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健康維持・促進(岩手県遠野市)

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健康維持・促進(岩手県遠野市)
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例
事業テーマ:健康維持・促進
ICTふるさと元気事業
「ICT遠野型健康増進ネットワーク事業」
実施団体:岩手県 遠野市
(実施エリア:岩手県遠野市)
事業概要
遠野市健康づくり総合プログラムにおいてテレビ電話等の情報通信技術を活用することにより、健康志向の地域コミュニティの
形成及び充実を推進し、並びに市民の自発的な健康づくり、生活習慣病等の疾病予防を図り、市民の健康増進に寄与すること
を目的とした事業。
テレビ電話を介して医師や医療従事者と相談できる等、コミュニケーションの基盤としての役割により、地域全体にICTを活用し
た健康作りの気運が高まっており、慢性疾患の改善等の成果が出ている。
事業の経緯・背景
 地域課題
①健康管理と健診受診の意識化による疾病予防
②高齢者の健康に対する不安
③超高齢社会(高齢化率33.5%)における医療費負担の軽減
 取組内容
同市では、平成14年度から市内でお産を取り扱う医療機関がなくなり、地域の助産師のマンパワーを活用して公設
公営助産院を開設した。助産師と妊婦の主治医との間でICTを活用したモバイル胎児心拍転送装置(モバイルCTG
事業
機)による遠隔妊婦健診を実施し、医療の総量を補完し妊婦の安心・安全の確保に一定の成果を得ることができた。こ
実施前 の成果を踏まえ、「ICTと医療」をキーワードに、更なる利活用の取組みを検討したところ、高齢化における医療費負担
の増加傾向の抑制につなげることを目的とした、住民の疾病予防と健康づくりの促進に着目した事業を構想した。
地域の新たな健康づくり活動の創出により、参加者の健康意識の行動変容が見られ、意欲的にウォーキングを行う
事業 など毎日の健康管理が習慣付けされてきた。事業当初から継続参加している住民を対象に、開始当初の検査結果と1
実施後 年後の検査結果を比較したところ、高血圧群と診断されていた人の割合が74.4%から47.6%に減少する等、疾病予防
としての数値改善傾向がみられている。
サービス内容
「とおのICT健康塾、食事栄養バランス教室、ストレッチ体操教室」により、当初健康管理に積極的とは言えなかった高齢者を中
心とする住民が、楽しみながら健康管理を行うといった効果がみられるようになった。
サービスの詳細
サービスのイメージ
■サービス内容
とおのICT健康塾
■実施期間
毎週月曜日から金曜日の間のうち、あらかじめ定められた時間帯(2時間程度)
■対象者
市内に在住する40才以上の市民で、健康づくりに興味があり健康計測サービス
を希望する人。
■利用方法
テレビ電話等の情報通信ネットワーク機器を用いて歩数・血圧・体重等の健康
情報を収集・蓄積して医療従事者が健康指導。採血も行いバイタルデータの推
移をもとにテレビ電話で医師の遠隔健康相談・指導により健康づくりをサポート
する。
■サービス内容
食事栄養バランス教室、ストレッチ体操教室
■実施期間
とおのICT健康塾と同じ時間帯
■対象者
市内に在住する40才以上の市民で、健康づくりに興味があり健康計測サービス
を希望する人。
■利用方法
栄養士による食事と栄養指導、体育指導士によるストレッチ体操指導
1
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「ICT遠野型健康増進ネットワーク事業」 実施団体:岩手県 遠野市
システム概要
 システム全体概要図
計測した健康データを、医療従事者が読み取って保健指導を行い、健康の自己管理支援を行う。なお、年に2回血液検査等も実
施し遠隔地の医師が健康指導も行っている。
 システム活用イメージ
TV電話システムとすこやか健康増進電子手帳の画面イメージ
テレビ電話とWeb電子手帳による健康管理(時系列で血圧等推移をグラフ化)
健康活動の様子(ストレッチ体操教室、ウォーキング)
2
集会所での健康計測の様子
健康管理の場でもあるとともに、地域住民の
いこいの場ともなっている。
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「ICT遠野型健康増進ネットワーク事業」 実施団体:岩手県 遠野市
導入概算費用等
有効活用した既存資源・コスト削減要素
• すこやか電子手帳/血液推移モデル化システム:既存のア
プリケーションを健康管理アプリとして活用することで、新規
アプリ開発費を削減
• 市内CATV(遠野テレビ)の通信ネットワーク:ネットワーク設
備を新規構築する費用を削減
• システム保守管理費のスポット契約:契約形態を変更するこ
とで保守費用を削減
・導入費用:約7,389万円
内訳:ICT関連機器・設備整備費2,719万円、ICTシステム設計・構築費910万円、
人材育成費3,760万円
・運用費用:約3,589万円/年
内訳:人件費2,993万円、システム運用費430万円、その他諸費167万円
導入効果(アウトカム)と導入規模(アウトプット)
導入効果(アウトカム)
導入規模(アウトプット)
システム利用登録者数
32.5%改善
単独 生活習慣病の改善率
:342名
(平成24年2月時点)
(前)平成22年12月:リスク該当者77人/187人
(後)平成23年12月:リスク該当者52人/187人
TV電話遠隔健康相談件数
:169回/月
(平成23年4月~平成24年2月)
28.1%改善
単独 慢性疾患患者改善率
(前)平成22年12月:リスク該当者121人/187人
(後)平成23年12月:リスク該当者87人/187人
運動プログラム開催回数
:延べ48回
(平成23年4月~平成24年2月)
前後 血液検査値(中性脂肪)の改善
7.1%減少
:16人
ICT人材育成人数
(前)平成22年12月時点:151.3mg/dL
(後)平成23年12月時点: 140.5mg/dL
(平成24年2月時点)
※本効果は事業成果の抜粋であり、全ての効果を掲載しているわけではありません。
事業実施体制
事業主体
サービス提供対象
本事業の構築にあたっては、住民側組織、支援側組織、有識
者を組み込んだことで、医師の協力、住民の協力を得ながら、
事業推進をおこなうことができている。
:遠野市
:地域住民
事業実施体制
凡例
:実施主体等
:協力団体
事業実施相関図
:ベンダ等
遠野市 (事業主体)
地域住民
サービス提供
利用者側
遠野市
地域ICT遠野型健康増進ネットワーク推進会議
活動参加者
代表
遠野市
社会福祉
協議会
花巻保健
福祉環境
センター
遠隔参加
指導医師
遠野
施設管理
サービス
遠野市保健
推進員協議会
遠野市
食生活改善
推進員団体
連絡協議会
遠野市
体育指導委員
連絡協議会
遠野市
ふるさとづくり
市民会議
遠野市
老人クラブ
連合会
支援側
遠野市保健
推進員協議会
市内17会場
(400人参加)
遠野町
綾織町
小友町
附馬牛町
松崎町
土淵町
青笹町
上郷町
宮守町
遠野市食生活
改善推進員団
体連絡協議会
協議会
運営
助言
協力
地域ICT遠野型
健康増進ネットワーク推進会議
助言
協力
システム
構築
有識者側
花巻保健
福祉環境
センター
遠野市
女性団体
連絡会議
3
(財)日本
心臓血圧
研究振興会
システム
構築事業者
助言
協力
遠野市社会
福祉協議会
遠野市ふるさと
づくり市民会議
遠野市女性
団体連絡会議
遠野市老人
クラブ連合会
遠野市
体育指導委員
連絡協議会
遠野施設管理
サービス
平成23年度版 総務省 地域ICT利活用事例 「ICT遠野型健康増進ネットワーク事業」 実施団体:岩手県 遠野市
事業主体のコメント・エンドユーザの声
遠野市健康福祉部 市民医療整備室
御担当者
 事業実施後の評価等
地域の新たな健康づくり活動の創出により、参加者は健康意識の行動変容が見られ、意欲的にウォーキングを行うなど毎日の健
康管理が習慣付けされてきた。今後も参加者の拡大に向けた周知・PRを重ね、健康づくりの地域コミュニティを拡大していく。地域
で「ICT=健康づくり」というイメージが広がりつつある。また、参加者の間で、ウォーキングに夢中になった仲間同志でサークル活動
を行うなど、気運が盛り上がっている。
利用者の声①
足が痛くて思うように歩けなかったが、テレビ
電話で医師から励まされ、健康管理の指導を受
けて歩けるようになり健康にも自信がつき、諦め
ていた夫婦旅行が実現できた。
利用者の声②
血圧も血糖値も上昇傾向で投薬も増えていた
が6カ月で数値が良くなり安定化。経口血糖降
下剤を飲まなくても良い正常値に落ち着き投薬
を減らす検討している。
(地域住民(65歳以上:男性))
(地域住民(65歳以上:男性))
利用者の声③
糖尿病で3種類の薬を飲んでいたが、6か月で
生活改善し、数値も良くなり糖尿病薬を一種類
に減らしてもらった。
(地域住民(65歳以上:男性))
事業成功のポイント
市長によるトップダウンでの取組み
医療資源不足といった地方における医療の課題解決の一つとしてICT利活用による遠隔医療をテーマに、市長によるトップダウ
ンでの取組みによって、関係機関との連携、当該事業の市予算への組込み等を行った。
関係者間のフィードバックをもとに、随時改善を図っていくサービス運用方針
参考とする事例が限られる中で、システム整備・運用や遠隔での協力・参加をしてもらえる医師や健康指導スタッフの意見を取り
入れながら、効率・効果的な連携とサービスの運用を実施している。また、運営に際しては、フィードバックをもとに随時改善を行っ
ていくことでサービス品質の向上が図られている。
お年寄りの健康管理、見守り支援を「定期的な健康診断」というコンテンツによって実現している
お年寄りの健康管理支援と見守り支援を「定期的な健康診断」というコンテンツによって同時に実現している。さらに地元の集会
所で行う健康診断、健康増進というアクティビティが地域コミュニティ構築にもつながっている点も特徴的である。
今後の課題
・事業費は年間3,500万円ほど見込んでいるが、歳入は参加者からの会費(年額6,000円)が300万円程度で1割弱となり、残る9
割が市の財政負担となっている。経費の主なものは活動スタッフの人件費であるが、参加者の増加に伴いスタッフも比例して増
員することになり、更に費用負担が大きくなるというジレンマを抱えている。
・一方、活動参加者の疾病予防と健康状態が改善された場合における医療費負担の軽減(市の国保財政負担の軽減)に連動す
ることにより、トータルで市の財政負担軽減のメリットにつながることもあり、今後とも事業を継続していく予定。
<本件に関する問い合わせ先、導入検討・視察の相談等>
遠野市健康福祉部健康福祉の里 保健医療課
電話: 0198-62-5111内線50
E-mail: sato-hoken [atmark] city.tono.iwate.jp
※スパム対策としてメールアドレスを一部変更して記載してあります。
eメールを御送付の際は、「[atmark]」を「@」に変えてご利用ください。
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