...

第3章 農村の活性化に向けた取組

by user

on
Category: Documents
8

views

Report

Comments

Transcript

第3章 農村の活性化に向けた取組
第3章 農村の活性化に向けた取組
人口減少・高齢化等が続く農村地域の動向を踏まえ、地域活性化や集落機能・地域資源維持、都市農業
の振興、都市と農村の交流、人材育成、
「食と地域の「絆」づくり」の必要性について記述。
(1)農村地域と農業集落の現状
○ 都道府県別人口増減率
平成 17(2005)年から平成 22(2010)年の人口動向を都道府県別にみると、9都府県で人口が増加して
いる一方、地方圏の県では、人口の減少が加速し、秋田県、青森県、高知県等では特に減少率が大きい状
況。
%
4.0
平成12(2000)年
から17(2005)年
2.0
0.0
-2.0
平成17(2005)年
から22(2010)年
人口増加
平成17(2005)年
から22(2010)年
人口減少
平成17(2005)年
から22(2010)年
-4.0
秋田
青森
高知
岩手
山形
長崎
島根
和歌山
鳥取
福島
徳島
山口
鹿児島
愛媛
山梨
新潟
北海道
長野
佐賀
福井
富山
香川
宮崎
奈良
熊本
岐阜
大分
群馬
静岡
三重
岡山
広島
宮城
栃木
京都
石川
茨城
兵庫
福岡
大阪
埼玉
愛知
滋賀
沖縄
千葉
神奈川
東京
-6.0
資料:総務省「平成 22 年国勢調査 人口速報集計結果」
(平成 23(2011)年2月公表)
○ 農村で生活するうえで困ること、不安なこと
農村における人口減少・高齢化のなかで、農業者が生活するうえで困ること等は、耕作放棄地、農地の
手入れ、鳥獣被害、働き口、救急医療機関等の問題。こうしたなかで、農村において集落機能が低下した
り、無住化が危惧される集落も存在。
1位
3位 4位 5位
2位
付近に耕作放棄地が増加してきたこ
付近に耕作放棄地が増加してき
と
たこと
735
農地の手入れが十分にできない
農地の手入れが十分にできないこと
こと
サル、イノシシ、クマなどの獣が現
サル、イノシシ、クマなどの獣
れること が現れること
652
598
近くに働き口がないこと
565
救急医療機関が遠く搬送に時間がか
救急医療機関が遠く搬送に時間
かること がかかること
347
近くで食料や日常品を買えない
近くで食料や日常品を買えないこと
こと
住宅周辺の耕作放棄地の様子
315
子どもの学校が遠いこと
274
人
0
200
400
600
800
資料:農林水産省「食料・農業・農村及び水産資源の持続的利用に関する意識・意向調査」
(平成 23(2011)年5月公表)
注:1)農業者モニター2千人を対象としたアンケート調査(回収率 81.4%)
2)これから先(10 年程度先まで)
、農村で生活する上で困ること、不安なことについて、順位をつけて5つまで選択。グラフの数値は、各項
目において 1~5位の順位で選択した人数を単純に積み上げたもの
25
○ 消費者からみた農村の現状
消費者からみても、農業・農村の現状について、
「荒れた農地や空き家等が目立つ」とする者が全国平
均で 29%。特に東北、中国・四国、九州でその割合が高い状況。
全国
北海道
28.6
40.0
11.1
東北
50.0
37.1
24.3
北陸
16.9
近畿
25.7
九州
沖縄 5.3
農業や農業関連の事業が
盛んで、活気づいている
16.8
34.1
20
よくわからない
13.2
38.2
36.8
0
20.9
37.4
38.2
新たに工場やスーパー等
ができ、活気づいている
11.9
35.2
43.4
あまり変わっている印象
がない
13.5
50.8
25.3
中国・四国
6.7
42.6
東海
荒れた農地や空き家等が
目立つ
9.3
42.7
関東
13.4
10.4
無回答
15.8 10.5
40
60
%
80
100
資料:農林水産省「食料・農業・農村及び水産資源の持続的利用に関する意識・意向調査」
(平成 23(2011)年5月公表)
注:1)消費者モニター1,800 人を対象としたアンケート調査(回収率 90.3%)
2)三大都市圏特定市、政令指定都市、県庁所在地以外に住む人、又は帰省先が三大都市圏特定市、政令指定都市、
県庁所在地以外の人(1,166)人を対象とした設問
3)関東は山梨県、長野県、静岡県を含む。
○ 農業集落の維持に関する都市住民の意向
○ 野生鳥獣による農産物被害状況の推移
都市住民の多くは、中山間地域を中心として維持
が難しくなっている集落について「守っていくべ
き」との意識をもっており、農業集落の維持・活性
化のための取組を今後さらに進めていく必要。
野生鳥獣による農作物被害額は全国で 200 億円
程度で推移しているが、獣類を中心に近年増加傾向
にあり、総合的な鳥獣被害対策が必要。
億円
250
集落の維持等ができなくても
集落の維持等ができなくても、
やむを得ないと思う
やむを得ないと思う
10.4
200
44.4
ある程度、集落を守るべきである
185
199
213
150
26.7
是非集落は守るべきである
100
その他鳥類
カラス
その他獣類
サル
鳥
類
イノシシ
獣
類
13.6
どちらともいえない
50
シカ
4.9
わからない
0
10
20
30
40
50
0
%
平成19年
(2007)
資料:農林水産省「農村に関する意識調査」
(平成 23(2011)年2月調査)
注:都市住民を対象として実施したアンケート調査(回答総数 1,081 人)
20
(2008)
資料:農林水産省調べ
26
21
(2009)
(2)都市農業の役割
○ 都市農業が果たしていると考える役割・機能
都市農業は、新鮮で安全な農産物供給、交流・やすらぎ等の点から大きな役割を果たしており、都市住民
の多くがこれらを認識。今後とも、市民農園の整備、都市住民の農業体験等の一層の取組が必要。
全く果たしていない
大いに
ある程度
果たしている 果たしている
あまり果たして
いない
27.5
新鮮で安全な農産物の供給
51.2
18.1
心やすらぐ緑地空間
6.7 10.2
46.6
農業への理解の醸成
7.9
農業体験・交流活動の場
8.5
32.0
災害に備えたオープンスペース
9.0
29.8
どちらともいえない
わから
ない
無回答
11.6 3.7
36.6
17.2
4.8
20.4
15.7
25.1
8.6
5.3
17.9
22.9
28.4
農産物直売所マップ(東京都世田谷区)
7.1
6.7
9.9
%
0
20
40
60
80
100
資料:農林水産省「食料・農業・農村及び水産資源の持続的利用に関する意識・意向調査」
(平成 23(2011)年5月公表)
注:1)消費者モニター1,800 人を対象としたアンケート調査(回収率 90.3%)
2)三大都市圏特定市、政令指定都市、県庁所在地に居住する消費者の回答を集計
都市農業の PR イベント(東京 23 区内)
(3)都市農村交流の取組
○ 農村地域で今後したい活動(複数回答)
○ グリーン・ツーリズム施設への宿泊者数と農林
家民宿数の推移
都市住民が農村地域で今後したい活動は、農産物
直売所の利用のほか、農家レストランの利用、自然
体験・レクリエーション、観光農園の利用、農家民
宿の利用等が多数。これらニーズを踏まえて、都市
農村交流を進めていく必要。
農産物直売所の利用
農林家民宿の数は平成 22(2010)年には 2,006
軒に増加するとともに、グリーン・ツーリズム施設
への宿泊者数は、年々増加し平成 21(2009)年度は
848 万人。
40.8
農家レストランの利用
万人
1,000
31.5
自然体験・レクリエーション
844
800
27.7
観光農園の利用
農林家民宿数
(右目盛)
宿泊者数
848
777
2,006
25.0
2,000
600
農家民宿の利用
16.4
実家や親せきの農家の手伝い
15.5
農作業体験
14.6
短期(数日程度)の暮らし
14.4
軒
3,000
1,492
400
1,000
自分の子どもの体験型修学旅
自分の子どもの体験型修学旅…
行、子ども体験学習
滞在型市民農園の利用
200
13.1
0
8.0
%
0
10
20
30
40
0
平成17年度
(2005)
50
20
(2008)
21
(2009)
22
(2010)
資料:農林水産省「農林業センサス」
、農林水産省調べ
資料:農林水産省「農村に関する意向調査」
(平成 23(2011)年2月調査)
注:都市住民を対象として実施したインターネット調査(回答総数 1,081 人)
27
(4)食と地域の「絆」づくり
○ 「食と地域の「絆」づくり」の取組
農林水産業の基盤となる農山漁村の活力が低下しているなか、一部地域においては、農業者、消費者、事
業者等の結び付き(
「絆」
)による都市と農村の交流等を通じた地域活性化の取組が進展。このような取組を
全国各地で進めていくことが重要。
(1)地域住民、農業者、地域協議会、産官民協働組織主体の取組
うらほろちょう
浦幌町
北海道
うらほろスタイル推進地域協議会では、子どもたちが自分たちの住む地域
に自信と誇りをもてるように、農林漁家での生活体験や、町づくりの企画
提案を内容とする授業を小・中学校で実施しています。子どもたちの提案
は大人たちの協力を得て実現化が進んでいます。
し ま し
志摩市
三重県
志摩いそぶえ会では、海女や漁師等の協力のもと、志摩の郷土料理のレ
シピ集「きらりレシピ」を作成しました。また真珠貝の貝柱を使った「真
珠てこね寿司」や、アオサを利用した創作料理を開発し地域経済の活性化
を図っています。
ごかせちょう
五ヶ瀬町
宮崎県
夕日の里づくり推進会議では、景観を活かした都市住民との交流による地
域づくりを行っています。都市住民を対象にしたツアー、イベントの開催、
外国からの教育旅行の受入れや、地域の特産品を販売する「夕日の里物産
館」の運営等に取り組んでいます。
(2)農協、漁協、農事組合法人主体の取組
くらよしし
倉吉市
鳥取県
鳥取中央農業協同組合では、子どもたちが農業の大切さを知り、郷土愛
や豊かな心をもって育つことを願い農業体験学習「あぐりキッズスクー
ル」を開校しました。地元の高校生にも指導補助員として協力を仰ぎ活動
の輪を拡大しています。
(3)大学、特定非営利活動法人、財団法人主体の取組
いずみさのし
泉佐野市
大阪府
(財)泉佐野市公園緑化協会では、農林水産業への理解の促進や都市農村
交流、自給率向上のためマルシェを開催しています。また牛に野草を食べ
させることで生産管理コストを下げ、環境保全と両立する資源循環ビジネ
スにも挑戦しています。
(4)企業主体の取組
むらやまし
村山市
山形県
国立ファーム(株)ガールズ農場では、女子大学生を対象に、同じ 20 歳代女
性という近い立場での対話に重点を置いた農業体験を実施し、参加者の農業
に対するイメージや意識の変化につながっています。他にも、女性の感性
を活かし、規格外野菜を使用した菓子製造業等も始めています。
ながのし
長野市
長野県
(有)たんぽぽでは、女性農業者による地元農産物を使った加工販売、遠隔
地への「ふるさと宅配便」、高齢者への週2回の弁当配達に取り組んでい
ます。また、その影響を受けメンバーの配偶者も遊休農地活用のワイン生
産を始めています。
資料:農林水産省作成
28
Fly UP