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H16 配付 理科総合 演示実験資料集
平成16年3月 岡山県教育センター −高等学校理科指導資料− こ の パ ン フ レ ット は ,理 科 総 合 A・Bにおける 演 示 実 験 を 安 全 か つ円 滑 に実 施 し ,演 示 の 効 果 を 高め るための指導のポイントを 分かりやす く解説したもので す 。 理 科 総 合 の 実 習 書 (理 科 の 実 験 と 実 習 )や 指 導 資 料 と と も にご 利 用 いた だ き,授 業 の 中 で 生 徒 たち が少しで も実際の現象に触れる ことで ,理科の好きな 生徒が増え る ことを 願って います 。 2 A A1 作用と反作用 p.6 イオンを含んだ水が電気 を通すことを,白熱灯が 点灯することで確認する 実験です。 p.7 A6 力学的エネルギーの保存 発熱反応・吸熱反応 スピードセンサーを利 用して物体の位置エネ ルギーが運動エネルギ ーに変わることが認識 できる実験です。 反応の前後で物質の 持つエネルギーに差 があることを,発熱 反応や吸熱反応で確 認する実験です。 A3 p.8 電子の発見 電磁ブレーキの原理 鉄道などで利用されているブレ ーキは,電磁誘導によって物体 の運動を妨げる力が生じること を利用したものです。この電磁 ブレーキの原理を紹介する実験 です。 A7 酸と塩基 クルックス管を用いて 陰極線を観察し,負の 電気を帯びた粒子が存 在することを確かめる 実験です。 A4 p.10 イオンの導入実験 スケートボードの上 に乗って,互いに押 したり引いたりした ときの力を測定する 実験です。 A2 A5 p.11 p.12 ムラサキキャベツの絞 り汁の色の変化で酸性 と塩基性を見分ける実 験です。 p.9 A8 鉄を取り出す! (テルミット反応) 酸化鉄(Ⅲ)とアルミニウムの 粉末に火を付けて,鉄を取り 出すテルミット反応の実験で す。 p.13 B B1 p.14 植物による二酸化炭素の吸収 pH指示薬のクレゾールレ ッドの変色により,植物が 光合成の材料として二酸化 炭素を吸収していることを 確かめる実験です。 B2 p.15 B6 p.19 空気中の水蒸気が,温 度や圧力の変化によっ て雲になることを,圧 縮ポンプとペットボト ルを用いて再現する実 験です。 B7 p.16 ペットボトルの リサイクル p.17 緑葉が吸収する光の色 p.20 アイソスタシーのモデル アイソスタシー(地 殻均衡)の基本原理 を地殻とマントルに 適用し,地球内部構 造を理解するための モデル実験です。 リサイクルや循環型社会につ いての関心を高めるため,ペ ットボトルからポリエステル 繊維を再生する実験です。 簡易分光器を用いて,光合 成色素が赤色の光と青紫色 の光を吸収していることを 確認する実験です。 地震による液状化現象 雲の発生 エンドウの種子に現れる遺伝 形質を,実際の種子を用いて 観察することで,対立形質と はどのようなものかを確認す る実験です。 B4 p.18 地震災害に対する理解 を深めるために,地震 により発生する液状化 現象を再現するモデル 実験です。 エンドウの種子に 現れる遺伝形質 B3 B5 4∼5ページでは, 学校における理科教員 の協力体制を解説しま した。参考にしてくだ さい。 3 4 理科教員間の協力体制について 理科教員間の協力体制について 物理・化学・生物・地学それぞれの担当教員同士の協力の下で理科総合 A・理科総合Bの授業を円滑に実施するためには,どのような協力体制で 臨めばよいのでしょうか。 ある高等学校における協力体制の例 岡山県内のある高校では,平成15年度から小・中学校での理科教育の変化や生徒の実情にきめ細かく対応するた め,第1学年の理科の指導形態を大きく変えました。入学してくる生徒の理科に関する経験や体験の不足,小・中 学校での内容の削減,教授内容の学校間格差等の各種要因を検討し,第1学年の理科の授業の進め方に大幅な変更 を加えました。その概要を次に紹介します。 ◇年 間の指導 方法の改 善 ・各組の授業は,年間を通じ1名の教員が担当する。 ・授業内容を物理・化学・生物・地学分野に細分し並行して授業を行うのではなく,年間指導計画を 基 に , 一 つ の 単 元 当 た り 5 ∼ 10時 間 ず つ 連 続 し た 授 業 を 実 施 す る 。 ・授業内容等は事前に1年次を担当する教員間でよく協議し,共通で利用する授業用のプリント教材 を作成するなど,各組で担当者の違いによる指導内容の差がないようにする。 ・「報告書」や「提出物」などの評価規準も担当者による差がないようにする。 担当者の打合わせ や授業用の教材の共 有等は,校内のネッ トワークに接続され たコンピュータを利 用してグループウェ ア上の電子会議室や ファイルサーバ内の 共有フォルダを活用 することにより実現 した。 ◇教材作成における協力 ・共同でのコンテンツ作成 ・サーバでの教材の共有 ・授業で利用するリンク集 ◇教員間の連絡体制 ・掲示板による打ち合わせ ・電子会議室と個人掲示板 など ◇教材作成に おける協 力 共同 でのコン テンツ作 成 一人の教員が,得意とする単元の演示実験を行う。 他の教員が,実験の補助,ディジタルビデオカメラでの撮影を行いながら,実験のコツ,指導の ポイントなどを協議する。 これにより,ディジタルコンテンツの作成,予備実験,指導内容の協議を短時間に同時に行うこ とができる。 5 サーバでの教材の共有 教材は,電子情報ボ ードで提示しやすいよ うに授業プリントをP DF化する。提示用の 画像や資料は,分野ご とにまとめてフォルダ (例えば宇宙・雲のフ ォルダ)に保存し,教 材提示用のPCに複写 して利用する。 また,担当者で指導内容 が変わらないように作成し た授業プリントに指導内容 を記入し徹底する。 授業で利用するリンク集 各実験室に情報コンセントが 整備されてからは,直接インタ ーネット上のコンテンツを利用 することも可能になる。 ◇教員間の連絡体制 指導内容の打合せには 「学校管理システム」の 「グループウェア:Web学 校管理」の掲示板や電子 会議室,個人伝言板を利 用する。 電子会議室と個人伝言板 掲示板による打合わせ 6 A 1 作 用 と 反 作 用 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :い ろ い ろ な エ ネル ギ ー 演 示 の ね ら い :床 の 上 に 置 い た 台 上 で 生 徒 同 士 が 引 き 合 っ た り , 押 し 合 っ た り し て , そ の と き の 引 き 合 う 力 の 大 き さ を測定す るこ とで,作用と反作用の力の大きさが等しい こ との認識を深める。 演 示 に 要 す る 時 間 :5 分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器具:ス ケー トボ ー ド2台,ばねはかり (10kg程度が測定で きるも の)二つ 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 (1) 生徒を実験室の前方に 集め ,床上に ス ケ ー トボ ー ド2 台を一 直線上で 向かい 合わせて 置く。 (2) 生徒2 名(仮に A,B と す る)を指名し ス ケ ー トボ ー ドの上に 向 かい 合わせて 座らせ,押し 合ったり ,引き合ったり させる。 図 A1-1 スケ ートボ ード の 上 に 座 らせ た生 徒 (3) (2)の ように 座らせ ,B はじ っと さ せ て お い て ,Aに 押 さ せ た り , 引かせたり させる。 【説明】A,B の両方が動くこと から,力はAからBに はた らくだ け で な く,BからAに もはたらい て い ること を説明す る。 (4) A,B に ば ね はか り を持 た せ て 再び (2 )の よう に 座 らせ,B は じ っと させて お い て Aに 引かせ,ばねはかり の目盛り を読む。 【説明】ばねはかり の目盛り が等し い ことから,Aと Bが互い に 及ぼし 合う力の大きさ が等し い こと を説明す る。 図 A1-2 ば ね ば か りを 持 って引 き合 う 生 徒 A B BがAを押す力 AがBを押す力 図 A1-3 ば ね ば か りの 数 値 の 読 み 取 り A B BがAを引く力 AがBを引く力 注意事項 Aが持つばねはかり BがAを引く力 Bが持つばねはかり AがBを引く力 転倒防止のため, スケートボードの 上には立たせない。 7 A2 力学的エネルギー の保存 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :い ろ い ろ な エ ネ ル ギ ー 演 示 の ね ら い :物 体 を 自 由 落 下 運 動 と 振 り 子 の 運 動 を さ せ , 一 番 下 を 通 過 す る と き の 速 さ を 測 定 し, 物体の位置エネルギ ー が運動エネルギ ー に 変わるこ との認識を深める。 演 示 に 要 す る 時 間 :10分 1 準 備 物 及 び材 料 の 入 手 方 法 器具:金属球(直径25mmくらい ),振り 子(直径25mmくらい の金属球が付 い た もの),ス ピー ドセ ンサー ,1mものさ し ,クッシ ョン ☆ ス ピー ドセンサー は理科器具メー カー で も購入可能。 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 (1) ス ピー ドセ ンサー をス タ ンドに 固定し ,下に クッシ ョ ンを置く。セ ンサー 部 から50cmくらい 上方より 金属球を自由落下さ せ,金属球がセ ンサー 部 を通過す ると きの速さ を測定す る。 【 説 明 】 ス ピ ー ド セ ン サ ー に 表 示 さ れ る 速 さ の 単 位 は km/ h で あ る の で , これをm/sに 換算す る。最初の位置エ ネ ルギ ー と セ ンサー 部 を通過す ると きの運動エ ネルギ ー を計算し ,位置エ ネルギ ー が運動エ ネルギ ー に 変わったこと を説明す る。 (2) ス ピー ドセ ンサー を単振り 子の最下点の位置に な るように ス タ ンドに 固 定す る(図A2−2 )。単振り 子の金属球を糸がた るま な い ように 10cmく らい の高さ ま で 持ち上げた後,手放し ,金属球がセンサー 部を通過す る と きの速さ を測定す る。 図 A 2-1 自 由 落 下 【説明】最初の位置エ ネルギ ー と センサー 部を通 過す るときの運動エ ネ ルギ ー を計算し,位置 エ ネルギ ー が運動エ ネルギ ー に 変わった ことを説明す る。 図 A 2-2 単 振 り子 とセン サ ー (1)自由落下の場合 図 A 2-3 単 振 り子 の 速 さの 測 定 (2)単振り子の場合 力学的エ ネ ルギー 注意事項 =位置エ ネ ルギー ( 運動エ ネ ルギー=0 ) 50cm 力学的エ ネ ルギー =位置エ ネ ルギー 力学的エ ネ ルギー ( 運動エ ネ ルギー=0 ) =運動エ ネ ルギー v ( 位置エ ネ ルギー =0 ) 基準面 スピードセンサー 10cm 力学的エ ネ ルギー =運動エ ネ ルギー 基準面 スピードセンサー v ( 位置エ ネ ルギー=0 ) スタン ドが 倒れな い よう に しっかりと 固定する。 8 A 3 電 子 の 発 見 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :物 質 の 構 成 と変 化 演 示 の ね ら い :陰 極 線 を 観 察 す る こ と に よ っ て , 負 の 電 気 を 帯 び た 粒 子 が 存 在 す る こ と を 知 り , 原 子 を 構 成 す る 粒 子 に つ い ての認識を深める。 演 示 に 要 す る 時 間 :1 5分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器具:誘導コイル,直流電源装置,導線,クルックス管(十字板が入ったも の,ス リ ットのあ るもの,偏向電極のあ るもの,回転車のあ るもの), U字形磁石 ☆ クルックス管に つ い て は様々な ものがあ るが,調べる陰極線の性質 に 応じて 使い 分け る。 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 図 A3-1 十 字 板 入 りクル ックス管 (1) 十字板入り クルックス 管を用い て 図A3 −1 のように 装置を組み,陰極 線を放電させる。 【説明】十字板電極を正極に す ると 十字板の影がで きること から,陰極 線は負極から出て い ること,直進性があ ること を説明す る。 【注意】十字板電極が正極に な るように 誘導コイ ルのス イ ッチ を切り 換え る。逆に 接続す ると 十字板の影はで きな い 。 (2) ス リ ットのあ るクルックス 管を用い て ,図A3 −2 のように 装置を組み, 陰極線を放電さ せる。クルックス 管をま た い で U 字形磁石を近付け る。 【説明】陰極線に 磁界を近付け ると 曲がり ,近付け る磁界の向きが逆に な ると 陰極線の曲がる向きも逆に な ることを説明す る。 【注意】ス リ ットのあ る側が負極に な るように 誘導コイ ルのス イ ッチ を切り 換え る。近付け る磁界の向きを陰極線と 垂直に す る。 (3) 偏向電極のあ るクルックス 管を用い て ,図A3 −3 のように 装置を組み, 陰極線を放電させる。偏向電極に 直流電圧をかけ る。 【説明】偏向電極に 電圧をかけ な い 場合は陰極線は直進す るが,電圧を かけ ると進路は正の電極のほうに 曲がることから,陰極線は負の 電荷を持って い ること を説明す る。 【注意】ス リ ットのあ る側が負極に な るように 誘導コイ ルのス イ ッチ を切り 換え る。 図 A3-2 スリットの あ る クル ック ス管 に磁 石 を 近 付 ける 図 A3-3 偏 向 電 極 の ある クル ックス管 の 配 線 (4) 回転車入り クルックス 管を用い て ,図A3 −4 のように 装置を組み,陰極 線を放電させる。 【説明】陰極線を回転車に 当て ると 回転車が回ること から,陰極線は質 量のあ る粒子で あ ることを説明す る。 3 演 示 実 験 後 の 処 理 (1) クル ックス 管 は 丁寧 に 扱い ,他の 器 具と 一緒 に 片付 け る。 図 A3-4 回 転 車 入 りクル ックス管 陰 極 線 の 磁 界 に よ る 影 響 ( 2 (2 ) ) 陰 極 線 の 電 界 に よ る 影 響 ( 2 (3 ) ) 注意事項 曲がる向き 正の電極 陰極線が入射した向き 曲がる向き 陰極線が入射した向き 磁界の向き 負の電極 誘導コイルとつな ぐ2本の導線は接 触した り交差した り しないようにする。 9 A 4 電 磁 ブ レ ー キ の 原 理 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :物 質 の 利 用 演 示 の ね ら い :電 磁 誘 導 に よ っ て 運 動 が 妨 げ ら れ る こ と を 観 察 し , そ れ を 利 用 し て ブ レ ー キ が 作 ら れ て い る こ と を 知 る 。 演 示 に 要 す る 時 間 :1 0分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器具:ネオジム磁石,アクリルパイプ,金属(アルミ製,銅製など)パイプ,クッション ☆ パイプの内径は磁石よりも大きいものを用意する。また,鉄製パイプは使えない。 2 実 験 の 演 示 手 順 と 生 徒 へ の 説 明 (1) ネ オ ジ ム 磁石をア クリ ルパイ プ や金属パイ プ の中で 落下さ せ,落下時間の違い を観察さ せる。 【説明】アクリ ルパイプ 中を落下する時間は,空気中を落下する時間と同じだが,金属パイプ 中を落下 す る時間は長くな ること から落下す る磁石の運動を妨げ る力がはた らい て い ること を説明す る。 アクリルパイプの ネオジム磁石は すでに落下して いる。 図 A 4-1 実 験 装 置 の セッティン グ 図 A 4-2 銅 製 パ イプ か らまだ出 てい ない 電磁ブレーキの原理 減少するネオジム磁石の磁力線を 補うように誘導電流が流れ,パイ S N プの内側はS極に,外側はN極に なる。(参考:このような誘導電 流を「渦電流」という。) N 引き合う力 反発し合う力 S 増加するネオジム磁石の磁力線を S N 打ち消すように誘導電流が流れ, パイプの内側はS極に,外側はN 極になる。 10 A 5 イ オ ン の 導 入 実 験 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :物 質 の 構 成 単 位 演 示 の ね ら い :電 解 質 を 水 に 溶 か す と そ の 水 溶 液 は 電 気 を 導 く こ と を , 白 熱 灯 が 点 灯 す る こ と で 体 感 さ せ る 。 演 示 に 要 す る 時 間 :5 分 1 準 備 物 及 び材 料 の 入 手 方 法 器 具 : 白 熱 球 ( 1 0 0 W ) が 付 い た 実 験 器 具 , 5 0 0 m lビ ー カ ー ☆ 実験器具の自作が難し い と きは,理科器具販売店で 「通電チ ェッカ ー 」と い う 名称で ブ ザー が付い て い るものを用い る。 試薬:ス クロー ス ,塩化ナ トリ ウ ム,エ タノー ル,酢酸 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 ( 1 ) 授 業 前 に ビ ー カ ー 4 個 に 精 製 水 を 約 4 0 0 m l入 れ て お く 。 図 A 5-1 実 験 装 置 (2) 電極を精製水に つ け て から電源を入れる。 (3) そ れぞ れの薬品を少量加え る。 【説明】精製水だけ で は点灯し な い こと を確認す る。 生徒に 点灯す るかど うかを予想さ せて から薬品を入れる。 投入す る薬品の種類に よって 点灯し た明かり の強さに 違い があ るかど う かを確認さ せ,その違い に つ い て 考え さ せる。 発展と し て 水道水と 精製水の違い を見せて ,水道水に 含ま れて い る物質 に つ い て 考察さ せるのもよい 。 図 A 5-2 精 製 水に実 験装置 を セットしたところ 3 演 示 実 験 後 の 処 理 ・演 示 の こ つ (1) 確認がで きたらす ぐ に 通電をやめる。 (2) 廃液はす べて 流し て 良い 。 (3) 部屋を暗くして 行うと,生徒の興味を一層喚起す ることがで きる。 図 A 5-3 塩 化 ナ トリウ ムを 加 えて 電 球 が 点 灯 した様 子 電離 − 注意事項 + NaCl → Na + Cl + − + − + − ・実験中はゴム手袋をはめる。 ・電極が金属製品に触れたり, ショートしないように気を付 ける。 ・生徒に操作させない。 11 A 6 発 熱 反 応 ・吸 熱 反 応 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :化 学 変 化 とエ ネル ギ ー 演 示 の ね ら い :化 学 変 化 に は , 発 熱 反 応 と 吸 熱 反 応 が あ り , そ の 反 応 熱 は , 反 応 物 と 生 成 物 の も つ エ ネ ル ギ ー の差であ るこ とを具体例を通して知る。 演 示 に 要 す る 時 間 : A :5 分 B:5 分 1 準 備 物 及 び材 料 の 入 手 方 法 器具:加熱装置,長めのピンセ ット 試薬:マグ ネシウ ム(テ ープ 状),炭酸水素ナ トリ ウ ム,クエン酸 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 A 熱と 光を放出す る化学反応 (1 ) 約 5 cmに 切 った マ グ ネ シ ウ ム (テ ー プ 状 )に ガ ス バ ー ナ ー で 火を付け る。 図 A 6-1 マグ ネ シウ ムの 燃 焼 【説明】強い 光が出るので,直視しない ように 注意する。ものが燃える 反応で は光と 熱が放出さ れること を確認さ せる。 B 手のひ らで 起きる吸熱反応 (1 ) 右 手 に 炭 酸 水素 ナ トリ ウ ム を薬 さ じ 大 1 杯 と る。 (2 ) 左 手 に クエ ン酸を 薬 さ じ 大1 杯と る。 (3 ) 片 方 の手 に 移し 替 え ,よく混ぜ る。 (4) 水を少量加え る。 (流し の上で 行うと そ のま ま 薬品を流す こと がで き る。) 図 A 6-2 手 の ひ らでの 反 応 の 様 子 【説明】固体を混ぜ合わせただけ では反応しない ことを確認する。 水を加え ること に よって,それぞ れの薬品が電離す ること で 反応が進み,熱が奪われる。 ※ 実験Bは手のひらで行う代わり に ,試験管やポ リ 袋等の中で反応させても 冷たくな ること を体感す ること がで きる。 3 演 示 実 験 後 の 処 理 廃液はす べて 流して よい 。 図 A 6-3 試 験 管 を 用 い たときの 様 子 化学反応式 2 → 2MgO 2Mg + O 反応物 エ ネ 2Mg + 反応物 O 2 反応熱 ル ギ | 生成物 生成物 エネルギーの差 光 ・熱 2MgO 注意事項 手のひらで起きる吸熱反応は 皮膚が過敏な生徒は赤くなる ことがある。アレルギー体質の ある生徒や,手に傷がある生 徒は行わないように注意する。 12 A 7 酸 と塩 基 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :酸 と塩 基 演 示 の ね ら い :身 近 な も の で 酸 性 と 塩 基 性 を 見 分 け る こ と が で き る こ と を 知 り , 酸 と 塩 基 の 性 質 を 確 認 す る 。 演 示 に 要 す る 時 間 : A :1 0 分 B : 1 0 分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器 具 : 3 0 0 m lの 三 角 フ ラ ス コ 2 個 , ゴ ム 栓 , こ ま ご め ピ ペ ッ ト , 試 験 管 , 試験管立て 試 薬 : 0 . 1 m o l/ l水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 , 0 .1 m o l/ l塩 酸 , フ ェ ノ ー ル フ タ レ イ ン 材料:紫キ ャベ ツの絞り 汁(紫キ ャベ ツは8 分の1 カ ットが70円くらい ) 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 A.答え るフラス コ ( 1 ) 三 角 フ ラ ス コ に 精 製 水 を 1 5 0 m lと り , フ ェ ノ ー ル フ タ レ イ ン を 1 0 滴 加 え る 。 ( 2 ) こ れ に 0 .1 m o l/ l 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 を 1 0 滴 加 え ゴ ム 栓 を す る 。 (3 ) ゴ ム 栓をと って 三角フラス コに 話し かけ る。話し かけ た 後ゴ ム 栓をし て よく 振る。これを数回繰り 返す 。色が変わったらやめる。 【説明】溶液の色の変化をもたらしたものは何かを考えさせる。 フェノー ルフタ レイ ン溶液が塩基性で は赤色,中性から酸性で は無色で あ ることを説明す る。初めに 塩基性の薬品を入れて い たこと や呼気中 の二酸化炭素が溶液に 溶け て 中和反応が起きて 色が変わったこと に 気付かせる。 B.液性に よる指示薬の色の変化 紫キャベ ツの指示薬の準備 紫キ ャベ ツは千切り に し ,ミキ サー に 入れ,少量の湯と と もに 細かく砕き 5 ∼10分加熱し 上澄み液を指示薬とし て 使用す る。 授業時 (1 ) 試験管立て に 試験管を7 本くらい 用意す る。 (2 ) 試験管の1 本に 精製水を半分くらい 取って 紫キ ャベ ツの絞り 汁を ピ ペ ッ ト で 1 0 m l加 え る 。 ( 3 ) 三 角 フ ラ ス コ に 約 5 0 m lの 塩 酸 を と り , 紫 キ ャ ベ ツ の 絞 り 汁 を 1 0 m l 加え る。このと き の溶液を試験管に 半分くらい 取って (2 )の 試験管の横に 並べる。 ( 4 ) 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 を こ ま ご め ピ ペ ッ ト で 5 m lず つ 加 え ,溶液の色が変化したら試験管に とる。 図 A7-1 答 える フラスコの 準 備 図 A7-2 紫 キャベツ 【説明】水に 加えたときの色が中性であ ることを説明し,ど こ の段階で 中性から塩基性に な ったかを確認さ せる。 3 演 示 実 験 後 の 処 理 ・ 演 示 の コ ツ (1 ) 廃液はす べて 流し て よい 。 (2 ) 答え るフラス コの濃度は,5 回くらい 話し かけ ると 変化す る ように 調整し て あ るが,予備実験を行う。 N a+ Cl− + H 酸性 N a+ O H− N a+ O H− 酸性 図 A7-3 紫 キャベツ の 指 示 薬 の 色 の 変 化 O H− 中性 塩 基性 13 A 8 鉄 を 取 り 出 す ! (テ ル ミット 反 応 ) 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :酸 化 還 元 演 示 の ね ら い :酸 化 鉄 (Ⅲ )と ア ル ミ ニ ウ ム の 粉 末 に 着 火 し , 酸 化 鉄 (Ⅲ )か ら 鉄 を 取 り 出 す こ と で 酸 化 還 元 反 応 を 確認す る。 演 示 に 要 す る 時 間 :1 0 分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器 具 : ろ 紙 , ス タ ン ド , 砂 を 入 れ た 大 き め の 金 属 バ ット , 大 き い ピ ン セ ット , 水 を 入 れ た 缶 , 磁 石 , マ ッフ ル 試 薬 : 酸 化 鉄 (Ⅲ ), ア ル ミニ ウ ム 粉 末 , マ グ ネ シ ウ ム ( テ ー プ 状 ) , 硝 酸 カ リ ウ ム 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ 【説明】酸化鉄(Ⅲ)の粉末,ア ルミニ ウ ム の粉末と もに 磁石に 付かな い こと を 確認す る。 (1) 酸化鉄(Ⅲ)10gと ア ルミニ ウ ム 粉末3 gをよく混ぜ,図A 8-2のように マ ッフルに セットし たろ紙(2枚重ね)の中に 入れる。 (2) 中央に マ グ ネ シ ウ ム (約5 cm)を差し ,そ の周り に 硝酸カ リ ウ ム を少 量入れる。 (3) マ グ ネ シ ウ ム に ガ ス バー ナ ー で 火を付け る。 (4) 砂の中に 落ちた 鉄を観察さ せ,塊を水を入れた 缶の中で 冷却す る。 (5) 磁石に くっ付け て 鉄が取り 出さ れた こと を確認す る。 図 A 8-1 酸 化 鉄 とアル ミニウ ム 3 演 示 実 験 後 の 処 理 ・ 演 示 の コ ツ (1) (2) (3) (4) 教室を暗くす ると 迫力があ る。真っ赤な 鉄の塊もよく確認で きる。 砂を入れた缶を大きめのものに すると,机も傷が付かず安全に 行える。 生徒は教卓から3m以上,離れさせる。 石こうボ ー ドを敷い て 行い ,防護メガネを着用す る。 図 A 8-4 砂 の 上 に 落 ち た鉄 図 A 8-3 反 応 の 様 子 酸化 酸素と結びついている= 2Al + Fe2O → 2Fe + Al 2O3 3 酸素を放出している=還元 図 A 8-2 点 火 前 図 A 8-5 赤 く光 る 砂 上 の 鉄 注意事項 生徒は教卓から3m以上 離れさせる。 防護メガ ネを着用する。 14 B1 植 物 に よ る 二 酸 化 炭 素 の 吸 収 学習指導要領の内容:生物と環境 演示のねら い :pH指示薬であ るク レゾー ルレッドの変色から , 植物が光合成の材料として二酸化炭素を吸収して い るこ とを確認し, 生態系に お け る炭素循環に つ い ての理解を深める。 演示に 要す る時間:5分 1 準 備 物 及 び材 料 の 入 手 方 法 器具:薬さじ,ビー カー ,ガラス棒,大型試験管2,試験管立て ,ゴ ム栓2, 水槽又はビー カ ー ,白熱灯(1 5 0 W程 度) 試薬:炭酸水素カ リ ウ ム ,クレゾ ー ルレッド 材料:クロモな ど の水草 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 手順は下図参照。ただし,曇り の場合に は水を入れた水槽越しに 白熱灯 を照射する。 図 B1-1 水 草 に 白 熱 灯 を 照 射 し てい る とこ ろ 3 演 示 の コツ ・4分以内に クレゾ ールレッドの変色を起こすために は, ①水草の光合成活性をで きるだけ 高めて お く。 ②呼気を吹き込ん で い くときに ,やや赤色が残る(薄い ピンク)程度 に とど める。 ③晴れてい れば,直射日光の当たる窓際で行う。 ・実験装置は,2∼3日であ れば繰り返し使用することができる。 ※ 参 考 :「光 合 成 ペ ン ダン トの 作 り方 」 http://www.edu-c.pref.okayama.jp/sien/kyouka/rika/seibutu/pendanto/index.htm 図 B1-2 水 草 の 方 が う す い ピ ン ク色 に なる ※ 待ち時間の間に で きる関連実験(光合成に よる酸素の発生を確認す る実験) 図 B1-3 演 示前日の夕方に上の よ う に セッテ ィン グ する 図 B1-4 線 香 が 激 しく燃 え, 酸 素 であ る ことが 分 か る 図 B1-5 発 生 する 気 体 を 水 上 置 換 しや すく加 工 したもの 15 B2 エ ン ドウ の 種 子 に 現 れ る 遺 伝 形 質 学習指導要領の内容:遺伝の規則性 演示のねら い :エンドウ の種子の観察を通して対立形質に つい て理解させ,明確な対立形質をも つ エンドウ が交 雑実験に 適した材料であ ることを理解させる。 演示に 要する時間:3分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器具:教材提示装置,シ ャー レ 材料:絹さやエ ンドウ の種子(ホームセンターで1袋150円∼ 200円) 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 ○実験前に 準備し て お くこと (1) エ ンドウ の種子は農薬(キ ャプ タ ン剤)で 紛衣処理し て あ るの で ,水洗い をし て 農薬を落と して お く。 (2) 種皮が有色,種皮が無色,子葉が黄色,子葉が緑のものを 1時間程度水に 漬け て お く。 図 B2-1 エン ド ウの 種 子 の 形 質 ○演示(種子の形質に つい ては図B2-1参照) (1) ま ず ,丸い 種子と し わの種子を見せて (教材提示装置を使用) 対立形質に つ い て 説明す る。 【説明】決して同時に 現れることがない 形質が対立形質であ る。 む (2) 次に ,種皮が有色(焦げ茶色)のものと ,無色(半透明)のもの を見せる。無色のもので は子葉が黄色のものと 緑のものを見せ, 内部の子葉の色が透け て 見え ることを指摘す る。 (3) (2)で 用い た 種皮が無色で 子葉が黄色のものと 緑のものの種皮 をむい て ,種皮の色を確認さ せる。 (4) 種子をシ ャー レに 入れて (ふた をし て )生徒に 回覧す る。 図 B2-2 種 皮 を むい てい る ところ 3 演 示 の コ ツ (1 ) エ ンドウ の種子は,1 袋だ け だ と 形質がそ ろ って い る( 丸ばかり )こと があ るので ,3 ∼4 袋用意す る。 (2 ) し わの種子を長時間水に 漬け て お くと ,吸水し て し わがな くな って し ま うので 気を付け る。 エンドウの種子の対立形質 ・種子の形 … 丸 しわ(種皮の中の子葉にしわがある) 注意事項 ・子葉の色 … 黄色 緑色 ・種皮の色 … 有色 無色(半透明) 対立形質 はっきり と区別できる相対する形質(一個体 で同時に 存在しない 形質)のこと。 種子は,カビ防止のた め農 薬が紛衣してある。 毒性はあまりないが,素手 で水洗いをすると手荒れを 起こすおそ れがあるのでゴ ム手袋を使用する。 16 B3 ペ ッ ト ボ ト ル の リ サ イ ク ル 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :生 物 と環 境 演 示 の ね ら い :身 近 に あ る ペ ッ トボ トル か ら ポ リ エ ス テ ル 繊 維 を 再 生 す る こ と で , リ サ イ ク ル や 循 環 型 社 会 に つ い て の関心を高め理解を深める。 演 示 に 要 す る 時 間 :3 分 1 準 備 物 および材 料 の 入 手 方 法 器具:ア ルミ缶,自転車のス ポ ー ク,ナ ット,ドリ ル,モ ー タ ー (3V), 電池,電池ケー ス ,浮き止めゴ ム(釣り 用),ア クリ ル板, ア ルミガー ド,支持台,ハサミ,ア ルコー ルランプ ,マ ッチ 材料:ペ ットボ トル 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 (1) ペ ット ボ ト ル を融 解 し ,小 さ な 穴 から押し 出 し て 繊維 をつ くるた め , 図B3-1のような 装置を作る。(製作方法はCDに 載せて あ る。) (2) ペ ット ボ ト ル を1 c m四 角に 切 った ものを 缶の 飲 み口 か ら1 g程 度 入 れ,1分30秒ほど 加熱す る。 (3) 加熱 が 終了 し た ら,モ ー タ ー を 回転 さ せ て 融解 し た ポ リ エ チ レン テ レフタ ラートを缶の穴から繊維状に 吹き出させる。 (4) ア ルコ ー ル ランプ を 消し て か ら,ア クリ ル板 に 付着 し た 繊 維を 集 め(図B3-3)生徒に 回覧す る。 図 B3-1 実 験 装 置 図 B3-2 缶 の 底 の スポ ー ク による固 定 3 演 示 実 験 後 の 処 理 ・演 示 の コ ツ (1) モ ー タ ー の回転が遅い と 繊維が缶の周り に 付着し て 失敗す る。 (2) ア ルミガ ー ドと ア クリ ル板の囲い の間のす き ま が大き い と ,繊 維がア ルコー ルランプ の炎で 燃え ることがあ るので ,す きま を な くす 。 (3) ア ルミ缶の側面の穴が固ま った 繊維で ふさ がること があ るので , 演示実験後は,ア ルミ缶の側面をバー ナ ー で 焼い て 繊維を取 り 除く。 図 B3-3 取 り出 した繊 維 P E oly thylene T erephthalate ポ リエチ レンテ レフ タラー ト 注意事項 実験中は 換気をする。 17 B4 緑 葉 が 吸 収 す る 光 の 色 学習指導要領の内容:生物の変遷 演示のねら い :簡易分光器を用い て,緑葉が赤色光と青紫光を吸収してい るこ とを理解させる。 演示に 要す る時間:4分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器具:乳鉢,乳棒,ろ紙,漏斗,漏斗立て ,ビー カー ,試験管,簡易分光器, ビデ オカ メラ,プ ロジ ェクタ ー ,ス クリ ー ン 試薬:エタノール 材料:ホウ レンソウ の葉 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 ○実験前の準備 ( 1 ) 図 B 4 - 1 の 設 計 図 ( p .2 1 の 設 計 図 を コ ピ ー し て 使 用 ) を ケ ン ト 紙 に コ ピー し て ,内部全面をマ ジ ックで 黒く塗り つ ぶす 。 (2) 切ったCD をはり ,ス リ ットの穴を空け て 組み立て る。 図 B4-1 組 み 立 て前 の 簡 易 分 光 器 (3) 小さ くちぎ った ホ ウ レンソウ を乳鉢に 入れ,エ タ ノー ル中で す り つ ぶ し て ろ過し ,色素抽出液を作る。 ○演示 色素抽出液を透過し た光を簡易分光器で 分光し ,それをのぞ き穴 からビデ オカ メラで 撮影し て プ ロジ ェクタ ー で 投影す る(図B 4-3)。 (プ ロジ ェクタ ー がな け れば,ビデ オカ メラで 録画し たものをテ レビ で 見せる。)赤色の光と 青紫色の光が吸収さ れて い ること を確認さ せる。 ※な ぜ,葉が緑色に 見え るかに つ い て 考察さ せて もよい 。 【説明】葉が青紫と 赤の光を吸収し て し ま うので ,残った緑色の光が 葉で 反射し たり 透過したり す るため,葉は緑色に 見え る。 (緑の光は吸収さ れな い ) 図 B4-2 完 成 直 前 3 演示 のコツ (1) 試験管と 分光器はぴ った り くっ つ け る。 (2) 赤色光の吸収はやや分かり に くい が,ス ペ クトルの端が 消えるのでそこに 注目させる。 図 B4-3 演 示 の 方 法 400nm 光の波長 緑葉中の色素に 吸収された光 700nm 注意事項 換気に気を 付ける。 18 B5 地 震 に よ る 液 状 化 現 象 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :人 間 の 活 動 と地 球 環 境 の 変 化 演 示 の ね ら い :地 震 に 伴 い 発 生 す る 液 状 化 現 象 を モ デ ル 実 験 に よ り 再 現 し , 地 震 災 害 に 関 す る 理 解 を 深 め る 。 演 示 に 要 す る 時 間 :5 分 ∼ 10 分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 材 料 : ペ ッ ト ボ ト ル ( 5 0 0 m l, 表 面 に 凹 凸 の 少 な い も の ) , ポ リ ビ ー カ ー ( 3 0 0 m l程 度 の もの ),砂 1 (校庭 等 か ら採 取し ,大 き な れ き は 取 り 除 い て お く),砂 2 (校 庭 等 か ら採取し ,よく洗浄し て 乾燥し て お く),割り ばし ,水,輪ゴ ム ,マ ップ ピン 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 A 液状化 (1) ビー カ ー に 砂1 を入れ,砂全体が漬かる程度に 水を入れる。 (2) 割り ばし で 砂をよくかき 混ぜ,表面をな らし て し ばらく放置す る。砂の表面より 水が多い 場合は水を捨て る。 (3) ビー カ ー に 振動を与え ,表面の様子を観察さ せる。 図 B5-1 砂 と水 を 入 れ たビ ーカー 【説明】一般に 砂粒と 砂粒の間に は,す きま が多い 。河口や港の近くで は地下水 の水位が高く,す きま は水で 満たさ れて い る。このような 地盤に 地震に よ る振動が加わると ,砂粒は水のため簡単に 移動し す きま が少な くな る。 その結果,地面の表面に 水が吹き出す。これを液状化とい う。 B 液状化と噴砂 (1) ペ ットボ トルに 砂2 を入れた 後,水をペ ットボ トル一杯に し て 栓をす る。ペ ット ボ トルをよく振り ,砂と 水をよく混ぜ合わせる。水が濁るようで あ れば,捨て て 新たに 水を入れる。 (2) ペ ットボ トルをよく振り ,振動を与え な い ように 机の上に 置く。砂が沈殿す るま で し ばらく待つ 。 (3) ペ ットボ トルを軽くた た き ,砂の表面を注意深く観察さ せる。 【説明】液状化に より 地表に 砂と水の混合物が吹き出す現象を噴砂とい う。大地 に 残さ れた 噴砂の跡を調査・研究す ること で 過去の地震の状況を詳し く知 ることがで きる。 C 液状化と 浮き上がり 現象 (1) 実験2 で 用い た ペ ットボ トルの中に ,マ ップ ピンを入れる。 (2) ペ ットボ トルをよく振り ,振動を与え な い ように 机の上に 置く。砂が沈殿す る ま で し ばらく待つ 。このと き,マ ップ ピンが砂の中に 埋もれて い ること を確認す る。 (3) ペ ットボ トルを軽くた た き ,マ ップ ピンの様子を注意深く観察さ せる。 図 B5-2 液 状 化 に よ る 浮 き上 が り 【説明】液状化し た砂粒と 水は,あ たかも液体のように 振舞う。砂粒と 水の混合物より 密度が小さ い もの は,浮力を受け 地表に 浮き上がって くる。 3 演 示 の コ ツ P Cに 接続で きるCCDカ メラやプ ロジ ェクター が利用可能で あ れば,ス クリ ー ンに 砂表面の様子を 投影するとより 効果的で あ る。 注意事項 ペットボトルの実験では, 空気が入るとうまくできな い場合がある。 19 B6 雲 の 発 生 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :地 球 の 姿 と大 気 演 示 の ね ら い :空 気 中 に 存 在 す る 水 蒸 気 が , 温 度 ・圧 力 の 条 件 が 変 化 す る こ と に よ り 雲 (水 滴 )が で き る こ と を 理 解 させる。また,地球規模での水の循環やエネルギ ー 循環に 水が果たす 役割を考えさせる。 演 示 に 要 す る 時 間 :3 分 1 準 備 物 及 び材 料 の 入 手 方 法 準 備 物 : 圧 縮 ポ ン プ , ペ ッ ト ボ ト ル ( 3 0 0 m l程 度 の 小 さ い も の が よ い ) , 液 晶 温 度 計 , 水,線香,マ ッチ ☆ 圧縮ポ ンプ は,雑貨店やマ ー ケットで 販売さ れて い る。 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 A 空気の圧縮・膨張に よる気温の変化 (1) 内部をよく洗い 乾燥さ せた ペ ットボ トルに ,液晶温度計を入 れる。 (2) 圧縮ポ ンプ をペ ットボ トルに 取り 付け ,し っかり 栓を閉じ る。 (3) 液晶温度計で ,ペ ットボ トル内部の気温を読み取る。 (4) 圧縮ポ ンプ を20∼30回押し ,液晶温度計で 内部の気温を 読む。 (5) 圧縮ポ ンプ のつ ま みを押し ,ロックを外す 。シ ュ ッと 音がし て ペ ットボ トル内部の空気が抜け る。このとき,液晶温度計 で ,内部の気温を読み取る。 図 B6-1 圧 縮 ポ ン プ 図 B6-2 温 度 計 とペ ットボトル 【説明】空気を圧縮(圧力が高くな る)す ると 空気の温度は上昇 す る(例 : フェー ン現 象,自 転 車の 空気 入 れ,断 熱圧 縮 に よる発 火等 )。逆に ,空 気が 膨張 (圧 力が 低くな る)す ると 気 温は 下が る(や ま せ ,お ろ し ,冷 蔵庫 等 )。 B ペ ットボ トル内部に 雲を作る (1) 実験1 で 用い た ペ ットボ トルに 水を数滴入れる。 (2) 圧縮ポ ンプ をペ ットボ トルに 取り 付け ,し っかり 栓を閉じ る。 (3) 圧縮ポ ンプ を20∼30回押す 。 (4) 圧縮ポ ンプ のつ ま みを押し ,ロックを外す 。シ ュ ッと 音がし て ペ ットボ トル内部の空気が抜け る。このとき,内部の変化 の様子を注意深く観察さ せる。 図 B6-3 装 置 の 様 子 【説明】空気中に は水蒸気(水)が含ま れて い る。(断熱)膨張 に より,急激に 気温を下げると,空気中に 水蒸気とし て存在できなくなった水が,細かな水滴となって雲を 形成する。 3 演 示 の コ ツ 図 B6-4 発 生 した雲 実 験 B で 雲 が う ま く作 れ な い 場 合 は , 線 香 の 煙 を 凝 結 核 と し て 入 れ る と よ い ( ほ ん の 少 し で よ い , 入 れ す ぎ る と 雲 と 区 別 が つ か な くな る ) 。 このグラフは空気 1.0m3中に含むことの できる水蒸気量を, g単位で表したもの である。30℃の空気 を20℃まで冷却する と,最大で13gの水 蒸気が水滴となる。 注意事項 傷の付いていない耐圧用 (炭酸飲料用)のペットボト ルを用いる。 20 B7 ア イ ソス タシ ー の モ デ ル 学 習 指 導 要 領 の 内 容 :地 球 の 姿 と大 気 演 示 の ね ら い :モ デ ル 実 験 を 通 し て , ア イ ソ ス タ シ ー (地 殻 均 衡 )の 基 本 原 理 を 理 解 さ せ る 。 こ の 原 理 を 地 殻 と マ ン ト ルに 適用し, 地球内部構造と地表面の凹凸の成因を理解す る助け とす る。 演 示 に 要 す る 時 間 :5 分 1 準 備 物 及 び 材 料 の 入 手 方 法 器具:水槽 材料:長さの異なる木材(8本程度),水,氷 2 実 験 の 演 示 手 順 と生 徒 へ の 説 明 A 密度の違い に よる浮かび方の差 (1) 水槽に 水と 氷を6 分目程度入れ,水温を低くす る。 (2) 木材1 本と 氷を浮かべ,浮かび 方の違い を観察す る。 図 B7-1 氷 と木 材 の 密 度 の 違 い 【説明】密度の違いにより,水面上に 出る体積が違うことを 物体に 作用する浮力と重力の関係から簡単に 説明 す る(詳細はCD 版を参照)。 木材の密度 ρ ρw 水の密度 水 面 に出 る 高 さ h h= 図 B7-2 水 面 上 の 高 さ ρw − ρ ρw L 図 B7-3 水 槽 と木 材 つまり h 密度が小さいと の部分が大きくなる 密度が一定なら, h が大きいと の部分も大きい。 d B 大山脈の構造のモデル実験 (1) 実験Aで 用い た水槽に 長さ の異な る木材8 本を浮かべる。 (2) 浮かび 方の違い を観察す る。 【説明】このモデル実験を基に考える。 地殻(プ レー ト)の密度をほぼ一定と 考え れば,高い 山地のあ る場所ほど 地殻(プ レー ト)が厚い こと が分 かる。 図 B7-4 木 材 の 浮 か び方 の 違 い 注意事項 木片が倒れないよう,木片 の幅に合わせて板などで支え る必要がある。木片の幅に合 わせた水槽をアクリル板など で製作する方法もある。 21 スリット b B4 緑葉が吸収す る光の色(p.17)で使用す る簡 易分光器で す 。 厚手の画用紙かケント紙にコピー して 切り取り,の ぞ き穴とス リットの部分はカッター ナイフで 切れ目を 入れて 抜き取ります 。 内部全面を 黒く塗りつぶして からCDを両面テー プ な どで はり付け,組み立て て ください。 のぞき穴 a CD a b 22 CD版 1 平成15年度高等学校理科指導資料 メ ニ ュ ー画面 ファイルは CD\index.htm 3 2 2 演示実験資料集( 詳細版) 教育用素材集 3 4 動画 ワ ーク シ ート 23 3 教育用素材集 4 動画・ ワーク シ ート 動画の一場面: テ ルミ ッ ト の実験の様子 ワ ー ク シ ー ト の一部( A 5 で 使う 「 電気を 通す 水溶液」 ) 参考U R L ・高等 学校 用 コン テンツ (http://gakuen.gifu-net.ed.jp/ contents/top_koukou.htm) ・実験 ・観 察 クリ ップ集 (http://kids.gakken.co.jp/campus/academy/kobe/frame.html) ・物理 導入 演 示実 験集( http://www.nararika.com/butsuri/enji/dounyumenu.htm) ・イン ター ネ ット 版 化 学の レ シピ −化 学演 示実 験 カード − (http://gakuen.gifu-net.ed.jp/ contents/rika_kagaku/cr000.html) ・雲を つか む よう な話( http://contest.thinkquest.gr.jp/tqj2001/40457/) 平成 15年度高等学校理科指導資料作成委員会 作成委員 犬 飼 秀 夫 岡山県立玉島高等学校 妹 尾 英津子 岡山県立金川高等学校 房 野 和 広 岡山県立倉敷南高等学校 小 網 晴 男 岡山県立岡山芳泉高等学校 なお,岡山県教育センターでは,次の者が本資料作成に当たった。 生 部 昭 光 教科教育部指導主事 水 島 裕 教科教育部指導主事(主査) 西 浩 昭 教科教育部指導主事 星 加 康 昭 教科教育部指導主事 岡山県教育センター 〒703−8278 岡山県岡山市古京町二丁目2番14号 T EL ( 08 6 ) 2 72 - 12 0 5 F A X ( 08 6 ) 2 72 - 12 0 7 パン フ レ ットの内容は,当教育セ ン ター の W eb ペ ー ジ に 掲 載 し て い ま す 。 h ttp :/ /w w w .e du - c.pref .oka y a m a .jp /