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卯之町重伝建だより4月号(1.12MBytes)
シリーズ・ 屋 敷 のみだしなみ ⑥卯 之 町 7 区 ヤマミ醤 油 さんの桜 中町通りの中心につながる商店街からの坂道 に、70 年以上前から醸造業を営む宇和ヤマミ醤油 町並みの雰囲気を壊してはいけないと思われての ことです。 さんがあります。通り沿いのメートルに及ぶ長い 近隣の皆さんは、毎年この可憐な桜を楽しみに 木造の蔵は大正期、奥の蔵は明治期後半に建てら しています。卯之町に訪れた方も足を止めて見入 れたものです。清澤屋(末光家)が所有していた っていらっしゃいます。町行く人の癒しになるよ 時には、これらの蔵で酒造りも行われていたそう うにと、佇まいのあり方を考えてこられた三好さ です。この大きな蔵は、米どころ宇和の在郷町卯 んのおもてなしの心に感銘を受けました。 卯之町 重伝建 要な保存物件です。 を植えられていますが、ちょうど見頃を迎えてい ます。ヤマミ醤油、三好君枝さんの奈良にいらっ 4 月号 だより⑫ 3 月 16 日(日)13時15分から教育保健セ 続いて、西予市役所職員の自主学習グループ ンター4階大ホールにて、市主催による「町並 「卯之町開拓団」が実施した卯之町の景観実態 みづくりシンポジウム 調査の報告を行いました。空き地、生垣、木塀、 暮らしと観光を考え ブロック塀、看板などの位置や数を記録し、そ る」が開催されました。 しゃるお姉様が、丈夫なケイオウザクラを挿し木 発行・編集/宇和先哲記念館 (西予市役所産業建設部 商工観光課 町並み保存係) 〒797-0015 愛媛県西予市宇和町 卯之町四丁目 327 番地 電話:(0894)62-6700 FAX:(0894)62-6701 e-mail:[email protected] 暮 らしと観 光 を考 えるシンポジウムを 開 催 しました 之町で醸造業、酒造業が栄えたことをあらわす重 通り沿いの蔵の前には2メートルほどの桜の木 平成 26 年 3 月 20 日発行 基調講演の講師は立教大学 観光学部兼任講 の中で卯之町らしい美しい景観とはという考 師、株式会社 JTB 総合研究所顧問、観光地域づ 察が発表されました。樹木や生垣や石積み、板 始めた壁板の目隠しにと、7,8年前からできる くりプラットフォーム推進機構会長の清水愼一 塀等緑や自然素材の大切さを主張し、設置を推 範囲の工夫でと、景観に配慮した取り組みをして 先生にお越しいただきました。ご自身が手掛け 奨する補助制度を創設することを市へ提言し られた日本各地の観光振興の取り組みを紹介し ました。また、駐車場等への植樹や、電線を消 ていただきながら、今までの観光の問題点やこ すなど加工を施したシミュレーション画像も れからの観光のあるべき姿についてお話しくだ 提示され、具体的な改善案も分かりやすく伝え さいました。 られたのではないでしょうか。 して送ってくださったそうです。少し傷みが見え いただいております。また、桜を選ばれたのは、 ↑花見に甘酒はいかが? 先哲記念館 ・2階企画展示室(要入館料) お 知 ら せ 3/30 まで 「 イネと弟ハインリッヒ 」展 10/19 のスタートから2千人近くのお客様にご覧いただき、「イネにはこん な異母弟がいたのか。とてもよかった。」と好評をいただいています。会期が あとわずかです。まだご覧になってない方はこの機会にぜひお越しください! ・1階市民ギャラリー(無料) 3/19~3/23 特別支援学校生徒作品展 3/26~4/10 篠藤牧心 水墨画展 4/16~4/30 井関政一 書道作品展「百人一首」 民具館 ・企画展示室(要入館料) 「たまげた!懐かし昭和の部屋」 ・4/6(日)午後2時から3時ごろまで「うたいま唱歌」 旧末光家住宅一般公開 (毎月第一日曜) ・4/6(日)午後1時半から午後 3 時まで 午後1時半からミニ講座「卯之町と参勤交代」 愛媛県文化財保護指導員の清水真一先生によるお話です 文化の里休憩所軒先市 (毎月第一日曜) ・4/6(日)午前 10 時から午後 2 時ごろまで 民具館米博物館合同企画 ・4/3 まで 「宇和の雛めぐり」 好評開催中!お見逃しなく 編 集 後 記 : 卯 之 町 重 伝 建 だ よ り を 作 成 し 始 め 重伝建制度について、今後も皆様に伝えていければと て か ら はや1年が経ちます。ご愛読ありがとうござい 思います。どうぞ、来年度もよろしくお願いいたしま (木下) ます。まだまだ未熟なたよりですが、町並み保存、や す。 ④ ・まちづくりを進めていくうえで、住民、行政、 最後は、元湯布院観光総合事務所事務局長で 関係団体、すべてが集まり、全体的に議論し 愛媛大学法文学部講師の米田先生をコーディ 合意形成をはからなければならない ネータにお迎えしてのパネルディスカッショ ・まがいものではなく本物を残していくことが 大切 ンでした。パネラーは講師の清水先生、内子町 の町並み保存や卯之町でも鳥居門・御成門等文 ・住民が子の代、孫の代まで生計を立てられる 仕組みを作らなくてはならない 化財の修理を手がけられた建築士の永見進夫 さん、卯之町にお住まいで町並み保存会や郷土 ・観光客はその土地の人との触れ合いを求めて 文化保存会で活躍されている中村勇人さんの いる“暮らすように旅する” お三方でした。ここでは、首長とは別の存在で 等、今まさに私たちが取り組まなければなら まちづくりを牽引していくリーダーの必要性 も語られました。 ない問題の多さにも気づかされました。 紹 介 さ れ る 清 水 先 生 ↓ 会 場 の 様 子 ↓ 写 真 を 交 え 事 例 を ① とりいもん おなりもん 鳥 居 門 ・ 御 成 門 の 工 事 が 完 了 し ま し た ! ( パ ー ト 1) 第4回町並みサロン ~昭和のくらし博物館小林さんを招いて~を開催しました 8 月から始まった市指定有形文化財の鳥居門、 さんの技術の結晶です。伝統工法での工事なら 御成門の修理・修景工事も3月上旬で完了しまし ではの難題も多くありました。工事に携わって た。4 月から一般公開する予定です。この文化財 いただいた皆さんを何号かにわたってご紹介い 池田屋にて、卯之町町並み保存会主催による 講座の企画などに、地域の住民や子供達、博 のために様々な分野の専門家の方が集結してく たします。職人の皆さん、いい仕事を本当にあ 第4回目の町並みサロンが開催されました。 物館を訪れてファンになった方が、活躍の場 ださり、工事にあたっていただきました。職人 りがとうございました! 今回は東京都大田区にある「昭和のくらし を求めるように携わっているそうです。小林 博物館」で学芸員として活躍されている小林 さんがスライド紹介してくださったボランテ こずえさんにお話を伺いました。昭和のくら ィアの皆さんは皆生き生きされていました。 し博物館は生活史研究家の小泉和子氏が個人 博物館は見学施設のみでなく、地域の人の で運営されている民間の博物館です。小泉さ 生涯学習に寄与すべきこと、そのための仕組 んの自宅を家財道具そのまま使える状態で残 みづくりを職員がしっかり担うことの大切さ し、時には実際に使用しながら昭和の暮らし を学びました。 ★大工棟梁 永田喜秋さん★ 永 田 さ んは肱 川 出 身 の大 工 さん です。 今 ま でに 松 山 城 や、 卯 之 町 の 旧 末 光 家 住 宅 等 、 文 化 財 の修 理 を 多 く手 掛 けられ、この分 野 で は誰 もが認 める素 晴 らしい職 人 さんです。愛 弟 子 の西 原 さんは、「永 田 さんは妥 協 を許 さ ない、そして発 想 が豊 かな方 」だと教 えてくだ さいました。西 原 さんも10代 の頃 から大 工 を 目 指 し、今 は永 田 さんの右 腕 として働 いてい らっしゃ います。文 化 財 や伝 統 工 法 へ強 い信 念 をお持 ちのお二 人 に携 わっていただき、誇 りに思 いました。 ●困難だった点は? ・構 造 的 には難 しくはないが、柱 などがはじめ からずれて建 てられていたため寸 法 どおりにい かず、再 び組 み立 てる ときに 寸 法 を 合 わせる の が大 変 だった。 ● こだわった点、見てほしいところは? (保存係推薦も含む!) ・古 い材 と新 しい材 を 継 いだ部 分 ・自 然 素 材 のみで作 った塗 料 を塗 った所 (新 し い材 を 古 い材 の色 にあわせています) げ ぎ ょ ・美 しい彫 刻 の 懸 魚 (屋 根 の妻 面 の飾 り) ・和 釘 (全 国 の文 化 財 で使 われる、松 山 の名 紹介してくださいました。掃除やチラシ作り、 3月10日(月)19 時からギャラリー喫茶 ぶりそのものを伝えています。 (冬には火鉢を 1 ペ ー ジ 炊いたり、洗濯板での洗濯、足踏みミシンな ど)さらに、学びを深められる体験講座や専 門家を招いての勉強会も多く催されていま しらたかゆきのり 工 白 鷹 幸 伯 さんが鍛 えたもの) 永田さん ★左官 の 新 し い も の 。 左は鳥居門解体時に抜いた古い 和釘。抜く際に曲った。外は錆 懸魚:上品な彫刻 びても中は新品同様。打ち直 がはえる せばまた使える。 西原さん 大徳善高さん★ た た 右 は 白 鷹 さ ん 作 き 土 壁 や漆 喰 、三和土 を手 掛 けてくださ ったのは大 徳 さん(野 村 町 )です。鳥 居 門 御 成 門 のために 、 高 度 な伝 統 工 法 を 熱 心 に研 究 しながら取 り組 んで下 さいました。 漆 喰 や三 和 土 の材 料 を納 得 できるまで、 何 度 も 何 度 も配 合 して 下 さっていたの も覚 えて いま す 。 「 大 変 だ っ たが 、い い 勉 強 を さ せてもらった」と、笑 顔 で話 してくださった大 徳 さん。この技 術 を今 後 も活 かしていただ きたいです。 ●困難だった点は? ・ すべ て! 現 代 はハウ スメ ー カの 簡 単 な 工 法 ばかりが普 及 しているため、職 人 の勘 や手 の感 覚 がたよりの伝 統 工 法 は難 しか った。 て い る 。 ② が 分 か る よ う に な っ か ら 漆 喰 ま で 壁 の 層 の 作 者 も 大 徳 さ ん で す 。 像 「 ビ ッ グ ミ ル ち ゃ ん 」 野 村 ダ ム の 大 き な 牛 の ル 。 竹 木 舞 ( エ ツ リ ) い た だ い た サ ン プ の と 一 緒 に 作 成 し て ↓ 鳥 居 門 の 壁 を 作 る す。 小林さんは、こういった博物館自体の活動 のほか、友の会やボランティアによる活動も ↓ 小 林 さ ん の ス ラ イ ド の 第 2回 旧 武 蔵 保 存 活 用 検 討 委 員 会 が開 催 されました 3月11日(火)13時半から中町集会所に います。旧武蔵ではかまどでの炊飯等、主に て、第2回旧武蔵保存活用検討委員会が開催 子供たちが昔の食生活が体験できるような活 されました。平成23年度に市が買収した保 用方法を検討しています。委員会には入札に 存地区内、卯之町8区の町家の修理方法や、 より設計監理を担当してくださることとなっ 活用方法について議論するための委員会で た酒井設計の建築士酒井さんにもお越しいた す。第1回は12月に開催しております。委 だき、活用するなかで室内をどのような間取 員は大阪市立大学名誉教授谷直樹先生の他、 りにすればよいかなど、建築的な視点からも 郷土文化保存会、卯之町町並み保存会、地域 助言いただきました。有意義な施設となるよ 住民の方より計7名の方にご協力いただいて う、ますます議論を深めていきたいです。 い「↓ た武宴 。蔵会 席場 」だ とっ 呼た ば町 れ家 ては 建 造 と さ れ る 。 ③ 時 代 末 期 か ら 明 治 初 期 ↓ 内 部 。 旧 武 蔵 は 江 戸