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健康シリーズ ⓱ 〜家庭血圧測定のすすめ〜
健康シリーズ ⓱ 〜家庭血圧測定のすすめ〜 (財)ちば県民保健予防財団 角南祐子 1 はじめに 高血圧は、定期健康診断の際に発見される頻度の高い疾患です。高血圧が引き起こす心 血管系の合併症は、医療経済的、社会的にも大きな問題となっています。高血圧の予防・ 早期診断・治療は、高齢化の進む日本でも大きな課題と言えましょう。 2 家庭での血圧測定について 最近、起床時の血圧が高くても昼間の血 家庭で血圧を測定する際のポイント 圧は正常な早期高血圧者がいることがわ ①1 日朝夜2回、朝は起床後1時間以 かってきました。診察時の血圧は問題ない 内、夜は就寝前に毎日できるだけ同 ため、見過ごされていることが多く、医療 じ時刻に測定する。 機関の方でも家庭血圧を測定するように積 ②朝 は、排尿を済ませ、朝食や薬を飲 極的に勧めるようになってきています。 む前に測定する。 一般に家庭血圧は、医療機関での血圧 ③夜 は、夕食・入浴・排尿を済ませ、 値よりも収縮期血圧で10 ~ 15mmHg、拡 薬を飲んでから測定する。 張期血圧で5 ~10mmHg低い値を示します ④ 安静にしてすわって測定する。 ので、測定の際に参考にしてください。早 期高血圧や家庭血圧での高血圧診断の基 準はm135/80mmHg以上とされています。 現在は精度の良い家庭用血圧計が、手軽に入手できる時代になってきていますので、特 に血圧の高い方は、家庭用血圧計をご用意し、家庭での血圧測定をお勧めします。 2009年版高血圧治療ガイドラインの降圧目標値を表1にお示しします。 表1 降圧目標 診察室血圧 家庭血圧 若年者・中年者 130/85mmHg 未満 125/80mmHg 未満 高齢者 140/90mmHg 未満 135/85mmHg 未満 130/80mmHg 未満 125/75mmHg 未満 140/90mmHg 未満 135/85mmHg 未満 糖尿病患者 慢性腎臓病 心筋梗塞後患者 脳血管障害患者 注:診察室血圧と家庭血圧の目標値の差は、診察室血圧140/90mmHg、家庭血圧135/85mmHgが 高血圧の診断基準であることから、この二者の差を単純にあてはめたものである。 3 おわりに 高血圧は、軽症のうちは症状もないので、健診等で高血圧の治療や生活習慣の改善を勧 められても、ついおっくうで医者にかからないまま過ごしがちです。 脳卒中や心臓病などの合併症が発症してからでは遅く、早めに何らかの手段で血圧をコ ントロールすることが大事です。今の時代、家庭用血圧計は、体重計と同様、自分の健康 状態を把握するための手軽で有用な手段です。 一家に一台、職場に一台、血圧計を備えてこまめに血圧を測ってみましょう。 8