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さぴあ賞 テオの「ありがとう」ノート 自分自身に勝つために C・Sさん 6年 「生まれた時から僕は負けていた、 生まれながらに体が不自由で車いすのテオ。 はずれくじを引いたのだから。 」と語るテオ。 私の心の中にもそんなテオがいる。 私は今、中学校に向けての勉強に取り組んでいる。毎日毎日、山のような課題 に追われ、見たいテレビも見られないし、友達とも遊べない。父と母からは口う るさく「勉強しろ。 」と言われていやになる。そして成績は悪い。テストのたびに、 「何でできないんだろう。 」といら立ち、 「どうせ自分なんてだめだ。」と自信をな くし て い る 。 テオは、私と同じように落ちこんだり、くやしくて涙を流したりしながらも、 一人でできることを増やしていく。 「ありがとう」をもらい、「ありがとう」ノー トに書き留めることで自信をつけていく。スポーツのトレーニングで着替えに始 まり、腹筋にバーベル、バスケットをやりとげたテオは、 「体はヘトヘトなのに 気分はとてもリラックスしている。 」と言っている。この感じ、私にも何となく わかる。ひどい点数で返された算数のテストの解き直し。とことん取り組んでやっ とのことで正答にたどりつけたことがあった。 張りつめていた気持ちがほぐれて、ふわっと肩の力が抜けたあのしゅん間に似 ている。そうだ、私にもできるんだ。目の前にある一つひとつのことに、逃げな いでぶつかって積み重ねていけばいいんだ。 テオにとっての「ありがとう」ノートは、私にとったら、取り組んできたテキ ストやプリントなのかもしれない。たまればたまった分だけ、自信も積み重なっ ていくような気がする。 「自分自身に勝つってことは、どんな勝利よりも価値がある」と、テオのお父 さんはテオに言っている。残念ながら今の私には、この言葉の本当の意味は分か らないのだと思う。自分の弱さと向き合い、それにがむしゃらにぶつかって乗り 越えた時に初めてその意味が分かるような気がする。 言葉にするのは簡単だけど、とにかく今日から、今の今からやってみようと思 う。自分自身に勝つために、一つひとつのことに、全力で、前向きに。