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4Kタブレットによる新たな4K活用提案 - ITU-AJ

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4Kタブレットによる新たな4K活用提案 - ITU-AJ
4Kタブレットによる新たな4K活用提案
パナソニック株式会社 AVCネットワークス社
ITプロダクツ事業部 4Kタブレット事業推進部 ソリューション開発課
1.はじめに
つきだて
りょうた
槻館 良太
〇高精細ペン
Full HDの4倍の解像度をもつ4Kの活用は、映像コンテ
紙の業務の特長のひとつである手書きで紙に書き込むこ
ンツ関連(放送、VOD(Video on demand)
、BD(Blu-ray
とを実現するために、画面に直接書き込みができる電子ペ
Disk)など)において始まり、
その制作環境は整いつつある。
ンの開発も同時に行った。今回採用した電子ペンは、画面
例えば2020年の東京オリンピックに向けて放送の4K/8K化
上に不可視のアドレス情報を印刷したフィルムを貼り付
が計画されている。また、VODなどでは既に複数の商用
け、それをペンで読み取る方式を採用している。この方式
サービスにおいて4Kコンテンツ配信が始まっている。
は本体の画面上に極薄のフィルムを画面上に貼り付けるだ
しかしながら、4Kの高精細な表現は、放送やVODなど
けで実現できるため、従来の電磁誘導方式の電子ペンのよ
の映像コンテンツ活用の世界にとどまらず、幅広い分野で
うに磁界発生/誘導信号を読み取る装置が本体側に不要と
活用できる可能性がある。特に超高精細のディスプレイを
なる。これにより本体の厚さ、重量、コストの面で優位性
用いた4Kの表示では粒状感を感じさせない、従来とは違
を持っている。
う次元の表現が可能である。
また、ペン先が接する面に書かれている画面上の位置を
弊社はこの新たな表現力に注目し、この表現力だからこ
表す情報を直接読み取り、ペン先の位置を算出するため、
そ実現できる“TVではない新たな領域”での4Kの活用を
非常に正確にペン先の位置を判別することができる。これ
考え“紙の置換”をコンセプトとした“4Kタブレット”の
によりペン先からずれが少ない書き込みを実現しており、
開発を行った。
本方式ではペンの位置に対する日常的なキャリブレーショ
2.4Kタブレットの特長
ンが不要であるという特長も備えている。
〇高精細ディスプレイ
弊社が開発した世界初の20インチ4Kタブレットの最大
の特長は、同製品用に弊社が新規に開発をした超高精細
の4K液晶ディスプレイである。これは230ppi(pixel per
inch)の高精細な液晶パネルで、ドットを視認することが
できないくらいきめの細かい表示が可能である。また、ディ
スプレイのアスペクト(画角)は多くの業務で用いられる
■写真1.4Kタブレット ペン付
カタログや図面、各種帳票に近い表現を可能とするために、
それらのアスペクトにならいTVのアスペクトの16:9では
〇軽量、薄型、タブレット形状
なく15:10(3:2)とした。つまり20インチ15:10の4Kディ
従来の紙を用いていた業務において紙の置換となる新
スプレイ(3,840×2,560ドット)は印刷されたA3の紙とほ
しいデバイスとするために、従来のデスクトップPCやノー
ぼ同等の表現が可能なのである。
トPCという形態ではなく、複数の人数で囲んで使えるタ
更に、この液晶パネルに採用されているIPS(In-Plane-
ブレットという形を選択し、A3同等の表現ができる弊社
Switching)-α方式は、開口率が大きく、明るく広い視野
独自のディスプレイデバイスを用いて、持ち運びができる、
角(176度)を持ち、平置きをした場合、どの方向から見
重量2.3kg、薄さ12.5mmのタブレットとして製品化した。
ても色の変異がほとんどなく、印刷物や紙の図面などを囲
また、この薄い筐体で高性能なCPU(Central Processing
んでレビューをする場面などで、紙に置き換えて使うこと
Unit)とGPU(Graphics Processing Unit)
、メモリ、SSD
に適している。
(Solid State Drive)など、パソコンとしてのフル機能を
実現している。更に、
Windows™を採用したことにより様々
ITUジャーナル Vol. 45 No. 12(2015, 12)
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スポットライト
会合報告
な業務の現場で利用されているアプリケーションをそのま
成果である。具体的には動作時・背面方向での76㎝落下
ま利用することが可能になっている。
試験、非動作時・26方向での30㎝落下試験もクリアするタ
この非常に薄い筐体の中に多くのデバイスを実装をする
フさを持ち合わせている。現在、この端末を用いて様々な
ために、弊社の携帯電話やポータブルオーディオ、モバイ
業界に対して新しい4Kの活用の提案を行っている。
ルパソコンなどの幅広い物づくりの技術を結集した。例え
ば、ダイレクトボンディングでタッチパネルを貼り付けた
3.4Kタブレットが提案する新たな4Kの活用
液晶パネルとマグネシウム合金のフレームを直接ホットメ
弊社は、この4Kタブレットの特長を活かし「紙の置換」
ルト方式で貼り合わせることで、非常に薄い筐体ではある
「高精細画面の可搬性/設置性の良さ」
「リアルの置換」と
が端末全体としての強度を確保し、ビジネス利用における
いう価値を様々な領域の業界に向けて提案を行っている。
タフ性能を実現している。これは弊社機構設計の技術の
以下に、想定されるその活用例を紹介する。
■図1.ホットメルト解説
■図2.ソリューション俯瞰
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〇オフィスにおける活用:役員向けの会議システム
な表現ができる。これは前述の会議システムと同様のディ
4Kタブレットを用いた電子会議システムでは、A3のプ
スプレイの特長を活かしたものである。精細な回路図も、
リンタの出力と同等の画質で表示ができ、従来の紙と同じ
俯瞰しても線がつぶれることがなく、全体を見ながら詳細
ような使い勝手を電子会議でも実現している。例えば、従
な部分を確認することができる。このように、A3の紙と同
来の解像度の端末では書類全体を表示して俯瞰して見よう
等の品位で表現できるようになるため、大量の紙の図面を
とする時には字はつぶれてしまい、逆に拡大すれば字は読
持ち歩くことが不要になる。また、デザイン確認時には、
めるが、
全体が俯瞰できないというジレンマに陥ってしまう。
曲面の表現時にギザギザな表示になるジャギーが出づらい
しかし、4Kタブレットの場合は、A3サイズの紙と同様
ので、よりリアリティのある表現ができる。
に俯瞰して表示しても高精細なディスプレイのため、字が
つぶれるようなことはない。経営数字など細かい数字を見
る機会が多い役員などには非常に好評である。もちろん必
要があれば拡大をして表示することもでき、画面に直接書
き込むことができるペンを用いることで従来の紙の資料と
同様に手書きのメモを残すこともできる。更に、デジタル
化された資料のため、従来の紙では表現できなかったプレ
ゼンテーションの効果や遠隔地との資料の同期表示、ポイ
ンタ(指示)
、アノテーション(注釈)の共有もできる。
また、紙の資料の印刷が不要なため、会議の直前や途
中での資料差し替えなど、柔軟な会議運営をも実現できる。
■写真3.図面レビュー使用イメージ
このように4Kタブレットを用いてペーパーレスを実現する
ことにより、紙の良さを残しつつも、紙、印刷のコスト、
特に3D-PDF(3 Dimension-Portable Document Format)
印刷・製本、配置する人件費を削減することができる。ま
などを用いての立体モデルのレビューなどでは、従来は
た、紙に印刷をする場合、途中で印刷した資料を落とした
様々な角度から見たモデルを大量に印刷してレビューを行
り、放置しての情報漏洩のリスク、廃棄時にシュレッダー
うことが必要であったが、4Kタブレットでは任意の視点で
にかける必要があるというセキュリティの面でのリスク管
の表示ができる。更に、3D-PDFに対して直接手書きのコ
理が必要となる。しかし、ペーパーレス化を実現すことで、
メントを埋め込んだり、データをネットワーク経由で共有
その考慮も不要となる。弊社でも、昨年度より一部の役員
しながらの遠隔地とのレビューをしたりと、従来の紙に印
会議において、4Kタブレットを用いた会議システムを導入
刷した図面同様の品質でありながら、より便利にレビュー
し、コスト削減を実現している。
を実施することが可能となる。加えて、レビュー現場に
CAD(Computer Aided Design)などの設計ツールを持
ち込むことで、その場での設計変更、確認、承認を行うな
ど、設計のワークフローの効率化も実現することができる。
■写真2.電子会議での使用イメージ
〇製造の現場における活用:図面レビュー(PDF/CAD)
4Kタブレットを用いれば、A3の印刷と同等の品位の超
高精細な表示で図面を綺麗に見せることができ、かつ様々
■写真4.3-D CAD
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会合報告
この場合も紙、印刷、運搬のコスト削減、印刷をする時間
ルも実現することが可能となる。
の人件費、設計ルームに戻っての修正、再度のレビューな
どの手間の削減などを実現することができる。
〇金融の窓口業務での活用:カウンター業務用端末
〇放送番組制作の現場での活用:電子フリップ
約款などを表示する場合、細かい文字の書類も字がつぶ
4Kタブレットで電子化されたフリップを表示する場合、
れることなく印刷品質と同等に表示することができる。更
その画面をFHD(Full High Definition)の放送用のカメ
に、必要であれば任意の倍率で拡大などができ、お客様
ラなどで再撮影してもモアレ(筋状ノイズ)が発生しない。
にとって見やすいサイズで提示することができる。また、
これはカメラの解像度以上の解像度を4Kタブレットの
前述のとおり、このディスプレイはどの方向から見ても色
ディスプレイが持っているからである。このように紙のフ
が変わることなく表示することができるため、机の上に平
リップと同等の撮影品質を実現しているため、
「紙の置換」
置きにして対面しながら使うことに適している。更に、ワ
が実現可能となっている。
ンタッチで表示する方向を入れ替えるなどのツールも備え
従来の紙で作成したフリップでは、実際に印刷するデー
ている。直接画面の上で書き込みができるため、従来の紙
タを作成し、印刷を行い、ボードに貼り付け、現場に運び
の書類を用いての各種申請の手続きと同様のスタイルで利
込むなどの行程が必要であり、緊急のデータの差し替えな
用することもできる。
どが起こった場合に迅速に対応することが難しいという課
このようにデジタル化を進めることで、大量の紙のカタ
題があった。また、そのボードの作成費用や運搬などの手
ログや約款などを用意する必要がなくなる。
間などもかかっていた。しかし、他のペーパーレスのソ
また、4KタブレットはPCでもあるため、単なるデータ
リューションと同様に、フリップをデジタル化し、かつ紙
の表示だけでなく、お客様の情報を検索して金融商品の
の印刷と同等の撮影品質を実現することで、これらの課題
運用シミュレーションなどを行い、お客様一人ひとりに
を解決することができる。
合った提案を分かりやすく説明するなど、従来の紙のパン
また、動画やアニメーションなどを交えることで印刷さ
フレットだけで説明をしていたカウンター業務をより良い
れた紙のフリップ以上の表現の実現、フリップの部材費用・
ものにすることができる。これらの特長を活かし、金融機
印刷費用・運搬費用などのコスト削減、印刷・製本に関わ
関などのカウンター業務への導入が始まっている。
4Kタブレットは高精細な表示ができるため、カタログや
る人件費の削減、番組の直前・途中のフリップボードの内
容の差し替えなど柔軟な番組内での運用を可能としてい
る。更に、ネットワーク経由でデータを送付することも可
能になるため、災害現場などでレポーターが状況説明する
際に、最新の情報を放送局側で制作し、それを中継先に
データとして送付、現場でそのデータ(フリップ)を用い
て解説をするという、従来ではできなかった報道のスタイ
■写真6.金融カウンターでの展開イメージ
〇医療の現場における活用:レントゲン表示端末
4Kタブレットは、医療の現場、特に患者への症状の説明
の時にも威力を発揮することができる。例えば、乳がん検
診などで用いられるマンモグラフィーの画像は約5Mpixelも
のデータで保存されている。この4Kタブレットではその画
■写真5.電子フリップ使用イメージ
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像を2枚同時に表示することができるため、左右の比較や
経過観察など複数の画像を比較表示することができる。こ
表現「リアルの置換」が可能となる。例えば自動車ディー
の4Kタブレットは、軽量でバッテリー駆動することができ
ラーなどでのカーコンフィギュレータがこれにあたる。ま
るので、患者がいる場所に赴いて症状を説明するなど、患
た、大量のカタログデータを全てタブレット内に収納する
者にとっての負担を減らすことにも貢献できる。また、直
ことができるため、外商などで大量の印刷物を持ち歩く必
接画面上に書く機能を用いて、所見などを直接画面上のカ
要がなくなり、客先での高品位なプレゼンテーションを実
ルテに書いて、遠隔地との議論などにも活用することがで
現することができる。そのほか、高品位な画面を活かして、
きる。もちろんカンファレンスなどに持ち込んで、4Kの大
化粧のシミュレーションなど、従来のカタログの更に進ん
型ディスプレイと接続することで高解像度のクローン(複
だ形での販売促進における活用も期待されている。
製)画面を大型ディスプレイに表示しながら、
プレゼンター
は4Kタブレットの画面に直接注目点などを書くなどをして
〇4K映像撮影の現場での活用:可搬型4Kモニタ
分かりやすく説明することなどもできる。
4Kタブレットは、4K解像度の映像の入力も実現してい
る。これにより、従来撮影の現場などに持ち込むことがで
きなかった4Kモニタに代わり、撮影現場で撮影結果を即
確認ができる薄型軽量の4Kのフィールドモニターとしても
活躍が期待されている。また、医療の現場では4Kの内視
鏡のモニタとしても省スペース、可搬性を生かすことがで
きると考えている。
4.まとめ
このように様々な現場での4Kタブレットの活用を紹介
したが、まとめると「4K」
「20インチ」
「15:10のディスプ
■写真7.マンモグラフィー画像をタブレットへ表示
画像提供:Plissimoビューア(パナソニック メディカルソリューションズ(株)
)
レイ」と「高精度なペン」によって4Kタブレットは「印刷
物のような精細さ、印刷物にはない機能性」を実現してい
る。この4Kタブレットによって紙を扱う様々な業務におい
〇販売の現場における活用:デジタルカタログ
て、紙のコスト、印刷のコスト、それを準備する人のコスト、
4Kタブレットで電子カタログを利用する場合、従来の
印刷した紙を運ばなくてよいので運送コストを削減するこ
紙のカタログと同等以上の品質で表示することができ、か
とができる。また、印刷・運搬する時間が不要となるため、
つ動画やアニメーションの表現、色やオプションパーツの
利用する直前までコンテンツの差し替えができるようになり、
組合せなどのシミュレーションなど、紙ではできなかった
デジタル化することにより、動画やインタラクティブなシ
ステムとの組合せで紙以上の表現ができるようになる。更
に、紙の置換だけにとどまらず、4Kディスプレイを持つ可
搬のタブレットであるため、従来固定された場所でしか利
用することができなかった高精細な情報を好きな場所で利
用することができる。それは設計におけるCADデータや
図面データ、医療におけるレントゲン画像などを“現場”
で確認できるようになることを意味している。
今後も、この4Kタブレットの活用提案を通じてより多く
の業務で更にお役に立つように尽力させていただく所存で
■写真8.電子カタログとしての使用イメージ
ある。
ITUジャーナル Vol. 45 No. 12(2015, 12)
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