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1. Fermat の最小時間の原理に従って、光の屈折の法則を証明せよ。

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1. Fermat の最小時間の原理に従って、光の屈折の法則を証明せよ。
1. Fermat の最小時間の
最小時間の原理に
原理に従って、
って、光の屈折の
屈折の法則を
法則を証明せよ
証明せよ。
せよ。
(1-1):
:始めに
一般的に光とは可視光のことを指す場合が多い。可視光とは、波長λ が 400 nm から 700 nm 程度の電磁波である。λ が 400 nm よ
りも小さい電磁波は紫外線、X 線、およびγ 線などであり、λ が 700 nm よりも大きい電磁波は赤外線やマイクロ波である。マクロな物
体の大きさに比べて光の波長は十分に小さいため、光の量子性や波動性を無視することができる。そうすることで、光を線として扱う
ことができ、光の進路を幾何学的に扱うことができる。このように、光の進路を幾何学的に扱う分野を幾何光学
幾何光学(Geometrical
optics)
幾何光学
という。
幾何光学において基礎となる法則は、反射
反射の
反射の法則と屈折
法則 屈折の
屈折の法則の
法則 2 つである*1。この 2 つの法則を一般化した原理が Fermat の
原理(Fermat’s
principle)である*2。ここでは、Fermat の原理と屈折の法則について触れ、Fermat の原理から屈折の法則を導くことを
原理
目的とする。
(1-2):
:Fermat の原理とは
原理とは
Einstein の特殊相対論における光速度不変の原理によると、真空中における光の速さ、つまり光速は光源の運動状態に無関係に
一定となる。つまり、光速は常に一定の値を取るのである。光速の値は以下のとおりである。
c0 = 2.99792458×108 m/s
(1.1)
しかし、(1.1)式の値は真空中における光速であり、媒質中における光速は(1.1)式の値よりも小さくなる。ある媒質中における光速 c と
真空中における光速 c0 との割合を示す指標を絶対屈折率という。真空中とある媒質中における光速の割合を絶対屈折率というが、
一般に 2 つの媒質間の光速の割合を単に屈折率という。絶対屈折率を n とすると、n は以下の式で表される。
n=
c0
>1
c
(1.2)
別の言い方をすると、絶対屈折率 n を持つ媒質中での光速は、真空中における光速に比べて 1/n に小さくなるのである。例えば、水
の絶対屈折率は 1.33 であることが知られている。ゆえに、水中での光速は真空中での光速よりも 1/1.33 倍に小さくなるのである。
真空中では一定の値を持つ光速も、物質中ではその値が真空での値に比べて小さくなることがわかった。物質中を進む光につい
て、以下の Fermat の原理が成り立つ。
光が 1 点 A から出
から出て他の点 B に進むとき、
むとき、光は A から B に至る時間を
時間を最小にするような
最小にするような経路
にするような経路を
経路を取る。
*1 屈折の法則を Snell の法則(Snell’s law)という場合もある。
*2 タイトルにもあるように、Fermat の原理を Fermat の最小時間の原理という場合もある。このように呼ばれるのは、Fermat の原理の内容から明ら
かである。
Fermat の原理によると、A から B に進む光は、その経路を最小にするように進むのではなく、その時間を最小にするように進むの
である。
Fermat の原理をわかりやすくするために、次のようなシミュレーションを考える。まず、縦と横の長さが 2 の正方形の対角線上の点
を A および B とする。A 点を出発した光が B 点に到達する場合を考える(図 1.1)。図の上半分は真空、下半分は水とする。つまり、
真空中の A 点から出発した光が水中を通り B 点に到達する場合を考えるのである。仮に図の下半分も真空であるとしたならば、A 点
から B 点に至る時間が最小となる経路は、x2 点を通った場合、つまり A 点と B 点間を直進した場合である。しかし、水中での光速は
真空中での光速よりも遅くなるから、必ずしも x2 点を通った場合が最小時間となる経路ではないことは直感的に理解できる。ここでは、
真空中の光速 c0 を 1 とし、水中での光速 c を 1/1.33 とする。このとき、図 1.1 に示す経路 l1 および l2 を進むのに要する時間は真空中
と水中との境界における座標 x を変数として以下のように表すことができる。
l1 : t1 =
l2 : t2 =
12 + x 2
12 + x 2
=
= 1+ x 2
c0
1
12 + (2 − x )
c
2
(1.3)
12 + (2 − x )
12 + (2 − x )
2
=
= 1.33 1 + (2 − x )
c0
1
1.33
1.33
2
2
=
(1.4)
ゆえに、A 点から B 点まで光が到達するのにかかる時間 t(x)は以下のように表される。
t = t1 + t 2 = 1 + x 2 + 1.33 1 + (2 − x )
2
(1.5)
y
A
l1
2
0
x1
x2
x3
x
l2
B
2
図 1.1 真空中の A 点から出発した光が水中の B 点に到達するときの光の進路
(1.5)式における x を 0 から 2 まで 0.1 刻みで変化させたときにおける A 点から B 点まで光が到達するのにかかる時間 t(x)の変化
を以下の表 1.1 に、またそのグラフを図 1.2 に示す。
x
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
1.7
1.8
1.9
2.0
表1.1 x とt (x )の関係
t1
t2
1.00
2.97
1.00
2.86
1.02
2.74
1.04
2.62
1.08
2.51
1.12
2.40
1.17
2.29
1.22
2.18
1.28
2.08
1.35
1.98
1.41
1.88
1.49
1.79
1.56
1.70
1.64
1.62
1.72
1.55
1.80
1.49
1.89
1.43
1.97
1.39
2.06
1.36
2.15
1.34
2.24
1.33
t
3.97
3.86
3.76
3.67
3.59
3.52
3.45
3.40
3.36
3.32
3.30
3.28
3.27
3.26
3.27
3.29
3.32
3.36
3.42
3.48
3.57
4.0
3.9
3.8
t = t1 + t2
3.7
3.6
t が最小となる点
3.5
3.4
3.3
3.2
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2.0
x
図 1.2 t の x 依存性
図 1.2 のグラフから明らかなように、真空中の A 点から出発した光が水中を通り B 点に到達するとき、光が A 点と B 点間を最小時
間で進む経路は、x=1.3 付近を通る経路である。Fermat の原理によると、今考えている状況では、A 点から出発した光は必ず x=1.3
近傍を通り B 点に到達するのである。ただし、光が進む際に最小時間となるような経路を探しながら進路を決定しているわけではな
い。屈折の法則に従って進路を取ると、その進路が最小時間の進路になるということである。次にこの屈折の法則について説明す
る。
(1-3):
:屈折の
屈折の法則とは
法則とは
光が粒子であるのか、それとも波動であるのかについて、今から 300 年ほど前に大議論が巻き起こっていた*3。Newton は、光は交
差しても飛び散らずに互いに素通りするから波動であるとした。一方で Huygens は、物体に光が当たると影ができ、光の粒が物体に
遮られるから、光は粒子であるとした。光の屈折について、光の粒子説と波動説の両方において考えることにする。
最初に、光の粒子説について考える。粒子説における異なる媒質 1 および 2 の境界での光の屈折に関する図を図 1.3 に示す。光
の粒子説では、媒質境界の点 O において光の粒子が入射面に垂直な力を受けるため、光は屈折すると説明される。この説明では、
図 1.3 から明らかなように、媒質 1 での光速 c1 と媒質 2 での光速と c2 の関係は c1 < c2 となる。
次に、光の波動説について考える。波動説における異なる媒質境界での光の屈折に関する図を図 1.4 に示す。点線 AB は入射光
の波面である。同様に点線 CD は屈折光の波面である。波面 AB が順次境界面に到達し、その 2 次波の包絡面が波面 CD として進
む。媒質 1 での光速 c1 と媒質 2 での光速と c2 には以下の関係がある。
AC : BD = c1 : c2
(1.6)
ここで、図 1.4 に示す入射角θ1と屈折角θ2を用いると、 ∠ ABC=θ1、 ∠ BCD=θ2であるから、以下の関係が成り立つことが分かる。
BCsinθ1 = AC , BCsinθ2 = BD
(1.7)
A
θ1
O
c1
1
2
C
B
D
θ2
c2
図 1.3 光の粒子説による屈折
*3 この問題の解決は、前期量子論の登場まで待たなければならなかった。
図 1.4 光の波動説による屈折
1
2
(1.6)式と(1.7)式を用いて以下のように式変形をすると、
c1BD = c2AC → c1BCsinθ2 = c2BCsinθ1 → c1sinθ2 = c2sinθ1
(1.8)
媒質 1 に対する媒質 2 の屈折率 n12 は以下のように求められる。ただし、c1=c0/n1、c2=c0/n2 である。
n12 =
sin θ1 c1 n2
=
=
sin θ 2 c2 n1
(1.9)
(1.9)式が屈折
屈折の
屈折の法則である。
法則
θ1 >θ2では、sinθ1 > sinθ2 となるから、c1 > c2 となる。この結果は、粒子説における結果(c1 < c2)と逆になっていることが分かる。
媒質 1 を真空、媒質 2 を水とするとき、水中の光速が真空中の光速よりも小さくなることが実験的に証明されたとき、光は波動であ
るとされた*4。ゆえに、(1.9)式が光の屈折を表す式として採用されたのである。
(1-4):
:Fermat の原理と
原理と屈折の
屈折の法則との
法則との関係
との関係
以上で Fermat の原理と屈折の法則を示すことができた。ここでは、Fermat の原理から屈折の法則を導くことにする。そのために、
図 1.5 のような状況を考える。点 A から出た光が点 O を通り、点 B に到達する。点 A と点 B から媒質の境界面垂直に降ろした点を
点 A’と点 B’とする。また、AA’の距離を a、BB’の距離を b とする。ここで、媒質 1 の屈折率を n1、媒質 2 の屈折率を n2、媒質 1 に対
する媒質 2 の屈折率を n12 とする。これらには、以下の関係がある。
n12 =
n2
n1
(1.10)
A
a
θ1
O
B’
A’
θ2
1
2
b
B
図 1.5 媒質 1 および 2 における光の屈折
*4 1850 年の Foucault の実験による。
ここで、光学距離(Optical path length)を定義する。光学距離とは、空間的な距離にその媒質の屈折率をかけたものである。AO と
OB の光学距離の和 l は、入射角θ1と屈折角θ2を用いて以下のように表される。
l = AO + BO = n1
a
b
+ n2
cos θ 1
cos θ 2
(1.11)
また、距離 A’B’はθ1とθ2を用いて以下のように表される。
A' B' = a tan θ1 + b tan θ 2
(1.12)
ここで、Fermat の原理をもう一度示すと、「光が 1 点 A から出て他の点 B に進むとき、光は A から B に至る時間を最小にするよう
な経路を取る」である。真空中における光速を c0 とすると、屈折率 n の媒質中(光速を c とする)を光が l だけ進むのに要する時間は
l/c = nl/c0 となる。これは、真空中において光が nl だけ進むのに要する時間と等しい。nl は光学距離であるから、Fermat の原理は「光
は点 A と点 B 間の光学距離を最小にするような経路を取る」と言い換えることができる。ゆえに、(1.11)に示す光学距離を最小にする
ような場合を考えればよい。
(1.11)式をθ1で微分すると以下のようになる。
dl
sin θ1
sin θ 2 dθ 2
= −n1a
− n2b
dθ
cos 2 θ1
cos 2 θ 2 dθ1
(1.13)
光学距離が最小になるためには、(1.13)式が 0 となればよい。つまり、
n1a
sin θ1
sin θ 2 dθ 2
+ n2b
=0
cos2 θ1
cos 2 θ 2 dθ1
(1.14)
である。
(1.14)式を整理するために、(1.12)式の両辺をθ1で微分すると以下のようになる。ここで、距離 A’B’は定数となり、その微分は 0 で
ある。
0=a
1
1
dθ 2
+b
cos 2 θ1
cos 2 θ 2 dθ1
→
dθ 2
a cos 2 θ 2
=−
dθ1
b cos 2 θ1
(1.15)
(1.15)式を(1.14)式に代入すると以下のようになる。
0 = n1a
sin θ1
sin θ 2
+ n2b
2
cos θ1
cos 2 θ 2
 a cos 2 θ 2 
sin θ1
sin θ 2

−
 b cos2 θ  = n1a cos 2 θ − n2 a cos 2 θ
1 
1
1

→ n1 sin θ1 = n2 sin θ 2
(1.16)
以上より、媒質 1 に対する媒質 2 の屈折率 n12 は以下のように求められる。
n12 =
n 2 sin θ 1
=
n1 sin θ 2
(1.17)
(1.17)式は、(1.9)式に示す屈折の法則に一致していることが分かる。以上が、Fermat の原理から屈折の法則を導く過程である。
2.Fermat の最小時間の
に集まる
最小時間の原理に
原理に基づいて、
づいて、図 2.1 に示す点 P から出射
から出射された
出射された電磁波
された電磁波(
電磁波(光)が他の点 P’に
装置・
装置・部品を
部品を考案せよ
考案せよ。
せよ。
Q
P
P’
R
図 2.1 点 P から光を出射し、点 P’に集光させる。
点 P から出射した光を点 P’に集光させるような装置を考える。このとき、P→P’という経路は直線的であるが、P→Q→P’や P→R→
P’というような経路は直線的ではない。これら全ての経路で進んだ光も同時に P’点に到達するようにする。ここでは、以上を実現す
るような装置の部品についてそれぞれ説明し、最後にそれらを組み合わせた装置の説明をすることにする。
(2-1):
:凸レンズ
最初に、凸
凸レンズ(Convex
lens)について触れることにする。
レンズ
図 2.2 に、凸レンズに平行に入射した光の経路を示す。凸レンズに平行に入射した光は、レンズで屈折した後、入射側と反対側に
ある焦点
焦点(Focal
point)を通る。つまり、凸レンズに入射した光は焦点で 1 点に集まるのである。凸レンズの中心から焦点までの距離
焦点
を焦点距離(Focal length)という。
焦点距離
焦点
図 2.2 凸レンズの集光
ここで図 2.3 のように、x 軸上に凸レンズを置いた場合を考える。x1 と x2 は光の出発点 X1 と到達点 X2 の座標、f1 = f と f2 = -f は第
1 焦点 F1 と第 2 焦点 F2 の座標である。また、R1 と R2 はレンズの第 1 面と第 2 面が作る球の中心 C1 および C2 の座標である。
第1面
第2面
x
X1
(x1)
C2
(R2)
F1
(f)
F2
(-f)
C1
(R1)
X2
(x2)
図 2.3 x 座標軸上に置いた凸レンズ
レンズを作る物質の屈折率を n とすると、以下の関係が成り立つ。
 1
1
1
1
−
= (n − 1)
−
x1 x 2
 R 2 R1
 1
 =
 f
(2.1)
焦点距離 f は一定であるから X1 点から発せられた光の x 座標 x1 が分かると、その到達点 X2 の座標 x2 が求められる。x2 を x1 の関数
として表すと以下のようになる。
x 2 ( x1 ) =
fx1
f − x1
(2.2)
(2.2)式を用いることで、X1 点から発せられた光がどの位置に集光されるのかを計算することができる。ゆえに、この特性を生かし
て、凸レンズを、1 点に集まる光を別の 1 点に集める部品として用いることにする。
(2-2):
:光ファイバ
次に、光
光ファイバ(Optical
fiber)について触れることにする。
ファイバ
光ファイバとは、光が自由に行き来できるチューブである。光ファイバの優れた点は、非常に長い距離を低損失で、さらには曲がり
くねった経路でも光を伝達することができる点である。光ファイバの研究が本格化したのは 1970 年代に入ってからである*5。
光は光ファイバの中を、水道管の中を流れる水のように伝達するが、光ファイバに入射する全ての光が伝達できるわけではない。
光ファイバが光を伝達する根本的な原理は光の全反射である。ゆえに、光の全反射が起きる条件を満たす光のみが伝達されるので
ある。
*5 C.Kao は光ファイバの研究に関する先駆的な貢献により、2009 年にノーベル物理学賞を受賞している。
図 2.4 に光ファイバの基本的な構造を示す。光ファイバは、中心部に高屈折率の材料でできたコア(Core)と、その周りを覆う低屈
折率の材料でできたクラッド(Clad)によって作られている(実際には、クラッドの周りを保護樹脂が覆っている)。光は、コア内を全反
射して伝搬する。
クラッド:n1(低屈折率)
コア:n2(高屈折率)
全反射
数µm~数百µm
θ
図 2.4 光ファイバの構造
ここで、クラッドの屈折率を n1、コアの屈折率を n2 とする(n1 < n2)。この屈折率の違いにより、コア内で全反射が起こる。光ファイバ
への光の入射角度をθ とする。θ が大きすぎるとコア内の光は全反射せずにクラッドの方へ抜け出てしまう。コア内で全反射が起きる
θ の上限値は以下のように定義される。
θ = sin −1 n 22 − n12
(2.3)
θ 以下で入射した光のみが伝達されることになる。ここで、(2.3)式の両辺の sin を取ると以下のようになる。
sin θ = n 22 − n12 ≡ N.A.
(2.4)
ここで sinθ を開口数(Numerical aperture; N.A.)と定義する。光ファイバによって異なるが、開口数は 0.4~0.8 程度が一般的である。
光ファイバは光の長距離伝達に適しているため、この特性を生かして光ファイバを、光を伝達する部品として用いることにする。
(2-3):
:凹面鏡
図 2.5 のような凹面鏡を 2 枚張り合わせた装置を考える。
C
B
凹面鏡
A
図 2.5 A に置いた物体が B の位置にあるように見える
上部の凹面鏡の中心部分には穴が空いている。このとき、下部の凹面鏡の中心 A に物体を置いたとき、C の位置から穴を見ると、
その物体の像が 2 枚の凹面鏡の反射によって、穴が空いた B の位置にあるように見える。つまり、A 点の光を B 点に集めることがで
きるのである。
実際にこのような特性を生かした不思議グッズが「3D Mirror Scope Illusion Creator」という名前で商品化されている。図 2.6 は、A
の位置にカエルの人形を置いたときに、B の位置に現れるカエルの像を示したものである。この商品の面白いところは、B の位置に
明らかにカエルの人形があるにもかかわらず、それを手で掴もうとしても掴めないところである。
図 2.6 3D Mirror Scope Illusion Creator
http://www.amazon.com/3D-Mirror-Scope-Illusion-Cr
eator/dp/B001TFV4BE
話がそれたが、図 2.5 に示すような装置を、A 点の光を B 点に集光するような部品として用いることにする。
(2-4):
:考案装置
ここまで、凸レンズ、光ファイバ、および凹面鏡の特性や応用について述べた。これらを組み合わせた装置を考える。ここでの目的
は、図 2.1 に示す P 点から発せられた光が他の P’点に集まるような装置の考案である。考案した装置を図 2.7 に示す。
凹面鏡
凸レンズ
凸レンズ
光ファイバ
P
図 2.7 P 点から発せられた光を P’点に集光する装置
P’
P 点から発せられた光は、図 2.5 に示す凹面鏡を貼り合わせた部品を用いて、片側の凹面鏡の穴の空いた部分に集まる。その集
まった光を凸レンズを用いて集光し、光ファイバに伝達する。光ファイバ内を伝搬した光が凸レンズに入射され、凸レンズによって P’
点に集光される。
この装置の優れた点は、P 点と P’点の距離に依らない点である。なぜならば、凹面鏡と凸レンズの位置を正確に配置すれば、あと
は光ファイバの長さで自由に調整ができるからである。しかし、欠点も存在する。それは、光ファイバにおける光損失である。一般的
な光ファイバの損失は 10 km あたり 2~3 dB 程度である。入射光の強度を Ii、出射光の強度を Io とすると、損失αは以下の式で定義
される。
α = 10 log
Io
Ii
(2.5)
最後に、光ファイバにおける光損失の原因をいくつか示す。
・レイリー散乱
光ファイバ内を伝搬する光が、光ファイバを構成する材料の密度組成などの微小なゆらぎによって散乱することによって生じる損
失。
・吸収損失
光ファイバ内を伝搬する光が、光ファイバ内の不純物に吸収されることによって生じる損失。
・接続損失
光ファイバ同士を接続した際に、コア径や屈折率に違いがあった場合に生じる損失。
・マイクロベンディングクロス
光ファイバへの張力や側圧によって発生する凹凸によって光がコアの外に漏れてしまうことにより生じる損失。
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