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会議録(PDF:309KB)

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会議録(PDF:309KB)
第1回
人口減少問題に関する有識者会議
日
時 平成26年7月22日(火)15時30分から17時30分まで
場
所 静岡県庁
委
員
事務局
出席者
職・氏名
会議録
本館4階特別会議室(静岡市)
鬼頭 宏、大江 守之、加藤 暁子、加藤 久和、白井 千晶、
堤 研二、中川 聡史 (7名)
川勝平太知事、髙秀樹副知事、吉林章仁知事戦略監、
下山晃司経営管理部長、白井滿企画広報部長、池谷廣くらし・環境部長、
伊藤秀治文化・観光部長、宮城島好史健康福祉部長、
望月誠県理事(産業戦略担当)、野知泰裕交通基盤部長、
岩田孝仁危機管理監兼危機管理部長、篠原清志企業局長、
安倍徹教育長 ほか
議
(1)「人口減少問題に関する有識者会議」の設置について
(2)静岡県における人口減少の現状について
題
(3)静岡県における人口減少対策の方向性について
(4)意見交換
配
資
・資料1:「人口減少問題に関する有識者会議」の設置について
・資料2:人口減少対策の推進について
布
・資料3:静岡県における人口減少の現状
料
・資料4:静岡県における人口減少対策として考えられる施策体系イメージ
・資料5:施策体系イメージに係る静岡県の特徴的な取組
1
結果概要
本会議の設置、静岡県における人口減少の現状及び静岡県における人口減少対策の方
向性について、資料に基づき事務局より報告した後、各委員により、人口減少対策の方
向性について意見交換を行った。
2
知事及び座長挨拶
(1)知事
今日は鬼頭宏先生ほか、委員の皆様方、暑い中を静岡にまでお出かけ賜り、御礼申し上
げる。
静岡県は、人口がこの間まで377万6千人で、富士山の高さが3,776メートル。ミ
リに直すと377万6千ミリとなり、ちょうどその高さでいいなと思っていたところ、だ
んだんと人口が減少して、直近の数字では370万人を切るところまできた。何とか宝永
山のところで踏みとどまっていただきたいと思っているが、人口減少自体は日本全体の現
象である。
そうした中で、本県は直近の調査によれば、社会的な人口流出が北海道に次いで全国で
-1-
ワースト2位ということで、危機感を強く持っているところである。ただ、少子高齢化と
いう問題がよく言われるが、高齢者は比較的元気である。健康寿命という高齢になっても
日常生活に支障を来さない方たちを対象にWHOが基準をつくり、厚生労働省が47都道
府県を調べたところ、静岡県は女性が1位、男性が2位、総合で第1位ということで、取
組が厚生労働大臣の最優秀賞に輝くなど、比較的高齢の元気な方が多いが、一方で、少子
化に歯止めがかからない状況である。
しかも、全35市町のうち20余りの市町が海岸線に面しているが、その中で一番流出
が多かったのは沼津市である。東海地震のときにも津波が来るということで大変憂いてい
るところに3.11が起こり、そこからまた南海トラフ巨大地震が発表された。1000
年から1500年に1回起こるであろうマグニチュード9の地震が起こると、大体5分以
内に津波が襲ってきて、その高さは、例えば下田市では33メートル、浜岡原子力発電所
のある所では19メートルという数字が発表され、人々は震え上がった。そうした中で、
海に面したところにおける社会流出が進んでいることが人口減少の要因になっている。
一方、合計特殊出生率は日本全体で1.43、本県は1.53である。日本の人口を1億
で留めるという話があるけれども、それにも増して、若い男女が理想的な家族として何人
ぐらい子どもが欲しいかという調査では、大体2人から3人とおっしゃっている。2、3
人ということであれば、“ふじさんっこ”プロジェクトということで、よいパートナーに巡
り会って子宝に恵まれるような社会環境をつくろうという意味から、合計特殊出生率の目
標を2.0に定めた。
先般、日本創成会議の座長である増田さんが、佐賀県での全国知事会議で、まずは1.
8を目標にすべしと言われたのが印象的であった。人口を1億にするにはどうしたらよい
かということにも増して、1.8にその目標を定め、そして2.0に持っていくのがよいと
言われて、静岡県の例も少し出されたわけだが、私は、これは目標達成可能だと思ってい
る。先程1.53と申し上げたが、もちろん35市町で地域差がある。鬼頭先生のご出身の
長泉町は1.82。これは1.70から0.12上がった。裾野市は1.62から0.2上がり
1.82になった。1.7以上のところが、それを含めて6市町ある。ですから、例えば、
裾野市の場合には0.2上がったので、あと0.2上がれば2.02まで行く。
そのように、市町に若干のでこぼこがあるけれども、できる限りよいパートナーに巡り
会って、子宝に恵まれ、子どもさんを育てることが人材育成の全てにわたる中で一番の基
礎である。子育てと仕事が両立できないという意見があるが、子育て自体が一番大切な仕
-2-
事であるということで、子育てすること自体が仕事に結びつくように、子育てすることで
保育士や保育ママになれるとか、子育てに必要なベビー用品の企業に協力するというよう
な形でプロジェクトを進めている。したがって、全く悲観だけをしているのではなく、き
っちりと客観的な分析を踏まえた上で計画を立て、それに賛同していただければ人口につ
いての問題解決の方向性を見出せる。
合計特殊出生率が一番低いのは言うまでもなく東京である。長く1.0、今、1.13ま
で回復したけれども、こういう数字だと幾らでも人口は減っていく。社会的流入は直近の
数字で7万人ほど、そこに例えば埼玉や千葉を入れると9万人、10万人となる。東京は
子どもを育てにくい状況で、それを社会的流入で補っており、別名これは蟻地獄ではない
かと。東京が蟻地獄になって、日本の人口減少の足を引っ張っている。だから、東京的ラ
イフスタイルに対して、我々はもう一度見直さねばならない。2DKのマンションに住ん
でいると3世代一緒に住むことはできない。1970年代に、政府が子どもは2人までと
いう政策を出し、それが実行される形で、2人以上住めないようなライフスタイルの住居
が提供されている。こうした中で、人口減少の一番大きな原因になっているのが東京だと
思い、我々はポスト東京時代を開こうという志を立て、今、取り組んでいるところである。
こうした中、370万人の県民がこの会議に大変高い注目を持っており、本日はこの方
面における日本の代表的な専門家にお集まりいただき、ご意見を賜るということで、何と
ぞよろしくお願いを申し上げ、御礼のご挨拶とさせていただく。
(2)鬼頭座長
今、川勝知事からご挨拶をいただいたが、大変感銘を受けた。私は、この静岡県の将来
の方向性を提言する会議の座長に指名していただき、大変光栄である。
日本の人口は、2008年以後減少に転じ、消費人口が減る、それから労働人口が減る
ということで経済の規模が縮小していくのではないかと懸念されている。確かに人口の縮
小自体が非常に大変なことではあるが、それにも増して問題なのは、2つの不均衡がある
ということだと思う。
第1の不均衡は、高齢者人口の割合が増えていくことである。あと20年、30年も経
てば、65歳以上の人口が40%を超えると予測されている。そして、もうひとつの不均
衡は、川勝知事のお話の中にもあったが、東京を中心とする首都圏と地方圏の人口の分布
のアンバランスである。これは地方を大いに疲弊させている。
-3-
このような課題を抱えて、我々は日本の社会の持続可能性を危ぶんでいる。日本の人口
が減少しているのは確かであるが、大事なことは、政策の有無によって将来の人口の規模
に大きな差が生じるということを、よく認識しなければいけないということである。
フランスの哲学者であるアランという方が、「悲観は気分に属し、楽観は意思に属する」
というような言葉を言っている。悲観していてもしようがない、何かやってやろうじゃな
いかという、自分の意思で道を切り開いていくということが必要ではないかということで
ある。あと、もう一人、アラン・ケイという別のアランという方がいるが、この人はパー
ソナルコンピューターの生みの親だと言われているけれども、なかなかおもしろいことを
言っている。「The best way to predict the future is to invent it.」、「未来を予測す
る上で最もよい方法は、未来をつくり出してしまうことだ」と言っている。この言葉は、
実は国土交通省が最近出した報告書、「国土のグランドデザイン2050」の中の最初のペ
ージで引用されている。つまり、これからどうなるかということを漫然と受けとめるだけ
ではなく、どうしたいのか、どういう地域をつくりたいのか、これを発想することが非常
に大事だと思っている。
そういう点で、静岡県の総合計画の中で合計特殊出生率2.0という目標を掲げているこ
とは、非常に正しい方向だと思っている。国では、2060年をめどに人口1億を維持し
たいと言っていて、これについては比較的、賛成する意見が多いが、実はこの人口1億の
背景にあまり大きな声では語られていないけれども、2030年までに合計特殊出生率を
人口置換水準、つまり将来的に人口が増えも減りもしない出生率の水準、2.07にすると
いうタスクを達成することが、暗黙のうちに含まれている。それを表に出さずに1億とい
う受けのよいことを言っている。しかし、そこは正直に出生率の目標を掲げて、その目標
を目指して政策を打ち出していくほうが非常に真っ当ではないかと、私は考えている。こ
ういう目標を掲げた上で、息の長い少子化対策を続けることによって、人口が将来的には
増えも減りもしない、いわゆる静止人口の状態になるべく近づける、これが社会を安定さ
せる上で非常に重要だろうと思う。
この会議で取り上げるべき最も難しい課題は、出生率もあるが、それよりも、人口移動、
静岡県からの流出を食いとめることが非常に大事である。しかし、単に食いとめるという
ことだけではなく、むしろ、静岡県への流入を促進できるように地域の魅力を磨いて、さ
らにその魅力を高めていくことが重要だと思っている。気候が温暖で、文化も経済も豊か
で、食べ物もおいしい、温泉も富士山もある、こういう静岡県ほどよいところはない。別
-4-
に私が静岡で生まれたからそう言うわけではなく、本当によい所だと思っている。行政と
民間が力を合わせていけば、必ず静岡には人が集まってくるという、そういう意気込みで
私はこの会議に臨みたいと考えている。そして本会議では、出席されている委員の皆様に
もぜひお願いしたいが、静岡県の魅力とか特色を踏まえた、静岡にふさわしい人口減少対
策についてぜひご提言いただき、その政策をまとめていきたいと思っている。
最後に私見を申し上げると、現在、日本のあちこちで少子化対策、あるいは人口対策に
取り組まれているが、これは単に出生率を上げるとか、人口を減らさないということにと
どまらないと思う。先ほど川勝知事の中からも、ライフスタイルという言葉が出たが、ま
さにそのとおりで、少子化というのは、過去250年にわたって続いてきた産業文明が、
ある種の行き詰まりの状態に陥っていることの表れではないかという理解に基づいて、こ
れに変わる新しい文明への転換に結びつくものでなければ、この人口対策というのは意味
がないのではないかと思っている。ライフスタイルであるとか、労働の慣行であるとか、
産業の形であるとか、コミュニティであるとか、斬新な試みが求められているわけで、私
は、静岡県がそのトップランナーとして、未来の文明を切り開く先駆けになっていただき
たいと思っている。
限られた時間の中ではあるが、委員の皆様にはご専門の立場から、あるいはまた豊富な
経験に基づいて、忌憚のないご意見を賜りたいと思っている。
3
審議内容
(1)事務局説明
本会議の設置、静岡県における人口減少の現状及び静岡県における人口減少対策の方向
性について、資料に基づき事務局より報告。
(2)意見交換
(大江委員)
データに関して一通り見てきたが、北海道に次いで2番目に減少数が大きいということ
が強調されているけれども、資料3の3ページの一番下にあるように、静岡県の人口動態、
増減率は25位である。つまり、静岡県は人口規模が大きな県であり、したがって、大き
な減少が見た目上は出てくるわけだが、全体で25位、そして、日本人だと18位で、外
国人が47位ということはきちんと見ておいたほうがよい点だと思う。
-5-
そして、多分、外国人の方の減少は、製造業における減少とつながっていると思う。こ
れまで輸送機械等で非常に活発であった地域が、東南アジアのほうに生産拠点を移転した
りというグローバルな展開がある中で、どうしても製造に関する部分が少なくなっていく
ということは、避けられない部分であると思うので、この減少に関しては、そのようなこ
とが起きたということで、まず受けとめる必要があると思う。
しかし、翻って、静岡県の位置を見てみると、ご説明の中にもあったと思うが、他県が
うらやむような新幹線、高速道路、それも、高速道路は新東名ができて2本になるという
形で、地震災害の危険はあるとしても、インフラという点で言うと非常に恵まれた場所に
あって、やはりこれをもう一度、ポスト工業社会の中でどのようにこのインフラを生かし
ていくかということをテーマとして考えていくことが、長期的には必要ではないかと思う。
したがって、短期的な部分の背景に製造業の構造変化があると思うが、少し長い目で見な
がら、回復について考えていくことが必要だと思う。
それと、TFR、合計特殊出生率を回復するということは、目標としては適切だと思う
が、人口学の方はよくご存じのように、TFRは必ずしも正確な出生水準を表しているも
のとは限らない。基本的には期間変動によって影響を受ける。したがって、社人研の全国
人口推計の解説にもあるように、今般、底から少し上がり1.43まで回復してきている部
分というのは、30代のキャッチアップの行動によっているということなので、これが本
当に回復を示しているのか、一時的なもので、今まで産み遅れていた人たちが産むという
ところで、それは確か半分ぐらいの寄与率だったと思うが、本来は若い人が産んでこない
と、この部分がしっかりとしたものにならないということもあるので、静岡県におけるT
FRの動向が、本当はどうなっているかということをもう少し詳しく分析して、そして、
TFRの回復を実現するために本当に力を入れなければいけない部分について、もう少し
突っ込んだ分析が必要だと思う。
(加藤(暁)委員)
私は若い世代、高校生を育成するという仕事をしているので、その観点プラス女性とい
うことで、お話しさせていただきたいと思う。短期的に見ると、2020年に東京オリン
ピックがあるけれども、今、どこにも触れられていないので、静岡が今後取り組んでもよ
いテーマという気がする。非常に東京に近いということもあるし、新幹線や高速道路もあ
るので、観光ということで、一生に一度でいいから富士山を見てみたいという外国の方は
-6-
すごく多いし、それと温泉もある。私も最近、ヨーロッパやアメリカを周ってきたが、富
士山のことはみんな知っている。今、政府では、東京オリンピックで東京だけが潤うので
はなく、地方にどう経済的効果を高めていくのかということで、研究会が内閣府にできた
けれども、東京オリンピックでみんなが見に来るので、そういう人たちがどんどん来て、
しかも、伊豆だとか、いろいろな温泉地があるし、富士山もあるということで、東海道五
十三次ではないが、静岡というのは、本当に「訪れてよし」と川勝知事がおっしゃってい
る場所なので、そういう意味でそこに人を呼び込む、また、こんなによいところならば、
住んでみようという人達も多いと思う。
それと、もうひとつ、私は多文化共生という静岡県の審議会にも出させていただいてい
るが、これは静岡県にとっての大きなメリットだと思う。先程、大江委員からもあったが、
確かに製造業で外国人が少なくなっているということもあるが、逆に、製造業でたまたま
静岡に来たけれども、永住権をとって、例えば、もっと違うところに静岡の素晴らしさと
いうのを見出して住み続けている外国人も多いという現状を私も勉強させていただいてい
る。そういう意味で、外国人が住みやすいということも、ひとつ大きなアピールだと思う
し、そういう多文化を受け入れる、みんなと一緒に、日本人も外国人も分け隔てなくいら
れるということも、人口減少に歯止めをかけるという意味では、ひとつ大きなメリットで
はないかと思うので、外国人に対する施策というのも、これから考えていただきたいと思
う。
それと、女性という観点で、少し紹介させていただくと、福岡県で女性が大活躍する福
岡県会議というものができ、それから、佐賀県にもできて、いわゆる女性の管理職を増や
したり、女性が子どもを産んでも、ずっと働き続けられる環境をつくろうということで、
これは地方自治体だけではできないことなので、企業と一緒になってスクラムを組んで取
り組んでいる。今、確か128社プラス地方自治体が一緒になって目標を決めて取り組ん
でいる。例えば、1年後に管理職をこれぐらいにするとか、それから、それぞれの会社で
も、自分たちのできることをやっていこうということで、1年後、5年後、10年後の目
標を設定して、それで、目標宣言をしている。日本人は何か目標ができると、それに向か
ってやるのは得意な民族のような気がするので、静岡県でもそういうことができたらよい
と思う。
それと、保育の面で、私も子どもを育てた立場から言うと、民間の保育園などでも、例
えば、お子さんが2、3人いると、違う保育園に預けないといけない。必ずしも同じ保育
-7-
園に行けない。そうすると、お母さんやお父さんは1人目をどこかに連れていき、その次
に、また別のところへ連れていって、会社や、県庁や、市役所に着いた時には、もう疲れ
果てているという状況である。行政にできることは、そういうことをなくすことで、例え
ば、複数いる子は一緒の保育園に預けられるようにするとか、身近なところでもできるこ
とが、まだまだたくさんあると思うので、県の中で洗い出し作業をした上で、それを県や
市町だけではなく、企業にも呼びかけて一緒にやっていったらよいと思う。
それから、地域についても、高齢化というけれども、今、若い人たちは内向きになって
いると言われるが、それは大人がつくった考え方であって、子どもたちや若い人たちは、
どんどん自分でやりたいと思っているわけだから、そういう人たちに任せて、お年寄りと
一緒に何かできるプログラムをつくるとか、そういうことを一つひとつ積み重ねていくう
ちに、楽観論かもしれないが、増えていくのではないか思っている。
(加藤(久)委員)
皆さんと違う話をさせていただきたいし、過激なことを申し上げるのかもしれないが、
実は静岡県は非常に不利な、日本で最も不利な場所にあると考えている。それは、先ほど
紹介があったように、人が出ていく一番大きな原因というのはやはり仕事、雇用である。
これは日本創成会議の中でも、いろいろと示させていただいたが、東京圏になぜ人が行く
かというと、やはり仕事で人が出ていく。そうすると、東京と名古屋という二大都市圏に
挟まれている静岡というのは非常に不利な立場にあると思っている。さらにもっと不利な
立場というのが、新幹線が通っているし、高速道路もあって、行こうと思えばどこでも出
ていける。
大事なことは、人が外へ出ていけるような状況ができ上がっている中で、どう食いとめ
るのかということになってくる。逆に言えば、それを食いとめるというよりも、どこかで
それをせき止めるような集積をつくらなければ、人の流出はとまっていかないというのは
当然のことではないかと考えている。静岡と浜松という2つの大きな市がある中で、静岡
市は、多分、東京に向いているだろうし、浜松市は、名古屋を向いている。そうすると、
そこの違いをどのように県の中で対策をつくっていくのかというのが、大きな仕事の1つ
になっていくと思う。
それから、出生率の話が出ているが、資料にもあるように、出生率が上がっても出生数
は下がっていく。それはなぜかと言えば、明らかに若い女性が減っていくからである。と
-8-
いうことは、もちろん出生率を高めていくということもあるが、今申し上げたように、若
い女性をどうやって静岡県内にとどめていくかということが一番大きな課題であり、まず
は若い女性を引きとめるような方策は何があるかということである。特に、高等教育を受
けた女性が県内でずっと生活していきたいというものを何か持っていかないと、なかなか
難しい。大変失礼な話をしているような気がして申し訳ないが、個人的に言えば、静岡は
非常によいところだと思うし、生活する上でも便利なところだと思う。ただ、それが逆に
不利な点になってしまっているところが大きな問題ではないかと思っている。
地域のあり方についても、日本創成会議の中でも、いろいろと触れているところもある
と思うけれども、やはりこれからの社会を考えていくときに、今までと同じように全ての
市町村を同じように扱っていくわけにはいかないと考えている。例えば、過疎地域をどう
するかも大切な問題だが、過疎地域をどうするかということにこだわり続けていくと、結
局、集積ができていかない。コンパクトなシティをつくることはできない、そういう問題
は当然出てくるわけで、そうなってくると、本当に人口減少を食いとめようとすると、既
存の自治体の区分けを超えた形での対応が必要になっていくと思っている。
では、その正解は何かというと、先ほど知事が最初にお話しになったように、静岡県と
してのスタイルを考えていくということだと思う。東京でもない、名古屋でもない、そし
て、静岡にいることにおけるスタイルが一体何だろうかということを追求していくという
ことが当然必要だと思うが、しかし、それは全ての市町村でやっていけるわけではないと
いうことになると、やはり両輪となって頑張っていく静岡市と浜松市に資源を集中してい
くのが一番効率的だと思う。
単純に考えてみると、2040年までに静岡県は20%ぐらい人口が減っていく予測に
なると思う。人口減少というのは痛みを感じない問題である。経済成長率は少し下がると
非常に騒ぐし、例えば、株価が落ちれば相当な問題になるが、合計特殊出生率が少し下が
ったからといって、明日からの生活に何の大きな影響はない。しかし、20年後、30年
後になってくると、ボディブローのように効いてくる。これをどうするか。先程、鬼頭座
長もおっしゃっていたが、気がついたら、今やらなければ、本当に取り返しがつかなくな
る。今、こうやっておけばよいだろうという単純なものではなく、本当に改革的なことを
考えていかないと、何もできないのではないかと思う。多分、少子化問題というのは、2
0年、30年、同じような形で繰り返されてきて、そして、いろいろな政策が出てきたも
のの、なぜその効果がなかったかということを考えると、やはり発想の転換をしていかな
-9-
ければいけないと思っている。
さらには、1億人の目標の話もたくさんしたいが、目標を定めるということは、これは
ひとつの大きな、今までにない考え方になったと思う。1億人にはあまり意味はないと思
うが、1億人というような形で人口を維持するんだぞという気概というか、考え方を改め
て打ち出したということに関して、政府がやりだしたというのは評価すべきことだと思う。
ただし、出生率を上げるだけではなかなか難しいので、海外とのやりとりをどうするのか、
あるいは、海外の人たちとの結びつきをどうするのかということも考えていかなければい
けないと思う。
最後に女性の問題だが、育児と就業の両立支援は昔から言われているが、それは少子化
対策のためだけではなく、社会にとってよいことだからやっていくというぐらいまで、考
えていかなければいけないと思うし、その鍵はやはり企業になると思う。静岡県では、企
業の出生率を公表されていると伺っている。やはり、企業との連携を考えていかなければ
ならないと感じている。
(鬼頭座長)
加藤(暁)委員、それから、加藤(久)委員の意見の中で、女性の働き方、女性だけで
はなく若い人の働き方もそうだが、企業の参画、企業がどう変わっていくかということが、
かなり大きな影響を与えているように思うが、そのことについて、事務局のほうで、先ほ
どお話しいただいたような企業別の指標を公表するような取組があるか。
(事務局
企画広報部長)
お配りしている資料5には、静岡県が実施している施策を記載しているが、その中でも、
女性の社会進出ということでは79ページの「働く女性の活躍促進」、それからお手元には
「子育てにやさしい企業」の冊子を配付しているが、それぞれ、今日は担当部局の者がい
るので、施策について説明させていただく。
(事務局
健康福祉部長)
先程のお話にあったとおり、やはり子育てを支援するのは、企業に取り組んでいただく
のが大変効果的だと思っている。静岡県は、経済4団体、経営者協会や商工会議所連合会
などの団体と連携して、今、子育て応援隊という形で取り組んでいる。また、その中で、
-10-
子育てに優しい企業を紹介している。企業子宝率を公表しているが、これも大変珍しく、
全国で2番目であるが、企業版合計特殊出生率をつくりPRしている。ただルールで育児
休暇があるということではなく、本当に休暇を取りやすくする、融通をきかせることが大
事だと思う。子育てに優しい企業は発展するということもわかったので、経済団体と協力
しながら、子育てに取り組んでいるところである。
(事務局
県理事(産業戦略担当))
就業支援の関係では、ワーク・ライフ・バランスの促進ということで、特に最近は、女
性の視点での商品開発も求められており、女性の役職員のためのセミナーをはじめ、女性
が職場の中で活躍できるような形の企業風土をつくらないと発展しないということを経営
者の皆様にわかってもらえるようなセミナーなどを行っているところである。
(白井委員)
既に、委員の先生方からたくさんの論点が出ているところではあるが、私からは、3点
コメントさせていただく。
1つは、私は、地元の静岡大学の教員であるが、地元の大学という観点から言うと、い
かに県外から来た大学生を引きとめるかというのが、今一番大きな課題ではないかと思う。
大学進学時や高等教育進学時と就職時の流出が大きいということで、もちろん高校のとき
に県外へ出ていく学生も多いと思うが、県外から入ってくる学生も意外に多い。特に、静
大は県外生がとても多く、下宿をするとか、皆さんのお世話になりながら、県内で勉強を
しているところである。
県内出身の静大生に関して言うと、さすがに大学進学時に県外に出ていかなかっただけ
あって、かなり定着率は高く地元志向はとても強い。一方で、残念ながら、県外から来た
学生が引きとどまってくれない。せっかく来たのに、いいところだなと思いつつ、大学生
活をエンジョイして、地元に帰ってしまう。例えば静大でも、インターンシップを行って、
地元の企業や社会福祉協議会に行くなど、地元のいろいろな民間団体と一緒になって経験
をするということを行っているけれども、やっぱり、なかなか引きとめられないというと
ころがあり、せっかく静岡の足を踏んだ若い人たちをどのようにつなぎとめていくかとい
う施策について、今日は、大きな課題として提出したいと思う。
それから、2点目に、私自身は3児の母で子育てをしているけれども、母という視点か
-11-
ら見ると、子育て二十何年間、何人か生めば子育ての期間は長くなっていくので、25年
ぐらい子育てすると思うとかなり長い期間であり、その長い期間をここの地で楽しめるか
というのは、土地を選ぶときのものすごく大事な視点で、おもしろい仕事がありそうか、
おもしろい保育がありそうか、子どもにとってよさそうか。例えば、それは、幼児教育だ
ったりとか、泥んこ保育だったり、そういう保育の多様性があるか。また、中高一貫校と
か、私立中学とか、もちろん堅実な地元中学とか、教育の面でも多様であるかというのは、
母親の視点としてとても注目をするし、ある意味でそういう視点で選んでいくと思うので、
保育、教育の多様性、または長い25年間の子育てをしながら、楽しい仕事がおもしろく
できるか、楽しくそこで過ごせるかということのPRが大事だと思う。
それから3点目に、これはもしかしたら後で出てくる論点かもしれないが、自治体プロ
モーションを積極的に行うことを提言したい。今日、実は流山市の資料を持ってきたが、
著作権等の問題があって配付できないので、口頭で説明させていただくと、平成22年の
国勢調査の人口増加率が7.4%。なおかつ、増加の最大のボリュームゾーンが35から3
9歳であったということで、流山市は大変注目をされている。
なぜそんなにボリュームある人口増加率があったかというと、シティセールスプランと
いうものを設け、そこに、自治体では日本初となるマーケティング課を創設し、企業出身
の人材にも入ってもらい、かなり、マーケティング戦略として自治体をPRしていった。
駅に張られているポスターも持ってきたが、静岡県について、様々な資料を拝見させてい
ただいて、もう既に、かなり魅力的な状況であるので、それをどのようにPRして人を呼
び込むかという段階だと思う。地固めも大事だが、PRしていくということで言うと、例
えば、流山市は人を呼び込むための公式ホームページを掲げていたり、流山ブランドとい
うことで、ブランド戦略をかなり積極的に行っている。そういった観点から、地固めプラ
スPR、どうやって人を引き込んでいくかということを考えていけるのではないかと思っ
ている。
(堤委員)
私は、社会経済地理学を専門としている。それで、スケールレベルという視点から幾つ
か話をさせていただく。
まず、ナショナルスケールという形でいうと、例えば、先程、東京オリンピックの話が
出たけれども、大きな人口規模の縮小、いわゆるメガシュリンクという状況が、まさに東
-12-
京オリンピックの年あたりにやってくる。これは、第1次のベビーブーム世代が後期高齢
者になっていく年代と重なっている。したがって、メガシュリンクの第1波が、ちょうど
東京オリンピックあたりにやってくるということを覚悟しておかないといけないと思って
いる。
人口構造的に言うと、少産多死型の状況になってくるし、その次の第2波というのも、
第2次ベビーブーム世代が後期高齢者になっていく、2045年から2050年あたりの
状況はおそらく変えられないと思うので、これをどういうふうに受けとめるのかという議
論を、国全体として考えないといけないと思う。とりわけ、太平洋側の地域の場合は、メ
ガクエイクに対する対策も必要となるが、社会経済的には、メガシュリンクに対する対策
も考えていかないといけないということが言えると思う。
それから、私はフィールドワークをずっと人口激減地域でやってきたが、データに基づ
いた分析資料は、どちらかというと都道府県や市町村単位にならざるを得ない。例えば、
その中間のメソスケールでの広域行政圏的な発想とか、あるいは、よりミクロなスケール
での集落単位、あるいはコミュニティ単位、そういうところの状況も踏まえないといけな
い。例えば、島根県に中山間地域研究センターがあるけれども、これは、中国5県の共同
研究施設という位置付けをされている。こういうところの研究状況を踏まえ、集落スケー
ルで見ると、島根県の西部の石見地方あたりでも人口が増えているところはある。集落単
位でどのように施策を考えるかということを、行政だけに任せるのではなく、多面的なス
ケールレベルで施策を考えていくことが必要ではないかと思う。
人口が減少していく中で、コンパクト化を考えていくことは、当然ながら必要な施策だ
ろうと思う。このときに、1人当たりの満足度を下げない形でコンパクト化を進めていく
ことも必要だと思う。例えば、都市の内部において、高齢化社会に対応した再開発を行う
場合に、これまでのような面的な再開発というのをやめて、ファイバー的、あるいはアメ
ーバ的な形状で、例えば、道路網などの再開発を行う、あるいは事業を実施していくとい
うような発想も出てきている。
シュリンキング・ソサエティの中で、今後のインフラも含めて生活機能をどのように考
えていくのかということを、我々は分析していかなければいけないと思うけれども、その
中でコンパクト化を実現するためには、どのようにすればよいのかということを具体的に
考えていくことが必要だと思う。例えば、資料の中で、百貨店は減ってきている一方で、
スーパーは増えているということが書いてあった。これは、例えば、コンビニレベルでも
-13-
考えてみると、最近、特に大都市圏の中で既に高齢化が進んでいる地域では、24時間営
業のコンビニエンスストアが利用されなくなってきていて、24時間営業ではなくなって
きている。この点でいうと、空間的に商圏がコンパクト化しているだけではなく、時間的
な利用という点でもコンパクト化しているというか、そういうレベルでの合理化というも
のも考えていかなければいけない。時空間的な発想で、地域施策も考えるということが必
要ではないかと思っている。
それから、地域的な施策について、静岡県は今後の研究面からみても、実験所になり得
ると考えている。ある程度大規模な人口規模を持ったところもあるし、一方で、例えば、
今は合併し浜松市になったけれども、天竜川流域の上流のような、過疎・山村の研究者か
らすると非常に研究対象としては関心を寄せるような過疎エリアもある。こういうところ
には、龍山村など林業で有名なところもあったが、市町村合併によって、逆にやる気や活
力がそがれてきているようなところもあると思う。このあたりの合併後のスケールレベル、
スケールメリットというのはどのようになっているのか。したがって、そういう境界をあ
る程度取り払うということも考えながら、今後、地域の活性化を検討していくべきではな
いかと思っている。
(鬼頭座長)
堤委員に伺うが、先ほど、ナショナルスケール、メソスケール、ミクロスケールという
意見があったけれども、例えば、国土形成計画における広域地方圏というのを考えるとき
に何か意味があるかということ。それから、今、浜松市の例が出たが、合併により非常に
大きな行政ラインになってしまっていて、その中がよく見えない、やる気をなくしている
ところもあるということだが、静岡の中で地域を考えていくときに、どのくらいの大きさ
の地域を念頭に置いて考えたらよいのか。つまり、コンパクトシティ化するときに、静岡
県のレベルで考えてよいのか、広域地方圏という中で考えなければいけないのか、その2
つの点について伺う。
(堤委員)
日本創成会議の提言を読んできたけれども、かなりの部分、昔の三全総を思い出して、
例えば、定住圏的な部分であるとか、その時代の田園都市構想や広域行政圏があったわけ
である。その点でいうと、三全総というのは非常に理想的なプランニングで、しかしなが
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ら、現実には一極集中を防ぐことができなかった、絵に描いた餅という批判も出てきたが、
そこに戻っていかざるを得ないところもある。したがって、三全総も1つのお手本としな
がら、現代的な意味で、もう一度、領域性というか、空間性というか、そういうところも
踏まえた上で、効率的な行政をどのようにやっていくのかという議論をしていくべきでは
ないかと感じている。
それは、2番目の質問にもかかわるけれども、地域性は様々ある。静岡県の場合、都市
的な部分もあれば、本当の隔絶山村みたいなところもある。とりわけ、過疎地域の中でも、
非常に過疎化が深刻なのは、西南日本外帯と言われるところであり、フォッサマグナと中
央構造線の間に挟まれているところを静岡県は抱えている。こういうところもあり、やは
り、地域性に応じて、それぞれのコンパクト性といったものの中身や広さといったものを
考えないといけないし、それも、機能に応じた、機能地域の集積体というか、多重する機
能地域の地域システムとして地域の行政体というものの中における機能を捉え直していく
ということが、実体的には必要ではないか考えている。
(中川委員)
順番が最後なので、他の委員の先生方から勉強させていただいたような感じがあるが、
重ならないかたちで3つか4つの点をお話させていただく。
1つは、今日、新大阪から「ひかり」号で静岡に来たけれども、隣に座ったのが香港人
の学生グループで、大阪、京都、奈良を見た後に、熱海の温泉旅館に泊まるために今「ひ
かり」に乗っているということであった。また、先週、スロバキアの友人と東京で会った
が、彼はこの後に、富士山に登るということで、それがほとんど日本に来た目的だという
話で、静岡は外国人からしたらすごく魅力的なポイントを持っている。とりわけ、外国人
のゴールデンコースのようなもので、関西から入って東京から出ていくと、その間に新幹
線に乗るということで、通過されてしまう可能性もあるけれども、熱海なり、富士山なり、
とめられる可能性があると感じている。
それと関係するかもしれないポイントで、今回、問題になっているのは人口をどうする
かということだが、人口とはいったい何なのかということで、特に、市町から見たら、住
民基本台帳に載っている人の数を何とか確保したいと、それは、労働力の供給の面から必
要なのか、消費者としての面から必要なのか、あるいは交付金を多くとるために必要なの
か、あるいは住民税をとるためなのか分からないが、どういう理由で人口を多くする必要
-15-
があるのか。今、私は、神戸と東京両方に住んでいるけれども、今、多地域居住というか、
マルチハビテーションという中で、常住人口にこだわる必要がどこまであるのかというこ
とを感じており、人が減っても、外から来たり、外へ行ったりする人がすごく多い地域と
いうのはあり得る話だと思うので、人口をもし維持するとしたら、何のために人口を維持
するのかというのを確認する必要があると感じている。
あと1点、将来の人口に関して、今、堤委員もおっしゃっていたが、中山間地域研究セ
ンターの関係で、先週、東京でフォーラムがあり、聞きに行ったけれども、その中で、日
本創成会議が公表した計算結果に関してのコメント等があって、報告では多くの市町村が
消滅するという話だが、今、堤委員がおっしゃったように、2010年以降の数字を細か
く見ると増加している地域があるので、2010年までの結果を延長するのはよくないと
いうようなことをおっしゃっている人がいた。
一方、私は今、この会議と同じような神戸市の会議にもかかわっており、また、兵庫県
の過疎地域の集落にここ何年か学生と一緒に活性化と称して行っているけれども、そうい
う中で知り合った、兵庫県のいわゆる過疎地域に指定されているところの市役所の幹部の
方と話をすると、日本創成会議の予想は甘いのではないか、実際にはもっと減っていくよ
うな気がする、加速するというような意見もある。そういう中で、いろいろ議論を喚起し
たということですごく意味があると思うが、どう捉えるかは注意したほうがよいと思う。
特に私が個人的に感じるのは、20歳から39歳の女性を強調されているけれども、例
えば、1960年から現在ぐらいを見たときに、多くの自治体で20歳から39歳の女性
の数は半数以下になっている。けれども、別に消滅していない。そういうふうに考えたら、
20歳から39歳が半減したらなくなる、消滅するというふうにストレートに考える必要
はない。ただ、それが1つの重要な指標だということはあると思う。むしろ、高度成長期
から今までの間は、20歳から39歳が半減したところも多いと思うけれども、世帯数は
そんな減っていない。ただ、これから世帯数が減っていく、空き家が増えているという話
はいろいろなところであり、推計しにくいのでストレートに使いにくいとは思うが、指標
としては、そちらが本来重要ではないかと思う。
もうあと1、2点あるが、資料を見せていただいて感じたことの1つが、出生に関して、
静岡県は合計特殊出生率が高く、静岡市でも全国平均より高い。おそらく浜松市は政令市
で一番高いと思うけれども、これは、静岡にとってよいことだろうと思って見ていたら、
女性の未婚率は全国平均に比べて、どんどん差が開くぐらい低い。したがって、静岡の場
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合、女性が結婚しにくい状況にはなってないということをポジティブに考えればよい。
ただ、同時に、産業構造の特徴から、静岡の就業者は製造業の割合が高いところがある
と思うけれども、それとおそらくリンクしている可能性があるところで、男性の未婚率は
比較的高い。これは、私の関わっている神戸市でも製造業の盛んな地域というのは男性の
未婚率が高いし、東京都でも同じであるが、そういう中で、せっかく女性の未婚率は低い
のに、男性の未婚率は比較的高い状況にあると思うので、出生に関連して、そのところを
少しケアしてはどうかと感じている。
もうひとつは、最後にあった社会移動だが、資料3の18ページにもあるけれども、2
0歳から24歳の女性の移動の場合、ほとんど対東京というふうに考えればよいと思うけ
れども、まず、ローカルなレベルで人口を議論する場合に何かできることというと、基本
的には出生を頑張って高めて、それが全国に広がるとよいというのもあるだろうが、全国
の人口が減る中で、結局、人の取り合いになる。その中で、静岡県の場合には、先程加藤
(久)委員がおっしゃったように、おそらく兵庫県と違って、周りが神奈川県や愛知県な
ので、近隣のより農村的な県から取ってくるというのがほとんどできない。そうすると取
られる一方になってしまうところで、現状、大学卒業年齢の女性がこれだけ出ているとい
うところで、白井委員もおっしゃったように、そこをどうするかということがとりわけ重
要なのではないかと思う。
もうひとつだけ言うと、神戸でも同じであるが、結局、神戸の人口というのも大学卒業
年齢のところで東京に出ていくことで厳しい状況になっている。特に、例えば、神戸に大
学がいっぱいあるとしたら、神戸大学とか、一般的に入るのがやや難しいそうな大学の学
生ほど東京に行ってしまう人が多いという状況を今調べようとしているけれども、静岡の
場合も、そういうことがあるかもしれない中で、どういう人に留まってもらいたいか、タ
ーゲットを決めて、雇用を創出するなり、何か施策をしたらよいのではないかと感じる。
(鬼頭座長)
中川委員にひとつ確認だが、最後のほうで、出生率と移動の話で結びつけると、静岡県
の場合は女性の未婚率はそれほど高くないが、男性のほうは少し高い。そのことは結局、
女性が都市へ移動してしまって、静岡県から出てしまっていると考えてよいのか。
(中川委員)
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原因としては、おそらく若干男女の絶対数がアンバランスになっていると思うが、結果
的に、男性のほうが多い。女性が少ない理由というのは、おそらく、相対的に出ていく人
が男性よりも多い、東京へ出ていく人が多いというところにあると思う。
(鬼頭座長)
わかりました。2番目のところで、かなり根源的な話をされた。常住人口、人口規模に
こだわる必要があるかという話だったと思うが、大事なポイントだと思うので、県のほう
で、こういう覚悟で行くというのがあったら、お願いしたい。
(事務局
企画広報部長)
人口減少対策に取り組んでいくのは、やはり、社会の活力が低下するという危惧がある
ことが第一だが、もちろん、定住人口が減っていく中で、交流人口を増やすということで、
社会の活力を維持するということも1つの方策だと思う。したがって、人口減少対策につ
いては、総合的に様々な施策を講じなければいけないと考えているので、そのような考え
方、ご意見についてもいろいろといただく中で、ご提言としてまとめていただければと考
えている。
(加藤(暁)委員)
1つは、静岡県については、メディアで地震のことが毎日のように、報道されているの
で、私は不利なことが多いということをすごく懸念している。ただ、日本で地震が無いと
ころはどこも無い訳で、必ずしも静岡だけの問題ではないと思う。だから、そういうこと
を静岡県としては、ぜひアピールをしていただきたいと思う。
それと、私は今、全国から高校生を集めて、静岡県からもすごく優秀な次世代の高校生
たちを集めて、福岡でサマースクールを2週間やっている。10年近くやっていて思うが、
ここにずっと留まれというのは酷な気もする。自分のことを考えたらわかると思うが、こ
こにいらっしゃる皆さん、それぞれふるさとがあって、そこから海外の大学に行ったりと
か、東京の大学へ行ったりとか、大阪の大学へ行っていると思う。それを君たちだけ静岡
にいなさいというのは、それは違うのではという気がする。むしろ、そういう人たちがど
こで活躍してもよいのではないかと私は思う。就職もほかへ行って、海外に飛び立ってい
く、私の教育はそういうふうに、世界中に飛び出して、日本を宣伝してきなさいと言って
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いる。そういう意味で、就職もどこへ行ってもいいと思うけれども、逆に言えば、かなり
ライフステージが進んでから静岡に戻ってきたい、自分のふるさとに戻ってきたいという
ようなまちづくりをしていれば、これは楽観論かもしれないけれども、逆に若い人も出て
行かないで踏みとどまるかもしれないという、逆張りの発想というのも大事なのかと思う。
そういう意味で、若い人の政策というのは、ある意味高齢者にとって住みやすいまちづ
くりをいかにするかということのような気がする。それと、若者という観点で言うと、リ
ーダー塾ではアジアからの高校生を無償で20人ぐらい招待したけれども、やってみてす
ごくよくわかったのは、今、日本語がアジアの中でブームになっているということで、日
本に来たいという若者は結構たくさんいる。それで、今、静岡にも、公立だけではなく、
私立でも、ユニークな学校運営をされているところがいっぱいあると思うので、そういう
意味で、例えば、全寮制でアジアから多くの若い高校生たち、もう大学生とか言っていた
ら遅いと思うので、中学生とか高校生のレベルで、海外から日本語を勉強したいという子
たちを入れて、その子たちを、例えば、静岡大学とか、浜松医大だとか、いろいろなとこ
ろに定着していただいて、勉強して、そういう人たちがまたそれぞれ戻って、また次の人
たちを呼び込んでもらうような取組が必要かと思っている。
県や市でできることは何なのかと思うけれども、そういうものを後押しするような、例
えば、福岡では「アジア太平洋こども会議」というものを毎年やって、100人、200
人のレベルでホームステイさせるようなプログラムがあるけれども、静岡は、富士山もあ
るし、先程申し上げたように東京オリンピックもあるので、それに向けて若い人たちを、
スポーツというくくりでもいろいろなことができると思うので、既にやっていることはた
くさんあると思うが、それを1つにまとめて宣伝して、それで世界から呼び込むことは、
短期的に2020年までの間に、来年からでも、すぐにできることだと思う。
(加藤(久)委員)
いろいろな方々から日本創成会議の話が出て、私も一緒にやらせていただいた関係上、
少し趣旨をご理解いただきたいと思う。
ひとつは、20歳から39歳の女性が半分になったからといって、当然、地域が無くな
る訳ではない。ただ、我々が考えたのは、そういう状況になってきたら、幾ら出生率を高
めていっても、やはり地域を維持することはできなくなってしまう。現実的にできなくな
ってしまうというところから、そういった指標で危機意識を持っていただきたいというの
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があった。それと、日本創成会議というのは皆が同じことを考えているわけではなく、増
田先生と私が同じことを考えている訳でもないのかもしれない。あと、先程、三全総では
ないかという話があったが、個人的にはやはり地方中枢拠点都市レベルで物事を考えてい
かないと、なかなかうまくいかないだろうと思っている。つまり、これからゼロサムの中
で、地域の中で人口の取り合いをしても仕方がない。やはりどこかに集約していかざるを
得ないというところがあり、そこの最低限の区域はどれぐらいかといえば、静岡県でいえ
ば、沼津市、富士市、それから浜松市と静岡市ということになると思う。
それから、先程、中川委員から、定住人口はなぜ必要なのかということがあったが、こ
れはそもそも論で大事なのは、地域を支えていくためには財政的な基盤というものは絶対
に欠かせないと思う。つまり、人がいなければそこに財政的な収入はなくなっていくわけ
だし、それでインフラが整備できなくなり、あるいは、その町が維持できなくなってくれ
ば人がいなくなってくる訳だから、どんどん悪い方向になってしまう。交流人口も大事だ
と思うが、定住人口を増やしていかない限りは、その町が持続可能ではないだろうと思っ
ているので、私は、少なくとも定住人口を増やしていくことは間違いなく大事なことでは
ないかと思っている。
(大江委員)
定住人口を増やすという話になっているが、日本全体で人口は減っていくし、昨年25
万人ぐらい減っていて、これが30万になり、50万になり、2030年代からは100
万人ずつ減っていくという時代に入る。そうすると、20代、30代の女性人口も、人口
の推計上、同期間に大体3分の2になる。産む人口に着目したということはこれまであま
りなかったので、そういう点ではよいアピールができたと思うけれども、そう驚くべきこ
とではないということで、冷静に受け取らなければいけないということだと思う。
それから、定住人口を増やすということは難しい。だから、増やすということではない
と思う。我々は減少ということに関しての経験が十分にない。一部、高度成長期に過疎地
域の減少があったけれども、全体として減少するということを社会で経験していない。だ
から、それに対して非常に恐れがあると思うけれども、減少することが普通の状態になる、
そして、高齢化するということが普通の状態になるということを前提にした社会の組み立
て方ということを考えていかないといけない。千葉大の広井先生は、『人口減少社会という
希望』という本を出されているけれども、少し長期的に大きく捉え直して、そういうスタ
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ンスを持っておかないと、大変だ、大変だということでは大変な状況が一層進むことにな
るので、もう少し落ち着いて、そういう状況を受け入れていくということを考えないとい
けないと思う。
それから、私は都市計画がひとつのバックグラウンドなので、コンパクトシティについ
ては、コンパクトシティという同じ言葉を使いながら、何を指しているのかというのが人
によって全然違ったりする。これは、もう少ししっかり考えなければいけない。そして、
日本の都市は十分コンパクトになっているわけであって、今のコンパクトシティの議論の
1つのポイントは、規制緩和の中で、経済が回りやすい場所で回りやすくしてあげようと
いう意図があり、それはそれで結構だと思うが、コンパクトは善なんだということを頭か
ら信じ込んで、何でもコンパクトだというのは少し行き過ぎで、私は、まだまだ既存の地
価が高い中で、無理やり中心市街地に近いところに詰め込むということは、ライフスタイ
ル、それから、生活の質という点から言って、必ずしも望ましいことではないと思う。こ
れだけ交通網が発達して、そして、自動車で動くということの是非もあるとは思うけれど
も、現実的にずっと動いているわけだから、もっとゆったり住まう、居住地についての選
択性が高いということを大事にすべきだと思う。もちろん、無秩序な開発を許してはいけ
ないということは、以前からそうであるけれども、あまりコンパクトということにこだわ
り過ぎると、返って自分たちの生活を貧しくしてしまうという可能性があると思うので、
特に静岡は、これから新東名周辺のこれまであまり使ってこなかった地域を使っていこう
ということもあるし、そういう中で、あまりばらばらではいけないけれども、まずは幾つ
かのポイントをつくりながら、生活しやすい地域をつくっていくということを優先して考
えていったほうがよいと思う。あまりコンパクトシティという言葉を無限定に使わないほ
うがよいと思う。
(鬼頭座長)
現実的に静岡の中では、70万人台の市が2つある。それと、沼津市、富士市があると
いうことであるが、具体的なイメージを持って今後の都市のあり方を考えていかなければ
いけないということだと思う。
(川勝知事)
合計特殊出生率2.0の目標について正しい方向であると言っていただき、たいへん励
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ましになった。
加藤(暁)委員から意見があった、南海トラフ巨大地震。2年前に内閣府が、1000
年ないし1500年に1回起こるであろうマグニチュード9クラスのものが南海トラフで
起こった場合には、静岡県では11万人、日本全体では32万人の方が犠牲になると発表
した。改めてデータをいただき、マグニチュード8クラスのものについて耐震化などを行
ってきた防災の先進県として安心していたところを、ものすごいブローをくらったわけで
ある。それとあわせて、去年の暮れに、内閣府が首都圏にも向こう30年の間で70%の
確率で地震が起こるとおっしゃったが、これはマグニチュード7である。私どもは、向こ
う10年の間で、仮にマグニチュード9レベルの地震が起こっても犠牲者を8割減らすと
いうことで、既に去年から取り組んできた。それで確実に安全レベルはぐっと上がる。た
だ、加藤(暁)委員がおっしゃるように、普通の人はそんなところにいたら怖いというの
が当たり前で、大変に我々は不利な状況にある。
大江委員もおっしゃっていたが、ライフスタイルというのはいろいろと選択肢が多いほ
うがよいということである。先程、中川委員がおっしゃったが、世帯数は変わっておらず、
大体4,500万世帯ぐらい。ところが、1950年代、60年代頃のとき、集合住宅に住
んでいたのは大体100万世帯ぐらいで、今はおそらく、1,500万世帯ないし2,00
0万世帯が集合住宅、いわゆるマンション、フラットに住んでいる。これは大きくても大
体100平米だろう。当初、2DKで始まったときには30平米を切っていた。台所と居
間が一緒で、あと2つの部屋だった。それが大はやりになったので、どんどん人々がそれ
をつくり、ニュータウンをつくって、そうしたものが都会の住まい方になっている。それ
が2,000万世帯近くということで、3DKの100平米にはどんなにしても3世代は住
めない。だから、都会的な住まい方とは違った住まい方もできるというやり方、そのメリ
ットは本県にあると思う。
加藤(久)委員がおっしゃったように、本県は確かにストローでとられるところがあっ
て、股裂きに遭うと言われていたわけだが、一方で、両方から見れば中心だというところ
もあるので、どのようにして魅力を出していくかがポイントになる。
その中で白井委員がおっしゃったけれども、高校や大学を卒業したとき、定年退職のと
き、結婚したときにどうするかということがあるかもしれないが、そういう大きな節目の
ときに、東京と比べる必要はない。富士山がある、あるいは、来年世界ジオパークになる
伊豆半島、既に世界農業遺産になった茶草場農法、世界エコパークになった南アルプスが
-22-
ある。そうした世界標準のものがこちらに幾つもあるので、世界の中で考えればよい。そ
のためには世界を知らなくてはいけないので、どうしてここにずっととどまっておくよう
に言うのかというのは加藤(暁)委員と同じで、私は、みんなを見なさいと言っている。
ただ、東京も京都もかつてそうであったように、人を惹きつけるのが都である。したがっ
て、もっと人が惹きつけられるように、そして、そこで生まれ育った人たちは、そこに自
信と誇りを持つような地域にしていけばそれでよいということがある。18歳、22歳、
それぞれ卒業するようなときに、どこかでこちらのことを覚えていながら、大東京に出る
とかアジアを見るとか、先進国で勉強するとかしたほうがよいと思っている。ですから、
集められるような仕掛けはこれから必要であろうと思っている。
堤委員から、大変おもしろいスケールレベルの話をしていただき、大変参考になった。
結局、三全総、四全総、五全総は、みんな失敗で、一全総と二全総、いわゆる拠点化した
大規模プロジェクト、これだけが成功している。しかしながら、いよいよ皆が地方分権と
か地域主権とかと言うようになったのは、さすがにミニ東京と言われるようなことは嫌だ
ということが非常に大きい。それから、地産地消というような、無いものねだりではなく
て地域の宝物探しが始まったので、どちらかというと開発されてこなかった日本海側のほ
うにメリットが出始めており、アジアに面しているということもある。本県で言うと、太
平洋側よりも内陸側にフロンティアがあるということである。例えば、あと3年以内には
高規格道路が甲府と静岡の間にできる。大変時間がかかっているのが、すぐ海のあるとこ
ろに出て来られる中部横断自動車道ができるので、仮に名古屋に引きつけられる浜松が三
遠南信で一緒になって、そこで70万人ぐらい失っても、山梨県の80万人がこちらに入
ってくる。富士の国をつくろうかということで、山梨県が東京よりもこちらを見るような
時代にもなっている。したがって、私は今の行政圏にこだわらない。そしてコンパクトシ
ティ、静岡市も若干そういう面がある。一方、限界集落などは、実は、視点を変えるとそ
こに新しいフロンティアがある。高規格道路の三遠南信道路が飯田まで一気につながると、
水窪とか龍山とかは、むしろ浜松からは遠く飯田からは近いということになる。
神戸であれば、例えば、なぜ県庁所在地を丹波篠山に移さないのか。そうすると、兵庫
県の真ん中が一気に励まされるし、日本海側までわずか3、40キロであるから、そこも
喜ぶ。そのようなちょっとした工夫をして、人口集中とは違う形での生活スタイルの多様
性、これが本当の豊かさではないかと。農業、林業、あるいはそれを加工する6次産業化
に未来が出てきており、そうしたものと結びつける。大地に根ざした形での豊かな生活。
-23-
トスカーナ、あるいはコッツウォルズ、あるいはレイクディストリクト、あるいはプロヴ
ァンス。そうしたことのほうが豊かさだというのが徐々に出てきているので、私は名古屋
的、あるいは東京的ライフスタイルとは違ったものが提供できると思っている。最後はい
かに生きることが幸福になるかという、文字通りライフについての人生哲学というものが、
こちらでしっかり自信を持って語られれば、そして、それを形として見せられれば。世界
標準のものが、まもなく位置図になると私は思っており、そういう意味で、世界標準の中
でそれぞれが日本をつくり上げていくということである。
(鬼頭座長)
最後に知事の言われたことは大変大事なことだと思う。ベネッセというラテン語がある
が、「よく生きる」という意味である。静岡というのはそういう県でなければならないので
はないかと思う。
それから、産業についても、企業誘致が必要な面もあるけれども、本質的にローカルな
エリアの中でローカルな需要を満たしていくような地場産業というもの、地元の資源を使
って外に何かを輸出していくということが必要ではないかと思う。
それと、私の持論で申し上げると、やはり加藤(暁)委員が保育園、小学校のことを言
ってくださったが、幼稚園、保育園から高校まで地元で教育を受けるというのは、本当に
質の高いものを提供していくべきで、それは、海外からの留学生を受け入れるのもそうだ
し、こちらから出ていくのもそうだし、そこが非常に大事だと思う。そうすると、また戻
ってきてくれる。また、高等教育研究機関というのも非常に大事であるけれども、そこに
来てくれる方、大学の教員だとか研究者であるとか、外国人の方が、そこに安心して長く
いてくださるためには、師弟の教育をしっかりやらなければ、なかなか来てくれない。企
業も同じことだと思う。
まだ議論は尽くせないと思う。先程もお示しいただいたように、人口減少をいかに食い
とめるかということと、人口減少社会への適応戦略、どういう形の地域に創っていくかと
いうことで、なかなか難しいことではあるけれども、ぜひこれを静岡県で先駆けにしてや
っていければと思っている。
本日は、非常に長い時間にわたり熱心にご討議していただき、また、速やかな運営にご
協力いただき感謝申し上げる。
-24-
(川勝知事)
静岡県は、日本の縮図のようなところがあるので、こちらの事例を先生方のご研究やご
提言に生かしてくださると信じている。どのようなご希望あるいはご注文にも我々として
は応えたいと思っているので、我々を手足としてお使いくださり、そして、遠慮なしに厳
しい意見も含めてご提言も賜りますようにお願い申し上げ、お礼の言葉とかえさせていた
だく。
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