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安全・環境報告書2016【8.9MB】
JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 安全・環境報告書2016について 目 次 はじめに 理事長ごあいさつ�������������� 1 特集1 東京湾臨海部の緑地の効果を解析 ~2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした暑熱環境対策の検討に貢献!~� 特集2 初島海洋資料館 ���������� 2 5 JAMSTEC TOPICS 2015��������� 8 研究紹介 ������������������ 11 Ⅰ.JAMSTECの概要������������ 13 1. 事業概要 2. JAMSTECの研究・開発事業 3. 組織構成 4. 経営指標 5. 沿革 Ⅱ.安全衛生及び環境配慮のマネジメント�� 27 1. 安全衛生及び環境配慮のための体制 2. 安全衛生・環境関連委員会の活動 Ⅲ.安全の取組み �������������� 32 1. 事故・トラブルの対応 2. 労働安全衛生の取組み 3. 実験の安全管理 4. 防災の取組み Ⅳ.環境の取組み �������������� 40 1. JAMSTECのマテリアルバランス 2. 主要な環境パフォーマンスデータの推移 3. 各拠点の環境パフォーマンスと取組み 4. 環境配慮活動の目標・実績・評価 5. 環境に配慮した調達・契約 6. いろいろな環境配慮活動 Ⅴ.社会的取組み �������������� 50 1. 組織統治 2. 労働慣行 3. 社会貢献 4. 国際協力・外部機関との連携 5. 表彰・顕彰 Ⅵ.コミュニケーション活動��������� 58 JAMSTECのイベント 安全・環境報告書の評価 ���������� 60 第三者による検証 第三者意見 インターンシップ生から 編集後記 表紙について 海洋への関心が高まっている 今日、子供達がもつ海洋への夢 や憧れ、興味をさらに高めるた め に、JAMSTECで は 全 国 の 児童を対象とした「全国児童ハ ガキにかこう海洋の夢コンテス ト」を開催しています。 本報告書の表紙は2015年度に 開催された第18回コンテストの 入賞作品の一部をデザイン化し たものです。 コンテストの詳細は次のサイ トをご覧ください。 【http://www.jamstec.go.jp/j/kids/hagaki/index. html】 この報告書は、環境配慮促進法の規定に基づき、国立研究 開発法人海洋研究開発機構(Japan Agency for MarineEarth Science and Technology : JAMSTEC /ジャム ステック)の事業活動に伴う環境への負荷量や、その負荷を 低減させるための取組みなど、JAMSTECの環境パフォー マンスの概要をまとめた報告書です。 また、安全や社会的取組みついてもご紹介しています。 編集の方針 この報告書の編集に当たっては、以下の方針に従って編集 を行いました。 ◆対象組織 JAMSTECの全事業所(横須賀本部、横浜研究所、むつ 研究所、高知コア研究所、国際海洋環境情報センター、東京 事務所)及び全研究船を対象としています。 ◆記事の対象期間 2015年度のデータを記載しています。ただし、環境配慮活 動など種々の取組みについては、一部最新の情報を記載して います。 ◆記載した分野 JAMSTECにおける環境・安全・社会的活動に関連した 内容を記載しています。 ◆発行年月日 平成28年9月30日 ◆次回の発行予定 平成29年9月 ◆作成に当たって準拠したガイドライン 環境報告ガイドライン2012年版(環境省) ◆アンケートについて 下記のWEBサイトにおいて、アンケートをご用意してお りますので、本報告書に関する皆様の感想をお寄せくださ い。 ◆お問い合わせ先 国立研究開発法人海洋研究開発機構 安全・環境管理室 〒237-0061 神奈川県横須賀市夏島町2番地15 TEL 046-866-3811(代表) FAX 046-867-9105 E-Mail [email protected] JAMSTEC/HP URL:http://www.jamstec.go.jp/ 安全・環境報告書掲載ページURL: http://www.jamstec.go.jp/j/about/environmental/report.html 理事長ごあいさつ 理事長ごあいさつ 特 集 平成28年熊本地震、東北・北海道水害により被災された皆様には、謹んでお見舞いを 申し上げますとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 JAMSTECでは、私どもの持つ研究・開発資源を有効に活用し、復興そして防災・減 災に貢献できるよう精一杯努めてまいります。 ロ オ リ ン ピ ッ ク・ パ ラ リ ン ECではこのESと研究船において多くのエネルギーを消費 ピックの鮮やかな記憶ととも し、主たる二酸化炭素の発生源となっており、併せて多く に、日本においては、地震・ の二酸化炭素を排出しておりますが、今後とも我が国、ひ 水害の年として記憶されるで いては世界の温室効果ガス削減目標に貢献できるよう、引 しょう。 き続き効果的な環境配慮活動を推進して参る所存です。 さて一方、安全に関する取組みにつきましては、昨年度 した多くの人々、その瞬間を真剣に生きる姿が我々に感動 の報告書において申し上げましたとおり、JAMSTECで と力を与えてくれました。地震・水害と闘う人々、悲しみ は一昨年度に小火等の火災に繋がりかねない事象が数件発 のどん底から立ち上がる人々、私たちもまた、彼等とその 生致しました。そこで私どもは様々な対策を講じてきたと 想いを一緒にして、私たちの使命を果たしていくことを心 ころであり、結果として昨年度は実験室内で発生する事 に誓いました。 故・トラブルの発生件数を0件とすることができました。 これにつきましては、JAMSTEC職員の安全に対する意 人々の生活圏の急速な拡大は、従来では考えられない場所 識がより向上した成果と思われますが、昨年度の事故・ト や規模での災害を引き起こしています。 ラブルの発生件数は一昨年度と比べ減少はしているものの CO2濃度は400ppmを突破し、これは産業革命以前の平均 には至っておりません。JAMSTECではこれまでに無人 的な値とされる278ppmと比べますと44%増加しているこ 探査機「かいこう」のビークル亡失事故(2003年5月)や とになります。温室効果ガスを原因とする地球温暖化・そ 学術研究船「淡青丸」からの海中転落事故(2008年4月) れに伴う極端気象現象、生態系の激変、等の問題は、今、 など重大な事故・トラブルを経験しておりますが、再度こ 我々人類にとって最も憂慮すべき世界的な課題の一つとし れらの事象を想起・教訓としてゼロ災害を追求し、様々な て存在しています。 方法により安全・安心な職場環境を形成して参ります。 「JAMSTEC安全・環境報告書」は、「環境報告書」の し、その成果に基づき、地球規模での課題解決のため、ま 時代も含め、お陰様をもちまして今回で11回目の発行とな た、我が国の安全・安心を確保するため、そして、人間の りました。この10年余を振り返りますと、年を経るに従い 生き方そのものを変えるために、研究機関としてのミッ JAMSTECの安全・環境に関する諸活動も充実してきた ションを果たして参ります。 ものと思われます。しかしながら、未だ至らない点も多々 あるため、そのような点を謙虚に受け止め、安全・環境を を実施してきました。2015年12月に第21回気候変動枠組条 始めとするあらゆる分野において内在する諸問題を改善す 約締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」で るとともに自ら範を示せるようこれからも日々精励し、更 は、今世紀後半に温室効果ガスの実質的排出ゼロを目指す には、社会のニーズにお役に立てるよう精一杯取組んで参 こととなりました。そして、我が国が2015年7月に国連気 りますので、皆様におかれましては、今後とも一層のご支 候変動枠組条約事務局に提出した「日本の約束草案」は 援・ご協力を賜りたく心よりお願い申し上げます。 2030年の温室効果ガスの排出量を2013年比で26.0%削減す るというものであります。 を見てみますと、2015年度の二酸化炭素排出量は、JAM STECが保有するスーパーコンピュータである「地球シ 国立研究開発法人海洋研究開発機構 安全・環境報告書 の評価 翻って私どもJAMSTECの環境に係るパフォーマンス 平成28年9月 理事長 ミュレータ(ES)」の更新を行ったこともあり、前年度比 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 Ⅵ コミュニケーション 活動 また、組織の取組みとしても、地球温暖化対応への貢献 Ⅴ 社会的取組み JAMSTECは、海洋・地球・生命の統合的理解を目指 Ⅳ 環境の取組み 研究船上での怪我など全ての事故・トラブルを無くすまで Ⅲ 安全の取組み 人間の活動は地球を変える規模となり、現在の大気中 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 現在、私たちの世界には様々な課題が山積しています。 Ⅰ JAMSTEC の概要 リオにおける日本選手の健闘、そして、これをサポート 研究紹介 で約14%の削減を達成することができました。JAMST TOPICS 2016年は、リオデジャネイ 1 理事長ごあいさつ 特集1 東京湾臨海部の緑地の効果を解析 特 集 ~2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大 会を契機とした暑熱環境対策の検討に貢献!~ TOPICS 1.概要 て、関東地方におけるヒートアイランド現象の特徴的な分 布(気象庁「ヒートアイランド監視報告(平成19年冬・夏 -関東・近畿地方)」(2008))が見られた、2007年8月11 研究紹介 現在、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大 日(東京において最高気温36.4℃を観測)の気象条件のも 会の開催にあわせて東京都市圏では多くのインフラの更新 とで、12:00~13:10を対象に、緑地や土地・建物の条件 や改変が見込まれていることから、2020年東京大会を契機 を変えた以下の3ケースのシミュレーションを実施しまし として、気候変動やヒートアイランドによる将来にわたる た(図2)。 気温上昇に対する持続的な暑熱環境対策が検討されていま Ⅰ JAMSTEC の概要 す。このような環境対策の検討に資する情報を提供するた めに、JAMSTEC地球情報基盤センターでは平成27年度 に、環境省及び文部科学省からの協力要請に基づき、環境 省委託先検討会である「東京都市圏における環境対策のモ 【Case1】現況(2011年の東京都都市計画GISデー タ) 【Case2】2020年までに計画されている緑地等を整 備した場合 【Case3】臨海部の既存緑地がない場合 デル分析検討会」と連携する形で、超高解像度数値シミュ Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント レーションにより、真夏の暑い日の風の流れ、気温、湿度 等に及ぼす緑地の効果の定量的な解析を行いました。 本解析では、2020年東京オリンピック・パラリンピック 競技大会において複数競技の開催が予定されている東京湾 臨海部のうち「東京ベイゾーン」周辺を対象に、樹木等の Ⅲ 安全の取組み 物理的作用を考慮した超高解像度数値シミュレーション を、JAMSTECのスーパーコンピュータ「地球シミュレー タ」により実行しました。 解析の結果、海風が都心まで進入する様子が明確に確認 されたほか、既存の緑地の効果により気温がどの程度低下 Ⅳ 環境の取組み しているのかが明らかになりました。更に、競技会場を訪 れる観客や住民等の歩行空間における暑さ指数(※1、湿 球黒球温度;wet-bulb globe temperature︐ WBGT) 図1 東京ベイゾーンと大会会場 東京都・特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招 致委員会:2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会初期段階 環境影響評価書(平成25年2月)に基づいて作成(会場計画に関する最 新情報:https://tokyo2020.jp/jp/games/venue/olympic/) の解析により、樹木や芝生を増やす等の地表面対策を施す ことにより、さらなる暑熱環境改善効果が期待されること Ⅴ 社会的取組み が明らかになり、JAMSTECで開発を進めてきたシミュ レーションモデルが暑熱環境改善策を検討するうえで強力 なツールとなりうることが実証されました。 図2 各ケースの土地利用及び樹冠の分布の概念図 (Case2は平成27年11月時点の会場計画に基づく) Ⅵ コミュニケーション 活動 2.超高解像度暑熱環境シミュレーション 本解析では、JAMSTECで開発を進めてきた樹木の物 理的作用を考慮可能な大気海洋結合モデルMSSG(※2) 安全・環境報告書 の評価 によりシミュレーションを実行しました。東京ベイゾーン を含む領域(図1の赤枠、12.5km×14.0km)を対象に、 個々の建物の形状までも考慮した、解像度5mの大規模数 値シミュレーションを行いました。猛暑日の代表例とし 2 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 TOPICS 図5 緑地及びその周辺の気温分布(例) 研究紹介 図3 3次元の気温分布。南東から北西方向に海風が流入している。カ ラーは透明から緑、黄緑、オレンジ色になるにつれて気温が高いこ とを示す。 「地球シミュレータ」 (全5︐120ノード)の約27%に相当 Ⅰ JAMSTEC の概要 する1︐400ノード(最大)を使用してシミュレーションを 実行した結果、南東から吹く海風が臨海部で徐々に暖めら れながら都心まで流入する様子が明確に確認されました (図3) 。 競技会場へのアクセスルート(東京都オリンピック・パ 年2月) 、5ー31公共交通へのアクセシビリティ ;平成27年 11月時点の会場計画に沿って取捨選択)上における地上気 温や暑さ指数についてCase1~ Case3の比較を行った 結果、地上気温については、緑地整備によって周辺の気温 一方、暑さ指数に関しては、緑地等の整備による暑さ指 ト上の平均で0.54℃の低下がみられました。また、2020年 数の変化は平均的には大きな差が見られないものの、場所 までの緑地等の整備効果(Case1とCase2との比較) によって上昇するところと低下するところが存在してお として、アクセスルート上の平均で更に0.05℃低下してい り、熱中症リスク低減の観点から28℃未満となる領域は ました(図4)。図5の緑地とその周辺では、緑地の内側 Case3 に 対 し てCase1 で は3.4倍、Case1 に 対 し て と外側で温度差がある様子も確認できました。 Case2では1.1倍に増加することが明らかになりました (図6)。 このような暑さ指数の局所的な変化傾向の要因について 明らかにするため、海風に沿った鉛直断面上で詳しい解析 では顕著な低下が見られるものの、アスファルト上等の緑 地付近の日向では、樹木の防風効果と天空率(※3)の減 少によって暑さ指数が上昇する場合があることが分かりま した。一方、緑地付近の日向であっても芝生が整備されて 芝生の相乗効果により熱環境の改善が期待されることが確 認されました。 安全・環境報告書 の評価 図4 地上気温の比較結果 (地形に沿って地上2.5mの気温を算出。12:50~13:00の10分平均値) Ⅵ コミュニケーション 活動 いる場所では、暑さ指数の上昇が抑えられており、樹木と Ⅴ 社会的取組み を行いました。その結果(図7及び図8)、樹冠下の日陰 Ⅳ 環境の取組み 果(Case3とCase1との比較)として、アクセスルー Ⅲ 安全の取組み が顕著に低下していることが分かりました。既存緑地の効 図6 暑さ指数(WBGT)の比較結果 (地形に沿って地上1.1mの暑さ指数を算出。12:50~13:00の10分平均 値) Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ラリンピック準備局、 「初期段階環境影響評価書」 (平成25 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 3 理事長ごあいさつ 等を総合的に考慮した具体的かつ効果的な暑熱環境対策の 特 集 検討に繋がるものと期待されます。 用語解説: ※1 暑さ指数: TOPICS 暑 さ 指 数(WBGT( 湿 球 黒 球 温 度 ):Wet Bulb Globe Temperature)とは、人体と外気との熱のやり とり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与え る影響の大きい①湿度、②日射・輻射(ふくしゃ)など 研究紹介 図7 鉛直断面A(例として臨海部の海風に沿った方向の鉛直断面)におけ る風速分布(左図:風速が弱い領域が青色)、及び地上付近の気温 (右上図)と暑さ指数(右下図)の分布の比較。Case1の樹冠下の 日陰では地上気温の顕著な低下が見られるものの(①)、緑地付近の 日向(アスファルト上等)では、樹木の防風効果と天空率の減少 (②)によって暑さ指数が上昇する場合があることが分かった (③) 。 (気温は地上2.5m、暑さ指数は地上1.1mにおいて算出。風 速、気温及び暑さ指数は12:50~13:00の10分平均値) 周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた指標である。 暑さ指数が28℃以上の場合には日常生活におけるすべて の生活活動において熱中症の危険性が高まる(日本生気 象学会、 「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3確 定版、2013)。 Ⅰ JAMSTEC の概要 ※2 MSSG(Multi-Scale Simulator for the Geoenvironment): 地球全体、特定の地域、更に特定の都市や街区など、 様々なスケールの大気現象と海洋現象を計算することの できるマルチスケール大気海洋結合数値モデル。一般的 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント な気象・海洋モデルでは、全球スケール(地球全体) 、 メソスケール(特定の地域)、都市スケールについて、 それぞれに異なるモデルが使用されている。MSSGは、 これらのスケールを単一の数値モデルで取り扱うことに より、異なるスケールの間の相互作用を再現することが Ⅲ 安全の取組み 図8 鉛直断面B(断面Aより約250m北東にあり、断面Aと並行な鉛直断 面)における風速分布(左図)、及び地上付近の気温(右上図)と暑 さ指数(右下図)の分布の比較。緑地付近の日向であっても芝生が 整備されている場所では暑さ指数の上昇が抑えられており(①)、樹 木と芝生の相乗効果により熱環境の改善が期待される(気温は地上 2.5m、暑さ指数は地上1.1mにおいて算出。風速、気温及び暑さ指 数は12:50~13:00の10分平均値)。 Ⅳ 環境の取組み 以上の解析の結果から、緑地等の整備による暑熱環境の 変化が定量的に明らかになり、MSSGが街区規模から都 市計画規模での暑熱環境改善策を検討するうえで強力な 可能なモデルとして開発が進められている。3次元放射 過程及び樹木の物理的作用を考慮することができ、建物 や植物の表面での加熱・冷却を考慮して、時々刻々変化 する風の流れを3次元的に計算することができる。文部 科学省の委託事業である「気候変動適応研究推進プログ ラム(RECCA) 」を通して、樹木モデルの実装を行っ た。 ※3 天空率: Ⅴ 社会的取組み ツールとなりうることが実証されました。更に、樹木等の ある地点において視野角180度の魚眼レンズを用いて 整備による日陰の創出と合わせて、樹木周辺に芝生・保水 鉛直上方を撮影した場合に、円形の視野内に含まれる天 性舗装等の地表面の整備を行うことによって、さらなる熱 空の割合。障害物により全く空が見えない場合に0、障 環境の改善が期待されることが明らかになりました。 害物がなく全方向に空が見えている場合に1となる。 <執筆> Ⅵ コミュニケーション 活動 3.今後の展望 地球情報基盤センター 先端情報研究開発部 地球シミュレーション総合研究開発グループ 研究員 松田 景吾 今回得られた解析結果は、2020年東京大会を契機とした 持続的な東京都市圏づくりのための効果的な環境対策の検 討に資する知見として活用されるものと期待されていま 安全・環境報告書 の評価 す。また、本成果の超高解像度シミュレーションは、平成 27年6月に本格稼動した新しい「地球シミュレータ」によ り初めて実現した大規模計算であるため、今後、得られた 大規模データを詳細に分析することで、海風や緑地の効果 4 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特集2 初島海洋資料館 特 集 静岡県の代表的な温泉地である熱海。その熱海の南東約10kmの沖合に浮かぶ島が『初島』です。JAMSTECでは、潜水 実験「シートピア計画*」以降、初島沖で数々の実験・調査を実施しており、「相模湾初島沖深海総合観測ステーション」の 整備に合わせて、昭和59年に「初島海洋資料館」を開館しました。現在では「相模湾とJAMSTEC」をコンセプトとして そろって初島に出かけてみてはいかがでしょうか。 初島海洋資料館ってどんなところ? 初島港から西に10分ほど歩くと「初島海洋資料館」があ 研究紹介 初島港 TOPICS いろいろな展示を行っています。本報告書では、この初島海洋資料館と、初島の見どころをご紹介します。休日にはご家族 初島海洋資料館 ります。この資料館は、初島区事業共同組合に管理を委託 しており、島民の方々だけでなく初島を訪問される多くの Ⅰ JAMSTEC の概要 初島灯台 観光客の皆様にも資料館を見学して頂く施設として運営し ています。元々は、初島の高台に位置していた資料館です が、平成15 年に初島港近くの現在の場所に移転し、平成 20年3月に展示内容を一新、リニューアルオープンしまし 旧初島海洋資料館 ©2016Google-地図データ©2016ZENRIN Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント た。 資料館は2階建てのログハウスで、お洒落な佇まい。中 に入ると、JAMSTECの活動を紹介するいろいろな展示 物があります。 1階では相模湾とその周辺を描いた大型の海底地形図と Ⅲ 安全の取組み 鯨瞰図や、相模湾の海底の景色を解説したパネルなど、相 模湾に関する展示を行っています。 2階では初島から出土した土器や石器など、初島の歴史 を物語る考古学的な展示も行っています。 Ⅳ 環境の取組み 熱海の南東約10kmの沖合、相模湾に浮かぶ島が「初島」。静岡県唯一の有 人島です。 Ⅴ 社会的取組み 初島海洋資料館。2階建てのログハウスです。 開館時間10:00~16:00 休館日 火曜日 入館料 無料 Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 【写真左】入口を入ると相模湾の鯨瞰図と大型の海底地形図が広がっています。 【写真中】かつて活躍した有人潜水調査船「しんかい2000」などの模型も展示されています。 【写真右】初島にある約6︐000~7︐000年前の遺跡から出土した土器や石器等が展示されています。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 5 理事長ごあいさつ 特 集 もう一つの初島海洋資料館と 深海底総合地震観測ステーション 初島の北西部の高台に旧初島海洋資料館の建物がありま TOPICS す。今では「深海底総合地震観測ステーション」の陸上局 として利用しています。初島が位置する相模湾西部海域 は、地殻変動が非常に活発な海域ですが、その初島沖深海 底の環境変動現象を複数のセンサにより多面的に観測する ことを目的として開発・設置されたのが「深海底総合地震 観測ステーション」です。このステーションは平成5年に 研究紹介 設置、観測が開始され、テレビカメラ、地震計、水圧計、 流向流速計などの 多くの観測機器が装備されています。 これまでに、群発地震の際に斜面崩壊に伴う泥流をとらえ Ⅰ JAMSTEC の概要 るなど、深海底で発生する現象について、重要な知見が得 られています。 【写真左】深海底総合地震観測ステーションの初島陸上局として利用されて いる旧初島海洋資料館。(一般公開はしていません) 【写真右】観測ステーションと陸上局を繋ぐケーブル(茶色の管)が初島の 海岸で見ることができます。 (*)シートピア計画:科学技術庁(当時)の委託で、JAMST ECの前身である海洋科学技術センターが進めた海中居住 実験計画のこと。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ロッキー ぶらりぶらぶら初島散歩! ニッキー アクセス初島! Ⅲ 安全の取組み 離島である初島には高速船で渡ります。 JR熱海駅からバスで約15分のところにある熱海港から、2014年3月に就航した白いボディが海に映える「イルドバカン スプレミア」か、南国を思わせるハイビスカスをあしらった船体のデザインが印象的な「イルドバカンス3世号」に乗船。 熱海港を出港すると、約30分で初島に到着します。 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み 【写真上】初島港に停泊している「イルドバカンス3世号」。 総トン数2₉2トン 定員868名 最大速力18.6ノット(約33.5km/hr) ※イルドバカンス3世号のほかに、イルドバカンスプレミアも就航しています。 【写真左下】イルドバカンス3世号から見た初島。乗船時間は約30分。どんどん初島が近づい てきます。 【写真下】天気が良い時には、初島の背後に伊豆大島の姿を見ることもできます。 Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 6 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 初島のみどころ 初島は周囲わずか4kmあまりの島ですが、島内には見どころがたくさん。ここではその一部をご紹介します。 TOPICS 初島グルメ 初島灯台 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 初島港からすぐのところに島の漁師さんが営む初島食堂街 があり、新鮮な海の幸を贅沢に使った丼ぶりや定食などを味 わうことができます。 左上の写真はボリュームたっぷりのお刺身定食。この他に もアジやイカの丼ものなど新鮮な魚介類をふんだんに使った メニューが一杯!岩のりなどの海藻が入ったラーメンもお奨 めです。 Ⅲ 安全の取組み 初島パワースポット Ⅰ JAMSTEC の概要 初島灯台資料展示 館。 灯 台 の 仕 組 み や 航路標識の歴史など が紹介されています。 参観時間 10:00~16:00 定休日 無休 利用料金 大人200円 (小学生以下無料) 研究紹介 昭 和34年 に 設 置 さ れ た 初 島 灯 台。 平 成19年 にリニューアルされま した。 白色コンクリート 造、 高 さ16 m、 灯 質 (光り方)は単閃赤緑 互 光 で 毎20秒 に 赤 1 閃 光・ 緑 1 閃 光、 光 達 距 離 は17 . 5海 里( 約 32km)です。 初島は花の島 温暖な気候の初島は、水仙、河津桜、極楽鳥花、ヤブツバ キ、ハイビスカス、竜舌蘭、ブーゲンビリア、ツワブキなど 一年を通じていろいろな花を楽しむことができる花の島です。 Ⅵ コミュニケーション 活動 この他にも初島には楽しい所がいっぱいあるよ。 ぜひ遊びに行ってみてね! 安全・環境報告書 の評価 <取材協力(順不同・敬称略)> 初島区事業協同組合 公益社団法人燈光会 株式会社富士急マリンリゾート 初島の詳細はこちらをご覧ください! 【http://www.hatsushima.jp/】 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 Ⅴ 社会的取組み 初島港のすぐ近くにある初木神社。ご祭神は大津海見命、 豊玉姫命、初木姫命で、孝昭天皇の御代に島に漂着した初木 姫の伝説が残っています。本殿下には、古墳時代(3世紀中 頃~6世紀末)の磐座(いわくら・古代の祭祀場)の遺構が あることが確認されています。 Ⅳ 環境の取組み 初島海洋資料館か ら少し西に歩いた所 に「竜神宮」があり ます。 昔不漁が続いたと き、海の中から剣が 現 れ て、 そ れ 以 来、 島では大漁の日々が 続きました。竜神宮 にはその剣が祀られ ており、大漁祈願の 神として島民の信仰 を集めています。 7 理事長ごあいさつ JAMSTEC TOPICS 201₅ 部署名・役職などは当時のものを記載しています。 特 集 TOPICS① 「ちきゅう」により、世界最深の海底下 生命圏を発見 TOPICS 2012年に地球深部探査船「ちきゅう」による統合 国際深海掘削計画(IODP)第337次航海で、青森県 八戸沖約80km、水深1︐180mの地点で採取した海底 から深さ2︐466mまでのコア試料を分析し、生命圏の 限界域に相当する世界最深の海底下微生物生態系を 発見しました。 同掘削調査で採取されたコア試料には、堆積物 1cm3あたり100細胞以下の極微量な微生物細胞が存 在し、水やエネルギー供給に乏しい海底下生命圏の 限界域に到達したことを示唆しました。また、同位 体 地 球 化 学 分 析 や 遺 伝 子 分 析 の 結 果、 海 底 下 約 1.5kmを超える地層で、森林土壌に類似する固有の 微生物生態系が存在することを発見しました。更 に、バイオリアクターを用いて微生物培養試験を 行ったところ、石炭を栄養源にメタンを生産する世 界最深の嫌気性微生物群衆の培養に成功しました。 本成果により、かつて湿原や森だった環境が日本 列島形成に伴い海底下深部に埋没し、2︐000万年以上 を経て「海底下の森」となった現在もなお、海底下 深部の微生物生態 系が石炭や天然ガ スの形成といった 炭素循環に重要な 役割を果たしてい ることが示されま した(高知コア研 究所/海底資源研 究開発センター) 。 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み TOPICS② Ⅴ 社会的取組み 3.11地震震源域の断層試料で「ゆっく り地震」を再現 Ⅵ コミュニケーション 活動 地球深部探査船「ちきゅう」で東北地方太平洋沖 地震震源域から採取した断層試料を使った室内実験 で、実際の断層で岩石同士が滑るように、荷重をか けながらプレートの沈み込み速度(2.7nm/s)で試 料同士を滑らせてい き ま し た。 そ の 結 果、 滑 り 面 で 計 測 さ れた摩擦応力の変化 と滑り速度は実際に 計測されているゆっ くり地震とほぼ同等 で し た( 海 洋 掘 削 科 学研究開発センター) 。 安全・環境報告書 の評価 8 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 TOPICS③ 西之島周辺海域で初の調査を実施 西之島の噴火後初めて海洋調査船による学術調査 を実施しました。2月には、西之島周辺海域に海底 長期電磁場観測装置と海底地震計を設置しました。 6月には西之島から4.5km圏外において、浅海域か ら深海域の海底 面の観察・撮影 を行いました。 更に、かんらん 石を含む溶岩な ど多様な試料の 採取を行いまし た(地球深部ダ イナミクス研究 分野/海洋掘削 科学研究開発セ ンター)。 TOPICS④ 土星衛星エンセラダスに地球と異なる独 自の熱水環境 日欧米による探査と実験の綿密な連携によって、 土星の衛星「エンセラダス」の地下海に海底熱水環 境が存在することが明らかとなりました。 欧米チームは土星系探査機「カッシーニ」のデー タに基づき、エンセラダスからプリュームとして放 出される海水中に、ナノシリカ粒子が含まれている ことを明らかにし、日本のチームはエンセラダス内 部の環境を再現する実験を行い、ナノシリカ粒子が 生成するためには岩石からなるエンセラダスのコア と地下海の海水が、現在も90℃を超える高温で反応 していることを示しました。 初期の地球の海底熱水噴出孔は生命誕生の場の有 力候補であり、現在もそこで得られる熱エネルギー を使い微生物が生息しています。本成果は、生命を 育みうる環境が地球以外にも今の太陽系に存在する ことを初めて実 証したものです (海洋地球生命 史研究分野/海 底資源研究開発 センター)。 理事長ごあいさつ TOPICS⑤ Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 海底広域研究船「かいめい」が2016年3月30日に 引渡されました。 「かいめい」は3モードの海底下地 殻構造探査、海底設置型掘削装置などによる海底サ ンプリング調査、自律型無人探査機(AUV)の複数 機運用やマルチビーム音響測深機などによる海底の 密度調査を可能とする研究船です。我が国周辺海域 に存在する海底資源など、海洋の広域にわたる科学 調査を加速させ ることが期待さ れ ま す。 今 後、 操船及び調査観 測機器の操作訓 練 を 行 い、 調 査 研究航海に備え る 予 定 で す( 海 JAMSTEC横須賀本部に初入港した「かい 洋工学センター) 。 めい」 Ⅰ JAMSTEC の概要 北極域研究を更に推進させるため、 「北極環境変動 総合研究センター」を新たに設置し、 「北極域研究推 進プロジェクト(ArCS) 」へ参画しました。 JAMSTECでは北極域研究の蓄積があり、ベーリ ング海峡から北極海に流入する太平洋水のうちの 60%の水がアラスカ・バロー沖を通って海盆域に熱 や淡水・栄養分などを運んでいることや、北極域の 高層気象観測データが、北極海上で発達する北極低 気圧予測の精度向上に大きく役立つことなどを明ら かにしています。 こうした活動を関係機関との連携の下で積極的に 実施し、国際 的な北極政策 への貢献を果 たしていきま す(北極環境 変動総合研究 センター/ア プリケーショ ンラボ) 。 研究紹介 海底広域研究船「かいめい」引渡し TOPICS 北極域研究の更なる推進 特 集 TOPICS⑦ TOPICS⑧ TOPICS⑥ 電力独立型の観測ステーションにより震 災後の海底環境の長期観測に成功 「地球シミュレータ」のシステム更新を行い、本格 稼 働 し ま し た。 計 算 性 能 は、 こ れ ま で の 約10倍 の 1.3PFLOPSとなり、メモリ容量は16倍の320TBと大 きく向上しました。これにより海洋地球分野の、よ り先端的なシ ミュレーション 研究に挑戦し、 シミュレーショ ン・予測・デー タの社会利活用 へ大きく貢献し ていきます(地 球情報基盤セン ター)。 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 東北地方太平洋沖地震後の岩手県大槌湾沖合の海 底環境を、2012年8月か ら14ヶ月間、移動や設置 を容易に行えるように開 発された電力独立型の観 測ステーションで長期観 測しました。観測中に起 きたマグニチュード7.3の 地震による海底の攪乱か ら回復までの画像と詳細 な環境データを初めて同 時に捉えました(東日本 海洋生態系変動解析プロ ジェクトチーム) 。 Ⅲ 安全の取組み 「地球シミュレータ」システム更新、本 格運用開始 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 9 理事長ごあいさつ 特 集 TOPICS⑨ 「ちきゅう」就航10周年 TOPICS 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 「ちきゅう」は2015年7月29日に就航10周年を迎え ました。日本が初めて本格的に深海掘削計画を進め るため建造された本船は、2005年に完工し、JAMST ECへ引き渡されました。 慣熟試験航海から始まり、南海トラフ地震発生 帯、沖縄熱水海 底下生命圏、東 北地方太平洋沖 地震震源域、下 北八戸沖石炭層 生命圏などの掘 削計画を実施 し、新たな科学 成果や技術開発 成果をもたらし ています(地球 深部探査セン ター)。 TOPICS⑩ Ⅲ 安全の取組み 高知コア研究所 開所10周年 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 2015年10月に高知コア研究所が開所10周年を迎え ま し た。 高 知 コ ア 研 究 所 は、 掘 削 コ ア の 分 析・ 研 究、保管までの一連のプロセスを行う拠点として発 足 し、2014年 に は掘削コア試料 の新保管庫棟が 完成しました。 2015年12月現在、 111kmにおよぶ コア試料が保管 され、世界中の 研究者に利用さ れています(高 知コア研究所)。 安全・環境報告書 の評価 10 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 番外 海洋調査船「なつしま」「かいよう」の 運用停止 海 洋 調 査 船「 な つ し ま 」 及 び「 か い よ う 」 は、 2015年度をもって運用を停止することになりました。 「なつしま」は、有人潜水調査船「しんかい2000」 の支援母船として1981年に建造されました。日本近 海での熱水噴出域を初めて見つけるなど、数多くの 発見をもたらしました。「しんかい2000」退役後は、 無人探査機「ハイパードルフィン」の母船として活 躍しました。 「かいよう」は、日本初のDPS(Dynamic Positioning System)装備の海中作業実験船として1985 年に建造され、300m実海域飽和潜水実験「ニュー シートピア計画」を成功させました。その後は、多 目的な海洋調査船に改造され、大陸棚画定調査にお ける海底下深部構造探査や、地震・津波観測監視シ ステム「DONET」の構築などで活躍しました。 理事長ごあいさつ 研究紹介 水深5︐500mの海山斜面でコバルトリッチ クラストの広がりを確認、成因解明に大 きな前進 JAMSTECは国立大学法人高知大学と共同で、戦略的 イノベーション創造プログラムの課題「次世代海洋資源調 たシミュレーションによって、約2億年前から始まった超 査技術(海のジパング計画) 」における「海洋資源の成因 大陸パンゲアの分裂から現在までの大陸移動の様子と、地 に 関 す る 科 学 的 研 究 」 の 一 環 と し て、 日 本 の 南 東 約 表からは観測できない地球内部の流れの様子を再現するこ 1︐800kmに存在する巨大平頂海山・拓洋第5海山の南斜面 とに、世界で初めて成功しました。 において、コバルトリッチクラストの調査を実施しまし 超大陸の分裂と大陸移動の原動力については、アルフ た。 が交わされています。本研究では、過去に存在した大陸の 覆うように、鉄・マンガン酸化物を主体とした厚さ数mm 挙動を再現するため、マントル対流の動きで大陸が自由に から10cmあまりのコバルトリッチクラストが広く分布し 変形しながら移動できるモデルを開発、シミュレーション ています。コバルトリッチクラストは、近年、レアメタ を行いました。 ル、貴金属に富んだ海底金属資源として注目されています が、その形成メカニズムはいまだ解明されていません。 本調査では、無人探査機「かいこうMk-Ⅳ」を用いて、 いたゴンドワナ大陸から分裂したインド亜大陸がテーチス 拓洋第5海山の大水深部でコバルトリッチクラストの産状 海を高速で北上し、北半球でユーラシア大陸に衝突した 観測や試料採取を行ったほか、現場環境と生成メカニズム 後、ヒマラヤ・チベット山塊を誕生させた現象を忠実に再 の理解に向けて、微生物現場培養・化学吸着実験装置を設 現することに成功しました。そして、その原動力がパンゲ 置しました。 あったことをつきとめました。これは、大陸を駆動させる バルトリッチクラストが広がっていることを世界で初めて マントルの流れのパターンが、超大陸の熱遮蔽効果による 確認し、採取位置や水深、現場周辺の状況が明確な研究用 上部マントルの高温異常と、大陸・海洋境界に発達するマ 試料の採取に成功しました。今後、採取したコバルトリッ ントル下降流によって決まっていることを示しています。 チクラスト試料を詳細に分析・解析し、日本周辺における 本成果は、2014年に発表されたプレート運動の原動力が コバルトリッチクラストの成因解明を進め、海洋資源調査 マントル対流であるという大規模地下構造調査に基づく観 技術の開発につなげていく予定です(次世代海洋資源調査 測結果を強く裏付けており、インド亜大陸の高速北進とヒ 技術研究開発プロジェクトチーム) 。 Ⅳ 環境の取組み その結果、5︐500mを超える大水深の海山の斜面にもコ Ⅲ 安全の取組み ア分裂直後にテーチス海北部に発達するマントル下降流で Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント く知られたイベントである、パンゲアの南半分を構成して Ⅰ JAMSTEC の概要 古い海山の斜面には、玄武岩や水深の浅い石灰岩などを 研究紹介 レッド・ウェゲナーの「大陸移動説」以来、世界中で議論 その結果、パンゲア分裂以降の大陸移動の歴史で最もよ TOPICS 地球深部ダイナミクス研究分野の吉田晶樹主任研究員と 浜野洋三特任上席研究員は、スーパーコンピュータを用い 特 集 スーパーコンピュータで大陸移動を再 現、原動力を解明 マラヤ・チベット山塊形成の原動力が分かったことは、現 在の地球における気候システムの起源の解明に向けても重 要な進展をもたらすと期待されます(地球深部ダイナミク ス研究分野)。 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 水深5,500m付近の海山斜面のコバルトリッチクラスト 安全・環境報告書 の評価 超大陸パンゲアが分裂した後に、高速で北上する インド亜大陸の様子 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 11 理事長ごあいさつ 特 集 エルニーニョ現象の予測に新たな展開 南海トラフの海底で長周期地震動を初め て観測 TOPICS 地球環境観測研究開発センター海洋循環研究グループの 地震津波海域観測研究開発センターの中村武史技術研究 増田周平グループリーダーは、力学解析に基づいたエル 員は、2013年4月淡路島での中規模地震の発生時におけ ニーニョ現象の新しい予測手法を考案しました。 る、地震・津波観測監視システム「DONET」の海底強地 1960年から2006年までの海洋観測データ及び大気観測 データと四次元変分法大気海洋結合データ同化システムを 震計データの解析を行い、長周期地震動が深海底の広い領 域で発生していることを明らかにしました。 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 用いて地球シミュレータで統合した大気海洋環境再現デー 一般的に地震波の振幅は震源からの距離が遠ざかるほど タセットからエルニーニョ現象の発達・減衰に重要な役割 減衰しますが、解析結果では、震源に近い陸上観測点よ を果たす大気-海洋間で交換されるエネルギーの変化を再 り、遠い観測点の振幅が増幅するという特異な傾向を示し 評価したところ、季節的にエネルギー交換が強い年と弱い ていることが分かりました。陸上観測点と海底観測点との 年が5~10年の間隔で交互に現れることが分かりました。 地震波形やスペクトルを比較すると、海底観測点では震動 このエネルギー交換に強い年と弱い年があることを踏ま 継続時間が非常に長く、波形形状そのものが複雑となって え、大気・海洋結合モデル上での大気-海洋間の影響の度 います。継続時間の長大化や波形形状の複雑性は、地震波 合いをエネルギー交換が強い年には影響が強くなるよう時 が海域に入射した後、顕著となる傾向を示しています。 間的に変化させる新しい予測スキームを考案しました。 本研究では、更にスーパーコンピュータ「京」を使った Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 今後JAMSTECでは、持続的な海洋観測、高度な数値 大規模シミュレーションで海底における長周期地震動の特 シミュレーション実験を通して地球規模での中長期の気候 徴を再現した結果、南海トラフ周辺に広範囲に渡って広 変動現象のメカニズム解明に取組みながら、新たな熱帯観 がっている軟らかい海洋堆積層の存在が長周期地震動の発 測システムの構築と運用に尽力しつつ最新のデータ同化技 達に本質的な影響を与えていることが分かりました。海洋 術を積極的に取り入れるなど、多方面からエルニーニョ予 堆積物が海底での長周期地震動の原因となっている可能性 測の新展開を図ります(地球環境観測研究開発センター) 。 については、これまでにも陸上地震計データに対するシ Ⅲ 安全の取組み ミュレーション結果から間接的に示唆されていましたが、 本研究は海底強震計で長周期地震動を直接観測し、更に観 測データを用いたシミュレーションにより海洋堆積層が長 周期地震動の成因となっていることを直接実証した初めて の成果です。 Ⅳ 環境の取組み 今後は海底における長周期地震動の特徴を把握し、発達 過程を解明することにより陸域における地震動予測の高精 度化や地震の規模・メカニズム解析手法の高度化につなが り、地震防災・減災のための基礎的な知見となります(地 震津波海域観測研究開発センター)。 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 12 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ Ⅰ. JAMSTECの概要 特 集 ⑴ 事業の目的 TOPICS 1. 事業概要 ⑶ 中期計画 EC /ジャムステック)は、平和と福祉の理念に基づき、 に関する目標(中期目標)の指示を受けます。これを基に 海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関 JAMSTECでは中期計画を作成し、更には事業年度ごと する協力等の業務を総合的に行うことにより海洋科学技術 の年度計画を作成したうえで中期目標の達成に向けて業務 の水準の向上を図るとともに、学術研究の発展に資するこ を遂行します。平成26年4月1日から平成31年3月31日ま とを目的として、2004年4月に前身の海洋科学技術セン での5年間を対象とした第3期中期計画では、我が国の海 ターから独立行政法人として発足し、2015年4月1日に国 洋科学技術の中核機関として、将来にわたる持続的な成長 立研究開発法人海洋研究開発機構に移行しました。 と社会の発展の実現や我が国が直面する重要課題等への対 95号)第4条】 ⑵ 事業の範囲 ① 海洋に関する基盤的研究開発を行うとともに、その成 果の普及、活用の促進を行っています。 ② 大学及び大学共同利用機関における海洋に関する学術 本の目指すべき姿を実現するため、また、人類社会に対 し、様々な影響をもたらす海洋を中心とした地球環境の変 化に関する科学的知見を創出し、得られた海洋・地球・生 命に関する科学的知見や地球環境情報を積極的に社会に還 元するため、以下の使命を持って研究開発活動を展開する こととしています。 ① 国家的・社会的要請を踏まえた戦略的・重点的な研究 開発を推進する ② 世界最先端の研究開発基盤を運用・共用する す。 ③ 国民の理解を深めるため、海洋科学技術に関する情 ③ 科学技術に関する研究開発又は学術研究を行う方に対 し、機構の施設・設備を供与しています。 ④ 海洋科学技術に関する研究者及び技術者を養成し、そ の資質の向上を図っています。 理、保管、提供を行っています。 【国立研究開発法人海洋研究開発機構法第17条】 ④ 世界の頭脳循環の拠点として、グローバルに活躍する 研究者の交流、育成・確保に貢献する ⑤ 産学連携によるイノベーションの創出と成果の社会還 元を推進する 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/project/ind ex.html】 Ⅴ 社会的取組み ⑤ 海洋科学技術に関する内外の情報及び資料の収集、整 報・知見を積極的に発信し、利用を促進する Ⅳ 環境の取組み 研究に対して、船舶の運航等の協力・支援を行っていま Ⅲ 安全の取組み JAMSTECでは主に以下のような業務を行っています。 応に積極的に貢献し、海洋基本計画で示された海洋立国日 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 【国立研究開発法人海洋研究開発機構法(平成15年法律第 Ⅰ JAMSTEC の概要 JAMSTECは独立行政法人通則法により、主務大臣で ある文部科学大臣からJAMSTECが達成すべき業務運営 研究紹介 国立研究開発法人海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology : JAMST Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 13 理事長ごあいさつ 特 集 2. JAMSTECの研究・開発事業 TOPICS ⑴ 研究・開発事業の概要 JAMSTECでは、我が国及び世界における真の海洋科 学技術の中核機関として海洋科学技術分野をリードし、世 界最先端の研究開発基盤を十分に活用しながら先進的・基 門、経営管理部門の3つの部門に分け、次のような研究・ 開発事業を行っています。 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/research/】 盤的な研究開発を推進するため、研究部門、開発・運用部 研究紹介 ①研究部門 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 戦略研究開発領域 ◆ 地球環境観測研究開発センター ・環境変動による海洋生態系の応答機構に係る研究 ・熱帯域から亜熱帯域の表層海洋物理過程を含む大気海洋相互作用に係る研究 ・海洋観測を中心とした海洋循環及び海洋環境変動に係る研究 ・全球海洋スケールでの化学・物理環境の中長期変動に係る研究開発 など ◆ 海洋掘削科学研究開発センター ・現場観測・試料分析による地震過程等の沈み込み帯の形成・発達過程に係る研究 ・マントル及び海洋地殻掘削に係る研究 ・堆積盆地の形成及び発展並びに堆積物試料からの地質情報の抽出・解析に係る研究 ・物理探査データ、孔内計測データ及び掘削コア試料分析データの統合に係る研究 など ◆ 地震津波海域観測研究開発センター ・海底観測ネットワークに係る研究開発 ・調査観測の研究成果、モニタリングデータ等を用いた地震発生予測の高度化に係る研究 ・リアルタイムデータを統合したモニタリングによる地震発生帯に係る研究 ・地下構造データ、海底地形、歴史資料等の総合解析による海域断層解析評価に係る研究 ・プレート境界域における地震発生構造に係る研究 ・地震学的手法による海底下及び海洋の活動、構造及び現象に係る研究 ・海底地質及び地球物理観測による海底変動及び海底下の構造、物質及び熱循環に係る研究 など ◆ 海洋生命理工学研究開発センター ・極限環境生命機能及びその利活用に係る研究 ・極限環境生命圏の新たな機能の開拓及びその利活用に係る研究 ・深海生物リソースの産業応用に係る研究開発 など ◆ 海底資源研究開発センター ・海底下資源環境の実態及び利活用に係る地球科学と生命科学とを融合した研究 ・海底資源の生成年代及び資源の成因に係る研究 ・海底資源の利活用に必要な生態系変動解析並びにモニタリング及び影響評価の手法に係る研究 など ◆ アプリケーションラボ ・季節内振動から十年スケールの現象までの気候変動予測及びその応用に係る研究開発 ・海洋・大気環境変動予測及びその応用に係る研究開発 ・先端海洋科学に基づく海洋・地球情報の新たな展開に係る研究 など ◆ 気候変動リスク情報創生プロジェクトチーム ・温室効果気体濃度変動や土地利用変化等を取り扱う地球システムモデルの開発及びその地球環境科学に関する諸問題に対す る応用に係る研究 ・気候変動予測に用いる初期値及び境界値の最適化技術及びデータ同化技術の開発 ・全球雲解像モデルを用いた気候感度の不確実性低減に係る研究 など ◆ 東日本海洋生態系変動解析プロジェクトチーム ・東北日本を中心とした生態系変動、環境変動に係る研究 ・海洋生態系空間モデルに係る研究 ・取得されたデータ等の管理、公開及び運用に係る業務並びに関連システム構築に係る開発 14 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ◆ 北極環境変動総合研究センター 特 集 ・北極における海域環境の変化とその気候変動への影響に関する観測及びシミュレーションに係る研究 ・北極における海洋酸性化とその生態系への影響に関する観測及びシミュレーションに係る研究 ・化学物資循環による北極への影響に関する観測及びシミュレーションに係る研究 ・北極域から中緯度域の気候変動と将来予測に関するシミュレーションに係る研究 ・北極における観測研究等を効果的に促進するための技術開発 TOPICS 基幹研究領域 ◆ 大気海洋相互作用研究分野 ・熱帯域における短期気候変動現象に係る研究 ・現場観測に基づく豪雨等の極端現象に係る研究 ・長期自然変動と短期気候変動現象の関係に係る研究 ・熱帯域と中緯度域との間の相互作用に係る研究 ◆ 地球表層物質循環研究分野 ・地表面と大気との間で交換される物質とエネルギー並びに各種陸上生態系の分布及び質の変動が環境へ及ぼす影響に係る研究 ・大気組成の変動機構並びにその陸面、海洋及び人間圏との連関に係る研究 ◆ 統合的気候変動予測研究分野 ・地球表層環境に関わるシミュレーションモデルを用いた気候・水循環変動、地球温暖化等の地球環境の変化と変動に係る研究 ・シミュレーションモデルを用いた人新世の地球史的位置付けに係る研究 ◆ シームレス環境予測研究分野 ・シームレス環境予測システム開発及び活用に係る研究 ・マルチスケール気象擾乱予測に係る研究 ・水資源予測に係る研究 ・素過程数理モデリングに係る研究 ◆ 地球深部ダイナミクス研究分野 ・地球表層から深部にわたる構造とその時空間変動に係る研究 ◆ 地球内部物質循環研究分野 ・地球内部と表層との間の物質循環と地球進化に係る研究 ・プレートの形成、進化及び循環に係る研究 ・沈み込み帯域における物質循環及び変動に係る研究 ・物質循環に関わる岩石及び流体の高精度元素・同位体分析技術に係る研究開発 ◆ 海洋生物多様性研究分野 ・海洋生物多様性の研究 ◆ 深海・地殻内生物圏研究分野 ・未到極限環境生命圏、地球生命及び生命圏の限界、生命存在条件並びに生命進化のプロセス及びメカニズムに係る研究 ・長期飼育・培養に基づく極限環境条件下での生物機能、相互作用及び物理・化学プロセスに係る研究 ・海洋・深海生態系に存在する特異的な共生系の形成及び細胞間相互作用の研究 ・化学進化から生命進化への相変異の原理及びエネルギー・炭素・窒素代謝の初期進化に係る研究 ・地球及び生命の元素循環並びに元素利用能の進化プロセスに係る研究 ◆ 生物地球化学研究分野 ・海底掘削試料の高精度分析技術の開発及び応用に係る研究 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み ・堆積物記録による地球史及び気候変動に係る研究 ・地球内部及び表層における生物物質の循環に係る研究 ◆ 数理科学・先端技術研究分野 ・数理科学的手法による地球及び生命システムのダイナミクスに係る研究 ・海洋開発に必要な理工学的知識及び先端技術体系の構築に係る研究 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 15 安全・環境報告書 の評価 高知コア研究所 ・掘削コア試料等を用いた地震断層運動プロセスの総合理解による地震・津波発生機構に係る研究 ・掘削コア試料等を用いた地球深部生命の生理生態、進化等に係る研究 ・掘削コア試料等を用いた金属同位体分析法及び解析法に係る研究開発 ・コア試料等の管理、分析、活用及び関連技術に係る研究 ・高知コア研究所の分析・計測及び研究に係る施設・設備の運用、保守、維持、整備、管理、利用、機能向上及び関連技術に 係る研究開発 Ⅵ コミュニケーション 活動 むつ研究所 ・沿岸から近海域における熱・物質輸送に係る研究 ・沿岸から近海域における生物及び海洋環境に係る研究 理事長ごあいさつ ②開発・運用部門 特 集 TOPICS 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 海洋工学センター ・海洋エネルギー・資源に関連する基盤技術に係る研究開発 ・海中探査機に係る開発 ・ブイ等の海洋観測システムに係る開発及び機能向上 ・水中音響通信・測位技術に係る研究開発 ・海洋の物理センサー、化学センサー及び生物センサーに関連する計測技術に係る研究開発 ・研究船等の運用計画の立案及び調整並びに共同利用に係る調整及び事務 ・研究船等の運航計画、運航管理 ・深海用探査機及び調査観測機器に係る運用・操作技術の向上、運航・保守整備 ・外国の排他的経済水域・領海における海洋の科学的調査に対する同意の申請及び調整 ・学術研究船「白鳳丸」の運航 など 地球情報基盤センター ・地球シミュレータ等の成果に係る事業化推進 ・海洋地球科学における様々なスケールのプロセス及び諸現象シミュレーションに係る研究開発 ・モデル、シミュレーションデータ及び観測データに関連する高次解析に係る研究開発 ・海洋・地球観測データの付加価値化及び実利用プロダクトの開発に係る統合及び解析技術の研究開発 ・統合データ及び種々の情報等の応用、活用及び展開技術並びに共有化の技術に係る研究開発 ・地球シミュレータ等の数値シミュレーション手法及び高速化技法等の研究開発 ・海洋・地球観測データの活用のための公開、提供、情報化及び可視化に係る研究開発 ・地球シミュレータ等の導入、維持、管理及び開発 ・地球シミュレータ等の利用者に対する総合的な技術支援 ・海洋・地球観測データ・サンプルの管理、公開及び提供 ・国際海洋環境情報センターが運用する各種データベース構築・運用管理に係る情報の収集、分類、整理、加工、提供及び保 管 など ・国際海洋環境情報センターにおけるデータの公開、提供及び公開データの利活用に係る開発 など 地球深部探査センター ・「ちきゅう」の運用計画の立案、乗船者管理、操業管理 ・船体システムに関する研究開発及び保守整備 ・掘削システムに関する研究開発及び保守整備 ・サブシーシステムに関する研究開発及び保守整備 ・コアリングシステムに関する研究開発及び保守整備 ・「ちきゅう」による掘削に係る科学的分野における実施計画の立案及び推進 ・「ちきゅう」による研究航海に関係する研究者の支援及びその科学成果のとりまとめ ・「ちきゅう」上及び保管場所への輸送におけるコアサンプルの管理 など 次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム ・海底資源の形成過程及び成因解明に係る研究開発 ・海洋資源探査システム・運用手法に係る研究開発 ・自律型無人探査機(AUV)の複数機運用に係る研究開発 ・遠隔操作型無人探査機(ROV)を用いた作業システムに係る研究開発 ・海洋生態系観測及び変動予測手法の開発に係る研究 ・海洋資源開発対象海域の多様なモニタリングを実現させるためのケーブル式観測システム及びそれに付随したシステムに係 る研究開発 など 気候変動適応技術開発プロジェクトチーム ・地方自治体等による気候変動適応策の検討及び策定に利用可能な、数年先から十数年先の気候変動に係る予測情報を予測精 度の確率情報とともに作成し提供する手法に係る技術開発 ・数年先から十数年先の気候変動に係る予測情報を、地方自治体等による気候変動適応策の検討及び策定に必要な解像度まで ダウンスケールする汎用的な手法に係る技術開発 ビッグデータ活用予測プロジェクトチーム ・文部科学省の科学技術試験研究委託事業「ポスト「京」で重点的に取組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーショ ン開発・研究開発」に係る次の研究開発 *リードタイムを確保するための高精度なメソスケール数値天気予報に係る研究開発 *極端現象の全球予測に係る研究開発 *総合的な地球環境の監視及び予測に資するための化学輸送モデル及び大気環境データ同化手法の精緻化に係る研究開発 *観測ビッグデータを活用した気象・地球環境予測のアプリケーション開発 16 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ⑵ 研究活動行動規準 る誠実さがより求められること等を踏まえ、日本学術会議 が定めた「科学者の行動規範」(2006年10月3日)を参考 れに従い研究活動を行ってきましたが、研究者の不正は今 発生した東日本大震災以降、研究者の社会への発言に対す に、2012年10月に従来の規準を見直しました。 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/research_acti vities/】 研究活動行動規準 研究紹介 独立行政法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」という。)は、平和と福祉の理念に基づき、海洋に関する基盤的研究開 発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を統合的に行うことにより、海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術 研究の発展に資することを目的としています(独立行政法人海洋研究開発機構法第4条) 。 TOPICS もなお社会的に問題となっており、また2011年3月11日に 特 集 JAMSTECでは研究活動における不正行為などに対応 するため、2006年度に「研究活動行動規準」を策定し、こ JAMSTECにおいて研究活動に携わる私たちには、前述の目的を踏まえ、新たなる真理を発見し、専門知識や技術を活かして 人類の福祉、社会の安全と安寧、そして地球環境の持続性に貢献する責任があります。 Ⅲ 安全の取組み 1.研究活動に携わる者として、常に誠実性、客観性、透明性をもって研究活動にあたり、課せられた社会的責任を全うしま す。 2.研究活動に係る資金については、社会からの負託の基に供与されているものと強く認識し、適正な申請・管理・執行に務 めます。 3.研究活動における不正(研究に関わる捏造、改ざん、盗用、研究資金の不正使用等)を発見した場合には黙認せず、JAM STECに所属する者として定められたルールに基づき、適切に対応します。 4.指導的な立場にある者は、JAMSTECの方針に則り、各々の部門において誠実な研究活動を維持向上できる環境の構築に 務め、研究活動における不正の余地が生じないよう、日々適切なコミュニケーションを心がけます。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 私たちは、ここに日々の研究活動において常に意識すべきことを、 「研究活動行動規準」として制定し、その行動を自らが厳 正に律する倫理観の確立を目指します。 Ⅰ JAMSTEC の概要 研究活動は、いうまでもなく研究に携わる者一人一人の誠実性、自律性を基盤として行われるべきものであり、そこに不誠実 性が存在することは許されません。特に科学活動とその成果が大きな影響力を持つ現代において、研究者は常に倫理的な判断に 基づいて行動しなくてはなりません。 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 17 理事長ごあいさつ ⑶ 業務の評価 特 集 文部科学省所管の国立研究開発法人であるJAMSTEC は、毎事業年度の業務実績について、文部科学省の国立研 究開発法人審議会の審議を経て、文部科学大臣により評価 要は以下のとおりです。 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/research_ assessment/】 TOPICS を受けています。平成27年度の業務実績に対する評価の概 文部科学大臣による国立研究開発法人海洋研究開発機構の平成27年度における業務の実績に関する評価 研究紹介 全体の評定:B 【評定の区分】 S:国立研究開発法人の目的・業務、中長期目標等に照らし、法人の活動による成果、取組等について諸事情を踏まえて総合 的に勘案した結果、適正、効果的かつ効率的な業務運営の下で「研究開発成果の最大化」に向けて特に顕著な成果の創出 Ⅰ JAMSTEC の概要 や将来的な特別な成果の創出の期待等が認められる。 A:国立研究開発法人の目的・業務、中長期目標等に照らし、法人の活動による成果、取組等について諸事情を踏まえて総合 的に勘案した結果、適正、効果的かつ効率的な業務運営の下で「研究開発成果の最大化」に向けて顕著な成果の創出や将 来的な成果の創出の期待等が認められる。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント B:国立研究開発法人の目的・業務、中長期目標等に照らし、法人の活動による成果、取組等について諸事情を踏まえて総合 的に勘案した結果、「研究開発成果の最大化」に向けて成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められ、着実な業 務運営がなされている。 C:国立研究開発法人の目的・業務、中長期目標等に照らし、法人の活動による成果、取組等について諸事情を踏まえて総合 的に勘案した結果、「研究開発成果の最大化」又は「適正、効果的かつ効率的な業務運営」に向けてより一層の工夫、改 Ⅲ 安全の取組み 善等が期待される。 D:国立研究開発法人の目的・業務、中長期目標等に照らし、法人の活動による成果、取組等について諸事情を踏まえて総合 的に勘案した結果、「研究開発成果の最大化」又は「適正、効果的かつ効率的な業務運営」に向けて抜本的な見直しを含 め特段の工夫、改善等を求める。 Ⅳ 環境の取組み <評定に至った理由> 地震・津波観測監視システム(DONET)の構築完了による防災・減災対策への貢献、「ちきゅう」での掘削試料の 分析よる世界初の海底下深部生命圏の限界域への到達や「ゆっくり地震」の再現、インド政府からの依頼に基づくメ タンハイドレート掘削調査の実施等、特筆すべき顕著な成果が得られている。 Ⅴ 社会的取組み 一方で、項目別評定の多くの項目において、平成27年度計画を着実に実施し中期目標及び中期計画における所期の 目標の達成が認められるとしてB評定を付しているのに加え、国家的・社会的ニーズを踏まえた戦略的・重点的な研 究開発(以下「課題達成型の研究開発」という。 )の中には、中期目標上のアウトカム創出へ向けての取組を更に強化 していくことが必要なものもある。 Ⅵ コミュニケーション 活動 これらの事情を総合的に勘案した結果、 「文部科学省所管の独立行政法人の評価に関する基準」に基づき、総合評定 をBとした。 安全・環境報告書 の評価 18 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ⑴ 組織図 特 集 3. 組織構成 理 事 監 事 開発・推進部門 運営管理部門 戦略研究開発領域 海洋工学センター 経営企画部 基幹研究領域 人事部 地球深部探査センター 企画調整室 運用部 技術部 科学支援部 環境保安グループ 人事第1課 人事第2課 職員課 男女共同参画・職員サポート課 経理部 次世代海洋資源調査技術研究開発 プロジェクトチーム 経理課 財務課 契約第1課 契約第2課 気候変動適応技術開発プロジェクトチーム イノベーション・事業推進部 ビッグデータ活用予測プロジェクトチーム イノベーション推進課 研究業務課 国際課 広報部 高知コア研究所 研究推進第1課 研究推進第2課 安全・環境管理室 監査室 海洋科学技術イノベーション 推進本部 (平成28年7月1日現在) 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/organization/】 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 19 安全・環境報告書 の評価 研究推進部 広報課 報道課 Ⅵ コミュニケーション 活動 断層物性研究グループ 地球深部生命研究グループ 同位体地球化学研究グループ 科学支援グループ 管理課 Ⅴ 社会的取組み 陸域周辺海域海洋環境変動研究グループ 研究推進グループ 管理課 総務課 施設課 横浜管理課 法務・コンプライアンス課 Ⅳ 環境の取組み むつ研究所 企画調整室 先端情報研究開発部 統合地球情報研究開発部 情報システム部 地球情報技術部 国際海洋環境情報センター Ⅲ 安全の取組み 大気海洋相互作用研究分野 地球表層物質循環研究分野 統合的気候変動予測研究分野 シームレス環境予測研究分野 地球深部ダイナミクス研究分野 地球内部物質循環研究分野 海洋生物多様性研究分野 深海・地殻内生物圏研究分野 生物地球化学研究分野 数理科学・先端技術研究分野 地球情報基盤センター 総務部 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 北極環境変動総合研究センター 企画課 経営戦略課 Ⅰ JAMSTEC の概要 東日本海洋生態系変動解析プロジェクトチーム 企画調整室 海洋技術開発部 運航管理部 研究紹介 研究部門 地球環境観測研究開発センター 海洋掘削科学研究開発センター 地震津波海域観測研究開発センター 海洋生命理工学研究開発センター 海底資源研究開発センター アプリケーションラボ 気候変動リスク情報創生プロジェクトチーム TOPICS 理 事 長 理事長ごあいさつ ⑵ JAMSTECの拠点(事業所) 特 集 むつ研究所 青森県むつ市大字関根字北関根690番地 TOPICS 研究紹介 高知コア研究所 高知県南国市物部乙200 Ⅰ JAMSTEC の概要 東京事務所 東京都千代田区内幸町2丁目 2番2号 富国生命ビル23階 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み 横須賀本部 横浜研究所 神奈川県横須賀市夏島町2番地15 神奈川県横浜市金沢区昭和町3173番地25 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 国際海洋環境情報センター(GODAC) 沖縄県名護市字豊原224番地3 安全・環境報告書 の評価 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/access/】 20 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ⑶ 研究船・探査機・施設設備 特 集 研究船 105.2m 全 長 106.0m 幅 16.0m 幅 16.0m 深 さ 7.3m 深 さ 7.3m 喫 水 4.7m 喫 水 4.7m 国 際 総トン数 4︐439トン 国 際 総トン数 4︐517トン 航海速力 約16ノット 航海速力 約16ノット 航続距離 約9︐500マイル 航続距離 約9︐600マイル 定 員 60名(乗組員45名/研究者等15名) 定 員 60名(乗組員38名/研究者等22名) 主推進機関 ディーゼル機関2︐206kW×2基 主推進機関 ディーゼル機関2︐206kW×2基 主推進方式 可変ピッチプロペラ×2軸 主推進方式 可変ピッチプロペラ×2軸 ●海底広域研究船「かいめい」 全 長 128.5m 全 長 100.5m 幅 19.0m 幅 20.5m 深 さ 10.5m 深 さ 9.0m 喫 水 6.9m 喫 6.0m 国 際 総トン数 8︐706トン 国 際 総トン数 5︐747トン 航海速力 約16ノット 航海速力 約12ノット 航続距離 約12︐000マイル 航続距離 約9︐000マイル 定 員 80名(乗組員34名/研究者等46名) 定 員 65名(乗組員27名/研究者等38名) ディーゼル機関1︐838kW×4基 主推進機関 推進電動機2︐400kW×2基 推進電動機700kW×2基 主推進方式 アジマス推進器2基 主推進機関 主推進方式 水 Ⅳ 環境の取組み ●海洋地球研究船「みらい」 Ⅲ 安全の取組み ◆「かいこう」の支援母船 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ◆「しんかい6500」 、 「うらしま」の支援母船 Ⅰ JAMSTEC の概要 全 長 研究紹介 ●深海調査研究船「かいれい」 TOPICS ●深海潜水調査船支援母船「よこすか」 可変ピッチプロペラ×2軸 ●学術研究船「白鳳丸」 全 長 66.0m 全 長 100.0m 幅 13.0m 幅 16.2m 深 さ 6.2m 深 さ 8.9m 喫 水 Ⅴ 社会的取組み ●東北海洋生態系調査研究船「新青丸」 6.3m 1︐629トン 国 際 総トン数 3︐991トン 航海速力 約12ノット 航海速力 約16ノット 航続距離 約6︐500マイル 航続距離 約12︐000マイル 定 員 41名(乗組員26名/研究者等15名) 定 員 89名(乗組員54名/研究者等35名) 主推進機関 推進電動機1︐300kW×2基 主推進器 アジマス推進器2基 主推進機関 4サイクルディーゼル機関1︐900ps×4基 電気推進モーター460kW×2基 主推進方式 4翼可変ピッチプロペラ (ハイスキュー型×2軸×2舵) JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 21 安全・環境報告書 の評価 喫 水 Ⅵ コミュニケーション 活動 5.0m 国 際 総トン数 理事長ごあいさつ 特 集 TOPICS 研究紹介 ●有人潜水調査船「しんかい₆500」 ●地球深部探査船「ちきゅう」 全 長 9.7m 全 長 210m 幅 2.8m 幅 38.0m 高 さ 4.1m 深 さ 16.2m 空中重量 26.7トン 喫 水 9.2m 潜航深度 6︐500m 潜航時間 8時間 国 際 総トン数 56︐752トン ライフサ ポート時間 129時間 航海速力 約12ノット 航続距離 約14︐800マイル 乗 3名(パイロット2名/研究者1名) 定 員 200名 2.7ノット 推進システム ディーゼル電気推進 員 数 最大速力 探査機 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ●深海巡航探査機「うらしま」 ●深海探査機「じんべい」 全 長 10.0m 全 長 4.0m 幅 1.3m 幅 1.1m 高 さ 1.5m 高 さ 1.0m 空中重量 1.7トン 潜航深度 3︐000m 速 力 2ノット 潜航時間 約10時間 約7トン 空中重量 (リチウムイオン電池を搭載時) Ⅲ 安全の取組み 潜航深度 3︐500m 航続距離 100km以上 速 力 0~3.0ノット 動 リチウムイオン電池 力 源 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み ●深海探査機「おとひめ」 ●深海探査機「ゆめいるか」 全 長 2.5m 全 長 5.0m 幅 2.1m 幅 1.2m 高 さ 1.4m 高 さ 1.2m 空中重量 850kg 空中重量 2.7トン 潜航深度 3︐000m 潜航深度 3︐000m 速 力 0.5~1.5ノット 速 力 2~3ノット 潜航時間 約8時間 潜航時間 約16時間 Ⅵ コミュニケーション 活動 ●₃︐000m級無人探査機「ハイパードルフィン」 ●深海曳航調査システム「ディープ・トウ」 全 長 3.0m 幅 2.0m 高 さ 2.6m 全長数千メートルのケーブルの先端にソーナーやカメラ を装備した曳航体を取り付け、海底付近をごく低速で曳 航するシステム。 空中重量 4.3トン 潜航深度 3︐000m 安全・環境報告書 の評価 最大速力 (前進/後進) 3ノット/2ノット 最大速力 (横進/上昇・下降) 2ノット/1.5ノット 22 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ●₇︐000m級無人探査機「かいこう」システム ランチャー(ランチャーは共用) さ 特 集 大 き 全長5.2m 幅2.6m 高さ3.2m 5.8トン 最大潜航 深 度 11︐000m TOPICS 空中重量 ●無人探査機「かいこうMk-Ⅳ」ビークル 全 長 3.0m 全 長 3.0m 幅 2.0m 幅 2.0m 高 さ 2.1m 高 さ 2.6m 空中重量 約4トン 空中重量 約6トン 潜航深度 7︐000m 潜航深度 7︐000m 研究紹介 ●無人探査機「かいこう₇000Ⅱ」ビークル Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 施設設備 ●地球シミュレータ ●コア保管庫 計算ノード 庫内温度 コ ア 数 演算性能 (コア当たり) 64GFLOPS 64GB 【従来保管庫】 約2︐000m2 広 さ 【新保管庫】 約1 ︐ 000 m 2( 中 2 階 構 造・高さ約7.5m) 収納できる 【従来保管庫】 約17万本 コ ア 本 数 【新保管庫】 約20万本 Ⅳ 環境の取組み メモリ容量 4 4℃(冷凍保管庫は-20℃) メモリバンド幅 256GB/s システム 総ノード数 5︐120 Ⅴ 社会的取組み 総 C P U 数 5︐120 総コア数 20︐480 総合演算性能 1.3PFLOPS 新保管庫へ引っ越しの様子 総メモリ容量 320TB Ⅵ コミュニケーション 活動 総メモリバンド幅 Ⅲ 安全の取組み C P U 数 1 1.3PB/s 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 23 理事長ごあいさつ ●超音波水槽装置 特 集 鉄筋コンクリート 水槽寸法 長さ9m×幅9m×深さ9m 無響装置 壁面(5面)全体に吸音材(マイヤーゴ ム)を装備 TOPICS 材 質 ●高圧実験水槽装置 有効寸法 【大型】内径1.4m×高さ3m (有効容積:4.61m3) 【中型】内径0.6m×高さ1.6m (有効容積:0.49m3) 最大使用圧力 147MPa(共通) 昇降圧速度 加圧媒体 【大型】0.39~3.9MPa/min 【中型】2.74~27.4MPa/min 真水(共通) 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ●多目的プール ●多目的実験水槽 構 造 鉄筋コンクリート(水密) 材 質 鉄筋コンクリート 大 長さ21m×幅21m×深さ1.5m及び3.3m 水槽寸法 長さ40m×幅4m×深さ2m(一部2.3m) き さ Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/】 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 24 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 4. 経営指標 JAMSTEC全体の収入、支出及び人員の推移は以下のとおりです。2005年度より独立行政法人化され、収入及び支出に TOPICS ついて、以下のような区分で管理しています。 (百万円) 90,000 8,990 80,000 収 入 8,019 70,000 受託収入 60,000 40,000 0 7,545 949 3,818 3,946 4,790 2,241 8,445 35,548 事業等収入 4,431 1,033 1,328 2,815 3,143 1,808 3,427 450 36,337 36,028 36,354 34,449 39,672 8,759 1,176 3,894 201 38,305 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 8,773 補助金収入 施設費補助金 運営費交付金 (年度) Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 6,211 3,191 211 560 38,560 Ⅰ JAMSTEC の概要 50,000 研究紹介 1,614 (百万円) 90,000 7,235 80,000 35,132 60,000 50,000 0 受託経費 5,250 施設費 8,670 6,087 483 211 37,084 1,356 2009 4,081 433 2,859 37,024 1,307 2010 7,725 3,904 3,818 32,568 1,305 2011 8,445 7,971 38,038 1,145 38,821 1,117 2012 2013 5,875 2,798 1,283 34,929 1,451 2014 補助金事業 7,044 200 3,820 35,750 1,291 2015 Ⅳ 環境の取組み 40,000 Ⅲ 安全の取組み 支 出 70,000 事業経費 一般管理費 (年度) 400 25 50 117 46 50 124 268 46 46 128 310 332 40 44 137 40 47 148 495 479 194 199 210 212 210 62 58 56 53 54 2009 351 45 46 167 47 44 144 その他(事務スタッフなど) 出向契約職員 船員 445 437 347 2010 490 369 318 任期制事務・技術職 任期制研究職 2011 2012 2013 227 257 80 130 2014 2015 定年制事務・技術職 安全・環境報告書 の評価 0 245 Ⅵ コミュニケーション 活動 人員の推移 800 261 定年制研究職 (年度) JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 Ⅴ 社会的取組み (人) 1,200 25 理事長ごあいさつ 特 集 5. 沿革 TOPICS 1971年 1981年 1985年 1990年 1995年 1997年 研究紹介 2000年 Ⅰ JAMSTEC の概要 2001年 2002年 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 2004年 2005年 2007年 Ⅲ 安全の取組み 2008年 Ⅳ 環境の取組み 2009年 2011年 2013年 Ⅴ 社会的取組み 2015年 2016年 10月 10月 5月 4月 3月 10月 1~ 2月 3月 9月 12月 10月 10月 4月 10月 11月 4月 8月 3月 4月 2月 2月 7月 10月 3月 3月 9月 2~ 3月 10月 3月 3月 3月 11月 1月 1~11月 6月 4月 6月 2月 3月 「海洋科学技術センター」設立 「しんかい2000」/「なつしま」システム完成 海中作業実験船「かいよう」竣工 「しんかい6500」/「よこすか」システム完成 10︐000m級無人探査機「かいこう」がマリアナ海溝の世界最深部の潜航に成功 「むつ事業所」開設 ロシア船籍タンカー「ナホトカ号」沈没部調査 深海調査研究船「かいれい」竣工 海洋地球研究船「みらい」竣工 学童疎開船「対馬丸」調査 「ワシントン事務所」開設 「むつ研究所」発足 「シアトル事務所」開設 実習船「えひめ丸」ハワイ沖引き揚げ調査協力 「国際海洋環境情報センター」開設 「地球シミュレータ」世界最高の演算性能を達成 「横浜研究所」開設 「しんかい2000」退役 「独立行政法人海洋研究開発機構」発足 インドネシア・スマトラ島沖地震調査を実施 「うらしま」が世界新記録航続距離317kmを達成 地球深部探査船「ちきゅう」竣工 「高知コア研究所」設立 「シアトル事務所」閉鎖 「しんかい6500」1︐000回潜航を達成 地球深部探査船「ちきゅう」による「南海トラフ地震発生帯掘削計画」開始 護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」衝突事故に関する海域調査を実施 IPCCのノーベル賞受賞に地球シミュレータが貢献 地球シミュレータ更新 東日本大震災に関する緊急調査を実施 「ワシントン事務所」閉鎖 神戸サテライト開設 学術研究船「淡青丸」退役 「しんかい6500」世界一周航海「QUELLE(クヴェレ)2013」実施 東北海洋生態系調査研究船「新青丸」竣工 「国立研究開発法人海洋研究開発機構」に名称変更 地球シミュレータ(3代目)更新完了 海洋調査船「なつしま」 、海洋調査船「かいよう」退役 海底広域研究船「かいめい」竣工 安全・環境配慮活動の歩み Ⅵ コミュニケーション 活動 2003~2005年度 海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する影響等の諸調査を実施 2006年 3月 「環境への配慮に係る基本方針」策定 「調査・観測活動に係る環境保全のための指針」策定 7月 「安全基本方針」策定 9月 第1回目の環境報告書を発行 2009年 4月 安全管理の方針等を審議する「安全会議」を「安全・環境会議」に改称 2013年 11月 「音波による構造探査における海洋哺乳類への影響緩和ガイドライン」策定 2014年 4月 「安全衛生及び環境配慮に係る基本方針」策定 2015年 9月 「環境報告書」を「安全・環境報告書」に改称して発行 安全・環境報告書 の評価 26 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ Ⅱ. 安全衛生及び環境配慮のマネジメント 特 集 TOPICS 1. 安全衛生及び環境配慮のための体制 ⑴ 基本方針・指針 法等の労働関係法令に則り各種委員会やパトロール、有害 慮促進法の施行に伴い、特定事業者として毎年環境報告書 業務に係る作業環境測定等を実施して職場の安全及び衛生 の作成と公表が義務付けられたため、これを契機として、 の管理を行っているほか、ヒヤリハット事例の収集、リス 平成18年3月に「環境への配慮に係る基本方針」を策定 クアセスメントの推進、マネジメントシステム(PDCA し、環境配慮活動に取組むこととしました。また、それま サイクル)による継続的改善に努めています。 で調査・観測活動を対象とした指針は一部の部署では策定 また、緊急事態が生じた場合に迅速に対応できるようマ されていましたが、JAMSTEC全体としての指針は策定 ニュアルを整備し定期的に訓練を行っているほか、職員の されておらず、更には海洋における調査観測活動につい 安全衛生の意識向上のため、教育・訓練を実施していま て、「国連海洋法条約」や「生物多様性条約」等により、 す。 環境保全という観点からの実施が必要とされている情勢を JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 27 安全・環境報告書 の評価 独立行政法人海洋研究開発機構(以下「機構」という。 )は、環境保全・生態系保全の観点から、海洋に関する基盤的研究開 発の推進のための観測・調査研究及び技術開発等(以下「調査・観測活動」という。)の実施にあたり、以下の事項に配慮する こととする。 1.機構は、調査・観測活動を実施する場合は、国内の関連法令はもとより、基本的に「国連海洋法条約」 「生物多様性条約」 等の国際的な法規範を尊重する。 2.機構は、調査・観測活動のために利用する機器、船舶及び無人探査機等の運用に際しては、環境保全及び生態系保全に配慮 する。 3.採取する試料については、環境の保全及び生態系の保全を最優先に考え、必要最小限に抑えるように努める。 Ⅵ コミュニケーション 活動 調査・観測活動に係る環境保全のための指針 Ⅴ 社会的取組み 【環境】持続可能社会構築への貢献 機構は、研究開発機関として機構が保有する研究開発資源を最大限に活用し、次の活動を通じて持続可能な社会の構築に貢献 します。 ⑴ 研究・開発活動を通じて得られた地球環境変動にかかわる科学的知見を広く社会に発信します。 ⑵ 事業活動に伴う環境負荷の低減に資する行動を計画的に実施します。 ⑶ 環境保全に係る国内外の規範の遵守は勿論のこと、更なる環境配慮活動の充実を図ります。 Ⅳ 環境の取組み 【安全衛生】ゼロ災害の希求及び健全・快活な職場環境の形成 機構は、事故・災害の発生を未然に防止するという断固とした意志のもとゼロ災害を希求するとともに、役職員の心身の健康 を保持・増進し、良好な人間関係の構築を図るため、次の活動を通じて健全で快活な職場環境を形成します。 ⑴ 職場や作業に潜む事故・災害が発生するリスクを発見・把握・分析・解決し、事故・災害の発生を未然に防止します。 ⑵ 上長が率先垂範して安全管理、作業環境管理、作業管理、健康管理を確実に行い、安全衛生管理を徹底します。 ⑶ 役職員相互のコミュニケーションの活性化を図り、一人一人が自主・自発的に安全行動を実践します。 Ⅲ 安全の取組み 独立行政法人海洋研究開発機構(以下「機構」という。 )は、業務の遂行にあたって安全と健康の確保を最優先とし、快適な 職場環境の形成を促進するため、役職員が一丸となって安全衛生の諸活動に取り組みます。 また、海洋科学技術分野をリードする研究開発機関としての責務を認識し、地球環境の保全に積極的に貢献します。 以上の決意のもと、機構は安全衛生及び環境配慮に係る基本方針を定めます。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 安全衛生及び環境配慮に係る基本方針 Ⅰ JAMSTEC の概要 一方、環境配慮活動については、平成17年4月の環境配 研究紹介 JAMSTECの安全衛生管理は、労働安全衛生法、船員 理事長ごあいさつ 特 集 TOPICS 受け、「環境への配慮に係る基本方針」と合わせて「調 安全衛生・環境配慮目標を定め、この基本方針や安全衛 査・観測活動に係る環境保全のための指針」を策定し、実 生・環境配慮目標を土台として、各部署それぞれがアク 施することとしました。平成26年4月1日からは、第3期 ションプランを作成し、そのアクションプランに従って安 の中期計画の開始に伴い、安全衛生と環境配慮に係る基本 全衛生の管理や改善活動及び環境配慮活動を行います。各 方針を統合することとし、新しく「安全衛生及び環境配慮 部署はアクションプランの実施状況を次年度の安全・環境 に係る基本方針」を平成26年4月25日に制定しました。 会議で報告することになっており、また必要に応じて安 全・環境管理室の安全監査を受けることとしています。こ ⑵ マネジメントシステム のアクションプランの実施結果や安全監査の結果を踏まえ た上で現状の問題点や課題を分析し、それらの課題等を是 研究紹介 JAMSTECでは、安全衛生の管理と環境配慮活動に関 正するように次年度の新たな目標の設定を安全・環境会議 する意思決定を、理事長を議長とする安全・環境会議で で行います。このような一連のサイクル(PDCAサイク 行っています。年度当初に開催される安全・環境会議で ル)により安全衛生及び環境配慮に係るマネジメントシス は、安全衛生及び環境配慮に係る基本方針や、その年度の テムの運用を行っています。 Ⅰ JAMSTEC の概要 JAMSTECの安全衛生及び環境配慮マネジメントシステム 安全・環境会議【Action, Plan】 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 議長/理事長 委員/理事 ほか 安全・衛生・環境に係る方針及び目標の策定 Ⅲ 安全の取組み 安全監査【Check】 安全・環境管理室 このサイクルを 繰り返します Ⅳ 環境の取組み アクションプランの実施状況 についての監査を行う Ⅴ 社会的取組み アクションプラン実施報告【Check】 アクションプランの実施状況を年度末に報告する Ⅵ コミュニケーション 活動 アクションプランの策定(年度当初)と活動の実施【Do】 安全・環境報告書 の評価 各部署 アクションプランに従い安全の管理、改善及び環境配慮活動を実施する 28 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ⑶ 平成2₈年度の目標と平成2₇年度の実績 特 集 安全・環境会議において定めた平成28年度の安全衛生・ 環境配慮目標と平成27年度の実績は次のとおりです。 1.安全・衛生に関する情報の周知・共有の徹底 得られた安全・衛生に関する情報については関係者に確実に周知し、当該情報を共有することにより事故・トラブルの再発 を防止する。 5.廃棄物の適正処理と削減 廃棄物の分別や廃棄ルールの順守等廃棄物を適正に処理し、また廃棄物排出量の削減に努める。 Ⅲ 安全の取組み 6.定量的な環境配慮活動の実施 昨年度から継続し、省エネルギー・省資源等の環境配慮活動について、定量的な目標を設定し、効果的な環境配慮活動を実 施する。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 4.外部からの脅威に対する安全対策の構築 テロ対策、情報セキュリティなど、外部からもたらされる脅威による被害を未然に防ぐため、所管する業務におけるこれら の危険性を抽出し、安全対策を構築する。 Ⅰ JAMSTEC の概要 3.安全・衛生・環境に係るルール(法令・規程類・ガイドライン等)の再確認 各所管業務に係る安全・衛生・環境に係るルールを再確認し、コンプライアンスを実践する。 研究紹介 2.作業場における危険性の抽出と整理整頓 作業場(居室、実験室、廊下を含む。)に潜む危険性を抽出し改善を行うとともに、動線の確保、不用物品の廃棄、日常的 な清掃の励行など作業場の整理整頓を行う。 また、調査、観測を実施する船上や野外等については、事前のリスクアセスメントを行い、現場での状況を記録して、調 査、観測後にレビューを行う。 TOPICS 平成2₈年度 安全衛生・環境配慮目標 平成2₇年度 安全衛生・環境配慮目標 3.火災予防の推進及び火災発生時の対応の徹底 5.定量的な環境配慮活動の推進 省エネルギー・省資源等の環境配慮活動について、定量的な目標を設定し、より効果的な環境配慮活動を推進する。 Ⅵ コミュニケーション 活動 4.電気機器の適切な取扱い 電気機器については適切に使用し、おおむね15年を経過した機器については廃棄又は更新に努め、もしくは使用方法又は管 理方法の検討を行う。 Ⅴ 社会的取組み 2.不安全行動の防止 安全衛生教育、作業手順の確認、リスクアセスメント、声掛けなどを実施し、業務における不安全行動の防止を図る(各部 署にて5件以上のヒヤリハット事例を収集する)。 Ⅳ 環境の取組み 1.安全衛生教育の推進 労働災害の発生を未然に防止するため、安全衛生教育を推進する。 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 29 理事長ごあいさつ 特 集 平成2₇年度の主な実績 TOPICS 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 実施内容 実施部署 【防火】電気火災予防のため、おおむね製造後15年以上経過した電気機器を調査し、リスト(約300台)を作成 した。このうち平成27年度は、研究者不在時に運転する機器、発熱、駆動部分を有する機器を優先し、44台の 機器更新を実施した。 研究推進部 【安全】海外出張に際しては、従来の情報収集に加え、外部コンサルタントと契約し現地情報やテロ発生時の 対応についての講義研修を行うなど安全対策を行った。 地震津波海域観測 研究開発センター 【環境】会議の際パソコンを使用するなどペーパーレスとしコピー用紙の使用を削減した。また、平成27年度 から複合機を更新し、小型化した事も併せて電力消費を軽減(停電力モード時167W→46W)するなど、機器 更新の際には省電力化を図った。 むつ研究所 【安全】「白鳳丸」では検査工事・修繕工事の現場に出る担当者を中心にリスクアセスメントを実施し、工事仕 様書に反映させた結果、乗組員や造船所作業者にも安全を意識させる結果を得られた。また、船舶と陸上の意 識の共有を図ることを目的に毎月1回の頻度で安全ミーティングを開催し、問題点を自由に発言できる場を設 けた。 海洋工学センター 【環境】新地球シミュレータの導入と適切な温度管理によって、横浜研究所シミュレータ棟の電力使用量は、 前年度比約35%減を達成した。 地球情報基盤センター 【安全】地球深部探査センターにおけるニアミス・ヒヤリハット報告の仕組みを整備し、多くの投稿を得た。 地球深部探査センター Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 【環境】総務課が事務局を担当する各会議にてペーパーレス化を開始した。 総務部 【環境】給湯室のポット電源については、電源タイマーを導入して夜中の給電を基本的に停止する措置を実施。 経理部 【安全】船舶見学の際は、事前に関係部署と危険箇所について確認を行い、見学者へ事前周知を行った。ま た、必ず履物及び服装についても見学者に事前周知を行ったほか、見学中は集団の前後に機構職員を配置した。 事業推進部 【安全】施設公開において、敷地内の安全の確保のため、事前に安全パトロールを行い、不安全箇所の抽出を 実施、公開前に対策・改善を実施した。また、実施後、問題点を抽出し、次回に活かすこととした。 広報部 【安全】実験従事者安全講習会(バイオセーフティ、化学物質安全管理、放射線管理)、高圧ガス保安講習会、 安全講演会(客船における安全対策と環境配慮活動)を開催した。 安全・環境管理室 Ⅲ 安全の取組み ヒヤリハット事例のご紹介 場 所 事 例 非常用シャワーのハンドルが高い位置にあり手が届かない 移動式書庫に挟まれそうになった Ⅳ 環境の取組み 横須賀本部 避難訓練の際、パートタイマーの方に避難時の集合先を指示できなかった 構内の横断歩道で自家用車と接触しそうになった 落下防止策を施さず、書棚の上に書類等が乗せてある 階段を下りて事務室に入ろうとしたときにドアが開いた Ⅴ 社会的取組み 横浜研究所 横浜研究所付近 横断歩道の信号が青になっても車が突っ込んでくる 高知コア研究所 人が入っているのに保管庫の照明を消した Ⅵ コミュニケーション 活動 国際海洋環境 情報センター 船舶 屋外の浄化槽マンホールのフタが約2cm浮いていた 立入禁止区域でのプレスの撮影を引率のJAMSTEC職員が許していた 段ボールが消火栓及びアクセス路を一部塞ぐように置かれていた 安全・環境報告書 の評価 観測現場(国内) 地質試料サンプリングの際、猪の群れに遭遇した 観測現場(海外) 大雨の後、車で走行中に道ばたの木が倒れてきて車をかすめた 通勤路 30 窓の高さが低いので、窓を開けていると転落する可能性がある 道路が2車線から1車線になった所で他車とぶつかりそうになった JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 2. 安全衛生・環境関連委員会の活動 JAMSTECの事業活動に伴う環境影響の評価や環境保 全の課題については、その活動の形態や分野に応じてそれ 環境測定などの衛生管理、エネルギーの効率的な使用、コ らの活動を所掌する各委員会で審議するほか、比較的大規 ンプライアンスの推進、リスクの管理などを適切に行い対 模なプロジェクトなどについては事前に個別の専門委員会 策を取ることが重要です。JAMSTECでは、これらにつ を設置・開催し、環境影響の評価や実施計画の策定などを いて規程などのルールを整備して制度的に管理するととも 行い実施しています。 に、各種の委員会を設置して、安全衛生・環境に関係する JAMASTECでは次のような安全衛生・環境に関連した 研究紹介 いろいろな課題を審議し、問題の解決を図っています。 委員会を設置しており、定期的に開催しています。 安全・環境・リスクマネジメント関連委員会と設置の目的 設置の目的 安全・環境会議 JAMSTECの安全衛生管理の方針や目標、安全衛生と環境に関する重要事項を審議 します。また、各安全委員会の所掌の調整も行います。 職員の安全と健康維持に関して調査・審議します。 JAMSTECで行われる重要な調査・研究を安全に推進するための方策などを審議し ます。 科学掘削安全検討委員会 地球深部探査船「ちきゅう」の運航や「ちきゅう」で行われる掘削に関して、その 重要事項や安全対策について審議します。 化学物質環境安全委員会 試薬などに代表される化学物質の取扱いに関して、環境の安全や職員の健康と安全 について調査・審議します。 組換えDNA実験安全委員会 遺伝子組換え実験に関しての安全性を調査・審議します。 微生物実験に関しての安全性を調査・審議します。 放射線安全委員会 放射線障害の防止について、調査・審議します。 エネルギー使用合理化推進委員会 エネルギーの合理的な使用について審議します。 リスクマネジメントに関する諸規程及び体制の整備やリスク対応等の推進について 検討・審議します。 リスクマネジメント委員会 Ⅲ 安全の取組み 微生物等実験安全委員会 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 研究安全委員会 Ⅰ JAMSTEC の概要 委員会名称 労働安全衛生委員会 TOPICS JAMSTECが実施している研究や開発などの事業活動 を円滑に行うためには、事故・トラブルの未然防止、作業 Ⅳ 環境の取組み JAMSTECの安全・環境・リスクマネジメント関連委員会の体制 理 事 長 Ⅴ 社会的取組み 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 Ⅵ コミュニケーション 活動 リスクマネジメント委員会 放射線安全委員会 微生物等実験安全委員会 組換えDNA実験安全委員会 化学物質環境安全委員会 科学掘削安全検討委員会 研究安全委員会 労働安全衛生委員会 エネルギー使用合理化推進委員会 安全・環境会議 31 理事長ごあいさつ Ⅲ. 安全の取組み 特 集 TOPICS 1. 事故・トラブルの対応 ⑴ 事故・トラブルの発生状況とその対応 件、出張先での体調不良、一般公開準備中の怪我、「海 ①過去5年間の事故・トラブルの発生概況 も人に関係する事例が40%となりました。 上」では乗船中の疾病、怪我等6件と「陸上」 「海上」と 過去5年間の事故・トラブル(通勤災害、物品の亡失を 研究紹介 含む。 )の発生状況については次表のとおりです。 ③事故・トラブルの事例 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み 事象区分/年度 2011 2012 2013 2014 2015 事例 研究船 「ちきゅう」 ブイ・係留系 構内 通勤・出張時 その他 合計 9 1 0 11 2 5 28 7 8 8 7 1 1 32 3 1 1 9 2 3 19 12 1 1 12 7 5 38 9 1 9 1 5 5 30 シンカー(錘)投入準備作業中 に、クレーンに吊るした音響信号 送受信装置リリーサーのリリース 用フックが外れ、シンカーが海中 に落下した。その際、先に海中に 投入した曳航中のブイが付いてい る係留索(φ12mmナイロンロー プ)を捌いていた甲板手の左手が シンカーの落下の勢いでナイロン ロープと三方ローラー間に挟ま り、人差し指等に裂傷を負った。 御前崎沖(水深約3︐600m海域) での試験航海において、掘削制御 システム(DCIS)の健全性を確 認するため、ドリルパイプ先端が 海中にある状態でドリルパイプの 回転試験を実施中にドリルフロア 付近でドリルパイプが破断し、約 1︐400m分が海底に落下した。人 的被害はなかった。 2014年5月にニュージーランド・ ギズボーン沖に設置したJAMST EC所有の3台の海底電位磁力計 (OBEM)を回収する予定だっ たが、1台が信号に応答せず、回 収ができなかった。 過去5年間の発生状況の合計件数を見ると、2011、2012 年度は30件前後、2013年度には20件を下回りましたが、 2014年度は38件と再び増加し、2015年度は30件でした。 事象区分では、「研究船」と「通勤・出張時」は2013年 度まで減少傾向にありましたが、2014年度にそれぞれ12 件、7件と増加、2015年度は、9件、5件と減少しまし た。 「構内」においては2011年度より10件前後の横ばい状態 を示していましたが、2015年度は1件と著しく減少しまし た。 Ⅳ 環境の取組み 「ブイ・係留系」は、2012年度に各種観測用ブイの漂流 が続き多くなっており、2013年度は係留系の漂流、2014年 度は観測用ブイの移動、通信途絶のそれぞれ1件でした。 2015年度は観測用ブイの流出や、深海探査機の自己浮上不 能等が続き9件と増加しました。 Ⅴ 社会的取組み 2015年度の「その他」については、地震・津波観測監視 システム(DONET)の電源の不具合等がありました。 ②2015年度の事故・トラブル発生概況 2015年度の事故・トラブルの60%(18件)が「研究船」 Ⅵ コミュニケーション 活動 及び「ブイ・係留系」での事象となっています。また、全 体の約17%(5件)は「通勤・出張時」での発生となって います。 発生場所を「陸上」 「海上」に分けると、 「陸上」は「構 内」「通勤・出張時」 「その他」を含め11件、 「海上」は 安全・環境報告書 の評価 「研究船」 「ちきゅう」 「ブイ・係留系」の19件で4:6の 比率(陸上:海上)となっており、この比率については昨 年度と逆転しました。 「陸上」においては、交通事故2件、自身の不注意2 32 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 施設一般公開の設営作業中に、整 備会社のスタッフがパネルの施工 に使用するポール(長さ約2m) を担いで構内を運搬中、展示準備 のため職員が机を移動させていた 際に振り向いたところ、そのポー ルに前頭部右側をぶつけ裂傷を 負った。 職員がチャーターバスに乗るた め、バス停付近交差点の横断歩道 を渡りかけたところ(進行方向の 歩行者用信号青)、赤信号を無視 し、猛スピードで走ってきた自転 車(ロードバイク)と衝突、打撲 等の負傷を負った。 構築中のDONET2の陸上局舎に おいて、給電装置の構成部品の交 換作業を行っていたところ、DO NET2システム全体の電源が落 ちる事象が発生した。人的被害は なかった。 再発防止策 ●作業手順の再考・変更 ●フックの新替え ●作業時の注意喚起 検討中 ●回路部異常に対する整 備時・投入前の確認作 業を一層慎重に行う ●海底環境の影響を軽減 するための改良を検討 する ●整備作業についてはより 入念に作業を実施する ●試験を行い、試験前後 で作動に問題がないか をチェックする 作業中の安全管理を常に 心がけ、運搬における誘 導員の配置や声掛け等を 徹底する 横断歩道上において、進 行方向の歩行者用信号が 青に変わっても、交差方 向の車両・自転車に十分 注意を払う 検討中 ④事故・トラブル防止の取組み 事故・トラブルが発生した際にはその内容を十分分析 理事長ごあいさつ し、今後、同様の事故・トラブルを繰り返さないようにす ラブルが発生した場合、その業務を所掌する部署からの事 故報告書に基づき、再発防止策を講じます。また、事故・ 特 集 ることが重要です。そのためJAMSTECでは、事故・ト 投稿した者については、表彰する制度を設けています。 ⑵ 緊急時の対応体制 JAMSTECでは、事故やトラブルなど緊急時の対処に 内各所に設置してあるHSE(衛生・安全・環境)ボード ついて遺漏がないよう万全を期すために、「事故・トラブ への資料の掲示や安全情報サイトという所内向けウェブサ ル緊急対処要領」を定めています。この要領では、人命優 イトへの掲載を行うなどして、職員に情報の展開を行って 先の原則、通報の原則、被害の拡大防止の原則、過大評価 います。 の原則を基本原則としており、この原則に沿うように対処 方法を構築しているほか、想定される事故・トラブルにつ ンをJAMSTEC全体の取組みとして重点的に実施する予 いては、機構の全部署が発生した事故・トラブルを的確に 定です。 把握し、共通認識を持って適切に事態に対応することを目 ●「事故・トラブル多発中」ポスターを作成し、注意喚起 的に、各事象を影響度ランク(ランク外及びランク1~4 の5段階に区分され、数字が小さいほど影響度は低いもの を行う。 「特別安全講習会」を実施する。 ●「安全総点検!」のスローガンのもと、理事長による構 内放送や構内巡視を実施する。 として設定されている。 )を定めて分類しており、この影 響度ランクに応じた対処方法により対応することとしてい ます。 この「事故・トラブル緊急対処要領」については、これ までに発生した事故・トラブルを教訓とし、逐次改正を また、定期的に緊急時を想定した対応訓練を行い、迅速 に対応できるよう訓練を行っています。 2015年度に実施した訓練 訓練内容 10月 8日 「白鳳丸」保安演習及び通報訓練(海洋 工学センター) 2月15日 「ちきゅう」緊急通報訓練(地球深部探 査センター) Ⅳ 環境の取組み 所内各所に設置されたHSEボード 衛生(Health) 、安全(Safety) 、環境(Environment)に関係した情報が掲示されている Ⅲ 安全の取組み 実施月日 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 行っています。 ⑤ヒヤリハットの収集 Ⅰ JAMSTEC の概要 ●連続して起きている事故の内容の説明を含めた緊急の ヒヤリハットとは、 「事故には至らないが、日常生活・ 業務の中で“ひやり”としたり、“はっと”した経験」のこと を言いますが、ヒヤリハットは将来重大な事故や災害に至 Ⅴ 社会的取組み る可能性を示唆するものであり、この段階で不安全な因子 を取り除くことで、事故や災害を防ぐことができると言わ れています。 JAMSTECで は、 こ の ヒ ヤ リハットの収集に力を入れてお Ⅵ コミュニケーション 活動 り、所内各所にヒヤリハット投 稿用の「ご意見箱」を設置して いるほか、ウェブからも投稿で きるよう、意見を収集する体制 を整備しています。 安全・環境報告書 の評価 なお、ヒヤリハットの収集件 数 は、2014年 度 が143件、2015 所内各所に設置されている「ご 意見箱」 研究紹介 なお、2015年度の事故・トラブルを受け、次のアクショ TOPICS トラブルの内容を労働安全衛生委員会で報告し、更には構 年度が179件でした。 また、有益なヒヤリハットを JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 33 理事長ごあいさつ 特 集 2. 労働安全衛生の取組み ⑴ 労働安全衛生委員会と各種パトロール TOPICS JAMSTECでは、労働安全衛生法に定めるところによ ⑵ ヒヤリハットの収集とリスクアセス メント 研究紹介 り横須賀本部と横浜研究所においては労働安全衛生委員会 事故・トラブルについては、発生後の対応について考え を、むつ研究所及び高知コア研究所においては労働安全衛 るのではなく、いかに未然に防止するかを考えることが重 生連絡会を設置し、職員の安全と健康維持に関係する事項 要です。そのためにはヒヤリハット事例を収集したり、リ の調査・審議をしており、事故・トラブル事例の紹介や労 スクアセスメントを実施するなどして事故・トラブルが発 働安全衛生に関わる諸活動の報告など労働災害の防止につ 生する前に不安全行為や不安全箇所の改善を行うことが必 いての情報を展開するなどして意見を交わしています。 要となってきます。 Ⅰ JAMSTEC の概要 また、各事業所において定期的に安全衛生パトロールや JAMSTECでは既述のとおり構内の各所に設置した安 衛生職場巡視を行い、構内にある不安全箇所の発見に努め 全衛生環境提案箱や、社内ポータル上の投稿掲示板にてヒ て改善を行っています。 ヤリハット事例を収集しており、寄せられたヒヤリハット なお、JAMSTECでは、化学物質、放射性物質、高圧 ガスなどを扱う危険・有害業務も日常的に行っているた 事例については危険因子を改善又は低減させるような対 策・対応を行っています。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント め、これらの業務の安全管理についても化学物質環境安全 また、リスクアセスメントとは、事故を未然に防止する パトロール、放射線施設の安全パトロール、高圧ガスの使 ために職場に潜む危険性・有害性を見つけ出し、これを除 用状況の確認を定期的に実施し、化学物質の保管状況、放 去・低減するための手法ですが、JAMSTECでは、業務 射線施設の維持管理状況、高圧ガスの使用状況などの安全 全般に対してリスクアセスメントを行うことを推奨してお 性をチェックしています。 り、各部署において優先度に応じてリスクアセスメントを 実施しているほか、必要に応じて安全衛生管理担当部署が Ⅲ 安全の取組み リスクアセスメントの実施についての支援をしています。 ⑶ 教育・訓練 JAMSTECでは、職員の安全に対する意識向上を目的 Ⅳ 環境の取組み として、定期的に安全に関する講習会や講演会、研修を実 施しています。2015年度については、以下の安全教育活動 を行いました。 名称 Ⅴ 社会的取組み 安全衛生パトロールを月に1回実施しています Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 安全上不適切として指摘した事例 34 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 内容(敬称略) 試薬などの化学物質、微生物、放射 線を取扱う者に対して、その安全な 取り扱いに関する以下の内容の講習 会を実施しました。 実験従事者安全講習会 ●【バイオ】バイオセーフティ研修 (外部講師) ●【化 学】化学物質(薬品)の取 扱について ●【放射線】放射線事故とその対応 岩谷産業株式会社から講師をお招き 高圧ガス保安講習会 し、高圧ガスの安全な取扱いについ て講演していただきました。 郵船クルーズ株式会社から客船「飛 鳥Ⅱ」船長をお招きし、その安全対 安全講演会 策、乗組員への教育・訓練及び環境 配慮活動についてご紹介していただ きました。 応急手当のための心肺蘇生法、大出 血 時 の 止 血 法、 異 物 の 除 去、 搬 送 普通救命講習 法、自動体外式除細動器(AED) の使用方法などについて講習会を行 いました。 理事長ごあいさつ ⑸ 構内セキュリティ 特 集 JAMSTECでは、職員の他にさまざまな訪問客を迎え ています。施設の入口では警備員による24時間体制の監視 と、研究室及び執務室がある建屋への入退管理はセキュリ や情報の漏洩等を防ぐよう、安全な環境の維持に努めてい ます。 研究紹介 高圧ガス保安講習会の様子 ⑷ 情報伝達 Ⅰ JAMSTEC の概要 安全衛生に関する情報を労働安全衛生委員会や関連する 各会議の場で報告しているほか、職員に伝達・周知するた めの手段として「安全情報サイト」という役職員向けの ホームページを開設するほか、 「安全ニュース」という メールニュースを配信し、有機的な情報伝達活動を実施し 建屋入口に設置されているカードリーダー Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ています。 3. 実験の安全管理 物・劇物を始めとする薬品類やドラフトチャンバーの管理 状況などを点検しています。 ①化学物質の安全管理 JAMSTECでは実験などで使用する化学物質(試薬等 ②化学廃液の処理 試薬などの使用に伴い発生する化学廃液の処理に関して 跡していますが、JAMSTECにおけるPRTR法対象物質 は、実験室系の排水系統には排水処理設備を有していない の年間取扱量は届出を要する取扱量(第一種指定化学物 ため全量(原液及び洗浄水)を回収し、産業廃棄物として 質:1トン以上、特定第一種指定化学物質:0.5トン以 産業廃棄物処理業者を通じて処理をしています。 上。業務委託分を除く。 )に達していないため、所要の届 出は行っておりません。 なお、実験室からの排水に関しては中和、曝気、生物処 理を行った後に公共用水域に排出していますが、定期的に 水質検査を行うことで排水基準を超過した排水の排出事故 が生じないよう監視を行っています。 示を行うことはもちろんですが、薬品を使用する事業所で 全量を回収し、陸揚げ後に産業廃棄物として処理を行って はそれぞれの事業所の特性を活かした形で薬品管理の電子 います。なお、地球深部探査船「ちきゅう」では、廃液の システム(薬品管理 分別を行い、有害物 システム)を導入 質を含まない化学廃 し、薬品納入時から 液については、希釈 全量消費に至るまで やpHの 調 整 を 実 施 の在庫管理を行って 後、必要に応じて再 いるほか、定期的に 度有害性のチェック 化学物質環境安全パ を行い、距岸50海里 トロールや薬品実地 ( 約93km) 以 上 離 検 査 を 実 施 し、 毒 水質検査のサンプリング れた海域において海 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 35 安全・環境報告書 の評価 船上で実施する実験に伴い発生する化学廃液についても Ⅵ コミュニケーション 活動 の薬品については、法令の定めるところにより、施錠や表 Ⅴ 社会的取組み また、不測の事故を防ぐため毒物・劇物、危険物等の有 害性・危険性のある物質の管理を徹底しています。これら Ⅳ 環境の取組み の薬品)に関し、PRTR法に定める対象物質の移動量を追 Ⅲ 安全の取組み ⑴ 化学物質の安全管理 横須賀本部の薬品管理システム TOPICS ティカードによる出入り口の制限等を行い、不審者の侵入 理事長ごあいさつ 洋中に排出しています。 気 に つ い て は、 特 集 HEPAフィルターな ⑵ 放射線の安全管理 どのフィルターを介 して放射性物質を捕 ①放射線の安全管理 集したのち、放射線 TOPICS JAMSTECでは生体機能や化学分析法に関する研究、 障害防止法に定める 海洋地質の調査のために放射性物質(RI)を使用した実 濃度限度以下にし、 験を行っています。そのため放射性物質の受入れ、払出 し、運搬、放射性廃棄物の保管、廃棄、放射線関連施設の 放射性物質を含んだ気体を処理する排気設備 大気中に放出してい ます。フィルターに メンテナンス等の業務が定常的に発生します。放射性物質 ついては固体の放射性廃棄物と同様の処理を行っていま や関連施設、実験に従事する者等の管理については放射線 す。 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 障害防止法や労働安全衛生法、原子炉等規制法などの放射 また、JAMSTECでは電子顕微鏡用試料の染色や古環境 線管理に関連する法令に則り、健康診断、教育・訓練、被 の研究のために、少量の核燃料物質(国際規制物資)であ ばく線量測定などの管理を行っているほか、定期的なRI る劣化ウランやトリウムを所持しておりますが、使用した パトロールの実施、施設・設備のメンテナンス、施設周辺 廃液については全量を回収し厳重に保管しています。 や事業所境界における放射能調査・放射線量調査を行い、 放射線施設に異常がないか、想定外の放射性物質や放射線 の漏えいがないかどうか等を監視しています。 JAMSTECではその前身である海洋科学技術センター ⑶ バイオセーフティの取組み ①生物系廃棄物の処理 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み であった平成15年に、北大西洋に設置した係留型観測機器 JAMSTECでは微生物や遺伝子組換え生物を用いた実 (放射性物質として炭素14( C)を14.8MBq搭載)の所 験を行っていますが、これらの実験に伴う廃棄物について 在不明事故を起こしておりますが、それ以降は放射性物質 は、高圧滅菌器(オートクレーブ)や薬剤等で確実に滅 の紛失・漏洩等の放射線に関連した異常な事象は認められ 菌・不活化処理し、処理後の廃棄物については、感染など ておりません。今後についてもこれらの事故を教訓にして の生物学的な有害性はありませんので、産業廃棄物として 事故の再発を防止し、厳正に管理をしてまいります。 その性状に合わせた処分を行っています。 14 ②放射性廃棄物の処 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み 放射性廃棄物は専用のドラム缶に収納し、回 収までの間保管します 験・微生物実験の 放射性物質を使用 管理 した実験から発生す JAMSTECで は る固体状の放射性廃 前述のとおり遺伝子 棄物については全量 組換え実験や微生物 を回収し、公益社団 を使用した実験を 法人日本アイソトー Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 36 行っています。これ プ協会に定期的に引 遺伝子組換え実験に関する講習会の様子 き渡すことにより処 生物や微生物はそのほとんどが人体に対して害のないもの 理を行っています。 放射性廃液の排水処理設備 法令に定める基準値以下にして 放流します ②遺 伝 子 組 換 え 実 理 らの遺伝子組み換え ですが、ごく希に人体に対して感染し、思わぬ疾病を発症 液体状の廃棄物については、 させる可能性があるため、実験の方法、運搬、保管、廃棄 固体状の廃棄物と同様に公益社 方法については厳重に管理を行うことが求められていま 団法人日本アイソトープ協会に す。 定期的に引き渡すことにより処 JAMSTECではカルタヘナ法や世界保健機関(WHO) 理を行っていますが、実験器具 が発行している実験室バイオセーフティ指針、国立感染症 の洗浄などで発生する低濃度の 研究所の病源体等安全管理規程を参考に内部規程を定め、 排水については、排水処理設備 これらの実験を行う際には事前に外部機関の専門家を交え において放射線障害防止法に定 た組換えDNA実験安全委員会や微生物等実験安全委員会 める濃度限度以下にし、公共用 において安全性を審議したうえで実験の承認を行うことと 水域に排出しています。 し、実験室についても各実験のレベルに応じた対策を行 放射性物質を含んだガスの排 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 い、生物災害が生じないよう厳正な管理を行っています。 理事長ごあいさつ の規制を受けるため、所内のルールを定めてその貯蔵量を 重大な健康被害を起こす見込みのない微生物(リスク群2 常に把握し、厳正に管理しています。試薬として用いる危 相当まで)に限定して実験を行うこととしています。 険物については、薬品管理システムによりその貯蔵状況を また、生物多様性の保全への取組みとしましては、「安 把握することができます。 なお、法令に定めるところにより、一定量を超えた危険 に係る環境保全のための指針」に規範の順守と、生物多様 物については、屋内貯蔵所又は少量危険物貯蔵取扱所にお 性条約を尊重し、環境の保全、生態系の保全を最優先に考 いて貯蔵しています。 ては事前に研究安全委員会等でその安全性を審議し、生物 多様性の保全に当たり問題がないかをチェックしていま ⑹ 廃棄物の処理 ①陸上施設における廃棄物処理 す。 処理法や放射線障害防止法を始めとする廃棄物それぞれの 種別に応じた関連法令に則り処理を行っています。 析業務や、「しんかい6500」の運用に伴い、アルゴン、ヘ 4R(Refuse, Reduce, Reuse, Recycle)を推進する リウム、酸素など多くの高圧ガスを使用しています。これ ため、家電リサイクル法の対象となる家電製品やパソコン ら高圧ガスの使用については、高圧ガス保安法を順守し、 などを始め、紙などの再資源化可能な廃棄物に関しては可 適切に高圧ガスを管 能な限り資源化し、コピー用紙の両面コピーや裏紙の使 理するためにルール 用、文房具のリユース、トナーカートリッジやインクカー を定めて保有してい トリッジのリサイクルなどを行い、廃棄物の排出量を抑え る高圧ガスの量など るように努めています。 を厳正に管理してい ます。 いては、高圧ガスの で処理を行った後、公共用水域に放流して処理を行うか、 下水道が整備されている地区の事業所では下水道に放流を 行っています。 納品時に在庫管理用 のデータベースに登 録のうえ高圧ガス管 Ⅳ 環境の取組み 理票を発行し、この 管理票を高圧ガス容 器に掲示すること で、保有量の把握に 漏れがないようにし Ⅴ 社会的取組み ています。 ⑸ 危険物管理 横須賀本部におけるごみの分別の様子 JAMSTECでは、各種研究・開発活動や、船舶の運航 ル、 ア ル コ ー ル 船舶から発生する廃棄物の処理については、海洋汚染防 類、各種油類など 止法等の法令に則り処理をしています。船舶で発生した廃 の危険物を取扱 棄物は原則として船内に保管し、着岸後に産業廃棄物など い、貯蔵していま として陸揚げして処理をしています。船舶からの廃棄物に す。 ついても、可能な限りリサイクルを行い、通函(かよいば これらの危険物 こ:物品を輸送する際に繰り返し使用される箱のこと。 ) は、消防法や市町 を使用するなどして廃棄物の発生を抑制するよう努めてい 村の火災予防条例 ます。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 37 安全・環境報告書 の評価 横須賀本部に設置されている危険物屋内貯蔵所 ②船舶における廃棄物処理 Ⅵ コミュニケーション 活動 に 伴 い、 エ ー テ Ⅲ 安全の取組み 保有量の管理につ 一方、陸上施設で発生した生活排水については、浄化槽 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 基本的には産業廃棄物として処理を行っていますが、 Ⅰ JAMSTEC の概要 JAMSTECでは、ICP質量分析計などを利用した機器分 高圧ガス管理票を掲げた高圧ガス容器 研究紹介 陸上施設から発生する廃棄物の処理については、廃棄物 ⑷ 高圧ガス管理 高圧ガスの在庫を管理する高圧ガス管理票 TOPICS 全衛生及び環境配慮に係る基本方針」と「調査・観測活動 えることを明記しています。実際の調査・観測活動に際し 特 集 なお、JAMSTECでは微生物実験に用いる微生物として、 理事長ごあいさつ なお法令の基準の範囲内で、船内で発生した一部の廃油 流して処理を行っています。 特 集 については焼却して処分を行い、残飯などの食品屑につい てはグラインダーで粉砕した後、海中に放出して処理を 行っています。 ③PCB廃棄物 横須賀本部ではトランスなどで使用されていたPCB(ポ TOPICS 一方、船内で発生するふん尿等の汚水については船内の リ塩化ビフェニル)を保有しており、ステンレス製密閉型 汚水処理設備において浄化した後、排出可能な海域におい ドラム缶に格納し、PCB特別措置法に則り処分するまで て海洋中に放流しています。また、風呂からの排水など一 の間厳重に保管しています。 般的な生活排水は、排出可能な海域でそのまま海洋中に放 研究紹介 4. 防災の取組み ⑴ 自衛消防組織 Ⅰ JAMSTEC の概要 防や救援が到着するまでの間の初動活動や在構者の安全確 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント JAMSTECでは火災及び地震等の災害発生時に公設消 ⑵ 災害への備え 保をより円滑かつ確実に行うことを目的として、消防法に 基づき自衛消防組織を設置しており、実際の発災時にも確 実に機能するよう、防災訓練などを実施しています。 ①災害発生時初期対応要領 JAMSTECでは、構内で災害が発生した場合など、咄 Ⅲ 安全の取組み 嗟の時に的確に初動の対応や連絡を行えるようにすること 自衛消防組織図(横須賀本部) を目的として、職員全員にカードサイズの“災害発生時初 期対応要領(携行版)”を配布しており、IDカードととも に携行することを推奨しています。 Ⅳ 環境の取組み ②防災システムの導入 横須賀本部及び横浜研究所では、構内放送に連動した緊 急地震速報システムを設置しており、 「震度4」以上の揺 れが予測される場合に「緊急地震速報」が全館及び敷地内 に放送(日本語及び英語)されます。 Ⅴ 社会的取組み また、出張中や休暇中の職員を含め、災害時に職員の安 否状況等の確認を迅速に行い、事業復旧や被害軽減のため の初動対応のベースとするため、 「緊急状況確認システ ム」を導入しており、職員個人のメールアドレスを登録す ることにより携帯電話やパソコンから安否確認の連絡を行 Ⅵ コミュニケーション 活動 うことができるようになっています。 ③防災設備の整備 消火器、火災報知機等の法令に定める消防設備の整備は 勿論ですが、その他にも自動体外式除細動器(AED) 、災 安全・環境報告書 の評価 害発生時の救助に有用となるバールなどの工具が納められ た救助工具格納箱、発災時に誰でも使用することのできる ヘルメットなどを要所に設置しており、災害時に備えてい ます。また、これら取扱方法の訓練については、防災訓練 38 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 災害発生時初期対応要領(横須賀本部) 理事長ごあいさつ ②救命講習 時に実施していま ず、傷病者が発生 ④非常用物品の備蓄 した時に応急的な 災害時に備えて、 対応ができるよ 医薬品、懐中電灯、 糧食などの非常用物 横須賀本部の食堂に設置されているAED 火災を想定した避難訓練 ※雨天のため避難場所を建屋内として実施しました う、応急手当の方 法、心肺蘇生法及 びAED取 扱 方 法 について学ぶ「普 品を備蓄しており、 TOPICS JAMSTECで は、 特 集 災害時のみなら す。 通救命講習」を消 防災訓練に併せて定期的に点検・入替を行っています。 防署の協力を得な す。この講習につ 横須賀本部及びむつ研究所は海に面しており、事業所敷 地内に船舶の係留施設を有しています。このことから、船 受傷者の搬送訓練 剤などの防除資機材を準備しています。 2006年 に は 横 須 賀本部に隣接する 実施するほか、年に2回程度定期的に開催しています。 ⑷ 地域防災への貢献 高知県南国市にある高知コア研究所の周辺は、津波発生 て、係留中の漁船 時に避難できるような高台や高層の建物が少ないため、同 から燃料油が流出 研究所では津波発生時の地域の避難場所として開放できる したため、その防 よう整備を行っています。 また、横浜研究所 除作業に協力しま についても横浜市金 した。 沢区と「津波発生時 ⑶ 防災対応教育・訓練 における施設等の提 供協力に関する協 ①防災訓練 定」を締結してお 難場所となっていま 策を講じていますが、それに併せて、年に1回以上各事業 す。この協定では、 所において総合防災訓練を実施しており、地震・津波を想 横浜研究所地球情報 定した総合訓練、火災を想定した避難訓練、消火器操法及 館2階の図書館と4 び応急救護の個別訓練などを実施しています。 階の事務所部分に 2015年度に実施した緊急時対応訓練は以下のとおりで 100名 の 津 波 避 難 者 す。 を受入れることが取 実施日 訓練内容 2015年 7月23日 横浜研究所自主防災訓練 り決められています。 Ⅵ コミュニケーション 活動 津波避難者の受入場所となっている横浜研究 所地球情報館の図書館 Ⅴ 社会的取組み り、津波発生時の避 Ⅳ 環境の取組み JAMSTECでは、災害が起きた場合、人的・物的被害 を最小限にし、早期に事業運営を復旧するため、様々な対 Ⅲ 安全の取組み 流出油防除用の資機材を保管しているコンテナ (横須賀本部) Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 公共岸壁におい Ⅰ JAMSTEC の概要 らの事業所では流出油の防除用にオイルフェンスや油吸着 いては、初任者研 修や防災訓練時に 舶の燃料油等の海洋への流出事故が想定されるため、これ 研究紹介 がら行っていま ⑤流出油防除資機材の準備 10月22日 横浜研究所総合防災訓練 10月26日~28日 横須賀本部個別訓練 11月 9日 横須賀本部総合防災訓練 11月13日 むつ研究所防災訓練 安全・環境報告書 の評価 11月26日 東京事務所総合防災訓練 2016年 3月 7日 国際海洋環境情報センター防災訓練 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 39 理事長ごあいさつ Ⅳ. 環境の取組み 特 集 TOPICS 1. JAMSTECのマテリアルバランス JAMSTEC全体のマテリアルバランスと環境パフォーマンス 本図はJAMSTECの事業活動に伴う、エネルギーや資源などの投入量(INPUT)とCO2や廃棄物などの排出量(OUTP UT)を表しています。なお、端数処理の関係上、合計と一致しない場合があります。 研究紹介 総投入量 (INPUT) Ⅰ JAMSTEC の概要 電力 油 水 紙 45,080,959kWh 28,606 ㎘ 125.34㎥ 41.4t ガス 化学物質 58.03㎦ 10,518 ㎏ 都市ガス +LPG (PRTR 対象) 海上投入量 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 陸上投入量 Ⅲ 安全の取組み ● 電力 : 44,873,497kWh ● 油 : 2.7 ㎘ ● 水 : 62,2 ㎥ ● 紙 : 38.78t ● ガス : 58.03 ㎦ ● 化学物質 (PRTR 法対象物質 ):591.26 ㎏ ● 電力 : 207,462kWh ● 油 : 207,462 ㎘ ● 水 : 63.14 ㎥ ● 紙 : 2.61t ● 化学物質(PRTR 法対象物質) : 9,927 ㎏ 陸上の活動 海上の活動 陸上排出量 海上排出量 Ⅳ 環境の取組み ●CO2 : 23,257tCO2 ● 廃棄物 : 198t ※2 ● 排水 : 62.2 ㎥ ● 水域排出物(BOD, COD): 94.7 ㎏ ● 大気排出物(NOx, SOx): 0t Ⅴ 社会的取組み CO2 廃棄物 ●CO2 : 77,596tCO2 ● 廃棄物 : 506t ● 排水 : 63.14 ㎥ ● 大気排出物(NOx, SOx): 1,838t 排水 CO2 Ⅵ コミュニケーション 活動 100,853tCO2 ※3 水域排出物 BOD, COD 704t 125.34㎥ ※1 94.7kg ※4 大気排出物 NOx, SOx 1,838t ※5 総排出量 (OUTPUT) 安全・環境報告書 の評価 ※1 水のINPUTについては2014年度より船舶における海水からの造水についても集計を追加しています。また、排水量(OUTPUT)について はINPUTと同量を記載しています。 ※2 この他にも放射性廃棄物1.1㎘を排出しています。 ※3 CO2排出量についてはエネルギー起源のCO2排出量のみを記載しています。なお、排出量の算定については、環境報告ガイドライン2012 年版(環境省)による「エネルギー起源CO2排出量の算定式」によります。 ※4 水域排出物については生物化学的酸素要求量(BOD)及び化学的酸素要求量(COD)の値から算出しています。 ※5 大気排出物については窒素酸化物(NOx)及び硫黄酸化物(SOx)の値から算出しています。 40 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 207 20,000 0 57,352 55,143 53,370 54,392 54,128 2009 2010 2011 2012 2013 59,591 44,873 2014 2015 (年度) 陸上 (㎘) 40,000 船舶 30,000 20,000 27,365 33,818 34,901 36,606 33,156 30,751 Ⅲ 安全の取組み 28,603 10,000 20 14 18 4.5 2.9 3.0 2009 2010 2011 2012 2013 2014 27 29 26 31 船舶 Ⅵ コミュニケーション 活動 17 Ⅴ 社会的取組み 陸上 (㎦) 200 150 2.7 2015 (年度) 67 100 63 125 119 50 109 115 Ⅳ 環境の取組み 116 88 62 0 2009 2010 2011 2012 2013 2014 安全・環境報告書 の評価 ●2015年度の水の使用量は2014年度比で、陸上 で約30%減少、船舶で約6%減少、全体で約 19%減少しています。 ●陸上での主な減少要因は、地球シミュレータ 用空冷設備更新に伴い、稼働機の単体運転が 可能となり、冷却水量の節約ができたことで す。船舶ではほぼ横ばい状態ですが、燃料油 と同様に海洋調査船「なつしま」及び海洋調 査船「かいよう」の引退に伴う使用量の減少 が寄与しているものと思われます。 98 114 40,000 0 水使用量 108 337 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ●JAMSTECの油類の使用量のほとんどが船舶 の運航に係わるA重油です。このため、船舶 の航海の形態(航走距離、速力、調査海域、 稼働率など)により使用量は変動します。 ●2015年度の使用量は2014年度と比べて全体と して約7%減少しており、ほぼ横ばい状態で すが、海洋調査船「なつしま」及び海洋調査 船「かいよう」の引退に伴う使用量の減少が 寄与しているものと思われます。 104 Ⅰ JAMSTEC の概要 燃料油使用量 119 60,000 船舶 研究紹介 ●JAMSTECの 電 力 消 費 の 大 部 分 は、 地 球 シ ミュレータ及び空調設備が占めています。 2014年7月から地球シミュレータの後継機へ の更新が開始され、2015年3月に後継機の一 部稼働が開始、2015年6月からシステム全体 の運用が開始されました。この、地球シミュ レータの更新により、全体として約25%とい う大幅な削減をすることができました。 ●船舶における電力消費は、ドック時の陸上電 源の利用によるものです。2015年度の使用量 は2014年 度 と 比 べ て ほ ぼ 倍 増 し て お り ま す が、これは2014年度までの集計方法に誤りが あったためです。 陸上 (千kWh) 80,000 TOPICS 電気使用量 特 集 2. 主要な環境パフォーマンスデータの推移 2015 (年度) ※2014年度より船舶における海水からの造水についても含めて集計しています。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 41 理事長ごあいさつ 特 集 ガス使用量 TOPICS 研究紹介 ●JAMSTECでは都市ガスとLPGを使用してい ます。主な都市ガスの用途は地球シミュレー タの空調です。LPGについては、潜水訓練用 プールの温水ヒーターや暖房、食堂での調理 に使用しています。船上ではガスは使用して いません。 ●2015年度のガスの使用量は、2014年度に比べ て約11%減少しており、ほぼ横ばい状態です が、地球シミュレータの空調設備をガス式か ら電気式に更新したこと、潜水訓練プールや 食堂の利用率が低下したことの影響であると 思われます。 Ⅰ JAMSTEC の概要 廃棄物排出量 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み ●JAMSTECの廃棄物排出量は、船舶からの廃 棄物の排出量によって大きく変動するため、 船舶の稼働率に依存します。 ●船舶からの2015年度の排出量は2014年度と比 べて約39%減少していますが、これは海洋調 査 船「 な つ し ま 」 及 び 海 洋 調 査 船「 か い よ う」の引退に伴う寄与と思われます。 ●陸上からの2015年度の排出量は2014年度と比 べ て 約48 % 減 少 し て い ま す。 こ れ は2013、 2014年度については組織改編による大掛かり な引越を行ったため、一時的に排出量が増え ていますが、2015年度については前2年間に 比べて引っ越しが少なかったため、2012年度 以前の水準に戻ったためと推測されます。 Ⅳ 環境の取組み CO2排出量 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 ●JAMSTECのCO2排出は、ほぼエネルギーの 消費に由来するものです。 ●2015年度のCO2排出量については2014年度と 比べて、陸上で約27%、船舶で約10%、総量 としては約14%いずれも減少しています。こ れは、電気使用量、燃料油使用量の項目でも 記載したとおり、地球シミュレータの更新や 海洋調査船「なつしま」及び海洋調査船「か いよう」が引退したことに伴いエネルギー消 費が減少し、関連してCO2排出量についても 減少したものと考えられます。 安全・環境報告書 の評価 42 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 (㎦) 3500 陸上 船舶 3,000 0.0※ 2,000 0.0 0.0 0.0 0.0 1,000 2,237 2,133 2,202 2,419 1,743 65 0 2009 2010 2011 2012 2013 2014 0.0 58 2015 (年度) ※船舶においては少量使用していますが、端数処理により0.0を表記しています。 船舶からの廃油 (t) 4,000 陸上 船舶 257 320 3,000 3,379 2,000 88 1,000 1,148 262 0 2009 2,819 74 279 1,043 191 2010 834 666 211 2011 264 2012 311 382 2013 2014 506 198 2015 (年度) ※2014年度より船舶からの廃油については船舶における総量に含み集計をしています。 陸上 (tCO2) 150,000 船舶 120,000 90,000 60,000 99,189 68,193 84,254 94,714 30,000 0 25,008 23,633 25,007 2009 2010 2011 89,840 36,227 2012 85.875 77,596 26,848 31,952 23,257 2013 2014 2015 (年度) 理事長ごあいさつ 特 集 3. 各拠点の環境パフォーマンスと取組み 2015年度の環境改善・社会貢献活動事例 分類 実施内容 分類 実施内容 2,550 2,579 3,028 2,697 3,330 3,163 43,515 42,825 43,276 42,931 48,106 Ⅳ 環境の取組み 46,133 3,294 CO2排出量〔tCO2〕 33,130 25,398 20,262 18,825 16,017 21,302 25,193 16,549 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 廃棄物排出量〔t〕 紙使用量〔t〕 廃棄物排出量〔t〕 紙使用量〔t〕 157 185 24.3 181 129 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 22.3 27.5 22.0 25.9 23.5 21.5 46 46 30 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 27 37 35 37 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 24.3 22.3 27.5 22.0 25.9 23.5 21.5 安全・環境報告書 の評価 128 150 Ⅵ コミュニケーション 活動 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 Ⅴ 社会的取組み 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 249 Ⅲ 安全の取組み 6,169 6,539 6,553 6,346 6,335 電気使用量〔千kWh〕 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント CO2排出量〔tCO2〕 Ⅰ JAMSTEC の概要 紙削減 7,232 7,502 横浜研究所 研究紹介 社会貢献 廃棄物削減 横須賀本部 電気使用量〔千kWh〕 TOPICS 省資源 燃料油削減 リサイクルへの取組み 再資源化可能な物はリサイクルに回す取組みを行った。 研究船と共同でゴミの分別の実施とリサイクルに取組んでいる。 廃油のほぼ100%をリサイクル。 エコキャップ回収。 平成27年度の定期検査工事で、船底部外板サンドブラストにより旧塗膜全面剥離 し、低燃費型塗料にて塗装を施工した(旧塗料と比較して実燃費で8~10%程度 の燃料削減) 。 納品における梱包用段ボール等の削減を業者に指示した。 回航時などに可能な限りの減速航走(12ノット航走)を実施した(フル航走時 (15ノット航走)と比較して1日4~5㎘の燃料削減) 。 ペイロード等の取り付けに使用する資材(タイトン・番線等)を、可能な限り再 利用している。また、取付方法をボルト+ナットに変更するなどして、資材の使 用量の削減に取組んでいる。 研究報告会「JAMSTEC2016」の開催(約400名参加) 地域の防災訓練で、増加傾向にある外国人へ救急救命の普及啓発活動に参加。 ①【放映・放送】H27.9.24放送 2015年上半期に番組「クレイジージャーニー」で放送された総集編の放送。 ②【取材・制作協力】H28.2.11配信 インターネットラジオ番組「バイリンガルニュース」にて、海洋科学分野・地 球科学分野について。 大雨等の災害から身を守るための、基本的な気象の知識と対策について講演(横 浜市南消防署) 「みなと防災フェスタ2015」にて防災サイエンスショー(講演会)、ミニトークの 講師(名古屋市港防災センター) インドネシア国内の複数の都市にて、雨に関する知見の記者会見(ジャカルタ、 ベンクル) 放射性物質の環境動態調査に関する廃炉支援者養成に貢献(分析実習を福島大学 の学生に対して実施) 各機関からの要望により講師等として社員を派遣した。また、会社周辺の清掃を 定期的に行った。 津軽海峡東部 海洋レーダーデータサイトの公開(潮流データの公開に伴う付近 を航行する船舶(漁船等)の燃費向上) 環境に関するイベントの実施(沿岸観察会・講演会、研究成果・活動報告会 (於:青森市)、むつ海洋・環境科学シンポジウム、海洋教室、むつ研×GODA C合同学習会) 再資源 節電 昼休憩時の消灯の励行 サーキュレーターや扇風機など併用して居室の温度を均一化するようにし冷房の 設定温度を下げ過ぎないようにした。 エアコン吹き出し口の調整を適宜行い、冷暖房効率の向上に資した。 天気の良い日にはブラインドの角度調整を行い、蛍光灯の点灯を控えた。 現場レベルでは、不要な電気の消灯等を心掛けている 廊下側のブラインドを上げ、窓の光が廊下まで差し込むようにし、換気のため窓 を開けて部屋の温度調整も行った。 業務の効率化を通して、残業時間削減 ドック工事における陸電使用量の削減(約2.5tCO2削減) オンラインによる空調システムの24時間監視 平日昼間、休憩時間中の事務室・作業室の消灯実施 観測機材整備場誘導灯のLED式照明への更新 研究交流棟 外付け遮光カーテンの利用 グリーン購入法に適合した照明器具や空調機を積極的に採用した。 シミュ㆑ータ棟の空調環境や運転計画を見直し前年度比約35%の節電をした。 必要ない箇所の照明は点灯しないようにする。 デマンド制御による電力の削減 節水 トイレへの擬音装置導入による節水 「原動機負荷最適化運転の実施」 掘削操業、航海、停泊期間における電力デマンドに呼応した、原動機台数選択、 負荷の最適化による燃費効率向上を目指した。 調査ポイント到着時間、入港時間等を勘案して速力の調整を行った。 洋上漂泊、錨泊等の燃料消費量削減を行った。 (安全を最優先とした、主機関・発電機関台数制御等による燃料消費量削減) 長年使用されていなかった棚を活用した。 納品における梱包用段ボール等の削減を業者に指示した。 平成27年度の定期検査工事での左舷舵開放整備時に舵柱支持部等で使用されるグ リスを環境配慮型潤滑油(EAL)であるダイナガードE(高性能・生分解性グリー ス)に変更した。 構内清掃業務の実施回数減による効率化と、職員に向けたゴミ分別周知による環 境問題への意識向上 紙と電気の消費量のモニタリング 会議等における資料の電子化(ペーパーレス) コピー用紙の両面印刷や再利用促進 打合せ資料を極力電子化させた。 モノクロ印刷や両面印刷、2アップ印刷を推奨し、コピー用紙等の節減に努める。 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ※横浜研究所で使用している紙は、横須賀本部で購入しているため、同じ量を計上しています。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 43 理事長ごあいさつ 特 集 むつ研究所 高知コア研究所 2,001 2,092 電気使用量〔千kWh〕 1,333 1,384 TOPICS 1,263 CO2排出量〔tCO2〕 1,392 1,364 1,336 1,310 760 479 455 768 790 電気使用量〔千kWh〕 3,041 CO2排出量 〔tCO2〕 2,834 754 2,124 2,264 1,906 1,969 2,396 1,098 625 412 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 廃棄物排出量〔t〕 紙使用量〔t〕 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 704 693 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 研究紹介 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 1,573 Ⅰ JAMSTEC の概要 19 23 0.6 17 17 3.4 0.6 0.4 11 0.4 0.4 3.9 1.0 0.5 0.8 3.1 3.1 0.6 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 0.4 0.6 0.4 0.8 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 紙使用量〔t〕 5.0 0.9 23 18 廃棄物排出量〔t〕 0.2 0.4 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ※高知コア研究所における廃棄物排出量は2014年度から集計方法 を変更したため減少しています。 国際海洋環境情報センター(GODAC) Ⅲ 安全の取組み 電気使用量〔千kWh〕 474 505 CO2排出量〔tCO2〕 544 485 448 439 357 研究船 471 335 304 273 259 8 Ⅳ 環境の取組み 19 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 15 16 18 19 17 19 16 13 17 18 13 15 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 21,717 41,476 43,669 Ⅴ 社会的取組み 1.6 1.6 紙使用量〔t〕 廃棄物 排出量〔t〕 0.5 1.9 1.4 0.4 0.3 Ⅵ コミュニケーション 活動 0.2 0.1 0.1 0.1 0 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 0.1 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 873 691 356 168 4 349 363 426 589 405 111 484 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 34,749 41,378 みらい 2.4 2,470 43,005 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 紙使用量〔t〕 2.6 2,974 0.3 46,464 46,476 42,778 51,045 52,726 46,834 48,574 36,135 ちきゅう ガソリン使用料〔㎘〕 ちきゅう以外 CO2排出量〔tCO2〕 376 317 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ちきゅう A重油使用量〔千㎘〕 1.0 2.6 2.5 2.0 1.2 「ちきゅう」では、紙の削減活動を行ってお りますが、データは取得できていないため、 数値を記載しておりません。 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2009年度以降のCO2排出量は2010年に改訂された温室効果ガス排出量の排出係数と、電気事業者別の排出係数により算出しているた 安全・環境報告書 の評価 め、総エネルギー消費量が以前と比べて減少した場合でもCO2排出量が増加している場合があります。 44 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 4. 環境配慮活動の目標・実績・評価 2015年度の環境配慮活動の実績については以下のとおりです。いずれの項目についても削減することができました。2016 を積極的に推進し、前年度よりも良い環境パフォーマンスとなるよう努めて参ります。 項目 約14%減少 JAMSTECのCO2 排出は、ほぼエネルギーの消費に由来するものです。2015年度の CO2排出量については2014年度と比べて、陸上で約27%増加、船舶で約10%減少、総量 としては約14%減少しています。これは、電気使用量、燃料油使用量の項目でも記載し たとおり、地球シミュレータの更新や海洋調査船「なつしま」及び海洋調査船「かいよ う」が引退したことに伴いエネルギー消費が減少し、関連してCO2排出量についても減 少したものと考えられます。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 45 安全・環境報告書 の評価 約4%減少 法人文書や会議資料の電子化、両面コピーや裏紙の使用などを推進し、紙の使用量を 抑える活動を行っています。主要な会議ではpdfファイルで資料を配布しパソコンで閲 覧する方法を採用しており、紙による資料は配布しておりません。このような取組みに より、2015年度は2014年度に比べて約4%削減することができました。今回の削減量は 僅かではありますが、今後も出来る限りペーパーレスに取組み、削減に努めます。 Ⅵ コミュニケーション 活動 温室効 果ガス 約42%減少 廃棄物排出量は船舶からの廃棄物の排出量によって大きく変動するため、船舶の稼働 率に依存します。 2015年度の廃棄物排出量は2014年度と比べて総量で約42%減少しており、この減少の 主な要因としては、海洋調査船「なつしま」及び海洋調査船「かいよう」の引退に伴う 排出量の減少と、陸上においては組織改編による引越が、前年に比べて規模が小さく なったことにより、関連して排出量が減少したものと推測されます。今後も引き続きあ らゆる業務において廃棄物が極力出ないような工夫を行うなど、排出量の削減に努めて まいります。 Ⅴ 社会的取組み 紙 約7%減少 JAMSTECの油類の使用量のほとんどが船舶の運航に係わるA重油です。このため、 船舶の航海の形態(航走距離、速力、調査海域、稼働率など)により使用量は変動しま す。 2015年度の使用量は2014年度と比べて約7%減少し、ほぼ横ばい状態ですが、海洋調 査船「なつしま」と海洋調査船「かいよう」の引退に伴う使用量の減少が寄与している ものと思われます。 今後についても、到着時刻や入港時刻の考慮、回航中の速力の減速など、燃料消費の 削減に配慮した運航計画を策定するなど、出来うる限りの燃料使用量削減に取組みます。 Ⅳ 環境の取組み 廃棄物 約19%減少 2015年度の水の使用量は2014年度比で、陸上で約30%減少、船舶では約6%減少、全 体で約19%減少しています。陸上での主な減少要因は、横浜研究所の地球シミュレータ 用空冷設備更新により単体運転が可能となり、冷却水量の節約ができたことによりま す。船舶における推移はほぼ横ばい状態ですが、海洋調査船「なつしま」と海洋調査船 「かいよう」の引退に伴う使用量の減少が寄与しているものと思われます。今後も節水 活動、水資源の循環利用に積極的に取組みます。 Ⅲ 安全の取組み 燃料油 約11%減少 JAMSTECでは都市ガスとLPGを使用しています。主な都市ガスの用途は地球シ ミュレータの空調であり、LPGについては、潜水訓練用プールの温水ヒーターや暖房、 食堂での調理に使用しています。船上ではガスは使用されておりません。 2015年度のガスの使用量は、2014年度に比べて約11%減少しており、ほぼ横ばい状態 と言えますが、地球シミュレータ用の空調設備をガス式から電気式に更新したこと、潜 水訓練プールや食堂の利用率が低下したことが影響したものと思われます。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 水 約25%減少 地球シミュレータ及び空調設備がJAMSTECの消費電力の大部分を占めています。電 気使用量は地球シミュレータを更新したことにより大幅な削減を行うことができました。 今後については、ほぼ2015年度の水準で推移するものと推測されますが、電気使用量 については地球シミュレータの稼働率に大きく影響され、計算機能を利用する研究の内 容並びに稼働実績も年ごとに変動するため、目標設定が難しいところでありますが、引 き続き諸々の節電対策を実施し、削減に取組みます。 Ⅰ JAMSTEC の概要 ガス 評価 研究紹介 電気 実績(2014年度比) TOPICS 年度につきましても引き続き省エネルギー、省資源、廃棄物排出量の削減、環境に配慮した契約など、種々の環境配慮活動 理事長ごあいさつ 特 集 5. 環境に配慮した調達・契約 ⑴ 環境に配慮した調達・契約の概要 TOPICS JAMSTECではグリーン購入法及び環境配慮契約法の 規定に則り、グリーン購入を推進するための方針(環境物 品等の調達の推進を図るための方針:調達方針)を作成し 環境物品の調達を行うとともに、国が定める環境配慮契約 の基本方針に従い環境配慮契約を推進する体制を整備して ⑵ 調達方針 JAMSTECでは平成27年度の調達方針を以下のように 定めています。 ⑶ グリーン購入の実績 研究紹介 います。なお、グリーン購入に係る方針、調達率、実績及 平成27年度の調達方針に定めた各品目の目標調達率を達 び環境配慮契約に係る実績については、ホームページ上に 成したものは66品目(平成26年度44品目)、達成できな て公開しています。 かったものは5品目(同6品目)でした。 Ⅰ JAMSTEC の概要 【http://www.jamstec.go.jp/j/about/procurement/ kankyo_hairyo.html】 研究現場で使用する調達品目についてはグリーン購入法 非適合品もありますが、環境配慮に関する各法の順守を前 提として環境負荷の低減に配慮し、特に文具等消耗品につ いて調達率向上を図るなど、役職員が意識して一層の改善 に努めてまいりたいと考えております。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 平成2₈年度 調達方針 Ⅲ 安全の取組み Ⅰ.特定調達物品等の平成2₇年度における調達の目標 平成28年度における個別の特定調達物品等(環境物品等の調達の推進に関する基本方針(平成28年2月2日変更閣議決定。以 下「基本方針」という。)に定める特定調達品目毎に判断の基準を満たすもの。 )の調達目標は、全ての調達項目について100% (公共工事、役務に関しては詳細な事項がありますので、上記URLをご参照ください。)とします。なお、基本方針に規定され た判断の基準は、あくまでも調達の推進に当たっての一つの目安を示すものであり、できる限り環境への負荷の少ない物品等の 調達に努めることとします。 Ⅳ 環境の取組み Ⅱ.特定調達物品等以外の平成2₈年度に調達を推進する環境物品等及びその調達の目標 物品の選択に当たっては、エコマークの認定を受けている製品またはこれと同等のものを調達するよう努めます。画像機器 等、電子計算機等、オフィス機器等、家電製品については、より消費電力が小さく、かつ再生材料を多く使用しているものを選 択します。 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 Ⅲ.その他環境物品等の調達の推進に関する事項 1.環境物品等の調達を推進するため、「環境物品等の調達推進体制」を定め、推進体制を整備します。 2.本方針は海洋研究開発機構全ての部署を対象とします。 3.機器類等については、できる限り修理等を行い、長期間の使用に努めます。 4.調達する品目に応じて、エコマークやエコリーフなどの第三者機関による環境ラベルの情報を十分に活用するなど基本方針 に定める判断の基準を満たすことにとどまらず、できる限り環境負荷の少ない物品の調達に努めます。 5.物品等を納入する事業者、役務の提供事業者、公共工事の請負事業者等に対して事業者自身が本調達方針に準じたグリーン 購入を推進するよう働きかけるとともに、物品の納入に際しては、原則として本調達方針で定められた自動車を利用するよ う働きかけます。 6.事業者の選定に当たっては、ISO14001又は環境活動評価プログラム等により環境管理を行なっている者又は環境報告書を作 成している者を優先して考慮するものとします。 7.調達を行う地域の地方公共団体の環境政策及び調達方針と連帯を図りつつグリーン購入を推進します。 8.本方針に基づく調達担当窓口は経理部契約第1課とします。 安全・環境報告書 の評価 46 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 主な特定調達品目の調達状況 調達率 調達項目 調達率 1 紙類 100% 11 消火器 -% 2 文具類 95% 12 制服・作業服 -% 3 オフィス家具等 94% 13 インテリア・寝装寝具 -% OA機器 100% 14 作業手袋 -% 移動電話 -% 15 その他繊維製品 -% 6 家電製品 -% 16 設備 -% 7 エアコンディショナー等 -% 17 防災備蓄用品 100% 100% 温水器等 照明 10 自動車等(一般公用車) ・調達目標は、全ての項目について100% -% 18 公共工事 100% 19 役務 -% 研究紹介 8 9 TOPICS 4 5 特 集 調達項目 -% ・「―」は調達実績なし ・紙類は重量ベースの比率 Ⅰ JAMSTEC の概要 ⑷ 調達に関連したその他の取組み ①特定調達物品等以外の環境物品等の調達状況 たもの、又は同等品のものを選択し消費電力が小さく、かつ再生材料などを使用したものを選択するよう努めました。 ②その他環境物品等の調達推進に関する事項について 平成27年度の調達方針に表記した事項の他、契約業者等にグリーン購入の推進を呼びかけ、また、機構内では両面コ ⑸ 温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結実績 国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(以下「環境配慮契約法」という。)に基 ①平成2₇年度の取組み 環境配慮契約法及び国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針 (平成22年2月5日閣議決定。以下「環境配慮契約基本方針」という。 )に基づき、可能なものについて温室効果ガス等の ②環境配慮契約の締結状況 環境配慮契約基本方針で環境配慮契約の具体的な方法が定められているⅰ電気の供給、ⅱ自動車の購入及び賃貸借、ⅲ船 舶の調達、ⅳ省エネルギー改修事業(ESCO事業) 、ⅴ建築物の建築又は大規模な改修に係る設計業務、ⅵ産業廃棄物処理 Ⅵ コミュニケーション 活動 のうち、JAMSTECの3拠点において使用する電気の調達に関して、下表のとおり環境配慮契約を締結しました。 Ⅴ 社会的取組み 排出の削減に配慮した契約(以下「環境配慮契約」という。)を締結しました。 Ⅳ 環境の取組み づき、平成27年度における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の締結実績は以下のとおりです。 Ⅲ 安全の取組み ピー・使用済み裏紙コピーの活用、分別ごみ回収の促進に努めました。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 特定調達物品以外の環境物品等については、3R(reduce・reuse・recycle)の推進を図り、エコマークの認定を受け 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 47 理事長ごあいさつ 電力の供給を受ける契約 特 集 【横須賀本部】 契約期間 契約電力 予定使用 電 力 量 平成27年4月1日~平成28年3月31日 1600kW 6︐554︐000kWh TOPICS 事業者の環境配慮の取組み状況により入札参加資格を制限する一般競争入札(裾切り方式) 契約方式 (注1) 入札申込者 落 札 者 1者 (株) F-Power 【むつ研究所】 研究紹介 契約期間 契約電力 予定使用 電 力 量 Ⅰ JAMSTEC の概要 契約方式 入札申込者 落 札 者 平成27年4月1日~平成28年3月31日 動力需要:87kW 電灯動力併用需要:270kW 動力需要:217︐000kWh 電灯動力併用需要:1︐229︐000kWh 事業者の環境配慮の取組み状況により入札参加資格を制限する一般競争入札(裾切り方式) (注1) 1者 東北電力 (株) 【高知コア研究所】 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 契約期間 契約電力 予定使用 電 力 量 契約方式 Ⅲ 安全の取組み 入札申込者 落 札 者 平成27年4月1日~平成28年3月31日 700kW 2︐828︐000kWh 事業者の環境配慮の取組み状況により入札参加資格を制限する一般競争入札(裾切り方式) (注1) 1者 四国電力 (株) また、産業廃棄物処理に係る契約では、横須賀本部及び横浜研究所(2拠点)において事業者の環境配慮の取組み状況により入札 参加資格を制限する一般競争入札(裾切り方式)(注2)を実施しました。 なお、自動車の購入及び賃貸借、船舶の調達、省エネルギー改修事業(ESCO事業) 、建築物の建築又は大規模な改修に係る設計業 務については環境配慮契約により調達した案件がありませんでした。 Ⅳ 環境の取組み (注1)当該入札の申込者のうち、二酸化炭素排出係数、未利用エネルギー活用状況、新エネルギー導入状況及びグリーン電力証書の 調達者への譲渡予定量に係る数値をそれぞれ点数化し、その合計が基準以上である者の中から、最低の価格をもって申込みを した者を落札者とするもの。 (注2)当該入札の申込者のうち、環境配慮への取組み状況及び優良基準への適合状況をそれぞれ点数化し、その合計が基準以上であ る者の中から、最低の価格をもって申込みをした者を落札者とするもの。 Ⅴ 社会的取組み 6. いろいろな環境配慮活動 ⑴ 省エネルギーの取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 行する。またその旨を <夏季の省エネルギー対策> 受付等に掲示し、来訪 JAMSTECでは、夏季(5月1日~10月31日まで)の 者にも周知する。 省エネルギー対策として次のような取組みを行っていま ●オフピーク使用 す。 使用電力の大きい機 安全・環境報告書 の評価 ●適正な室温管理 器の使用にあたって 冷房時の空調設定温度目安をおおむね28℃とする。 ●軽装の励行 通常業務及び会議において上着、ネクタイの省略を励 48 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 は、 極 力、 電 力 消 費 正門(横須賀本部)におけるクールビズ の掲示 ピ ー ク 時 間 帯(13:00 ~16:00)外にする。 理事長ごあいさつ <通年で行っている省エネルギー対策> 業務上特に必要な場合を除き、昼休み、夜間は消灯す ⑷ ビーチクリーン JAMSTECは海に関する研究や開発を行っている研究 所です。そこで、日頃お世話になっている「海」に対し感 る。 廊下、エントランスホール等は、安全上支障のない範 謝するため、公益財団法人かながわ海岸美化財団の支援を (海岸清掃)を定期的 ●OA機器の管理 に行っています。これ 昼休みを含め、業務上支障のないパソコン、プリン までに行ったビーチク ター及びコピー機等の電源をこまめに切る。 TOPICS 得てビーチクリーン 囲で消灯する。 リーンの実績は次の表 ●会議資料 のとおりです。これか 特に必要な場合以外は両面コピーとし、報告書等は概 パーレス化を推進する。 らも、微力ながらも海 ビーチクリーン(2016.1.16) 岸の美化に貢献してい きたいと考えています。 以上のほか、各拠点 配慮の取組みについて は、3.各拠点の環境 パフォーマンスと取組 みをご覧ください。 ⑵ 環境を考える日 横須賀本部では毎週水曜日を「環境を考える日」と定 参加者数 2016. 6.11 逗子海岸(神奈川県逗子市) 21名 2016. 1.16 由比ガ浜(神奈川県鎌倉市) 23名 2015. 6.13 材木座海岸(神奈川県鎌倉市) 32名 2014.11.30 材木座海岸(神奈川県鎌倉市) 25名 2013.12. 7 七里ガ浜(神奈川県鎌倉市) 19名 2013. 6. 1 由比ガ浜(神奈川県鎌倉市) 22名 ⑸ 循環使用・再利用 『毎週水曜日は環境を考える日です。昼休みには室内の 横須賀本部から排出される生活排水は浄化槽で処理を 照明を消灯するなど省エネルギーと環境に配慮した生活を 行った後、海域へ放流していますが、夏場の雨が少ない時 心がけましょう』 期などはこの処理水を緑地管理に使用し水資源の節制に努 めています。使用量は1日当たり5~10m3です。 JAMSTECでは2009 ⑹ グリーンカーテン 横浜研究所、むつ研究 マ、ゴーヤ、アサガオでグリーンカーテンを制作し、夏季 所、国際海洋環境情報 の建物の温度上昇を防ぐ試みを行っています。制作を始め センターで収集を開始 た2012年当初は植物の し、平成28年3月31日 育ち具合も期待したと ま で に 累 計 で39万 おりにはいかずカーテ 3︐547個 の ペ ッ ト ボ ト ンのでき具合も今一つ ルのキャップを回収し、NPO法人エコキャップ推進協会 でしたが、年々コツを に送付しました。 つかみ、今夏も立派な 南側壁面で生育中のグリーンカーテン カーテンができました。 Ⅵ コミュニケーション 活動 横浜研究所のフロンティア研究棟では、2012年からヘチ Ⅴ 社会的取組み 年度から横須賀本部、 Ⅳ 環境の取組み ⑶ エコキャップの収集 Ⅲ 安全の取組み め、職員に室内の消灯などを呼びかけています。 実施場所 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 照明の間引き 実施日 Ⅰ JAMSTEC の概要 で実施されている環境 研究紹介 要資料とする。また、定例の主要な会議についてはペー 収集したエコキャップ 特 集 ●照明の消灯 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 49 理事長ごあいさつ Ⅴ. 社会的取組み 特 集 TOPICS 1. 組織統治 ⑴ リスクマネジメント 2010年5月にリスクマネジメント基本方針とリスクマネジ ①概要 の活動としては以下のような事項を実施し、組織一丸と リスクとは、組織の理念に基づく中期目標、年度目標な メント規程を制定しました。具体的なリスクマネジメント なってリスクマネジメントに取組んでいます。 研究紹介 どの目標の達成を阻害し、望ましくない結果をもたらす危 ●リスクマネジメント委員会を開催して、リスクマネジメ 険性や不確実性のことをいい、財務上や研究開発上のリス ントに関する諸規程及び体制の整備、リスク対応状況等 ク、社会規範上のリスクなど、多様なものがあり、事業活 Ⅰ JAMSTEC の概要 動に伴う公害の発生や油の流出などに代表される環境汚染 などの環境影響についてもこのリスクに含まれます。リス クマネジメントとは、これらのリスクを的確に把握し、低 減化を図るための仕組みの事をいいます。 JAMSTECで も リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト の 強 化 に 向 け、 について検討・審議する。 ●各部署にリスクマネジメント推進担当者を配置し、リス クマネジメントの推進を図る。 ●職員に対するリスクマネジメント研修を定期的に開催す る。 ●監査室によりリスクマネジメントに関する監査を行い、 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 監査結果を理事長に報告する。 リスクマネジメント基本方針 Ⅲ 安全の取組み 独立行政法人海洋研究開発機構(以下「機構」という。 )は、機構が抱える多様なリスクを的確に把握し、その発生の可能性 を低減し、また発生した場合の損失の最小化、早期復旧及び再発防止に努めることにより、機構の事業目的の達成を容易にし、 国民の皆様から信頼される組織を目指すこととする。 リスクとは、機構の事業目的の達成を阻害し、望ましくない結果をもたらす危険性や不確実性のことをいう。ここでいうリス クには、安全に係るリスク、研究開発に係るリスク、経営管理に係るリスク等の機構の事業活動に係る全てのリスクを含む。 機構のリスクマネジメント活動は、以下の事項の達成を目標とする。 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み 1.機構の各事業に相当程度の影響(損失)を与え得るすべてのリスクを発見・特定し、経営レベルで掌握する。 2.統一的な指標に基づき、各々のリスクが経営に与えるインパクトを客観的に数量化し、対応の優先順位を明確化する。 3.主要なリスクについて、平常時の対応を主管する組織を明確化する。 4.主要なリスクについて、各リスクの対応策を整備する。 5.緊急時の対応について、責任者および対応組織とその権限・責任が明確化され、機構内の指揮命令系統を確立する。 6.定期的な教育・研修を通じ、全役職員がリスクマネジメントに係る諸規程の内容を熟知する。また、自らの役割を認識し、 責任ある的確な行動をとる。 理事長は、機構の最高責任者として、機構のリスクマネジメントを総理する。 機構におけるリスクは、リスクマネジメント規程及び安全管理規程並びにこれらに関連する諸規程に基づき、的確に把握し、 対応する。 Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 50 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ②2015年度の取組み 修を行いました。 ●研究活動・公的研究費に係る不正の防止に関する新制度 の説明会(2015年4月15日、 17日) ⑵ コンプライアンス(法令等の順守) 特 集 2015年度はJAMSTECの職員に対し、次の説明会や研 ①コンプライアンスの体制 コンプライアンスとは、狭義で「法令順守」の意味で理 解されることもありますが、明らかな法令違反とは言い切 れない不祥事についても対応する必要性があることから、 13日)、標的型メール攻撃の模擬訓練実施(2015年8月 JAMSTECでは法令に留まらず社会規範の順守までをも 24日) 、eラーニングシステム「JAMoodle」による研 含むものとして考えています。 修講座開講(2015年10月19日) JAMSTECでは、2007年12月に「コンプライアンス行 TOPICS ●情報セキュリティ;サイバー攻撃体験研修(2015年5月 動規準」と「コンプライアンス規程」を制定し、不正・不 法行為の未然防止に取組んでいます。また、研究活動の不 究活動における不正行為への対応に関する規程」を定めま 研究紹介 正については、2006年9月に「研究活動行動規準」と「研 した。 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 51 Ⅳ 環境の取組み JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 Ⅲ 安全の取組み 1.私たちは、毎日、誇りと公正な視点、誠実な心を忘れずに仕事に取り組みます。 私たちは、毎日の業務を行うにあたって、法令、諸規程及び社会規範に則り、誇りと公正さ及び向上心をもって誠実に行動 することを誓います。 2.私たちは、公私のけじめは厳として行います。 私たちは、高い倫理観と自己規律に基づいて公私のけじめをつけて行動します。 3.私たちは、情報を適切に取り扱います。 私たちは、法令に則り、情報公開と個人情報保護を適切に行います。 4.私たちは、人権を尊重し、風通しの良い職場環境を作ります。 私たちは、性的差別や嫌がらせなど人権を脅かすような行為に対しては厳しく対処します。同じ職場で働く者の多様な個性 を尊重することで、安全かつ安心して能力を発揮できるよう風通しの良い職場環境を作ります。 5.私たちは、地域・社会へ貢献いたします。 私たちが行う海洋に関わる研究開発には、地球温暖化の予測や海溝型巨大地震メカニズムの解明など社会の営みに直接関わ りのあるものがあります。私たちは、観測や実験を通じて得られた研究成果を分かりやすく地域・社会に伝えることで、自然 災害の防止や社会的不安の緩和に役立つことを強く願うものです。 6.私たちは、環境に配慮して行動します。 私たちは、社会の一員として、社会全体に係わる環境問題に関心を持ち、環境に対する負荷を少しでも軽くすることに努力 し、協力いたします。 7.私たちは、法令及び諸規程の違反に対しては厳正に対処します。 私たちは、法令及び諸規程の違反を知ったときは、直ちに規程に従った通報を行うとともに、これを是正し、再発防止策を 定めます。いかなる理由があろうとも、法令及び諸規程の違反の事実を繕ったり、隠したりしません。法令及び諸規程の違反 や事実の隠蔽等に対しては、就業規程等の定めに従い懲戒処分の対象とするなど厳正に対処します。 8.役員は、この行動規準に従って率先垂範いたします。 役員は、業務の遂行にあたり、この行動規準に従って自ら率先垂範して臨むことを宣言します。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 独立行政法人海洋研究開発機構(以下「機構」とします。 )は、平和と福祉の理念に基づき、海洋に関する基盤的研究開発、 海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより、海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術研究 の発展に資することを目的としています。 この行動規準は、私たちが上記目的を達成するために日々の業務を行っていく中で、法令等を遵守して行動するための基本的 な姿勢を定めたものです。私たちが遵守する「法令等」には、法令だけでなく、機構が定める諸規程や私たちが社会の一員とし て守るべき社会規範や環境への配慮も含まれます。私たちは、国民の負託を受けて働く者として、私たちの業務が少しでも社会 に役立つよう、高い倫理観と自己規律に基づいて法令等の遵守( 「コンプライアンス」とします。 )を実践することを宣言します。 Ⅰ JAMSTEC の概要 コンプライアンス行動規準 理事長ごあいさつ ②法令順守の状況 特 集 JAMSTECの事業活動において関係する環境関連法令 の順守状況は次のとおりです。2015年度においては法令に 違反した事実はなく、処分は受けていません。 TOPICS 適用を受ける主な環境関係法令 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法) 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律 (グリーン購入法) 国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した 契約の推進に関する法律(環境配慮契約法) 環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に 配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進 法) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法) 大気汚染防止法 水質汚濁防止法 下水道法 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改 善の促進に関する法律(PRTR法) 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚 染防止法) 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法 律(放射線障害防止法) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法 律(原子炉等規制法) 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様 性の確保に関する法律(カルタヘナ法) 主な規制の内容 遵守状況 電力などのエネルギーの合理的使用、省エネ ○ 環境負荷の少ない物品の調達 ○ 環境負荷が少なくなるように工夫した契約 ○ 事業活動に係る環境配慮等の状況に関する情報の提供 ○ 産業廃棄物などの適切な処理 大気に放出するばい煙等の管理 公共用水域(海域、河川など)へ排出する排水の管理 下水道に排出する排水の管理 ○ ○ ○ ○ 対象となる化学物質の排出量の把握 ○ 船舶などから海洋への油や廃棄物排出の規制 ○ 放射線障害の防止と放射性同位元素等の適切な管理 ○ 核原料物質、核燃料物質、原子炉の平和利用の確保 と、適切な管理及び規制 ○ 組換えDNA実験の適正な実施 ○ ○:良好 △:指導あり ×:違反あり ⑶ 個人情報の保護 Ⅳ 環境の取組み 近年、高度情報通信技術の進展により、個人情報の利用 が著しく拡大し、コンピューターやネットワークを利用し て大量の個人情報が処理されています。そこで、個人情報 の適正な取扱いに関する基本理念などを定め、個人情報の Ⅴ 社会的取組み 有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目 的として、平成15年5月、個人情報保護に関する各種の法 律( 「個人情報の保護に関する法律」等)が制定され、個 人情報を取り扱う事業者が遵守すべき法的義務が定められ ました。 程」を定めています。 なお、2015年度は、新任職員向け研修のほか、以下の個 人情報保護に関する研修会を実施しました。 ●個人情報保護教育研修会【全職員向け】 (2015年6月 18、25日) ⑷ 知的財産権の管理 知的財産権とは、発明や創作によって生み出されたもの を、発明者の財産として一定の期間保護する権利です。 JAMSTECが我が国のみならず国際的に海洋科学技術 の中核的機関として機能していくためには、海洋に関する Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 独立行政法人であるJAMSTECの場合、平成17年4月 「知」を不断に創出し、それらを社会経済の発展のために に施行された「独立行政法人等の保有する個人情報の保護 活用されるよう発信していくことが不可欠です。JAMST に関する法律」やその関係法令が適用されており、これら ECは優れた人材と世界最高水準の技術を併せ持つ世界有 の諸法令を遵守するために、JAMSTECでは「個人情報 数の研究開発能力を有しており、先進的な研究開発成果を 保護管理規程」等を定めて個人の権利利益の保護を行って 知的財産の形で広く公表していくとともに、産業界や他の います。 機関が利用しやすいように、組織を挙げた取組みを進めて また、情報システムの継続的かつ安定的な運用及び機構 内で電子的に作成されたり伝送される情報についての安全 性と信頼性を確保するため、 「情報セキュリティ管理規 52 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 いくこととしています。 JAMSTECで は「 知 的 財 産 に 関 す る 基 本 的 な 考 え 方 (知財ポリシー)」を制定し、 理事長ごあいさつ ●知的創造サイクルの活用 ●知的財産権の帰属・承継 ●研究成果の社会への還元による社会貢献 ●企業等との連携における透明性の確保 め、知的財産の創造、保護、管理、活用に積極的に取組ん でいます。 なお、2016年3月末の時点での知的財産の保有数は右の 表のとおりです。 国内 175 55 2 20 海外 113 68 3 - 13 - 4 - TOPICS を基本的な考え方として「職務発明等活用規程」を定 特許 特許出願中 意匠 商標 プログラム著作物 登録* ノウハウ* 特 集 ●知的財産管理をビルトインした研究開発活動の推進 知的財産の保有数 (*)企業等に実施許諾する場合に登録認定 護を行う職員への支援情報や介護の基礎知識など、 職員の参考になる情報をまとめました。 横須賀本部及び横浜研究所には健康管理室を設け健康管 また、2014年に開催した「育児カフェ」で寄せられた意 理専門の職員が常駐しているほか、週に1~2回産業医に 見に対する取組みとして、既存の時差勤務制度における対 よる健康相談を行っています。 象範囲の拡大及び育児に関連する特別休暇制度の見直しを 断、特殊健康診断を実施し、人間ドック受診者への補助を 行うなどして、職員に健康の維持・増進を働きかけ、また 管理を行っています。 ⑷ ハラスメントの対応 セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)に代表される 職場における様々なハラスメントは、職員の人としての尊 厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるととも に、職員の能力発揮を妨げ、職場秩序を乱し適切な業務遂 行の障害となることに繋がります。職場でのハラスメント 外部機関と提携しカウンセリングを受けることのできる体 対策については、セクハラに関しては法律により事業主に 制を整えています。 配慮が求められていますが、昨今ではセクハラ以外の様々 また、年に1回、イントラネット上で実施できるメンタ なハラスメントも大きな問題となっています。特にパ ルタフネスのセルフチェックの機会を設けています。その ワー・ハラスメント(パワハラ)やアカデミック・ハラス 他、外部の相談窓口として、従業員支援プログラムを導入 メント(アカハラ)などは職場環境を悪化させるだけでな しています。 く、職員の心身の健康 ⑶ ワーク・ライフバランス る場合もあり、組織に 対する影響は看過でき ワーク・ライフバランスとは、仕事と仕事以外の生活を ないものとなっていま 調和させ、誰もが働きやすい仕組みをつくることといわれ す。 介護の両立を可能にし、働きやすい環境の整備に取組んで なハラスメントを防止 います。2015年度には仕事と介護の両立で生じる様々な問 し 排 除 す る た め、 「ハ 題点について職員へアンケートを実施し、調査結果から職 ラスメントの防止等に 員の抱えている不安や問題点を把握し、調査報告書をとお 関する規程」を制定し して既存制度や相談窓口について情報発信を行いました。 ています。また、相談 ○アンケート実施期間 2016年2月1日~29日 ○寄せられた意見に対する取組み状況 ・介護関連情報を掲載するページを新設し、家族の介 窓口を設けて随時相談 ハラスメント防止のためのハンドブック 序文 を受け付けているほ か、「 ハ ラ ス メ ン ト 防 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 53 安全・環境報告書 の評価 JAMSTECでは様々 Ⅵ コミュニケーション 活動 ています。JAMSTECにおいても仕事と子育て、仕事と Ⅴ 社会的取組み を害し長期療養を要す Ⅳ 環境の取組み JAMSTECでは職員のメンタルケアのため、カウンセ ラーの資格を有した者が常時相談を受け付けているほか、 Ⅲ 安全の取組み ⑵ メンタルヘルス 行いました。 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント そのほかにも、法令に定めるところにより定期健康診 Ⅰ JAMSTEC の概要 ⑴ 健康管理 研究紹介 2. 労働慣行 理事長ごあいさつ 止のためのハンドブック」を作成して職員に配布し、ハラ 特 集 スメントを未然に防止し、快適に働くことができる職場づ くりのため、また良好な人間関係を築くため、ハラスメン トの防止と啓発に取組んでいます。2015年度には「ハラス メント研修」を実施し、職場のハラスメントについて正し TOPICS い理解の促進を行いました。 ○開催日 横須賀本部(2015年12月21日) 横浜研究所(2015年12月24日) 研究紹介 3. 社会貢献 ⑴ 社会貢献の方針 利用などに取組みます。 JAMSTECは、こうした社会貢献への取組みのため、 Ⅰ JAMSTEC の概要 JAMSTECは、海洋・地球環境分野における調査・研究 毎年度の総事業費の一定割合(当面1%を考えています) 開発を実施し科学技術の進展に貢献していますが、こうし を振り向けるとともに、自らの業務がどのようにしたら社 た活動の他に社会への直接的な貢献についても、本来業務 会とつながって行くことができるかを念頭に置いて、職員 の一環として積極的に取組んでいきます。 がそれぞれの業務に従事できるような環境を作っていきま JAMSTECは、社会への貢献として、子供たちをはじ Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント め一般の方々との交流を通じ、海洋や地球についての知識 の普及と理解の増進、教育界との連携による人材の育成、 す。 JAMSTECが社会貢献に取組むに当たっての基本方針 は、以下のとおりです。 更に産業界との積極的な交流を通じた研究開発成果の産業 Ⅲ 安全の取組み 1.通常業務におけるアウトリーチ活動の重視 JAMSTECでは、中期計画の推進のため、より具体的なアクションプランを作成し、その中で各研究プログラムの推進や機構 の管理運営に関し、社会へのアウトリーチに向けた目標を示しています。 その実現に向けて、役職員が邁進することが、まず重要であると考えます。 Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 2.社会貢献型事業の実施 次の3つの視点から社会貢献への取り組みを強化します。 ⑴ 科学技術理解増進活動の充実 対話型重視のアウトリーチ活動(普及・啓発活動)を実施します。 海洋・地球科学技術の知識を体系的に提供できるよう努力します。 学校、水族館・科学館、地域等とのネットワークやボランティアの参加を得て、多様な年齢層・社会層における海洋・地球に 関する科学技術への関心・知る意欲を高めるための活動を進めます。 ⑵ 人材の育成への寄与 将来この分野に進みたいと思う小・中・高校生が増えるよう、海洋・地球科学技術に接する機会を提供し、夢や期待を育む よう努めます。 大学、産業界、自治体等との連携の下、若い世代の「伸びうる能力」を最大限引き出し、高い専門性を有する研究開発プロ フェッショナルを育てます。 ⑶ 成果の活用 研究成果の中で、追加的努力によってすぐに社会に役立ちそうなものは、社会貢献型事業として重点的に進めます。 成果が広く社会で活用されるよう、知的財産化します。 海溝型地震の即時検知・通報システム等、社会に直接役立つ新技術の開発を進めます。 安全・環境報告書 の評価 54 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ ⑵ 社会貢献活動の紹介 特 集 JAMSTECでは、海洋・地球科学分野に携わる研究者や技術者、研究推進に携わる事務職員などの人材育成に貢献し、 また、学生に対して就業体験の機会を提供するため、インターンシップを実施しています。 対象者は海洋・地球科学技術に興味を持つ、大学院生及び大学生、高等専門学校生(高等専門学校生は4年次以上を対 ことが可能です。 例年6月に応募を開始し、8月下旬から9月上旬までの2週間(10営業日)就業体験を行います。期間の最終日には成果 報告会として、インターンシップ生が期間中に行った業務の紹介と実習で学んだことについてパワーポイントを用いて発表 TOPICS 象)となります。インターンシップの受入部署は年によって変更がありますが、研究・技術系と事務系の業務から選択する を行います。 <実施概要> 研究紹介 ○実施期間 2015年8月29日(月)~9月9日(金)の2週間 ○実施期間中のスケジュール 8月29日:全体オリエンテーション Ⅰ JAMSTEC の概要 (機構概要説明、施設見学、指導員との顔合わせ等) 8月30日~9月9日(午前) :受入部署での実習、成果報告会の準備 9月9日(午後) :成果報告会 ○受入人数 16名 ○受入部署 むつ研究所 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 受入部署及び人数 就業体験期間中の業務内容 1名 研究支援業務として、薬品廃液管理、分析機器運用管理、情報発信などの研究推進に関わる業務を 体験。さらに、実際に海水の分析を行うことにより、海洋化学の分析手法について考察する。 海洋工学センター 運航管理部 運航・工務グループ 1.海務関係(各船舶の行動における事前打ち合わせへ参加、日々の船舶の動向の確認) 2.工務関係(船舶入港時における工務現場体験) 1名 3.船員労務関係(機構船員の労務管理に関する業務補助) 4.船舶安全管理関係(機構自主運航船の船舶安全管理に関する業務補助) 5.その他委員会等(船舶運航に関する委員会等の準備補助) 地球深部探査センター 科学支援部 地質評価グループ 過去の実際のデータを扱うことで、事前評価や研究航海でどのようなデータが取得され、活用され ているかを学び、実際に下記の業務を行う。 4名 ①検層解析ソフトのユーザー資料作成 ②地震探査・検層データの整理・登録作業 ③掘削泥水検層データの整理・登録作業 Ⅴ 社会的取組み 指導を受けながら、研究開発の最前線の職場において実務を体験することで、具体的な仕事の流れ 4名 や研究開発に必要なスキルを理解する。無人探査機などの海洋プラットフォームあるいは海洋観測機 器の技術開発の実業務の補助を行う。 Ⅳ 環境の取組み 研究・技術系 海洋工学センター 海洋技術開発部 Ⅲ 安全の取組み A.人類が排出した二酸化炭素は海・大気・森林を循環し、地球温暖化など地球環境の将来を左右す ると考えられているが、その行方にはまだ大きな謎が隠れている。最先端の人工衛星観測データ や、コンピュータシミュレーション結果に触れ、プログラム作成を通して統計解析や画像化を行う 地球表層物質循環研究 ことで、大陸スケールでの陸域植生の二酸化炭素収支を解き明かす作業を体験する。 2名 分野 B.北極とその周辺地域では、気候変動の影響が強く現れているが、そのメカニズムは十分わかって いない。グリーンランド氷床を対象とした気候モデル・シミュレーションを実際に体験し、その中 で、氷床上の雪氷と周辺の海氷・海水面温度分布との因果関係について学ぶ。さらに、モデルの セッティングやシミュレーション結果の可視化について体験する。 地球情報基盤センター 機構の船舶や研究者が取得したデータ・サンプルの受取、保管、公開について、実際のデータやメ 地球情報技術部 タデータ、岩石や生物等のサンプルを扱いながら一通りの業務を体験する。さらに、機構船舶のデー 1名 データ管理技術グルー タを公開しているウェブサイトにおいて、すでに実施しているニーズ調査(報告書・聞き込み)を基 プ に、機能の改善提案を行う。 事務系 漁業調整業務の体験を行う。 ①対象航海の漁業調整用資料の作成 ②対象の県庁、県漁連等への資料の送付 1名 ③対象の県庁、県漁連等への訪問日程調整 ④出張訪問説明 ⑤漁業調整報告書の作成 人事部 職員課 労務・給与関連諸制度の構築・改善を指導員と共に考察・実施し、その課題点及び改善案を立案す 1名 る。一例として、定時退所の促進、定年後の働き方、働きやすい勤務制度(フレックスタイム等)の 検討および施策のフォロー等を予定。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 安全・環境報告書 の評価 海洋工学センター 運航管理部 海域調整グループ Ⅵ コミュニケーション 活動 地球情報基盤センター 機構の各船舶や潜水船、研究者が取得したデータ・サンプル等の地球観測情報を研究コミュニティ 地球情報技術部 1名 や一般社会へ広く提供するためのシステム開発業務の一環として、観測データ公開サイトの改善点抽 データ情報化技術グ 出や地球観測情報の2次利用促進策を検討する。 ループ 55 理事長ごあいさつ 特 集 4. 国際協力・外部機関との連携 ⑴ 国際連携とプロジェクトの推進 ⑵ 共同研究及び機関連携による研究協力 TOPICS JAMSTECでは、海洋科学技術の中核機関として国際 JAMSTECでは、研究開発によるイノベーションの創 協力を推進し、JAMSTEC及び我が国のプレゼンスの向 出、社会への成果還元を図るため、国内外の大学、企業、 上を図り、また地球規模課題の解決に貢献するため、次の 研究機関等と共同研究及び機関連携等の協力関係を構築し 事項を実施しています。 ています。2015年度については、共同研究契約としては国 内114件(前年度93件)、海外46機関(前年度45件) 、機関 研究紹介 ①国連機関・国際条約の対応、及び海外研究機関との連携等 間協定としては国内22件(前年度28件) 、海外26件(前年 ●政府間海洋学委員会(IOC)、国際科学会議(ICSU)、 度23件)について契約又は協定を結びました。 全球地球観測システム(GEOSS)等への貢献 Ⅰ JAMSTEC の概要 ●国連海洋法条約(UNCLOS) 、気候変動枠組条約(UNF CCC) 、生物多様性条約(CBD)等への適切な対応 また、地震・津波観測監視システム(DONET)につい て、その構築が完成したことから平成28年4月に国立研究 開発法人防災科学技術研究所(NIED)へ移管しました。 ●海外研究機関との研究開発協力及び交流の促進 これにより防災科学技術研究所との連携を更に深化させま ●機構の国際化促進概要 した。 ②国際深海科学掘削計画(IODP)の推進 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント ●国際深海科学掘削計画(IODP)を推進する地球深部探 査船「ちきゅう」の運用 国内機関との共同研究契約件数及び契約相手方機関の推移 名称 ●「ちきゅう」乗船研究者に対する科学的、技術的支援 ●掘削コア試料の保管・管理・提供及び取得したデータの 円滑な提供 Ⅲ 安全の取組み ●日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)を通じた 研究者間コミュニケーションの促進 2013年度 2014年度 2015年度 共同研究契約(新規課題) 98(27) 93(30) 114 (28) 契約相手方機関 104 109 138 注: ( )内は新規課題数 ③地球規模課題への対応 ●気候変動、物質循環、生物多様性等の地球規模課題への 貢献 Ⅳ 環境の取組み 国際連携とプロジェクト推進に係る2015年度の主な実績 第48回IOC執行理事会及び第28回IOC総会に出席し、専門的な知見に基づき発言を行うととも 国際機関・国際条約関連 に、日本政府と各国政府の調整支援及び情報収集を行いました。また、IOC西太平洋政府間地 域小委員会(WESTPAC)に委員として出席し、広く専門家による意見交換を実施しました。 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 安全・環境報告書 の評価 海外研究機関との連携 第17回全球海洋観測パートナーシップ(POGO)総会に参加し、ローカルホストとしてイベン トの支援を行いました。ミャンマー科学技術省(MoST)との地球科学分野に関する協力意図 表明文書(DOI)の締結し、MoST傘下の地球科学研究所との連携表明を表明しました。 海外政府からの 調査依頼受託 ミクロネシア連邦政府から大陸棚延長に関する科学的根拠を補填する調査依頼を受託し、ミク ロネシアが抱える課題の解決に海洋科学技術の面から協力しました。また、インド政府からも ONGC社(インド石油ガス公社)等を介してメタンハイドレート掘削調査を受託しました。 国際深海科学掘削計画 (IODP)の推進 第4回ちきゅうIODP運用委員会(CIB)及びCIBの専門部会(PCT)を開催し、今後の南海掘 削計画及び掘削プロジェクトについて意見交換を実施しました。また、アメリカ地球物理連合 大会(AGU)で、欧米の陸上掘削プログラムと協力しIODP Town Hall meetingを開催しま した。 地球規模課題への対応 第3回及び第4回SIMSEA SSC(科学助言委員会)に出席し、講演を行いました。更にワー クショップを通じて、アジアの研究者やNGO関係者らと意見交換を実施しました。また、第4 回生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)に参画 しました。 56 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 5. 表彰・顕彰 JAMSTECに所属する職員が次のとおり外部から表彰 【http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/awa rd/】 TOPICS されました。なお、2015年度発表分を掲載しています。詳 細につきましては、ホームページで掲載しておりますので ご覧ください。 褒賞の名称 受賞者(受賞時の役職・所属を記載) 柏野祐二 技術主幹(地球情報基盤センター) 2014年度日本機械学会奨励賞(研究) 松田景吾 研究員(地球情報基盤センター) 研究紹介 第9回科学技術の「美」パネル展優秀賞 Elsevier Quaternary International誌 優 秀 査 久保田尚之 研究員(大気海洋相互作用研究分野) 読者賞 国際海洋微生物学会2015年ポスター賞 肖 楠 技術副主任(高知コア研究所) Ⅰ JAMSTEC の概要 International Conference on Biodiversity︐ Ecology and Conservation of Marine EcoChong Chen ポストドクトラル研究員(深海・地殻内生物圏研究分野) systems 2015(BECoME 2015)ベストオーラル プレゼン賞 日本古生物学会2015年年会 優秀ポスター賞 木元克典 主任技術研究員(地球環境観測研究開発センター) 藤木徹一 主任技術研究員(地球環境観測研究開発センター) 2014年AGU査読者賞 相木秀則 主任研究員(アプリケーションラボ) Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 川原慎太郎 技術研究員(地球情報基盤センター) 第20回計算工学講演会グラフィックスアワード特 大西 領 主任研究員(地球情報基盤センター) 別賞 高橋桂子 上席研究員(地球情報基盤センター) 第61回高分子研究発表会 エクセレントポスター 木下圭剛 ポストドクトラル研究員(海洋生命理工学研究開発センター) 賞受賞 松岡大祐 技術研究員(地球情報基盤センター) Goldschmidt 2015 The Geochemical Journal Award 2015 菅原春菜 ポストドクトラル研究員(生物地球化学研究分野) 日本雪氷学会 2015年度日本雪氷学会技術賞 矢吹裕伯 主任技術研究員(地球表層物質循環研究分野) 2015年度日本火山学会 研究奨励賞 柵山徹也 招聘研究員(海洋掘削科学研究開発センター) 第10回(2016年)日本物理学会若手奨励賞 河村洋史 研究員(数理科学・先端技術研究分野) 日本サンゴ礁学会 川口奨励賞 中嶋亮太 ポストドクトラル研究員(海洋生物多様性研究分野) Ⅳ 環境の取組み 可視化情報学会奨励賞 Ⅲ 安全の取組み Wendy Schmidt Ocean Health XPRIZE 「値 中野善之 技術研究員(海洋工学センター) の正確さ」部門(Accuracy Prize)3位獲得 日本気象学会 2015年気象集誌論文賞 佐藤正樹 招聘主任研究員(気候変動リスク情報創生プロジェクトチーム) 野田 暁 研究員(気候変動リスク情報創生プロジェクトチーム) 山田洋平 研究技術専任スタッフ(シームレス環境予測研究分野) 小玉知央 研究員(シームレス環境予測研究分野) Ⅵ コミュニケーション 活動 日本海洋データセンター(JODC)創設50周年を 海洋研究開発機構 記念し海上保安庁長官より表彰 松岡大祐 技術研究員(地球情報基盤センター) 大内和良 主任研究員(シームレス環境予測研究分野) 第10回日本ゲノム微生物学会年会 奨励賞 布浦拓郎 主任研究員(海洋生命理工学研究開発センター) 日本堆積学会 日本堆積学会2016年論文賞 吉河秀郎 ポストドクトラル研究員(数理科学・先端技術研究分野) 安全・環境報告書 の評価 Outstanding Presentation Award 平成27年度第10回科学技術の「美」パネル展 優 三輪哲也 グループリーダー(海洋工学センター) 秀賞 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 Ⅴ 社会的取組み 米国地球物理学連合(AGU) 「平朝彦国際深海科 学掘削研究賞」 (The Asahiko Taira Interna稲垣史生 高知コア研究所長代理(高知コア研究所) tional Scientific Ocean Drilling Research Prize 57 理事長ごあいさつ Ⅵ. コミュニケーション活動 特 集 TOPICS JAMSTECのイベント JAMSTECでは年間を通じ、各研究所の施設一般公開 2016年 度 の イ ベ ン ト に つ い て はJAMSTECの ホ ー ム や、研究船の一般公開、各種セミナーなどを開催してお ページで逐次お知らせしていますので、皆様のお越しを心 り、体験乗船、セミナー、ラボツアーなど楽しい企画をあ からお待ちしております。 わせて実施しています。 【http://www.jamstec.go.jp/j/pr/event/index. 研究紹介 html】 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み 2015年度に実施した主なイベント <2015年> Ⅳ 環境の取組み 4月18日 5月5日 5月16日 7月18日 7月25日 7月25日 8月5日 8月7、 13、 21日 9月20日 9月27日 10月4日 10月30日 11月7日 11月12日 11月21日 11月21、 22日 Ⅴ 社会的取組み Ⅵ コミュニケーション 活動 「しんかい6500」完成25周年記念潜航 海上の母船「よこすか」と交信しよう 「しんかい6500」 「よこすか」船舶一般公開【宮崎港(宮崎県宮崎市)】 施設一般公開【横須賀本部】 「みらい」船舶一般公開【釧路港(北海道釧路市)】 施設一般公開【むつ研究所】 「なつしま」 「ハイパードルフィン」船舶一般公開【熊本港(熊本県熊本市)】 夏休みキッズ実験ひろば【横浜研究所】 夏休み! JAMSTEC個人見学ツアー【横須賀本部】 「かいれい」 「かいこうMk-Ⅳ」船舶一般公開【宮古港(岩手県宮古市)】 「新青丸」船舶一般公開【大槌港(岩手県上閉伊郡大槌町)】 「ちきゅう」就航10周年記念イベント「「ちきゅう」で学ぶ~求む!ヨコハマ探検隊~」 地球深部探査船「ちきゅう」10周年記念シンポジウム@八戸 施設一般公開【横浜研究所】 「ちきゅう」就航10周年記念シンポジウム【イイノホール(東京都千代田区)】 施設一般公開【国際海洋環境情報センター】 「ちきゅう」就航10周年記念イベント 「ちきゅう」一般公開【横浜港(神奈川県横浜市)】 安全・環境報告書 の評価 <2016年> 3月2日 3月8、 9日 58 研究報告会「JAMSTEC2016」【東京国際フォーラム(東京都千代田区)】 研究船を利用した研究成果発表会「ブルーアース2016」【東京海洋大学(東京都港区)】 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 理事長ごあいさつ 特 集 横浜研究所 地球情報館は毎月第3土曜 日も開館しています 横浜研究所の地球情報館は毎月第3土曜日も開館し、1 階映像展示室、2階ギャラリー、図書館などをご利用いた TOPICS だけるほか、公開セミナーや地球シミュレータの見学ツ アーなどのイベントも開催しています。また、JAMST ECオリジナルグッズ・刊行物も販売していますので、ぜ ひお立ち寄りください。 イベントの内容やスケジュールについては 【http://www.jamstec.go.jp/j/pr/esm_sat_open/】 研究紹介 をご覧ください。 2015年度に行った地球情報館公開セミナーのテーマは以下のとおりです。 講演者(所属・役職は講演時のものを記載) 西澤 学 海洋地球生命史研究分野 マッデン・ジュリアン振動(MJO)の解明を目指して 横井 覚 大気海洋相互作用研究分野 福島第一原子力発電所事故と海 熊本雄一郎 地球環境観測研究開発センター 火山はなぜそこにある?マグマ活動と火山噴火 上木賢太 地球内部物質循環研究分野 史上初の海洋観測開発レース 「Wendy Schmidt Ocean Health XPRIZE」への挑戦 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 太古の深海熱水環境から探る生命と地球の物語 Ⅰ JAMSTEC の概要 演題 中野善之 海洋工学センター 「たいりくプロジェクト」なぜ地球に陸地ができたのか? 田村芳彦 海洋掘削科学研究開発センター 北の海でおきている海洋酸性化!?その進行と影響? みんなの知りたい「ちきゅう」って!? Ⅲ 安全の取組み 「地球シミュレータ」を、どう動かしているのか! ~スーパーコンピュータの運用・管理の現場から~ 脇田昌英 むつ研究所 大倉 悟 地球情報基盤センター 澤田郁郎、江口暢久 地球深部探査センター Ⅳ 環境の取組み 届けたい!お宝深海映像 深海映像・画像アーカイブス 荻堂盛誉 国際海洋環境情報センター(GODAC) (J-EDI)で観るディープな世界 Ⅴ 社会的取組み JAMSTEC Library Communication JAMSTECで は、 公 開 セ ミ ナ ー の 開 催 に 合 わ せ て、 ニ ュ ー ス レ タ ー「JAMSTEC Library Communication」を発行しています。各回の担当講師が推薦する参考 Ⅵ コミュニケーション 活動 文献や、テーマに関連する一般書・児童書などを紹介して います。過去のニュースレターもホームページ上で閲覧可 能 で す の で、 ぜ ひ ご 覧 く だ さ い。 【http://www.jamst ec.go.jp/j/pr/seminar/】 また、横浜研究所の図書館は、海洋や地球科学に関する 安全・環境報告書 の評価 資料を収集し、一般に公開している専門図書館です。一般 書、児童書、科学絵本、科学雑誌のほか、機構所属研究者 の著書、過去に開催した公開セミナーのDVD等の視聴覚 資料も所蔵し、どなたでもご自由にご利用いただけます。 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 59 理事長ごあいさつ 安全・環境報告書の評価 特 集 第三者による検証 環境報告ガイドライン2012年版との対照表 環境報告の記載事項 環境報告の基本的事項 201₆記載頁 TOPICS 研究紹介 Ⅰ JAMSTEC の概要 Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント Ⅲ 安全の取組み Ⅳ 環境の取組み Ⅴ 社会的取組み 1.報告にあたっての基本的要件 (1)対象組織の範囲・対象期間 目次 (2)対象範囲の捕捉率と対象期間の差異 目次 (3)報告方針 目次 (4)公表媒体の方針等 目次 2.経営責任者の緒言 1 3.環境報告の概要 (1)環境配慮経営等の概要 13~26 (2)KPIの時系列一覧 41~44 (3)個別の環境課題に関する対応総括 40、45 4.マテリアルバランス 40 「環境マネジメント等の環境配慮経営に関する状況」を表す情報・指標 1.環境配慮の方針、ビジョン及び事業戦略等 (1)環境配慮の方針 27 (2)重要な課題、ビジョン及び事業戦略等 28、29 2.組織体制及びガバナンスの状況 (1)環境配慮経営の組織体制等 27~31 (2)環境リスクマネジメント体制 28、31 (3)環境に関する規制等の遵守状況 51、52 3.ステークホルダーへの対応の状況 (1)ステークホルダーヘの対応 8~12、58、59 (2)環境に関する社会貢献活動等 2~12、58、59 4.バリューチェーンにおける環境配慮の取組状況 (1)バリューチェーンにおける環境配慮の取組方針、戦略等 46~49 (2)グリーン購入・調達 46~48 (3)環境負荷低減に資する製品・サービス等 - (4)環境関連の新技術・研究開発 8~12 (5)環境に配慮した輸送 - (6)環境に配慮した資源・不動産開発/投資等 - (7)環境に配慮した廃棄物処理/リサイクル 35~37、45、49 「事業活動に伴う環境負荷及び環境配慮等の取組みに関する状況」を表す情報・指標 1.資源エネルギーの投入状況 (1)総エネルギー投入量及びその低減対策 40~45、47~49 (2)総物質投入量及びその低減対策 40~48 (3)水資源投入量及びその低減対策 40、41、43、45 2.資源等の循環的利用の状況(事業エリア内) 45、49 3.生産物・環境負荷の産出・排出等の状況 (1)総製品生産量又は総商品販売量等 - (2)温室効果ガスの排出量及びその低減対策 40、42~45、47~49 (3)総排水量及びその低減対策 40、41、43 (4)大気汚染、生活環境に係る負荷量及びその低減対策 40~45 (5)化学物質の排出量、移動量及びその低減対策 35、37、40 (6)廃棄物等総排出量、廃棄物最終処分量及びその低減対策 35~38、40、42、43~45 (7)有害物質等の漏出量及びその防止対策 35~38、40 4.生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用の状況 8、15、27、37、49 「環境配慮経営の経済・社会的側面に関する状況」を表す情報・指標 1.環境配慮経営の経済的側面に関する状況 (1)事業者における経済的側面の状況 25 (2)社会における経済的側面の状況 - 2.環境配慮経営の社会的側面に関する状況 54~59 Ⅵ コミュニケーション 活動 1.後発事象等 (1)後発事象 (2)臨時的事象 2.環境情報の第三者審査等 安全・環境報告書 の評価 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 非製造業 非製造業 非製造業 非製造業 非製造業 無し 無し 60、61 上記、 「第三者による検証」は海洋研究開発機構の「安全・環境報告書2016」の信頼性の向上のために外部の専門家(検証 者)による「環境報告ガイドライン2012」との整合性の検証の結果です。検証の結果、該当する項目については整合してい ることを確認しました。整合性の検証は今回で4年目となり継続して報告書の信頼性向上に努めていることを評価します。 また、今回、検証員が注目した記事は以下の通りです。 (イ)インターシップによる本報告書の査読評価、感想の掲載。 (ロ)昨年度のCO2排出量の大幅な削減、実験室内の事故・トラブルをゼロとするなどパフォーマンスの向上に関する掲載。 (ハ)2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおける暑熱環境の懸念について貴機構が開発したシミュレーションモデ ルによる風の流れ、緑地の効果などの解析が暑熱環境対策の強力なツールであることの紹介の掲載。 60 記載がない場合の理由 2016年9月 ・環境マネジメントシステム審査員(CEAR) ・技術士(環境部門) ・環境カウンセラー(事業者部門) 理事長ごあいさつ 「JAMSTEC安全・環境報告書2016」によせて 第三者意見 特 集 2016年9月 株式会社マリン・ワーク・ジャパン 経営企画部 経営管理室 専門室長 「JAMSTEC安全・環境報告書」の発行も今年で11年目 を数え、過去10年間の報告書をあらためて拝読いたしまし 感しました。 昨今、地球温暖化や異常気象の発生、大規模地震など、 今まさに世界で対応が求められる課題は、時代が求める非 常に複雑で難しい問題です。JAMSTECの最先端研究は、 球温暖化に迫る海洋循環シミュレーション映像、更に大規 これらの課題に対して必要不可欠な取り組みであると共 模地震時の地下構造シミュレーションデータなど、マスメ に、その成果は大きな社会貢献に他ならないと考えます。 ディアを通じて一般の方々にも広く報道されるようになり 「JAMSTEC安全・環境報告書」をご覧になった方は、 ましたが、日常生活との関わりが実感できるものとは、ま 最先端技術を有するJAMSTECの研究開発の成果が、エ だ言い難いのも現実ではなかろうかと思います。 ネルギー投入量と排出量のバランスやグリーン購入などの あいさつ」にもございます通り、近年では様々な事故・ト ラブル対応を教訓とした安全活動、ならびに環境配慮活動 ことを理解できると思います。 今後とも、安全活動や環境配慮活動に取り組まれ、さら に社会のニーズに貢献されることを願っております。 末筆ではございますが、JAMSTECが地球を支える最 一般の方々にもJAMSTECにおける年々の取り組みをご 新の技術開発を発展させ、大きな研究成果を挙げられるこ 理解いただけるものと思います。 「研究紹介」 、 「安全衛生 とを期待すると共に、弊社においても、JAMSTECと同 及び環境配慮に係る基本方針」に基づく体制とその実績 じ方向に向かって全力で地球規模の難題への取り組み継続 は、数字やグラフを用いて表現されており、多くの方々に してゆく所存でございます。 もより理解しやすく身近なものになっていると考えます。 Ⅳ 環境の取組み ました。またそれらの内容は、見える化されており、広く Ⅲ 安全の取組み の結果が、年を重ねるごとに充実されてきた事が理解でき 地道な活動に対して取り組み等によってもたらされている Ⅱ 安全衛生及び環境配 慮のマネジメント 「JAMSTEC安全・環境報告書2016」では、 「理事長ご Ⅰ JAMSTEC の概要 JAMSTECの研究開発成果は、日頃から深海映像や地 研究紹介 た。 TOPICS 田中 紀夫 氏 二 酸 化 炭 素 排 出 量14 % 減 を 果 た し たJAMSTEC所 有 の Ⅴ 社会的取組み スーパーコンピュータ(地球シミュレータ)を用いて実施 された研究成果の例として、 「特集1東京湾臨海部の緑地 の効果を解析」の環境省および文部科学省からの協力要請 Ⅵ コミュニケーション 活動 に基づく「東京都市圏における環境対策のモデル分析検討 会」との連携による2020年東京オリンピック・パラリン ピック競技大会を契機とした暑熱環境対策の解析結果が掲 載され、東京臨海部における緑地整備効果の有効性が確認 安全・環境報告書 の評価 された旨の報告があります。これにより、東京オリンピッ ク・パラリンピック等の、一般の方が注目されているもの にもJAMSTECの研究成果が関わっていることを強く実 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 61 インターンシップ生から 私は大学で受けてきた講義の中でも「環境問題」に関して興味がありました。そ こで、資源や人類の持続可能性と密接な関わりのあるJAMSTECのインターンシッ プに参加させていただきました。 私は、本報告書の環境パフォーマンスデータの推移の分析と原稿作成という業務 を行いました。その中では、“焦点の当て方”に苦戦しました。JAMSTEC全体での 傾向などを捉えようとする中で、細かいデータに捕らわれそうになってしまうこと もありました。指導員にご指導やアドバイスを頂きながら、分析を進めた結果、数 値の増減の大半は、研究内容やその日数による変動が要因であることが見えてきま した。 静岡県清水港停泊中の地球深部 探査船「ちきゅう」船上にて ただ、細部のデータも見ていくと、業務において節電や節水など取り組みも行わ れており、職員の方の環境に対する意識が感じられました。しかし、本報告書で示 されるものは組織でのものであるため、個々人の取り組みというものの影響は非常に見えにくくなります。です が、組織というものは個々人から成り立っており、そのような“個々人の意識”が、最終的にはJAMSTECという 組織全体に正の影響を与えているのではないか、と私は感じました。 本報告書は環境配慮促進法に基づいたものに加え、独自に安全に対する内容も取り入れられています。このこ とは、持続可能な社会の実現につながるだけではなく、JAMSTECという一組織が持続していくためにも重要 なものでもあると思いました。 インターンシップを通じて、これまでの私は大学などでは学問として理解することに留まっていたように感じ ました。今回、社会での現状を学ぶという貴重な経験を通して、学問としての学習から社会にも視野を広げた学 習に取り組んでいきたいと感じました。さらに、今後は身近にある大学をはじめ、様々な組織や企業などが行う 環境活動などにも視野を広げた学習を取り入れていこうと思いました。 最後になりましたが、インターンシップの期間、丁寧なご指導を頂いた指導教員の桃井副主任・青柳副主幹を はじめ、日常を通じて多くの知識や示唆を頂いた安全・環境管理室の皆様、JAMSTECの皆様にこの場をお借 りして感謝申し上げます。 関西大学 社会安全学部安全マネジメント学科3回生 上野咲映里 62 JAMSTEC SAFETY & ECO-REPORT 2016 編 集 後 記 「JAMSTEC安全・環境報告書」は、環境報告書として発行していた時代を含め本報告書で11回目の発行を迎え ることとなりました。初期の頃はお世辞にも充実しているとは言えない内容ではありましたが、報告書を作成する ことでJAMSTECの安全及び環境に関する問題点が浮き彫りとなり、そしてその解決のための取組みも推進して きたことで、発行を重ねるにつれ、相応の報告書として皆様にお届けすることができるようになりました。 今後についてもこれまでの10年間の蓄積を有効に活用し、引き続き意義のある報告書を編集して参ります。 今回の報告書の特集としましては、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに関連した暑熱環境 に対するJAMSTECの活動と、静岡県熱海市の初島にありますJAMSTECの展示施設である「初島海洋資料館」 をご紹介しております。前者の海洋地球生命科学を得意とするJAMSTECのイメージとは少しばかり趣を異にす る活動と、そして後者の隠れキャラ的な存在を、また一風違ったJAMSTECの妙味としてお楽しみ頂ければ幸い に存じます。 最後になりましたが、本報告書の作成に当たりましてご協力を賜りました関係各位に、この場をお借りして御礼 申し上げます。 2016年9月 安全・環境報告書編集担当 ■本報告書に関するご意見・ご感想をお寄せください 本報告書に関するご意見をホームページ内にて承っております。 次回作成の参考としたく、率直なご意見・ご感想を頂戴できましたら幸いです。 国立研究開発法人海洋研究開発機構 公式ホームページURL: http://www.jamstec.go.jp/ 安全・環境報告書掲載ページURL: http://www.jamstec.go.jp/j/about/environmental/report.html お問合せ先 〒237-0061 神奈川県横須賀市夏島町2番地15 国立研究開発法人海洋研究開発機構 安全・環境管理室 電話046-866-3811(代表)、ファックス046-867-9105 E-Mail:[email protected]