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“平家物語を読む①” ~平清盛の栄華とその悪行~
2012 後期 2012.10.10 文責:高田 萌 ののいち市民大学校企画委員会 -10 月 20 日開催 後期第2講座まとめ- “平家物語を読む①” ~平清盛の栄華とその悪行~ 講師 藤島秀隆 氏 (金沢能楽美術館 館長) 講義の要旨 1平家物語について 一口に平家物語といっても記録方法などで様々な種類があります。 物語の内容に入る前にその種類について解説していただきました。ま ずは伝承方法の違い。琵琶法師によって語り継がれたという語り本と、 文字によって残された読み本の二種類があります。読み本の平家物語 は身分の高い人に読まれてきた一方、語り本の平家物語は、琵琶法師の 口承によって民衆に楽しまれたようです。 更に、語り本の平家物語は一方流と八坂流に分かれます。 講義中に挙げられた各流の特徴は以下のようです。 ●一方流: 12巻で構成。一般に良く読まれているのはこちら。 岩波書店、小学館で出版されているのは一方系のものです。 ●八坂流: 「平家断絶」で終わる。新潮社の平家物語はこちら。 また、読み本の平家物語も延慶本、長門本、源平盛衰記という種類があるそうです。種類によって内 容が異なり、有名な「倶利伽羅の戦い」 、 「火牛の計」は『源平盛衰記』にしか記述されていません。浅 学の私は『平家物語』といえば一種類しかないと思っていたため、『平家物語』にこのような種類があ ることに開始早々「なるほど!」という思いでいっぱいになりました。 2平家物語を読むうえでの人物、用語解説 【清盛について】 清盛に関する主な出来事です。配布資料①を参照ください。 1118年:清盛誕生 :父は平忠盛。実は、白河院の子どもであるという説もある。 1167年:太政大臣になる:保元の乱、平治の乱を勝ち抜き、武士で初めて太政大臣になる。 1168年:病を患い出家。浄海と号する。 1179年:後白河院を幽閉し、院生を停止。都を福原(神戸市)に移す。奈良焼き討ち。 1181年:清盛没。 【平家の活動地】配布資料の③を参照。 ●六波羅館:現在の京都の六波羅蜜寺のあたりに設けられました。平家政権の中心地、政務が行われた ところです。長門本の平家物語には京都の六波羅のあたりで平家一門の邸宅で栄えていた、という記述 があるそうです。 ●西八条の別邸:京都の南、下京区のあたりにありました。六波羅館は政務が行われましたが、こちら は清盛の私邸でした。現在このあたりに残る「若一神社」には清盛が御手植えされたというクスノキが あります。 知識をつけて、いざ本文です。 3栄華と悪行 清盛の栄華・悪行を示すエピソードを紹介・解説していただきました。 【清盛の栄華示すエピソード】 ●鱸:鱸の章では清盛が栄華を清盛が武家で初めて、太政大臣になるまでの権力を持ったこと、 その理由は熊野信仰にあったことを描いています。 ●禿髪:禿髪の章は平家の栄華を書いています。清盛の義理の弟である時忠の「此一門にあらざむる人 は、皆人非人なるべし」との発言、清盛が平家に対する批判監視組織を作り人々を不当に取り締まった、 など平家一門が強権を握っていたことが示されています。 【悪行を示すエピソード】 平家物語で描かれる悪行は2種類に分けることができます。 ①王法に対する悪行 ●殿下乗合:清盛の孫である資盛が狩りの帰りに摂政松殿と出会ったが下馬の礼などの礼を尽くし ませんでした。それに怒った摂政のお供の者たちは資盛達を馬から引き落としました。六波羅に戻 った資盛が清盛にこの事を訴えたところ清盛は孫に恥をかかせたことを怒り、仕返しを企てます。 その後、摂政松殿が天皇元服のお祝いの打ち合わせに来たところ、そのお供たちを襲い髺(もとど り※髪の毛の事、当時の男性にとってはとても大切)を切ってしまいました。 (しかし他の記録では 息子である重盛の行動だとされています。) ②仏法に対する悪行 ●奈良炎上:平家の勢いが衰退してきた頃、奈良での戦闘で平重衡があたりの民家に火をつけまし た。風が強く火は民家から興福寺や東大寺のお寺へ延焼。お寺の中の尊い仏像などすべてを燃やし てしまいました。 ◎以上筆者のまとめなので抜け落ちている部分やおかしな所が多々あると思いますがご容赦くださ い…。 『平家物語』といえば、 「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり…」という冒頭のフレーズを意 味も考えず暗記した思い出しかなく内容に関しては「???」でした。しかし、今回の講座で『平家物 語』=???という状態からほんの少し抜け出した気がします。次回の講座でまた一歩進むぞ!という ことで次回講座まで予習予習…! 感 想 ・大変難しい内容だったがテレビの大河ドラマの内容とマッチ して何となくわかったし、面白く、拝聴できました。 ・スピーディで楽しく聞かせて頂きました。 ・現代に生きててよかったと思う。 ・大変良かったと思います。