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*グローバル投資環境
No.1109 *
ご参考資料
髙木証券投資情報部
FRB関係者の発言が相
中国発の市場の混乱と米国の金融政策~ 次ぐ
2015年8月31日作成
世界第二位の経済規模を有する中国の景気悪化に対する懸念を背景にした世界的な金融市場の混
乱が米国の金融政策、とりわけ利上げの時期に与える影響について、FRB関係者からの発言がこの
ところ相次いでいる。
特に、米国の株式市場がパニック的な下げに見舞われた先週前半は、市場で9月の利上げ観測が
大きく後退し、NY連銀のダドリー総裁が26日に「9月のFOMCで利上げを決定する論拠は数週間前よ
りもやや弱くなっている」と述べたこともこうした見方を裏付けた。
ところが、28~29日には世界各国の中央銀行関係者が集まるシンポジウムが開かれたワイオミン
グ州ジャクソンホールから多くのメッセージが発せられた。FRBのフィッシャー副議長は「中国の
人民元切り下げを発端とする情勢の変化の影響について判断するのは時期尚早だ。9月利上げの論
拠が強まっているのか弱まっているのか、今すぐに判断することは避けたい」として9月利上げの
可能性を残したほか、セントルイス連銀のブラード総裁は「9月に利上げを見送った場合は、10月
に利上げをした際に説明しやすくなるよう10月会合後に会見を設定することを検討するべきだ」と
述べている。一方、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁は年内の利上げ見送りを主張しているが、
同総裁はFOMCにおける投票権を有しておらず、年内退任の意向を示している。
このように、個々のFRB関係者の利上げに対する考え方はさまざまである。9月4日に発表される8
月の雇用統計が7月に続いて「労働市場のさらなる多少の改善」を裏付けるものになるとともに、
FOMCまでにグローバル金融市場が落ち着いていることを条件に、9月利上げの可能性も残っている
とみられるほか、FRBが9月に動かなかった場合には、市場が従来想定していた12月ではなく10月
FOMCでの利上げという線も浮上してきている。株式市場は利上げをネガティブに受け止めがちだが、
利上げが大幅に先送りされなかった場合には、中国発の市場の混乱にもかかわらず利上げが可能な
ほどに米国の経済が堅調であることを示すものとして前向きに捉えたい。
(文責:勇崎 聡)
《FRB関係者の先週の主な発言》
日付
発言者
8月25日
アトランタ連銀
ロックハート総裁
8月26日
NY連銀
ダドリー総裁
8月27日
カンザスシティー連銀
ジョージ総裁
クリーブランド連銀
ジョージ総裁
8/28~29
ミネアポリス連銀
コチャラコタ総裁
要旨
日付
米ドル高、人民元安、原油価格のさらなる下落
などの最近の変化は、成長ペースの予想を複
雑にする要因だ。私は年内利上げの考えを堅
持する。会合はあと3回ある。
私の見方では、9月のFOMCで利上げを決定す
る根拠は数週間前よりもやや弱くなっている。
市場のボラティリティーが米国経済に影響を及
ぼすかどうかを現時点で判断するのは時期尚
早であり、FOMCはいずれの会合でも利上げが
可能である。現時点では、経済情勢に対する
私の判断を変えるようなものは見当たらない。
私はこれまで9月のFOMCで利上げを検討する
8/28~29
余地があると考えていたが、他のFOMCメン
バーの考えがどのようなものか様子をみる
(wait and see)ことになる
インフレ期待はかなり安定しているほか、経済
は潜在成長率を上回って伸びており、労働市
場の改善も続いている。あらゆる観点からみた
個人的見解では景気は金利の引き上げに耐
えられる。
経済データに大きな変化がない限り、近い将
来の利上げが適切だとは思わない。私の言う
近い将来は、2015年の残り全ての期間を指し
ている
発言者
要旨
FOMCにとって非常に重要な問題は、ここ10日
間にみられた市場のボラティリティーを理由に、
見通しをどの程度変えるべきかということだ
セントルイス連銀
が、私は大きく変える必要はないと思う。9月に
ブラード総裁
利上げを見送った場合には、10月に利上げを
した際に説明しやすいように10月会見後に会
見を設定するべきだ
期待インフレの明らかな安定に鑑みれば、米ド
ル高や原油安などの下押し要因がさらに消失
するのに伴って、インフレがより高く推移するこ
とに対して確信を持つに足る理由がある。5月
から7月の雇用者数は月平均で23.5万人増
加、我々は9月4日発表の8月のデータを待って
FRB
いる。政策決定に当たっては海外経済が米国
フィッシャー副議長 に与える影響を考慮せねばならないが、中国
の人民元切り下げを発端とする情勢の変化は
比較的新しい出来事であり、影響について判
断するのは時期尚早だ。状況がどう展開する
のか引き続き見守っており、9月利上げの論拠
が強まっているのか弱まっているのか、今すぐ
に判断することは避けたい
アトランタ連銀
FRBが今動くべきか待つべきかは未解決の問
ロックハート総裁
題だ。10月のFOMCは生きている
(出所:FRBなどより髙木証券作成)
当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願いいたします。当資料は信頼できると思われる各種
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