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音を用いた高精度屋内測位の実現のための基本実験
音を用いた高精度屋内測位の実現のための基本実験 Basic Experiment for Accurate Indoor Positioning using Audible Sound 金田一将*1 Kazumasa Kaneta *1 1. はじめに 村田翔太郎*2 田中 博*1, 2 Shotaro Murata Hiroshi Tanaka *2 神奈川工科大学 情報学部 情報工学科 神奈川工科大学 大学院 情報工学専攻 Kanagawa Institute of Technology, Department of Information & Computer Sciences 蔵 ス ピ ー カ か ら 出 力 す る こ と と 筆者らは超音波[1],及び非可聴音(17k-22kHz)を用いた屋 内測位システムを検討してきた.その中で,マイクセン サが広帯域特性を有し,可聴音から超音波までの周波数 の音を受信出来ることが分かった.本実験では,可聴音 から超音波までの音波を用いた高精度屋内測位の実現を 視野に入れ,基本実験及びその評価を行った. 2.基本原理と受信機の構成 測位の基本原理を図 1 に示す.測位対象が発生させた音 波を 4 つ以上のマイクセンサで受信し,その伝搬時間差か ら,位置(x,y,z)と音の伝搬時間 t を数値計算で求める. マイクセンサで受けた信号を受信機内で増幅,検波し, その受信タイミング(t1,t2,t3)を用いて測位計算を行う. したがって,音の受信タイミングを検出出来れば音の種 類によらず測位が可能であると考えられる.ここで用い る方程式は GPS と同じ形式のものである. 図 1 測位の基本原理 受信機は,可聴音から超音波まで受信可能なマイクセ ンサ(Primo 製 EM158)とプリアンプ,AGC アンプ,検波回 路と,検波回路からの出力で受信タイミングを検知する 受信回路を使用している. 3.受信実験 3.1 受信特性の確認 試作した受信機で静穏環 境における受信特性の確認 を行った.発信音源として 超 音 波 (40kHz), 非可聴音 (19kHz)の音を 35ms 間隔の 10ms 1V Duration400μs で,専用の 送信機及びスマートフォン から送信した.可聴音の一 例としてカスタネットを用 図 2 検波回路の出力 い,事前に録音した音の波 形を観察し,同じく 35ms 間隔の Duration10ms として WAV 形式の音声ファイルを作成し,スマートフォンの内 した.スマートフォンから送信した可聴音を送受信機間 の距離 600mm,騒音レベル 37-42dB で取得した,検波回 路からの出力を図 2 に示す.受信した信号の電圧が閾値 である 1V を超え,正常に音波を検知していることを確認 した. 3.2 カウント値の測定 測位計算で必要と なる受信タイミング の取得と距離変化に よるカウント値の確 認を行った.実験構 成を図 3 に示す. 受信閾値 1V, 騒音レ ベル 37-42dB の静 穏環境下における各 図 3 実験構成 表1 カウント値測定結果 サンプル数: 300 音源によるカウント値測定の結果を表 1 に示す. 各距離において理論値と実測値の差は小さく,超音波, 非可聴音,カスタネットの各音源で受信タイミングが正 常に受信出来ていることを確認した. 4.まとめ マイクセンサの広帯域特性を用いて,可聴音から超音 波までの音を受信し,その受信タイミングの取得により, 様々な音による屋内測位システムが実現できる見通しを 得た.今後は,騒音環境下でのそれらの音の抽出や各音 の識別機能など,実利用に向けた検討を進めていく. 謝辞 本研究は文部科学省科学技術研究費基盤(C)課題番号 24500219 の補助を得て行った. 参考文献 [1]秋山他,"超音波センサを用いた広域屋内測位システムの構成 と検証実験",測位航法学会論文誌, Vol.3, No.1, pp.1-8(2012).