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ノーベル賞受賞 山中伸弥さん

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ノーベル賞受賞 山中伸弥さん
朝会の話
ノーベル賞受賞
山中伸弥さん
241015
村松
中国の物語で「孫悟空」という猿が、いろいろな術を使って活躍するお話があります。
知っている人も多いでしょう。その孫悟空の「術」のなかで、体の毛を一本抜いて、その
毛に息を吹きかけると、孫悟空の分身が次々とあらわれるという分身の術があります。
これは物語だけの分身の術ですが、でも実際にできるかもしれない
という研究をしている人がいます。
それはこの人、山中
伸弥(やまなか
しんや)さんです。みな
さんも知っているでしょう。山中さんの研究は世界に認められ、今
年のノーベル賞受賞が決まりました。ノーベル賞というのは、すご
い発見や発明をした人などに贈られる世界で一番有名な賞です。
ところで、山中さんの研究はどんなものか簡単に説明しますね。
人間は最初受精卵という一つの細胞からスタートします。その細胞
が2つになり4つになりしてどんどん分かれていき、最後には手になったり心臓になった
りして人間になります。その細胞が手になったり心臓になったりする前の細胞で、どんな
ものにも変化する細胞を作り出すことに成功したのが山中さんの研究です。この研究が進
んでいくと、最初に話した孫悟空の分身の術のように、心臓が悪い人の皮膚の細胞から、
新しい健康な心臓を作り出すこともできるのです。
こんなすごい研究をした山中さんですが、若いときは医者として手術をしていて、他の
人なら30分で終わる手術を、2時間も3時間もかかってしまったといいます。医者とし
ては不器用だったので手術をする医者をあきらめ、研究の道に進み、遂にはノーベル賞を
受賞するまでになったのです。
山中さんは「失敗は成功の元」という言葉をよく使います。「1回成功するには9回の
失敗がある」とも言っています。
皆さんは、1回だけの失敗であきらめることはありませんか。あきらめないで挑戦して
いくと、山中さんのように、必ず成功が待っていますよ。
きょうはノーベル賞を受賞する山中伸弥さんの話でした。話を終わります。
<裏面に「先生方へ」があります>
<先生方へ>
山中伸弥さんのノーベル賞受賞はタイムリーですので、子どもたちに話すことにしまし
た。ただどんな研究かを説明するのがすごく難しく、いろいろと考えました。ある新聞の
コラムに、孫悟空の話をもとにこの研究について書いていたので、それをいただいて話し
ました。
さて、山中さんの研究ですが、どんなものかをできるだけわかりやすく書きます。
人間は、受精卵という一つの細胞からスタートして、細胞分裂をしてどんどん分かれ
ていきます。その細胞が手や心臓になっていくわけです。手や心臓になる前の細胞で、
手や心臓に変化する命令を受けていない細胞をES細胞といいます。そのES細胞には、
1万個の遺伝子があります。山中教授はその1万個の遺伝子の中から万能細胞(何にで
も変化する細胞)になるために必要な遺伝子を24個に絞り込みました。そして24個
の中から、本当に必要な遺伝子は4個であることを突き止めたのです。その後マウスを
使った実験で、皮膚になるようプログラミングされた細胞に4個の遺伝子を加えたとこ
ろ、万能細胞に変化したのです。この万能細胞をiPS細胞と山中さんが名付けたので
す。(iが小文字なのは、iPodなどにあやかって広く普及する意味だそうです)
この研究が進むと、再生医療だけでなく、新薬の開発、難病治療など多くの分野で貢献
が期待できるのです。そんな意味からもノーベル賞受賞があるわけです。
子どもたちには、学年の発達段階にあわせて適宜お話しください。
ところで、小杉副校長先生が週予定の裏面にいろいろと書いてくださっています。参考
になることが多いと思いますので、是非実行して普段の授業に生かしていきましょう。
<資
料>
日本人のノーベル賞受賞者
19名
2012
山中 伸弥(医学生理学賞)
2008
南部 陽一郎(アメリカ国籍) 小林 誠
2002
小柴 昌俊(物理学賞)
2001
野依 良治(化学賞)
2000
白川 英樹(化学賞)
1994
大江 健三郎(文学賞)
1987
利根川 進(医学生理学賞)
1981
福井 謙一(化学賞)
1974
佐藤 栄作(平和賞)
1973
江崎 玲於奈(物理学賞)
1968
川端 康成(文学賞)
1965
朝永 振一郎(物理学賞)
1949
湯川 秀樹(物理学賞)
2010
根岸 英一
鈴木 章(化学賞)
益川 敏英(物理学賞)
下村 脩(化学賞)
田中 耕一(化学賞)
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