成果は、
スマートフォンの高解像画像から医療用 3 次元 MRI 画像まで、様々な画像処理の効率化を
目指す一般的な動向の一部を成している。
Article #7: "Metamaterial Apertures for Computational Imaging," by J. Hunt; T. Driscoll; G.
Lipworth; D.R. Smith; A. Mrozack; M. Reynolds; D. Brady at Duke University in Durham, NC; T.
Driscoll at University of California, San Diego in La Jolla, CA.
腸内細菌は、性ホルモンを介して自己免疫リスクに影響を与える
Gut Microbes Influence Autoimmunity Risk, Via Sex Hormones
マウスでは、腸内に生息する微生物の組み合わせが性ホルモン濃度に影響を与え、さらには
自己免疫疾患である 1 型糖尿病の発症に影響を与えることが報告された。この知見は、多発
性硬化症や関節リウマチなどの自己免疫疾患が男性よりも女性に多い傾向がある理由を解明
する手がかりとなるかもしれない。遺伝的因子と環境因子の両方が自己免疫疾患のかかりや
すさに寄与していることはよく知られている。しかし、寄与していると考えられる特定の環
境的影響はよくわかっていない。Janet Markle らは、1 型糖尿病を発症する「NOD」マウス
系統から洞察を得ることを試みた。通常、雌の方が雄よりもはるかに罹患しやすく、雄はテ
ストステロン濃度が高いことによって保護されていると考えられている。しかし、NOD マ
ウスを無菌状態で育てると、この差が失われた。発症前に雄の腸の内容物を雌に移したとこ
ろ、雌がさまざまな 1 型糖尿病の症状から保護されたことが明らかになった。テストステロ
ン活性を抑制するとこの保護効果は逆転した。これらの知見をどのようにヒトに適用するか
を検討するには、より多くの研究が必要である。例えば、関節リウマチや多発性硬化症のよ
うに、糖尿病(実際には男性と女性がほぼ同頻度で罹患している)よりも性差の大きい疾患
に関しては、意義が大きいかもしれない。しかし Markle らは、自己免疫のリスクの高い乳
児や小児を明らかにすることが容易になれば、これらの慢性疾患を予防または遅延させるた
めに腸内細菌をターゲットとする可能性を検討できると考えている。
Article #19: "Sex-Specific Differences in the Gut Microbiome Drive Testosterone-Dependent
Protection from Autoimmunity that is Transferable by Early Life Conditioning in the NOD Mouse,"
by J.G.M. Markle; S. Mortin-Toth; J.S. Danska at Hospital for Sick Children Research Institute in
Toronto, ON, Canada; J.G.M. Markle; S. Mortin-Toth; J.S. Danska at University of Toronto in
Toronto, ON, Canada; D.N. Frank; L.M. Feazel at University of Colorado School of Medicine in
Aurora, CO; C.E. Robertson at University of Colorado in Boulder, CO; U. Rolle-Kampczyk; M. von
Bergen at Helmholtz Center for Environmental Research in Leipzig, Germany; K.D. McCoy; A.J.
Macpherson at University of Bern in Bern, Switzerland.
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