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活 動 報 告 - 廃棄物資源循環学会
第19回廃棄物学会研究発表会 小集会 リサイクルシステム技術研究部会 活 動 報 告 2008年11月21日 (株)エックス都市研究所 秦 三和子 1 バイオマスの種類と特性 バイオマスとは ○ 再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの。 ○ 太陽のエネルギーを使って生物が合成したものであり、生命と太陽がある限り、枯渇 しない資源。 ○ 焼却等しても大気中の二酸化炭素を増加させない、カーボンニュートラルな資源。 バイオマスの種類 廃棄物系バイオマス 未利用バイオマス 家畜排せつ物 食品廃棄物 稲わら、 もみ殻 麦わら 間伐材、林地残材等 資源作物 下水汚泥 黒液 製材工場残材、 建築廃材 糖質資源(さとうきび、てん菜 等) でんぷん資源(コメ、トウモロコシ 等) 油脂資源(菜種、大豆等) 出所 農林水産省資料 2 バイオマスに関する近年の施策 ■京都議定書目標達成計画(2005年4月閣議決定) 2010年度におけるバイオマス熱利用は原油換算で308万klの導入を見込む。 3 第11 回総合エネルギー調査会新エネルギー部会資料,2005年 バイオマスに関する近年の施策 ■新・国家エネルギー戦略(2006年5月経済産業商) ・短期的取組みの中で運輸部門の燃料多様化(バイオマス由来燃料やGTL (ガス・トゥ・リキッド)等の新燃料を既存の石油系燃料に混合) ■経済成長戦略大綱(2006年7月財政・経済一体改革会議) ・「資源・エネルギー政策の戦略的展開」のひとつとして「運輸エネルギーの 次世代化」が挙げられており、2030年までに運輸エネルギーの石油依存度を 80%程度とすることが目標として掲げられている。 ■エネルギー基本計画(2007年3月経済産業省) ・輸送部門のエネルギー多様化を推進するための取組のひとつとして、バイオ マス由来燃料の導入に向けた取組を推進 4 バイオマス・ニッポン総合戦略の概要 H20.9末現在159市町村 1府6省※ により構成される「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議」を設置 5 ※内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省 我が国のバイオマス賦存量・利用率(2007) 家畜排せつ物 約8,700万t たい肥等への利用 約90% 未利用 約10% 下水汚泥 約8,000万t 廃 棄 物 系 バ イ オ マ ス 建築資材・たい肥等への利用 約70% 黒液 約7,000万t 廃棄紙 約3,700万t 未利用 約30% エネルギーへの利用 約100% 素材原料、エネルギー等への利用 約60% 食品廃棄物 約2,000万t 未利用 約40% 未利用 約75% 肥飼料等への利用 約25% 製材工場等残材 約440万t 製紙原料、エネルギー等への利用 約95% 未利用 約5% 農作物非食用部 約1,400万t バ イ 未 オ 利 マ 用 ス 製紙原料、家畜敷料等への利用 約70% 建設発生木材 約470万t 未利用 約30% 未利用 約70% たい肥、飼料、家畜敷料等への利用 約30% 林地残材 約350万t ほとんど利用なし 製紙原料等への利用 約2% 出所 農林水産省資料 森林バイオマスの生産・利用の流れ 余剰分 木質バイオマスの発生量と利用の状況 ○ 近年、エネルギーとしての利用が増加するとともに、製品の原料として利用する取組も進んでい ○ 近年、エネルギーとしての利用が増加するとともに、製品の原料として利用する取組も進んでい る。しかしながら、間伐材を含む林地残材については、収集・運搬コストがかかることからほとんど る。しかしながら、間伐材を含む林地残材については、収集・運搬コストがかかることからほとんど が利用されておらず、木質バイオマス発生量の半分近くが利用されていない状況。 が利用されておらず、木質バイオマス発生量の半分近くが利用されていない状況。 エネルギー利用 発生場所別 木質資源量 マテリアル利用 (単位:万m3) 林地残材 860 製材工場等残材 1,080 建設発生木材 1,180 (利用率:99%) (利用率:94%) (利用率:69%) (3,120万m3) 850 230 630 790 10 利用状況別 未利用 60 370 180 エネルギー利用 マテリアル利用 未利用 860 (28%) 980 (31%) 1,280(41%) (資料)林野庁「木材需給表」 農林水産省「農林水産統計(木質バイオマス利用実態調査(平成17年))」 国土交通省「平成17年度建設副産物実態調査」、(財)日本住宅・木材技術センター 報告書等により林野庁で推計。 出所:平成19年度栃木県バイオマス発見・活用促進セミナー 林野庁講演資料 http://www.kanto-biomass.com/post-31-2/seminar/69 森林バイオマスを巡る動向 「根元から梢まで」木質バイオマスの総合利用の推進に焦点 近年は原油価格高騰に対応した代替燃料開拓やCO2排出抑制の ための直接燃焼、ガス化、加水分解・発酵等の導入・研究が盛ん 木質ペレット生産も増加 事業化段階 [製材工場・ボード工場等の熱源・電源等] 技術開発段階 [PB、FB] ボード原料 チップ燃料 木粉[ 混練プラスチック ] ガス化 水素、メタノール ペレット燃料 パルプ チップ等 [家庭用燃料等] BTL(液体燃料)・ブリケット キノコ培地 リグニン利用 接着剤、生分解性プラスチッ ク、塗料、炭素電極等 敷料・粗飼料 セルロース等の利用 炭・木酢液 抽出成分利用 [ 防虫剤、化粧品等 ] [バイオエタノール] [生分解性プラスチック] E3ガソリン ETBE 出所 林野庁資料 平成20年度の部会開催概要 第1回(4月24日) 勉強会「バイオマス利活用の現状と今後」 担当:㈱エックス都市研究所 秦 三和子 第2回(6月6日) 講演「千葉県におけるバイオマス利活用の 現状と課題」 講師:千葉県環境生活部資源循環推進課 西野文智氏 第3回(7月18日) 見学会 市原グリーン電力㈱(木質バイオマス発電) ジャパンリサイクル㈱(食品残渣バイオガス化) 第4回(8月22日) 講演「熱化学的手法によるバイオマス転換」 講師:産業総合研究所 小木知子氏 第5回(9月30日) 講演「バイオマスからの液体燃料の製造」 講師:東京大学大学院 横山伸也氏 第6回(10月24日) 講演「森林由来のバイオマス資源利用に関する現状」 講師:㈱DCMC 中村裕幸氏 事例紹介「岡山木質系炭化施設の紹介」 講師:JFEエンジニアリング㈱ 山口安幸氏 事例紹介「建設発生木材の分別・リサイクル」 講師:㈱タケエイ 岡島壮介氏 木質バイオマスの利活用システム(研究総括) 収集運搬システム 法 制 度 経済性評価 事業化シナリオ チップ化 木質ペレット製造・ 流通システム 木質バイオ マスの利活用 を進める ために… 木質バイオマス発電システム ガス化コージェネレーションによる電熱併給 システム ガス化・間接液化(メタノール、DME等)に よる燃料製造・利用システム 直接液化・BDF・発酵等による燃料製造・ 利用システム ペレットボイラーによる分散型熱利用/ 公共施設冷暖房・熱利用システム 既設石炭炊きボイラーを有する事業所での 石炭混焼システム 地域循環利用 LCA評価 製材所等での木材乾燥用熱源利用 マテリアル利用システム(樹脂・炭素繊維・飼料・肥料等) 11 木質バイオマスの利活用を進めるために • 低コスト収集運搬技術の開発・導入 • 持続可能な生産・利用技術の確立 • 地域住民・消費者(最終ユーザー)の巻き込み • 森林バイオマス利用に関する様々な価値の創出 による事業性の確保 林業振興から素材生産、エネルギー利用までの トータルな地域システムの構築か必要 12