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これは、スキーマの説明の1つの例です。 私たちの知覚や記憶――ものを

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これは、スキーマの説明の1つの例です。 私たちの知覚や記憶――ものを
埼玉県立総合教育センター 協調学習研修
東京大学 大学発教育支援コンソーシアム
2009 年 9 月 18 日
10:00~17:00
3
氏名:
これは、スキーマの説明の1つの例です。
私 た ち の知 覚や 記憶 ――も のを 見て それ が何か を判 断し たり 、体験 した こ と
を 覚 え た り する こと ――は 、私 たち が知 ってい るこ とや 考え ること と密 接に 関
連 し て い る 。普 通私 たちは 、簡 単な 線画 を見せ られ た時 、線 の形状 がど うな っ
て い る か を 正確 に「見て 取」るの では なく 、線が 全体 とし て自 分の知 って いる も
の と 同 じ か どう かを 判断し て「名前 をつ ける 。」同じ もの がない 時に は、似た も
のの 名 前 を 借り てき て、「何 々み たい」と 表現す る 。覚え てお こう とす る時 に も 、
実際 の 対 象 では なく 、「名前」を 頼り に覚 えてい るこ とが 多い 。
こ の 「名 前 を つけ る」ため の知 識が どん な特徴 を持 って
いる の か 、 右の 絵を 例に考 えて みよ う。 この絵 を見 せる
と、 多 く の 人が「顔」だとい う。 これ は、 よく考 えて みる
と不 思 議 な こと であ る。「顔」と いう 知識 が実在 する 顔の
膨大 な コ レ クシ ョン のよう なも のだ とす ると、 右の 絵は
顔に は 見 え ない だろ う。絵 の中 のり んご やバナ ナを 取り
出し て き て 仔細 に眺 めてみ ても 、私 たち がよく 知っ てい
る顔 の 部 品 には 到底 見えな い。 手が かり がある とす ると 、そ れは、 この 絵を 成
り立 た せ て いる 部品 同士の 関係 、部 品の 構造で ある 。「目」「鼻」「口」があ るべ き
位置 に 、 そ う思 って みれば「目」や「鼻」や 「口」に形が 似て いな くもな いモ ノが 、
それ ぞ れ を 「目」「鼻」「口」と して 成り 立た せる位 置関 係に 置か れてい る。 その こ
とだ け が 、 右の 絵を「顔」に 見せ てい て、 これが「顔」に見 える 人はみ んな この 部
品ら し さ や 部品 間の 関係構 造を 知識 とし て持っ てい る、 とい うこと らし い。
右 の 絵 が顔 に見 える という こと は、 私た ちが、 たく さん の顔 をみた 経験 を 抽
象 化 し て 、 「一 般に 顔っ てこ んな も の」と まとめ た関 係構 造を 知識と して 持っ て
い る と 考 え た方 がよ い。い わば 部 品 の間 の関係 構造 その もの につい ての 知識 で
あ る 。 こ の よう な知 識のこ とを 、 実 物そ のもの につ いて の知 識とは 区別 して 、
ス キ ー マ と 呼ぶ 。
さて 、あ る 実験 で、ま ず一 つの 図を見 せ て覚え たも のを 描か せて、次の 人に は
前の人が描いた絵を見せて覚えたものを描かせてどんどん次の人に伝えてゆ
く 、 と い う 描 画 によ る 伝 言 ゲー ム を や っ て みた と こ ろ 、 “ ふ く ろ う ” の 図 は 、
10 人 以 上 の 絵 を経 て “ ね こ ”に な っ て し まっ た と い い ます 。 ど う し てこ う な
るの か 、 ス キー マと いう考 え方 を使 って 説明し てく ださ い。
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