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大腸癌術後フォローアップマニュアル
医療機関の皆様へ 大腸癌術後フォローアップマニュアル <はじめに> 大腸癌は日本では肺癌,胃癌に次いで 3 番目に多い癌ですが,増加傾向が著しく 2020 年 までには第 1 位になることが予想されています.また死亡率でみると,男性では肺癌,胃癌, 肝癌についで第 4 位ですが,女性では大腸癌が死亡率第 1 位となっております. 秋田県は胃癌に比較すると大腸癌の死亡率は低目ですが,厚生労働省が算出している平成 20 年度の大腸癌の全都道府県別標準化死亡比では,男性が 2 位,女性が 7 位となっており, やはり全国平均からみると多いと言わざるをえません. 秋田の癌死亡率の高さは,がん検診受診率の低さによるものと考えられます.しかし,当 院で行っている大腸がん検診を受けて要精査になった場合でも二次検診を受ける率がほぼ 50%しかいないという実態を鑑みると,草の根的な啓蒙活動が必要と考えられます. <Stage 別生存率> 大腸癌研究会全国登録による Stage 別生存率は以下のようになっております. Stage 5 年生存率(%) 0 94.3 I 90.6 II 81.2 IIIA 71.4 IIIB 56.0 IV 13.2 全 stage 69.9 <術後補助化学療法について> Stage III 症例に対しての術後補助化学療法として,UFT(ユーエフティー)+LV(ロイコ ボリン)と capecitabine(ゼローダ)が標準治療として用いられています. Stage II 症例に対する術後補助化学療法で有効性が証明されたものはありませんが,日本 で行った SACURA trial の結果の次第では UFT 内服が標準治療となる可能性があります. <再発形式,再発時期について> 大腸癌では肝転移再発が最も多く,次いで肺転移再発,局所・リンパ節再発の順となって おります.再発の時期は約 7 割が術後 2 年以内に再発するとされており,特に肝転移再発 はほぼ半数が 1 年以内に認められます.しかし Stage I, II の症例では術後かなりの期間を 経て再発を来たすことがあり,術後 5 年までは胸腹部 CT, 骨盤部 CT を含めた定期的な再 発検査が必要と考えられております. <術後フォローアップの方法> 1. 一般内科的診察 問診; 食欲は良好か,排便は良好か,体重減少は無いか,など 2. 定期検査 現時点では生存期間を延長させたというエビデンスはありませんが,以下に一般的な大腸 癌術後のフォローアッププログラムを挙げます. 術後 2 年まで Stage I Stage II, III 血液検査 3~6 ヶ月毎 3 ヶ月毎 腫瘍マーカー 6 ヶ月毎 3 ヶ月毎 腹部超音波 6 ヶ月毎 3~6 ヶ月毎 腹部CT 6 ヶ月~1 年毎 3~6 ヶ月毎 大腸内視鏡検査 1 年毎~ 1 年毎~ Stage I Stage II, III 血液検査 6~12 ヶ月毎 3~6 ヶ月毎 腫瘍マーカー 6~12 ヶ月毎 3~6 ヶ月毎 腹部超音波 1 年毎 6~12 ヶ月毎 腹部CT 1 年毎 6~12 ヶ月毎 大腸内視鏡検査 1 年毎~ 1 年毎~ 術後 3 年以降 5 年まで <二次癌について> 大腸癌術後の他臓器癌は,男性では肺,胃,肝臓,前立腺,食道で,女性では乳房,胃, 子宮,肺,胆嚢,肝臓に多いとされております. 病院で定期的に術後の検査を受けていることで全ての検査を施行されていると勘違いし, がん検診を受けない患者が多く見受けられます.定期的ながん検診の必要性を説明していた だきますようお願い申し上げます.