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1% - タイ国日本人会

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1% - タイ国日本人会
タイ国日本人会婦人部勉強会
タイの環境問題について
2013年6月25日
ジェトロバンコク事務所
浅野 義人
タイと環境問題
工業に牽引された経済発展
随伴する公害問題の深刻化
今なおタイ人のアレル
ギーとなっている石炭火
力発電所の公害問題等
社会的な問題意識の進展
憲法:環境保全への国民の参加権の明文化
国王:足るを知る経済
天然資源・環境の保全
は、兵役、納税、教育、
文化保全と並ぶ国民の
義務
収まらない「成長痛」
環境問題専門法廷の設置(2011年8月。係属された訴訟は1年で900件)
横行する環境NGOの暗殺(10年間で30人以上)
理想と現実のギャップを
どう埋めていくかが課題
1
天然資源の状況
2
森林資源の状況
•
•
木材(チーク、ローズウッド等)の輸出、ゴム園の造成等で伐採が進行。
1989年以降は自然林からの伐採を禁止。以降徐々に回復傾向にあるも、違法伐採、有力者に
よる開発、住民による侵入・利用、自然保護官の汚職等が絡み合い複雑な様相。
North
North - East
East
Central
South
Whole Kingdom
sq.km.
%
sq.km.
%
sq.km.
%
sq.km.
%
sq.km.
%
sq.km.
%
1973
113,595
66.96
50,671
30.01
15,036
41.19
23,970
35.56
18,435
26.07
221,707
43.21
1976
102,327
60.32
41,494
24.57
12,631
34.6
21,826
32.38
20,139
28.48
198,417
38.67
1978
94,937
55.96
31,221
18.49
11,037
30.24
20,426
30.31
17,603
24.89
175,224
34.15
1982
87,756
51.73
25,886
15.33
8,000
21.92
18,516
27.47
16,442
23.25
156,600
30.52
1985
84,126
49.59
25,580
15.15
7,990
21.89
17,685
26.24
15,485
21.9
150,866
29.4
1988
80,402
47.39
23,693
14.03
7,834
21.46
17,244
25.59
14,630
20.69
143,803
28.03
1989
80,222
47.29
23,586
13.97
7,786
21.33
17,223
25.55
14,600
20.65
143,417
27.95
1991
77,143
45.47
21,799
12.91
7,691
21.07
16,616
24.65
13,449
19.02
136,698
26.64
1993
75,231
44.35
21,473
12.72
7,634
20.29
16,408
24.34
12,808
18.11
133,554
26.03
1995
73,886
43.55
21,265
12.59
7,591
20.8
16,288
24.17
12,455
17.61
131,485
25.62
1998
73,057
43.06
20,984
12.43
7,507
20.57
16,049
23.81
12,125
17.15
129,722
25.28
2000
96,270
56.75
26,527
15.71
8,438
23.12
21,462
31.84
17,413
24.62
170,111
33.15
2004
92,068
54.27
28,096
16.64
8,240
22.57
21,243
31.52
17,943
25.37
167,591
32.66
2005
89,381
47.31
25,335
15
7,936
21.74
20,679
30.68
17,671
24.99
161,001
31.38
2006
88,368
52.09
24,550
14.54
7,884
21.6
20,555
30.5
17,296
24.46
158,653
30.92
2008
95,075
56.04
27,556
16.32
8,033
21.01
20,089
29.81
20,833
27.03
171,586
33.44
total
169,644
168,854
Source: Forest Land Management Office, Royal Forest Department
36,503
67,399
70,715
513,115
3
水資源の状況
•
•
•
タイでは、例年、水害が発生するとともに、干ばつによる水不足も発生しており、水資源をめぐる流
域間又は流域内での住民の対立や、工業部門と農業部門といった部門間での対立が惹起
農地のうち灌漑がなされているエリアは22%に過ぎず、必要な水資源の供給も重要な課題
近年、干ばつに見舞われる村落の数は増加傾向にあり、また、干ばつの期間も長期化する傾向。
2009年11月から2010年6月にかけての干ばつでは、被災村落数は2万5,798村
雨季(6月~10月)におけるナコンサワンでのチャオプラヤ川総流量
出所:小森大輔「2011年チャオプラヤ川大洪水はなぜ起こったか」
4
海洋資源・海岸線の状況
• タイ湾において標準的な地引網を用いて1時間漁業を行った
場合の単位当たり漁獲量(CPUE)は、1984年には62.1kgで
あったが、2009年には22.8kgにまで低下(1961年には
298kgであったとする研究者もあり)
• アンダマン海側においては44.2kg(2009年)であるが、数値
は悪化しており、海洋水産資源量の衰退の疑い
• マングローブ林の面積は2004年の66万ライから、2009年に
は152万ライと拡大しているが、一方で、タイの海岸線の総
延長2,600kmのうち600kmが浸食を受けているところ。
• 年間5mを超える速度で海岸の浸食が進行している危機的
エリアは13県・207kmに及び、最も深刻なタイ湾北部では年
に10~20mという驚異的な速度で海岸を浸食。
5
環境の状況
6
水環境の状況 ~表層水~
• 2011年の調査では、全体の32%が
Good、45%がFair、23%が
Deterioratedとの評価。
• Goodの基準は、溶存酸素量
(DO)6.0mg/l以上、生物化学的酸素要
求量(BOD)1.5mg/l以下、糞便性大腸
菌群(FCB)1,000MPN/100ml以下。
• この基準値は、我が国における河川の
水質汚濁基準のA類型(DO 7.5mg/l以
上、BOD 2mg/l以下、FCB
100MPN/100ml以下)に近い。我が国
ではA類型は、水道に関しては「沈殿ろ
過等による通常の浄水操作を行うもの」、
水産に関しては「ヤマメ、イワナ等貧腐
水性水域の水産生物用」の基準。
Source:PCD
7
水環境の状況 ~地下水~
• 水質は概ね基準内に保たれているが、
ゴミの不適切な埋設、不法な投棄、不
法な鉱業や農業などにより一部の地域
では水質が悪化。
• TDS(全蒸発残留物)が600mg/l以下の
消費可能なものはブルーで、600mg~
1200mg/lの最低許容レベルのものは、
グリーンで、それ以上のものはレッドで
表示。(参考:日本の水道法に基づく水
質基準では、TDS 500mg/l以下)
Source:PCD
8
水環境の状況 ~沿岸水~
• タイ天然資源環境省が開発した海
洋水質インデックスを用いて沿岸水
の水質を計測したところ、全体の
2%がExcellent、36%がGood、
50%がFair、9%がDeteriorated、
3%がHighly Deterioratedとの結果。
サムイ島
• 沿岸水の状況は年々悪化。
クラビ
Source: PCD
9
大気環境の状況 ~PM~
• ヒトの循環器系に影響を及ぼす可能
性があるとされる粒子状物質につい
ては、タイではPM10(50%カットオフ
径が10μmとなる粒子)をモニタリング。
タイにおけるPM10の年間平均値
• 主要な原因は、バンコク周辺の交通、
サムットプラカン及びサラブリの工場
からの排出、北部における野焼き
Source: PCD
• 状況は年々改善し、現在は全国・24
時間平均で39.0μg/m3。
– 参考:タイの基準値は120 μg/m3 、米国
は150 μg/m3 、EUは50 μg/m3 。日本は
100 μg/m3
– 参考:報道によると2013年3月9日の北京
のPM10は713 μg/m3に達したとのこと。
•
•
•
•
<PM2.5>
タイではバンコク都内でPM2.5の観測を
実施。
基準値を超過したステーションは1ヶ所(バ
ンコク・ディンデン通りの国家住宅局。)の
み。
タイのPM2.5の基準値は24時間平均で50
μg/m3 。日本の基準値は35 μg/m3。
研究によると、2013年1月の北京のPM2.5
は900 μg/m3を超過していたとのこと。
10
大気環境の状況 ~オゾン~
• オゾンは成層圏でオゾン層を形成し、 タイにおけるオゾン濃度の年間平均値
宇宙から降りそそぐ紫外線を低減さ
せる他、殺菌効果など多くの有益性
を有する。地表のオゾンは、燃料の
燃焼、野焼きなどから発生するVOC、
NOxなどから生成。
• 一方でオゾンは、光化学スモッグの
原因である光化学オキシダントの主
要な物質であり、大気汚染の指標と
して観測の対象。
• タイにおけるオゾンの基準値は1時
間平均で100ppb。バンコクにおける
実測値では0-110ppbであり、ほぼ基
準値内。(基準値超過はラチャテウィ
観測ステーションのみ)
Source: PCD
参考:
米国の基準値:1時間平均120ppb
日本の参考値:1時間平均60ppb
11
騒音の状況
バンコクにおける騒音(24時間平均)
• 騒音は自動車の台数
の増加に伴い、主に都
市部で問題化。
• 米国環境保護庁による
と、長期間に亘り24時
間平均レベル(Leq)で
70dBA以上の騒音環
境下に晒されている住
民は、感音性難聴や、
ストレスによる頭痛、不
整脈、高血圧といった
健康被害を引き起こす
可能性。
• 状況はやや改善に向
かっているところ。
12
Source: PCD
廃棄物の状況 ~発生状況~
•
タイでは年間1,516万トン、1日当たり41,532トン(2010年)の一般廃棄物が発生。ほぼ年率
1%のペースで増加。
•
経済の発展段階と、一般廃棄物の発生量には一定の関係があると言われており、現在の
0.65kg/日・人から更に増加の見通し(日本が約1kg/日・人、欧州主要国が約1.5kg/日・人、
米国が約2kg/日・人。)
•
産業廃棄物の発生量は2,625万トン(2010
年)。うち338万トンは有害廃棄物。
•
地域別では、中央部990万トン(うち有害廃
棄物184万トン)、南部747万トン(同14万ト
ン)、北部75万トン(同12万トン)、東部481万
トン(同103万トン)、西部83万トン(同15万ト
ン)、東北部249万トン(同10万トン)。
•
非有害産業廃棄物はオイルパーム農園が
集積する南部での発生量が多く、有害産業
廃棄物は石油化学産業が集積する東部で
の発生が多くなる傾向。
一般廃棄物発生量
Source: PCD
※2011年は洪水による特殊要因あり
13
廃棄物の状況 ~処分状況~
•
•
•
•
•
発生した一般廃棄物のうち適切に処分されているものは、全体の38%。
バンコク都では、都が収集し、委託事業者が処分する仕組み。
パタヤ特別市及び市町(テッサバン)では発生した廃棄物の34%を適切に処分。処分施設
は117のうち110施設は埋め立て処分施設。このうち94施設は操業中だが技術的及び資
金的なキャパシティ不足により困難に直面。10施設は施設容量に達したため、操業を停止
中。6施設は住民の反対等により操業不能。
町(タンボン)では、廃棄物の収集及び処分の仕組みが整っておらず、適切に処分されて
いる廃棄物は9%。廃棄物の多くは、野焼きされるか、古い池などへ投棄。
産業廃棄物については排出事業者又は工業大臣の許可を得た廃棄物処理事業者により
処理。処分施設は全国に1,200ヶ所以上あるが、不法に投棄・処分される例も多く問題化。
バンコクにおける一般廃棄物
処分のフロー
14
廃棄物の状況 ~利用状況~
一般廃棄物の再利用の状況
産業廃棄物の再利用の状況
再利用の内訳
産業廃棄物の物質別の再利用の状況
15
地球環境問題
16
気候変動
• 2009年の世界の化石燃料の燃焼を通じた二酸化炭素排出量は、290億
トンであり、うちタイは2億2,780万トン(IEA)。
• 一人当たり換算では3.36kg。(参考までに米国は16.90kg、ドイツは
9.16kg、日本は8.58kg、韓国は10.57kg、中国は5.14kg)
• タイは気候変動枠組み条約及びその京都議定書の締約国であるが、い
わゆる附属書Ⅰ国ではないため、温室効果ガスの削減義務はなし。
• このため、排出量削減義務を負っている日欧等先進諸国の資金・技術に
より実施されるクリーン開発メカニズム(CDM)のプロジェクトのホスト国と
なることで、地球温暖化問題に貢献。
• 2012年8月末までに世界全体で9億9,400万CER(認証排出削減量)が発
行されているが、うちタイは173万CER。(参考までに中国が5億9,800万
CERをホストし第1位、インドが1億4,700万CERで第2位、韓国が9,000
万CERで第3位、ブラジルが7,200万CERで第4位)
17
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