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スクロールレス遠心ファンの空力特性と騒音に関する研究 : 羽根車入口
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title スクロールレス遠心ファンの空力特性と騒音に関する研究 : 羽根車 入口・出口角度の影響 Author(s) 林, 秀千人; 児玉, 好雄; 荻野, 和郎 Citation 長崎大学工学部研究報告 Vol.32(59) p.17-24, 2002 Issue Date 2002-07 URL http://hdl.handle.net/10069/5206 Right This document is downloaded at: 2017-03-30T04:33:07Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp 長崎大学工学部研究報告 第32巻 第59号 1 7 平成 1 4年 7月 スクロール レス遠心 フアンの空力特性 と騒音 に関す る研究 ( 羽根車入 口 ・出 口角度 の影響) 林 秀千人*・児玉 好雄 *・荻野 和郎** Cha ra c t e is r t i c so fAe r o d yn a ic m sa ndNo i s ef o rCe n t if r ug a lFa n wi t h o u tSc r o l lCa s i n g ( Ef f e c to fI n l e ta ndOu t l e ta n g l e s ) b y Hi de c hi t oHAYASHI ,Yos hi oKODAMA,Ka z uoOGI NO Thei nf lue nc eoft hei nl e ta ndout l e ta ngl esoft hec e n t if r uga lf a nwi houts t c r ol lca s i ngWe r ei nve s t l ga t e di nr e l a t i ng t ot hec ha r a c t e i rs t i csofa e r odyna mi csa ndnoi s e.Thef ol l owi ngr es ul t sa r eobt ine a d.Thei nl e ta ngl eoft hei mpe l l e r , whi c hi se s t i ma t e dbyt her a di a li nf low c ondi t i on,gl VeSt hee xt r e me l yl ow a ngl ef ort hei nnow c ondi t i on.Thec a us e i st ha tt hel e a ka gef low f r om t hec l ea r a nc ebe t we e nt hef ronts hr ouda ndt hebe l lmout hi sve r yl rgea a ndha st het a nge nt i a lc ompone ntofve l oc l t y.Andwepr opos e dt hen ew c ha rt soft hepe r f or ma nc eont hef a nnoi s e.The yc l e a r l yI n, di c a t et hee fe c toft hei nl e ta ndout l e ta ngl e soft hei mpel l e rt ot hepe r f om a nc eoft hef a nnoi s e.Fr om t hec ha r t s t heopt i ma l des i gnpa ra me t e r sa ndt hes e ns l t l Vl t yOft he mt ot hef a nnoi s ec a nbee a s i l yobt ine a d・ 1.緒 言 いる`5'.さらに,精度の良い騒音の予測 を行 っている( 6 ' . 遠心送風機 は比較的高い圧力が得 られることか ら, しか しなが ら, この ような遠心 フアンの羽根車 は,流 生活の身近 な ところで数多 く利用 されている.最近で 体力学的性能 については設計時 に比較的検討が な され は,高圧 ・大流量 を必要 とす る場合 に も利用 され,空 る ものの,騒音特性 の面か ら低減化 を計 ることはまだ 力性能の さらなる向上が望 まれている.一方,オフィ 十分 にはなされていない ようである.本研究では流体 スや病 院な どの利用が増 える とともに,環境面 か ら騒 力学的特性 を加味 した騒音 レベルす なわち比騒音 レベ 音 の小 さい静か な送風機が望 まれている.遠心送風機 ルに着 目 して,羽根車の入 口お よび出口角度 と騒音特 に関す る研究 は, これ まで に翼形状 と騒音 の関係 を調 性 の関係 か ら,低騒音 の送風機設計 の指針 を与 える も べ て騒音 を低減化 す る もの' 1日 2' や,多翼 フ アンの騒音 のである. 発生機構 に関す る研 究( 3 ) ,多翼 ラジアル フ アンの乱流 騒音 に関す る研 究 (4)な どがある. 2.主 な使用記号 スクロールケーシングのないフアンすなわちスクロー β :羽根枚数 ル レス遠心 フアンは,空調機器用 として注 目され用 い か :羽根車直径 られている. この場合,羽根車か らの流れがその まま h :スパ ン高 さ m 周辺装置-流 れてい くために, フアンの形状が周辺装 & :比騒音 レベル 置 によって左右 される.児玉 らは,送風機 の羽根車 と p∫ :静圧 pa 周辺装置 との関係 について,騒音特性 を明 らか に して Q :流量 m3/ i n 又 はm3/ m S 平成 1 4年 4月1 2日受理 *機械 システム工学科 ( De pa rt me n tofMe c ha ni c a lSys t e msEngi ne e ing) r **大学院博士後期課程 ( Gr a dua t eSc hoolofSc i e nc ea ndTe c hnol ogy) m dB 1 8 林 SPL :騒音 レベ ル d B 〟2 :羽根車外縁 の周速度 vu :絶対速度 の周方向成分 γJ :羽根入口角度 度 7 2 :羽根 出口角度 度 β Vs :空気の密度 :圧力係数 ≠ ∂2 :流量係数 :出口偏差角 Aq :もれ流量 m3/ in m Ag, :損失係数 秀千人 ・児玉 好雄 ・荻野 和郎 Ta b l e1 Ma i nd i me ns i o n so fl mp e l l e r s BW2 0 3 9 BW2 9 3 9 BW2 0 9 0 I n n e rd i me a t e rDL 2 6 5 mm 3 6 0 n l m Ou t e rd i me a t e rDI ll Nu mb e ro fb l a d eβ m/ s m/ S I n l e ta ng l ey L kg/ m3 2 0 0 2 90 2 0 0 2 90で, 出口角が γ 2=3 90の羽根 車 ( 以下BW2 9 3 9と呼 ぶ), また入 口角が γ J=2 00で出口角が γ 2=9 00の羽根 度 0 9 0と呼ぶ) について調べ た ( 表 1) . 辛 ( 以下BW2 流動様相 の計測 は,羽根車半径 よ り1 0 m 大 きい位 添 え字 置で,周方向 に 4断面 ( 図1 ( a ) 中のMPl∼MP4) に 1 :羽根車入口 ついて行 った.騒音の測定は,吸い込み口正面で回転 2 :羽根車出口 軸上の 1m上流 の地点 に精密騒音計 を設置 して無響室 でお こなった.騒音計 か らの出力信号 はFFrアナライ 3.実験装置および方法 ザ を用いて周波数解析 を行 った. a) は本研究で使用 したス クロール レス遠心 フア 図 1( ンの装置全体の概要図である. これはクリー ンルーム 4.実験結果および考察 の空気清浄 に用い られる もの (クリー ンモ ジュールユ 4. 1 空力特性 および蚤音特性 ニ ッ ト)で,吸い込み口にはベルマ ウスが取 り付 け ら 図 2は 3種類の羽根車 について,作動点近傍 の圧力 れ,通過 した流れが羽根車 に入 る.羽根車で加圧,加 について特性 曲線 を示 した ものである.圧力係数,流 速 されたあ と径向 きに流出 した流れは側壁で曲げ られ 量係数は式( 1 ) で定義 される. 下流側 に設け られた除塵 フィル タを通 って機外へ流出 す る.詳細 は文献( 6 ) に示 している. 図( b) は供試羽根車 の 1つの形状 を示 してい る.羽 p u ),¢-Q/( 7 T D, h2u2) 鷲-2 P s /( g ( I ) 6 0 m , 内径 が2 6 5 m で, 羽根 は厚 み 根車 は外径 が3 ここで, pは密度 , u2は羽根車外縁 の周速度 ,Qは流 量,D2 は羽根車外径 ,h2 は羽根車出口における翼のス 2m の円弧形状 を した二次元羽根 である.羽根枚 数 パ ン高 さである. またス クロール レス遠心 フアンの場 は 11 枚 であ る.実験 では,入 口 ・出口角度が異 なる 合 は,羽根車か ら出た流れが直接周辺装置 に流れ込 む 3種類 の羽根車 を用 いた.空力設計上 は,入 口角 γ)= ために,流れの動圧 はあ ま り利用 されない.従 って通 2 00 ,出口角 わ=3 90が所定の流量,圧力 を得 る もので 常,性能の評価 は静圧で行 なわれ,式( 1 ) の圧力 にも静 ある.本実験 では,騒音 に及ぼす入口 ・出口角度の影 圧p s を用いた.図 より,BW2 03 9( ▲印)が圧力は もっ 響 を調べ るために,入 口角 γ )=2 ,出口角 y 2=3 90の とも低 く,入 口角が2 9度 と設計 よ り大 きいBW2 9 3 9羽 羽根車 ( 以下BW2 03 9と呼ぶ) の他 に,入 口角が γJ= 根車がそれ よ り高 くなっている. さらに,出口角が90 0 0 M . P . 3 M. P. 4 l 61 0 / 「 / ,I Ⅰ n l etnozzl e ● 8 ●l ヽW = ● > EZl ′\ N. 巴 P. 2 ノ ● l ⊇ 】 にこ M e s h △ 8 - ¢M F o i t l o t e r r Fi g.1 Ex enme p n t l Ap a p ra a t u s ス クロール レス遠心 フアンの空力特性 と騒音 に関す る研究 1 9 090羽根 車 は, もっ とも静圧が高 くなってい 度 のBW2 他 の 2つの もの よ り大 き く,後流幅が増加す るためで る.BW2 939は流量 の増加 に よる圧力の低下 も他 に比 あ る. 一方 ,BW2 03 9とBW293 9羽根 車 はほ とん ど騒 べ る と緩やかで,流量が大 きい ところで さらに有利 で 音 レベ ルは変 わ らない.比騒音Ks は,騒音 レベ ルにi 充 あ る と考 え られる. これは流量が多 くなるにつれて, 量 と圧力 の影響 を式 ( 2 ) に よ り考慮 した ものであ る. 羽根 入 口角度が大 きいBW293 9羽根車 の流 人条件 に近 騒音 レベ ルに流体力学 的特性 を加味 して評価す る もの づ くためであ る. また,除塵 フ ィル タの所定の流量 . で,騒音性能の良否 を判断で きる. 圧力 を得 る条件 を考 える と,羽根車 出口角度が 900の BW2 09 0) が もっ とも高い圧力 を得 ることがで き 場合 ( K-S PL-10 1 0 g( QP, 2 )+2 ( 2) 090羽根車 は回転数 を もっ とも下 げ る こ とか ら,BW2 ここで,Ksは比騒音 レベル( dB) ,S PLは音圧 レベル( dB) , ることがで き有利 と考 え られる. Qは流量 ( m3/ S ), , は静圧 ( pa) であ る.比騒音 レベ ルKs p 図 3は騒音 お よび比騒音特性 をA特性 について示 し は流量の増加 とともにわずか に増加す る傾向が見 られ た ものであ る.騒音 ( SPL) 特僅 は, いず れの羽根 車 で る. これは,上述 の ように騒音 レベルは流量 で変化 し も流量 による変化が ほ とん ど見 られ ない.出口角度が ない ものの,図 2に示 した ように静圧が流量 の変化 に 9 0のBW2 090は他の 2つ よ り2 dBほ ど高 くなっている. よ り大 きく低下す るためである. また,羽根車 による これは,後述 の ように流 れが翼 か らは く離す る割合が 相違 を見 る と,BW2090羽根車が流量 に よらず もっ と 0 も大 きい レベ ル を示す.一方 ,BW293 9羽根 車 は全体 P 'tua s 的 に低 い レベ ルに保 たれている.BW2 039羽根 車 は, 流量が増加す るにつれて ,BW2 090とほほ同程度 まで ! 3tB9 0 39JnSS31d 高 くなっている. 以上の ことよ り,空力性能の面では前述の ように出 口角が大 きいBW20 90羽根車 の ほ うが良好 であ るが, 騒 音 の面 で はBW2 090羽根 車 は最 も悪 く,BW2 939羽 根車が もっ とも良好 な羽根車 となった. 0.3 5 4.2 羽根車の流動様相 0. 16 0. 17 0. 18 0. 19 Fl ow coef f i ci ent,Q 0. 2 図 4は羽根車 出口における絶対速度のスパ ン方向分 布 を示 している.いずれの羽根車 も前面 シュラウ ドへ Fi g. 2 Va ia r t i on oft h e pr e s s u r ec o e f f i c i e ntwi h t t he now c oe f f i c i e nt 向けて大 き くなる傾向が見 られる. また,出口角度が 900のBW2 090羽根 車 が スパ ン全体 にわた って大 き く なってい る. 出 口角度 が 同 じBW2 03 9とBW293 9羽根 車 はほ とん ど変 わ らない. 450. 17 0 .2 t, Fi g.3 V∬i a t i onort hes oun dpr e s s ur el e v e la n ds p ec i f i cnoi s el e ve lwi ht t hef low c o e f f i c i e nt 0. 5 S q V s 0 . 1 8 0.1 9 c o e f f i c i e nd 0. Fl o w A.倉3 0 7 9 Aa n t t O o ! Dad s aTa Jn SS1 3dp un at a S!u ^ A 1 6 している. この図 において も,いずれの羽根車 も前面 En JE 55 p P s x ' O 3T3 qp q pldS' 図 5は絶対速度の周方向成分のスパ ン方向分布 を示 〉 0 0. 2 0. 4 0. 6 0. 8 Spa nwi s epos i t i on,Z / h 1 Fi g. 4 Spa nwi s edi s t ib r ut i onoft hea bs ol ut eve l oc l t y 2 0 林 秀千人 ・児玉 好雄 ・荻野 和郎 シュラウ ドへ向けて大 きくなる傾向がある. また,羽 域で流動損失が大 きい. この ことは,後述の ように入 根 車 出 口角度が900のBW2090羽根車 は大 き く,他 の 口で衝突損失の大 きい流体が羽根 出口ではこの領域 に 2つ にはほ とん ど違いが見 られない. この ことか ら, 流 れて きてい る と考 える こ とが で きる. また,BW 羽根車出口角度が同 じ場合 には,すべ りがほぼ等 しく 2 090羽根車は仝スパ ンにわたって流動損失が大 きくなっ 理論ヘ ッ ド ( オイラーヘ ッ ド)はほ とん ど同 じである ている. これ らの ことか らBW2 090羽根車 は理論ヘ ッ と考 え らる. しか しなが ら,実際の羽根車 における圧 ドは出口角度が大 きいために,十分大 きくなる ものの 力上昇量 はBW2 939羽根 車 がBW2 03 9羽根 車 よ り大 き 損失 もか な り大 き くなっていること.一方,BW2 03 9 くなってお り ( 図 2),両者の損失 に大 きな違 いがあ 羽根車 とBW2 93 9羽根車 は理論へ ツが ほ とん ど変わ ら ることが予想 される. ない ものの,損失が前者で大 きいために実ヘ ッ ドに差 図 6は,理論圧力係数か ら実際の圧力係数 を差 し引 が出ていることがわかる. いた流動損失 』¢t のスパ ン方向分布 を示 している.い 図 7は出口偏差角のスパ ン方向分布 を示 している. ずれの羽根車 も後面 シュラウ ドか ら前面 シュラウ ドへ いずれの羽根車 も後面 シュラウ ド側で大 きく,前面 シュ 向けて流動損失が増加す る傾 向が見 られる. この こと ラウ ド-向か うにつれて次第に小 さ くなっていること は,羽根車出口では上述の ように前面 シュラウ ド側へ が わか る. また, 出 口角度が γ2 -39 のBW2939羽根 流れが偏 り,そこに低エ ネルギーの流体が集 中 してい 車 とBW2 039羽根車 は ともに, スパ ン高 さの60%程度 る ことを示す ものである. また,BW293 9羽根車 はス までは ∂2 が200程度であ り,前面 シュラウ ドでは 50 パ ン全体 にわたって もっ とも流動損失が小 さ く,BW 以下 とかな り翼 に沿 っている.一方,出口角度が900 2 039羽根車は後面 シュラウ ドか らスパ ン中央近 くの領 のBW2 090羽根 車 では後面 シュラウ ド側 で ∂2 が700程 0 度 とか な り大 き く,前面 シュラウ ド近 くで も350程度 体 にわたって流れは翼 に沿 ってお らず,広い後流が形 成 されている と考 え られる.す なわち,BW2 939羽根 車 とBW2 039羽根車 は ともに流 れは翼 に比較的沿 って 5 0 E nJZ n A. 倉3 0P^ td!P t出 ! である. したが って, この羽根車の場合 は,スパ ン全 お り,良好 な状態 となっている一方で,BW2090羽根 車では流れは翼か ら大 きく離れてお り, これが損失の 著 しい増加 を招 いている. 図 8は, 羽根 入 口角度 に よる異 聞流 れ- の影響 を y O 0. 2 0. 4 0. 6 0. 8 Spa nis w epos i t i on,I / h 1 TASCnowで数値 シ ミュ レー シ ョンした結 AEA社 cFX果である.図はスパ ン高 さの75%の断面 における相対. Fi g. 5 Spa nwi s edi s t ibut r ionoft het nge a nt i a lve l o c l t y C OmpOn e n t a) はBW293 9羽根車であるが, 速度の等高線である.図( V 負圧面側の後縁近傍 には く離 を示す低速領域が見 られ るが,それ以外 は全体 に良好 な流れ となっている.一 方,図( b) のBW2 03 9羽根車では,負圧両側の前縁近傍 、 P へp .at B u t !uo !td!^a 6 0 80 60 40 G 20 4 O tS a J d 0 .t u aO !tB a ODS Sa J r L S 0. 8 0. 2 0. 4 0. 6 0. 8 Spa nwi s epos i t i on, I / h 1 Fi g・ 6 Spa nwi s edi s t ibut r ionoft hepr e s s ur el os sc o e f f i c i e nt 一 一 一一 一 め - 0 . 2 2939 2039 2090 ・ r p m N - 1055 + B W ▲ -B W -1 -B W 一 t 、 ヽ ヽ 「L H ' ll 20 1 ) 0.2 0. 4 0. 6 0. 8 Spa nwi s epos i t i on,I / h 1 Fi g. 7 Spa nwi s edi s t ibut r i onoft hede vi a t i ona ngl e ス クロール レス遠心 フ アンの空力特性 と騒音 に関す る研 究 に低速領域が現 れてお り,負圧面倒 で は流 れが前縁 か らは く離 してい る こ とが わか る.設計 上 はBW2 03 9羽 21 E-7 T Bp /DW6 d z /( 2 4 00a言 ) ( 3) 根車の羽根 入 口角が流入条件 に合 っているのであるが, ここでβは動 翼枚 数 , βは空気 の密度 , βは後流 の幅 , 実際 には上述 の ように口金す きまか らの漏 れ流 れ に よ W は相対 速度 ,Zはスパ ン方 向距離 ,a o は音 速 であ る. 039羽根 車 は入 口 る影響 が か な り大 きい ため に ,BW2 本研 究 の フ アンの ように,吸込 み 口 と吐 出 し口が か 部分 で衝 突損失が発 生 してい る. これが,後縁 の とこ な り接 近 してい る場 合 は,音響 出力 Eと観測点 の音圧 ろでは流路 中央 あた りへ続 いてい るのであ る. pとは次 の ように関連付 け られ る. E= 47 r r 2 p l2 /(3pao c os2 0) 4.3 軽音 の周波数特性 図 9は騒音 の周波 数特性 を示 してい る.お よそ43 0 モ ー タの振動 に よる騒音 であ り,剛性 を高 め るこ とで 低 下 させ る こ とが で きる.周 波 数 が 2 0 0Hzか ら5( 氾Hz 付 近 に騒音 の中心が あ り,広 い周波数領域 にわた って なだ らか に分布 してい る ことが わか る. これが乱流騒 t mo 中p P^at am SSaldp Hzで いず れ の羽根 車 もピー クが見 られ るが , これ は 音 であ る. s 5.乱流簾書 の予測 送風機 か ら発 生す る乱流騒音 は,主流 に乱 れが ない 場合 は主 として羽根後縁 か ら放 出 され る渦 に起 因す る. この場合 ,音響 出力 は次式 で与 え られ る.(5ト ( 8) Fr e q ue nc yfHz Fi g・ 9 Sp ec t r l di a s t ibut r i onoft henoi s e SPE ED 2. ∝I OE+ 01 2. 660E◆ 01 2.520王◆ 01 2. 38OE◆ 01 uO ! 1 3 O J ! p lduOq Tt 2 3 0肖 2. 240E+ 01 2. 1 α】 E◆ 01 I. 湘 OE 十 01 1. 820E■ 01 I. 鎚 OE+ 01 I_ 54OE■ 01 1. 400E+ 01 1. 260E◆ OI 1. 1 2OE◆ 01 9. 800E◆ 0 8_ 4( X) E◆ 0 7. M E◆ 00 Fi g・ 8 Cont ourma po f也er e l a t i v eve l oc i t y( 75% s pa nl e ng血) 2 2 林 秀千人 ・児玉 好雄 ・荻野 和郎 ここで rは音源 と観測点間の距離で,本研究の場合 は 6.比騒音の入口角 と出口角による影響の評価 入口ノズル及びフィル タとマイクロフォンとの距離 を 比騒音 により羽根車の評価 をす る場合,相似則 によ 用いる.また βは音源 を中心 としてフアンの軸 中心 と 観測点 とのなす角であ り,本研究の場合は ooである. 3) から る と羽根車周速度 の影響 は,騒音 レベ ルの式( 6乗 に関係 している.一方,比騒音 レベルの中の流量 観測点の音圧 レベル と音響出力 との間には次式が成 と圧力の 2乗の項 は,式( 1 ) か らわか る ように速度 の り立つ. 5乗 に関係 している. したが って,羽根車が大型 にな SPL , =1 0l o g. 0 ( p -2 / p孟 ) ( 5 ) るか回転数が高 く周速度が増加すると比騒音 レベル も 増加 して騒音面では不利である.一方で,同一の周速 図 10は流量係 数 ≠=o・ 20にお ける騒音の予測値 と実 験値の比較 をしたものである.実験では,オーバーオー 度 となるように回転数 と寸法 を変化 させた場合 は,比 ルの騒音 レベルか ら430Hzの離散周波数騒音 を差 し引 圧力の 2乗の積の項 は,寸法の 2乗 に比例 している. いている.図 よりいずれの羽根車 において も,予測値 したが って,同一の周速度すなわち同 じ圧力 を得 る場 は実験値 と 3dB以内で よ く合 っていることがわかる. 合 には,小型で高回転数の もの よ り,大型で低 回転の 騒音 レベルの中の騒音は寸法 に比例 してお り,流量 と ものが,騒音面では有利であるといえる. この ような大 まかな走性 的評価 は従来か ら可能で羽 ( ; a n l ⋮ .A a E : 1s P s ta n , Dd e p 3 L no s p q 根車の設計で指針 となっていたのであるが,個 々の設 計パ ラメー タによる騒音-の影響 はよくわかっていな い.そ こで,流体力学的性能の評価 を 1次元流動解析 により行 ない( 7 ) ,上述の騒音予測の関係 を元 に,比騒 音 レベルの算 出をした.なお,口金す きまか らの漏れ 流れの影響 については,その予旋回成分 も考慮 し,そ の結果 を羽根車の入口角度 と出口角度 による性能への 2の設計流 影響 を評価 した・以下では流量係数は ≠=o・ 量 について示 した. 50 60 70 S o undpr e s s ur el e ve ldB ( me a s ur e d) Fi g.1 0 Co mp∬i s on ofpr e di c t e da nd me a s ur e ds ound pr es s u . r el e ve loft ur bul e ntnoi s e 図 11は羽根入口角 γ)と回転数による比騒音 レベル及 び静圧への影響 を示 している.縦軸は回転数,横軸 は 羽根入 口角, グラデー シ ョンは静圧ヘ ッ ド( mmAq)を 示 し,等高線 は比騒音 レベルである.なお,羽根 出口 角 は390とした.比騒音の曲線が折 れ曲が っているの は流れの前縁 は く離が正圧面で起 こる場合 と負圧面側 で起 こる場合の違いによるものである.図 より,静圧 P 03 0 2 3 0 4 0 I n l e ta ng l e,γI Fi g.ll Cont ourma p oft he s pe c i f i c noi s el e ve la nd s t a ic pr t es s ur e wi t hi nl e ta ngl ea nd r ot a t l ng s pe e d 0 0 0 0 3 2 1 O l r l トL r l l J H hL ︻ t E L d x ]N.e 8d誌 月召 OE a 月 玉 N.a Pad ︻ t x t d J ] 1 0 15 25 35 45 55 65 75 85 0u t l e ta ng l e, γ丑 2 Co nt ourma pofs pe c i f i cnoi s el e ve la ndpr es I Fi g・1 s ur ewi t hout l e ta ngl ea ndr ot a t i ons pe e d 23 ス クロール レス遠心 フアンの空力特性 と騒音 に関す る研 究 上昇量 は同一 回転数では羽根入口角度が小 さいほ うが ど高 い圧力 になっている.図 よ り,出口角が大 きくな 大 き くなることが わかる. また,比騒音 は回転数が小 るにつれて静圧 は大 き くなる傾 向にある.一方,入 口 さい ときには入 口角が大 きく,回転数の増加 とともに 角度 は設計 角度250付 近が もっ とも良好 であ るが, そ わずかではあるが,小 さい角度 に低 い レベルが続 いて れか ら大 き くなって も小 さ くなって もある程度 はなれ いるように見 える. この図 よ り, この羽根車の騒音面 る と急激 に静圧が低下す る.比騒音 レベルは入 口角度 での最適 な条件 は,入 口角が260で,1 000r pmにあ る. と出口角度 について最連 な ところが見 られる. また, この場合 の静圧 はお よそ 8mmAqであ り,羽根車 の設 静圧 とは同様 に出口角度 による変化 は小 さいが入口角 計条件 1 3mmAqよ りだいぶ低 くなっている.ただ, こ 度の変化 による影響 は大 き く出てい る.ただ,出口角 の図 による と比騒音 の変化 の傾 向は,回転数依存性が 度が3 0程度以下 になる と比騒音 レベ ルは著 しく増加 少 な く, 11 00叩m程度 まで上 げた場合 に静圧 の条件 は している. 滞足 し,比騒音 の レベ ル もあ ま り変化 しない ことが わ か る. 0 以上の ように,騒音 の予測式 を元 に準 1次元流力性 能評価 を用 いることで,羽根車の騒音面での性能評価 図1 2に羽根 出 口角 γ2 の変化 に よる比 騒音 レベ ル及 が可能であ り,設計す る上で非常 に有益 であ る. び静圧 の計算結果 を示す.縦軸 は回転数,横軸 は羽根 出口角, グラデー シ ョンは静圧 を示 し,等高線 は比騒 6.結 論 音 レベルである.静圧上昇量 は,羽根 出口角が小 さい ス クロール レス遠心送風機 の流体力学的特性 と騒音 場合 は回転数の変化 に鈍感 であるが,大 きくなる と回 の特性へ及 ぼす羽根 の入口角度 と出口角度 による影響 転数 に対 して敏感 になる傾 向が見 られる. また,出口 を調べ ,以下の結論 を得 た. 角の影響 は,回転数 とは逆 に出口角が小 さい場合 に敏 ( 1 ) 羽根車 の流入条件 に及ぼす 口金隙間か らの漏れ流 感 で,大 き くなる と鈍感 になる傾 向がある.一方比騒 れの影響 は大 き く,最適 な流入条件 は もれ流 れの予 音では, もっとも低い領域が出口角3 50か ら400にあ り, 旋 回 を考慮 して,従来 よ り大 き くす る必要がある. 回転 数が8 5 0r pmとな ってい る. この場 合静圧 ヘ ッ ド ( 2) 流体力学的特性 の面では,羽根 入口角度 は小 さい は 6mmAqとだいぶ低 く,設計条件 とは異 なっている. ほ うが良好 であ り,羽根車 出口角の影響 は,角度が また, 出口角度 が2 50以上 の領域 で は,入 口角度 と比 大 きいほ ど良好 であるが,本研 究の範囲では出口角 べ る と比騒音 の回転数,角度 による影響が小 さ くなっ が350を過 ぎる とかな り小 さい. ている. ( 3) 騒音面で良好 な羽根入 口角度 は,本研究の範囲で 図1 3は,羽根車入 口角度 と出口角度 に対す る比騒音 は2 0-3 00にあ り,回転数の増加 とともに角度が小 レベ ルお よび静圧 の計算結果 を示 している.縦軸 は入 さ くなる傾 向 にあ る. また, 出 口角度 も最適値 は 口角,横軸 は出口角である.等高線 は比騒音 レベ ルを 3 00-400にあ り,回転数の増加 とともに角度がわず グラデーシ ョンは静圧 の分布 である. なお静圧の分布 かに小 さ くなる傾 向 にある. は図1 1 お よび図1 2の参考 と同 じく,濃度が薄 くなるは 0 ( 4) 騒音面で見 た ときの入 口角度 と出口角度の相互の 影響 は入口角度の方が大 きい. 個 伯 37 31 25 柑 柑 7 1 欝p T ^ . Bu! t1 aTn l ( 5) 提案 したチ ャー トを評価す ることに よ り,最適の 設計条件が求 まるばか りでな く,各パ ラメー タによ る影響の程度 も明確 とな り,騒音設計 の有効 な手段 とな り得 ることがわか った. al 文 献 ( I ) F. S.Howe sa nd R. R.Re a l ,Noi s e Or igi n,Powe r O nd Spe a c t r aofDuc t e d Ce nt if r uga l Fa nS ,J .ASA. , 3 0, 71 4720( 1 958 ) 1 5 25 35 45 55 65 7 5 ( 2) T. F. W.Embl e t on,Expe ime r nt l St a udy of Noi s e 85 I nl e tang le, γ2 deg. Fi g.1 3 Con t ou rma p ofs pe c i f i cnoi s el e ve la ndpr e s I s ur ewi t hout l e ta ngl ea ndi nl e ta n gl e Re duc t i oni nCe nt if r uga lBl owe r s ,J .ASA. ,3 5, 7 00705( 1 963) ( 3) 森主意,多翼 フアンの騒音発生源,機論,575 43 B, 383738 4 4( 1 991 ) 2 4 林 秀千人 ・児玉 好雄 ・荻野 和郎 ( 4) 児玉好雄ほか 2名,多翼 ラジアルフアンの乱流騒 ( 6 ) 児玉好雄ほか 3名, イ ンデ ューサ付 き遠心 フ アン 昔の流量特性 とその音圧 レベル予測,ターボ機械, の空力特性 と騒音 に関す る研究,長崎大学工学部 2 5 2 ,6 5 7 2( 1 9 9 7 ) 研究報告 ,3 2 5 8 , 4 7 5 6( 2 02 ) ( 5) 児玉好雄ほか 3名,ス クロール レス遠心送風機の 乱 流 騒 音 につ い て,機 論 ,5 3 1 4 9 2 B,2 51 4 2 5 2 0 ( 1 98 7 ) . ( 7) 生井 ,井上, ターボ送風機 と圧縮機 , コロナ社, p1 9 3 1 2 2 2( 1 98 8 ) .