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麻酔科マニュアル - 茨城県立中央病院

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麻酔科マニュアル - 茨城県立中央病院
麻酔科マニュアル
2016 年度版ver.4
茨城県立中央病院麻酔科
目次
1.麻酔科全般・初期研修医の研修目標・スケジュール
1)初期研修医の研修目標
2)初期研修医の研修到達目標
3)麻酔科全般
4)全員のスケジュール
5)全員の一般的注意
2.術前診察から術後回診まで
1)術前診察
2)全身麻酔の準備
3)脊髄くも膜下麻酔の準備
4)患者入室
5)麻酔導入~覚醒
6)帰室
7)薬剤の返却、麻酔サマリ・JSA 麻酔台帳の入力
8)術後回診
3.循環器センターでの麻酔
1)心臓手術
2)ステントグラフト
3)その他
4.帝王切開について
5.ロボット支援前立腺全摘術の術後鎮痛に関して
6.ICUの管理に関して
7.ヘモクロンシグニチャー
エリートの使用方法
8.術後回診のタブレットの使用方法
9.こころの医療センターでのmECT
資料-1 麻酔サマリの入力
資料-2 PCA ポンプ運用マニュアル
資料-3 術前外来マニュアル
資料-4 精密持続投与薬剤の希釈法
資料-5 地震・火災時の対応マニュアル
資料-6 緊急時の輸血マニュアル
1.麻酔科全般・初期研修医研修目標・スケジュール
1)初期研修医研修目標
 生体機能の維持に必要な生理学、及び麻酔薬(麻酔
関連薬)やストレスに対する反応を理解する
 生体機能の制御・管理に必要な知識・技能・迅速な
判断力を身につける
 患者中心のチーム医療における麻酔科の役割を理
解する
2)初期研修医研修到達目標
 全身麻酔管理の準備が滞りなくできる
 全身麻酔・硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔の管理が
できる
 末梢静脈ラインおよび動脈ライン(全身麻酔下の患
者で)を留置することができる
 各種のモニターの原理を理解し、適切に使用するこ
とができる
 麻酔患者の問題点を把握し、適切な麻酔方法を選択
することができる
 簡潔に症例提示ができる
 問題のない症例で、気道確保が出来る
3)麻酔科全般(研修内容を含む)
 手術部内を含む院内にいる時は、見えるところに名
札を付ける。
(1)末梢静脈ライン (Peripheral Intravenous Catheter)
 0.5%キシロカインによる皮内浸潤麻酔を行う
 穿刺部位は、手背→前腕(小児では足背)の順
 肘の正中静脈と橈側皮静脈は極力穿刺しない
(神経が近いため)
 初期研修医が失敗した時は指導者の判断を仰ぎ、再
度試みるか交代する
(2)気管挿管 (Tracheal Intubation)
 初期研修医は数回見学してから実施する
 挿管後、指導者に気管チューブの深さや位置異常の
有無を確認してもらう
 初期研修医が失敗した時は指導者の判断を仰ぎ、再
度試みるか交代する。または指導者に喉頭展開して
もらって挿管する
 気管挿管の確認は、胸郭の上昇、5 点聴診、EtCO2 で
行う
 経鼻挿管・意識下挿管は、初期研修医は原則として
不可。3 カ月以上ローテートする研修医は考慮する。
ダブルルーメンチューブの位置確認・調整は指導医
が行う
(3)硬膜外麻酔・脊椎麻酔
 硬膜外麻酔は、初期研修医は見学のみ。3 カ月以上
ローテートする研修医は考慮
 硬膜外穿刺は、生理食塩水を用いたLoss of
Resistance法 または 点滴法で行う
(4)動脈ライン (Arterial Line)
 初期研修医は全身麻酔下でのみ可
 初期研修医は失敗した時は指導者の判断を仰ぎ、再
度試みるか交代する
 穿刺の際は、1%クロルヘキシジンアルコールで消
毒し、滅菌手袋を装着すること
(5)中心静脈カテーテル (Central Venous Catheter) 肺動脈
カテーテル (Swan-Ganz Catheter)
 初期研修医による穿刺は原則として不可。3 カ月以
上ローテートする研修医は考慮
 穿刺後血液ガスを検査し、静脈であることを確
認すること、また、水胸、気胸がゆっくり進行
することもあるため、可能なら6時間後くらいに
(術直前留置なら手術終了時に)胸部X-Pで確認
を行うこと
4)スケジュール
(1)週間スケジュール
月-金 8:15- ICU 回診
月−金 9:00- 当日の症例の麻酔
月-金 16:00 頃 翌日の症例検討
金 7:50-8:00 抄読会
(2)ICU 回診
事前に入院患者のカルテを確認し、診察を行い積極的
に参加すること。特に前日麻酔に携わった場合は、詳
しく把握すること。初期研修医は研修の終わりの頃に
回診の司会をする
(3)抄読会
毎週金曜日の朝7:50 から、麻酔科医室にて行う。担当
者は、文献の内容を5 -10分程度で紹介する。初期研
修医は、研修期間中に麻酔・集中治療に関連した英語
の論文を1 編読み、研修の終わりの頃に発表する
5)一般的注意
(1)入室時刻に間に合うよう、時間に余裕を持って
麻酔の準備を行うこと。体調不良などで遅刻・欠勤す
る場合には、星もしくは 前日のオンコールに連絡す
ること(原則として 星 に連絡すること)
(2)17:15 以降、1 列でオンコールの手が空いてい
る場合には、会議などの事情がなければオンコールが
原則として麻酔を引き継ぐ。但し、初期研修医は原則
として最後まで担当症例の麻酔管理を行うこと
(3)ローテーションの最初の1週間は、原則として
主麻酔を担当しないが、麻酔の準備、モニターの設定、
バッグによる換気、麻酔記録の入力などの基本的なこ
とは積極的に行うこと。手が空いている場合は、担当
症例以外の症例も積極的に見学すること
(4)初期研修医は、全身麻酔の導入、気管挿管・抜
管、硬膜外・脊髄くも膜下麻酔の穿刺に際しては、必
ず麻酔科スタッフと共に行うこと
(5)麻酔中は、患者から離れないこと。不足物品を
取りに行く時などは、必ず指導者に連絡し許可を得る
こと。また、不明な点や不安な点がある場合には、す
ぐに指導者に連絡し確認すること
(6)勤務時間帯に手術室外に出る場合は、必ず 星
もしくは山崎(場合によって宇留野) に断ること。
常時PHS を携行し、連絡可能な状態とすること
(7)麻薬・筋弛緩薬などの取り扱いに充分注意する
こと
(8)麻酔科医(初期研修医を除く)への連絡は、原
則としてメールで行うので、必ず1日1回は確認し、
必要なときは返信すること
(9)夏休みは夏季に取る必要はないが、基本的に他
の人と重ならないように、(研修医は研修医同士の重
なりがないように)日曜日からの1週間として、原則
としてまとめて取るようにお願いします。
 麻薬 : 薬剤の取り扱いに関するトラブルが2015
年度は頻発し、様々な部署に迷惑をお掛けしていま
す。次は絶対に許されません。注意し過ぎではない
かと思うほどの注意をして下さい。
1. 麻薬の持ち出し、返却を研修医は行なわな
い。担当麻酔科医が麻薬金庫から麻薬を持
ち出す際は、麻薬持出管理帳に患者氏名や
手術実施診療科、持ち出し本数、持ち出し
者、持ち出し時刻の情報を記載する。
2. 麻薬の持ち出しは、必ず一人の患者の分の
み行い、続けて手術が入っている場合でも、
返却手続き後に次の患者の分を持ち出す。
3. 麻薬を持ち出す際、返却去る際は持ち出す
麻薬、返却する麻薬を監視カメラに提示す
るように金庫から一歩下がって3秒ほど静
止して下さい。
4. 麻薬の運搬は、必ず専用の入れ物を用いて
行う。
5. 手術室内では、麻薬は必ずユニセルカート
の上に置き、そこで準備を行う。
6. 17時以降にその日のファーストコールは、
麻薬の残数を確認し、確認時刻とともに麻
薬持出管理帳に記入する。
7. 麻薬持出管理帳は、原則1日一枚として、そ
の日に初めて麻薬を持ち出す者が新しい紙
を挿入し日にちを記載する。土日祝日など
で記入欄が十分に残っている場合は、線を
引き日にちの区切りをわかるようにして同
じ紙に記載しても良い。ただし、土日に持
ち出しをした場合、17時以降の麻薬残数の
確認も必ず行う。
8. ディスポのビニール袋に患者名(患者の特
定が可能なら名字だけでも可)をマジック
で記入する。
9. ビニール袋に空アンプル、残液シリンジを
入れる。(空シリンジやアンプルに名前を
書く必要はありません)
10.
麻薬処方箋を記入後にダブルクリッ
プでビニール袋に留めて麻薬金庫の下の箱
に入れる。
11.
麻薬の返却も研修医は行なわない。
返却時には、麻薬持出管理帳に使用本数や
返却本数、返却者名、返却時刻を記載する。
12.
麻酔科医が交代する際は、麻薬など
の薬の持ち出し数に関しても申送りを行い、
麻酔科医交代を麻酔記録に記録する。
13.
麻酔科常勤医が異動などで交代した
場合は、金庫の情報を速やかに管理者が変
更する。
14.
麻薬金庫の鍵は、原則その日のファ
ーストコールが持ち、院外に出るときは守
衛室に預け、朝は前日のファーストコール
が手術室に持参する。そして受け渡しのノ
ートに受け取ったものが必ず記載する。
15.
朝のICU回診の時には手術室内には
麻酔科医がいなくなるので、金庫内の藥物
(麻薬、筋弛緩薬)は持ち出さない。
 筋弛緩薬 : 5本ケース単位で持ち出す。空バイア
ルには患者名を書くこと。返却は使用・未使用含め
て5本単位で下の段に返却する。
筋弛緩薬の冷蔵庫の鍵は、その日の麻酔科ファ
ーストコールが管理し、その日の症例が全て終わっ
たら鍵を締める。
麻薬・筋弛緩薬の金庫の鍵は病院から食事その他
の理由で離れる場合は、警備員室に預ける。
麻薬・筋弛緩薬の鍵は、受け取ったものが、管理
ノートに記載する。
(8)症例終了後、麻酔サマリを完成させ、JSA 麻酔
台帳を確定するのを忘れないこと
(9)廃棄物の処理
 感染性のない針類、アンプル → 薬品カートの上の
針入れ(アセリオは白い医療ゴミボックス)
 感染性のある針類 → 点滴カートの下の針入れ
 注射器すべて、血液・体液が付着したもの → 医療
ゴミのボックス
 血液・体液の付着していない可燃物(紙・ビニール
等)→ 透明ビニール袋
(10)以下の鍵の保管場所(番号)については、以
前から麻酔科にいる者に聞いて確認すること
 手術室の麻薬金庫および毒薬冷蔵庫
 既存棟手術室入室のための番号
 ICU の休憩室
 循環器センターの更衣室
 CCU の麻薬金庫および毒薬冷蔵庫
(11)麻酔科医全員に周知したいことがる場合には、
原則としてメールなどで行うこと。ただし、個人情報
の取扱には十分注意すること。
(12)オンコール体制について
・当院の麻酔科は、基本的にオンコール制で、
ファーストコールは呼ばれた後30分で手術室に患者
を入れられることを原則としています。(分娩が開始
された妊婦がいる場合、30分以内に児娩出ができる
ようにして下さい。)セカンドコールは呼ばれたら1
時間後くらいには病院に来ることが出来る場所にい
てください。夜間・休日などで手術中に分娩開始の妊
婦がいる場合、ファーストコールはセカンドコールに
必ず連絡をすること。セカンドコールは上記の間はフ
ァーストコールに準じた体制を取ること。ファースト
コールは、上記の状況が終了したら、速やかにセカン
ドコールに連絡し、待機を解除して良いことを伝える
こと。
ICU宿直は宿直という名前がついていますが、多く
の時間について時間外手当がつくようになっていて、
実質上の当直(翌日が休み)ではありません。ファー
ストコールはあくまでオンコールです。
手術室に麻酔科医がいる状態では、超緊急全身麻酔
の準備(麻薬は用意せず、蛇管、チューブ、プロポフ
ォール、エスラックス、エフェドリンの準備)には、
シミュレーションの結果、6分で準備が可能です。
(13)初期研修医の担当症例について
初期研修医は、担当にあたっている症例について
は、前日までに患者さんに挨拶を行い、気道などに関
して自ら診察、評価を行い麻酔計画に対して担当する
麻酔科staffに必ず相談をすること。
2.術前診察から術後回診まで
1)術前診察
 予定手術症例は、基本的に麻酔科外来で診察され、
同意書がある(緊急手術の場合には確認が必要)
 基本的に、ファーストコール明けの医師が行う
(1)目的
 患者の疾患、合併症、身体状態を把握する
 手術術式を把握する。必要に応じて診療グル
ープと打ち合わせをする(不明な点がある場
合には、術者に直接尋ねる)
 術前外来担当者は、事前に検査データや内服
薬、病歴を確認し、ORSYSに入力するととも
に、麻酔計画のタブで、事前に読んでもらう
パンフレットを選択する
 術前・術中・術後の患者管理の計画を立てる
 医師−患者の信頼関係を結ぶ。麻酔の承諾が得
られていない場合、承諾を得る
(2)術前絶飲食
長時間の絶飲食は、患者に口渇感や空腹感などの苦
痛を与え、脱水や周術期の合併症を増やす可能性があ
る。近年、多くの研究で短時間絶飲水の安全性と有効
性が実証されてきた。次ページに、日本麻酔科学会の
ガイドラインを示す
 術前絶飲時間
摂取物
絶飲時間(時間)
清澄水
2
母乳
4
人工乳・牛乳
6
 清澄水とは、水、茶、アップルあるいはオレンジジ
ュース(果肉を含まない果物ジュース)、コーヒー
(ミルクを含まない)など。浸透圧や熱量が高い飲
料、アミノ酸含有飲料は胃排泄時間が遅くなる可能
性があるので注意が必要
 消化管狭窄患者、消化管機能障害患者、気道確保困
難が予想される患者、緊急手術患者、およびリスク
の高い妊婦などは、患者の状態に合わせた対応とす
る
 欧米のガイドラインでは、軽食については6 時間以
上、揚げ物、脂質を多く含む食物、肉については8 時
間以上あけることとされている。当院では、予定手
術については、手術当日は絶食としている。緊急手
術では、固形物の摂取から 8 時間あけることが望
ましい
(3)麻酔前投薬
 基本的には投与しない
 どうしても必要な場合、入室90 分前に鎮静薬:
ジアゼパム 5 mg p.o.など(術式、年齢、体重、
全身状態により調整する)、その場合、歩行入
室しないように指示
 児童などでペンレスの処方が必要な場合は行う
 指示簿に投薬の時間(ペンレスは貼付場所も)
を明記
(4)ASA-PS(アメリカ麻酔科学会PhysicalStatus)
(5)継続薬・中止薬
 ステロイド薬:術当日朝まで継続
 降圧薬・冠拡張薬:
 術当日朝まで継続
 抗凝固薬:
 ワルファリン(作用36~40 時間); 3~7 日前
中止
(術当日PT-INR 1.8 以上ならば、ビタミンK 1 mg
皮下注し、PT-INR < 1.3 を確認)
 抗血栓薬:
★ バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、
エパデール; 7 日間休薬
★ プレタール;2日間休薬
★ ペルサンチン、アンプラーグ、ドルナー、オパ
ルモン; 1日休薬
★ ヘパリンで抗凝固薬が置換されている場合、十
分な時間(4時間以上)あいていることを確認
 経口糖尿病薬:当日朝は食止めのため休薬
 その他指導者の指示を仰ぐこと
(6)術前外来
 毎週月曜日から金曜日の午前 9 時から12 時まで
 外来枠は、1 人15 分(往診は30 分、もしくは最初
か最後の枠に限る:2枠を取る)
 ただし、9時の枠と11時45分の枠は2名で、合計14
人の術前診察枠とする
 場所は、外科外来の診察室 10-7(受付内線:2120)
 流れは、問診票の確認・診察 → 特有項目の麻酔の
説明 → 同意書の取得となり、通常の麻酔のI.C.と
同様
 診察内容および麻酔法を、ORSYS の「術前診察」
欄に記入する
 説明書・同意書( 2 枚複写)は、1 部を患者に渡
し、もう 1 部は外来クラークに渡す
 救命士挿管の同意書は3枚複写で、複写の1枚を救命
士に渡す
 電子カルテの「指示簿」から、当日の継続薬・中止
薬、その他特別な指示を出す( NPO指示は不要)
 詳細は巻末「資料-3 術前外来マニュアル」を参照
 術前診察を行なった者は、当日の手術の進行状況を
見定め、翌手術予定日のケースカンファランスを行
うために招集をかける。(麻酔科医、研修医、看護
師)
 術前診察を行った者は(行う者は)、原則として術
後診察およびPCAが付いている患者の回診を行い、
適切な処置、オーダーを行う。
2)全身麻酔の準備(必須)
(1)麻酔器の準備・点検
 酸素、空気、余剰麻酔ガス(スカベンジャー)の配管
の接続および電源の接続を確認する
 蛇管、カプノメーター、スパイロメーター、人工鼻、
Lコネクター、バッグを取り付ける
 リークテスト:
APL(ポップオフ)弁を閉める。患者呼吸回路先端を
閉塞する。酸素を5~10 L/min 流す。回路内圧を30
cmH2O まで上げる。酸素を止めて10 秒間回路内圧が
30 cmH2O に保たれることを確認する。APL 弁を開き、
回路内圧が低下することを確認する。酸素をフラッシ
ュし十分な流量があることを確認する
 気化器内の吸入麻酔薬の液量を確認し、必要なら追
加補充する
(2)気道確保の準備
 気管チューブ:内径 8.0 mm(男性) と7.0 mm(女
性) は麻酔カートに常備されている(必要に応じ
て器材庫に取りに行く)
 カフに漏れの無いことを確認の上、カフの空気を抜
いた状態にする
 スタイレットを使用する場合は、予め適当なカーブ
に曲げ、ゼリーを少量塗布してチューブに挿入し、
容易に抜けることを確認しておく。チューブは清潔
に操作すること
 喉頭鏡:ブレード No.3(体格が大きい場合はNo.4
も準備)。ライトがつくかどうかをチェック。初期
研修医はMcGRATH(男性4,女性3)を推奨
 マスク、エアウェイ
 サクションカテーテル:12 Fr、14 Fr。吸引装置の
作動を確認し、手の届く所にセットしておく
 特殊なチューブ
 スパイラル :キンクしにくいのが特徴
 経口 RAE
:眼科手術、耳鼻科手術など
 経鼻 RAE
:口腔内手術
 MLT
:ラリンゴマイクロサージェリー用
 エンドトロール
:経鼻挿管用
 声門上デバイス
 ラリンジアルマスク、iGel
(3)薬剤(薬液は手術当日に準備すること)、TIVA
の際は☆は必須、吸入麻酔で維持の時は★が必須
硬膜外やブロックをする場合局所麻酔薬も準備
 プロポフォール
★ プロポフォール丸石(200mg/20ml) → 原液
☆ ディプリバンキット(500mg/50ml)
 ロクロニウム
☆★ エスラックス(50mg/5ml) → 原液
 レミフェンタニル
・アルチバ(5mg) → 生食で50ml に希釈
 フェンタニル
・フェンタニル(0.1mg/2ml) → 原液
・フェンタニル(0.5mg/10ml) → 原液
→ 持続にする際は倍希釈
 ☆★エフェドリン(40mg/ml) → 1A を生食7ml で
希釈して5 mg/ml に ☆全例で準備しておく
 アトロピン
・ アトロピン注0.05%シリンジ(0.5mg/1ml)
(封は開けない)
 ドロペリドール
・ ドロレプタン(25mg/10ml):QT が延長していな
ければ、PONV 予防に0.625mg~1.25mg を終了間際に
投与。iv-PCA を用いるときには必ず考慮すること
 デキサート
・
PONVのリスクのある患者では導入後投与。婦
人科、PONVの既往などの場合は原則6.6mg投与
 精密持続投与薬剤の希釈に関しては、当院の取り決
めに従うこと(資料-4 参照)
 全身麻酔の際は、鎮静薬、鎮痛薬(麻薬)、エフェ
ドリン、(筋弛緩薬)は必ず用意すること
 局所麻酔薬は、リドカイン(必要に応じてアドレナ
リンを添加)、ロピバカインを適当な濃度で準備
(4)末梢静脈ライン
 点滴が入っていないことを確認してから準備する
こと
(5)モニター類
 標準的モニタリング(心電図、非観血的血圧、経皮
的動脈血酸素飽和度)
 BIS モニター
 筋弛緩モニター(筋弛緩を使う全身麻酔は全例)
(6)動脈ライン(A ライン)
 テルモ生食 500ml にヘパリンナトリウム1 ml を
注入し、空気を抜く(生食バックに「へパリン1000
単位添加」のシールを貼る)
 生食バックにラインを差し込み、加圧バックにセッ
トし、ライン内を生食で満たす
 A ラインが必要な症例は、前負荷の評価が必要な
症例が多いので、心リズムが整で、循環器系にリス
クが有る、大出血が予想される症例ではフロートラ
ックセンサーの使用を推奨(Vigileo モニタは奥の
器材庫)
(7)硬膜外麻酔
 アロー社製硬膜外麻酔セット(用意されている)
 薬剤:ロピバカインまたはキシロカイン(濃度は指
導者に確認すること)
(8)神経ブロック(原則として清潔操作)
 (クリーントレイ、プローベカバー)
 ブロック針
 薬剤:ロピバカインもしくはキシロカイン(濃度は
指導者に確認。最大量ロピバカイン300 mg を目安
に準備する)
 超音波装置
 神経刺激装置
(9)PCA ポンプ

PCA ポンプとアドミニストレーションキット、
電池(エネループ)は器材庫、

薬剤組成は下記(Air を抜くのを忘れずに)。

Base flow、Bolus dose、Lock out time、時間有効
回数の設定は指導者による

使用開始は手術室

「資料-2 PCA ポンプ運用マニュアル」も参照
 硬膜外(PCEA)
生食
230 mL
1%アナペイン
60 mL
(生食バッグ250 mL から20 mL 抜く)
フェンタニル
0.5 mg(10 mL)
計 300 mL(0.2%
アナペイン + 1.67 μg/mL フェンタニル)
 静注(IVPCA = PCIA)
生食
240 mL
(生食バッグ250 mL から10 mL 抜く)
フェンタニル 3000 μg(60 mL)
ドロレプタン 3.75 mg(1.5 mL(QTc
計 301.5 ml(10
延長がないことを確認)
μg/ml フェンタニル)
 創部カテーテルPCA、伝達麻酔(ブロック)PCA
生食
220 mL
0.75%アナペイン
計 300 mL(0.2%
(生食バッグ250 mL から30 mL 抜く)
80 mL
アナペイン)
(10)中心静脈ライン
 SMAC プラスCV カテーテルフルキット(シング
ル、トリプル)または
プリセップCV オキシメ
トリカテーテル
 穿刺前に血管確認用のエコーを極力使用すること
 外科の症例の場合、術前に病棟で留置されている
ことも多い
 CVP を測定する場合は圧ラインを準備(ダブルの
圧ラインは循環器センター手術室にある)。但し
血管内容量の推定にはあまり役立たない
(11)肺動脈ライン
 Arrow SMAC
 Edwards スワンガンツCCO/CEDV774H75
 モニタキットトリプル
 心拍出量測定機器及びそれに必要な接続コード
3) 脊髄くも膜下麻酔の準備
 クリーントレイ(用意されている)
 スパイナル針(基本は 25 G、70 mm)
 薬剤:ブピバカイン(等比重、高比重)
 酸素投与用マスク(オキシマスク)
 全身麻酔の準備
 脊髄くも膜下麻酔の場合も、エフェドリンおよび
アトロピンは準備しておく
4) 患者入室
 挨拶:「本日麻酔を担当する○○です」
 患者認証:ORSYS 上の認証をリストバンドのバーコ
ードで行う
 サイン・インを行う。ORSYSを立ち上げた後、左上の
画面呼出をクリックし、術前訪問をクリックし、更に
病棟申送情報をクリックし、申送り情報画面を出して、
患者、手術部位、予定術式、マーキング、アレルギー
情報などを確認し、申し送り情報画面に記載されてい
る項目を確認し、記載されている項目以外の申し送り
を病棟看護師より受ける。気道確保についての問題点
を確認し、気道確保予定方法を含む予定麻酔方法と出
血に対する対応(ライン類の確認)、持ってきている
麻薬の本数を宣言しダブルチェックを受ける。その間、
基本的に患者はベッド上もしくは椅子で座位とする。
 心電図電極の貼付を指示し、波形の表示を確認し、入
室時の波形を記録する(ORSYS の波形ビューアを立
ち上げ、Remarksを押し、適切な時間を選択。入室時
ECGなどのタイトルを付け追加ボタンを押して貼り
付ける。心電図波形の貼付けは手術中いつでも、術後
も24時間以内であれば可能なので必ず行うこと)
 自動血圧計のカフを原則として右上腕に巻き、正しく
測定出来ることを確認する
 パルスオキシメータを装着、波形および経皮的動脈血
酸素飽和度を確認する
 静脈路の確保:モニターを装着し、入室時のバイタル
を確認してから行う
5) 麻酔導入~覚醒
(1)麻酔記録
 ORSYSは、その時間その麻酔に責任をもつものがロ
グインする。(昼を含め交代する場合は、再ログイ
ンする。初期研修医はその麻酔に責任をもつことは
あまりないので、staffが忘れているようなら則す)
 麻酔開始・終了、手術開始・終了、挿管・抜管、体
位変換などのイベント、腹腔鏡、分離肺換気、輸液、
投薬など、全ての事項をORSYS に記録する
 システムに不具合が生じた場合には、指導者に報告
し、その間の記録は手書きで行う
(2)麻酔導入完了
 自分たちの仕事が一通り終わって、外科医に何でも
してよいようになったとき。体位は手術のために取
るもので、麻酔とはあまり関係がありません。
(消毒をしてもらいながらとか手術開始後も動脈圧ラインをとっている場合には、
まだ麻酔導入完了していませんので、手術開始時が麻酔導入完了)
(3)タイムアウト
 執刀直前にその部屋の全員が手を止めて行う
 術者は、患者氏名、予定術式、予定時間、予想出血
量を宣言し、布鉗子が体をはさんでいないこと、術
中のDVT予防法を確認する
 麻酔科医は、術前抗菌薬が投与されていることを宣
言する。患者の血液型がRh 陰性の場合は、抗D 抗
体の有無も宣言する。また、術者の宣言忘れは尋ね
る
 外回り看護師は、術者の宣言した術式が申し込みと
合っているかを確認し、違う場合はその場で確認す
る。
 深部静脈血栓予防法を確認し、観血的空気圧迫法の
使用の有無を確認する。
(4)抗菌薬
 SSI 予防のため、多くの症例でセファゾリンを、下
部消化管手術、口腔、鼻腔を術野とした耳鼻咽喉科
手術、膣、子宮を開ける婦人科手術はセフメタゾー
ルを、気管支形成、気管切開を伴う呼吸器外科はユ
ナシンを投与する。(ユナシンは病棟から持参)
 手術室入室後、執刀までに初回の投与を終える
 80kg以上体重がある場合には、セファゾリンとセフ
メタゾールは2g、ユナシンは3g投与する。
 投与後、執刀までに 1 時間以上経過した場合は、
再投与を考慮する
 腎不全などがない場合は、以後 3 時間おきに同じ
ものを投与する。(術者は3時間おきに手袋交換)
 ただし、20<eGFR<50のときは、セファゾリンは8時
間毎、セフメタゾールとユナシンは6時間毎に投与
 ただし、eGFR<20のときは、セファゾリンは16時間
毎、セフメタゾールとユナシンは12時間毎に投与
 短時間に1500g以上の出血があった場合には、再投
与時間前でも再投与を考慮する
(5)術中輸液
 3 時間以上の手術では、低体温予防目的で早い時期
にアミノ酸製剤(アミニック200 ml)を投与
 あまり多くの晶質液を投与せず、積極的に膠質液
(ボルベンなど) を使用する
 基本の晶質液として、Mg および1%ブドウ糖が入っ
たフィジオ140 もしくはブドウ糖を含まないがMg
も含む重炭酸リンゲル液のビガネイトを使用。
 ボルベンは生食ベースなので、アシドーシス、電解
質や糖に注意すること
(6)輸血
 電子カルテの「血液製剤依頼指示」からオーダーし、
輸血管理室に電話する(内線2285、夜間・休日は5997)
 1 回の入力で、RCC-LR 8 単位までオーダーできる
が、6単位以上オーダーする場合は後述のイエロー
またはレッドの緊急性と判断し、輸血管理室にその
旨伝える
 T&S となっている場合は、「T&S 依頼」を選択す
る
 準備血は出血量の多さに比べて少なめであるが、追
加オーダーには輸血管理室も慣れているので、躊躇
せずにオーダーをすること
 5% アルブミンも輸血と同様のオーダーが必要で
ある。(通常は事後オーダー)
(7)覚醒・抜管
 腹腔・胸腔での手術では、手術終了後、レントゲン
写真を撮影し、ガーゼ遺残などがないことを確認し
てから抜管すること
6)帰室
 帰室に際して、アルデレーテ麻酔覚醒スコア
(Aldrete Post-anesthetic Recovery score; PAR score)
を評価し、原則として8 点以上であることを確認す
る
点数
運
自発、命令で活発に動く、頭部挙上可能(15 秒)
2
動
動きが弱い
1
動かない
0
呼
深呼吸、あるいは泣く
2
吸
気道が十分に確保されている
1
エアウェイの挿入が必要
0
血
術前と比較し変化が±20 mmHg 以内
2
圧
±20~50 mmHg
1
±50 mmHg 以上
0
意
十分に覚醒している、呼名にすぐ反応する
2
識
痛みに反応し、防御反射がある
1
痛みに反応しない
0
空気呼吸下でSpO2が92%以上
2
SpO2を90%以上に保つのに酸素吸入が必要
1
酸素投与にもかかわらずSpO2が90%以下
0
酸
素
飽
和
度
合計
/
10
点
 退室させる前にORSYSで輸液などのIN/OUTが正しく
入力されているか確認する
 ORSYS の「退室時サマリ」に、最終バイタルなど
の必要事項を入力し、記録を終了する
 麻酔器の流量計はすべて閉じる。麻酔器やモニター
の電源を切る
 針やシリンジは、麻酔した者が処分する(放置しな
いこと)
 帰室時は、移動用パルスオキシメータを装着し、モ
ニタリングすること
 挿管帰室の場合は、原則として病棟まで付き添うこ
と
6) サイン・アウトを行う。間接介助看護師の声掛けによ
って行う。術者は術後診断・実施術式、ドレーンの位置、
術後の肺血栓塞栓症の予防策などを間接介助看護師に伝
え、麻酔科医は術後鎮痛方法と術後に注意すべき輸液管
理や呼吸管理についてなどを術者グループに伝える。間
接介助看護師はガーゼ・器械カウントの確認と出血量・
尿量の確認、提出標本に関する確認等を術者グループに
伝える。手術終了から退室までの間に、麻酔科医は持っ
てきている麻薬の現状について看護師の確認を受ける。
サインイン、サインアウトは2016年3月末に開始されたばか
りなので、今後やり方、項目などの変化に注意すること
8)薬剤の返却、麻酔サマリ・JSAPIMS(麻酔台帳)入力
(1)薬剤の返却
 麻薬は実施済処方を行い、注射箋にサインもしくは捺
印し、施用票に施用量を記入して、空アンプルと残液
を金庫内に返納する。(詳細は一般的注意の項参照)
 その他の未使用薬剤は、元の場所に返却する
(2)ORSYS の入力
 症例終了後、麻酔科医室またはナースステーションの
ORSYS 用パソコンで「麻酔サマリ」を完成させ、確定
する(入力方法の詳細および注意点は「資料-1 麻酔サ
マリの入力」を参照)
 「偶発症調査入力」を開き、「ORSYS データ再読込」
をクリックする。取り込まれた内容を確認し、「登録」
をクリックし、画面を閉じる
 「JSA データ出力」を開き、「データ送信」をクリッ
クし、画面を閉じる。うまくJSAPIMSに送れなかった
場合は、「JSA データ出力」を開き、「送信一覧」を
クリックし、日付と条件(送信済みを選択)を入れて
検索し、該当症例を「再送信変更」として再度送信ボ
タンを押す
(3)JSAPIMS (麻酔台帳)の登録
 ORSYS用のパソコンで、デスクトップから「JSA麻酔
台帳システム」を選択し開く(ログインID とパスワー
ドはともに1
 「自動麻酔記録装置 IF → データ登録 → 実行」と
クリックする
 次に「手術台帳/麻酔台帳 → 登録 → 表示」とクリ
ックする。該当症例の左端の「選択」ボタンをクリッ
クし、全ての項目が正しく入力されていることを確認
して「確定」する
8)術後回診・PCAポンプの付いている患者の回診
 担当者(基本的に前日のファーストコール)は、前日
の手術症例の術後回診を行い、ORSYS に入力する。た
だし、初期研修医は、自分の担当した症例の術後回診
を、少なくとも術当日と翌日に行うこと
 術後患者に麻酔と関係があると思われる合併症が発生
した場合には、指導者に速やかに報告し、対策を講じ
ること。事実をカルテに記載し、問題が解決するまで
定期的にフォローアップすること。また、ORSYS と
JSA麻酔台帳の偶発症登録を行うこと
 PCAポンプの付いている患者に関しては、可能であれ
ば朝、夕の2回回診し、その設定の増減の判断、追加
の薬剤が必要かどうかなどを判断し、追加の薬剤が必
要と判断すればオーダーを行う。
 PCAが付いている患者については、術後回診画面を印
刷し、次の日の回診を行うものに申し送る。
 PCAが付いている患者の回診は、土日・祝日はファー
ストコールが原則として行う。
9)輸血のORSYSでの登録
 輸血は、他の輸液製剤と異なり、まず開始するときに
輸血認証ボタンを押し、血液型、種別、ロット番号の3
つをバーコードで読み込み、認証後ルートを指定し開始
する。終了時は単位数を入力しメニューバーもしくは手
術終了後の右側のランチャーから副作用入力を行う。
3.循環器センターでの麻酔
1)心臓手術
(1)TEE 関係
 入室までに電子カルテから TEE のオーダーを出して
おく。
「ナビゲーションマップ → オーダー → 救急・外来・病
棟(生理検査) → 循環器センター経食道超音波」と選択
し、検査日時を手術日に合わせて「確定」する
 エコー本体の「Patient Data」から患者を検索し選択。
「Freeze → Acquire」で静止画、「Acquire」で動画が保
存される。症例終了後に「END EXAM」するとサーバに
保存される
(2)薬剤
 麻薬は 麻薬金庫内
 エスラックスは CCU の冷蔵庫内の金庫内
 抗菌薬はセファゾリンを3 時間おきに投与。タイムア
ウトで投与済みであることをコールする(循環器の場
合)
 OPCAB 時、動脈グラフトを使用する際には、ニコラ
ンジルおよびジルチアゼムの持続投与を考慮(診療科
は希望しているらしい:要望として受けていない)
 術後鎮痛として、フェンタニル持続投与(フェンタニ
ル20 ml+生食20 ml をシリンジポンプ)、デクスメデ
トミジン、モルヒネなどを考慮
 精密持続投与薬剤の希釈に関しては、当院の取り決め
に従う(資料-4 参照)
(3)ライン類(循環器の場合)
 末梢は確保されていないことが多い
 圧ライン:トリプルを準備。加圧バッグおよびホルダ
ーはCCU にある
 Arrow SMAC、Edwards スワンガンツ
CCO/CEDV774H75、三方活栓 2 つ、デリバデクスシ
リンジ1~ 2 本を準備(プライミング用の台は手術室A
の物品カートの横にある)
 持続薬はラインを 2 本つないでシースから投与する。
 白に昇圧薬、茶に降圧薬および麻酔薬をつなぐ
 6 連のシリンジポンプはCCU の器材庫にある
(4)ヘパリン・プロタミン
 ヘパリン投与後、ACT 200 秒と400 秒でコールする
 プロタミンは半量でコールする
 ACT 測定用のカートリッジは、手術室
A の保冷庫
(ME さんが準備してくれることもある)
(5)人工心肺中の注意
 人工心肺の開始・終了(CE 側で入力)と同時に「低
体温開始・終了」を入力
 還流圧は原則 60~70 mmHg くらいに調節する(CE
側でもフローを調節するが、麻酔科でも循環作動薬を
使って下さいとのこと:お互いにコミュニケーション
を取って協力して行うこと)
 心肺中は薬剤のみ麻酔科でORSYSに入力。
 心肺中の尿量は、CE さんがカウントしORSYS に入力
してくれる
(6)入力・コスト
 術野吸引でマイナスになった分は「術野生食」として
心肺後のIN に入力
 セルセーバー血の合計作成量は最後に CE さんが教
えてくれるので入力する
(7)
その他
 循環器の帰室時のモニター:マンシェットはそのまま。
圧ラインとSpO2 は移動用のコードに、心電図は3極に
交換
 コストを忘れずに請求する
 検査:TEE 加算(必ず所見をORSYSに入力するこ
と)、CV 挿入、セルセーバーなど
 材料:シース、PAC 、インサイトAなど
 薬剤:デリバデクスヘパリンシリンジなど
2)ステントグラフト
(1)準備
 末梢は病棟で確保されてくることが多い
 A ライン:シングルの圧ライン
 左上肢は術中に使用することがあるので、モニターお
よびラインは全て右上肢に
 ACT 測定用のカートリッジ:保冷庫から出して常温に
戻しておく
(2)ヘパリン・プロタミン
 ヘパリンおよびプロタミンの量は術者から指定される
ことが多い
3)その他既存棟手術室でも行う手術
 今後手術件数の増加させるため既存等手術室で行う手
術も循環器センターでも行う。
 麻酔に関しては既存棟手術室と変わらない様に行う。
4.帝王切開に関して
 原則として手術室を1室開けておくように予定手術は
コントロールする。
 緊急帝王切開の申し込みは、その緊急度に応じて青(そ
の日のうちなら)・黄色(なるべく早く)・赤(30
分以内に娩出)の三段階で申し込まれる。
 分娩が始まっている妊婦がいる(分娩を誘発する場合)
場合、産科は手術室にその旨連絡する。手術室看護師
はその連絡を受けたら、平日定時は、星に、(火曜日
は山崎に)17時以降、休日、祝日は麻酔科ファース
トコールにその旨連絡する。(分娩開始、出産しまし
たという連絡はPHSのメール機能でも、配信されます)
 ファーストコールは次のときにセカンドコールに連絡
をする。
 休日、夜間に分娩が始まっている妊婦がいる連絡を
受けた後に既存棟で行う緊急手術が入った場合、30
分以内に手術室に来れる場所に来てもらうことを
依頼(通常のファーストコールと同様の対応を依
頼)。その場合、超緊急帝王切開が申し込まれた場
合、最低限の準備はファーストコールが行う
 セカンドコールは呼ばれて病院に来た場合は、救急
呼び出し手当のみを請求可能とする。
 定時帝王切開及び緊急帝王切開の青、黄色は原則とし
て CSEA で麻酔を行う。ただし凝固障害がある場合や
帝王切開時の体重で BMI 28 以上の場合は術後抗凝
固療法を行うので Spinal + spinal morphine で行う。緊
急帝王切開の赤の場合は全身麻酔で行う。上記 Spinal
で行う場合と全身麻酔で行う場合は創部カテーテル
を使用し術後鎮痛を行う。
 緊急帝王切開の時も抗菌薬は投与する。
5.ロボット支援前立腺全摘術の術後鎮痛に関して
 コンソールを外すくらいのタイミングで、アセリオ 1000
mg(体重が 50kg 以下の場合はもしくは 15 ㎎/㎏)を IV
 術当日は 20 時から 21 時に 再度同量を投与
 フェンタニルは、覚醒時の効果器部位濃度が 0.7~1.4
ng/mL になるように
 2POD までは定時的にアセリオを同量 3 回/日投与
 レスキューとして、どうしても鎮痛のコントロールがつ
かないとき、
 モルヒネ
2 ㎎(0.2mL)
IV 10 分以上開ければ 3
回まで、3 回 1 時間以内に使用した場合には最後の使
用から 4 時間以上開けて再度投与可
もしくは
 ペンタゾシン 15 ㎎ IV
1 時間以上開けて 2 回まで、
3 回目の投与は 2 回目投与から 4 時間以上開けて一日
4 回まで
 原則として PCA は使用しない
6.ICU の管理に関して
 ICU の平日日中の管理は麻酔科(集中治療医学会専門医も
しくはそれに準じるもの、目指すもの)で行います
 平日毎日、朝 8 時 15 分からの回診への参加は Duty です。
患者の状況を把握し、
(診察が必要であれば診察も)参加
してください
 日中の担当医は、2016 年度以降は継続性を持って患者を
診る事ができるので、積極的に呼吸・循環・疼痛管理な
どに関わってください。また、救急外来からの明らかな
ICU 適応患者に関しては積極的に関わり、救急外来滞在時
間の短縮に努めてください
 土日・祝日も含め昼の担当医は、通常 10 時 30 分頃から
行われる Nursing conference ならびに incident
conference に参加し、積極的に意見を述べる事
7.ヘモクロンシグニチャー
エリートの使用方法
実際の測定
1.カートリッジの挿入:カートリッジを挿入するとロット
番号の選択画面になります。事前にスキャン入力している番
号を数字キーで選ぶか、新規にPRINT/SCANキーでスキャンす
るか、手入力してください。
*5分以内に測定開始してください。
2.検体の滴下:ディスプレイに「ADD SAMPLE」…「PRESS START」
が交互に表示されたら、検体を採取しウェル内に1滴(約50µL)
滴下します。
3.測定開始:
4.結果の表示
を押し測定を開始します。
ACT:凝固が検出されるとビープ音を発し、ACT値を表示しま
す。
PT:PT測定時には全血PT(秒)、PT-INR値、血漿相当値に換
算されたPT(秒)が表示されます。
8.術後回診のタブレットの使用方法(現在タブレットは使
用できません)
【ORSYS】タブレット操作手順書
■ORSYSタブレット概略
ORSYSTAB01
ORSYSTAB02
本体ORSYSから症例データをタブレット端末に送信(エクスポート)し、タブレット端末上のORSYSを
起動して、術前診察・術後回診・術前訪問・術後訪問の入力ができます。タブレットで入力されたデータ
は、本体ORSYSに送信(インポート)することで、本体ORSYSのデータとして取り込むことができます。
■ORSYSタブレット操作手順
① タブレット用ドックにLANケーブルが接続されていることを確認し、タブレットをドックに設置します。
(※タブレットはドックに設置されている間のみ、院内ネットワークに接続できます)
② 本体センター端末を起動し、「共通」メニューの「ORSYSデータ出力」ボタンを押します。
③ ログオン画面が起動するのでログオンします。
(不正者によるデータ紛失を防ぐためのセキュリティ対策です。)
④ データエクスポート画面が起動します。エクスポートしたい日付に移動します。
⑤ 動作モードが「症例エクスポート」であることを確認し、タブレットに送信したい症例にチェックを入れ、
「エクスポート」ボタンを押します。「麻酔科管理」ボタンを押すと、該当日の麻酔科関与症例に一括でチ
ェックが入ります。
個人情報
⑥ タブレット選択画面が開くので、送信先のタブレット端末にチェックをいれ、「実行」を押して下さい。
※タブレット端末がドックに設置されずネットワークに接続されていない場合は、状態列に「×」と表示され
て
選択できません。タブレット端末をドックに設置してください。
※「ORSYSTAB03」はPHILIPSサポート用の端末ですので使用しないでください。
⑦ エクスポート処理が始まります。おおむね10症例で2分程度かかります。
終了するとメッセージが表示されるので、確認してOKを押します。
⑧ エクスポート画面に戻ると、エクスポートした症例に「済」と表示されています。
※重複エクスポートによるデータ損失を防ぐため、「済」の症例は送信先タブレットからデータが戻ってくる
(インポート)まで、次のエクスポート処理は行えません。
⑨ [タブレット端末操作]本体ORSYSでエクスポート処理が完了したのを確認してから、タブレット端末
のORSYSを起動します。この際に最新のリリース内容を本体サーバから自動取り込みするため、ドックに
接続した状態で起動してください。
※起動時に本体サーバから最新のリリース資源を取得するため、ドックに設置された状態で起動してくださ
い。
⑩ ログインします。
⑪ 役割選択します。麻酔科用タブレットでは術前診察と術後回診、看護師用タブレットでは術前訪問
と術後訪問が入力できます。
⑫ エクスポート症例件数を確認し、OKを押します。
⑬ タブレットセンター画面が開きます。該当日に取り込まれた症例が表示されるので、術前診察・術後
回診、術前訪問・術後訪問の入力をします。
※取り込み処理が完了すれば、ドックから取り外して持ち運びが可能です。
⑭ 入力が完了したら、再びドックに設置し、「ORSYSデータ出力」ボタンをクリックします。
⑮ 本体ORSYSに戻す症例の数を確認したら、OKボタンを押します。
※タブレット→本体へのデータインポートは、必ずタブレット内の全症例データが送信されます。
全症例のデータを入力し終わってからデータインポートを行ってください。
※エクスポート以降に本体側で該当症例の術前診察・術後回診、術前訪問・術後訪問に
入力していた場合、タブレット側で編集したデータによって上書きされますのでご注意下さい。
⑯ インポート処理が完了したら、タブレットORSYSを終了します。
9.こころの医療センターでの mECT
 月曜日・水曜日に実施。
 ICU 回診、管理者等会議もしくは幹部会議後に中央病
院を出席後に出掛けて間に合うような予定で、1 日の件
数は 5 件程度まで。
 ECT を行う部屋は、図の白の矢印の場所
 ついたら 9 時 15 分位から精神科医師と打ち合わせを行
い、薬剤についてダブルチェック、麻酔器の始業点検
を行い、サインする。緊急カートは病院内統一のため、
エフェドリン、ニカルジピンは別のカート内に入って
いる。
 末梢点滴ラインは原則として病棟から留置されてきま
す。患者認証は患者とともにくるカルテに印刷された
バーコードで行う。
 麻酔記録を立ち上げる際に、モニターが AS3/S5/
Cardiocap が選択されていることを確認(そうでないと
取り込まれません)
 麻酔終了後麻酔記録は WEB CENTER 画面から麻酔関
連、麻酔記録印刷と進み、印刷画面が立ち上がったの
を確認し、印刷する。
 手術申し込みは、こころの医療センターの患者 ID で、
こころの医療センター医師が県立中央病院の HIS で手
術申し込みを行う。
 こころの医療センター医師は、患者問診票、胸部 XP、
心電図画像をプログレスに貼り付ける。
 担当となった麻酔科医は、事前に採血データ(3ヶ月
前までのものは自動取り込み)、問診票、胸部 XP、心
電図、術前診察医の診察結果【前回コピー?】ならび
に前回の麻酔記録を確認しておく。
 担当になった麻酔科医は、次回の(月曜日担当なら水
曜日のmECT の患者の術前診察を行ってから中央病院
に帰る。そのため次回のmECT の患者の術前情報の把
握、入力を忘れずに行ってから出かける。
 ECT を施行する部屋にある HIS(電子カルテ端末)は、
切り替えスイッチでこころの医療センターの HIS と県
立中央病院の HIS と画面が切り替わります。(本体は
下に2台あります)スイッチャーの右側のライト点灯
時に県立中央病院の HIS です。
 麻酔記録開始後、スレイブディスプレイ画面(出血量
や尿量を表示する画面)が出てくる可能性があるが、
その場合は、そのスレイブモニター画面をクリックし
て選択して、Alt+F4 で消す
ECT 施行マニュアル
1)モニター装着(ECG、マンシェット、SpO2、筋弛緩モニタ
ー)、ターニケット(手動の血圧計)装着(血圧の 1.5~2 倍
程度を指示)
2)ラインは確保されてくるので、そちら側に NIBP のマン
シェットを装着、短時間のため逆流防止弁はいらない。上
腕にラインが確保されてきた時は、対側に NIBP、下肢に
タニケットとする。
3)酸素化は十分に行う。導入直前、全歯用バイトブロック
を装着する
4)酸素化中にコントロールの脳波測定を行ってもらう
5)導入:イソゾール 2~5mg/kg またはディプリバン 1~
2mg/kg(前回の ECT 施行後の覚醒状態によって増減する)
6)バッグ換気:うつ病患者には Obesity がある患者が多
い傾向にあるため、気道確保は確実に。エア・ウェイの使
用も考慮
7)ターニケット(手動の血圧計を加圧、220、250、280mmHg
のいずれかを指示)
8)筋弛緩薬投与:スキサメトニウム 1mg/kg 程度(前回の
筋弛緩からの 回復を考慮に入れて増減する)
、降圧薬が必
要なら投与
9)筋弛緩モニターで single twich での刺激を開始し筋
弛緩効果を確認する
10)筋弛緩が確認できたら、精神科の医師が通電(約 5 秒
間)を行う。 その際、バッグ換気は中断
11)ターニケットの巻いてある肢で間代性痙攣と脳波上で
痙攣波が出現。 出ない場合もあり、その際にはもう一度
通電することもある
12)通電後、バイトブロックを外してすぐに換気を再開す
る。ターニケ ットは off。
13)筋弛緩が回復し、覚醒したら、酸素マスク装着の上、
隣の観察室へ。
(蛇管吊りと枕は外して次へ)観察室で 10
分程度酸素を 3L/分で投与、その後 5 分程度の間酸素を外
しても SpO2 が下がらないことを確認し、帰室。
14)次回の参考のために、今回の m-ECT の評価と麻酔薬の
使用量が適切だったかを評価し、ORSYS の「麻酔サマリー」
、
「手術情報1」の一番下の「手術情報コメント」に記載す
る 。
15)その他の注意点
1)スキサメトニウムが使えない症例ではエスラック
スを用いるが、筋弛緩が得られる程度の量にとどめる。ス
ガマデクスによるリバースはフルに行う。それらの薬剤を
使用する予定の場合には、術前診察(その前の回に行って
いる医師が)その旨伝え、更にカルテのプログレスノート
に記載する。
2)合併症の多くは初回に発生している。注意深く観
察し、施行する
3)患者の状態について、必要があれば事前に精神科医
と相談する
4)痙攣遷延や不整脈などの合併症に備え、以下のもの
があることを確認する。 (吸わずに)セルシン1A もし
くはドルミカム1A、アレビアチン1A、 静注用キシロカ
イン1A、エフェドリン1A(緊急カートもしくは ECT 用の
カートにあります。
)
5)こころの医療センターで実施するmECT は、入室時
の ECG の記録の貼り付けは行う。麻酔サマリの入力・確
定は行なわない。JSA 麻酔台帳への登録は行なわない。で
お願いします。これは麻酔台帳の報告の際に違う病院の記
録が混ざるのを防ぐ目的です。麻酔サマリが確定されてい
ると、JSA への送信に対してアラートが出ます。よろしく
お願いします。個人の記録の際には、ORSYS で各自検索を
かけて、実施分の数を加えて報告をして下さい。
資料-1 麻酔サマリの入力
手術情報 1
・麻酔指導医・実施医、(執刀医、助手)の氏名を入力
麻酔請求情報
・ 麻酔種別:全身麻酔の場合は「閉鎖循環式全身麻酔」を
選択。硬膜外麻酔を実施した場合は「硬膜外麻酔後麻酔剤持
続注入」も選択
・ 麻酔加算:全てを麻酔科標榜医が行った場合には「麻酔
管理料(Ⅰ)」を、初期研修医が何らかの手技を行った場合
には「麻酔管理料(Ⅱ)」を選択。ただし、非常勤医師が担当
した場合にはすべて「麻酔管理料(Ⅱ)」。PCEA を使用した
場合には「硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の精密持続注入
加算」を、TEE を使用した場合には「術中経食道エコー連
続監視加算」を選択
・ 材料入力:
「フロートラックセンサー」、
「Arrow SMAC」、
「CCO サーモダイリューションカテーテル」、「インサイ
トA」、「CV カテーテル」、「ブラッドアクセス」などを
使用した場合には入力(ほとんどのものが万単位の金額)
・手術検査:「経皮的動脈血酸素飽和度測定」、「呼吸心拍
監視」、「BIS モニター」は全身麻酔の時は必須。その他、
使用したモニター・ 検査を選択
・麻酔方法:該当するものを選択
・手術部位:該当するものを選択
・ASA:必須(術前診察で入力されている場合は自動で入力
される)
使用薬剤情報
・ エフェドリンなど、準備したが使用しなかった薬剤を追
加する
・ A ライン挿入時には、テルモ生食500 ml とヘパリンナト
リウムを追加する(輸液の欄に術中に記載し、10 mLでも
入ったことにすれば自動的にコストが取れる)
・ CV 挿入時には、デリバデクスヘパリンロックシリンジ
を追加する
・ TIVA を行った場合は、ディプリバンキットの数量を確
認する
・ 持続投与薬などは、ORSYS上で投与された量が自動入力
されるため、実際に手術中に切ったアンプル数量を入力する
その他の注意点
・ なるべく手術中に入力し、保存しておく(確定は症例終
了後)
・ 診療科麻酔の症例を、途中から麻酔科に依頼された場合
は、
麻酔サマリの中の麻酔科依頼を「あり」にする
・ 救急センターという診療科で申し込まれた場合は、診療
科名を麻酔サマリで変更する
・ 腹腔鏡手術、分離肺換気では、腹腔鏡加算、分離肺換気
加算がとれていることを確認する
(腹腔鏡開始・終了、分離肺換気開始・終了がイベントでチ
ェックされていることを確認する)
資料-2 PCA ポンプ運用マニュアル
 PCA ポンプの保管場所は手術室の器材庫とする
 麻酔担当医が薬剤を詰め、Base flow、Bolus dose、Lock
outtime、時間有効回数を設定し、手術室で開始する
 手術室から病棟への申し送り時に、器械、薬液、バッグ、
ボタンがあることを確認する(下図参照)
 電池は原則としてエネループを使用する。病棟で使用中
に電池の残量がなくなった場合には、エネループはバッ
グの中に入れ、通常の単3 電池を使用する
 病棟で使用終了した後は、青いラインを次ページの図の2
か所で切り、バッグ・ポンプ・ボタンの 3 つを揃えて返
却する
 返却された PCA ポンプは、清拭後に機材庫に届く。
病棟で考えられるアラーム
 残量
 薬液残量が少なくなると鳴る。スクロールボタンを押
すとアラームが止まる
 薬液終了時に再び鳴る。再びスクロールボタンを押し
てアラームを止め、OFF ボタンを長押しで電源を切る
 電池
 電池の残量が少なくなると鳴る。スクロールボタンを
押してアラームを止め、OFF ボタンを長押しして電源
を切る。本体後ろの電池カバーを開けて単 3 アルカ
リ乾電池を2 本入れ、ON ボタンを長押しして電源を
入れ、作動ボタンを長押ししてポンプを再スタートす
る
 エネループは再利用するため、バッグの中に入れて返
却する
資料- 3 術前外来マニュアル
基本事項
 場所
 外科外来の診察室10-7(受付内線:2120)
 時間
 平日の午前 9 時から 12 時まで
 外来枠は 1 人 15 分。往診の場合は 2 枠(30 分)
確保するか、最初か最後の枠に限る
 流れ
 事前準備 → 問診票の確認・診察 → 特有項目の麻酔
の説明 → 同意書の取得
 受診患者は、診察前に麻酔の説明パンフレットを読み、
問診票に記入して診察室に来る
 事前準備
 電子カルテの「予約一覧」を開き、人数と内容を確認
する
 患者のカルテを開き、「ナビゲーションマップ → 共
通 →麻酔Web(患者指定)」を選択すると、ORSYS セ
ンターメニューが開き、当該患者の手術リストが表示
される(手術申込がされていない場合には、外来担当
医あるいは術前外来申込医に連絡をし、速やかな手術
申込を依頼する)
 症例を選択し、タブで麻酔関連を選択し、術前診察画
面を開く。まず「前回コピー」をクリックし、前回情
報がある場合には取り込む(一度「登録」をクリック
すると前回情報は取り込めなくなるので、必ず最初に
行うこと)。画面左の「手術申込」をクリックし、希
望麻酔方法と備考欄を確認し、画面を閉じる
 術前診察医に自分の名前を入力し、状態を「入力中」
にしておく。電子カルテを参照しながら、バイタルサ
イン、既往歴、合併症、喫煙歴、心電図所見、胸写所
見、呼吸機能検査、使用薬剤などを可能な範囲で入力
し、「登録」をクリックして画面を閉じる
 診察前に患者に読んでもらうパンフレットの種類を
決め、麻酔計画の欄で選択をする
 検査の不備や不足がある場合には、申込医に連絡し、
術前外来までに結果が出るように依頼する。なお、術
前検査に関しては、原則として手術日より 3 か月以
内に実施されたものを有効とする
 実際の流れ
 電子カルテの「表示一覧」を開き、医師名を「術前
診察」に、右上の受付状態を「全選択」に変更し、
「最新表示」をクリックする
 患者が麻酔の説明パンフレットを読み、問診票への
記入が終わると、説明書・同意書と共に外来受付に
準備されるので、一式を診察室に持っていく
 患者を選択しカルテとORSYS の術前診察画面を
開く。身長・体重やバイタルサインなど、不足事項
を入力する
 患者を呼び込む(受診患者は、診察室のドア付近に
いることが多い)。電子カルテの呼び込み機能を使
用することも可能だが、患者が掲示板に気付かない
ことも多い
 問診、診察、麻酔の説明をした後、同意書を取得す
る(説明書および同意書は2 枚複写になっている)
 診察内容および説明した麻酔法を、ORSYS の術前
診察に入力し、状態を「診察済」に変更して「登録」
し、ORSYS の画面を閉じる
 電子カルテで「ナビゲーションマップ → オーダ
→ 指示簿」と開き、
「麻酔科 → 入院時一般 → 内
服薬」選択して、手術当日の継続薬・中止薬、その
他特別な指示を入力する。最後に必ず「用法」をク
リックして日時を確定する(NPO の指示は不要)。
病名を登録し、電子カルテを閉じる
 説明書および同意書は、1 部を患者に渡し、複写の
1 部は外来クラークに渡す(救命士挿管の同意書は
3枚複写で、複写の1部は救命士に)

その他
 希望麻酔方法は、あくまでも診療科の希望であり、
実際の麻酔方法は術前診察医が決定する
 抗凝固薬を内服している症例では、必ず診療科に休
薬の確認をとること
 心電図所見の欄には必ずQTc を入力すること
 バイタルサインは、「ナビゲーションマップ → オ
ーダ →ケアフロー」から温度板を開くか、麻酔科
テンプレート(外来クラークに頼むと登録してくれ
る)を参照して入力する
 麻酔Web、ケアフロー、指示簿、患者掲示板など頻
用するものは、お気に入りに登録しておくと良い
(ナビゲーションマップを開き、右クリックすると
登録できる)
 診療科別の一般的な麻酔方法
★ 消化器外科
 開腹手術は基本的に全麻+硬麻
 腹腔鏡下の胃切・腸切:全麻+硬麻
 ラパ胆:全麻のみ
★ 呼吸器外科
 開胸・VATS とも基本的に全麻+硬麻
 気胸:全麻のみ
★ 泌尿器科
 悪性腫瘍手術は基本的に全麻+(体幹部ブロック)+
閉創時局麻散布+iv-PCA
 腎部分切除のみ、依頼があれば全麻+硬麻
 TUR:脊麻(+依頼があれば閉鎖神経ブロック)もし
くは全麻(必要があれば筋弛緩を十分に)
 ロボット支援前立腺全摘術、全麻のみ(前述参考)
★ 婦人科
 術後抗凝固療法を行う開腹手術(悪性腫瘍手術、BMI
28以上の肥満患者):全麻+創部カテーテル+閉創時
局麻散布
 術後抗凝固療法を行わない開腹手術(良性疾患手術、
一部の悪性腫瘍手術):全麻+硬麻
 円錐切除:全麻
 腹腔鏡下手術:全麻(+依頼があれば硬麻)
★ 整形外科(四肢ブロックは麻酔科医によってしない場合
もある)
 THA、人工骨頭、IBN:全麻+四肢ブロック(腸骨窩
ブロック)]
 TKA、足関節手術:全麻+四肢ブロック(大腿神経ブ
ロック(持続)+坐骨神経ブロック)]
 上肢手術:全麻+四肢ブロック(腕神経叢ブロック)]
 膝関節鏡:全麻+四肢ブロック(大腿神経ブロック)]
★ 患者要因別
 透析中:全麻+体幹部ブロック
 術前ヘパリン化:術前の十分な休止と当日朝の凝固を
確認し、問題なければ全麻+硬麻
 予定帝王切開:CSEA。ただしBMI(帝王切開になる時
の時の体重で)28以上の場合抗凝固を施行するので
Spinalのみ。その場合PCIAもしくはSpinal morphine
(+fentanyl)を考慮
資料- 4 精密持続投与薬剤の希釈法
ノルアドレナリン (1A : 1mg/1mL)
5 A + 生食45 mL =total 50 mL
フェンタニル (1A : 0.5mg/10mL)
2 A + 生食20 mL =total 40 mL
ピトレシン (1A : 20U/1mL)
1 A + 生食19 mL = total 20 mL
ジルチアゼム (1V : 50mg)
・ ICU、HCU : 4 V + 生食50 mL =total 50 mL
・ 循環器外科、麻酔科 : 1 V + 生食50 mL= total 50
mL
ハンプ (1V : 1000μg)
3 V + 蒸留水15 mL + 5%ブドウ糖35 mL = total
50 mL
ヒューマリン R
50 U (0.5mL) + 生食50 mL ≒ total 50 mL(1 U/mL)
マスキュレート(1V:10 mg)
5 V + 蒸留水 50 mL = total 50 mL
ミダゾラム、1%プロポフォール、ニカルピンは原液で使用
(ICU・HCU・CCU 運営委員会にて2015 年5 月変更承認)
資料- 5 災害対応マニュアル
1. 火災対策
・一時手術の手を止める
・患者管理(麻酔科医)の担当者1名を除いて、初期消火に全力を上げる
・術野の消火は二酸化炭素消火器の使用を考慮する
・手術室単独の災害では、火災が最も多い
・各手術室は、耐火構造で区画されているため、ドアを閉めればば延焼の可能性は低
い
・初期消火が不成功の時のみ、その部屋から避難し他の部屋で応急処置。その他の部
屋は安全に手術を終了させることを第一選択に
・手術室管理者(麻酔科リーダー、看護師リーダー)は、被災状況を確認し、次の手
術を検討する
2. 地震対策
・外回り: 手術室の扉を開き避難路の確保
担架・ストレッチャーなどの場所の確認
無影燈、顕微鏡を患者の上から外す
・術者・器械出し
: 術野に出ている手術器械を機械台に戻す
刃物、針類は使用していない布に包むか落下しないような場所に
術野は新しい布もしくはドレープで覆えるように用意する
・麻酔科医
: モニターや麻酔器が倒れないようにする
麻酔器が移動することで気管チューブが引っ張られないように注意
する。場合によってはコネクトを外す。
患者搬送に必要なもの(ジャクソンリースなど)を用意する。
当面必要な薬剤の準備
・麻酔科リーダー・看護師リーダー
: 各手術室の状況を把握する
電力供給が保たれ、建物の倒壊の恐れがない場合は、行われている手
術は続行し、なるべく早く終わらせる。
病院の方針を把握し、各部屋のスタッフと今後の方針を協議し、決定
緊急の避難は、病院の方針決定後に行う。
患者移動のための人手の確保、担架・ストレッチャーなどの確保
(場合によって対策本部などに連絡をとって確保する)
患者搬送先の確保
患者搬出後、必要であればシャットオフバルブを閉じる
3. 停電対策
・人工呼吸器は手動にする
・原因を調査し、開始していない手術は通電再開まで待機する。
・原因がはっきりしない場合は、行っている手術はなるべく早く終わらせるように努
力する。
・当院の手術室には緑色(無停電電源の意味)はないが、赤(発電電源)と同時配線
となっている。
・大規模災害による停電の場合は、通電再開後も 24 時間は電力供給が不安定になるの
で予定手術は行わない。
4. 断水対策
・原因を調査し、開始していない手術は水道水供給再開まで待機する。
・使用後の器械は酵素洗剤に漬け置きする。
・大規模災害の場合には、井戸もしくは水道水供給再開まで院内緊急手術以外は行わ
ない。
5. 広域大規模災害対策
・当院が被災していない近隣の大規模災害の場合も、予定手術は中止し、近隣の病院
と情報交換を行う。
資料- 6 緊急時の輸血マニュアル
危機的出血時のガイドライン(日本麻酔科学会、日本輸血・
細胞治療学会)に準じて対応する1。危機的出血時は現場で
コマンダーを決定し、コマンダーは非常事態を宣言し、その
指示のもとで診療にあたる。
 コマンダーは輸血製剤の発注、使用に責任を負う2。
 コマンダーの輸血指示を受けた医師または看護師は、輸
血管理室(夜間・休日は検査科当直技師)と連絡を取り
合う
 使用後の血液製剤は破棄せず保存する3。
 血液型は当院検査結果に基づいて発注する4。
1.手術室での危機的出血への対応
①
手術中に危機的出血が発生した場合
麻酔科担当医はコマンダーとして非常事態の宣言をし、術者、
手術室看護師、輸血管理室にそのレベルの連絡を行う。
危機的出血のレベル
Level
Red
Level
Yellow
 絶対的な危機的出血であって、交差適合試験は
省略、異型輸血も同型輸血が間に合わない場合
は行う。
 オーダリングでの輸血オーダーは、事後に行な
っても良い。電話で麻酔科医もしくはその指示
を受けた手術室外回り看護師が輸血の必要量
を電話でオーダー可能。口頭でオーダーする場
合、「患者氏名、ID、単位数」を輸血管理室技
師または日当直技師に伝える。指示を受けた技
師は、メモをした指示「患者氏名、ID、単位数」
を復唱し、指示者に確認する。
 外科医に対しては Damage Control Surgery を依
頼し、極力人を集める努力を行う。
 危機的出血スタンバイ。T&S もしくは準備血な
らびに代用血漿を 20ml/kg 以上使用してもまだ
不足している状態。
 血液センターに依頼する血液はサイレンを鳴
らして届けてもらう。
 出血量が非常に多いことの認識を手術室スタ
ッフ全員が共有し、輸血管理室に連絡し、異型
適合輸血を含め院内に使用可能な輸血がどの
程度あるかを麻酔科担当医は把握し、Level
Red を宣言するタイミングを考える。
本来手術室での危機的出血に対するガイドラインである
が、他の事態でもこれに準じて対応する。
1
1
コマンダーの指揮のもと、輸血製剤の発注を行う医師、輸
血の受け取り・ダブルチェック・投与前後の管理ができる看
護師がいることが望ましい。周囲はコマンダーの指示に従う
のみならず、適切な建設的意見を述べることを躊躇してはな
らない。コマンダーも周囲や輸血部に助言や連携を求める。
カルテの記録、
(後出しの)請求伝票、必要に応じたクロ
スマッチ、などが一連の事後処理が終了するまで保存する。
保管場所がない場合、担当技師に依頼し輸血部で保管する。
1
1
前医で血液型が判明している患者の緊急転院などの場合
でも、異なる2検体で行われた血液型か、など詳細な情報は
得られない場合が多いと考えられる。よって当院検査が出る
までは原則「血液型不明」として扱う。しかし、前医の血液
型を信頼して先にオーダーしたい、搬送時に前医でクロスマ
ッチを終了した血液も患者と一緒に来たので、その血液を直
ちに使用したい、などの状況も考えられる。この様な場合、
個々の状況に応じて主治医判断でオーダー、輸血は許容され
るが、合理的な理由をカルテに記載すること。
②
Rh 陰性血液型患者の手術の場合
タイムアウト時に抗 D 抗体の有無を確認し、手術に関わる
全てのスタッフが、危機的出血の際に Rh 陽性血を輸血可能
かの情報を共有する2。
1. 手術室以外の危機的出血
手術中の場合に準じて対応する。
2. 緊急時の適合血の選択
患者血
赤血球濃厚液
新鮮凍結血漿
血小板濃厚液
A
A>O
A > AB > B
A > AB > B
B
B>O
B > AB > A
B > AB > A
AB
AB > A = B > O
AB > A = B
AB > A = B
O
O のみ
全型適合
全型適合
液型
異型適合血を使用した場合、投与後の溶血反応に注意する
2
抗 D 抗体陰性であれば、緊急時に Rh 陽性血の輸血は可能である。
緊急時の赤血球濃厚液の選択(原則は照射白血球除去濃厚赤
血球 Ir-LR-RCC-MAP3を用いる)
緊急度
血液型判定まで待て
O 型 Rh+
ない
血液型判定まで待て 同型血輸血(または上の表の異型適合
る
血)
クロスマッチなし(後追いクロスマッ
チは行う)4
クロスマッチまで待
クロスマッチ後、同型血輸血
てる
O 型や異型適合血を相当量輸血した後に、ABO 同型血に切
り替える場合は、新たにクロスマッチ血を採血する。輸血管
理室で、新たに採血した患者血液との交差適合試験を主試験
生食法で行い、適合する血液を用いる。
抗 D 抗体陰性であれば、緊急時に Rh 陽性血の輸血は可能
である。
1
通常院内で使用されてる赤血球製剤である。
1
1
クロスマッチは後追いでクームス法並びにブロメリン法ま
で行われる
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