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ストレスによる皮膚機能異常を予防する化粧品開発

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ストレスによる皮膚機能異常を予防する化粧品開発
ストレスによる皮膚機能異常を予防する化粧品開発
静岡県立大学・薬学部
石田 均司、 辻 邦郎
ポーラ化成工業株式会社 松本 克夫
背景と目的
慢性皮膚炎、アトピー性皮膚炎は疲労、風邪などの肉体的ストレスや受験、就職などの精神的ストレスをきっかけに
発病、悪化することがある。
この疾病では、ストレスにより自律神経が不安定となり、分泌系と免疫系も乱れ、痒みの中枢神経が刺激される。よ
って、アトピー患者に絶え間ない痒み、先行きの不安などの精神的要因が加わると、さらにストレスが高まる。こうなる
とステロイドホルモンの必要量が増すにもかかわらず、ホルモンが不足するのでさらに症状が悪化する。このストレス
による悪循環を断ち切るためには心身医学的な治療とともにステロイド薬の内服などの治療も必要となる。以
上のように、難治性のアトピー性皮膚炎に対しては、アレルギー的なアプローチのみならず、ストレスに対する治療
も必要となる。
これまで、ストレスによる体の異常を予防する物質を見出す方法の確立と、それを用いた有効成分の探索を目的と
した研究を展開してきた。その過程で、ヘアレスマウスを用いた、ヒトに精神的なストレスの相当する過密負荷をかけ
ることで胸腺の萎縮、副腎の肥大という典型的なストレス兆候が認められるストレスモデルが作成できることを報告し
た。また、このモデルでは、皮膚の機能異常が認められ、特に皮膚の血流量と再生能が過密度依存的に低下するこ
とを見いだした。さらに、外用でこのモデルの皮膚の血流量と再生能を改善した生薬、甘松の活性成分として得た
ursolic acidは、その効果に加えて,全身的なストレス兆候発症に抑制的に作用することを見いだした。
今回、これらの成果をもとに慢性皮膚疾患者のストレス性の皮膚機能異常を予防、改善する外用剤、化粧品の創製
を行う。
方法、及び展開
1)過密ストレス動物を用いた有効生薬からの活性成分の単離、構造決定、作用機作の解明、及び活性成分、及びそ
の関連物質の有効性の比較を行う。
2)有効生薬エキスやそれ由来の活性成分を含有する化粧品、クリーム、及びローションを製造する。
3)試作したクリーム、及びローション剤の乾燥肌に対する効果をヒト試験で調べる。
4)以上の結果をもとに、慢性皮膚疾患者等でスキンケアにおける有効性について検討を加え、機能性化粧品の製
品化を目指す。
これまでの結果と今後
1)有効生薬、甘草中の活性成分としてGlycyrrhetinic acidを得た。
Ursolic acidのエステルは活性を示さなかった。また、 Ursolic acid
は外用で抗炎症的に作用した
2)化粧品、クリーム、及びローションに難容性のursolic acidを添加
する方法を確立し、その手法で使用上問題のない試作品を作るこ
とができた。このものは,パッチテストで陰性であった。
3)現在、乾燥肌のヒトで肌に対する効果を検討中で、今後その結
果をもとに慢性皮膚疾患者のスキンケアに使えるような機能性化
粧品開発を試行する。
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