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H23.2.23 四国女性研究者フォーラム

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H23.2.23 四国女性研究者フォーラム
四国女性研究者フォーラム
女性研究者は未来の宝箱
日時:平成 23 年 2 月 23 日(水)13:30~16:57
場所:高松シンボルタワー タワー棟6階 かがわ国際会議場
主催:国立大学法人香川大学
共催:徳島大学、鳴門教育大学、愛媛大学、高知大学
後援:香川県、高松市、男女共同参画学協会連絡会 ほか
内容:
13:31~13:37 開会挨拶 香川大学長 一井眞比古
・山形など、日本各地からご参加いただいていることに感謝申し上げる。
・入り口のパネルにあるように、女性博士 保井コノ(やすいこの) 三
本松出身 明治13年(1880年)生まれ 香川県女子師範学校(香
川大学の前身) 研究活動を進められ、理学博士の学位を取得。
・当時の社会では、女性ゆえに苦労されたのではなかろうか。
・香川大学では、偉大な先輩に引き続いて、多くの女性博士の出てくるこ
と、女性参画に取り組んでいる。
・科学振興調整費の申請をし、四国地域全体で女性研究者支援を目的としてあげている。
・すでに女性研究者の取り組みが始まっていたので、
女性支援の本日のフォーラム開催となった。
・少子高齢化の先進地四国では、地域再生には女性の力が必須。
・大学、研究の分野でも、女性の力が重要。
・地域に根ざした大学、四国地域の構成員として、四国全体で優秀な女性研究者の育成に取り組
みたい。
・本日のフォーラムが、みなさまの今後の取り組みの糧となることを祈念し挨拶とする。
13:37~13:42 来賓挨拶 香川県知事(総務部次長 男女共同参画課長 広瀬義文 代読)
・本日の会議に是非知事は参加したいと希望したのだが、県議会本会議中
ということで、挨拶文をあずかってきた。
・県民を代表し歓迎する。
・四国で研究する女性たちのつながりを深め、四国にある大学、企業に所
属する女性研究者の・・
・少子高齢化の進展と人口減少する社会において、女性の就業継続支援、長時間勤務の抑制、ワ
ークバランスに社会全体で取り組み、生き生きと研究できる社会を作る必要がある。
・「かがわ共同参画プラン」では、研究者の取り組みが新たな分野として位置づけられている。
・香川県でも、女性が社会参画できる環境整備に取り組んでいる。
・様々な主体の連携により、男女共同参画社会の実現に努めたい。
13:42~13:48 来賓挨拶 文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課長 板倉周一郎
・基盤政策課は、人材育成を担当している課。
・なぜ、人材育成課が女性参画を行うのか? なぜ、科学技術の分野で女性参画を取り組まなけ
ればならないのか? 日本の今後、将来はどうあるべきか。科学技術をもって支えていかねば
1
ならない。
・博報堂のアンケート調査。○○○の日本の○○○に何が入るか? エ
コや幸福など。科学技術日本が一番だった。
・科学技術を支えるのは人と予算。予算には限界があるし、良い人材が
いないと予算があってもしようがない。
・13.6%しか女性研究者がいない。まだまだ埋もれた人材がたくさ
んあるのが日本に実体。
・埋もれた人材にどう活躍してもらえばいいのか、文部科学省では取り組んでいるところ。
・最後に参画された香川大学では、先輩たちにキャッチアップを。
○司会:男女共同参画 長安めぐみ(男女共同参画推進室 特任教授)
・進行紹介、資料確認
○都川明子プロフィール
・子ども時代にお父さんとカエルの解剖 研究者の忍耐力、じっくり考えることの大切さを学ん
だ。
・昭和43年 東京大学医科学研究所 文部技官
・昭和57年 医学博士号取得(東京大学)
・昭和63年 東京大学医科学研究所退職、外資系製薬会社 研究開発本部・企画部課長
・平成6年
東京大学理学研究科・理学部 講師
・平成13年 東京医科歯科大学 教授
・平成19年 文部科学大臣表彰・科学技術賞受賞(理解増進部門)
・平成19年 東京大学男女共同参画オフィス 特任教授兼コーディネーター
・平成22年 東京大学退職、東京大学男女共同参画室 アドバイザー(非常勤)
13:51~14:34 基調講演「女性科学者として生きる ~未来の宝箱~」 都川明子
・2006年に科技庁の予算で「理系に行こう-」というDVDを作成。
・e-とぴあ・かがわでも上映いただいた。
<1.今、なぜ女性研究者か?>
○日本の科学技術は素晴らしさ
・安かろう悪かろうの代名詞だった MADE IN JAPAN
・日本人のまじめさ、几帳面さが、高品質の日本とのブランド形成となった。
○「科学技術創造立国」維持の危機
・大学の1/3講座で後期者がいなくなる。
・”多様な人材”(性別、国籍、年齢等)が必要。
・単なる数合わせではなく、
“新しい知”と“斬新な視点“新しい科学技術を生み出す可能性があ
る。
・男性中心の思考だけで科学技術を進めていくのではなく、・・
2
○L.J.シェパード「ヴェールをとる科学」
・過去半世紀の科学技術のめざましい発展は、予期せぬ結果を。
物理学:人類を月へ → 核戦争の脅威
科 学:便利なプラスチック製品開発 → 廃棄物の山
生物学:除草剤・殺虫剤で緑の革命 → 沈黙の春の恐怖
・科学において何を優先し、何を目指すか。
・“多様”な思考が加わり、科学は自由と真理と創造性を目指す力へと
・現在の地球の傷を癒しうるのは、一人ひとりの内の“女性性”。
<2.日本の女性研究者の現状>
・研究者に占める女性の比率:ポルトガルの44.4%をはじめ、諸外国は20~40%、日本
の女性研究者比率は13%しかない。
・上司ポストにいたっては、理学3.9%、工学部2.2%といった女性教授割合。
○女性研究者の性別による不公平感
・組織長が、採用(28.3%)
、昇進(15.5%)など処遇評価において不公平感があると多
く回答している。
○科学技術分野における女性研究者を取り巻く現状と課題
・能力発揮:採用・処遇等に関する性別による不公平感
女性のライフイベントと研究を取り巻く採用、処遇、評価等、諸制度とのミスマッチ
・就業支援:育児中でも研究活動を継続する上で、負担が大きい勤務形態
研究活動に必要な時間を確保する上では、不十分な育児サービス
女性研究者が直面する問題の個人的な解決の難しさ
・教育・育成:女子学生の研究職に対する理解不足
女子学生に顕著な理数系離れ
・基盤整備:施策推進体制の非効率性
客観的な政策的判断の難しさ
有効な施策案の選択肢不足
<3.女性は理系に向いている?>
証明1)科学を変えたサル学の女性研究者たち
・女性は男性より優れた観察者である
・GEPの3法則 「女性地位向上」の理想的なモデルケース
Gender:女性的資質で達成する
Empowerment:女性自身が力をつける必要
Partnership:男性と女性が力を合わせる
証明2)国際的免疫学者石坂公成先生の言葉
・ワイフは、女性に対する偏見がなく、学閥がないアメリカの中におけば、国際的に通用する研
3
究者になりうることを示している。
・彼女の論文引用数は、世界の自然科学者の中の best100 の中に入っていたし、日本人の科学者
の多い方から7~8番目であった。
・アメリカに居る日本の女性科学者の中には、その専門領域ではかなり名前が出ている人たちが
居る。
・日本の女性科学者がアメリカで成功する人の効率は非常に高いと思う。
・日本の女性は能力がないのではなくて、日本の一般社会が無知だということだと思う。
証明3)米沢登美子慶応義塾大学名誉教授の言葉
・女性初の日本物理学会の会長
・2005年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」授賞式でのスピーチ
女性は直感力がある。しかも、妊娠・出産を経験するため、忍耐強さを持っている。これこそ
科学にとって不可欠な要素。
<4.女性研究者のための支援策>
○理系女性 今がチャンス!
1)科学技術分野における女性研究者支援策
2)女性研究者数を増やす施策
3)理数好きの子どもを増やす取り組み
<5.最近の企業の取り組み>
○ポジティブ・アクションの必要性と効果
・平成14年厚生労働省女性の活躍促進協議会「ポジティブ・アクションのための提言」
・必要性と効果
1)女性労働者の労働意欲の向上
2)多様な人材による新しい価値の創造
3)幅広い高質の労働職の確保
4)外部評価の向上(→企業のイメージ向上)
○ポジティブ・アクションとは?
・アファーマティブ・アクション
1967年、米国黒人等マイノリティの差別の是正措置(行政命令)
→翌年“女性”が雇用の面でマイノリティであるとして追加。
・ポジティブ・アクション(積極的改善措置)
日本では「男女共同参画社会基本法」(1999)
1)厳格型:「クオータ制」や「プラス・ファクター方式」
2)中庸型:「ゴールド・アンド・タイムテーブル方式」(何年までに○%)
3)穏健型:仕事と育児等の両立のための環境整備など
・女性を優先して採用することは、
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関
する法律」(1972)で認められている。
4
○Diversity(多様な人材登用)
・男女共同参画というと、渋い顔をする部長さんも、
「多様な人材登用」というと、
「はい、そう
しましょう」となる。
・日本企業の取り組み
女性が活躍でき、経営成果も良好な優良企業:
「女性が活躍できる風土を持つ」
「女性を上手に
使って利益を上げるような企業の人事・労務管理能力が高い」等 → 多くの企業で多様な人
材登用(GE、IBM、P&G、HPなど)
○”ウーマノミクス”について(ウーマン+エコノミスト)
・ゴールドマン・サックス・グループが提唱 「女性のパワーを侮るべからず」
1.女性労働力率引き上げは少子高齢化への回答
2.女性労働力の上昇 → 日本の潜在成長率向上のカギ(押し上げる効果)
3.女性の資金力向上は消費の投資の分野で台頭
<6.東大・男女共同参画オフィスの取り組み>
・文部科学省科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」事業採択を受け、
「東大モデル“キ
ャリア確率の10年”」支援プランが開始された。
○東大モデル「キャリア確立10年」支援プラン
2002年 男女共同参画推進委員会設置
2003年 「東京大学男女共同参画基本計画」決定
2006年 “男女共同参画室”設置(全学委員会組織)
2007年 “男女共同参画オフィス”新設
○活動を”5つのProject”に分類
・Positive Acttion 新採用25%
1.キャリア確立の10年の支援 キャリア支援、ライフ支援
2.プレキャリア10年の支援
3.女性研究者の国際性を育む
4.「東大女性研究者白書」の作成
5.広報
○全学的本事業実施体制構築
・男女共同参画室
4つの部会
・男女共同参画オフィス
○Project1:キャリア確立10年の支援
・総長への説明
・トップダウンだけでなく、ボトムアップが必要。
5
・Step1.東大女性教員の現状
東大の女性教員比率は9% カリフォルニア大学は35%
・Step2.意識改革(学内講演、研究科長ヒアリング等)
-ポストが空き、補充募集する場合、only one を選んでいる。優秀なら女性を取るが、女性
の応募が少ない。
-ポスドクで米国に行った多くの女性が、働きやすい環境のためか、日本に帰ってこない。
-女性が働きやすい環境の企業に就職してしまう。
-科学の進歩が日々進む中で、女性にとって出産・育児が学問への阻害となり、追いつけな
くなってしまうのではないか。
-助教のポストが軽減されている現在、出産・育児で休職または遅くまで働けない女性を採
用することはリスクとなる。
・Step3.システム構築
ワークライフバランスの良い企業は業績が良い。
・Step4.総長裁量ポスト活用
学内公募(全部局):3部局に各3ポスト
2.ライフ支援
・保育園設置
・東大4キャンパスに7つの保育園設置
○東大保育園の特徴
1)福利厚生ではなく、大学の国際力向上の戦略。
(世界 Top10 大学と比較して、必要なインフラ
整備)
2)女性研究者がキャリア継続できる。(長時間(7:30~21:00)保育・土日開園)
3)大学院生・留学生も利用可能。
4)世帯収入に応じて保育料設定(大学補助:大)
5)年度途中でも受け入れ可能。
6)
「東大保育施設運営委員会」設置(一括運営)
。
(統一基準に沿った保育の質確保と総合的運営)
○Project2:プレキャリア10年の支援
○Project3:女性研究者の国際性を育む
○Project4:東京大学女性研究者白書作成
○分野別女性比率達成度
・工学部は職員数が多く、なかなか女性比率が上がらない。
6
○今後の東大男女共同参画オフィスの行動シナリオ
・2020年までに女子学生比率30%
・2020年までに女性教員比率20%
・2020年までに女性幹部職員の登用率20%
○最後に 「カウンター理論」
・ロザベス・モス・カンター
・組織を活性化させるためにはその組織のマイノリティ(少数派)の占める割合が30%は必要
であるという現象を理論化。
・「黄金の3割」、「後戻りのきかない30%」とか言われる。
・ポジティブ・アクション(積極的平等措置、米国等ではアファーマティブ・アクション)の理
論的背景ともなっている。
○新しい時代の男女研究者像とその指命
1.研究も子育ても(Work Life Balance)
2.(女性の)ネットワーク構築を大切に
3.社会貢献(地域貢献)
4.次世代育成
5.システム構築の重要性
・振興調整費が終了しても、大学の総長・委員が交代しても継続可能なシステム構築。
14:34~13:40 質疑
女性Q:採用について、任期付き採用が多い。出産の時期にぶつかるように任期が切れる。
A:出産する場合には1年延びるような制度があればいい。文科省の科学技術研究所、いろいろな
ドクターの調査を行っており、ポスト・ドクターの女性比率が非常に多い。
サポート要員配置、忙しい女性研究者に配置。東大では、10名で150万円、人材バンク
を立ち上げる。退職した人材を活用。しかし、身近なポストドクや大学院生など、研究がわか
っている人に任せたいとの希望がある。
サポート要員の効果が出、14名卒論生を卒業させた、優秀卒論賞を受賞。
産休の人につけた。フィールドワークのデータをまとめてもらった。幼稚園に行かなければ
ならない部分、6時以降の実験の継続をサポートしてもらうことで、研究が進んだ。
14:40~15:00 ポスターセッション
7
15:00~16:54 パネルディスカッション
「四国で女性研究者を育む ~大学における女性参画のビジョンを語る~」
○パネリスト:本仲純子(徳島大学 AWAサポートセンター長 特任教授)
秋田美子(鳴門教育大学 大学院学校教育研究科 准教授)
小島秀子(愛媛大学 女性未来育成センター長 教授)
森田美佐(高知大学 人文社会科学系教育学部門 准教授)
関 泰子(四国学院大学 社会学部 教授)
○コメンテーター:板倉周一郎(文部科学省科学技術・学術政策局 基盤政策課長)
○コーディネーター:一井眞比古(香川大学 学長)
司会:四国5大学の先生方、板倉さんをコメンテーター、香川大学長がコーディネーターを務めま
す。
学長:四国の全大学教育機関にお願いし、女性職員、女子学生に関するアンケートを実施。全国平
均より上。881名の女性研究者が活躍中。四国は女性研究者の比率18.4%を占めており、
女性にとって魅力ある地域。
パネルディスカッションを通して、女性研究者の支援を考えていく。2部構成。先生から話
題提供し、それへ先生、フロアから意見。
第1部としては生活者としての研究者、問題提起を。森田先生から、
「大学の女性参画を男性
と共に」と題して発表いただく。
森田:
「大学の女性参画を男性と共に」
・問題提起をしたい。二つ話したい。どうして増えないのか、どうすれば
増えていくのか。出産とキャリアの時期が重なる。50代で出産するわ
けにはいかない。子供が2歳になるぐらいまでは「風呂・飯・寝る」を
ゆっくりはできなかった。
・非正規雇用だと、幼稚園には入れないし、安定していない収入では外か
ら子育て支援を受けることもできない。
・日本では家庭の仕事が男女ではアンバランスだ。
「土日や夜も仕事が入り、家庭の仕事に取り組
んでいけない」と男性は言われる。これは女性も同じだ。
・研究者は生活があること、生活があることが前提とされていない。子育てや遠距離介護をして
いる男性研究者の話を聞くと、家庭や生活があることを前提とした研究環境がない。これが整
えば、女性研究者も研究成果も高まっていくのではないか。
8
学長:関先生から
関:
「フィールドワーク系女性研究者の可能性:タイとの比較から」
・社会学の中の社会比較学。ジェンダーの問題に取り組んでいる。東南ア
ジアで女性のことを研究している。
○女性研究者の海外フィールドワーク
・社会学では、海外でのフィールドワークが増えている。女性の社会学系
のフィールドワークを行う研究者が増えている。
○タイと日本の女性の一般的ライフコースの比較
・タイなど東南アジアは女性がとても働く。日本の女性が怠惰だというわけではなく、タイは女
性が育児期に仕事を辞めない。年齢別女子労働力率が日本はM字型となり、子育て期に仕事を
辞める。
(落合恵美子「グローバル化する東アジアの低出生率」学術の動向 2008.4 より引用)
・なぜ子育て期にタイの女性は仕事を辞めないのか。タイはそういう「文化」がある。
・タイの大学院の院生も男女比が近く、学部によっては9割が女子学生。局長など幹部にも女性
が多く、社会進出が進んでいる。
・タイの男性は役人を目指す。そんな棲み分けがタイにはある。
・タイには、女性が働き続ける文化がある。
・女性の研究者は「ライフコース」を見直した方がいい。
・高学歴女性は、一度仕事を辞めると仕事に戻らない、再就職しない。
・出産育児による休職。研究とは専門生の高い仕事なので、日本の女性はスーパーウーマンを期
待されている。子供は2人以上産み育て、研究成果を出し、生活もこなし、・・・
○女性が研究者を目指すということ
・優先順位を決めなさい。あなたのライフコースで何が最も大切なのか、
「研究」
、
「子育て」
、
「生
活」、・・・
・女性がキャリアのあるポストに就くには、卑劣な競争がある。女性にも、何らかの覚悟が必要
9
と思う。
・子育て、介護のために、ずっと非常勤を選び務めている人がいる。ずっと非常勤をやっている
ような男性も女性も、救済できるものがないか。
・
「結婚もしなかった」
、
「家庭も持たなかった」
、
「専任のポストももてなかった」
、そんな研究者
でも安心な老後が暮らせるシステムが作れないか。
学長:香川大学と同様に女性サポート事業をしている徳島大学から。
本仲:
「徳島大学AWA(OUR)サポートシステム」
・徳島大学の女性研究者の現状を説明する。
・女性教授は6.8%(18名)、9名は保険学科。
・30~44歳の在職女性研究者比率が激減している。
○振興調整費にAWAサポートシステムで採択された
・育児環境の整備、意識改革、啓発セミナー、e・ラーニング
・女性研究者が少なく、底上げしたい。
研究支援員の配置、女性ネットワーク
学長裁量の女性研究者サポート 上位ポストの確保
・女性研究者エンパワーメントプログラムを強力に推し進める。
女性研究者比率を20%などの具体的目標を掲げている。
フロア 香川短期大学 女性Q:採用の段階で、男女を分けないで採用して欲しいのに、分野によ
っては男性の制限をかけていたりする。私は体育の先生だが、香川大学では女性の募集が無い
ようだ。同じ学校卒業生で固まっている学校とか・・・
採用の道が見えないと(希望が持てない)。採用の段階で男女の差があるのだろうか。
学長A:香川大学では、教員採用は公募。准教授、教授はまず任期性をとる。出身大学が偏るとい
うことはないと思う。研究の継続性の観点からは、公募の弊害があると思う。特定の分野で男
女差はない。
香川大学では、今回の取り組みをスタートとし、
「ジェンダーバランスをとる」と言うことを
明記することとしている。同じ能力の人なら女性をとる。
フロア 埼玉大学 男性Q:人文系、社会系の研究者への取り組みについてお聞きしたい。
関A:自分は女子大出身だが、何もなかった。男性は生活のために売れる研究をしなければならな
いので偏った研究となる。女性は結婚するので、
「そんなことのない研究をしてください」と
言われた。
採用する側がどう考えるか、文系の場合は大学の数が減っており、ポストが減っている。取
り組むにあたって、女性に特化するというのは聞いたことがない。
10
フロア 男性Q:ワン プラス ワン 人文系、社会系は女性の研究者が多い。自然系に対する取り
組みも含め、人文、社会系の支援が大学で行われているかお聞きしたい。
学長:次のステージの「増やすには」で取り組みたい。
「女性研究者をどう増やしていくか、次世代の育成」に話題を移していく。
学長:
「香大発、地域ぐるみ女性研究者支援の高波を」
・「くるみんマーク」の取得から始まった
・女性研究者支援の具体的な取り組みの展開
・次世代育成に向けた女子学生と卒業生の交流の取り組み
・四国地域・香川県内の他大学との連携について
①くるみんの取得から始まった女性への取り組み
・理系女性研究者の比率を19%にしよう。
・ジェンダーバランスに配慮して採用することを公募に明記。
・社会福祉士の資格を持つコーディネーターの配置
・セーフティネットの整備
②女性研究者支援の具体的な取り組みの展開
・研究補助者の配置 11名の女性研究者に配置
科研費の獲得、採択率の向上を目指す
・学生ボランティアの「香大っ子サポーター」を組織
③次世代育成に向けた女子学生と卒業生の交流
・キャリアデザイン講座 農学部
・女性カウンセラーの充実
・自然科学系の女性学生の大学院進学の向上へ向けた情報提供
④四国地域・香川県内の他大学との連携
・宣言
・第1回女性研究者フォーラム
・ジェンダーに関する統計調査
・ソーシャル・ネットワークサービスを提供し、情報提供をしてもらう
秋田:
「キャリア形成と次世代の育成」
・教員をしていた。
・教員研修として大学院に行き、研究の魅力に気づかせてもらった。
○キャリア形成について
・修士課程に入ったときには、
「大学は、
勉強なんかするための場ではない。
11
研究をする場だ」。博士課程「オリジナリティな研究を」。
・研究成果を生かす方法として、大学の教員になることを指導教官から指導いただいた。これだ
けの資格、業績がないとダメといった、キャリア形成のアドバイスをいただけた。
・研究をするためには、大学の教員は優位。どういうポストにいることが研究に優位か知ること
が必要。
○次世代の育成について
・次世代の育成 短期、中期、長期的な目標 そのためには何を実現することが必要か明確にす
ることが大事。
・最近の若者の傾向として、
「挑戦して失敗しそうなことには、最初から挑戦しない」
、
「他社に決
断をゆだね、自分で決断しない」、「失敗したことの理由を、自分以外に置く」。
・子供の成長にともなって、自分で意思決定をさせたり、自分の行動の成功あるいは失敗の原因
を自己省察させたりする経験を増やしていくことが重要。
小島:
「愛媛大学の女性研究者育成プロジェクト」
・私は、化学の研究者である。自分の研究だけでなく、若い人のために尽
くしてほしいと言われ、それが女性未来育成センター長の始まり。
・愛媛大学は総合大学で学生が1万人いる。女子学生は40%、女子教員
は12%。工学、農学部では10人。工学部では教員150人中女性は
3人だけ。
○女性研究者育成プロジェクトの実施内容
・文部科学省科学技術振興調整費 女性研究者を支援することを目標とするのではなく、女性研
究者を育成することを目標としている。
・育児:
①子育て中の研究者に研究補助員をつける。
②夏や春休みなど長期の休み中、学内の学童保育を実施。
○次世代の育成
・女子中高生の理系進路選択支援
・理系は将来の姿が見えない キャリアパスセミナー、先生との交流会を実施
・最終、女性教員を増やす 全学で現状の12%を20%にする。
理工農部局については15%へ拡大を目指す。
・女性を採用すると、その年額給与の半額をその当該学科に付与する。
・男女共同参画推進委員会
平成19年に立ち上げ
同じ能力なら女性を採用
そんなベースにたった取り組みである。
12
○全世代が成長していく。
○えみかキャリアリサイクル
学長:女性研究者を増やすだけでなく、学生を含め底辺から育てる。
フロア 女性Q:別添資料集について質問である。医学部には保険学科があるので女性比率が高い
と言われてきたが、国立大学その他理系の女性研究者44%という数字は、それだけの理由な
のか?
長安A:看護学科が入っているので女性が多い。四国は女性の採用がされやすいというところがあ
る。助教授や講師で入っている人が多い。
フロア 香川大学 看護学科C:香川大学は女性教授の比率18%である。
小島:四国は女性研究者の比率が高いといことのようだが、愛媛大学は12%。これを高めていく
必要がある。
フロア 研究者 女性Q:文科省の人がいるので言わせていただく。タイと「文化の違いだ!」で
はすまされない。総理府の関係で、各県から女性を集めて検討をという走りのような取り組み
だった。
民間の男女共同参画は前に進んでいないと思う。そんなこともネックにあるのではと思う。
板倉:日本全体の仕事のスタイルが原因かと思う。深夜残業も当たり前。文科省にも女性がいるが、
結婚している人はいない。ワークバランスでは強いられている。
役所では、ある担当が休むと誰かが引き継がないといけない。海外では、個室タイプで、休
めば「しょうがないね」と仕事が止まる。日本は、組織で仕事をしているので休みづらい。
フロア 都河Q:JST 女子中高生進学推進 秋田さんは数学の先生 「理工系に進むには数学
がネックだ」と言われる。どうすれば、女性が数学を楽しく学べるか研究してほしい。
秋田A:私は、高知大学出身です。日本の算数、数学教育について、他国に比べて教科書が丁寧に
できているし、教員も優れている。それが災いして、子供たちに思考する算数、数学になって
いない。それを私は研究している。
フロア 女性Q:出産と仕事の両立がネック。タイとの比較で文化が違う。タイ自身は、国や職場、
家族からのサポートはどうなのか、なぜ仕事を続けられるのかお聞かせください。
関A:
「文化」という言葉を使ってしまったが、日本の若い女性の院生の方と話をすると、ライフ
コースにとらわれている。世の中を見ていくと、M字のライフコースをしている国ばかりでは
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ないことを知ってほしくて、ここに出した。
ゆとり教育の日本の時期に、東南アジアではものすごい英才教育になっている。おじいちゃ
ん、おばあちゃんやベビーシッターでは対処できなくなり、
「自分の子どもたちが学歴社会で勝
ち残れない」と、女性が育児をするために家庭に入るようになっている。
タイでも、中間層が見捨てられている。高い民間の保育園に預けるのか、何とか仕事を続け
ている人が多い。日本の方が、育児サポートが進んでいる。なので、
「文化」と申し上げるしか
ないのか。
日本よりも劣悪な育児サポートでも何とかやりくりしているのがタイ。
フロア 女性Q:タイ、フィンランド、カナダなど、満足度調査をしている。女性は、子育ても、
仕事も、生活もしたいとの意識である。
香川大学の、11名の中の一人。研究補助者で支援してもらっている。一人の研究者の支援
にはなる。しかし、一人の研究者で研究を深めることは限界があり、コアやセンターで、アド
バイスやサポートができる、人や金や体制で。
研究者を望む女性があれば、死ぬるまで研究に携われるサポート、体制を。共同して研究が
できるセンターを立ち上げることが良いのかと思う。
学長:パネリストの先生から補足、言いたいことがあれば。
小島Q:女性研究者を手当するということをまだ5年しかやっていない。日本は2006年から始
まったばかり。でも来年度から振興調整費は無くなる。これに代わる国の施策を。ここまでや
ったのに、もったいない。
国としても女性が活躍しないと国が持たないのははっきりしている。国のお考えは?
板倉A:モデル事業は5年の計画。システム改革のための事業。あとは自立的に走っていただく。
モデル事業に漏れている大学は、水平展開の事業に申請いただきたい。
振興調整費自体、刷新会議で見直せとなっており、新規募集や継続はない。新しいメニュー、
環境サポートの観点から 「女性研究者研究活動支援事業」 子育て支援、研究補助員などに
何か施策を加えられないかと考えている。
学長:徳島大学の香川先生から発言を。
徳島大学 香川学長:3年前にワークバランス 言葉を知ったぐらいのレベル。
出産育児の支援、研究者音支援、全国の大学に共通した課題。都会と田舎の大学の大きな違
いは論文数。悪い循環に入っているのでは。
在宅で勤務ができないか、在宅で勤務ができるような体制づくり。
女性の勤務環境が良くなれば、男性の研究環境が良くなる。
徳島大学では、宝箱がパンドラの箱にならないよう注意したい。
学長:高知大学 相良学長から発言を。
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高知大学 相良学長:総務担当なので、男女共同参画も担当。
なぜ日本では広がらないのか。海外は個人主義。休みたいときには休める。タイも、基本は
「私が自分したいこと、気持ちの良いことをする」「あいつは、あいつ」。
海外では、学位を取りに行く人は2~3年仕事を休んで取りに行く。日本ではそうはいかな
い。根本はそこにあるのかな。
「目標を立て、そこに向かってしなさい」というものでしょうか。数字を出してそれが何で
すか。
「社会に広がることでしょう」との認識を持つ必要がある。安全・安心、その中に男女共
同参画を位置づけたい。
学長:最後にまとめる形で板倉課長から
板倉:文化を乗り越えるには、インパクトのあることをしなければいけないのかなぁ。
自己反省も含めて、もっと構造的な検討、対処が必要ではないか。多くは「精神的なものに
基づくもの」と、「そうではないもの」に分けられるのでは。
精神的なものは、周囲の偏見、女性側の特有の問題(引っ込み思案)
。もう一つは、女性の出
産育児の問題、男女共通の問題、ワークバランス、介護の問題。
原因を精緻に分析しないといけないのではないか。
ポジティブアクションはツールであって目的ではない。女性がフルに能力を発揮して、発展
していくことが本当の姿。多様な主体が共同で研究することの効果。大学で研究、議論して欲
しい。
学長:大学で今後こういう事を進めていくぞと、共同宣言を出す。
長安、学長 朗読:(宣言文は次ページ)
16:54~16:55 来年開催地の愛媛より
・たくさんで、愛媛松山にお越しいただき、全体で取り組みたい。
16:55~16:57 閉会挨拶 香川大学男女共同参画推進室長 高木健一郎
・これを契機に活動いただき、四国の研究者がさらに発展しますことを。
- 以上 -
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女性研究者による優れた教育研究活動の支援に努めます
~四国内国立5大学による男女共同参画推進共同宣言~
私たち四国に位置する国立5大学は、地域に根ざした大学として、特色ある世界水準の教育研究を推進するとと
もに、地域の発展の基盤となる人材の育成、文化芸術、産業、医療等の振興、充実への貢献に努めています。
男女共同参画基本法制定以来10年を経て、産業構造の変化とともに、女性は社会経済活動等に積極的に参画し、
性別にかかわらず活躍の場を広げています。特に急速な少子高齢化が進む四国地域では、女性の一層の参画が社
会・経済活動等の維持・発展で不可欠となっています。
このような中、私たちは、女性研究者、女子学生の積極的な活動は、多様な視点や発想を取り入れ、教育研究活
動を活性化し、組織としての創造力を発揮する上で極めて重要であり、より多数の優秀な女性研究者、学生が意欲
的に教育研究に取り組むことが各大学、ひいては四国地域の今後の発展に大きく寄与すると認識し、全国の才能溢
れる女性が四国の地にいざなわれ、この地で活躍することを強く期待します。
このため、私たちは、各大学において女性が教育研究において一層活躍できる環境を重点的に整備するとともに、
次世代を担う女子学生の育成に努力し、さらに、古来より遍路道で結ぼれた四国における大学、研究機関、地方自
治体、企業、市民との連携を強めることにより、男女ともに個性と能力を発揮できる大学と社会の実現に貢献する
ことを宣言します。
(私たちの重点的な取組)
1.優秀な女性研究者の数の拡大を目指し、教員公募において全国からの女性研究者の応募を期待し、優秀な女
性研究者を積極的に登用すること。
2.女性研究者の優れた教育研究の取組を積極的に支援すること。
3.男女共同参画の視点に立った教育・研究環境及び就業体制を確立すること。
4.大学の構成員の教育・研究・就業と家庭生活との両立を支援すること。
5.女性のキャリア形成と次世代の育成にかかる取組を充実すること。
6.大学運営における意思決定過程での女性の積極的な参画を推進すること。
7.男女共同参画の推進にむけた大学をはじめとする関係機関のネットワークを構築すること。
平成23年2月22日
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徳島大学長
香川 征
鳴門教育大学長
田中 雄三
香川大学長
一井 眞比古
愛媛大学長
柳澤 康信
高知大学長
相良 祐輔
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