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飯舘村の被害状況
飯舘村の被害状況 平成23年3月11日午後2時46分、 マグニチュード9.0の激しい地震と津波が東北地方を襲いま 公営住宅 飯舘村役場 した。東北地方太平洋沖地震です。村も震度6弱の地震を受け、屋根の瓦が落ちる、道路の路肩 が崩れるなどの被害がありました。 しかしそれ以上に被害を受けたのは、東京電力福島第一原子力発電所の事故による村内の放 射能汚染の問題です。 この放射能汚染により、村は計画的避難区域に設定され、全村民が住み慣れた村を離れ、避 難することを余儀なくされました。 東北地方太平洋沖地震による被害 人的被害 ・死亡1名(相馬市で津波により) ▲役場庁舎の屋根も被害を受けました ▲家屋が傾く被害 飯舘中学校 宿泊体験館 きこり ・軽傷1名 物的被害 ・路肩陥没・土砂崩れなど、林道・農道の合わせて約70か所 ・家屋は、屋根損傷など、軽微な被害多数 ・水道管破裂、全村断水 ・全村停電、電話不通、携帯電話不通 建物の被害 ▲体育館の天井のボードが落下しました ▲天井や照明が破損 一般住宅 巨大地震による震度6弱の揺れの影 響で、村内の建物にも多数の被害があ りました。 ▶震災発生直後の飯舘村役場内のようす。 揺れの影響で棚や机から落下したファイル や書類が散乱しています 174 ▲屋根瓦が落ち、外壁がはがれています ▲落下した屋根瓦の一部が自家用車を破損 175 道路や畑、山林の被害 ❸ ❸ ❻ ❻ 落石や土砂崩れなど、道路や農地などにも、本震・余震 による被害がありました。村職員が見回り、危険箇所に表 示物を設置。通行止めの対応をしました。 ❾ 小宮風兼線…………落石 ❷ ❷ ❺ ❺ ❹ ❹ ❽ ❽ ❶ 大火比曽線…………法面が崩壊 ❶ ❶ ❽ 中迫ため池…………堤体亀裂 ❼ ❼ ❾ ❾ ❷ 林道あいの沢線……路面陥没 ❸ 小滝大倉線…………落石 176 ❼ 八和木荒屋敷線……農地亀裂 ❹ 草野飯樋線…………路面沈下 ❺ 大宮ため池…………堤体亀裂 ❻ 佐須久保田線………土砂崩れ 177 東京電力福島第一原子力発電所事故による 飯舘村の放射能汚染の状況 飯舘村復興計画 第1版より抜粋 1 事故当初の放射線量 平成23年3月14日に、福島県災害対策本部により「いちばん館」前に可搬型モニタリングポストが設置さ れ、同日の午後1時から放射線量(空間線量率;毎時マイクロシーベルト〔μSv/h〕)の測定が開始されまし た。 この時(3/14)の空間線量率は、毎時0. 1~0.3マイクロシーベルトでしたが、翌15日午後3時に毎時3. 4マイクロシーベルトに上昇し、同日午後6時20分に毎時44. 7マイクロシーベルトを観測しました。 (観測結 果については、福島県は3月下旬からホームページ等で公表しました。) 現在、村内の空間線量率はほぼ一定していますが、地域により濃度は異なります。 2 地域の放射線量 国は、7月4日から8月20日までの間に、飯舘村の597箇所での1m高さ及び1cm高さでのガンマ線による 空間線量率を測定し、汚染マップを作成しました。右ページ上の図は、そのデータをもとに作成した汚染マップ で、年間の積算線量(外部被ばく量)区分ごとに色分けしたものとなっています。 ①「濃い青」 「水色」 「濃い緑」で表示されている地点は、年間の積算線量が0ミリシーベルトから20ミリシー ベルト未満(1ミリ=1000マイクロ)となる地点で、空間線量率で表すと毎時0マイクロシーベルトから毎時 1マイクロシーベルトとなります。汚染マップ中では県道原町・川俣線の西側の村境(須萱字水上地区)のみ 行政区単位での線量図 となっています。 ②「黄緑」 「黄」で表示されているところは、年間20ミリシーベルトから40ミリシーベルト未満の地点です。飯 舘村が計画的避難区域として設定された際の基準である年間20ミリシーベルトを空間線量率で表すと毎時 3.8マイクロシーベルトとなります。汚染マップからは、飯舘村のほとんどの地域が「黄緑」 「黄」となってい ることが分かります。 飯舘村 2012 年 3 月 31 日時点 除染前の線量分布 (2011 年 11 月の航空機モニタリ ング結果を基に予測) ③「茶」 「ピンク」 「赤」で表示されている箇所(年間の積算線量が年間40ミリシーベルト以上、空間線量率で は毎時7.6マイクロシーベルト以上)は、文部科学省による土壌濃度マップ※における高濃度地域ともほぼ 一致しており、セシウム137による汚染濃度では1平方メートル当たり100万ベクレル(1ベクレル;毎秒1回 の放射線放出)以上となります。 (※8/30公表「文部科学省による放射線量等分布マップ」) なお、国の汚染マップの積算線量は、3月15日の放射性物質の降下当初の積算線量は含んでいないこと、 空間線量率は測定期間中に観測されたガンマ線によるもののみを表示していること、積算線量は「屋内16時 間、屋外8時間をその箇所で過ごした場合」を想定して積算していることに注意が必要です。 空間線量率〔μSv/h〕から年間積算線量〔mSv/年〕を算出する計算式 年間積算線量 = 空間線量率 ×(屋内16時間×低減率0.4 + 屋外8時間) ÷ 24時間 ×(365日×24時間)÷ 1,000 = 空間線量率 × 5.256 例)1.0μSv/h⇒約5(5.256)mSv/年、3.8μSv/h⇒約20(19.97)mSv/年 凡例 航空測定(mSv/Yr) 150 超 100 超 -150 以上 50 超 -100 以上 20 超 -50 以上 10 超 -20 以上 5 超 -10 以上 (2012 年 4 月 避難指示区域見直し に係る意見交換会で復興庁が配付) 178 179 新聞や 公表データで 見る 東京電力福島第一原子力発電所事故が 飯舘村に及ぼした影響 新聞記事や国が公表したデータから、村の汚染状況を見ていきます。 文部科学省公表データで見る 3文部科学省及び米国 DOE による航空機モニタリングの結果(平成 23 年 4 月 29 日現在) (福島第一原子力発電所から 80km 圏内の線量測定マップ) 新聞記事で見る 1村に向かう放射性 雲のうごき SPEEDIの予測で平成23 年3月15日から16日まで の期間、放 射性物質を 含む雲が飯舘村の方角 へ向かっていることが分 かります。 出典 平成 24 年 7 月 24 日 朝日新聞 環境省公表データで見る 2内部被ばく臓器等価線量の積算線量(平成 23 年 3 月 12 日から 24 日までの SPEEDI による試算値) 3月12日から24日までの期間、1歳 児が甲状腺に受けるヨウ素の積算 線量をSPEEDIが試算した結果を示 した地図。100ミリシーベルトに達 する等価線が飯舘村にかかってい 出典 環境省 HP 原子力規制委員会 (http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/mext_speedi/0312-0324_in.pdf) 180 ることが分かります。 出典 文部科学省HP (http://radioactivity.mext.go.jp/ja/conten ts/4000/3710/24/1305820_20110506.pdf) 福島第一原発から30㎞圏外の 飯舘村でも10ミリシーベルトの 被ばくが試算される地域があるこ とが分かります。 181 東京電力福島第一原子力発電所事故による被害 (平成 23 年 3 月・4 月) 出典 平成 24 年 10 月 24 日 毎日新聞 震災直後の放射線量変化(毎日午後5時いちばん館前のモニタリングポスト測定結果より) 30 25 20 15 10 5 0 3/15 3/22 3/29 4/5 4/12 4/19 4/26 5/3 5/10 5/17 5/24 5/31 3月15日には30マイクロシーベルト/時あった村内の放射線量は、2か月後の5月 10日には5マイクロシーベルト/時以下となり、6分の1の線量に下がりました。しか し、その後は横ばいとなっていることが分かります。 182 183 国内各地への避難者 県内各地への避難者 全村民が村外への避難を強いられている飯舘村。最も避難者 福島県内では、9か所の仮設住宅や9つの公営住 が多いのは福島県内ですが、埼玉県・神奈川県・宮城県等県外お 宅の他、県による借り上げ住宅、親族宅・老人ホーム よび国外へ避難している村民も288世帯、500人います。 等、各地に分かれて村民が暮らしています。 村内での運営継続が認められている特別養護老 (平成25年3月1日現在) 都道府県名 人数 都道府県名 39 25 滋賀県 0 2 青森県 0 26 京都府 4 3 岩手県 3 27 大阪府 6 4 宮城県 51 28 兵庫県 1 5 秋田県 5 29 奈良県 0 6 山形県 30 30 和歌山県 0 7 福島県 6175 31 鳥取県 0 8 茨城県 15 32 島根県 0 9 栃木県 40 33 岡山県 1 群馬県 11 34 広島県 8 11 埼玉県 73 35 山口県 0 12 千葉県 25 36 徳島県 2 13 東京都 56 37 香川県 0 14 神奈川県 70 38 愛媛県 0 15 新潟県 15 39 高知県 0 16 富山県 0 40 福岡県 0 17 石川県 0 41 佐賀県 1 18 福井県 0 42 長崎県 0 19 山梨県 3 43 熊本県 0 20 長野県 3 44 大分県 3 21 岐阜県 7 45 宮崎県 0 22 静岡県 16 46 鹿児島県 0 23 愛知県 0 47 沖縄県 1 24 三重県 7 合 計 1 会津坂下町 三島町 金山町 1 只見町 39 184 大玉村 昭和村 2 7 54 会津若松市 6 相馬市 89 355 飯舘村 南相馬市 二本松市 葛尾村 3 浪江町 15 三春町 双葉町 田村市 大熊町 郡山市 天栄村 7 須賀川市 4 西郷村 矢吹町 7 富岡町 川内村 楢葉町 小野町 玉川村 中島村 1 広野町 平田村 石川町 22 古殿町 浅川町 白河市 檜枝岐村 1 6 2 1 10 鏡石町 南会津町 いわき市 鮫川村 棚倉町 塙町 5 矢祭町 3 (平成25年3月1日現在) 6671 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 ・不明…2 磐梯町 421 川俣町 1 猪苗代町 26 1 下郷町 地図上の数字は避難者数(人) ・国外…4 柳津町 会津美里町 6175 11 4015 7 3 73 3 4 70 25 1 1 16 6 7 56 2 3 11 548 93 本宮市 15 1 北塩原村 西会津町 30 51 8 喜多方市 新地町 伊達市 福島市 泉崎村 10 22 6 65 19 3781 588 桑折町 す。 湯川村 北海道 国見町 人ホーム「いいたてホーム」では76人が暮らしていま 人数 1 地図上の数字は避難者数(人) 施 設 名 伊達東仮設住宅 旧飯野小仮設住宅 旧明治小仮設住宅 国見大木戸仮設住宅 国見上野台仮設住宅 松川第一仮設住宅 松川第二仮設住宅 旧松川小仮設住宅 相馬市大野台第6仮設住宅 仮設住宅(1~9)合計 公的宿舎 借り上げ住宅 いいたてホーム その他施設(10~12)合計 親族宅・老人ホーム・病院等 全施設(1~13)合計 未 避 難 避難人数 避難戸数 146 89 74 33 51 24 12 7 44 23 207 112 206 105 102 41 335 162 1,177 596 497 185 3,986 1,723 76 76 4,559 1,984 426 274 5,736 2,580 13 施設位置図 国見・大木戸 いやしの宿 いいたて 国見町 ♨ 桑折町 国見・上野台 伊達東 福島市 伊達市 松川第一 旧松川小 松川第二 旧飯野小 旧明治小 ※●は仮設住宅 大野台第6 相馬市 いいたてホーム 川俣町 飯舘中学校 草野・飯樋幼稚園 飯舘村 南相馬市 飯舘小学校 やまゆり保育園 8 185