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精神障害と労災認定について - 社会保険労務士法人マツザワサポート

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精神障害と労災認定について - 社会保険労務士法人マツザワサポート
<H26 年 7 月 31 日発行>
松沢社会保険労務士事務所
ライフサポートまつざわ
〒950-1425 新潟市南区戸石 382-19
今月のテーマ
TEL 025(372)5215 FAX 025(372)5218
精神障害と労災認定について
~
E メール [email protected]
URL http://www.matsuzawa-support.com
職場のメンタルヘルス対策<その1> ~
~
心理的負荷による精神障害の「認定基準」とは?
平成23年12月26日付で、厚労省労働基準局長から「心理的負荷による精神障害の認定基準について
(認定基準)」が各都道府県労働局長に通達され、この「認定基準」に基づいて業務上・外の判断が行われ
ることになりました。
1.対象疾病
本認定基準で対象とする疾病(対象疾病)は、国際疾病分類第10回修正版「ICD-10」第Ⅴ章「精神およ
び行動の障害」に分類される精神障害であって、器質性のものおよび有害物質によるものを除きます。
具体的には、以下のF0からF9をいいます。
F0
F1
F2
F3
F4
F5
F6
F7
F8
F9
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
症状性を含む器質性精神障害
精神作用物質使用による精神および行動の障害
統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害
気分(感情)障害
神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
成人のパーソナリティおよび行動の障害
精神遅滞(知的障害)
心理的発達の障害
小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害、特定不能の精神障害
※業務に関連して発病する可能性の高い精神障害は、主としてF2・F3・F4に分類される精神障害です。
2.認定要件
次の1.2.3のいずれの要件も満たす場合は、業務上疾病として取り扱われます。
1.対象疾病を発病していること
受診歴のない事案については、家族や会社関係者から聴取調査を行うことにより、言動や服装等
の変化等を詳細に把握して、発病の有無と時期を判断することになります。
2.対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
「業務による強い心理的負荷」が客観的に認められて総合評価「強」である場合は、業務上の疾病
として取り扱われることになります。
☞ 「別表1 業務による心理的負荷評価表」参照。
3.業務以外の心理的負荷および個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと
発病の原因が業務以外の心理的負荷または個体側要因であることが明らかである場合は、当該
精神障害の業務起因性は否定されることになります。
☞ 「別表2 業務以外の心理的負荷評価表」参照。
-1-
3.認定要件に関する基本的な考え方
対象疾病の発症に至る原因の考え方は、環境由来の心理的負荷(ストレス)と、個体側の反応性、脆弱性
との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小
さくても精神的破綻が起こるし、逆に脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとする
「ストレス-脆弱性理論」に依拠しています。
このため、心理的負荷による精神障害の業務起因性を判断する要件としては、対象疾病の発病の有無、
発病の時期および疾患名について明確な医学的判断があることに加え、当該対象疾病の発病の前おおむ
ね6ヶ月の間に業務による強い心理的負荷が認められることを掲げています。
この場合の強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事および出来事後の持続する程
度を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価
されるものであり、「同種の労働者」とは職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者をい
います。
さらに、これらの要件が認められた場合であっても、明らかに業務以外の心理的負荷や個体側要因によっ
て発病したと認められる場合には、業務起因性は否定されることになります。(認定要件3に該当)
病名診断ガイドライン 〔ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン〕
うつ病などの病名の診断は、国際疾病分類(ICD-10)をもとに「診断ガイドライン」に基づき判断されます。
◆◇◆◇ 第 5 章 精神および行動の障害 (ICD コード F00~F99) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
☞ http://www.dis.h.u-tokyo.ac.jp/byomei/icd10/F00-F99.html
【ICD-10
F32 うつ病エピソード 】
病 名
ICD-10 コード
1
軽症うつ病エピソード
F320
2
中等症うつ病エピソード
F321
3
精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード
F322
4
精神病症状を伴う重症うつ病エピソード
F323
5
仮面うつ病
6
思春期うつ病
7
その他のうつ病エピソード
心気性うつ病
8
退行期うつ病
9
非定型うつ病
10
うつ状態
11
12
うつ病エピソード・詳細不明
13
うつ病
単発反応性うつ病
F328
F329
反応性うつ病
●典型的な抑うつの症状
・憂鬱な気分が続いている
・興味や喜びの喪失
・疲れがとれない、疲れやすい
●身体症状
午前中に抑うつが強い、目覚めが早い、食欲の
減退、体重減少
-2-
●他の一般的な症状
・集中力と注意力の減退
・自己評価と自信の低下
・無価値観と罪責感
・将来に対する希望のない悲観的な見方
・自傷あるいは自殺の観念や行為
・睡眠障害
・食欲不振
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