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宇宙論・構造形成の長期展望
宇宙論・構造形成の長期展望 大栗 真宗 (東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構) 2013/8/6 光赤天連シンポジウム @ NAOJ 宇宙論・構造形成の重要問題 • 加速膨張の起源 暗黒エネルギー or 修正重力? • 暗黒物質の性質 無衝突冷たい暗黒物質仮説はどこまで正しいか? • インフレーション 本当にあった? Bモードゆらぎ? 非ガウス性? • ニュートリノの性質 質量? 階層? 世代数? ここ一年の進展:プランク衛星 • 2009年5月打ち上げ • 宇宙背景放射の全天 観測 • 2013年3月温度ゆ らぎマップ及び 最初の宇宙論結果 公開! Planck webpage 温度揺らぎパワースペクトル Planck webpage プランクの結果:ビフォアアフター Planck webpage • 宇宙論の標準モデル (ΛCDM) と非常によく合う • 宇宙論パラメータの値がなぜか結構変わった、 そのため新たな「問題」が浮上 osmological parameters ハッブル定数 Planck collaboration, arXiv:1303.5076 • プランクと直接測定 との間に矛盾の兆候 (~2σ) • プランク測定はモデ ルを仮定した間接測 定であることに注意 Disagreement in the density fluctuations, or? Mismatch with Planck + BAO is profoun 近傍のゆらぎ測定との矛盾 10−6 ck+ Planck Pl BA O Planck cos mo φφ log A L factor ~2-3! y 10−7 10−8 10−9 Planck 20 Planck AφφL zPl= 0.025 − 0.25 ×2.5 15 N N(>M), h−3 Mpc−3 10−5 N( M) for Pla n σ8 (ΩM/0.31)–0.5 / σ8,Pl by A.Vikhlinin (CfA) z = 0.025 − 0.25 銀河団の数密度 14 V09, clusters +everything 15 10 10 M500 , h−1 M" 10 WL sheer in CFHTLenS Kilbinger et al. ’12 5 V09, 密度ゆらぎの low-z clusters 大きさの相対比較 0 1014 1015 M500 , h−1 M" • 銀河団、重力レンズによる近傍宇宙のゆらぎの 測定と大きく矛盾 (~3-4σ) プランクの結果:まとめ • プランクの結果は標準的なΛCDMモデルで 非常に良く説明できる • しかしながら近傍宇宙でのハッブル定数や ゆらぎの観測と矛盾の兆候 (new physics!?) • 光赤外観測による近傍宇宙の距離やゆらぎの 精密測定がますます重要! 宇宙論・構造形成の長期展望 • 主に二つのアプローチ • サーベイ宇宙論 広視野、大規模サーベイによる大統計研究 • 稀少天体宇宙論 レアイベントを上手く利用した宇宙論研究 サーベイ宇宙論 • 宇宙論 = 平均的な宇宙の構造・進化の研究 • よって宇宙論では大規模サーベイは本質的 • 例:銀河相関関数、弱い重力レンズ、バリオン 音響振動、銀河団計数、、、 simulated by glafic 重力レンズ 重力レンズなし 中心に重力レンズ源 Hyper Suprime-Cam! 圧倒的世界No.1 のサーベイ性能 Subaru webpage 2020年でも競争 力のある装置 Oguri et al. MNRAS, 420, 3213 (2012) 統計の威力:スタック弱重力レンズ • 25個の銀河団の弱い 重力レンズ測定(すば るS-cam) をスタック • ΛCDMで予言されて いた特徴的な動径密 度プロファイル、大 きな非球対称性を高 精度で検出・確認 将来のスタック弱重力レンズ • Hyper Suprime-Camと Dark Energy Surveyの 銀河団スタック弱 重力レンズS/Nを比較 • z~1.4までS/N>10で 重力レンズ信号検出、 質量較正した銀河団 計数宇宙論が可能 from HSC SSP proposal [also Oguri & Takada, PRD, 83, 023008 (2011)] Higuchi, Oguri & Hamana MNRAS, 432, 1021 (2013) ボイドによる弱重力レンズ γ+>0 γ+<0 halo void (δρ/ρ ~ 200) (δρ/ρ ~ −1) • 分光銀河分布から検出したボイドのスタック弱重力 レンズによりボイドの質量分布を直接測定できる 構造形成理論 (e.g., 修正重力) の新しいテスト θ [arcmin] 0 01 02 02 00 25 • ~1000 0 0 2 deg r [Mpc] 0 10 20 30 40 0.0002 30<R<35 [Mpc] 30 銀河サンプルでボイド 検出、HSC等の重力 レンズ測定 00 03 期待されるシグナル • SDSS/BOSS等の分光 r [Mpc] 5 10 15 20 25<R<30 [Mpc] & Hamana (2013) 0 10 MNRAS, 20 30 40 432, 50 601021 70 80 90 θ [arcmin] では信号 10 20 30 40 50 60 70 80 90 検出がやっと、もっと θ [arcmin] 広視野 (>5000 deg2) で ボイドの「質量関数」 r [Mpc] 10 20 30 40 50 60 の直接測定・検証 tangential shear 01 0 10 20 30 40 50 60 70Higuchi, 80 90 Oguri 50 60 0.0000 -0.0002 -0.0004 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 θ [arcmin] [5000deg2 の場合] 0.0005 35<R<40 [Mpc] ear 03 -0.0002 0.0003 0 r [Mpc] 10 20 30 40 40<R<45 [Mpc] 50 60 2020年代の広視野撮像サーベイ 住 さん 講演 山田 さん 講演 • LSST (米, 8.4m) • Euclid (欧, 1.2m宇宙) 日本 参加?? • WFIRST (米, 2.4m宇宙) • WISH (日, 1.5m宇宙) WISH • HSC SSP++(?) (日, 8.2m) • Pan-STARRS4 (?) (米, 2m×4) 1.5m 100K ~ 850 • ... 15 m Suprime Cam 28 日本の戦略? (0.1551/18 m pix ~ 90 100K, 100 1.5 m ~40 50K SE L2 HIIA バリオン音響振動 (BAO) • 晴れ上がり前の 光子とバリオン の音波振動 • 銀河分布のパワ ースペクトルに その痕跡 • 振動のスケール を「ものさし」 として宇宙膨張 を精密測定 from BOSS webpage バリオン音響振動の観測 L. Anderson et al. ゆらぎパワースペクトル 14 Anderson et al. (2012) Planck webpage 波数 CMB@z=1090 Figure 8. The CMASS DR9 power spectra before (left) and after (right) reconstruction with the best-fit models overplotted. The vertical dotted lines show the range of scales fitted (0.02 < k < 0.3 h Mpc 1 ), and the inset shows the BAO within this k-range, determined by dividing both model and data by the p best-fit model calculated (including window function convolution) with no BAO. Error bars indicate Cii for the power spectrum and the rms error calculated from fitting BAO to the 600 mocks in the inset (see Section 4.2 for details). 銀河分布@z=0.57 • ダークマターの存在のため銀河分布の音響振動は an estimate of the “redshift-space” power, binned into bins in k of width 0.04 h Mpc 1 . 6.2 the power of the window function is smooth), and so can be absorbed into the smooth component of the fit, and we therefore do not explicitly include this term in our fits. To model the overall shape of the galaxy clustering power spectrum we use a cubic spline (Press et al. 1992), with nine nodes なまってしまい小さい Fitting the power spectrum 観測が大変 Kim, Padmanabhan, et al. (2013) 国際競争 • 2015年−2020年 − PFS (日, 8.2m) 高田さん 講演 − eBOSS (米, 2.5m) − HETDEX (米,9.2m) • 2020年− − Euclid (欧, 1.2m宇宙) − WFIRST (米, 2.4m宇宙) − MS-DESI (米, 4m) (↑BigBOSS+DESpec) 稀少天体宇宙論 • 希少な天体・天文現象をうまく利用することで 普通では得られない貴重な情報が得られる • しかしそもそも稀少天体を見つけるために 大規模サーベイが必要、その後詳しい追観測 • 例:(Ia型超新星)、強い重力レンズ、メーザー、 ガンマ線バースト、重力波、遠方銀河、、、 例:重力レンズ時間の遅れ • 距離スケール (H0) の直接測定が可能 H0 = 68 ± 6 ± 8 km/s/Mpc (16 lenses, Oguri 2007) H0 = 70.6 ± 3.1 km/s/Mpc (1 lens, Suyu et al. 2010) H0 = 78.7 ± 4.4 km/s/Mpc (1 lens, Suyu et al. 2013) image A ΔtAB=ΔtA−ΔtB ΔtA source ΔtB image B 時間の遅れの測定 Tewes et al.: COSMOGRAIL XIII – Time delays of RX J1131 1231 B D A C 長期モニター 観測による像 の明るさ変動 (根気、、、) Tewes et al. (2013) Fig. 4. Optical monitoring of RX J1131 1231, as obtained from deconvolution photometry. From top to bottom are shown the R- ノイズ:視線方向の密度ゆらぎ ノイズ:視線方向の密度ゆらぎ =1 dPs/dln (1+!) 10 10 zs=3 0 z 視線方向に積分した 視線方向に積分した 密度ゆらぎPDF 密度ゆらぎPDF (Takahashi (Takahashiet etal. al.2011) 2011) 10 10 −2 0.7 1 1+! 1.5 0.7 密度ゆらぎにより希少天体への特定の方向の距離 •• 密度ゆらぎにより希少天体への特定の方向の距離 と平均の距離の間にずれがでる と平均の距離の間にずれがでる この効果は多くの重力レンズ系を組み合わせるこ •• この効果は多くの重力レンズ系を組み合わせるこ とで軽減できる とで軽減できる 稀少天体を多く集める必要 稀少天体を多く集める必要 時間の遅れ:必要な要素 • 大規模サーベイによる宇宙論に適したクエーサー (超新星?) 重力レンズ系の発見 HSC, PFS, GLAO, WISH, (Euclid/WFIRST), (LSST), ... • 高解像度撮像分光観測による像の配置、銀河 (含 クエーサー母銀河)、速度分散etcの決定 TMT, SPICA, LGS-AO(?), ... • 長期モニター観測による時間の遅れの精確測定 中小口径望遠鏡 Almost everything! まとめ:宇宙論・構造形成 広視野サーベイ装置 HSC, PFS, (Euclid), ... 発見 稀少天体 サンプル フォローアップ 高感度高解像度装置 TMT, SPICA, ... 供給 広視野天体 サンプル 統計解析 詳細 解析 宇宙論 フォローアップ 中小口径 望遠鏡