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1 - 火力発電依存の限界 経済にも大打撃[写真] SankeiBiz 2015年5月6日

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1 - 火力発電依存の限界 経済にも大打撃[写真] SankeiBiz 2015年5月6日
火力発電依存の限界
経済にも大打撃[写真] SankeiBiz 2015年5月6日(水) 12時11分政府が温室効果ガス削減
の新たな目標案を提示した4月30日。環境省と経済産業省の専門家会合では「過去に例がないほど厳しい省エネ対策が
必要だ」などと、慎重な意見が相次いだ。既に最高水準の省エネを導入してきた日本が、一段の排出削減に取り組むのは
簡単ではない。■増えるCO2
なかでも平成25年度の国内の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で14億8
00万トンと、過去2番目の高水準だった。政府は32年度までに17年度比3.8%減の削減目標を掲げているが、25年度は
0.8%増と逆に遠ざかった。この原因を、環境省幹部は「原発停止に加え、電力各社が石炭火力の稼働を増やしているか
らだ」と説明する。石炭火力は石油の3分の1と火力発電で最も発電コストが低く、資源を入手しやすい。15年に東京電力
が30年ぶりに石炭火力を復活させ、常陸那珂火力発電所(茨城県)の運転を開始。また、今年3月、九州電力と出光興産、
東京ガスの3社が、2020年代中頃の稼働を目指し、千葉県で大型の石炭火力を建設することで合意するなど、各社が石
炭火力を増やしている。ただ、石炭火力はCO2排出量が天然ガスの2倍以上と、数ある発電方法の中で最も高い。環境問
題に詳しい自民党議員は「石炭火力の稼働を今後も増やせば、いくら省エネ対策を努力しても帳消しになる」と危機感をあ
らわにする。■綱渡りの需給
「実質的に余力はなく、まさに綱渡りだ」。原発の再稼働が遅れる中、電気事業連合会の八
木誠会長(関西電力社長)は今夏の電力需給に懸念を募らせる。経済産業省は4月16日、8月の電力需要に対する供給
余力を示す「予備率」が沖縄電力を除く大手電力9社で、安定供給に最低限必要とされる3%を確保できる見通しを示した。
家庭や企業の省エネが定着したことに加え、電力各社が火力発電所のフル稼働で供給力を確保したからだ。それでも電
力需給に余裕があるとは言い難い。他社からの電力融通がなければ、関西電力の8月の予備率は0.8%、九州電力にい
たってはマイナス2.3%だ。各社は火力発電所の修繕工事をぎりぎりまで先送りして供給力の確保につなげている。トラブ
ルが起これば、たちまち需給は逼迫(ひっぱく)する。電力各社は原発が停止した分を火力で補ってきたため、22年度は原
発比率が28.6%、火力が61.7%だったのに対し、25年度は原発が1.0%に低下する一方、火力は88.3%まで比率が
拡大した。日本は今、火力に依存する歪な電源構成になっている。■膨らむ燃料費
火力依存で電力各社の燃料費は
増える傾向にある。電力10社の26年度の燃料費は約7兆3000億円と、22年度に比べて3兆7000億円増えた。東日本
大震災前に比べ、燃料費は2倍以上も膨らんだ。この結果、電気料金は震災前よりも家庭向けで2割、企業向けで3割程度
上昇した。電気代の値上がりは、景気や生活にも深刻な影響を及ぼす。すでに企業からは「売り場などの節電は限界で、こ
れ以上の経費上昇は経営的に厳しい」(大阪府の百貨店)と悲鳴があがる。日本原子力産業協会の今井敬会長は「(火力
発電向け燃料の輸入増加で)年間4兆円の国富が流出し、1億トンを超えるCO2の排出増加につながった」と、原発稼働停
止の弊害を訴える。火力だけに頼っていては環境負荷が増えるだけでなく、日本経済にも大きな打撃となる。(この企画は
大柳聡庸、宇野貴文、田辺裕晶が担当しました)
<女川再稼働>知事発言に5市町不快感あらわ[写真] 河北新報 2015年5月6日(水) 11時45分東北電力女川原発
(宮城県女川町、石巻市)の半径30キロ圏に位置する登米、東松島、涌谷、美里、南三陸の周辺5市町と東北電が結んだ
安全協定をめぐり、宮城県と5市町の信頼関係が揺らいでいる。原発再稼働に関する地元同意の対象に周辺市町が含まれ
るかどうか、認識の違いがあらためて表面化したためだ。<苦労が水の泡>「立地自治体の判断で十分だと思う」。村井嘉
浩知事は4月27日の定例記者会見で、こう考えを示した。協定は同20日に締結された。5市町は同時に県と覚書を交わし、
再稼働につながる原発の設備変更時には県を通じて東北電に意見を述べられるようにした。発言はそのわずか1週間後。
周辺市町の首長会議で幹事を務めた布施孝尚登米市長は取材に「だまくらかしだ。苦労して協定を作り上げたのに…」と
不快感をあらわにした。周辺5市町は2013年7月、首長会議を設立。同11月の第2回会合では美里、涌谷両町が再稼働の
議論に確実に加われるよう、立地自治体並みの権限を担保する「設備変更時の事前了解」を盛り込むことを主張し、議論は
紛糾しかけた。オブザーバー参加の県は独自集計の資料を示し「全国の原発周辺自治体が結ぶ安全協定に事前了解の
権限は入っていない」と沈静化を図った。だが状況は大きく変わらず、首長会議は1年近く開催できずにいた。<「出発点」
強調>事態が動いたのが14年秋。県によると「涌谷町が協定とともに覚書も結ぶことを提案してきた」という。再稼働の議論
を切り離す苦肉の策だが、5市町は住民の避難計画を作らなければならず、策定作業に不可欠な東北電からの情報提供
に重点を置く協定の締結に傾いていった。「これがスタート地点」。協定締結式後の記者会見で、首長たちは口をそろえた。
今後の再稼働の議論に加わる余地はあるとの意思表示だった。村井知事の発言はこうした議論を軽視するように受け取れ
た。仮に持論の展開であったとしても、いかにもタイミングが悪かった。<実効性不透明>実は再稼働をめぐる首長側の足
並みもそろっているわけではない。「われわれには原発や放射能の専門的な知識がない」(佐藤仁南三陸町長)「知見や賠
償能力のあるところが判断すべきだ」(阿部秀保東松島市長)などの意見がある。東北電が16年4月以降を目指す女川原発
の再稼働。周辺市町が関わる余地はどれだけあるのか。美里町の相沢清一町長は「知事1人が県としての判断を下すわけ
ではない。30キロ圏の同意も求めていく形になると信じている」と強調。登米市の布施市長は「協定締結時、東北電力社長
が(再稼働の際)5市町に配慮する発言をした」と指摘する。ただ、頼みの綱となる覚書の実効性は知事発言で一層不透明
になった。<女川原発30キロ圏の安全協定>東北電力が原発の異常発生時に直ちに情報提供することや原発被害への
賠償、市町の防災対策に協力することなどを盛り込んだ全13条。宮城県、立地市町が別の安全協定で持つ、原発の再稼
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働時などの設備変更に了解の有無を与える権限は入っていない。
参加世帯1割程度、住民不安
楢葉・長期宿泊1カ月 福島民友新聞 2015年5月6日(水) 11時39分東京電力福島第
1原発事故に伴い、全町避難が続く楢葉町で避難指示解除を見据えた長期宿泊が始まってから6日で1カ月が経過した。し
かし、宿泊世帯は対象の1割程度にとどまる。さまざまな要因に加え、宿泊世帯の少なさが住民の不安につながり、宿泊者
数が伸び悩む悪循環を生み出している。長期宿泊した縫製会社経営の大河原新一さん(64)は「日中は復興関係に携わる
人が多くいるが、夜になると周りに人がいなくなり、心細い」とこぼす。大河原さんと同じ思いを持つ町民は多い。長期宿泊
の対象は2715世帯7438人(今年2月1日現在)で、このうち、4月30日までに278世帯617人が長期宿泊を申請した。町側は
「少しずつ伸びている」と説明するが、多いとはいえない。日中は自宅に帰っても、夜はいわき市など避難先に戻る住民も
多い。水道やガスなどの復旧が順調に推移しているのにもかかわらず、長期宿泊の参加世帯数が伸び悩む背景には、大
河原さんのように「心細い」という思いのほか、長期宿泊が決まってから準備期間が短かったため、地震や長期避難で損壊
した住宅の修繕が進んでいないこともある。長期宿泊中に病気になった場合、富岡町や大熊町のかかりつけ病院がないた
めいわき市などの医療機関に行く必要がある。水道水の安全性や放射線の不安の声も多く聞かれる。
東電支払い、まだ1割
原発事故の自治体賠償
税減収分、算定基準固まらず 福島民報 2015年5月6日(水) 10時9
分東京電力福島第一原発事故に伴う福島県の自治体への賠償で、今年1月末までに県内56市町村が計539億6000万
円を請求したのに対し、東電が支払ったのは1割の59億2000万円にとどまる。県がまとめた。請求額の多くを占める税の
減収分をめぐっては迅速に処理するための算定基準が固まらず、支払いを始められない。市町村は賠償の未払い分を自
主財源などで賄っており、今後の財政運営への影響が懸念される。■一般会計分2.7%
県は、各市町村が東電に請
求した一般会計分と企業会計分、両会計を合わせた合計についてまとめた。1月末現在の請求額と支払い状況は、一般会
計分は51市町村が計438億3000万円を請求したが、支払いはわずか11億7000万円(2.7%)にとどまる。請求額の大
半を人口減に伴う住民税や固定資産税などの税の減収分、原発事故対応の職員増に伴う人件費などが占めるが、支払い
は実現していない。東電は学校給食などの放射性物質検査費、避難区域からの移転費など一部には応じている。企業会
計分は、上下水道や病院事業の逸失利益分、汚泥対策費などが対象で、48市町村が101億3000万円を求めたのに対し、
47億5000万円(46.9%)が支払われた。平成26年4月末現在の一般会計分と企業会計分の合計の請求額は475億円
で、支払額は45億5000万円(9.6%)。支払額は横ばいの状態が続く。■定まらない方針
自治体賠償が進まない理由
について東電の担当者は「請求額が膨大で、精査に時間がかかる」と説明する。特に税の減収分をめぐっては「賠償迅速
化のため各市町村一律の算定基準を検討している」と強調する。東電は県と協議しながら、原発事故由来とみられる住民
税の減収分の算定基準作りを急いでいる。ただ、既に震災前より減った税収額を全額請求した市町村も多い。「算定基準
を導入すると支払額が少なくなる可能性がある」との指摘もあり、反発も予想される。算定基準が早急に確立できるかどうか
は不透明だ。東電は市町村からの要望が強い固定資産税については対象外とする姿勢を崩しておらず、隔たりは大きい。
■負担増
「(賠償未払い分は)一般財源を切り詰めて対応している。賠償の支払いがなければ、将来的に財政を圧迫し
かねない」。郡山市の担当者は不安を募らせる。同市は1月末現在で一般会計分として64億円を請求しているが、東電が
支払ったのは113万円のみ。担当者は「県と連携して東電と協議を進めるが、納得できない部分があれば裁判外紛争解決
手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを検討する」と話す。一般会計分の請求額が23億
円に上る南相馬市も「復興事業に対する国の財政支援がいつまで続くか分からない上、一部は地方負担という話まである。
東電が支払うべき分は、しっかりと対応してほしい」と訴える。原発事故に伴う避難者の生活支援のために税金を減免した
分については国による交付税措置が取られている。背景
市町村は平成23年度以降の一般会計分、企業会計分につい
て東電に賠償請求している。賠償が思うように進まない中、県のまとめでは、福島市と桑折町が企業会計分の一部につい
て裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを行い、東電と和解合意した。
寿命、訴訟…逆風吹き付ける再稼働
分
それでも消せない原子力の火[写真] SankeiBiz 2015年5月5日(火) 21時45
3月18日夜、九州電力佐賀支社(佐賀市)で、瓜生道明社長は詰めかけた報道陣にこう打ち明けた。「『彼』は、九州
で初めて原子力の火をともした。こういう結果になったのは忍びない…」
「彼」とは、この日に廃炉が決まった玄海原発1号
機(佐賀県)のことだ。瓜生社長にとって、九電に入社した昭和50年から運転を開始し、電力供給を支え続けた玄海1号機
はいわば同期の“戦友”。自らの最終判断で引退させる無念さから、「彼」という愛称が自然と口からこぼれた。■新基準で1
000億円 東日本大震災後、原子炉等規制法は原発の運転期間は原則40年、運転延長ができても最長20年と定めた。
ただ、原子力規制委員会が策定した新規制基準に対応するには、1000億円規模の費用が必要だ。玄海1号機だけでなく、
電力各社は、再稼働できたとしても採算に合わないと判断した原発を4月27日から順次、廃止する手続きに入っている。そ
れでも、各社はすべての原発の40年超運転をあきらめてはいない。電気事業連合会の会長も務める関西電力の八木誠社
長は4月17日の記者会見で、「安全性が確認されれば、運転延長していくのが基本的な考えだ」と明言している。平成42
(2030)年時点のエネルギーミックス(電源構成比率)について、政府は震災後に全基停止した原子力を20~22%とする
方針を固めた。これを達成するには、国内43基の原発の多くを再稼働させたうえで、“寿命”を60年に延ばすことが必要だ。
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しかし、再稼働への道のりは平(へい)坦(たん)ではない。最も早く原子力規制委員会の審査に合格した九電川内1、2号
機(鹿児島県)でさえ最終手続きの「使用前検査」が遅れ、当初目指していた今夏からの再稼働は絶望的な状況だ。■アト
ムくんの未来
「アトムくん」「ウランちゃん」「みらいくん」「あかりちゃん」-。関電高浜原発1~4号機(福井県)には、それぞ
れニックネームがある。平成7年、地元住民に親しみを持ってもらうため、発電所員や協力会社から募集し、手塚治虫の漫
画「鉄腕アトム」などにちなんで命名された。しかし、高浜原発を取り巻く環境は、のどかな愛称のイメージからはほど遠い現
実を突き付けられている。川内1、2号機に続いて規制委の審査に合格した高浜3、4号機は11月からの再稼働を想定して
いるが、福井地裁が4月14日、再稼働差し止めの仮処分決定を下した。関電は「科学的、専門的知見を踏まえず、事実誤
認がある」とし、異議と決定の執行停止を同地裁に申し立てたが、認められなければ、再稼働はできない。■料金震災の2
~3割高 「ほとんどの中小企業の経営者は、自分の給料を減らしてでも従業員のために、せめて消費税が上がった分負担
にならないようにと努力をしているが、電気料だけには勝てない」
1月30日、東京・霞が関。エネルギーミックスについて
議論する経済産業省の小委員会の初会合で、伊藤麻美委員(日本電鍍工業社長)は、原発の長期停止で高止まりする電
気料金が経営にのしかかる負担を切実に訴えた。原発を持つ9電力管内の標準家庭の電気料金は震災前と比べ、大半は
2~3割程度高くなっている。国民負担を和らげるには、原発の早期再稼働は不可欠だ。関電の八木社長は「原発を一定
程度活用するとなれば、新陳代謝していかないといけない」とし、新増設やリプレース(建て替え)の必要性も訴える。規制
委の厳しい審査や再稼働差し止め訴訟という逆風の中、原子力の火を絶やさない“知恵”が求められている。
「強制起訴」6年、放置されるこれだけの問題点…被告負担の補償なし、検証舞台も不明[写真] 産経新聞 2015年5月5
日(火) 21時5分くじで選ばれた国民からなる検察審査会(検審)による強制起訴制度が、平成21年5月の導入から6年を
迎える。検察官が独占していた起訴権を国民にも開放する改革だったが、制度導入が成功だったか評価は定まっていない。
制度導入後に強制起訴に至った8つの事件で有罪判決が下ったのは2件のみ。とりわけ多くの人が死傷した過失事件では
無罪判決が相次ぎ、「いたずらに刑事被告人を作り出している」「制度見直しが必要」との声も上がる。制度を検証し、今後
の在り方を探った。(小野田雄一)
■制度への評価分かれる
検審は、有権者からくじで選ばれた国民11人が、検察官
が不起訴とした事件について審査し、不起訴が妥当だったかどうかを判断する機関。昭和23年に設置された。しかし平成
21年の改革までは、検審が「検察の不起訴は不当で、起訴すべきだ」と議決(起訴議決)をしても法的な強制力はなく、「有
名無実化している」との批判があった。さらに改革前の司法は、裁判官・検察官・弁護士の専門家のみで運営されていた。
しかし検察官の起訴・不起訴の判断や裁判官の判決が国民感覚から乖離(かいり)しているとの批判が強まっていた。その
ため強制起訴制度は、裁判員制度とともに司法の国民参加の一環として導入。検審が2回「起訴すべきだ」と議決した事件
では、容疑者は自動的に起訴され、裁判所から指定された弁護士が検察官役として立証を担うことになった。ただ、制度運
用の現状評価が分かれている。平成13年7月、兵庫県明石市の花火大会中、歩道橋で見物客が折り重なって転倒し、11
人が死亡、247人が重軽傷を負った事故では、県警明石署の元署長が制度導入後初めて強制起訴された。しかし1、2審
とも免訴となった。17年に乗客106人が死亡した同県尼崎市のJR福知山線脱線事故でも、JR西日本の歴代3社長が強制
起訴されたが、大阪高裁は今年3月、無罪判決を下している。この他にも、これまでに強制起訴が行われた8事件のうち有
罪判決は2件のみ。多くは無罪や免訴となっている。検察官による起訴の有罪率が99%と極めて高い日本で、刑事被告人
となることは被告にとって社会的・身体的な負担が大きいとされ、「無罪の可能性が高い人を被告にしている」などとの批判
が起きている。また、強制起訴後に無罪が確定しても、検察審査会法上、金銭などの補償の規定はない。さらに強制起訴
は在宅で行われるため、身柄拘束を前提とした刑事補償法の対象にもならない。強制起訴自体には違法性はないため、国
家による不法行為を要件とする国家賠償請求の対象ともならないと解釈されている。このように強制起訴された被告を守る
仕組みが不十分であるとの指摘もなされている。ただ、検審の議決に強制力を持たせたことで、「検察官がいっそう証拠を
厳密に吟味し、慎重に起訴・不起訴を判断するようになった。実際にいったん検察官が不起訴にしても、検審の議決を受け、
再捜査をして起訴する事件も多くあり、成果は表れている」(検察幹部)と一定の評価をする声もある。■「少しでも有罪の可
能性あれば」
強制起訴事件で無罪が多いのはなぜなのか。強制起訴の問題点をテーマにした論文を執筆した神戸学
院大法学部の春日勉教授(刑事訴訟法)はその理由について、「検察官は『有罪の高度の見込み』がある場合のみ起訴す
るが、検審は『少しでも有罪の可能性があれば起訴し裁判で白黒付けるべきだ』と考える傾向がある。検審の方が検察官よ
りも起訴のハードルが低くなっている以上、無罪が増えるのは自然といえる」と指摘した。春日教授はこの他にも、本来は個
人責任を追及する場である刑事裁判で、真相解明や再発防止を期待して起訴議決がなされた事例がある▽容疑者の犯罪
は明白だが、情状などを考慮して不起訴にする「起訴猶予」だけでなく、犯罪を立証する証拠が不十分などで検察官が有
罪を取れないと判断した「嫌疑不十分」で不起訴にした事件でも、起訴議決は制度上、可能になっている▽近年の日本は、
政治資金がらみの事件や被害者が多数にのぼる大型の過失事件などが起きた場合、「市民vs社会の敵」という構図が描か
れ、「社会の敵を排除しなければならない」という市民側の論理で起訴議決がなされる場合がある-などを挙げた。実際に、
強制起訴の制度設計を議論した政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」の議事録によると、一部の委員から「強制
起訴が可能なのは、起訴猶予事件に限った方が良いのではないか」「起訴のハードルが下がり、明らかに無罪の人が、強
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制起訴で刑事被告人に仕立て上げられるのではないか」などと懸念する意見も出たが、その後、検討会で議論が深まった
形跡は見られない。個人の刑事責任追及を超えて真相解明や再発防止を主眼として強制起訴が行われうるという想定は、
議題にもなっていない。春日教授は「強制起訴は検審で11人中8人以上が2度『検察官の不起訴処分は正しくない、起訴
して裁判にかけるべきだ』と判断して起訴議決をすれば可能になる。だが、刑事被告人の負担や推定無罪の原則を考えれ
ば、この起訴議決に必要な条件を全員一致に変えるべきではないか。また、検審に審査を申し立てる遺族らは、検察官に
よる不起訴の説明が足りないと感じている。検察官にはより丁寧な説明が求められる。検審も、議決の結果だけを公表する
今の運営を改め、議事録も公開する方向に変え、透明性を高めるべきだ」と話した。その上で「そもそも本来の意味での司
法の市民参加とは、不起訴だけでなく、検察が行った起訴の妥当性についても市民が判断することだ。将来的にそうした
議論も必要になるのではないか」と指摘した。ただ、強制起訴を盛り込んだ検察審査会法と同時期に施行された裁判員法
には「制度導入後、3年経過後に制度運用状況を検証する」との規定があったが、検審法にはこうした規定はない。また強
制起訴で無罪判決が出るたび、歴代の法相は「必要があれば見直しも検討する」などと説明してきた。しかし法務省は「現
時点で見直し作業はしていない」としており、制度の検証すら進んでいないのが実情だ。■刑事被告人への負担軽減策が
必要
検討会で委員を務めた東京経済大現代法学部の大出良知教授(刑事法学)は「起訴基準の変化への懸念や司法
への国民参加の在り方などについて、検討会で深い議論がなされたとは言い難いのは事実。当時は強制起訴の導入は既
定路線と多くの委員が考えていたのではないか。理念よりも具体的な制度設計の方に議論の重点が置かれていた」と明か
す。その上で大出教授は「検察官より検審の方が起訴のハードルが低いので無罪が相次いでいるとの指摘があるが、そも
そも起訴基準がどうあるべきかということは、刑事裁判のあり方に関わる問題であり、簡単に結論が出るものではない。検察
官が有罪が見込めると考えた場合だけ起訴し、有罪率が99%という状況は、実質的には検察官が密室で有罪・無罪を決
めているのと同じ。起訴のハードルを下げ、公開の裁判で有罪か無罪を判断する方向に進めるべきであり、裁判中心の司
法へと後押ししただけでも改革の意義はあった」と強調する。さらに強制起訴による刑事被告人について、大出教授は「そ
もそも刑事被告人に必要以上の負担が掛かる現状が間違っている。検察官の密室での判断が無罪推定の原則を蔑(ない
がし)ろにする雰囲気を生み出している。報道の扱いや身体拘束のあり方など、無罪の推定を前提とした対策は可能なは
ずだ」と指摘した。ある検察幹部は「検察が内部で刑事責任の有無を判断せず、起訴して公開の法廷で白黒つけるべきと
いう国民の感覚も分かるが、たとえば10人以上亡くなった事故だから、起訴のハードルを下げよう、というわけにはいかない。
逆に強制起訴で有罪ばかりになれば『検察は何をやっているんだ』となるため、無罪が増えるのは仕方ない」と話す。強制
起訴導入に携わった別の検察幹部も「検察官とは別の、国民の理解が得られる起訴のルートができただけも意義がある。
ただし、強制起訴の被告人は、(有罪の高度の見込みがある)通常の被告人とは違うということが社会的にもっと認知される
べきだろう」と話している。
北電泊原発停止、村民は沈黙の3年
「今更『出ていけ』とは言えない」
思いは交錯、口には出さず[写真] 北海道新聞 2015年5月5日(火) 13時31分
【泊】北海道電力泊原発が運転を停止してから、5日で丸3年。4月の道知事選では再稼
働の是非が争点の一つになったが、お膝元の泊村では原発について議論が盛り上がることはない。原発の存在を前提とし
て成り立ってきた村の経済や雇用、安全性をめぐる高度な技術論を前にしての無力感。住民の心中にはさまざまな思いが
交錯している。「これまでほぼ無事故で操業してきた泊原発が、別会社が起こした事故のとばっちりを食うのはおかしい」。
泊原発の運転停止前後で、経営する民宿の宿泊客が7割減ったという男性(78)が早期の再稼働を熱望すれば、会社員女
性(55)は「万が一の事態を考えれば、経済に影響するとしても原発は動かすべきではない。それが福島の教訓だ」と慎重
な姿勢を示す。村内の民家を一軒一軒訪ね歩くと、住民はさまざまな考えを打ち明けてくれた。しかし、こうした意見が住民
同士で交わされることはほとんどない。背景には、長年泊原発を支えてきた立地自治体であるが故の苦悩がある。60代の男
性は「子や孫のことを考えると不安だが、これまで原発の恩恵をたくさん受けてきた。今更『出ていけ』とは言えない」と吐露。
多くの村民が取引や雇用で泊原発と関わっていることも問題提起を鈍らせていると指摘した。1989年6月に泊原発の1号機
が営業運転を開始してから26年。日常生活の場の近くに建つ原発は村民にとって身近な存在で、経済的にも常に村民を
支えてきた。80年度から国によって支払われ続けている原発関連の交付金は総額206億円を超えた。計430億円以上にも
なる固定資産税は村の財政を豊かにし、定期検査のたびに訪れる2千人以上の作業員で民宿や商店はにぎわった。「原発
の話題なんて出たことがない」
それが、2011年の東京電力福島第1原発事故で原子力をめぐる状況は一変。「夢のエネ
ルギー」だったはずの原発に疑問符が付き、全国で推進派と反対派が激論を交わす中、地元住民は沈黙した。50代の会
社員男性は「集落の集まりでも原発の話題なんて出たことがない」。住民の言葉からは、原発をあたかも空気のような存在と
して捉える向きさえ感じた。村では原発事故時に甲状腺被ばくを抑えるための安定ヨウ素剤の住民説明会が2、3月に開か
れるなど、再稼働をにらんだ条件整備が着々と進む。そんな中、住民の関心は再稼働の是非よりも、経年により原発の減価
償却が進み、最大の財源である固定資産税が減少することなどで先細りする村の経済をどう立て直すかにある。置き去りに
された再稼働論議について、60代の会社役員男性は「専門家でも意見が分かれる問題で、知識のない村民には判断でき
ない」と指摘。一方、再稼働に慎重な考えを持つ55歳の会社員女性は「事故が起きれば泊だけの問題にはとどまらない。
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地元としてもっと議論を深めるべきだ」と話している。
5年ぶりの稲作再開に農家複雑・南相馬[写真] 河北新報 2015年5月5日(火) 12時50分東京電力福島第1原発20キ
ロ圏外の水田で、南相馬市内の農家がコメの作付け準備に追われている。ことしから営農自粛に対する賠償の適用外とな
るため、自立に向けて本格再開を見据える動きも出ている。ただ米価が低迷し、風評も根強く残り、5年ぶりの田植えにも生
産者の表情は複雑だ。
ベルトコンベヤーを流れるトレーが、育苗用の土と種もみで次々と満たされていく。4月20日、同市
原町区の農業法人高ライスセンター(佐々木教喜社長)は社員3人で苗づくりをスタートさせた。作付け予定は約46ヘクター
ル。昨年の6ヘクタールを大きく上回るとはいえ、震災前水準には届かない。ことしは食用を減らし、多くを飼料用に振り向
ける。佐々木社長は「需要がなければ作付けしても無意味。売値の安さは収量でカバーするしかない」と話す。市内の20キ
ロ圏外では震災前、約3800ヘクタールでコメが作付けされていた。そうま農協(南相馬市)などはことしの目標を1500ヘクタ
ールに据えていたものの、再開面積は半分程度にとどまる公算が大きくなっている。同市鹿島区の専業農家折笠寛昭さん
(70)は「ことしは田植えや収穫といった作業依頼が1件もない。もともと自分で営農していない人たちが再開を見送ったのだ
ろう」と推測する。風評への懸念もあり、南相馬産のコメは飼料用が中心になる見通し。折笠さんも食用の作付けを1割にと
どめるが、飼料用にも食用品種を栽培する考えだ。「来年以降、食用に転換するとき、飼料用が交じる事態は避けたい」と
前を向く。原発20キロ圏内の稲作は今も実証栽培などに限られる。市農政課の担当者は「住民の定着、帰還に向け、なりわ
いの再生は急務。年度内に農業の将来ビジョンを示したい」と話している。[コメの自粛賠償]原発事故の影響で作付けを
控えている農家に東京電力が補償する制度。金額は10アール当たり年約5万7000円。国による作付け規制の緩和を受け、
南相馬市内の20キロ圏外については15年産分が適用外となった。
8歳までの子ども増えた
本県、避難者の帰還進む 福島民友新聞 2015年5月5日(火) 11時38分「こどもの日」に合わ
せ、県は5日付で、本県の子どもの数(14歳以下人口、4月1日現在)を発表、今年1歳になった子どもは前年比363人増とな
るなど1~8歳の人数が前年より増加した。県は東京電力福島第1原発事故による避難など幼い年代の県外流出が落ち着き、
避難者の帰還が進んだことなどが背景にあるとみている。14歳以下の子どもの数は23万9128人と初めて24万人を割り、比
較できる1950(昭和25)年以降で最少となった。現在1~14歳の子どもの数の前年との比較で、今年1~8歳の子どもは前年
からの1年間で、1歳が363人増えたのをはじめ、ほかの年代でも12~72人増えた。昨年は出生数の回復傾向を受けて0歳
児が増加に転じたが、この傾向がほかの年代にも広がった形だ。全体の減少幅も小さくなっている。東日本大震災と原発
事故以降、避難指示や放射線への不安から、震災前は5000~6000人程度だった毎年の減少数が、2011(平成23)~12年
には1万5000人超となった。しかし、今年は前年からの減少数が06年以降初めて5000人を下回り、減少率も震災前の09年
と同じ水準の1.9%に落ち着いた。県こども未来局は、除染の進行などで県民の放射線への不安が減ったことなどを挙げ
た上で「18歳以下の医療費無料化などの子育て支援策が定着したことで、県内での子育てを選択する人が増えたのでは
ないか」と推測している。しかし、県全体に占める子どもの割合は12.5%と、前年同期比で0.2ポイント減少、少子化傾向に
は歯止めがかかっていない。県内は、出生数の回復や子どもの帰還が進んだ影響で、保育所に入所できない待機児童も
震災前の水準まで増えるなどの課題も出てきており、一層の子育て支援策が求められている。
<福島第1原発>津波試算文書
東電が提出拒否
神戸地裁 毎日新聞 2015年5月5日(火) 11時21分
東日本
大震災(2011年)の東京電力福島第1原発事故を受け、兵庫県内への避難者が国と東電に損害賠償を求めた神戸地裁
訴訟で、東電が震災前に実施した津波に関するシミュレーション文書の提出を拒否していることが、訴訟関係者への取材
で分かった。原告側が提出を求めていた。提出に法的義務はないが、原告側は「東電が重大事故を予見し得たかを知る重
要な文書。真相究明を妨害する行為だ」と批判している。訴訟では、原発事故による放射能汚染で生活の平穏を奪われ避
難を強いられたとして、原告計34世帯92人が総額7億9000万円の賠償を求めている。東電は、マグニチュード8クラスだ
った明治三陸地震(1896年)など過去の津波を基に08年、福島県沖で大規模地震が起きた場合の津波の高さを試算した。
だが旧経済産業省原子力安全・保安院に試算結果を報告したのは福島原発事故の直前の11年3月7日で、「福島第1原
発に10メートルを超える津波が押し寄せる可能性がある」などとの内容を公表したのは、さらに約5カ月後だった。原告側は、
国や東電が、地震や津波で福島第1原発で全電源喪失に陥る重大事故が発生する可能性を認識し得たと主張。今年3月、
東電に文書提出を依頼するよう神戸地裁に申し立てた。東電は4月9日付で「文書には原告らの主張との関連性・必要性
は認められない。損害の発生と事故との因果関係を争点に審理すべきだ」などとする意見書を地裁に出し、文書の提出を
拒否。原告側は「東電は試算をしたことと一部の試算結果を明らかにしただけ。詳細は一切不明だ」として5月1日、反論す
る意見書を地裁に提出した。同様の訴訟は各地で係争中で、福島や東京では、原告側の要請で地裁が同様のシミュレー
ション文書の提出を東電に依頼する決定をしたが、東電は提出していない。神戸訴訟の原告弁護団事務局長を務める辰
巳裕規弁護士(兵庫県弁護士会)は「加害企業として事故原因を積極的に究明することが求められている。提出拒否は理
解できない」と批判している。東電広報部は「訴訟において請求内容や主張を詳しく伺った上で、真摯(しんし)に対応して
いきたい」としている。【後藤豪】
福島第一原発事故の集団賠償訴訟、原告1万人規模に 朝日新聞デジタル 2015年5月5日(火) 10時21分東京電力
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福島第一原発事故による被災者らが、東電を相手に原状回復や慰謝料などを求めた集団賠償訴訟の原告数が1万人に
達する見通しになった。政府が事故後に決めた枠組みに沿って東電が被災者に賠償金を支払っているが、これに納得で
きない被災者が多数いることを示している。訴訟を支える「原発事故被害者支援・全国弁護団連絡会」によると、原告数は4
月末現在で計9992人に達した。今年に入っても約900人増えており、1万人超えは確実だ。ほとんどの訴訟が国家賠償
法に基づいて国も訴えている。これまでの公害裁判では、沖縄県の米軍嘉手納基地の周辺住民が2011年に騒音被害な
どを訴えた第3次訴訟の原告数が2万人を超える。福島の原発事故をめぐっても異例の大規模な集団訴訟となる。
県内の子ども人口の推移、震災前の水準定着 福島民報 2015年5月5日(火) 9時3分
福島県は5日の「こどもの日」に
合わせ、県内の4月1日現在の子ども(14歳以下)の数を発表した。人数は23万9128人で、前年同期より4575人減少し
たが、前年同期比の減少率は1・9%で、比較可能な過去8年間で最少だった。ゼロ歳児は1万4184人で微減にとどまり、
県は子どもの人口動態は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故前の水準に定着したとみている。集計の基準日が4
月1日になった19年以降の県内の子どもの数の推移は22年までは毎年5500~6000人程度、2%前後の割合で減少し
ていた。しかし、23年の震災と原発事故で子育て世代らが相次ぎ県外に避難したのに伴い、減少傾向が加速。23年は前
年比8563人(3・0%)減、ピーク時の24年は同1万5494人(5・7%)減となった。
その後、減少幅は年々縮小し、昨年
は2・2%にまで回復した。今年はさらに0・3ポイント縮まり、19年以降で最少の20、21年と同率だった。
もともと減少傾
向にあったが、震災と原発事故後の24年は前年比で1584人も減った。26年は866人の増加に転じ、今年は再び減少し
たが、88人(0・6%)の微減となった。県こども・青少年政策課は「避難先から若い夫婦の帰還が進んでいることが要因の一
つ」と分析している。
国立社会保障・人口問題研究所の担当者も「(震災、原発事故から時間が経過し)生活が落ち着い
てきたことで、若い世代が福島で子どもを産み育てようという意識が戻りつつあるのではないか」との見解を示した。
総人口192万6961人に占める子どもの割合は12・5%で前年同期より0・2ポイント減った。
県の
子どもの数は住民票や市
町村に提出した転出・転入届を基に集計している。住民票を残したまま転出・転入届を出さずに県外に避難しているケース
も含まれ、実数は集計より少ないとみられる。
「原子力20~30%未満」が42%
2030年のエネルギーミックス
政府は5月中にも2030年のエネルギーミックス(電
源構成比率)を正式決定する。原子力発電の望ましい構成比率(無回答を除く)を聞いたところ、「20~30%未満」が42%
と最も多く、政府案(20~22%)を支持する企業の姿勢が明確になった。福井地裁が4月に関西電力高浜原発3、4号機
(福井県)の運転を禁じる仮処分決定を出すなど、電力各社の再稼働ハードルは高くなっている。しかし、企業からは「環境
適合性が高く、準国産エネルギーとして経済性・安定性の面で優れている」(素材)、「経済性の面でベースロード電源とし
て期待される」(運輸)、「原発停止による電気料金上昇は家計・企業ともに負担」(建設・住宅)などの意見が目立った。政
府案より低い「10~20%未満」「10%未満」「ゼロ」との回答は合計16%だった。「段階的に依存度を下げていくことが好ま
しい」(食品)などの意見があった。また、太陽光など再生可能エネルギーの望ましい構成比率(無回答を除く)は、政府案
の22~24%を下回る「10~20%未満」が31%で最も多かった。
<福島原発>汚染水の廃液容器14%で漏れ
ガス排出口から[写真] 毎日新聞 2015年5月4日(月) 22時0分東京
電力福島第1原発で、汚染水を処理した際に発生する放射性廃棄物を入れた専用容器について、点検したうち1割超の容
器から放射性物質を含む廃液が漏れていたことが分かった。漏れを防ぐ見通しは立っておらず、放射性廃棄物の管理の
難しさを改めて示す結果だ。漏れが見つかった容器には、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS」(ア
ルプス)の処理後に出る汚泥や廃液を入れる。直径約1.5メートル、高さ約1.9メートルの円筒形で、容量は約3トン。東電
が、第1原発構内の容器1354基のうち105基を抜き取り調査したところ、15基(約14%)で漏れやにじみが見つかった。こ
の容器については、4月上旬に点検中の東電社員が、容器の下の床面やふたに水がたまっているのを発見。容器上部に
ある内部のガスを抜く穴から廃液が漏れていることが分かった。東電は、水素などのガスが廃液中にたまって容器内の容積
が増し、ガス抜き用の穴から漏れたとみている。漏れた廃液の放射性セシウム濃度は1リットル当たり最大約9000ベクレル、
ベータ線を出す放射性物質は同390万ベクレルと、それぞれ高い濃度だった。容器は第1原発敷地内にあるコンクリート製
の施設で遮蔽(しゃへい)されており、東電の白井功原子力・立地本部長代理は「廃液が敷地外に漏れることはない」と話
す。容器は使用前に落下試験などを実施しているが、実際の廃液を入れる試験はしていなかった。東電は「ガス抜き用の
穴から中身が漏れ出すことは想定外だった」と話す。今後は、中に入れる廃液の量を現在よりも約10センチ低くするなどし
て漏れを防ぐ計画だ。一方、アルプスの処理を続ける限り汚泥や廃液が発生するため、今後も容器の数は増え、保管場所
の確保や耐用年数(約20年間)を超えた後の劣化の問題も懸念される。原子力規制庁の担当者は「漏れた水は同原発内
の汚染水の中で最も濃い。数も多いので早期の対策が必要」と指摘。容器周辺は放射線量が高くなっているため、確認作
業などにあたる作業員の被ばく管理の徹底を東電に求める。【斎藤有香】◇多核種除去設備「ALPS」
東京電力福島第
1原発事故処理で発生する高濃度の放射性物質を含む汚染水から、放射性物質を除去する設備。放射性セシウムを除い
た後の汚染水を、活性炭や樹脂などを入れた吸着塔に通し、汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、トリチウム以
外の62種類の放射性物質を取り除く。現在、3設備が試験運転中で、3設備で1日当たり計約1500トンを処理している。
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電力一斉値上げ、国民の負担はいつまで続くのか?[写真] ZUU online 2015年5月4日(月) 18時30分今年3月、電
力10社が5月の電気料金を発表し、1年ぶりの一斉値上げとなることがわかった。こうした電力の値上げ傾向は、2016年以
降も続くものとみられる。背景には、温暖化対策と脱原子力発電依存をめざす、政府主導の再生可能エネルギー拡大政策
がある。経済産業省案によれば、2013年度には全電源に対し11パーセント程度にとどまっていた再生可能エネルギーの比
率が、2030年に21~23パーセントまで拡大・普及する見通しであるという。ただ、高いコストを補うには再生可能エネルギー
発電促進賦課金(賦課金)を電気料金に上乗せすることになり、国民への負担は増すことになる。経済産業省の試算による
と、再生可能エネルギーの拡大による標準家庭の賦課金は、2014年度の2,700円から倍増し、今年度は年5,688円に膨ら
む見通しだ。5月以降には上乗せされた料金での請求が始まる。買い取り価格が特に高い太陽光発電が急速に拡大して
いることもあり、今後政府の2030年へ向けた計画に沿って再生可能エネルギーが活用されていくとなると、電気料金への上
乗せ額(賦課金)は増加する一方だろう。将来的には年1万円を超える可能性も出てくる。■政府の再生可能エネルギー計
画
経済産業省は4月、2030年時点の望ましい電源構成比率(エネルギーミックス)として、9割程度ある従来型の火力発
電(石油、天然ガス(LNG)、石炭)の比率を5割台に落とし、代わりに太陽光などの再生可能エネルギーの割合を22~24パ
ーセントへ引き上げる案を発表した。変動電力の比率に上限を設ける必要があるため、震災後に全基を停止させた原子力
発電も再開させ全体の20~22パーセントへと戻すが、2010年度の28.6パーセントよりは割合を下げる。今後は、再生可能エ
ネルギーを積極的に推進していく方針だ。■導入促進のための支援策がもたらした結果
再生可能エネルギー事業を普
及させるため、政府は2012年、電力会社に再生可能エネルギーによる電力を固定価格で買い取るよう義務づけた。加えて、
事業者利益を配慮し3年間限定の優遇措置も設けたが、これは今年6月末で期限が切れる。この固定価格買い取り制度の
導入は成功し、設備的なコストも下がり始める見通しとなったため、買い取り価格は今後徐々に引き下げられていくだろう。
たとえば、出力10キロワット以上の太陽光発電設備の場合、2014年度の買い取り価格は1キロワット時当たり32円だが2015
年4~6月に29円、7月からは27円と2段階で引き下げられる見込みだ。それでも、買い取り価格が高かった時期に認定を受
けた太陽光が今後動き出せば、国民への負担増は止まらない。■太陽光以外の再生可能エネルギーの見通し
固定価
格買い取り制度が開始されてから昨年11月までの間に、再生可能エネルギー全体の伸び率は7割にとどまったが、太陽光
発電について見てみると3.6倍に急拡大している。太陽光が再生可能エネルギー事業全体の9割を占めるまでに至り、導入
には成功したが、いかんせんコストが高い。この先買い取り価格が徐々に引き下げられるとなると、採算を取るのは容易で
はないだろう。今後、太陽光エネルギー企業は生き残りのため何ができるだろうか。単独での導入は果たしたので、「今後
は欧州にならい、地域密着型のエネルギー供給システムを拡大することや、複合化により利益と安定化を確保し、組み合わ
せを広げていくことだ」と、日本再生可能エネルギー総合研究所の北村代表は指摘する。大学関係者も、パネルの設置場
所の多様化、地方にある再生エネルギー生産所から、需要の多い都市への送電システムや設備の共同開発・運営、蓄電
技術、再生エネルギー電源の電力の消費者を増やす戦略など、可能性は様々だと話す。■今後実施したいビジネスのトッ
プは再生可能エネルギー―環境短観
3月2日に発表された『環境経済観測調査』(平成26年12月調査)の結果によると、
環境ビジネスは好調な見通しだ。現在環境ビジネスを実施している企業のうち27パーセント以上が、今後『再生可能エネル
ギー』(太陽光発電システム及び関連機器等を除く)を実施したいと回答している。業種・企業規模に関わらず、実施したい
と考えている環境ビジネスのトップに『再生可能エネルギー』が挙がった。ということは、現在、環境ビジネスを実施している
企業の4分の1以上は、今後、太陽光発電以外の何らかの再生可能エネルギー事業(風力発電/水力発電/地熱発電/太
陽熱利用/バイオガス発電/中小水力発電等の装置製造及び新エネ売電ビジネス等)を展開する意向を持つということだ。
現時点で、太陽光発電以外の再生可能エネルギーはビジネスとしてあまり進んではいないが、今が出発点なのかもしれな
い。また、『環境経済観測調査』では、10年先にわが国で発展しているであろう環境ビジネスについても回答を求めている。
1位は「再生可能エネルギー」で、回答者の25パーセント以上がこのビジネスだと答えている。一方、太陽光発電システム関
連は、回答時点で発展していると考えるビジネスの3位(回答者中の比率13.5パーセント)、半年後に発展していると考える
ビジネスでは4位(8.5パーセント)、10年先には上位5位にも入っていない。この結果からは、徐々に太陽光発電以外の再
生可能エネルギーが台頭してくる様子がうかがえる。ちなみに、同調査では2014年12月当時、環境ビジネスを実施している
企業の環境事業への業況DI(ディフュージョン・インデックス)は「22」だった。全ビジネスを対象とした業況DI「11」や日銀短
観の業況DI「5」を上回る。かつ、半年先のDIは「23」(全ビジネス「12」)、10年先のDI「25」(全ビジネス「7」)と、将来の景況
感が全ビジネスと環境ビジネス企業との間では対称的なベクトルとなっている。国民の負担を抑えながら、再生可能エネル
ギー事業を拡大させる方法は見つかるだろうか。今後の展開が注目される。(ZUU online 編集部)
再生エネ偏重にリスク
導入急げば国民・企業に負担増 SankeiBiz 2015年5月4日(月) 9時46分「何を根拠にしてい
るんだ。説明してほしい」
今月8日、自民党本部で開かれた環境・温暖化対策調査会。エネルギーミックス(電源構成比
率)をめぐる議論で、ある参院議員が鋭く詰め寄った。やり玉に挙がったのは太陽光発電や風力など再生可能エネルギー
の導入拡大を進める環境省の試算だ。■経産省VS環境省
環境省は、送電網の整備や蓄電池の活用などにより、平成
42(2030)年度で発電電力量の最大35%を再生エネで供給できるとした。議論を先導し、電源構成に占める再生エネの
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比率を上積みする狙いだ。しかし、必要なインフラ整備をどう進めるのかなど、具体的な道筋は示されず、自民党幹部は
「地に足の着かない数字」と批判した。再生エネの過度な導入は電気料金の高騰を招く。実現可能な数字を目指す経済産
業省や自民党議員らは、環境省案に一斉に反発した。この試算は事実上お蔵入りとなり、原子力発電を一定程度確保す
る流れができた。28日まとまった電源構成案は、再生エネの比率を22~24%とすることで決着した。経産省幹部はこの日
の有識者会議で「再生エネの最大限の導入拡大と国民負担の抑制を両立した」と胸を張った。■ずさんな制度設計
政
府は再生エネの導入拡大に優遇措置を講じている。だが、拙速な導入拡大は、電力の安定供給の妨げとなる面もある。
「制度が悪いのは事実だ」
昨年10月中旬、再生エネの普及拡大を目指す「固定価格買い取り制度」(FIT)見直しを議
論した有識者会議で、山地憲治委員長=地球環境産業技術研究機構(RITE)研究所長=はこう指摘した。平成24年7月
に導入されたFITは、大手電力会社に対し、再生エネによる電力を一定期間、全て買い取るよう義務付けた。結果、買い取
り価格の高い太陽光に申し込みが集中した。全て受け入れれば送電容量を上回り、大規模停電につながる恐れがあり、九
州電力など5社は昨秋、一時、買い取りを中断した。
FITの骨格が固まったのは23年夏。退陣を迫られた当時の菅直人
・民主党政権が、退陣条件に関連法案の成立を挙げた経緯がある。法律施行後3年間は「(再生エネの)供給者が受ける
べき利潤にとくに配慮する」との付則が加わり、買い取り価格の大幅引き上げにつながった。前出の山地氏は「(FITの設計
は)国会で調整した。最大の責任はそこにある」と、FITが作られた過程を非難する。ずさんな制度設計が、「再生エネの全
量買い取り」という大原則を大きく揺るがす結果を招いた。■原発と相互補完
FITによる再生エネの買い取り費用は、電
気料金に上乗せされている。経産省は3月、FITによる27年度の電気料金の上乗せ額が、標準家庭で月474円になると公
表した。5月の料金から適用され、26年度から2倍超に膨らむ。年間では5688円の負担だ。電気料金が上昇すれば、電
気代の安い海外に企業が逃げ出す恐れもある。経済界からは「企業経営に深刻な問題だ」(日本商工会議所の清水宏和・
中小企業政策専門委員)と不安の声もあがる。電源構成が再生エネに偏れば、国民負担が増すのは火を見るより明らかだ。
「原発と再生エネは相互補完的なものだ」
4月13日、都内で開かれた日本原子力産業協会の年次大会で、国際原子力
機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、こう強調した。政府は今年1月から、最適な電源構成をめぐる検討作業を本格的に
始めた。目指したのは「経済性、環境性、安定供給そして安全性を踏まえ、バランスの取れた電源構成」(山際大志郎経産
副大臣)だ。再生エネは地球温暖化の防止に加え、“純国産”のエネルギーでもある。しかし、導入拡大を急げば、安定供
給を損ない、企業や国民の負担増を招く。原発を20~22%とする政府判断は、原発は重要電源とのメッセージでもある。
川内原発
仮処分申し立て「却下」で即時抗告
テレビ朝日系(ANN) 5月6日(水)17時35分配信
決定を不服として即
時抗告です。九州電力の川内原子力発電所の再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、先月、鹿児島地方
裁判所が却下したのを不服として、住民らが福岡高等裁判所宮崎支部に即時抗告しました。川内原発1号機では、再稼働
に向けた最終段階となる使用前検査が続いています。住民側は引き続き地震対策や火山対策などで争う方針で、仮処分
はすぐに効力が発生するものの、再稼働前に福岡高裁宮崎支部が結論を出すかどうかは不透明な状況です。
家庭ゴミから“放射線”
中からは金属製の箱が…
テレビ朝日系(ANN) 5月6日(水)17時0分配信
家庭ごみから微
量の放射線が検出されました。5日、東京都北区で収集された不燃ごみの袋の放射線検査をしたところ、区の基準を上回る
毎時4.15マイクロシーベルトの放射線が検出されました。清掃事務所によりますと、線量を発していたのは、縦横約30cm、
厚さ5cmほどの金属製の箱で、「家庭の風呂でラドン温泉が楽しめる」とする商品とみられるということです。区は、原子力規
制委員会の指導のもと、専門の業者に処理を依頼する方針です。
東京電力、2015年度に待ち受ける不安要因
東洋経済オンライン 5月5日(火)7時50分配信
「コスト削減の成果が
着実に出ているのは事実。ただ、期間収支を何とかやりくりしている状況で、継続的に黒字を生み出す構造にはまだなって
いない」
2013年度(2014年3月期)に続いて、2014年度も経常黒字を達成した東京電力。4月28日の決算会見で廣瀬直己
社長はこのように述べ、収支安定化には柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働が欠かせないことを強調してみせた。20
14年度の連結決算は、経常利益が2080億円と、前年度の1014億円から倍増した。単体では1673億円(前年度比3.9倍)とな
り、昨年1月に策定していた再建計画(新・総合特別事業計画)とほぼ同額に。一方、この2015年度については、全機停止中
にある柏崎刈羽原発の「再稼働の見通しが示せない」(廣瀬社長)として、会社側は業績予想を“未定”とした。■
度は電力の販売量が増加?
2015年
2014年度、最大の増益要因は5年ぶりとなる燃料費の削減だ。販売電力量の下落や、修繕
費、購入電力料などの経費増加を吸収した。単体での燃料費は、前年度と比べ1割(2643億円)も減った。円安の影響でな
お高水準とはいえ、火力発電量の減少や燃料輸入価格の低下、千葉と鹿島の火力発電所の発電方法変更に伴う熱効率
アップが効いた。減価償却費や、人件費も減った。福島第一原発事故の損害賠償費5959億円を特別損失として計上し、
純利益は実質的には巨額赤字が続く。だが、東電の5割強の株式を持つ原子力損害賠償・廃炉等支援機構からの資金交
付金8685億円が特別利益に計上され、結果的には大幅黒字に。損害賠償費とその立て替え支援金である資金交付金は
本来同額だが、計上時期のズレで交付金が大幅に上回った。では、業績予想を開示しなかった2015年度の業績はどうなる
か。会社側は、売上高を左右する販売電力量のみ、前年度比1.7%増と予想を出している。冷夏の影響などで3.6%減とな
った前年度から大幅回復を見込む。景気回復を織り込んだものと見られるが、すでに電力小売りが自由化されている高圧
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分野での解約が増えており、その取り戻しや、関東域外での新規開拓でカバーできるかが課題となる。会社側が黒字体質
化への必須項目とする、柏崎刈羽原発の再稼働については、今年度も実現が見込みにくい。6、7号機の新規制基準の適
合性審査を2013年9月に申請し、原子力規制委員会での審査会合を220回以上にわたり重ねてきた。しかし地震や重大事
故対策の評価が難航し、依然として審査終了のメドが立たない。地元の新潟県知事も「福島原発事故の原因究明が不十
分」として、再稼働を認めない姿勢を変えていない。東電は2012年9月に電気料金を値上げした際、柏崎刈羽1、5、6、7号
機が2013年度から、同3、4号機は2014年度から順次再稼働するものと仮定して原価計算をしていた。だがその想定が狂っ
たことで、代替である火力発電の燃料費が急増。これを人件費や燃料費の削減、修繕費の一時繰り延べなど、コスト圧縮を
上積みすることで、追加値上げもなく経常黒字を達成してきた。今年度も原発が再稼働しない前提とすると、コスト削減で黒
字維持を目指すのが基本路線になる。再値上げについて会社側は、「原発再稼働がないとしても、2015年中の値上げはし
ない」(数土文夫会長)と昨年末に宣言している。業績次第で2016年以降の再値上げの可能性を残しているが、来年4月か
ら始まる電力小売り全面自由化に伴う競争激化を考えれば、再値上げは難しい。■
修繕費が増える可能性大
再稼働
時期が未定、値上げも厳しいとなると、今後もコスト削減が欠かせない。まずプラス要因として、昨年来の原油やLNG(液化
天然ガス)価格の低下が挙げられる。燃料価格の増減は、数カ月のタイムラグを経て燃料費調整制度を通じて電気料金に
反映されるためで、東電ではこの時間差により今後1000億円程度の利益が見込まれるという。ただ2015年度のコスト削減余
地について会社側は、「見通しを出せない」(文挟誠一常務執行役)と名言を避ける。2014年度は修繕費を中心に、緊急避
難的にコストを繰り延べたため、2015年度はその反動でコストが増える可能性を示唆している。また、経常利益が改善したこ
とで、機構に対する負担金の増加も想定しておく必要がある。こうしたことを考え合わせると、2015年度の連結経常利益は
前年度の2080億円と同程度か多少の減益が見込まれる。1800億円程度と予想するのが妥当だろう。この水準は、再建計
画を維持するうえでも最低限の目標となるため、ひとつのメドになる。廣瀬社長は、電力小売り全面自由化を控えて、「スピ
ード感を持って経営改革を進めたい」と語る。東電では「電気料金と携帯電話料金とのセット割引」を目標に、ソフトバンクな
ど通信大手3社との交渉を進めている。「毎月料金を請求するなど、(電力と通信は)親和性が高く、バンドル(組み合わせ)し
やすいサービスがたくさんあるはずなので、工夫のしどころだ」(廣瀬社長)。営業エリアが限定されてきた電力会社にとって、
全国に営業網を持つ通信会社と組むメリットは大きい。ただ、通信会社1社と排他的な提携をすれば、その他の通信会社と
別の電力会社が組んでしまい、東電が逆に顧客を失うことにもなりかねない。そのため、少なくとも関東では大手3社と全方
位での提携を模索する必要があるだろう。通信会社以外にも、ガス会社や住宅リフォーム・修理サービス会社など幅広い業
界との提携が想定される。■
さまざまな手を繰り出す東電
このほか、4月30日には燃料調達・火力発電事業における
中部電力との合弁会社「JERA」を設立。2016年4月からのホールディングカンパニー制に向けた組織再編も進めている。来
年度には社債市場への復帰という目標もある。そのためにも、「2014年度に(単体で)12.1%だった自己資本比率を、2015年
末には何としても15%に乗せたい」(文挟常務)。利益を上げると同時に、「不要な資産を除却してスリムにする」(同)考えだ。
東電にとって、まだまだ経営効率化の課題は多い。
仏中、原発めぐり接近=アレバに資本参加案
時事通信 5月5日(火)5時51分配信
【パリ時事】原発大国フランスが、
原子力事業をめぐり中国と関係を強化する動きが表面化してきた。仏政府は拡大する中国原発市場に熱い視線を注ぎ、中
国側にも世界最先端の仏原子力技術を学べる利点がある。ただ仏国内には中国の台頭を警戒する声も根強く、両国の「二
人三脚」が軌道に乗るかは予断を許さない。仏日曜紙ジュルナルデュディマンシュは3日、中国原発企業の中国広核集団
(CGN)など2社が、仏政府が株式の87%を保有する原子力大手アレバに最大10%出資する案が浮上していると伝えた。7
月をめどにアレバがまとめる再建計画に盛り込まれる可能性がある。東京電力福島第1原発事故を受けて一部の国が「脱
原発」にかじを切る中、アレバは建設中の新型炉に関するトラブルも重なり、2014年決算で約50億ユーロ(約6700億円)の
巨額赤字を計上。立て直しに必要な国費負担を極力抑えたい仏政府にとって、中国の出資は「渡りに船」だ。一方、自力で
最新型炉を開発する能力を持たない中国は技術獲得を虎視眈々(たんたん)とうかがう。アレバが保有するアフリカのウラン
鉱山の権益にも関心を示しているもようだ。仏政府は1月、自動車大手プジョー・シトロエン・グループ(PSA)のトップとして
同社と中国同業東風汽車の資本提携をまとめたバラン氏をアレバ会長に起用。バルス首相も1月の訪中時に、両国の「原
子力をめぐる野心的な連携」に意欲を見せた。背景には「30年までに原子炉100基」の建設を計画していると伝えられる中
国の旺盛な原発需要を取り込む狙いがある。
「いい加減な計画に付き合えぬ」怒られる九電
原発審査はなぜ進まない?
産経新聞 5月4日(月)19時25分配信
原発の審査がなかなか進まない。平成25年7月に新規制基準が施行され、審査が始まったが、丸2年を経ても1基も動か
ないことは確実になった。審査申請が出ているのは現在、15原発24基。審査では一体、何が行われているのか。何が審
査を遅らせているのか。15原発の審査を総ざらいチェックしてみた。(原子力取材班)■先行原発、つまずきっぱなし
画(書類)の出来が遅くなって申し訳ありません。いま頑張って作っているところなのですが…」
「計
4月末に開かれた審査会
合で、九州電力の中村明・上席執行役員は、消え入りそうな声でそう答えを振り絞った。規制委は一向に書類を出さない九
電に対し、業を煮やしていた。川内原発1号機(鹿児島県)の再稼働には一部の機器を供用している2号機の工事計画認
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可が必要。その計画が出ていないばかりか、現在行われている1号機の使用前検査の計画も無理な日程が詰まっていた。
原子力規制庁の幹部は「いい加減な計画にお付き合いできない。われわれの審査官や検査官は公共財だ。資源を無駄に
できない」と一喝した。いち早く新規制基準の適合性に合格した川内原発ですらこうだ。一時は川内を抜いて再稼働一番
乗りの観測も出た関西電力高浜3、4号機(福井件)は、“異質な”裁判官にストップをかけられた。福井地裁が4月14日、ゼ
ロリスクを求めて再稼働を認めない仮処分を決定したからだ。仮処分はすぐに効力を持つため、取り消されるまで運転はで
きないという大きな障害を抱えることになった。川内、高浜と続いて審査合格が決まっているのは、四国電力伊方3号機(愛
媛県)。規制委は現在、事実上の合格証となる「審査書案」の作成に取りかかっており、順調に進めば6月にも合格する。新
基準施行と同時に申請した先行原発はほかに、関電大飯3、4号機(福井県)、九電玄海3、4号機(佐賀県)と北海道電力
泊1~3号機(北海道)がある。関電と九電はそれぞれ合格原発に手を取られているため、大飯と玄海に人材を回す余裕が
なく、審査は事実上ストップしている。泊はまだ基準地震動(想定される最大の揺れ)の設定に難航しており、合格を見通す
ことができない。■BWRはベント設備の審査がカギ
先行原発の炉型は加圧水型軽水炉(PWR)で、福島第1原発と同じ
沸騰水型軽水炉(BWR)の審査の申請は遅かった。原発事故を起こした同じ炉型ということもあり、安全対策設備に時間が
かかっていたが、東京電力柏崎刈羽6、7号機が昨年9月に申請されると、次々と各事業者が名乗りを上げた。BWRはほか
に、電源開発(Jパワー)大間(青森県)▽東北電力東通1号機(青森県)と女川2号機(宮城県)▽北陸電力志賀2号機(石
川県)▽日本原子力発電東海第2(茨城県)▽中部電力浜岡4号機(静岡県)▽中国電力島根2号機(島根県)▽-の計7
原発7基ある。4月末までに、審査会合は柏崎刈羽で約50回、島根、女川で40回を超えた。合格を得た川内や高浜の会
合が60~70回だったことを考えると、折り返し地点まで来たといえる。ただ、やはり審査で最大のハードルともいえる基準地
震動の策定について、決定した原発はまだない。敷地内の破砕帯(断層)の状況や、周辺活断層の影響など考慮すべき事
項が多くあるからだ。特に、浜岡は東海大地震の影響が懸念されている。民主党政権のときに政治判断で“停止命令”を受
けただけに、長期の議論が予想される。さらに、BWRはPWRと違って、事故時に格納容器を守る「フィルター付きベント
(排気)設備」が性能として義務付けられている。福島第1原発事故でうまくベントができなかったことの教訓から、厳格な審
査が予想されているが、ベントの運用方法やベントを実施するタイミングについて、まだ議論が深まっていない。4月初旬に
開かれた審査会合では、各社が原子炉格納容器圧力が最高使用圧力に達した時点などをベント実施のタイミングに定め
たが、実施判断から実際に操作するまで十分な時間があるか問題となった。柏崎刈羽の場合、判断から限界圧力まで時間
がなかったことで、規制委から指摘を受けている。■運転延長なるか、高浜1、2号機
PWRだが、関電高浜1、2号機(福
井県)は、運転期間が原則40年を超える原発のため、さらに厳しい道のりが予想される。難燃ケーブルへの交換などが求
められ、老朽化した原発への審査の目は通常の原発より厳しくなるのは明らかだ。3月末に、専門家調査団から敷地内に2
本の活断層があると指摘された東通1号機もまた、難航しそう。これらの活断層は原子炉直下にないため、耐震設計をやり
直せば合格と判断される可能性はある。しかし原子炉直下の断層は両論併記され、今後の審査の中で判断が必要となるが、
長期化することは目に見えている。志賀2号機もまだ専門家調査団の間で議論が続いており、活断層かどうかの評価書が
出なければ、本格審査に入れない。複数のハードルがあるのが、大間原発。建設中の原発の申請は初めてだった。大間の
最大の特徴は、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を炉心に100%使う「フルMOX」であることで、商用として
は世界で初めての原発となる。ただ、MOX燃料は、核分裂反応を止めるときに使う「制御棒」の作用が通常よりわずかに下
がるという特有の問題がある。規制委の田中俊一委員長は「フルMOXは世界でも実例がないから相当慎重に評価しなけ
ればならない」と述べている。さらに、原子力防災の対象となる半径30キロ圏に入る北海道函館市が昨年4月、同社や国に
工事差し止めを求めて、東京地裁に提訴していることもクリアできるか見通せない。
米国科学者協会、「韓国は5年以内に数十個の核兵器製造可能」
中央日報日本語版 5月4日(月)13時10分配信
韓国が核兵器開発に乗り出せるという米国の専門家の報告書が出された。韓国の聯合ニュースは3日、米国科学者協会
(FAS)のチャールズ・ファーガソン会長が米国の代表的非拡散専門家と官僚、議会関係者などが参加した会合で「韓国が
どのように核兵器を取得し配置できるか」という題名の報告書を入手して報道した。聯合ニュースの報道によると報告書は、
「現在韓国は国際非拡散体制の強力な守護者であるだけでなく米国から拡張抑止力を提供されており、核武装に出ないと
いう見方が支配的だが、北東アジア情勢の変化の中で国家安保が重大な脅威に直面する場合、核武装の道に進む可能
性がある」と明らかにした。報告書は韓国が核爆弾を製造するのに必要な▽核物質▽核弾頭設計▽運搬体系を簡単に構
築できるだけでなく、すでにいくつかの核爆弾を作れる能力を備えたと分析した。また、現在月城(ウォルソン)に位置する
原子力発電所の4基の加圧重水炉(PHWR)で416個の核爆弾を作れる準武器級プルトニウム2500キログラムを生産し5
年以内に数十個の核弾頭を作ることができると予想した。
「日本には危機管理訓練が欠如」
原発事故にアレバ元CEO
東京電力福島第1原発事故直後の汚染水処理に当た
った原子力世界最大手フランス・アレバの元最高経営責任者(CEO)アンヌ・ロベルジョン氏(55)が5日までの共同通信の
取材に「日本には危機管理の訓練が欠けていた」と述べ、日本政府や東電が十分な対策を取っていれば、事故は避けるこ
とができたとの認識を示した。パリ市内で取材に答えた。2011年6月にCEOを退任して以降、第1原発事故の対応をめぐり、
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日本メディアの取材に応じたのは初めて。ロベルジョン氏は「日本は当初、自分たちだけで事故を管理するというやり方を
選んだ」と指摘し、日本側の対応に疑問を呈した。2015/05/05 17:34
核ごみ処分地
政府主導
【共同通信】
公募方式を今月改定 東京新聞2015年5月4日
政府は今月、原発から出る核のごみ(高レ
ベル放射性廃棄物)の最終処分に関する基本方針を七年ぶりに改定する。これまでは公募方式で、自治体が処分地に名
乗りを上げても住民の反対で頓挫した経験を踏まえ、政府が「科学的有望地」を示した上で、全国の複数の自治体に調査
を申し入れる仕組みを導入する。処分地探しは、電力会社でつくる原子力発電環境整備機構に任せきりで見つからず、原
発は「トイレのないマンション」と批判されてきた。夏以降に再稼働を控え国主導で候補地選びを加速させる。宮沢洋一経
済産業相は対象地域に関し「かなり広い地域が出てくる」との考えを示している。現行方針では、使用済み核燃料はプルト
ニウムなどを取り出し、残りを地中深くに埋め「地層処分」するとしている。新方針でも地層処分を前提に処分地を探すが、
再処理せずに燃料を直接処分する研究も同時に進めることにした。また、将来の政策変更や技術革新に応じ、処分地や
処分方法の見直しができるようにする。政府は今月から、早期に最終処分場を建設する必要性を国民に訴えるシンポジウ
ムを、原発を持つ電力九社の本店がある九都市で開催。七月以降、対話形式で意見を聞く機会などを設け、有望地の提
示に向けて国民の関心を高めたい考えだ。<高レベル放射性廃棄物>原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウム
とウランを回収した後に残る「核のごみ」の一種。再処理の廃液とガラスを混ぜてガラス固化体にして処分するが、長期にわ
たって極めて強い放射線を出す。国は2000年、地下300メートルより深く埋めて地層処分する基本方針を決め、02年から
候補地の公募を始めたが進展がない。今月改定する方針では、処分作業の途中でも重大な問題が見つかった場合は中
止できることを強調、自治体の受け入れのハードルを下げる。廃炉で出る低レベル放射性廃棄物などは処分方法が異なる。
2035年には中国が世界第2のシェールガス生産地区に BPが予測 (15/05/04)2015/05/06
BPが4月28日に北京
で発表したレポート“BP Energy Outlook 2035”によると、2035年には世界のシェールガス増加量のうち13%を中国が占め、
その頃には中国と米国で世界のシェールガス生産量の85%を供給することになる。BPの予想によると、向こう20年間、中国
の天然ガス生産量は年平均5.1%の伸び率を維持し、特にシェールガスが天然ガス生産の増加を推進する重要な要素に
なる。中国のシェールガス生産量は2025~2035年に年平均33%の伸び率を維持し、「中国は北米に次ぐ世界第2のシェー
ルガス生産地区になる」と、BPの首席エコノミストSpencer Daleは言う。BPのレポートによると、2035年には世界のシェール
ガス供給量の中で北米が4分の3を占めるが、北米以外のシェールガス生産量が急速に伸び、その中で中国は最もポテン
シャルの大きい国になる。その理由として、Spencer Dale氏は、中国のシェールガス資源量が豊かであること、中国政府が
シェールガス開発に対して採っている支援政策と中国のシェールガス探査開発が成果を上げていることを挙げ、「中国の未
来のシェールガス開発の成否は、より多くの民間資本を導入してより十分な競争を展開する市場を形成できるかどうかによ
って決まる」との見方を示した。また、BPのレポートによると、中国は2030年頃に米国を抜いて世界最大の石油消費国にな
り、2035年には中国の石油輸入依存度は現在の60%足らずから75%に上昇し、天然ガス輸入依存度は現在の30%足らず
から40%超に上昇する。その頃には中国は世界最大のエネルギー輸入国になり、エネルギー輸入依存度は15%から23%
に上昇することになる。(経済参考報 5月4日)
ロシアが対中石油ガス輸出の大幅増で欧米に対抗 (15/04/30)2015/05/06
ロシアは中国への石油・天然ガス輸
出を推進するため、投資を増やしている。ロシア天然ガス大手GazpromのAlexei Miller社長は、2015年中に40億ドル以上
の追加投資を行う計画を明らかにした。アジアとより密接な関係を確立して、欧米に対抗する狙いがある。Miller社長による
と、追加投資はガス田やインフラ開発などロシア東部の天然ガス事業に当てる。Gazpromは今年の投資額について、当初
は162億ドルを計画し、その多くをヤマル半島の天然ガス田に当てる計画であったが、1年以内に投資額を引き上げることに
なる。2014年3月以降、EUはウクライナ問題を理由に対露制裁を実施し、ロシア側も対抗措置を採ったため、ロシアと欧州
の関係が悪化した。ロシアが東への転進を図り、エネルギー市場の開拓に取り組むとともに、中国との関係を強化すること
で、欧米の経済制裁に対抗しようとしている。一方、「シベリアの力パイプライン」(Power of Siberia pipeline)の着工が遅れ
る可能性があるとの報道があったが、Gazpromは、同パイプラインはすでに着工しており、遅延問題はないとしている。Mille
r社長は、「4~6年以内にガスパイプラインを完成させる」と表明した。今のところ、2020年に完成させる計画である。「シベリ
アの力パイプライン」の石油・天然ガス源はチャヤンダとコビクタの2大生産地になる。チャヤンダガス田は年間250億ft3の天
然ガスと少なくとも15億トンの石油を採掘することが可能であり、2018年末に採掘を開始する計画である。Gazpromによると、
中国への天然ガス供給量は50億ft3になると見込まれ、将来的には年間380億ft3に増やす。契約額は4,000億ドル規模に
なる。Alexander Novakエネルギー相は4月13日、中国との2件目の天然ガス供給協議について、年内合意を目指すと表明
した。報道によると、早ければ5月には2件目の契約で合意が成る見通しであり、契約額は4,000億ドルに上るだろう。Gazpro
mと中国石油天然ガス(CNPC)が昨年11月に調印した枠組協定によると、2件目の契約では供給量を年間最高300億ft3増
やすことになり、その結果、中国はドイツを抜いてロシア天然ガス最大の顧客になる。(生意社 4月30日)
中国が向こう5年間シェールガス補助金を引き下げへ (15/04/30)2015/05/06
中国政府は向こう5年間のシェール
ガス補助金を引き下げるよう決定した。今回の措置は、米国の「シェールガス革命」と比肩しようとする中国のシェールガス
- 11 -
産業にとって打撃になる。中国財政部の発表によると、2016~2018年のシェールガス補助金を、現行の0.4元/m3から0.3元
/m3に引き下げ、さらに2019~2020年には0.2元/m3に引き下げることになる。中国政府は国有石油企業によるシェールガ
ス開発を推進して、石油の輸入依存度を引き下げようとしたが、その成果は期待はずれであった。もっとも、中国石油化工
(SINOPEC)と中国石油天然ガス(PetroChina)は中央政府の設定したシェールガス生産目標の達成を誓い、そのためには補
助金が必要であると表明している。アモイ大学のエネルギー専門家である林伯強氏によると、中国政府が補助金を引き下
げるのは、技術進歩による開発コストの引き下げを期待しているからである。「ソーラーと風力発電のコストが下がりつつある
ことは一目瞭然だ。しかし、シェールガスについてはそのことがはっきりしていない」。中国の山の多い地形、パイプラインイ
ンフラの独占体制、人口密度の高い山間地区で水資源をシェールガス生産に用いる上での政治的な困難などが付きまと
い、中国のシェールガスは米国に比べコストが高く、難度も高い。一方、米国では国内のシェールガス供給の激増によって
エネルギー価格が抑えられ、シェールガスは輸入に取って代わっている。SINOPECはフーリンシェールガス田開発の成功
を宣伝しているが、同社の高官は昨年、補助金がなければ、シェールガス生産で収支バランスを実現することは出来ないと
表明していた。(中国経済新聞網 4月30日)
四川省長寧鉱区のシェールガスが大規模生産期に 今年の生産量は10億m3の見込み (15/04/29)2015/05/06
中国石油天然ガス(PetroChina)西北油気田公司「寧201-H1」井の大型脱水装置が稼動し、これにより長寧鉱区のシェール
ガスは大規模開発段階に進んだ。長寧シェールガス鉱区は四川省宜賓市長寧県と●県の一帯に位置し、面積約4,000平
方キロに上る。西北油気田公司が建設する長寧-威遠国家級シェールガス産業実証区の双璧をなす。2011年1月には長
寧鉱区初のシェールガス井になる「寧201」井が稼動し、良好な探査の見通しを示した。世界的なシェールガス開発ブーム
と中国の混合所有制度の発展を背景に、PetroChinaは四川能源投資集団、宜賓市国有資産経営公司並びに北京国聯能
源投資基金との共同出資により、中国初の地方と中央企業の協力によるシェールガス開発企業として、四川長寧天然気公
司を設立した。2015年には10億m3のシェールガス生産が見込まれている。(新華網 4月29日)
(●…王ヘンに「共」)
重慶シェールガス初の対外輸送パイプラインが全線開通 東部地区へシェールガスを輸送 (15/04/28)2015/05/06
重慶市のシェールガスにとって初の対外輸送パイプラインになるフーリン区-石柱王場ガスパイプラインが全線開通した。
フーリンシェールガス田のシェールガスはこのパイプラインを通して中国東部の各省に輸送される。フーリン区-石柱王場
ガスパイプラインは「川気東送」パイプラインに連結し、全長136.5キロ、直径1,016mm、中国初の大口径・高圧シェールガス
輸送パイプラインになる。年間輸送量は60億m3である。2014年8月に着工された、予定通り完成した。中国の天然ガスパイ
プライン網の重要な一環であり、浙江、江蘇、湖北等の天然ガス需給ギャップの緩和や地域的なエネルギー構造の改善に
寄与するとともに、シェールガス開発収益の最大化を実現し、中国のシェールガス資源の商業利用に対して実証的な作用
を果たす。中国石油化工(SINOPEC)川気東送管道分公司はフーリン区-石柱王場ガスパイプラインによって今年30億m3
のシェールガスを輸送する計画であり、その後もシェールガス供給量を年々引き上げることになる。(重慶日報 4月28日)
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