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2008年9月号 - JPモルガン・アセット・マネジメント
2008 9 お客様用資料 September 筆者のご紹介 門倉 BRICS マンスリー・レター 貴史 (かどくら・たかし) BRICs経済研究所 代表 慶應義塾大学経済学部卒業後、1995年に浜銀総合研究所入社。 社団法人日本経済研究センター、東南アジア研究所(シンガポー ル)出向、第一生命経済研究経済調査部主任エコノミストを経て、 2005年より現職。同志社大学大学院非常勤講師。専門はアジア やBRICs等の新興国経済のほか、多岐にわたる。 主な著書 「図説BRICs経済」(日本経済新聞社) 「『今のインド』がわかる本」(三笠書房) 「日本人が知らなかったVISTA株」(翔泳社) 「イスラム金融入門~世界マネーの新潮流」(幻冬舎新書)など 多数。 投資信託は一般的に、株式、債券等様々な有価証券へ投資します。有価証券の価格は市場環境、有価 証券の発行会社の業績、財務状況等により価格が変動するため、投資信託の基準価額も変動し、損失 を被ることがあります。また、外貨建の資産に投資する場合には、為替の変動により損失を被ることがあ ります。そのため、投資信託は元本が保証されているものではありません。 ご注意していただきたい事項について • • • 投資信託によっては、海外の証券取引所の休業日等に、取得、換金の申込の受付を行わない場合があります。 投資信託によっては、クローズド期間として、原則として換金が行えない期間が設けられていることや、1回の解約金額に 制限が設けられている場合があります。 分配金の額は、投資信託の運用状況等により委託会社が決定するものであり、将来分配金の額が減額されることや、分 配金が支払われないことがあります。 ファンドの諸費用について 投資信託では、一般的に以下のような手数料がかかります。手数料率はファンドによって異なり、下記以外の手数料がか かること、または、一部の手数料がかからない場合もあるため、詳細は各ファンドの販売会社へお問い合わせいただくか、 各ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 投資信託の取得時:申込手数料(上限 3.675%(税抜3.5%)) 投資信託の換金時:換金(解約)手数料、信託財産留保額(上限0.5%) 投資信託の保有時:信託報酬(上限 2.1%(税抜2.0%))、監査費用 *費用の料率につきましては、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が設定・運用するすべての公募投資信託のう ち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。 信託報酬、監査費用は、信託財産の中から日々控除され、間接的に受益者の負担となります。その他に有価証券売買 時の売買委託手数料、外貨建資産の保管費用、信託財産における租税費用等が実費としてかかります。また、他の投資 信託へ投資する投資信託の場合には、当該投資信託において上記の費用がかかることがあります。 金融商品取引業者等について 投資信託委託会社:JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第330号 加入協会:日本証券業協会、社団法人投資信託協会、社団法人日本証券投資顧問業協会 1 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作 成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社が特定の有価証券の販売会社として 直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所 がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。また本資料に掲載されている 個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。 お客様用資料 2008 ラム 今月のコ 9 September 世界で最も生活費が高い都市はモスクワ ロシアの通貨ルーブルが米ドルに対して上昇傾向にある。06年1月時点の対ドル・ルーブル・レートは1ドル= 28.12ルーブルであったが、08年7月には1ドル=23.45ルーブルとなり、約2年半の間に16.6%もルーブルが米ド ルに対して増価した計算になる。強いルーブルは、米ドルに換算した際の生活費の高さへとつながっており、外国 の企業がロシアの主要都市に駐在員を派遣すると、かなりの生活コストがかかるようになっている。 たとえば、米国の人事マネジメント・コンサルティング会社マーサー(Mercer)が毎年行っている『世界主要都市の 生活費番付』(08年版、08年3月に調査を実施)の結果によると、外国人労働者が海外で生活する際、最も生活費 が高い都市は、07年に続いてロシアの首都モスクワとなった(図表参照)。ドルに換算した生活費指数(200以上の 品目が調査対象)は142.4に達し、米国の都市の中では最も生活費が高いとされるニューヨークの1.4倍にも達する。 東京と比べてもモスクワの生活費は1.1倍だ。 では、実際に外国人の駐在員がモスクワで生活すると、どの程度の費用がかかるのだろうか。先ほど紹介した マーサーの調査によると、モスクワでコーヒーを一杯飲む場合、サービス料込みで10.19ドルもかかってしまう。また、 音楽CD1枚を買うと、26.49ドルかかる。高級アパート(寝室2部屋、家具なし)の1ヶ月の賃料も4500ドルと、相当高 い水準になっている。 今回の生活費番付で世界第2位になったのは東京で、米国のニューヨークは世界143都市の中で第22位と低い 順位にとどまった。ニューヨークは、07年3月の調査では、世界第15位にランキングされていたため、1年間で7つも ランクを下げたことになる。 ロシア(モスクワ)と米国(ニューヨーク)の生活費にこれだけ大きな差がついた最大の理由は、米ドルがロシアの 通貨ルーブルに比べて安くなっていることだ。 07年夏場以降深刻化するようになったサブプライムローン(低所得 層向けの住宅融資)の焦げ付き問題で、ドルの国際的な信用力が低下していることや、ルーブルの国際的な信用 力が高まっていることが、ドル安・ルーブル高の背景にある。 もちろん、為替レートの問題だけでなく、経済成長率の高さも生活費の高騰に影響している。ロシア経済は原油や 天然ガスの国際価格高騰の恩恵を受けて高成長を続けているため、そうしたロシア経済の実力が生活費にも反映 されているのだ。モスクワだけでなく、ブラジルのサンパウロやトルコのイスタンブールなど経済成長率の高い国の 主要都市では、軒並み生活費が高騰している。 マーサーの生活費調査においては、不動産価格は調査対象となっていないが、近年、ロシアでは空前の不動産 ブームとなっているため、不動産も含めてとらえれば、さらにロシアの主要都市での生活費の負担は大きなものとな るだろう。不動産価格が高騰しているのは、地方からモスクワに移動してきた人たちが居住目的で住宅を購入する 動きが強まっているためだが、近年ではそれだけでなく投機目的で住宅を購入するケースも増えている。 ちなみに、モスクワに次ぐ大都市となっているサンクトペテルブルクの生活費指数は103.1で世界第18位であった。 図表 世界主要都市の生活費ランキング(2008年3月時点) ドル換算生活費指数、ニューヨーク=100 160 140 120 100 80 60 40 20 ニューヨーク ヘルシンキ 北京 ウ ィーン イタリア サンクトペテルブルク ダブリン シド ニー テルアビブ シンガポー ル パリ 大阪 ミラノ チ ューリヒ ジ ュネーブ コペンハーゲン (出所)マーサー「世界生活費調査」より作成 香港 ソウル オスロ ロンドン 東京 モスクワ 0 2 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作 成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社が特定の有価証券の販売会社として 直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所 がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。また本資料に掲載されている 個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。 お客様用資料 2008 9 ラム 今月のコ September 移民政策で人口減少を止めようとするロシア ロシアでは、低い出生率と高い死亡率を背景に、急スピードで人口の減少が進んでいる(図表1)。ロシアの人口減 少は94年から始まった。人口の減少幅は、毎年70万人程度に上る。日本も05年に総人口が減少に転じ、「人口減少 社会」が現実のものとなったが、ロシアの人口減少スピードは日本よりもずっと速い。国際連合の予測(06年の中位推 計)によると、ロシアの総人口は07年の1億4249.9万人から2050年には1億783.2万人まで減少する見通しだ。 人口減が急スピードで進む中、ロシアは、それに歯止めをかけるため、様々な対策を打ち出すようになった。少子化 対策の柱となっているのは出産奨励策であり、子供をもうけた家庭への補助金を増額するなどの措置をとっている。た だ、出産奨励だけでは人口減に歯止めをかけるには力不足であるため、それと平行するかたちで、合法的な移民の受 け入れも促進するようになった。 91年の旧ソビエト連邦崩壊以降、ロシアには近隣諸国から多数の移民が流入していたが、外国人の移民に関する 法制度が整備されていなかったこともあって、そのほとんどが労働許可証を取得していない不法入国となっていた。国 際連合の推計によると、ロシアで働いている外国人労働者の数は1210万人と、米国に次いで世界第2位となっている が(図表2)、その多くは不法移民とみられる。不法移民の多くは、近隣のCIS(独立国家共同体)諸国の出身者で占め られている。 ロシアは、不法移民の増加に歯止めをかける一方、高度なスキルを持った外国人労働者については積極的に受け 入れるため、07年1月15日に、新たな「移民法」を施行した。新しい「移民法」の下では、不法移民や不法移民を雇用 する企業が厳しく罰せられることになり、不法移民の一掃が図られる。これまでロシア国内に居住する不法移民の多く は、各地のキオスク(新聞、雑誌、飲料などを扱う路上販売店)などで働いていたが、今後はキオスクで働くことができ なくなる。 その一方、スキルなどの面で一定の条件を満たす外国人労働者は、労働許可証やロシア国籍を取得することが容 易になる。最近では、外国人労働者が、ロシアで労働許可証や国籍を取得する手続きを代行するビジネスも登場する ようになった。 07年の実質経済成長率が前年比+8.1%(確報値)となるなど、高成長を続けるロシアでは、建設業や小売、卸売業 などのセクターで人手不足の問題が深刻化しているため、今後、外国人労働者の多くがこれらのセクターに吸収される ことが見込まれる。北方領土においても、建設業者が外国人労働者を多数雇用して、各種のインフラ整備を進めてい る。 ロシアが合法的な移民を受け入れることによって、以下の3つの効果が期待される。第1に、中長期的なスパンの経 済成長に必要な労働力の確保が図れる。第2に、移民労働者はロシア人労働者よりも低賃金で働くので、高い経済成 長をしながらも、物価の上昇をある程度抑制することができる。そして第3に、CIS諸国などロシア周辺国からロシアに 流入した移民の多くが、収入の一定割合を母国に送金するようになるため、ロシアの高成長の恩恵を周辺のCIS諸国 も受けることができるようになるというものである。 ロシア政府の調査によると、ロシアで働くCIS諸国の労働者が母国に送金する金額は年間30億ドルにも達した(2005 年)。CISの国々にとっては、ロシアからの送金が経済成長の原動力のひとつになっているのだ。 図表1 ロシアの人口の推移 (億人) (万人) 4000 1.6 国際連合の予測(中位推計) 1.5 3500 1.4 3000 1.3 2500 1.2 2000 1.1 1500 1 1000 0.9 500 0.8 0 90 95 00 05 10 15 20 25 30 35 図表2 移民の多い国ベスト5(2005年) 40 45 50 (年) 米国 ロシア ドイツ ウクライナ フランス 3 (出所)国際連合資料より作成 (出所)国際連合資料より作成 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が、BRICS諸国の政治、経済、文化等の情報を提供するために、BRICs経済研究所の協力により作 成したものです。本資料は特定のファンドもしくは個別銘柄への投資勧誘を目的としたものではありません。また、当社が特定の有価証券の販売会社として 直接説明するために作成したものではありません。本資料は信頼性が高いとみなす情報に基づいて作成されていますが、弊社およびBRICs経済研究所 がその情報の正確性を保証するものではありません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあります。また本資料に掲載されている 個別銘柄については、その売買の推奨を意図したものではなく、また弊社が運用するファンドへの組入れを示唆するものではありません。