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岩国市周東町内の皆伐・間伐現場

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岩国市周東町内の皆伐・間伐現場
5.林業及び森林バイオマス収集運搬現場: 岩国市周東町内の皆伐・間伐現場
私が担当するのは、初日8月3日の「林業及び森林バイオマス収集運搬現場」(岩国市
周東町内の皆伐・間伐現場)と予定表に書かれていた視察箇所のレポートです。
私は、農学部林学科卒で専攻が造林学だったので、この伐採・集材現場の視察は大変興味
深く、楽しみにしていました。実際に訪ねたのは、周東町の緑資源機構所有林の間伐材伐
木・集材現場で、施業は山口県東部森林組合だったと思います。山口県は県独自の低コス
ト林業生産システムがあり、車両系建設機械といわれる油圧ショベル(バックホー・ユン
ボ等)やトラクター・キャタピラー運搬車等を林業用に改造・改良した「高性能林業機械」
を積極的に導入し、①生産コストの低減②労働生産性の向上③労働強度の軽減④作業安全
性の確保など、木材価格の低
迷・林業労働者の減少及び高
齢化・間伐等育林作業の停滞
等、厳しい林業の現状を改善
するため、北欧の機械化され
た林業のノウハウを取り入れ
て、日本の急峻な林地にも適
応できるように開発された林
業用機械を使ったシステムの
ようでした。
今回の視察現
場には、スイングヤーダー(簡
易索張方式に対応できるアー
ム及び旋回可能なブームと複数の集材用ウインチを搭載した油圧ショベルで約100m範
囲の集材が可能と言うことでした。)、グラップル付きバックホー(集材した原木をつか
み、チェーンソーで短幹材に玉切りして、移動する)、およびグラップルクレーン(材を
わしづかみできるユニッククレーン)付き4トントラックが稼動中でしたが、その他にも、
ハーベスタ・プロセッサー・フォワーダなど高性能林業機械を各現場の状況により組み合
わせて使用することにより、生産コストを大幅に低減し、林業収入の確保がはかれるシス
テムだということでした。このシステムの採用によって、従来より生産性が3倍以上向上
し、コストは約40%削減できると言うことらしいのですが、問題点は、まず、これら重
機・トラックが搬入できる林道をいかに整備するかと言う点、次にこれら重機を操作する
オペレターの技術の向上・確保、さらに伐出集材チームの育成などが考えられ、現実には、
各地の森林組合に整備されたこれら重機は、稼働率が大変低いらしいのです。その理由に
は、根本的問題として、間伐補助金をプラスしても採算に乗らない木材価格の低迷があり
ます。今回の視察現場は、緑資源機構の委託作業と言うことで採算を度外視できる間伐作
業だったのですが、民有林では、なかなか難しく、間伐といっても殆どが切り捨て間伐で、
林地に放置され全く利用されていないのが現状です。
2日目に視察した中国電力の新小
野田発電所のバイオマス混焼発電システムを見学して思ったのですが、間伐材や林地残
材・枝梢等を買い上げる仕組み(制度=国策)を作り、積極的に混焼発電に使っていけば
林地に大量に賦存する木質バイオマスを利活用すること(山から出すこと)が可能ではな
いかと感じました。
今回の視察は、かなりハードなスケジュールでしたが、個人では見
せていただけない箇所がたくさんあり、大変勉強になりました。また、参加された先生方
をはじめ、多くの方々と交流させていただき誠に有難うございました。今後ともよろしく
お願い申し上げます。
栗尾衛生社
栗尾敬治
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