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Title 副睾丸に発生せるAdenomatoid tumor Author(s) 百瀬

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Title 副睾丸に発生せるAdenomatoid tumor Author(s) 百瀬
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副睾丸に発生せるAdenomatoid tumor
百瀬, 剛一; 島崎, 淳; 片山, 喬
泌尿器科紀要 (1959), 5(12): 1234-1240
1959-12
http://hdl.handle.net/2433/111875
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
1234
泌尿 紀 要5巻12号'
昭和34年12月.
副 睾 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
千葉大学医学部皮膚泌尿器科教室(主 任 竹内 勝教授)
百
瀬
島
崎
淳
片
山
喬
Adenomatoid
GOichi
Tumor
MOMOSE, Jun
From the Department
剛
of
the
SHIMAZAKI and
of Dermato-Urology,
(Director
一
. Prof.
Epididymis
Takashi
KATAYAMA
School of Medicine,
Dr. Katsu
Chiba University
Takenouchi)
We reported a case of the tumor of left epididymis, histologically adenomatoid tumor.
50 year old male complained 9 painless swelling of left scrotal content, surgically treated.
In Japan, this is the 34th case of the
【1】
緒
tumor of epididymis,
副 畢 丸 腫 瘍 は 比 較 的 稀 有 な 疾 患 で あ り,現
在
清電 解 質 正常.
副畢 丸腫瘍 の診 断 の も とに3月20日 結 節 別 除 術 を施
行す
等 中 特 異 な 一 病 型 を 示 す``adenomatoidtum症 例 は僅 か5例
手 術 時所 見:静 脈 瘤,水 腫 等 を証 さず,白 膜 に も血
で あ り ・ 欧 米 で も約110
例 の 報 告 を み る の み で あ る.我kは
nomatoidtumorの1例
最 近ade-
を 経 験 した の で こ こ
に そ の 概 要 を 報 告 す る.
【皿】
症
管 蛇行 を見 ず,腫 瘍 は 左副 睾 文 頭部 に あ り,睾 丸 上極
とは密 接 し,そ の一 部 は睾 文 内 に 陥入 す る様 相 を 示す
が.白 膜そ の 他 との 癒 着は な い
よつ て 副畢 丸 よ り腫
瘍 を 一 部鋭 的 に剥 離 し腫瘍 の み を別 除 す.
別 出標本:碗 豆 大,略 々球 形 の 弾 力性 硬 の腫 瘍 で,
例
線 維 性 の外 被 に て被 わ れ てい る(第1図)割
秋 葉 某=50才 男 子,教 員
面は灰
白色 で輪 状 に 走 る線条 を見 る.
初 診:昭 和33年2月13日
組 織学 的所 見
腫瘍 は 主 と して紡 錘形 又 はpoly-
家族 歴;特 記 す べ き もの な し.
gona1の
既往 歴:特 記 す る ものな く,性 病 を 否定 し,又 陰 嚢
エ オ ジ ンに淡 染 し,核 は 明る く細 胞 の略 々 中 央 に 位
に 外傷 を 受 けた こ ともな い とい う.
す
現 病歴=数 ケ 月前 よ り左 陰 嚢 内腫 瘤 を 気付 い たが,
増 悪す る模 様 も ない の で 放置 し数 ケ 月後 来院 す
腫瘤
は 自発 痛 及 び圧 痛 もな い とい う.
現症:体 格,栄 養共 に 良好 の 男子
局 す る比 較 的平 滑 な碗豆 大 の 結 節 があ り,睾 丸 とは軽
度 に 癒着 す
細胞 よ りな り,細 胞 膜 は 明 らか で,原 形 質 は
叉 之等 多 くの 細胞 は 原形 質 内に大 小種 々の 空胞 を
認 め,一 部 の もの は 細胞 が 扁 平化 し 内皮様 にな り不規
則 な 管腔 状 配 列 を形 成 す る所 が あ る.し か し この 内腔
に は 赤血 球 等 は見 られ な い
胸 部 及び 腹 部 に
異 常 を認 め ず,左 陰嚢 内 を触 診す るに 副 畢丸 頭 部 に 限
体部 及び尾 部に は 異 常 な く,精 索 も正常
で あ る.右 側睾 文,副 睾 丸,精 索は 触 診 的 に異 常 が な
い
tumor.
血 清 梅 毒反 応 陰 性.赤 血 球沈 降速 度1時 間 値1.血
言
迄 の 本 邦 報 告 例 は 約30例 を 数 え る に 過 ぎ ず,之
or"の
6th of adenomatoid
前立 腺 は 年 令 相当 の変 化 で あ り,外 陰部 も正 常.
両 側 鼠険 部 及 び腸 骨 淋 巴 腺に 特 異 な腫 張 を認 め な い
又 内 皮様 細胞 と本 腫瘍 を
構 成 す る主 細 胞 で あ る含空 胞 細 胞 との移 行像 と見 倣 さ
れ る上 皮様 細 胞 に よ る管腔 形 成 を 示す 所 が あ る(第2
-4図)
診断'以 上 の所 見 は所 謂adenomatoidtumor又
はmesothelimaの
記 載 に一 致 す る組織 像 で あ る.
経 過:術 後 経 過 は順 調 で7日 後 退 院 した.約1年
を
経 過 した今 日,再 発 の兆 候 は な く健 康 で教 員生 活 に 従
百 瀬 ・島 崎 ・片 山 一 副 睾 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
事 し て い る.
1235
叉 淋 巴 球 の 小 浸 潤 の 存 在 す る こ と も本 腫 瘍 の
特 徴 で あ る とい う
【皿】 考
按
GoldenandAshfi〕
1)adellomatoidtumorに
就 て
卵 管 の 漿 膜 よ り発 生 せ る 腫 瘍15例
原 発 性 副 睾 丸 腫 瘍 はHinman&Gibson
(1924)1)が21例
son2),Scalfi,其
び
を 調 査 し,共
通 の 組 織 像 と し て線 維 性 間 質 と そ の 一 部 の ピ ア
を 蒐 集 し,良 性 ・
悪 性 を問 わ ず そ
の 稀 有 な る事 を 報 告 し て い る が,其
は 副 睾 丸,funics及
後Thomp-
リ ン化,結
げ,後
他 に よつ て 次 第 に そ の 症 例 が 追
合織 東 間 に存 在 す る腺様 構 造 とを あ
者 を 構 成 す る細 胞 はcuboida1よ
columnarで
りlow--
之 等 が 束 状 配 列 よ り,拡
張 した
加 さ れ て い る.然 し そ の 過 半 数 を 占 め るadeno-
腺 腔 様 を呈 す る もの に い た る まで種 ・
セの 移 行 型
matoidtumorは,そ
が 見 られ る こ と を 述 べ て い る.更
の 病 像 の 複 雑 な こ と か ら,
従 来 各 観 察 者 の 主 観 に よ り種 女 の 名 称 が 附 され
て お り,例
え ばDixonandMoore3)に
依れば
に之 等 の 所見
に 基 い て 腫 瘍 の部 分 を``solidcord-like",
``microfollicular"
,``macrofollicular',,の
adenofibroma,adnofibromyoma,adenoma,
形 に 分 け て い る.腫
adenomyoma,angiomatoidtumor,diffuse
し,脂 肪 陰 性,粘
lymphangioendothelioma,fibroma,lymp-
含 ま ない
hadenoma,1ymphangioma,mesothelioma,
す る 像 を 確 認 し,内
mixedtumor,nephrogenicadenoma等
オ ジ ン で 染 色 す る 物 質 を 欠 く と い う.空
称 せ られ,叉
と
本 腫 瘍 は元 来 良 性 な もの で あ るに
拘 らずadenocarcinomaと
の も あ る.然
して報 告 され た も
し な が ら,Evalls4),Goldenand
Ashs).Longoetal6)等
tumorな
は上 記 名 称 に よ
こ にadenomatoid
更 に 空 胞 の 癒 合 に よつ て 腺 腔 を 形 成
腔 に は ヘ マ トキ シ リ ン.エ
た な い 柱 状 の 細 胞 は 徴 粒 子 様,酸
質 と球 状 ∼ 楕 円 状,ク
た.'
生 した4例,副
の 類 似 す る 腫 瘍 を 報 じ,且
丈 献 よ り之 等 に 酷 似 す る8例
に こ の8例
は 之 に 接 して 発
睾 丸 下 極 鞘 膜 の 内 葉級 襲 に 発生
した1例,計5例
を 集 め た.ち
慢 性 炎 症 像 は 全 く無 い.
以 上 の 組 織 所 見 よ り本 腫 瘍 は 上 皮 性 で は あ る
tumor"な
る 名 称 を 与 え た.即
つ
な み
はadenoma(benign),adenoca-
もの で あ る とい う
以 上Evans並
にGoldenandAshの
た 組 織 像 は 本 質 的 に 同 一 で あ り,こ
され た 名 称 で 報 告 さ れ て い る.
等 腫 瘍 の 発 育 は 緩 慢 で,大
睾 丸 尾 部,又
て 存 在 す る も の で あ る.臨
別 出 が 可 能 で あ る.時
き・さ も 小 さ
は 之 に近接 し
床経過は良性でその
に陰 嚢 水 腫 を合 併 す る こ
と も あ る.
どadenomatoidtumorな
はmesothelialの
腺 様 構 造 で あ る.
る統 一
我 汝 の症 例 の 組 織 像 もEvans,Goldenand
Ash等
の 記 載 と 全 く同 様 で あ り,酸
原 形 質 と,ク
シ好 性 の
ロマ チ ン に 富 み 核 膜 は 明 瞭,核
小
体 を 有 す る 単 一 の 核 よ り成 る 細 胞 が 種 女 の 大 き
さ の 空 胞 を 含 有 す る.之
組 織 学 的 特 徴 は 一 見 上 皮 性 を 思 わ すelldothelia1又
後
之 に類 似 組 織 像 を呈 す る腫 瘍 の報 告 が増 加 して
い る が,殆
く、 被 膜 を 有 し,副
記 し
こに本 腫 瘍
の 本 態 が 確 立 す る に い た つ た も の で あ る.以
ha且gioma等
の名 称 で 報 告 され て い た もの で あ
ち この名 称 は あ
生 学 的 意義 は欠 く
rcinoma,lymphallgioma,cavernouslymp-
る.之
シ好 性 の 原 形
ロマ チ ン に=豊 む 核 を 有
くま で 形 態 学 的 の も の で,発
副 睾 丸 の 内 部,叉
胞 を持
が 真 の 起 原 は 不 明 で あ る と し,``adenomatoid
る名 称 で よ ぱ れ る一 腫 瘍 が 確 立 さ れ
Evans4)は
リコ ー ゲ ン も
し,問 質 に は 時 に 滑 平 筋 束 を 証 す る 事 も あ る が
つ て報 告 され た 諸症 例 に は病 理 組 織 学 的 に 共
通 点 の あ る 事 を 見 出 し,こ
瘍 細 胞 は大 部 分 が 空 胞 を有
液 染 色 陰 性,ガ
等 細 胞 は 束状 配 列 よ り
空 胞 癒 合 に よ る腺 腔 形 成 を い と な む も の が 見 ら
れ,既 に 腺 様 構 造 を 示 す 部 分 の 細 胞 はcuboidal
細 胞 は 種 々 の 大 さ の 空 胞 を 有 し,siglletring
叉 は 扁 平 と な つ て い た.空
胞 及 び腺 内 腔 に は染
様 とな り,こ
色 性 の 物 質 は 証 され な い
腫 瘍 を 構 成 す る細 胞
る.
の 空 胞 が腺 腔 を形 成 す る もの で あ
群 を か こ み 線 維 性 の 間 質 が 増 加 し,被
膜様 とな
1236
百 瀬 ・島 崎 ・片 山 一 副 睾 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
る も滑 平 筋 束 は 証 明 され ず,叉
淋 巴球 の浸 潤 も
欠 い て い た.
そ の 後 に於 け る 副 睾 丸 腫 瘍 の 報 告 を 見 る に 藤
Longo,McDonaldandThompson6)は
献 よ り 原 発 性 副 畢 丸 腫 瘍134例
良 性 腫 瘍 は98例(74%)悪
い
ち134例
中
全 体 の53%
を 観 察 す る と,21才
∼78才(平
均41.5
訴 は副 睾 丸部 腫張 で
痛 を 訴 え た も の は 僅 か4例
腫 瘍 は 概 し て 直 径2.5cm以
り.発
上 出26)(平
床 及 び 病 理 学 的 に 明 確 に し得 た 本
発 見 され て い る.主
あ り,疹
に
性 腫 瘍 は36例(26%)
で あ り,adellomatoidtumorは
才)に
沢 ・森 島24)(癌),坂
を 含 む19例 の 自験
例 を 追 加 し統 計 的 観 察 を 行 つ た.即
腫 瘍55例
丈
を 蒐 集,之
adenomatoidtumor17例
を 占 め た.臨
べ て い る.
に す ぎ な
下 の もの で あ
生 部 位 は 副 睾 丸 尾 部 に 最 も 多 く,次
頭 部 とな つ て お り,左
す る と い う.再 発,転
側 は 右 側 の 約2倍
いで
腫),峰30)(平
腫,た
越 ・岩 村zg)(横 紋 筋
だL原
発 性 か 続 発 性 か 不 明),中 野 ・峰32,
各1例),平
田 ・篠33)(腺
田 等34)(癌)等
matoidtumorと
癌 及 び 細網 肉腫
で あ る が.adeno-
して の報 告 は な い
即 ち現
在 迄 本 邦 原 発 性 副睾 丸 腫瘍 の報 告 は 著 者例 を含
め34例 と な り,adellomatoidtumorは6例
で あ る(第1表).
第1表
本邦原発性副睾文腫瘍報告例
○ 良 性adenomatoidtumor6(坂
原 田2ω,南
上 出26)一
osell),Sundarasivarao12)(6例),Cameron13,,Duffyi4⊃,NegriandSmorlesii4),Myiusls}(5例),Wentzelli6)(2例),Mori1117)
○悪 性
川 井 等27,tt3,峰80}e・4,中
(西 本38))
1
(原 田39))
横 絞 筋 腫
1
(大 越 ・岩 村29))
炎 性偽 腫瘍
1
肉 腫8横
等丈 献
癌7(坂
る名 称
腫(重
松28))
等,原
口44)一笹 野,佐
発 性?3P)
藤45〕一 大 場.藤 沢
・森 島24}一 平 田 等34}・ 津 田 ・篠33)
条46})
Seminoma1(重
註1.炎
に本 邦 副 睾 丸 腫 瘍症 例 を検 した
して
松28)註5)
性偽 腫瘍 か否 か 不 明 とし てい る
2.炎
性 偽腫 瘍
3.炎
性 偽腫 瘍
報 告 さ れ て い る が,Longo等
の指 摘 す る如 く
4,Leiomyofibromaで
adenomatoidtumorの
で あ る と い う),
5,原
し て 報 告)の
浪 ・原 田)
口 ・大 矢 ・勝 又43).津
悪 性 リン パ 腫(南
崎 形 腫1(中
中 村23}(Lymphangiomaと
原 梱)
田 ・as33))
肉
の 下 に 初 め て 本 腫 瘍 を 紹 介 し た の は 原 田20)で あ
第1例
野4P一 坂 口 ・堀 江25》)
紡 錘 形 細 胞 肉 腫(岩
に 達 す る と思 わ れ る.
口22)(本 症 例 はadenomyomaと
(高 安 ・笹 川40〕)
紋 筋 肉 腫(平
細 網 肉 腫(溝
最 近 南 等2Dは 本 腫 瘍 に 対 す る 総 説 及 び 自 験2
・峰S2))
1
円 形 細 胞 肉 腫(藤
ろ う.
野
Basalioma
は最 近 に報 告 され た症
本 邦 に於 てadenomatoidtumorな
山36)鎚,
Papi110ma
症 例 が あ り,叉 最 近Falkinburg,
例 の総 数 は 現 在 ま で114例
・伊 藤35)註1.松
(野 間37))
に 当 る),Curtissand
例 を 蒐 集 し 自験'2例 を 追 加 し て い る.之
村23).
著 者 等)
1
の 白人 に 再 側 性 発 生 を み た も
PaparoandLiangi9》
葉
リン パ 管 腫
rgan9),LazarusandFriedmanio,,Ambr-
の で 両 側 例 の 第1例
口22).中
等(2)21)一
平 滑 筋 腫6(稲
して
andSchwartz8)(2例),RappoportandMo-
結 果,坂
性淋巴
移 を 示 した も の は な い,要
以 来adenomatoidtumorと
例 を 紹 介 し,更
滑 筋 腫,た
松28)(肉 腫 及
滑 筋 線 維 腫),南ag31}(悪
(平 滑 筋 腫),津
の 報 告 は,FalkandKr・onwaler7》,Meeter
Hock18)の
井ag27)(平
びsemilloma各1例),大
先 褐 の 如 く我 汝 の 症 例 も例 外 で は な い
(本 症 例 は48才
滑 筋 腫),川
だ し 同氏 等 は 炎 性 偽 腫 瘍 と す),重
に 発現
す る に 本 腫 瘍 は 良 性 の 病 像 を 示 す も の で あ り,
Longo等
口 ・堀 江25)(横 絞 筋 肉 腫),
あ るが この項 に 編 入
発 性 か否 か の 記載 な し
症例
も本 腫 瘍 で あ る と し,之
に 自験2例
を加 へ本 邦
2)原
adenomatoidtumorの
報 告 は5例
です る と述
副 睾 丸 に も良 性 及 び 悪性 の各 種 腫 瘍 が 発 生 す
発 性 副 睾 丸 腫 瘍 の分 類 に就 て
百 瀬 ・島 崎 ・片 山 一 副 睾 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
睾 丸 腫 瘍 は比 較 的稀 な た め 同一 人 が 多
inomaの
数 を 経 験 す る 事 が な く,又 諸 家 が 主 観 に 基 い て
る が,副
皿Thompsonの
そ の 病 名 を 附 す る た め,正
皿.炎
確 な分 類 は行 い 難 い
様 で あ る.
(1926)の
発 生 学 的 分 類 に 始 ま る種kの
行 わ れ て い る が,例
腺 癌2}
性 偽 腫 瘍 と筋 腫 及 びadenomatiod
分類が
え ばCampbel148}は
次の
報告例な しとして
い る が,本
邦 で はrapilloma及
aliomaの
症 例 が あ る.
びbas-
腺 癌 と し て 報 告 し た 症 例 は,
tumorで
後 が 良 好 で あ り,adenomatiod
あ る と い うの が 現 在 一 般 の 見解 で あ
る.
3)炎
2.Mesoblastic:
性 偽 腫瘍 に就 て
Rubaschowは
肪 腫,2例,Wildbolz(1914)及
び
Fritzler(1925)
筋 腫 をWofi氏
体迷芽 より
発 生 し た も の と考 え,``Heterotope,ausEmbryonalrestellStammendeTumoren"と
維腫
う範i壽 に 含 め た が,そ
(c)Myxoma報
等 は 何 れ もad-
解ヨ
月す る上 に 重 要 な 点 で
あ ろ う.
そ の 経 過,予
皮 性:Campbellに
(b)線
enomatoidbimorを
Thompsonが
性
(a)脂
の 関 係.
以 上 に 就 て 論 じ て い る が,之
如 く分 類 し て い る.
1.上
異 同.
tumorと
副 睾 丸 腫 瘍 は 従 来 古 典 的 なRubaschow47}
A.良
1237
告例 なし
(1931)は
(d)Leiomyoma
の 後Oberndorfer50)
胎 生 的 の も の の 外 に 炎 症 に 基 づ く二
次 的 腫 瘍 の存 在 を 主 張 し た.即
(e)vasculartumors(血
管 腫 及 び リン
パ 管 腫)
い
の 出 血,又
ち慢 性 副 睾 丸炎
は 滲 出物 の器 質 化 に伴 い増 殖 性 機 転
に よ つ て 生 じ た も の で あ り,組 織 学 的 に は 硝 子
(f)Mesothelioma叉
はadenomatoid
様 の 割 合 に核 の 少 い 結 合 織 と 共 に 平 滑 筋 線 維 の
tumor
増 加 が 強 くみ られ る も の を 指 し,之
(9)Cholesteatoma3例
の 報 告例 あ る の
み
瘍 と呼 ん だ の で あ る.更
を 炎 性 偽腫
に坂 口症 例 を 平 滑 筋 線
維 が 種 々 の 方 向 に 不 規 則 に 乱 れ 交 叉 す る こ と,
3.Heterologoustumors:
そ の 間 に結 合 織 が 多 く見 ら れ る こ と 等 の 理 由 か
(a)cysticdermoid.1{列
ら炎 性 偽 腫 瘍 と見 徹 し た.松
山36)は 炎 性 偽 腫 瘍
(b)cysticembryoma1例
の 特 徴 は 副 睾 丸 炎 の 既 往(松
山 症 例 で は 外 傷),
B.悪
性
平 滑 筋 線 維 束 の 走 行 が 不 規 則 で あ る こ と,筋
1.
上 皮 性:癌
2.
Mesoblastic:肉
黒 色 一,紡
3.
間 の 結 合 織 増 殖 が 多 い こ と を あ げ,自
腫(リ
ン パ ー,軟
又Herbut49〕
あ り,1)上
続 発 し た か,肉
り(Dermoidcyste及
状 繊 細 胞 性,5)転
nomatoidtumorは
含 む)
の 組 織 学 的 分 類 も大 体 同 様 で
皮 性,2)中
等 の 観 点 よ り炎 性 偽 腫 瘍 と結 論 し て い る.
然 し 乍 ら炎 性 偽 腫 瘍 な る も の が 真 の 炎 症 後 に
Heterologoustumors;
Teratoma(Seminomaを
4)網
骨 一,
錘 細 胞 一,等)
胚 葉 性,3)胎
びteratomaを
移1性,と
東
験 例 を之
生組 織 よ
含 め る),
分 類 し,ade-
上 皮 性 腫 瘍 に 包 括 され て
い る.
芽 腫 と の混 在 を 見 な い理 由等 に
深 い 疑 義 が 持 た れ る所 で あ り,今
俵検 討 の 余 地
があろ う
炎 性 偽 腫 瘍 の 確 立 後adenomatoidtumor
の 報 告 は 増 加 し,本
腫 瘍 には 線 維 筋 性 の 要
素 が 或 る 程 度 介 在 す る こ と が 確 認 さ れ,時
に は 之 が 主 成 分 を な す も の も あ り,斯
様 な
症 例 では 炎 性 偽腫 瘍 との 鑑 別 は 困 難 で あ ろ
溝P等43)は
副睾 丸 腫瘍 の分 類 上 の 問題 と して
LMesothelioma,Adenomatoidtumor,
Leiomyolymphangioma,Adenocarc一
う.然
し乍 ら 多 くの 学 者 が 真 性 腫 瘍 と 見 徹 す
adenomatoidtumorと
な る も の で あ り,更
炎 性 偽 腫 瘍 とは 全 く異
にheterotopeの
筋 種(真
1238
百 瀬 ・島 崎 ・片 山 一 副 睾 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
性 腫 瘍)と
の 鑑 別 に は か な り慎 重 を 要 す る も の
が あ ろ う.
4)adenomatoidtumorの
病 因
発 展 す る部 位 よ り発 生 し,更
本 症 の組 織 像 に よ る内 皮 説 は既 に古 典 的 の も
の と な り,Thompson2)の
腺 癌 と い う概 念 か
ら の 上 皮 説 も 同 様 で あ る.Evans41は
tunicavaginalisの
の を 示 し,又
漿 膜 面 と直 接 関 係 あ る も
の が 観 察 され る こ と に よ り,本
称 を 与 え,且
腫 瘍 のmeso-
推 測 し,mesotheliomaな
本
つ 之等 腫 瘍 が 男 女 性器 と関 係 あ る
考
在 一 般 に 本 学 説 も 否 定 され る に い た つ
た と は い え,Ambroseii)(1953)は
腫瘍細胞 と
漿 膜 細 胞 と の 連 続 性 を 証 明 し,本
othelialoriginを
mesotheliomaは
腫
瘍 はMesonephrosの
滑
碕 形 腫 と推 測 し,平
筋 を 含 む こ と は 之 を よ く説 明 す る も の と 述 べ て
い る.
生 す る こ と,2)腫
定 の部 位 に発
瘍 の 若 干 は 疑 も な く上 皮 性
構 造 を 示 し,3)appendixtestisの
そ れ と類
組 織 に 空 胞 よ り管 腔 構 造 の み ら
れ る こ と の 諸 点 よ りMttllerianoriginを
主張
し た.
以 上 の如 く本 腫 瘍 は 現 在WoH氏
管,Mttller
氏 管 等 の 胎 生 期 組 織 に 由 来 す る も の と推 測 され
腫 瘍 のmes-
強 調 し て い る.
GoldenandAshS}は
血 管 及 びwo匠
氏 管 に 関 連 あ る 管 腔 の 存 在 す る 事 に 鑑 み,本
似 のMttller氏
特 別 な 部 位 のpotentialitiesを
にseconddefin-
itiveembryologickidlleyに
Sundarasivarao12)は,1)一
る名
生 期 のurogenitalridgeのmes-
otheliumの
え た.現
本腫瘍の
子 宮 及 び 卵 管 漿 膜 面 に も類 似 の も
thelialorigil1を
事 よ り,胎
Longo,McDonaldandThompsone)は
腫 瘍 が 男 女 と もmesonephrogenicelementの
て い る が 何 れ も未 だ 臆 測 の 域 を 脱 し な い.叉
腹 膜 や 肋膜 に発 生 す る
本 腫 瘍 に特 徴 的 な 空 胞 形 成 及
FalkandKonwalerは
enomatoidの
自 験 例 に 定 型 的 なad-
部 位 の 外 に 炎 症 性 変 化 を 認 め,
び 腺 様 配 列 を 訣 き.特 に 炎 症 時 のmesothelium
炎 症 後 発 生 説 を 述 べ て い る が,今
増 殖 に於 て も 内 腔 形 成 を 示 さ ず,更
き 問 題 で あ ろ う.
にEvans
の 述 べ る が 如 き漿 膜 面 と の 関 連 を 証 明 し得 な か
後 検 討 さるべ
我 女 の 症 例 に 於 て もmesothelialoriginは
つ た 等 の 諸 点 よ り本 腫 瘍 のmesothelialorigin
一 応 否 定 し 得 た も の の ,遺 憾 乍 ら そ の 発 生 を 解
に 反 対 し,そ
明 す べ き何 物 も得 られ な か つ た.
の 名 称 をadellomatoidtumorと
附 し,``morphologicallycorrectandgene-
5)治
ticallyneutral"と
本 腫 瘍 は 全 て 良 性 で あ り,我
DixonandMoore3⊃
述 べ てい る。
も,1)肋
膜 及 び 腹膜 よ
り生 じ た 多 くの 腫 瘍 は 悪 性 で あ る.2)そ
mesotheliomaに
れ等
血 管 腫様 像 を見 る こ とは稀 で
あ る.3)adenomatoidtumor40例
にmes-
otheliumの
増 殖 は 本 腫 瘍 と形 を 全 く異 に す る.
症 後 のmes-
我 々 の 症 例 に於 て も 漿 膜 面 と の直 接 の 関 連 は
に 病 理 学 教 室 の好 意 に よ り貸 与 さ
の 腹 膜 よ り発 生 し,全
し たmesotheliomaの
で あ る が,後
身 に 転 移,死
亡
標 本 と比 較 検 討 し ☆ の
者 には 何 れ の 部位 に も空胞 を有 す
る 細 胞 は な く,主 変 化 は 乳 頭 腫 様 で あ り,管
様 の 変 化 を 欠 い て お り,adellomatoidtumor
と は か な り異 つ た 病 像 を 示 し た(第5図).
あ る.然
し 本 腫 瘍 は 時 に 手 術 時 癌 と 誤 り,叉
は
腫
除標本の
組 織 学 的 検 査 を 施 行 す べ き 事 は 当 然 で あ ろ う.
駁 を
加 え て い る.
れ た1例
1年 有 余 を 経 過 し た 今 日健 在 で 就 業 中 で あ る.
従 つ て 治 療 は 当 然 単 純 な る 腫 瘍 摘 出術 で 十 分 で
で(LazarusandFriedmanlo))別
の 関 連 は な い.4)炎
認 め 難 く,更
丸 の 症 例 も術 後
手 術 の 凍 結 切 片 で 癌 と誤 診 さ れ る こ と も あ る の
otheliumと
等 の 諸 点 を あ げ,mesothelialoriginに
療 及 び予 後
〔rv】 結
語
50才 男 子 に 発 生 し たadenomatoidtumorの
1例 を 経 験 し,そ
腫 瘍 の 病 因,病
の 症 例 を 紹 介 す る と 共 に,本
理 等 に就 て塾 か の 考 按 を 加 え
た.
欄筆 に 当 り御 校 閲 下 された 竹 内教 援 並 に 組 織 標 本 に
つ き御 教 示頂 いた 病 理 学 滝 沢教 授,更 に貴 重 な 標 本 を
貸 与 され た 病 理 学教 室 に 深 謝す 。
本論 文 の 要 旨 は 日本 泌 尿器 科 学 会 第231回 凍 京 地 方
会 で発 表 した.
百 瀬 ・島 崎 ・片 山 一 副 畢 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
献
文
'1)Hi
nmanandGibson:Arch.Surg.,8:
1239
21)南
等:臨
22)坂
口:FrankfurtZtschr.f.Path,18
皮 泌,10:100,昭31.
379,1916.
100,1924.
:2)Thompson:Surg.Gynec.&Obst.,62
712,1936.
.3)DixonandMoQre:TumorsoftheMale
SexOtgans,p127,ArmedFolcesInstit.
Path.,Washington,1952.
.4)EvansAm.」.Path.,19461,1943;」.
Urol.,50:249,1943.
23)中
村=京
都 府 医 誌,26=648,昭14.
24)藤
沢
25)坂
口 ・堀 江:臨
・森 島=臨
26)上
出:日
皮 泌,10:621,昭31.
皮 泌,9:601,昭30.
泌 誌,46:592,昭30.
27)川
井 等:日
28)重
松:皮
29)大
越
泌 誌,46:219,昭30.
と 泌,18:574,昭31.
・岩 村:日
30)峰:日
泌 誌,47:414,昭31.
泌 誌,47:416,昭31.
5)Golden&AshAm.J.Path.,21:63,
31)南
等:日
32)中
野
・峰:日
泌 誌,48:303,昭32.
泌 誌,48:304,昭32.
33)津
田
・篠:医
療,11:988,昭32.
34)平
田 等=日
35)稲
葉
・伊 藤=臨
36)松
山
・ 日 泌 誌,42:253,昭26.
37)野
間:臨
38)西
本:皮
と 泌,10:91,昭17.
39)原
田'日
泌 誌,41・150,昭22.
40)高
安
41)平
野:皮
尿 誌,18:538,大
42)岩
原:日
外 誌,32:355,昭6.
43)溝
口 等:日
44)坂
口
1945.
・6)Longoeta1
.:JAMA.,147:937,1951.
7)Falk&Kronwaler:J.Urol.,66:603,
泌 誌,49:1200,昭33.
1951.
.8)Meeter&Schwartz:U.S,ArmedFor-
皮 泌,8=59,昭18.
cesMed.J.,2:1815,1951.
皮 泌,3:22,昭24.
9)Rappoport&MQ■ganSurgery.,33:7
37,1953.
』10)L
azarus&FriedmanJ。UroL,71:37
・笹 川
一 日 泌 誌41:76,昭21.
9,1954.
11)Ambrose:J.Urol,,70:110,1953.
正7
12)Sundaτasivalao:J.Path.Bact,,66
417,1953.Willis.PathologyofTumours,
p.579,Butterworth&Co.London,1953.
1953.
14)FalkinburgetaL
45)佐
藤:癌,25:341,昭7
46)中
条:体
性,25:92,昭13.
47)Rubaschow:Ztschr.f.Ulol.Chirur.,19
-15)M
ylius:Actachir.Scandinav.,104
:218,1926.
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田:日
正6,6:47,大
6.
13)CameronJ.Path.&Bact.,66:417,
20)原
泌 誌,47:315,昭31.
日 泌 誌,6:36,大
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VI/3,p.813,JuliusSpringer,Berlin,1931.
泌 誌,41=150,昭25。
正
1240
百 瀬 ・島 崎 ・片1⊥1一副 睾 丸 に 発 生 せ るAdenomatoidtumor
、
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第4図
ダ「r
第1図
別
出
標
本
完 成 せ る ものは 内 皮細 胞状,
及 び 腺細 胞 状 に配 列 す る.
灘磯
騨.e.ri.i;'㌔
空 胞 を 有す る細 胞(↑ 印)
第2図
L
第5図MalignantMesothelioma
そ の他腺 様 配 列 を なす 管腔 をみ る.
(千 葉 大 学 病 理 学 教 室)腫
瘍
細 胞 は 乳 頭 腫 状 を 呈 し,空 胞
を有 す る細 胞 は な い
蹴
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第3図
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空 胞は 癒 合 し管 腔 を形 成 次 第 に
大 き くな る.(↑ 印)
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