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精神障がい
2013/6/4
今日は精神障害
2013年度1学期 臨床哲学講義 2013年6月18日
ケアの臨床哲学 ー障がいとそのケアー (9)精神障害
浜渦辰二 13/06/18
•  なかなか難しいところに入ることになる •  そもそも「精神障害」という名称からして問題含みであるこ
とは、最初にも少し触れておいた。 •  英語には、”disease”(疾患、病名のはっきりした病気)
と”disorder”(不調、無秩序、異常、障害)の区別がある。 •  ICD(Interna7onal Sta7s7cal Classifica7on of Diseases and Related Health Problems)-­‐10でも、DSM(Diagnos7c and Sta7s7cal Manual of Mental Disorders)-­‐IVでも、「精神障害
」に対しては”mental disorder”を使っている。 •  なぜかと言えば、DSM-­‐IV-­‐TRは、「どのような定義によって
も精神障害の概念に正確な境界線を引くことができない
」「「精神障害の定義は存在しません」と述べている。 13/06/18
確定診断が難しい
•  精神の病いは身体の病いのように、検査をすればすぐ分かる
というものではなく、診断に時間がかかり、治療にも時間がか
かり、治療が終わっても、「治癒」(直った)ではなく、「寛解」(症
状がおさまっている)と言われる。 •  DSMは、原因探究は断念し、症状から診断をしようとする。 •  その診断基準は、先に見たように、例えば、「以下の症状のうち5
つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能か
らの変化を起こしている」という具合である。 •  同じ患者が、複数の精神障害の診断基準を満たす場合もあり
、医師によって異なった病名をつけられるということもある。 •  mental disorder”が使われているにもかかわらず、その訳語と
して、DSM-­‐IVから「精神疾患」という語が使われている。 •  13/06/18
診断が確立されたかのような誤解が蔓延している(Wikipedia)。 もう一つ例:統合失調症(1)
•  A:特徴的症状 以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのお
のは、1カ月の期間(治療が成功した場合はより短い)ほと
んどいつも存在:
(1)妄想
(2)幻覚
(3)まとまりのない会話(例:頻繁な脱線または滅裂)
(4)ひどくまとまりのないまたは緊張病性の行動
(5)陰性症状、すなわち感情の平板化、思考の貧困、ま
たは意欲の欠如
•  注:妄想が奇異なものであったり、幻聴がその者の行動や思考を逐一
説明するか、または2つ以上の声が互いに会話しているものであると
きには、基準Aの症状を1つ満たすだけでよい。
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もう一つ例:統合失調症(2)
•  B:社会的または職業的機能の低下:障害の始まり以降の期
間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以
上の機能が病前に獲得していた水準より著しく低下している(
または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、
学業的、職業的水準にまで達しない)
•  C:期間:障害の持続的な徴候が少なくとも6カ月間存在する。
この6カ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活
動期の症状)は少なくとも1カ月(または、治療が成功した場
合はより短い)存在しなければならないが、前駆期または残遺
期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期ま
たは残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もし
くは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱めら
れた形(例:風変わりな信念、異常な知覚体験)で表されるこ
とがある。
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もう一つ例:統合失調症(3)
•  D:失調感情障害と気分障害の除外:失調感情障害と「気分障害、精
神病性の特徴を伴うもの」が以下の理由で除外されていること
–  (1)活動期の症状と同時に、大うつ病、躁病、または混合性のエ
ピソードが発症していない
–  (2)活動期の症状中に気分のエピソードが発症していた場合、そ
の持続期間の合計は、活動期および残遺期の持続期間の合計
に比べて短い
•  E:物質や一般身体疾患の除外:障害は、物質(例:乱用薬物、投薬)
または一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない
•  F:公汎性発達障害との関係:自閉性障害や他の公汎性発達障害の
既往歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が
少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合は、より短い)存在す
る場合にのみ与えられる
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「病い」と「障害」
•  “mental disorder”は、”disease”(疾患、病名のはっきりした
病気)ではないにもかかわらず、ICDとDSMで「病い」に分類
されていることは確か。 •  しかし、確定診断と治療のもつ困難さから、「病い」と「障害
」の間に、「患者」と「障害者」の間に線を引くのは難しい。 •  英語では、”mental disorder”と呼ばれたり、”mental disability”と呼ばれたり、日本語では、「精神疾患」と呼ば
れたり、「精神障害」と呼ばれたり、「病い」と「障害」のあい
だの線引きは難しい。 •  「精神疾患は「病気」の面を表し、精神障害は「障害」の面
を表します」という言い方も見られる。 13/06/18
精神疾患・精神病・精神障害
•  精神疾患(mental disorder)は、医学上の概念で、ICD-­‐10のF00-­‐F99と、
DSM-­‐IVが挙げているものすべて。 •  精神病(mental illness)は、広義には精神疾患と重なるが、狭義
(psychosis)には統合失調症・双極性障害(躁うつ病)・てんかん等
の「内因性の精神疾患」が「三大精神病」と呼ばれた(クレペリン)。 •  精神障害(mental disorder, mental disablity)は、医学上と行政上で
用法が異なる。 •  「精神」という語を避けたい人々(例えば、全国精神障害者家族会連
合会)や、心理学/カウンセリング系の人々は「こころの病い」「心の
病気」と呼んだりもする。 •  日本における精神医学(psychiatry)と心理学(psychology)の関係の
いびつさ。 •  以上のような事情を前提したうえで、日本の現状に目を向けて行き
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たい。
日本の現状
•  すでに何度も挙げたように、『障害者白書』によれば、精神
障害者の数は知的障害児・者よりもはるかに多いが、身
体障害児・者よりも若干少ない。 •  それでも、精神障害者は日本総人口の2.5%(つまり100
人のうち2〜3人)という割合になる。 •  しかし、この簡略化したデータの もとの『白書』を見ると、 「精神障害児・者」ではなく 「精神障害者」(つまり18歳未満は 含まない)表記されていることに 注意。 13/06/18
精神障害者の定義
•  「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(1950)に、「「
精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中
毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患
を有する者をいう」(第五条)とあるが、「その他」に何が入るの
かは、よく分からない。 •  『白書』の注には、「精神障害者の数は、ICD-­‐10の「Ⅴ 精神及
び行動の障害」から精神遅滞を除いた数に、てんかんとアル
ツハイマーの数を加えた患者数に対応している」としている。 •  つまり、精神遅滞は知的障害者に分類されるのでここから除
外し、上記の定義に「てんかん」と「アルツハイマー」を加えて
カウントしていることになる。 13/06/18
てんかん(Epilepsy)
アルツハイマー
•  脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動(てんかん
放電)のためてんかん発作を来す疾患あるいは症状である。
WHO国際疾病分類第10版(ICD-­‐10)ではG40である。 •  「てんかん」は、医学的には「精神障害」ではなく「神経系疾患
」であるが、1995年の「精神障害者福祉法」改正により、行政
的には「精神障害」としてカウントされ、「精神障害者保健福
祉手帳」が交付されている。
•  著名人では、ナポレオン、ドストエフスキー、ゴッホ、ユング、
アインシュタインらがてんかん発作をもっていたと言われる。 •  昨年4月京都で、てんかんの持病があり、治療を受けていた
30歳男性が、車で暴走し、8名が死亡、11名が重軽傷という
事件があった。 •  アルツハイマー型認知症(Alzheimer‘s disease)のことで、認
知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種。 •  病理学的には、大脳皮質、海馬の萎縮、および脳室の拡大
が見られる。 •  日本では、認知症のうちでも脳血管性認知症、レビー小体病
と並んで最も多いタイプである(認知症の3割を占めると言
われる)。 •  さきに、身体障害(肢体不自由)のところで、脳卒中後の後遺
症としての脳血管性認知症について触れたが、それはここで
は除外されているかに見える。 •  つまり、アルツハイマーはあくまでも認知症の一部なので、さ
きほどの『白書』は、アルツハイマー型の認知症のみが精神
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障害としてカウントされていることになる。
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もう一度日本の行政に戻ると
•  何度も見たように、「精神保健及び精神障害者福祉に関す
る法律」(1950)には、「「精神障害者」とは、統合失調症、
精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害
、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」(第五条)
とあり、 •  「障害者基本法」第二条では、次のように言われている。
–  一 精神障害(発達障害を含む。)がある者であつて、障害及び社
会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を
受ける状態にあるものをいう。
–  二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を
営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念そ
の他一切のものをいう。 13/06/18
•  「障害者支援法」第四条では、この法律において「「障害者
」とは、……精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第
五条に規定する精神障害者(知的障害者福祉法にいう知
的障害者を除く)のうち十八歳以上である者をいう。」 •  十八歳未満の精神障害児は、「児童福祉法」第四条2の「
精神に障害のある児童(発達障害者支援法 (平成十六年
法律第百六十七号)第二条第二項 に規定する発達障害
児を含む。)」に該当することになる。 •  発達障害者支援法ができたのが2002年、『障害者白書』
のデータには、まだ発達障害の調査が含まれていない。 •  発達障害については、来週。
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精神障害者保健福祉手帳 障害等級判定基準(2012)
•  具体的な運用にあたっては、「精神障害者保健福祉手帳
の障害等級の判定基準について」の「精神障害者保健福
祉手帳障害等級判定基準の説明」がある。
•  精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定は、 – 
– 
– 
– 
精神障害児は?
(1)精神疾患の存在の確認 (2)精神疾患(機能障害)の状態の確認 (3)能力障害(活動制限)の状態の確認 (4)精神障害の程度の総合判定 •  という順を追って行われる。障害の状態の判定に当たって
の障害等級の判定基準を下表に示す。
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1級の精神疾患(機能障害)の状態
1)統合失調症によるものにあっては 、高度の残遺状態又は高度の病状がある
ため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるもの 2)気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動及び思考の
障害の病相期があり、かつ、これらが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするもの
3)非定型精神病によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記1、2 に準ずる
もの
4)てんかんによるものにあっては、 ひんぱんに繰り返す発作又は知能障 害そ
の他の精神神経症状が高度であるもの
5)中毒精神病によるものにあっては 、認知症その他の精神神経症状が高度の
もの
6)器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害
、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうちひとつ以上が高度のもの
7)発達障害によるものにあっては、その主症状とその他の精神神経症状が高
度のもの
8)その他の精神疾患によるものにあっては、上記の1〜7に準ずるもの
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1級の能力障害(活動制限)の状態
1)調和のとれた適切な食事摂取ができない。
2)洗面、入浴、更衣、清掃等の身辺の清潔保持ができない。
3)金銭管理能力がなく、計画的で適切な買物ができない。 4)通院・服薬を必要とするが、規則的に行うことができない。 5)家族や知人・近隣等と適切な意思伝達ができない。協調的な対関係を
作れない。
6)身辺の安全を保持したり、危機的状況に適切に対応できない。 7)社会的手続をしたり、一般の公共施設を利用することができない。
8)社会情勢や趣味・娯楽に関心がなく、文化的社会的活動に参加でき
ない。 (上記1~8のうちいくつかに該当するもの)
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精神障害者の歴史(1)
•  1656年、フランスのルイ14世の指導により精神障害者、犯罪者、浮浪者
を収容する総合施療院、ビセートル病院とサルペトリエール病院が建設さ
れた。 •  1793年、フランスのフィリップ・ピネルらがビセートル病院の閉鎖病棟の患
者を鎖から解放する。 •  1852年、フランスの精神科医ベネディクト・モレルによって統合失調症は
初めて公式に記述され、仏Démence précoce(「早発性痴呆」)と呼ばれた。 •  1899年、ドイツのエミール・クレペリン が独Demen7a Praecox(「早発性
痴呆」)を著し、破瓜病、緊張病に妄想病を加えてまとめる。 •  1911年、スイスの精神科医オイゲン・ブロイラーは、必ずしも若年時に発
症するとは限らず、又、必ずしも痴呆に到るとは限らず、この病気の本性
は観念連合の弛緩にあるとして、独Demen7a Praecox(「早発性痴呆」)を独
Schizophrenie(旧称「精神分裂病」)と改名し疾患概念をかえた。 •  1952年、アメリカ精神医学会が精神疾患に関するガイドライン「精神障害
の診断と統計の手引き(DSM)」初版(DSM-­‐I)を出す。 13/06/18
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精神障害者の歴史(2)
•  古来、「狂人」「癲狂」「瘋癲」「気違い」などと呼ばれて来た。 •  1818年、漢方医の石丸周吾が私立の精神科診療所、石丸癲狂院(の
ちの石丸病院)を開院 •  1874年、文部省が東京府、京都府、大阪府に対し医制を発布し、癲狂院
(当時の精神科病院の名称)の設立を規定 •  1900年、精神病者監護法公布、私宅監置の制度化 •  1950年代、精神科病院建設ブーム •  1964年、ライシャワー駐日大使刺傷事件が発生 •  1965年、精神衛生法が改正。全国精神障害者家族会連合会が設立 •  1984年、宇都宮病院事件が明るみになる。べてるの家が発足 •  1995年、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行。精神障害
者保健福祉手帳制度制定 •  2002年、精神分裂病の診断名が統合失調症へ変更 13/06/18
精神病者に関する法律の変遷
•  精神病者監護法(1900) •  刑法(1907)特に第39条(心神喪失及び心神耗弱) •  精神病院法(1919) •  精神衛生法(1950)→「精神病院列島の出現」 →精神衛生法改正(1965)→措置入院制度を強化 →精神保健法に改称(1987)→精神障害者の人権 →精神保健法改正(1993) →精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に
関する法律)に改称(1995) •  優生保護法を母体保護法に改正(1996) • 13/06/18
心神喪失者等医療観察法(2003)←池田小学校事件
隔離・排除・差別・偏見
•  精神障害者は医療や福祉の対象である前に、警察の取り締ま
りと社会からの隔離の対象となっていた。 •  犯罪との関係が疑われ(実際には割合として多いわけでは
ない)、恐怖と排除の対象となってきた。 •  精神病院は治療施設というより、治安維持的な隔離・収容施
設として機能してきた。 •  昔から精神障害者は、他の障害者と比べると、強い差別と偏
見の対象になっている。 •  現在では身体障害者・知的障害者と同様の障害者として扱う
べきとされている。 •  しかし、今でも根強い偏見が存在するため、当事者の中には
就職などでの不利益な扱いを嫌って障害を持つことを隠す
例や、精神障害者手帳そのものを失効させる例も珍しくない。
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社会的入院
•  医学的観点からは既に入院の必要性が薄いにもかかわらず、
患者やその家族の生活上の都合により介護の代替策として行
われているのを、社会的入院と呼ぶ。 •  特に精神障害者の場合は深刻で、数年から十年以上、半世紀
以上も入院している患者も珍しくはない。精神障害とされる者の
場合、根本的な原因として患者の病状の回復に関わらず、両親
や親族が患者の退院を望んでいないことが挙げられる。 •  平成23年(2011)患者調査(厚生労働省)の結果によると、入
院患者総数約134万人のうち、精神及び行動の障害の患者は
28万人、神経系の疾患(てんかん、アルツハイマー病を含む)は
11万で、合わせて39万人なので、29%(4人に1人以上)が
精神・神経障害の患者。 •  社会的入院患者が約7万人とも言われている。 13/06/18
社会復帰
べてるの家
•  厚生労働省は、精神医療を入院中心から、できるだけ地域で生活でき
るように転換するため、都道府県が退院の数値目標を設定し、社会復
帰を支援する計画を作ることなどを盛り込んだ「精神保健医療福祉の
改革ビジョン」を2004年に策定した。 •  病棟や病床を、急性期、社会復帰リハビリテーションなどの4つに分け
、病状などに応じて治療できる体制を06年度に整える予定。 •  2006年度から10年間で、約7万人ともいわれる社会的入院の解消を目
指している。 •  前回紹介したように、北欧では、1960年代に知的障害者の施設から
始まった「脱施設」の動きが50年遅れで政策として打ち出されたもの
ではあるが、 •  さきほどの厚生労働省のデータを見る限り、地域の受け皿が十分整わ
ないまま社会復帰させようというところがあり、あまりうまく進んでいるよ
うには見えない。
•  1984年に設立された北海道浦河町にある精神障害等をか
かえた当事者の地域活動拠点で、社会福祉法人浦河べて
るの家(2002年法人化-小規模授産施設2箇所、共同住居1
2箇所、グループホーム3箇所を運営)、有限会社福祉ショッ
プべてるなどの活動の総体である。 •  そこで暮らす当事者達にとっては、生活共同体、働く場とし
ての共同体、ケアの共同体という3つの性格を有している。 •  べてるの家の特徴ある取り組みとしては「当事者研究」が
有名で、当事者の社会参加を支える充実した支援プログ
ラム、投薬の量が全国平均の3分の1、病床数の削減など、
先進的な取り組みがなされており、世界中から毎年3500人
以上の研究者・見学者が訪れる。
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