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主 要 施 策 の 概 要

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主 要 施 策 の 概 要
平
成
27
年
度
主 要 施 策 の 概 要
平 成 27 年 5 月
石 川 県 警 察 本 部
目
次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第1 石川県警察の現勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1 組織機構 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2 人員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
3 機動力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第2 平成27年石川県警察運営の指針及び重点目標 ・・・・・・・・・・・・・・ 4
第3 重点目標に基づく主要施策の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
1 北陸新幹線金沢開業に伴う治安対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(1) 犯罪抑止対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(2) 繁華街対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(3) 交通安全対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(4) 検挙対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(5) 行政サービスの向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2 犯罪の起きにくい社会づくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
(1) 安全・安心まちづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(2) サイバー空間の安全と安心の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(3) 悪質な生活経済事犯等の徹底検挙 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
(4) 犯罪インフラ対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(5) 適正な許可等業務の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(6) 精強な地域警察の構築及び街頭活動の推進 ・・・・・・・・・・・・・・10
(7) 初動警察刷新強化の取組の定着化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3 子供・女性・高齢者の安全確保と少年非行防止対策の推進 ・・・・・・・・12
(1) 子供・女性・高齢者安全対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・13
(2) 人身の安全を確保するための取組の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・13
(3) 少年非行防止総合対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(4) 少年保護総合対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
4 県民の生活を脅かす犯罪の徹底検挙 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(1) 重要犯罪・重要窃盗犯の徹底検挙 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(2) 特殊詐欺を始めとした知能犯罪等の徹底検挙 ・・・・・・・・・・・・・17
(3) 危険ドラッグを始めとする薬物犯罪に重点をおいた組織犯罪の徹底検挙 ・・・17
(4) 変容する捜査環境への的確な対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(5) 適正捜査の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
5 交通死亡事故抑止等による安全な交通社会の実現 ・・・・・・・・・・・・20
(1) 交通事故死者数過去最少を目指した交通事故防止対策等の推進 ・・・・・21
(2) 安全で快適な交通環境の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
6 多様化する脅威と自然災害等の緊急事態への対策の推進 ・・・・・・・・・28
(1) 多様化する脅威への対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
(2) 緊急事態対策の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
7 警察力の充実強化と県民の立場に立った警察活動の推進 ・・・・・・・・・30
(1) 警察力の充実強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
(2) 高い規律と士気を有する職場環境の確立 ・・・・・・・・・・・・・・・31
(3) 県民の立場に立った警察活動の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・32
第4 警察予算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
1 警察費の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
2 主要事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
3 平成27年度実質当初予算警察本部主要事業の概要 ・・・・・・・・・・・・36
は じ め に
平成26年の県内における治安情勢は、刑法犯認知件数は前年に比べ13件(0.2%)の増
加にとどまり、前年とほぼ同水準で推移したほか、刑法犯の検挙率は向上し、交通事故発
生件数等は減少傾向を維持するなど、比較的良好に推移しているところである。
しかしながら、小学校運動会における殺人未遂事件やコンビニエンスストアを狙った強
盗事件が発生するとともに、ストーカー・DV事案が増加傾向で、特殊詐欺の被害額が過
去最悪となったほか、交通事故による犠牲者も後を絶たないなど、県民の生活を脅かす犯
罪や事故が日々発生している状況にある。
また、本年3月の北陸新幹線金沢開業に伴い、治安への影響が懸念されるとともに、イ
ンターネットバンキングに係る不正送金事案等のサイバー空間の脅威が増大しているほ
か、5月に開催される第66回全国植樹祭の警衛警備に万全を期すなど、現下の治安情勢の
変化に的確に対処する必要がある。
一方、警察組織は、大量退職・大量採用の影響により、組織の人的構成が若返りする中、
若手警察官の早期戦力化、幹部の指揮能力の向上、警察装備の整備等により警察力の強化
を図り、精強な警察を構築することも喫緊の課題である。
このため、県民生活や社会情勢の変化に伴う治安課題を敏感に察知し、想像力を働かせ
て、組織的・計画的に諸対策を進めることはもとより、地域住民、関係機関・団体等地域
社会と一体となった取組を一層強化する必要がある。
また、警察が県民から負託された責務を全うするためには、業務の合理化・効率化によ
り、県民のための積極的な警察活動を推進するとともに、女性の力をより一層活用した組
織運営を図り、「県民の期待と信頼に応える力強い警察」を確立する必要がある。
よって、平成27年石川県警察運営の指針を、
「県民の期待と信頼に応える力強い警察
~安全で安心して暮らせる石川の実現~」
としたものである。
- 1 -
第1
石川県警察の現勢
1
組織機構
(1)
警察本部
公安委員会
(平成27年4月1日現在)
警 務 部
( 8 課 )
総
警
人 材
県 民 支
情 報
厚
会
監
務
務
育 成
援 相 談
管 理
生
計
察
課
課
課
課
課
課
課
課
生活安全部
( 5 課 )
生 活 安
地
通 信
少
生 活
全 企 画
域
指 令
年
環 境
課
課
課
課
課
刑 事
捜 査
捜 査
組 織 犯
鑑
科 学 捜
企 画
第 一
第 二
罪 対 策
識
査 研 究
課
課
課
課
課
所
刑 事 部
(5課1所)
警察本部長
交 通 部
(4課2隊)
交 通 企 画 課
交 通 指 導 課
交 通 規 制 課
運 転 免 許 課
交 通 機 動 隊
高速道路交通警察隊
警 備 部
(3課1隊)
公
警
警
機
警
(2)
警 察 署
安
備
対
動
衛
察
学
(平成27年4月1日現在)
署 別 金 金 金 大 小 寺 白 津 羽 七 輪 珠
12署
沢 沢 沢 聖
下部組織
交
駐
在
中 東 西 寺 松 井 山 幡 咋 尾 島 洲
番 16 12
8
4
5
3
所
1
8
9
4 13
3
2
空港警備派出所
検
問
合
注:(
策
所
計 19 14
6
4
2
2
65
5 16 17 14(1) 17 109(1)
1
1
1
9 13 15
3
計
2
1
7 19
9 18 20 17(1) 17 177(1)
)は、外数で、季節駐在所(舳倉島)を示す。
- 2 -
課
課
課
隊
校
2
人員
警察法第55条以下の定めにより、次のとおり職員を置いている。
○
○
警察法第57条に定める地方警務官は、8人
警察法第57条及び石川県警察職員定数条例に定める地方警察職員は、警察官
1,960人及びその他の職員379人(計2,339人)
【警察職員定数の推移】
(各年4月1日現在)
区 分
平18
平19
平20
警
察
官 1,909 1,919 1,919
増 減
+20
+10
0
そ の 他の 職 員
372
367
362
増 減
-3
-5
-5
計
2,281 2,286 2,281
増 減
+17
+5
-5
平21
1,930
+11
355
-7
2,285
+4
平22
1,930
0
349
-6
2,279
-6
平23
1,930
0
343
-6
2,273
-6
平24
1,942
+12
337
-6
2,279
+6
平25
平26 平27
1,951 1,951 1,960
+9
0
+9
332
329
327
-5
-3
-2
2,283 2,280 2,287
+4
-3
+7
注1:警察官は条例定数、その他の職員は予算定数である。
注2:平成25年の警察官定数は5月16日現在である。
3
機動力
(1)
(平成27年4月1日現在)
航空機(ヘリコプター「いぬわし」)
機
種
性
配
備
年
月
川崎重工業社製
BK117型
巡 航 速 度
200㎞/h
航 続 距 離
約 400㎞
能 航 続 時 間
約 2.0時間
最大全備重量
3,350㎏
座
席
数
最大 10席
日
平成 11 年 3 月 18 日
生活安全部地域課
航空隊所在地
金沢市湊1丁目55番20号
(2) 船舶
船
名 配置先
いしかわ 七
概
配置年月
尾 平16.2
定 員
要
船
質
船 型
アルミ合金 V
11
型
長
さ
(m)
総トン数
(トン)
18.20
20
(3) 車両
車
四
輪
車
種
二輪車
別
警
ら
パ ト カ ー 小 型 警 ら
交
通
交 通 事 故 処 理
指
揮
用
捜
査
用
輸
送
そ
の
白
バ
バ
イ
合
保 有 台 数
34
170
33
23
43
149
30
150
33
29
694
用
用
用
車
車
車
車
他
イ
ク
計
- 3 -
632
62
第2
平成27年石川県警察運営の指針及び重点目標
運 営 の 指 針
県民の期待と信頼に応える力強い警察
~安全で安心して暮らせる石川の実現~
重 点 目 標
○ 北陸新幹線金沢開業に伴う治安対策の推進
○ 犯罪の起きにくい社会づくりの推進
○ 子供・女性・高齢者の安全確保と少年非行
防止対策の推進
○ 県民の生活を脅かす犯罪の徹底検挙
○
交通死亡事故抑止等による安全な交通社会
の実現
○
多様化する脅威と自然災害等の緊急事態
への対策の推進
○
警察力の充実強化と県民の立場に立った
警察活動の推進
石川県公安委員会・石川県警察
- 4 -
第3
重点目標に基づく主要施策の概要
1
北陸新幹線金沢開業に伴う治安対策の推進
本年3月14日の北陸新幹線金沢開業に伴い、観光客等が増加するとともに、JR金
沢駅周辺に新たなビルの建設がみられるなど、社会環境も大きく変貌しているところ
である。
このような社会環境の変化に伴い、JR金沢駅周辺はもとより、県内の治安や交通
環境、繁華街における風俗環境等への影響が懸念されるところである。
このため、県警察では、昨年7月に策定したキャッチフレーズ
ニセンジユウゴ
「石川かがやき治安対策2015~安全・安心のおもてなし~」
の下、自治体、関係機関・団体と連携し、犯罪抑止対策、繁華街対策、交通安全対策、
検挙対策及び行政サービスの向上の5本柱の対策を一層推進する必要がある。
また、北陸新幹線金沢開業に伴う環境の変化は県内全域に及ぶとの認識の下、県民
のみならず観光客等も安全・安心を実感できるよう、想像力を働かせ、緊急事態を予
測し、組織的・計画的に諸対策を進める必要がある。
施策の目標
○
北陸新幹線金沢開業に伴う社会環境の変化に的確に対応できるよう、組織的・
計画的に諸対策を推進する。
(1)
犯罪抑止対策の推進
ア
治安情勢の変化への的確な対応による
犯罪抑止対策の推進
これまで実施してきた犯罪抑止対策を定着さ
せながら、地域住民等から治安情勢の変化につ
いて情報収集し、その情報を基にこれまでの諸
対策を点検するなど、治安情勢の変化に的確に
対応した犯罪抑止対策を推進する。
イ
防犯ボランティアとの連携による自主防犯意識の向上
防犯ボランティアや関係団体等との連携により、各種防犯活動を更に強化し、
県民に対して「鍵掛け」を始めとする自主防犯意識の向上を促進する。
(2)
繁華街対策の推進
ア
改正迷惑防止条例等の的確な運用
昨年改正した石川県迷惑行為等防止条例を始め、風俗関係法令を多角的に適用
し、悪質な客引き等の取締りを継続的に実施するなど、条例等の効果的な運用を
図る。
- 5 -
イ
風俗実態の徹底把握と違法営業に対する厳正な取締り等の推進
風俗営業者等への計画的な立入りによる実態把握、違法営業者に対する厳正な
行政処分と取締り、人身取引事犯及び外国人労働者に係る悪質な雇用関係事犯等
の取締り等を推進する。
(3)
交通安全対策の推進
ア
JR金沢駅周辺等を重点とした違法駐車の取締り及び交通渋滞対策の推進
JR金沢駅周辺や金沢市片町・香林坊周辺における違法駐車取締りを強化する
ほか、自治体、関係機関・団体等と連携し、JR金沢駅周辺等における交通渋滞
緩和対策を推進する。
イ
のと里山海道・能越自動車道の交通安全対策の推進
(ア)
道路管理者等関係機関・団体との連携
「のと里山海道交通安全対策協議会」の開催等により、自治体、関係機関・
団体等と連携した各種交通安全対策を推進する。
(イ)
広報啓発活動及び交通指導取締りの推進
運転者の交通安全意識を高めるため、広報啓発活動に努めるほか、管轄署と
交通機動隊との連携による交通指導取締り及び警戒活動を強化し、交通事故抑
止を図る。
(ウ)
交通実態の変化に即した交通規制
交通量の増加等、交通実態の変化に即した交通渋滞防止対策及び交通事故防
止対策を推進する。
(4)
検挙対策の推進
ア
想定される犯罪に対する各種訓練の推進と検挙活動の徹底
想定される犯罪に的確に対処するための各種訓練を実施するとともに、新幹線
ホームを始めJR金沢駅構内を把握することにより、事件発生時には効果的に捜
査員を投入するほか、的確な初動捜査等を行い、迅速・的確な検挙活動を徹底する。
イ
捜査資機材の整備と積極的な活用
事件発生時に的確な初動捜査を実施し、確実に客観証拠を収集するため、防犯
カメラ等画像収集セットや現場鑑識セット等、必要な捜査資機材を整備するとと
もに、これらを積極的に活用する。
(5)
行政サービスの向上
引き続き鉄道警察隊事務所に訪れる観光客や来日外国人等の立場に立って、適切
に諸願届を受理するなど、行政サービスの向上を図る。
- 6 -
2
犯罪の起きにくい社会づくりの推進
平成26年の刑法犯認知件数は、前年に比べ13件(0.2%)の増加にとどまり、前年
とほぼ同水準で推移し、最悪を記録した平成15年の半数以下となっている。
しかしながら、小学校運動会における殺人未遂事件や幹線道路における連続殺人未
遂事件等の凶悪事件が発生するなど、県民に不安を与える犯罪が発生している状況に
ある。
また、振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害額は過去最悪となり、多くの高齢
者が被害に遭うなど、極めて深刻な状況にあることから、金融機関や宅配業者等をセ
ーフティーネットとして構築し、直接的かつ具体的な広報啓発を推進するなど、特殊
詐欺の根絶を図る必要がある。
加えて、インターネットバンキングに係る不正送金事案やLINEのアカウント乗
っ取りによる電子マネー詐欺が発生し、サイバー空間の脅威が増大するなど、新たな
形態の犯罪への対応がますます重要となっている。
このような現下の治安情勢に迅速・的確に対応するためには、事態対処能力の向上
はもとより、地域住民を始めとした関係団体・自治体等とより一層連携協働を図り、
社会全体として犯罪を抑止するための重層的な防犯ネットワークを活用・拡充するほ
か、地域の犯罪情勢や地域住民の要望等も精緻に分析、把握した上で、住民に不安を
与える身近な犯罪への的確な対応や予測される犯罪へのきめ細かな抑止対策を推進す
るなど、地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策を戦略的に展開し、「犯罪の
起きにくい社会」を実現する必要がある。
【刑法犯認知・検挙状況の推移】
年別
平15
区別
平17
平18
平19
平20
平21
平22
平23
平24
平25
平26
認知件数(件) 17,770 12,739 12,524 10,669 9,689 8,812 8,293 8,081 7,548 7,481 7,494
検挙件数(件) 6,667 5,272 5,208 4,406 3,714 3,066 2,905 3,111 2,849 2,812 3,065
検挙人員(人) 2,994 2,892 2,957 2,403 2,195 2,163 2,051 2,054 1,752 1,585 1,656
検 挙 率 ( % ) 37.5
41.4
41.6
41.3
38.3
34.8
35.0
38.5
37.7
37.6
40.9
増 減
件(人)数 率(%)
+13 +0.2
+253 +9.0
+71 +4.5
+3.3ポイント
注:平成15年の刑法犯認知件数17,770件は過去最多
施策の目標
○
刑法犯認知件数の減少を目指し、各地域における多発犯罪、住民に不安を与え
る犯罪及び悪質性の高い犯罪に重点を置いた犯罪抑止対策を推進する。
○
自治体、関係機関・団体、地域住民と連携協働しながら、防犯ボランティア活
動の活性化等の地域社会全体による防犯対策を推進する。
- 7 -
(1)
安全・安心まちづくりの推進
ア
地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策の推進
地域の犯罪情勢を分析した上で、的確な諸対策を推進するとともに、自治体、
関係機関・団体、地域住民等と連携協働した地域社会全体での犯罪抑止対策を推進する。
イ
重層的な防犯ネットワークの整備・活用促進
関係機関・団体等と構築している防犯ネットワーク (注) の整備・拡充を図り、
これらのネットワークを活用して地域住民に対する情報発信活動を行うとともに、
企業等による自主防犯活動の促進を図る。
(注)防犯ネットワークとは、警察から安全・安心に役立つ情報を社会各分野の団体・個人にタ
イムリーに提供することにより、警察と関係機関・団体が相互に協力連携して、被害を防
止する体制をいう。
ウ
社会の規範意識の向上と絆の強化
自治体や地域住民と連携して各種防犯活動を行い、社会全体の規範意識及び防
犯意識の向上を図るとともに、地域住民相互の絆を強化して地域社会全体で犯罪
抑止対策を推進する。
エ
特殊詐欺(注)被害予防対策の推進
被害者となり得る各年代の特性を踏まえた広報
啓発活動を推進し、とりわけ高齢者の被害額及び
認知件数が高水準にあることから、高齢者対策を
強力に推進し、抵抗力を高める必要がある。
お金を運ばせる詐欺に注意!
息子(孫)を名乗った人からの
「電話番号が変わった」
「お金が必要、助けて欲しい」
「お金を東京まで持ってきて」
という電話は詐欺です!!
石川県警察本部
また、金融機関や郵便事業者等と連携した水際対策等を推進し、特殊詐欺被害
防止を一層強化する。
(注)特殊詐欺とは、面識のない不特定多数の者に対し、電話等の通信手段を用いて、対面する
ことなく詐欺行為を行い、架空・他人名義の預貯金口座へ振り込ませるなどの詐欺をいう。
(2)
サイバー空間の安全と安心の確保
ア
サイバー犯罪対処能力の向上
捜査員のサイバー犯罪捜査に関する知識の底上げを図るため、各種教養の実施
等を通じ、捜査員の能力に応じた教養を推進するほか、高度かつ最新の情報通信
技術を有する者の知見を活用するため、民間企業等との協力関係を構築する。
イ
サイバー犯罪抑止対策の推進
インターネットバンキングに係る不正送金事犯やスマートフォン等における新
たなサービスを悪用した事案等について注意喚起するとともに、コミュニティサ
イトに起因した犯罪被害の防止及び取締りを推進するほか、サイバー空間におい
て自主的な防犯活動を行うボランティアの育成・支援を実施し、社会全体でサイ
バー犯罪に立ち向かう気運の醸成を図る。
- 8 -
ウ
民間事業者等との連携
巧妙化するサイバー犯罪に対処するため、警察と民間事業者が相互の活動目的
や立場を理解し、協力し合って、サイバー犯罪に対する共同対処を推進し、官民
の連携強化を図る。
エ
サイバー犯罪に的確に対応できる体制等の整備及び部門間の連携強化
情報通信技術の進展に伴って多様化するサイバー犯罪に的確に対応できるよう
に、事件担当課、生活環境課サイバー犯罪対策室及び情報通信部門との連携を強
化する。
オ
インターネットサイト上における違法情報等の削除要請の推進
サイバーパトロールの強化及び各種広報活動によるインターネット・ホットラ
インセンター (注1)への通報の活性化を通じて、違法・有害情報の把握に努めると
ともに、サイト管理者等に対する削除依頼を徹底するほか、「全国協働捜査方式」(注2)
を効果的に活用し、より悪質性の高い情報に重点を指向し違法情報の取締りを積
極的に推進する。
(注1)インターネット・ホットラインセンターとは、一般のインターネット利用者からの違法
・有害情報に関する通報を受理し、違法情報の警察への通報や国内のウェブサーバに蔵
置された違法・有害情報に係るサイト管理者等への削除依頼を行う団体をいう。
(注2)全国協働捜査方式とは、インターネット・ホットラインセンターから警察庁に通報され
る違法情報・有害情報について効率的な捜査を進めるため、違法情報・有害情報の発信
元を割り出すための初期捜査を警視庁が一元的に行い、捜査すべき都道府県警察を警察
庁が調整する捜査方式をいう。
(3)
悪質な生活経済事犯等の徹底検挙
ア
悪質商法事犯の早期事件化と徹底検挙
高齢者が被害に遭いやすい利殖勧誘事犯 (注1) や特定商取引等事犯 (注2)等の悪質
商法事犯及び新たな手口や暴力団が関与するヤミ金融事犯 (注3)等の取締りを推進
する。
(注1)利殖勧誘事犯とは、出資法、金融商品取引法及び無限連鎖講の防止に関する法律等の違
反に係る事犯をいう。
(注2)特定商取引等事犯とは、訪問販売等の特定商取引を規制する特定商取引に関する法律違
反及び特定商取引に関連する詐欺、恐喝等の刑法犯をいう。
(注3)ヤミ金融事犯とは、出資法違反(高金利)事件及び貸金業法違反並びに貸金業に関連し
た詐欺、恐喝、暴行等に係る事犯をいう。
イ
知的財産権侵害事犯、環境事犯、保健衛生事犯等の徹底検挙
悪質な偽ブランド事犯、営業秘密侵害事犯等知的財産侵害事犯及び有害廃棄物
の不適正処理事犯等環境事犯並びに無承認医薬品の広告・販売事犯、医師法、食
の安全に係る事犯等県民の健康を脅かす可能性が高い事犯の取締りを推進する。
- 9 -
(4)
犯罪インフラ対策の推進
ア
犯罪利用口座の凍結要請の推進
犯罪利用預金口座等の積極的かつ速やかな金融機関への情報提供や金融機関の
普通預金規定等に基づく取引停止のための情報提供を推進する。
イ
携帯電話不正利用防止法に基づく契約者の本人確認の推進
携帯音声通信事業者に対する契約者確認の求めやレンタル携帯電話等事業者に
犯罪に悪用されたレンタル携帯電話の解約要請を推進する。
(5)
適正な許可等業務の推進
ア
厳正にして合理的な許可等事務の管理及び運用の推進
生活安全部門所管法令における許可、認定、登録、届出等(以下「許可等」と
いう。)の制度は、許可等に係る不適格者を排除し、もって社会秩序と国民生活
の安寧の維持を図るものであり、許可等に係る事務が厳格な管理の下で円滑かつ
的確に行われる仕組みを構築する。
また、組織的な対応力の強化と許可等事務に携わる人材の質的向上及び育成を
通じて、厳格な銃砲刀剣類行政を推進するとともに、ぱちんこ営業等の健全化を
図る。
イ
業務の合理化・効率化の推進
許可申請等の受付・審査、申請に対する処分等の事務をシステム化し、業務の
合理化と効率化を推進する。
(6)
精強な地域警察の構築及び街頭活動の推進
ア
街頭活動等の推進
(ア)
犯罪の多発する時間帯・地域に重点を置い
たパトロール、立番・駐留警戒等を強化する。
(イ)
交番勤務員のパトロール等の活動を補完
し、事件・事故対応の機動力を強化するた
め、警察署に配備されたパトカーの勤務員
と交番勤務員との連携を強化する。
(ウ)
【地域警察官によるパトロール】
地域の行事等に応じて、交番に配置された交番相談員を弾力的に運用し、交
番機能の強化を図る。
イ
地域警察官の現場執行力の向上
(ア)
地域警察官の事態対処能力向上を目的とした研修・訓練を実施するととも
に、職務質問技能指導官
(注)
等による実戦的な指導等を通じて地域警察官の職
務質問技能の向上を図る。
(注 )職 務 質 問 技 能 指 導 官 と は 、 職 務 質 問 に 卓 越 し た 技 能 及 び 知 識 を 有 し 、 そ の 技 能 等
を後世代に伝承する警察官をいう。
- 10 -
(イ)
犯罪現場等において関係者の身体の安全を守るため、警棒、大楯、刺股等の
各種装備資機材を活用した実戦的訓練を推進する。
(ウ)
犯罪の発生状況等に応じて地域警察官の迅速・的確な運用を図るため、きめ
細かな業務管理を推進する。
ウ
地域に密着した活動の推進
(ア)
地域の家庭、事業所等を訪問し、犯罪の予防、災害・事故の防止等、地域住
民の安全で平穏な生活を確保するために必要な事項の指導・連絡や、地域住民
からの意見・要望等を把握する巡回連絡を推進する。
(イ)
地域住民と地域の治安に関する問題について協議したり、地域住民の警察に
対する意見・要望等を把握する交番・駐在所連絡協議会を積極的に開催する。
(ウ)
地域の身近な出来事や事件・事故の発生状況、その防止策等の身近な情報を
伝える「交番速報」「ミニ広報紙」等の広報紙を作成し、自治会を通じて回覧
するなど情報発信活動を推進する。
(7)
初動警察刷新強化の取組の定着化
ア
事案対応能力の強化
本部通信指令室、警察署、本部執行隊等と連携し、人身安全関連事案
(注)
等を
始め情勢の変化に伴い新たに生起しうる事案を想定した実戦的訓練を実施する。
(注)人身安全関連事案とは、恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案、行方不明事案、児童
・高齢者・障害者虐待事案等の人身の安全を早急に確保する必要の認められる事案をいう。
イ
通信指令を担う人材の育成の強化
通信指令業務に関する必要な知識及び技能向上に向けた通信指令技能検定の積
極的な受検を促すほか、技能指導官・技能指導員等による指導教養を推進する。
ウ
通信指令機能の強化
地域警察デジタル無線システムを始め、緊急配備支援システム等を一層効果的
に活用するとともに、不感地帯の把握とその対策を推進する。
- 11 -
3
子供・女性・高齢者の安全確保と少年非行防止対策の推進
平成26年のストーカー・DV事案や児童虐待の認知件数については、過去最多とな
り、極めて厳しい状況にある。
人身安全関連事案は、認知の初期段階から最悪の事態を想定して被害の未然防止・
拡大防止を図る必要があることから、警察署、警察本部の関係部門及び関係機関・団
体が密接に連携して諸対策を推進するとともに、迅速かつ的確に組織を一体的に運用
して被害者等の安全確保を図る必要がある。
また、県内の少年非行は、刑法犯で検挙補導される少年が減少傾向にあるが、再犯
者率が高く、非行の低年齢化傾向が顕著であるほか、学校におけるいじめが社会問題
化しており、さらに、インターネット利用に起因する福祉犯が依然として発生してい
る状況にある。
このため、児童ポルノを始めとした福祉犯の取締りやサイバー補導を一層推進する
ことはもとより、引き続き学校、教育委員会等の関係機関や地域社会と連携し、非行
少年の立ち直り支援、低年齢少年を含めた少年の規範意識の醸成及び少年を取り巻く
社会の絆の強化による「非行少年を生まない社会づくり」を推進するほか、インター
ネット利用時の規範意識の醸成、携帯電話等のフィルタリングの普及促進などによる
有害環境浄化対策を強化するなど、少年保護対策を総合的に推進する必要がある。
【ストーカー事案の認知・検挙件数の推移】
年別
区分
認知件数
検挙件数
増 減
件数 率(%)
276 +53 +23.8
31
+7 +29.2
平17 平18 平19 平20 平21 平22 平23 平24 平25 平26
65
2
87
13
148
21
125
10
179
10
145
11
120
10
212
21
223
24
【DV事案の認知・検挙件数の推移】
年別
区分
認知件数
検挙件数
増 減
件数 率(%)
393 +28 +7.7
47
+2 +4.4
平17 平18 平19 平20 平21 平22 平23 平24 平25 平26
152
15
180
12
205
25
243
39
253
25
281
28
246
23
平22
平23
346
42
365
45
【刑法犯少年検挙補導人員の推移】
年別
刑法犯少年
平14
平17
平18
1,416 1,103 1,081
平19
909
平20
757
平21
749
- 12 -
709
680
平24
569
平25
462
平26
377
増 減
人数 率(%)
-85
-18.4
施策の目標
○
人身安全関連事案の行為者等の検挙及び被害者等の安全確保のための諸対策を
推進する。
○
刑法犯少年の検挙補導人員の減少傾向を維持する。
(1)
子供・女性・高齢者安全対策の推進
ア
子供・女性・高齢者の安全を確保するための諸対策の推進
犯罪や犯罪の前兆とみられる事案を認知した場合は、詳細かつ網羅的な情報収
集・分析を行い、生活安全部門と刑事部門が連携して、迅速に被疑者を特定・検
挙するとともに、関係機関等と連携して被害の拡大防止を図る。
イ
積極的な先制・予防的活動の推進
行為者を早期に特定して検挙するとともに、犯罪に至らない声掛け・つきまと
い等に対しては、指導・警告する等先制・予防的活動を積極的に推進する。
(2)
人身の安全を確保するための取組の推進
ア
ストーカー・DV事案等への迅速かつ的確な対応の徹底
被害者の居所等、関係場所を管轄する警察署及び警察本部が緊密に連携して、
被害者等の安全確保を最優先とした対応を推進し、被害の未然防止・拡大防止を
図る。
イ
適正な行方不明者発見活動及び保護業務の推進
(ア)
行方不明事案届出受理時における適切な対応を推進し、人身安全関連事案に
係る特異行方不明事案等については、危険性・切迫性を判断する必要があるた
め、生活安全部門の担当者と刑事部門の捜査員が共同で聴取するとともに、生
活安全担当課長が警察署長や警察本部に即報し、確実な運用を図る。
(イ)
応急の救護が必要な者を発見したときは、適切な保護を実施し、その家族等
に速やかに連絡するとともに、その家族等が見つからない場合には関係機関に
引き継ぐなど確実な保護業務を推進する。
ウ
人身安全関連事案に対する部門間の連携・情報共有の徹底
事案の危険性・切迫性の見極め及び事件化への擬律判断のため各部門の警察職
員が共同で聴取し、警察本部の指導・助言等の積極的な関与により、関係部門全
体を一体的に運用し、被害者等の安全確保のために最も効果的な対応を推進する。
- 13 -
(3)
少年非行防止総合対策の推進
ア
非行少年を生まない社会づくりの一層の推進
(ア)
過去に非行少年として対応した少年及び
保護者に警察から積極的に連絡をとり、現
に問題を抱え、支援を必要としている少年
や保護者に対し、継続的な指導・助言のほ
か、農作業体験等の立ち直りを支援するた
めの活動を効果的に推進する。
(イ)
社会全体として、少年の特性や非行に走る
【農作業体験活動】
要因・背景等について理解を深め、厳しくも温かい目で少年を見守る社会気運
の醸成を図る。
(ウ)
学校や教育委員会等の関係機関、少年警察ボランティア等の地域住民との連
携を強化し、より一層少年と地域社会の絆の強化を図る。
イ
学校におけるいじめ問題への的確な対応
(ア)
いじめに係る相談に対し、適切に受理する。
(イ)
いじめに関する被害の届出がなされた場合の迅速確実な受理と被害少年等の
立場に立った対応を徹底する。
(ウ)
ウ
いじめを早期に把握し的確に対応するため、学校との連携を一層強化する。
少年事件の適正な捜査・調査の徹底
(ア)
事件指揮を強化し、適正な捜査、調査を徹底する。
(イ)
少年の健全育成に資するため、迅速な少年事件の捜査・調査を推進する。
(4)
少年保護総合対策の推進
ア
悪質な福祉犯の取締り強化
(ア)
児童ポルノ事犯や性的搾取事犯 (注)を始めとする少年の性的被害に係る福祉
犯事件の取締りを強化する。
(注)性的搾取とは、児童に買春させるなど児童の性を売り物にする事犯をいう。
(イ)
暴力団等が関与するなど組織的な福祉犯事件の取締りを強化する。
(ウ)
福祉犯事件等の被害児童に対する適切な立ち直り支援を推進する。
イ
少年を取り巻く有害環境の浄化対策の推進
(ア)
少年の非行や犯罪被害等の背景にある有害環境の浄化対策を推進する。
(イ)
18歳未満の児童が使用する携帯電話等に係るフィルタリング利用率向上に向
けた対策を推進する。
(ウ)
学校や教育委員会等の関係機関、少年警察ボランティア等の地域住民と連携
し、インターネットによる犯罪被害を防止するため、広報啓発活動を推進する。
- 14 -
(エ)
インターネットに起因する福祉犯から児童を保護し、その健全育成を図るた
めサイバー補導(注)を推進する。
(注)サイバー補導とは、児童が援助交際を求める等のインターネット上の不適切な書き込みを
サイバーパトロールによって発見し、書き込みを行った児童と接触して直接注意・指導す
ることをいう。
ウ
(ア)
児童虐待への的確な対応
虐待児童の早期発見と早期保護のため、児童の安全の確認と安全の確保を最
優先とした対応を徹底する。
(イ)
児童の保護に向けて、児童相談所、学校等の関係機関と緊密な連携を強化す
る。
- 15 -
4
県民の生活を脅かす犯罪の徹底検挙
平成26年の刑法犯の検挙率は前年に比べ3.3ポイント向上するとともに、重要犯罪
の検挙率も前年に比べ6.7ポイント向上したものの、殺人未遂、強盗等の重要犯罪や
住宅対象侵入窃盗等の重要窃盗犯が依然として発生している。
また、特殊詐欺の被害額は過去最悪となり、極めて深刻な状況にあり、さらに、薬
物情勢については、インターネットを利用した危険ドラッグ密売事件を検挙するなど、
危険ドラッグを含めた薬物の蔓延がうかがわれるところである。
加えて、暴力団情勢については、暴力団による繁華街を舞台とした組織的な覚醒剤
密売事件を検挙する中で、暴力団等を背景とした犯罪組織が、その組織実態や活動実
態をますます不透明化させている状況がうかがわれる。
これらの県民の生活を脅かす犯罪については、早期に犯人を検挙し、事件の解決を
図るとともに、被害の拡大を防止することが強く求められている。
よって、効果的な捜査員の投入により捜査力を最大限に発揮し、各種情報等の収集、
犯罪組織の実態解明、戦略的な取締りなど、刑事警察の真髄である「検挙」を徹底す
ることにより、県民の安全・安心を確保する必要がある。
【重要犯罪認知・検挙状況の推移】
増 減
年別
平17 平18 平19 平20 平21 平22 平23 平24 平25 平26
件(人)数 率(%)
区分
認知件数(件)
119
98
90
59
54
48
74
82
91
92
+1 +1.1
検挙件数(件)
87
76
79
45
50
40
55
66
75
82
+7 +9.3
検挙人員(人)
53
56
66
34
36
30
35
51
51
35
-16 -31.4
検 挙 率 ( % ) 73.1 77.6 87.8 76.3 92.6 83.3 74.3 80.5 82.4 89.1 +6.7ポイント
注1:重要犯罪とは、殺人、強盗、強姦、強制わいせつ、放火、略取誘拐及び人身売買をいう。
注2:全刑法犯の認知・検挙状況は7頁の表を参照
施策の目標
○
捜査力を最大限に発揮し、重要犯罪、特殊詐欺、薬物犯罪等県民の生活を脅か
す犯罪を徹底検挙する。
(1)
重要犯罪・重要窃盗犯の徹底検挙
ア
(ア)
殺人・強盗等凶悪事件の徹底検挙
迅速・的確な初動捜査の実施
重要事件発生時においては、素早い立上がりや捜査員の大量投入など早期に
捜査体制を確立するとともに、迅速・的確な初動捜査を展開して被疑者の検挙を図る。
(イ)
未解決事件の捜査
捜査情報、鑑定資料等の再分析を実施するとともに、DNA型鑑定等の科学
捜査手法を活用して、被疑者の検挙に向けた捜査を推進する。
- 16 -
イ
住宅対象侵入窃盗等重要窃盗事件の徹底検挙
発生状況等を分析して、被疑者を割り出すとともに、他県警察との連携を強化
し、広域事件捜査を推進する。
ウ
特殊事件への対応力の強化
身の代金目的誘拐事件及び人質・立てこもり事件の対応力強化に向けた各種訓
練を実施して練度の向上を図る。
(2)
特殊詐欺を始めとした知能犯罪等の徹底検挙
ア
被害認知時における迅速な対応及び検挙の推進
被害認知時において、被害金交付形態に応じ、手交型事案では積極的なだまさ
れた振り作戦による受け子等の検挙、送付型事案では被害金送付先の捜索差押え
及び現場設定型捜査による荷受人等の検挙を推進する。
イ
犯行グループ中枢被疑者の検挙の推進
検挙した被疑者等の供述や押収資料の分析、警察全部門における情報収集を徹
底し、警察組織の総合力を発揮して実態を解明の上、犯行グループ中枢被疑者の
検挙を推進する。
ウ
犯行ツール対策の推進
携帯電話、預貯金口座、私設私書箱等の犯行ツールの供給を遮断して無力化し、
犯行グループ自体を弱体化させるため、被害届や被害相談の受理時には、犯行使
用電話の契約者確認の求め及び各種解約依頼等を迅速・確実に行い、その無力化
措置を徹底する。
また、悪質なレンタル携帯電話事業者を検挙するとともに、携帯電話事業者に
役務提供を拒否するよう働き掛ける。
エ
政治的・構造的不正の追及の強化
政治情勢や地域・業界に内在する利権構造等の実態を的確に把握し、政治・行
政と金をめぐる不正事案及び社会制度を悪用した公金の詐取事案等の政治的・構
造的不正事件を積極的に検挙する。
(3)
危険ドラッグを始めとする薬物犯罪に重点をおいた組織犯罪の徹底検挙
ア
危険ドラッグを始めとする薬物犯罪の徹底検挙
新たな脅威となりつつある危険ドラッグを始め、あらゆる薬物犯罪対策のため、
関係機関との連携を図るとともに、条例を含めた各種法令を駆使した取締りと積
極的な広報啓発活動を推進する。
- 17 -
イ
銃器犯罪の徹底検挙
引き続き税関、海上保安庁等の関係機関と連携した取締りを推進する。
また、有力な情報提供に対して報奨金を支払う「拳銃110番報奨制度」を広報
するなど、銃器取締りに直結する核心情報の収集に努める。
ウ
暴力団排除活動の推進と暴力団犯罪の徹底検挙
暴力団の弱体化・壊滅に向け、暴力団の関係企業や共生者等を含めた実態解明
と資金獲得犯罪等の検挙を推進するとともに、暴対法 (注)を効果的に運用し、暴
力団による違法・不当な活動を防止する。
また、石川県暴力団排除条例を一層周知し、条例を適正かつ効果的に運用する
とともに、社会全体による暴力団排除活動の推進を図るため、暴力団排除活動に
取り組む人たちに必要な情報を提供し、保護対策に万全を期すなど、暴力団排除
活動と犯罪取締りを連動させた総合的な暴力団対策を推進する。
(注)暴対法とは、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」をいう。
県内の暴力団情勢
平成26年末現在の県内の暴力団は15組織、約400人で、すべて六代目山口
組傘下の組織である。
エ
国際犯罪の徹底検挙
犯罪のグローバル化に対応するため、情報の集約・分析・共有による実態解明
と取締りを推進するとともに、関係機関等と連携して各種制度やサービス等が犯
罪に悪用されにくい環境づくりを推進する。
(4)
変容する捜査環境への的確な対応
ア
各種情報分析支援の効果的推進
犯罪を迅速に解決するため、犯罪手口、犯罪統計等の犯罪関連情報を捜査情報
システムにより分析して、被疑者の絞り込み、捜査の方向性及び捜査項目の優先
順位の判断等の効果的な捜査支援を推進するとともに、情報分析に資する捜査関
係基礎資料の充実に努める。
イ
初動捜査における客観的証拠資料収集活動の強化
鑑識専務員や鑑識専務代行員の技能向上を図り、迅速な現場臨場体制を確立す
るとともに、徹底した現場鑑識活動を実施し、遺留された指掌紋、微物等の客観
的証拠資料を適正かつ確実に採取する。
ウ
科学捜査の積極的推進と各種捜査手法の活用
捜査員に科学捜査の重要性について再認識させるとともに、DNA型鑑定、薬
物鑑定、防犯カメラ映像解析など各種科学捜査の積極的活用を図る。
- 18 -
エ
公判を見据えた録音・録画の適切な試行
取調べの録音・録画の制度化に向け、取調べ官の経験の蓄積等が必要となるこ
とから、捜査への支障に留意しつつ、質・量ともに一層積極的な試行に取り組む。
オ
捜査能力向上のための人的基盤の整備
各種専科・研修等において、技能指導官や伝承官による具体的な教養を実施し、
若手捜査員の早期育成を図るとともに、刑事実戦塾等により、捜査幹部の指揮能
力等の向上を図る。
(5)
適正捜査の推進
ア
基本にのっとった捜査の徹底と不適正事案の絶無
捜査上の不適正事案の絶無を期し、警察捜査に対する県民の信頼を確保するた
め、捜査幹部による適時適正な指揮等により、基本にのっとった捜査を継続して
推進する。
イ
被害届、告訴・告発等の迅速・確実な受理と対応の徹底
犯人の処罰を求める県民の要望に応えるべく、受理すべきものは迅速・確実に
受理するとともに、積極かつ適切な対応に万全を期す。
ウ
証拠品、捜査資料の保管・管理の徹底
証拠品・採取資料の紛失、混同等の絶無を期すため、証拠品の一括管理及び
封印による点検の合理化等により厳正に保管・管理するとともに、捜査情報の
漏えい等を防止するため、捜査資料の管理を徹底する。
エ
適正な検視業務の徹底
犯罪死を見逃すことのないように、検視官臨場による検視や画像検査等を推進
するとともに、死体取扱業務従事者に対する効果的かつ計画的教養の実施により、
緻密かつ適正な検視業務を推進する。
- 19 -
5
交通死亡事故抑止等による安全な交通社会の実現
「第9次石川県交通安全計画」に基づく総合的な交通事故抑止対策を推進した結果、
平成26年の交通事故発生件数及び負傷者数は、平成18年以降9年連続で減少した。
また、平成26年の死傷者数は4,901人で、同計画に掲げられている「平成27年まで
に年間の死傷者数を5,600人以下」の目標を前年に引き続き達成するとともに、昭和
42年以来、47年ぶりに5,000人を下回った。
さらに、平成26年は、「交通事故死者数過去最少を目指して」をキャッチフレーズ
に各種交通死亡事故抑止対策を推進した結果、死者数は55人で前年に比べ6人減少し
たものの、過去最少を記録した平成23年及び24年の44人を上回った。
本年は「第9次石川県交通安全計画」の最終年であり、引き続き「交通事故死者数
過去最少を目指して」をキャッチフレーズに、依然として交通事故死者に占める割合
が高い高齢者に重点を置いた交通安全教育、幹線道路及び主要交差点における街頭活
動、多角的な交通事故分析に基づく交通指導取締り、交通環境の整備等、先制的かつ
効果的な交通死亡事故抑止対策を一層強力に推進する必要がある。
また、北陸新幹線金沢開業を機に交流人口や交通量が増加していることから、交通
ルールの遵守と交通マナーアップを呼び掛け、県民一人一人の交通安全意識の高揚を
図るとともに、自治体、関係機関・団体等と連携した交通安全活動を展開するなど、
県民総ぐるみで安全な交通社会を実現する必要がある。
【交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移】
年別
昭47
区分
平17
平18
平19
平20
平21
平22
平23
平24
平25
平26
発生件数(件) 8,532 8,608 7,948 7,438 6,769 6,320 6,037 5,544 5,156 4,639 4,074
死者数(人)
183
75
65
59
56
54
64
44
44
61
55
負傷者数(人) 11,725 10,682 9,864 9,230 8,287 7,656 7,223 6,677 6,142 5,538 4,846
増 減
率(%)
件(人)数
-565 -12.2
-6
-9.8
-692 -12.5
注:昭和47年の交通事故死者数183人は過去最多
【平成26年中の交通死亡事故の主な特徴】
○
高齢被害者(65歳以上)の割合が高い
35人
前年比+1人
構成率63.6%
○
歩行中の死者が多い
24人
前年比+4人
構成率43.6%
○
幹線道路(国道、県道)に多い
34人
前年比±0人
構成率61.8%
施策の目標
○
先制的かつ効果的な交通死亡事故抑止対策を強化するとともに、県民の交通安
全意識を高揚させ、県民総ぐるみで安全な交通社会を実現する。
- 20 -
(1)
交通事故死者数過去最少を目指した交通事故防止対策等の推進
ア
交通事故分析の高度化及び分析の成果を活用した緻密な交通安全対策の推進
過去の交通事故発生状況や特徴を踏まえ、交通事故分析の更なる高度化を図る
とともに、その成果を各種交通安全対策の企画・立案に活用し、交通事故防止に
直結する対策の実施に努める。
イ
良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進
(ア)
自転車通行環境の整備
良好な自転車の通行環境を実現するため、国、県等の道路管理者と連携し、
県内の実情を踏まえ、ネットワーク性に配意した「普通自転車専用通行帯」の
導入を検討するなど、自転車の走行空間の整備を推進する。
(イ)
自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進
○
県民に「自転車は『車両』である」ということを周知するとともに、「自
転車に関するルール・マナー検定」「自転車安全利用五則」「サイ9(ク)
ル運動」等を活用した通行ルールの周知に努める。
○
ルールを守らなかった場合の罰則、事故の加害者になった場合の責任の重
大性及び損害賠償責任保険等への加入の必要性等について周知するため、ス
タントマンによる事故の再現や具体的な事故・損害賠償事例を示すなど、効
果的な交通安全教育を推進する。
○
被害軽減対策として、幼児・児童及びその保護者はもとより、広く自転車
利用者にヘルメット着用を促すため、映像資料等を活用した教育を推進する。
(ウ)
教育機関、企業等における交通安全教育の推進
小学校、中学校及び高等学校における自主的な自転車安全教育の実施等につ
いて、学校や教育委員会等に要請するほか、大学等教育機関及び企業等におけ
る交通安全教育の促進を図る。
(エ)
自転車に対する指導取締りの強化
「自転車指導啓発重点地区・路線」を中心に、指導警告活動を強力に推進す
るとともに、悪質、危険な違反者に対する指導取締りを強化するほか、通行量の
多い時間帯等に自治体、関係機関・団体と連携し、効果的な街頭活動を推進する。
(オ)
関係機関等との連携
自治体、学校、教育委員会、道路管理者、自転車関係団体等との間で設置し
た自転車安全教育推進委員会等を通じ、協力体制の強化を図る。
- 21 -
ウ
交通安全教育等の推進
(ア)
高齢者・障害者等の交通事故防止対策の推進
○
高齢者に対し、加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解し
てもらうため、歩行者シミュレータ等の各種教育用機材を活用した参加・体
験・実践型の交通安全教育を実施するとともに、交通安全教育等の活動に従
事する地域交通安全活動推進委員や交通ボランティア等と連携した効果的な
交通安全教育を推進する。
○
運転免許を保有していない高齢者に交通安全教育を受ける機会を提供する
ため、関係機関等と協力して、家庭訪問による個別指導、病院・福祉施設・
寺院等における広報啓発活動を推進する。
○
毎月1日の「高齢者保護の日」を重点に、積極的に高齢者保護活動に取り組
むとともに、高齢者への保護意識が醸成されるように指導啓発活動を推進する。
○
交通事故防止効果が高い反射材等の活用について、積極的な広報啓発活動
を行うとともに、関係機関等と連携して、その視認効果や使用方法を理解さ
せる交通安全教育を強化するほか、歩行者の靴等に反射材を貼付する活動を
推進するなど、反射材等の普及促進を図る。
○
地域交通安全活動推進委員に対し、必要な研修を行うなどして、高齢者等
の通行の安全を確保するための街頭啓発活動を効果的に推進する。
(イ)
子供等の交通事故防止対策の推進
○
幼児に対しては、交通ルールや交通マナー等道路の安全な通行に必要な基
本的な知識及び技能を習得させるため、幼稚園、保育所、保護者等と連携・協力
を図りながら、視聴覚教材等を活用した効果的な交通安全教育等を推進する。
○
児童に対しては、小学校等と連携・協力を図りながら、歩行者及び自転車
利用者として必要な知識・技能を修得させるとともに、学校等周辺の道路の
具体的な危険箇所を取り上げるなど関心を持たせる工夫を凝らした効果的な
交通安全教育等を推進する。
○
中学生、高校生に対しては、交通社会の一員としての自覚と責任について
指導するとともに、交通安全活動への参加を促すことなどにより、交通安全
意識を高める交通安全教育等の実施に努める。
(ウ)
飲酒運転等に係る県民の規範意識の確立
○
飲酒運転の危険性等を周知する交通安全教育や広報啓発活動を一層推進す
るとともに、「石川版ハンドルキーパー運動」の普及啓発に努めるなど県民
の規範意識の確立を図るほか、危険ドラッグを使用して運転することの危険
性等について積極的に広報啓発活動を推進する。
- 22 -
○
飲酒運転根絶の受け皿として、運転代行サービスの利用環境の向上及び安
全・安心な利用に向けた自動車運転代行業の更なる健全化を図る。
(エ)
交通事故実態等を踏まえた交通安全教育の推進
○
薄暮時・夜間の交通事故防止対策として、
「ライトアップいしかわ運動」を推進し、早め
のライト点灯とこまめな上下の切替え、反射材
用品等の着用促進について広報啓発活動を強化
し、定着化を図る。
○
学校や企業等において交通安全教育が主体的
に行われるように指導者の育成及び交通安全活
動に対する支援に努める。
(オ)
【交通マナーアップ】
シートベルト・チャイルドシートの着用・使用の徹底
平成26年10月に実施された全国調査において、県内の後部座席同乗者のシー
トベルトの着用率は、一般道路で22.7%にとどまったことから、全座席のシー
トベルトやチャイルドシートの着用・使用が徹底されるように非着用の危険性、
着用による被害軽減効果等を周知させるなど、効果的な交通安全教育・広報啓
発活動を推進する。
エ
(ア)
高齢運転者対策の推進
講習予備検査の適正な実施
75歳以上の高齢運転者に対する講習予備検査の適正な実施を図るとともに、
問合せ、相談等の対応に当たっては、高齢運転者及びその家族の心情に配意し
た対応に努める。
(イ)
効果的な高齢者講習の実施
高齢者講習の円滑な実施を図るとともに、講習受講者の受講待ち期間の解消
に努めるほか、高齢者の安全運転を支援するため、引き続き講習予備検査の結
果に基づく効果的な高齢者講習の実施を図る。
(ウ)
高齢運転者支援の推進
高齢運転者に対する運転適性相談の充実、申請による免許の取消し制度につ
いての周知、免許証返納者への支援の充実に努めるなど、総合的な高齢運転者
対策を推進する。
(エ)
高齢運転者自主活動組織結成への働き掛けと支援
高齢運転者の運転技術の向上及び交通安全意識の高揚を図るため、高齢運転
者自主活動組織の結成を働き掛けるとともに、自治体、関係機関・団体と連携
し、体系的な交通安全教育・広報啓発活動を推進する。
- 23 -
(オ)
高齢運転者標識の普及促進等による安全対策の推進
高齢運転者標識の普及啓発を幅広く実施するとともに、高齢運転者標識を取
り付けた自動車への保護意識を高める交通安全教育・広報啓発活動を推進する。
オ
交通事故抑止に資する交通指導取締りの推進
(ア)
交通事故分析に基づく交通指導取締り
地域の交通実態や交通事故の発生状況等を
十分に分析・検討した上で、警察署ごとの「速
度取締り指針」に基づき、真に交通事故抑止
に資する交通指導取締りを推進する。
また、取締りに当たっては、飲酒運転、無
免許運転、著しい速度超過、交差点関連違反等
【交通機動隊の活動】
交通事故に直結する悪質性・危険性の高い違反に重点を置いた取締りを推進する。
(イ)
交通事故発生時の被害軽減対策の推進
交通事故発生時の被害軽減効果が高いシートベルトの着用及びチャイルドシ
ートの使用に係る指導取締りの徹底を図る。
(ウ)
飲酒運転の根絶に向けた取締りの一層の強化
飲酒運転の実態に即した効果的な取締りを推進するとともに、車両・飲酒提
供者、同乗者等飲酒運転周辺者に対する捜査の徹底を図る。
(エ)
危険ドラッグを使用した運転者に対する厳正な取締り
蛇行運転等の異常な運転行為については、危険ドラッグの使用の疑いがある
ことを念頭に、あらゆる法令の適用を視野に入れた厳正な取締りを推進する。
(オ)
交通機動隊の効果的な運用
交通死亡事故等の発生状況を踏まえ、当該警察署と交通機動隊が連携を図っ
た効果的な指導取締りを推進する。
カ
適正かつ緻密な交通事故事件捜査及び適切な被害者支援の推進
(ア)
適正かつ緻密な交通事故事件捜査の推進
交通事故発生当初から迅速・的確な初動捜査及び組織的な捜査を推進し、客
観的な証拠等の収集を始めとする適正かつ緻密な捜査を推進する。
(イ)
適切な被害者支援の推進
ひき逃げ、死亡事故等の被害者・遺族に対する被害者連絡を適時・適切に実
施し、捜査過程における被害者の二次的被害の防止等を図る。
キ
総合的な暴走族等対策の推進
関係機関・団体、警察各部門と連携した取締体制を構築し、あらゆる法令を駆
使した取締りを徹底し、無謀・暴走運転を許さない社会環境づくりに努める。
- 24 -
ク
悪質・危険運転者対策等の推進
(ア)
常習飲酒運転者対策の推進
飲酒取消講習の確実な実施や飲酒学級の充実に努めるほか、関係機関と連携
し、リーフレットの配布や相談先の教示等、常習飲酒運転者対策を推進する。
(イ)
迅速かつ確実な行政処分の推進
違反を繰り返す運転者や重大な交通事故を起こした運転者を早期に排除する
ため、違反登録に要する期間の短縮や仮停止、準仮停止及び優先登録の積極的
な運用、更には、行政処分の長期未執行者の解消等に努める。
(ウ)
迅速かつ的確な臨時適性検査等の実施
一定の病気等の疑いがある者を把握した場合には、迅速かつ的確な臨時適性
検査等を実施するとともに、一定の病気等に該当する疑いがある者に対する免
許の効力の暫定停止制度の適切な運用に努める。
ケ
運転適性相談等の確実な実施
(ア)
運転適性相談の実施態勢の充実等
免許を取得しようとする者等に対する運転適性相談を確実に実施するため、
運転適性相談窓口の周知徹底及び態勢の整備を図る。
また、医師会等との連携を強化するとともに、一定の病気等の疑いがある者
の主治医からの届出や家族からの相談が行いやすい環境づくりに努める。
(イ)
プライバシー等に配意した個別聴取の実施
質問票における正確な申告を促すための取組を推進し、病状申告者に対して
は、プライバシー等に配意しつつ、個別聴取の確実な実施を図る。
コ
関係団体及び交通関連事業者との連携と指導の強化
交通安全協会等交通関係団体及び自動車運転代行業者、交通情報提供事業者そ
の他の交通関連事業者の活動が、本来の趣旨にのっとり、適正かつ積極的に行わ
れ、交通の安全と円滑に資することとなるように連携・指導の強化を図る。
サ
(ア)
大規模災害に備えた交通対策の推進
交通規制計画に基づく各種訓練の実施
関係機関と緊密に連携し、緊急交通路の指定や緊急通行車両確認標章の交付、
広域緊急援助隊(交通部隊)の出動運用等、総合的かつ実践的な訓練を実施す
るように努める。
(イ)
災害に強い交通安全施設等の整備
災害発生時においても住民の避難路や緊急交通路を的確に確保するため、交
通監視カメラ等の整備を推進する。
- 25 -
シ
改正道路交通法の円滑な施行
(ア)
自転車利用者対策の推進
自転車違反者講習制度の円滑な実施に向け、県民への広報啓発活動を推進す
るとともに、制度導入後の適切な運用を図る。
(イ)
一定の病気等に対する運転者対策の推進
一定の病気等により運転免許を取り消された者が3年以内に再取得した免許
の有効期間については、改正道路交通法により、当該取り消された免許がみな
し継続されることについて周知徹底に努める。
(2)
安全で快適な交通環境の整備
ア
交通安全施設等整備事業の重点的、効果的かつ効率的な推進
国の「社会資本整備重点計画
(注)
」に基づき、交通安全施設等整備事業を重点
的、効果的かつ効率的に推進するほか、計画的な老朽化施設の更新、施設の長寿
命化、ライフサイクルコストの低減に努める。
(注)社会資本整備重点計画とは、道路、交通安全施設、鉄道、空港等について国が重点的、効
果的かつ効率的に推進する事業として法律に定めて推進している計画のことであり、警察
の推進する事業としては、交通安全施設等整備事業がある。
イ
交通実態の変化等に即した交通規制の推進及び道路交通環境の更なる改善
道路整備、地域開発、商業施設の新設等による交通事情の変化を的確に把握し、
ソフト・ハード両面での総合的な対策を実施するとともに、最高速度、駐車、信
号制御等の交通規制について、実勢速度、路上駐車実態、交通量等の地域の交通
実態及び地域住民、道路利用者等の意見も踏まえ、計画的に見直しを行う。
特に、最高速度規制の在り方については実勢速度、交通事故発生状況等を勘案
しつつ、規制速度の見直しを推進する。
ウ
生活道路等及び通学路における交通安全対策の推進
(ア)
市街地等における生活道路の交通安全対策として、「ゾーン30
(注)
」を整備す
るなど、速度の抑制及び通過交通の排除に重点を置いた対策を推進する。
その他の生活道路等において、一時停止等の交通規制、バリアフリー対応型
信号機の整備、信号の歩車分離化、信号灯器のLED化等の施策を推進し、歩
行者や自転車利用者の安全通行を確保する。
(注)ゾーン30とは、生活道路における安全対策としてゾーンを設定し、ゾーン内の30㎞/h規
制を基本として、通過交通の排除に重点を置いた対策を推進し、ゾーン内における歩行者
や自転車の安全を図る施策をいう。
(イ)
通学路における安全を確保するため、教育委員会、学校、道路管理者等の関
係機関と連携し、ソフト・ハードの両面から必要な対策を推進する。
- 26 -
エ
高度道路交通システム(ITS
(ア)
(注1)
新交通管理システム(UTMS
)の推進
(注2)
)サブシステムの効果的運用
(注3)
現場急行支援システム(FAST
(注4)
)、公共車両優先システム(PTPS
)
等の効果的運用を推進する。
(注1)ITSとは、情報通信技術を活用した道路交通に係るシステムの総称であり、「安全・安
心」「環境・効率」「快適・利便性」を目指すための取組である。
(注2)UTMSとは、警察庁の推進するITSであり、交通管理の高度化、交通事故削減によ
る安全対策、交通の円滑化を目的としており、石川県で実施しているサブシステムには、
FAST、PTPSがある。
(注3)FASTとは、緊急車両からの情報を光ビーコンで受信し、優先的に通行できるように、
青色信号の延長や赤色信号の短縮を交通管制センターで自動的に行うものである。
(注4)PTPSとは、路線バスからの情報を光ビーコンで受信し、優先的に通行できるように、
青色信号の延長や赤色信号の短縮を交通管制センターで自動的に行うものである。
(イ)
的確な交通情報の収集・提供の推進
交通管理のため、システムの設定見直し及び車両感知器等の管理を徹底し、
的確な交通情報の収集・提供を推進する。
オ
環境対策の推進
自動車からの二酸化炭素排出削減を図るため、交通状況に応じた信号運用、交
通規制の改善等のほか、エコドライブの広報啓発活動を推進する。
カ
総合的な駐車対策の推進
(ア)
悪質性、危険性、迷惑性の高い駐車違反に重点を置いた取締りを推進すると
ともに、駐車監視員による確認事務の適切かつ円滑な運用、悪質な運転者、使
用責任者の責任追及の強化を図る。
(イ)
駐車規制については、より合理的できめ細かな交通規制の実施に努めるとと
もに、道路管理者等による路外駐車場、路上荷さばきスペース等の整備等につ
いての働き掛けを推進する。
キ
高速道路における諸対策の推進
(ア)
道路管理者との連携を強化し、交通死亡事
故等の発生地点や多発区間等の共同点検を行
い、交通危険箇所の安全対策を推進するとと
もに、高速道路における走行対策として、高
速道路走行時の心得及び故障・事故における
措置について周知徹底するなど、高速道路の
【高速道路総合訓練】
安全利用を促進するための広報啓発活動を推進する。
(イ)
高速道路における救急・救助活動を迅速的確に行うため、消防・関係機関と
の連携強化を図るとともに、反復した初動対応訓練を実施する。
- 27 -
6
多様化する脅威と自然災害等の緊急事態への対策の推進
国内外の不安定・不透明な社会情勢等を反映し、不満や不安を鬱積させ、暴力行為
に至る集団等の出現が懸念されるほか、近年、国内外において政府機関等に対するサ
イバー攻撃が発生するなど、我が国の治安や安全保障が脅かされている。さらに、国
際テロ情勢については、テロ組織と関わりのない個人がインターネット等を通じて過
激化した「ローン・ウルフ」型のテロの危険性が指摘されているほか、本年2月1日
にイスラム過激派組織、いわゆるISIL(イラクとレバントのイスラム国)によっ
て配信されたとみられる邦人を殺害したことを伝える動画の中では、日本政府を名指
しした上で、今後も邦人を直接の標的とすることを示唆するなど、従来以上にテロの
脅威が現実のものとなっている。
こうした厳しい情勢に加え、本年5月、県内において「第66回全国植樹祭」が開催
され、警衛警備に万全を期す必要があるなど、治安に影響を及ぼし得る様々な事象に
対して、幅広い情報収集・分析を行うとともに、違法行為には厳正な取締りを徹底す
るなど、県民の安全・安心を確保するため、引き続きテロを始めとする様々な脅威へ
の各種対策を的確に推進していく必要がある。
また、今後も自然災害等の大規模災害の発生が懸念されることから、東日本大震災
の教訓を踏まえ、引き続き危機管理体制や関係規程を不断に見直すほか、実効のある
訓練や教養、更には自治体等関係機関・団体との緊密な連携など、突発的な緊急事態
にも即応できるよう、真に機能する危機管理体制の再点検・再構築に向け、諸対策を
推進する必要がある。
施策の目標
○
テロを始めとする様々な脅威への対策を的確に推進するとともに、自然災害等
の緊急事態にも迅速・的確に対処できるよう、諸対策を推進する。
(1)
多様化する脅威への対応
ア
情報収集・分析と捜査の徹底
テロや違法事案につながる幅広い情報を収集して的確に分析するとともに、違
法行為に対しては、徹底した事件捜査を推進する。
イ
官民一体となったテロの未然防止対策の推進
重要施設等の管理者や爆発物の原料となり得る化学物質を取り扱う販売事業者
等に対し、自主警備体制の強化や不審情報の通報の依頼、テロ対策に係る共同訓
練、テロ対策の重要性に関する情報発信や個別訪問等を継続的に実施し、官民一
体となったテロの未然防止対策を推進する。
- 28 -
また、「第66回全国植樹祭」警衛警備の完遂のため、各機関との連携を図り、
情報の収集や管理者対策等の諸対策を推進する。
ウ
精強な警備部隊による警戒警備の徹底
厳しい治安情勢を踏まえ、志賀原子力発電所、海空港、JR金沢駅等県内の重
要施設の警戒警備を強化するとともに、不測の事態にも迅速・的確に対応するた
め、実戦的な訓練を反復実施して、各種部隊の練度の向上を図る。
【小松空港ハイジャック事件対策訓練】
(2)
【JR金沢駅テロ対処訓練】
緊急事態対策の推進
ア
災害に係る危機管理体制の充実強化
東日本大震災の反省・教訓を踏まえ策定した規程や各種計画等について、災害
発生時に真に機能するよう、引き続き検証と必要な改善に努め、危機管理体制の
再構築を継続的に推進する。
イ
関係機関等との緊密な連携による諸対策の推進
平素から自治体、消防等関係機関・団体との連携を緊密にして情報共有を図る
とともに、関係機関との共同訓練や防災訓練等への参画を通じて連絡体制の確立
に努めるなど、諸対策を継続的に推進する。
ウ
緊急事態等における対処能力の向上
警察職員が緊急事態等が発生した際に
迅速・的確に対応できるよう、災害警備
に関する指導教養を反復実施し、危機管
理意識の更なる醸成を図るとともに、初
動態勢の確立に重点を置いた実戦的な訓
練や装備資機材の習熟訓練など、実効あ
る訓練を継続実施し、対処能力の向上を
図る。
【中部管区広域緊急援助隊合同訓練】
- 29 -
7
警察力の充実強化と県民の立場に立った警察活動の推進
警察の業務が広範なものとなっており、県民の多様なニーズに応えるためには、業
務の合理化・効率化や人員の再配置を進め、限られた人員を最大限に有効活用すると
ともに、組織体制や装備等の警察力を充実強化するほか、女性の視点を組織運営に反
映させ、時代の変化に応じた警察活動を推進する必要がある。
また、大量退職・大量採用が続く中、警察の組織力を維持するためには、真に警察
官たるにふさわしい能力と適性を有する優秀な人材を確保するとともに、若手警察職
員の能力向上を図り、現場執行力の強化を図る必要がある。
加えて、「県民の安全・安心の確保」という県民から負託された責務を全うするた
め、不適正事案を防止して適正業務を推進することはもとより、警察安全相談や苦情
への適切な対応、きめ細やかな被害者支援活動など、県民の立場に立った警察活動を
一層推進する必要がある。
施策の目標
○
治安情勢に的確に対応した警察力を充実強化する。
○
県民の立場に立った警察活動を一層推進する。
(1)
警察力の充実強化
ア
警察機能の最大限の発揮に向けた組織運営の推進
県民のための警察活動を積極的に推進できるよう、更なる業務の合理化・効率
化等を図るとともに、第一線現場の職員が、その執行力を最大限に発揮できる各
種施策を推進する。
イ
警察官としての適性と意欲を有する優秀な人材の確保
就職説明会、警察学校オープンキャンパス等を開催す
るとともに、県警ホームページを通じて警察官採用案内
に係る情報を提供するなど、採用募集活動を積極的に推
進し、真に警察官たるにふさわしい資質と熱意を持った
優秀な人材の確保を図る。
ウ
若手警察官の早期戦力化
実戦的な総合訓練を始めとした教養・訓練を行うとともに、技能指導官等によ
る伝承教養や各部門の若手育成プログラム等により、若手警察官の実務能力の向
上を図る。
あわせて、失敗への適切な対処を行うためのリカバリー教養を一層推進する。
- 30 -
エ
幹部の指揮能力の向上
当直指揮訓練を始めとする実戦的総合訓練を反復実施し、幹部としての指揮能
力を向上させるとともに、各種研修会を通じて幹部の資質の向上を図る。
また、リカバリー教養の重要性・必要性を理解させ、風通しの良い職場づくり
に努める。
オ
女性の視点を一層反映させた警察活動の推進
性別を問わない能力・実績に応じた積極的な人材登用や女性職員が更に働きや
すい職場づくりを推進するとともに、女性の視点を始めとする様々な視点を警察
業務に反映させ、ダイバーシティ(多様性)を受容するという組織全体の意識改
革を徹底するなどして、警察の組織力を質的に強化する。
カ
退職警察職員の積極的活用の推進
再任用制度等を活用し、即戦力である退職警察職員により、現場執行力を補完
するとともに、経験豊富なベテラン職員の優れた技能等を若手職員に伝承するな
ど、組織力の維持・向上を図る。
キ
警察施設の計画的整備
警察力を強化するとともに、来庁者の利便性を図るため、警察署・交番等警察
施設を計画的に建て替え、移転、改修等を行う。
ク
車両・装備資機材の着実な整備充実
事件、事故や新たな犯罪等に的確に対応するとともに、警察官の受傷事故防止
を図るため、車両及び装備資機材の整備充実を着実に推進する。
ケ
情勢の変化に的確に対応する情報管理の推進
実効ある情報セキュリティ対策や個人情報漏えいを防止するなど、堅牢な情報
セキュリティの実現に向けた取組を更に強化する。
また、第一線警察を取り巻く情勢の変化に対応する情報システムの構築及び見
直しを行う。
コ
適正な留置管理業務の推進
被留置者事故及び不適正事案を防止するため、計画的に留置施設を巡視すると
ともに、留置施設を使用した実戦的な訓練を実施するほか、全国事例を踏まえた
執務資料の発出等により、留置業務担当者の指導教養を推進する。
(2)
高い規律と士気を有する職場環境の確立
ア
使命感と誇りを育む職務倫理教養の推進
教養資料「初心不可忘」を活用した教養を継続して行うほか、警察職員として
の第一歩を踏み出した時の気持ちを思い起こさせる「原点回帰教養」を行うなど、
職員の心に響く創意工夫を凝らした職務倫理教養を推進する。
- 31 -
イ
力強い警察を実現するための術科の裾野拡大
術科訓練を組織的・計画的に推進することにより、術科の裾野を拡大し、警察
官の気力・体力・胆力の充実を図るとともに、訓練においては、礼節を尊び、人
格を磨き、県民に信頼される警察官を育成する。
ウ
警察の真の姿を県民に伝える積極的広報の推進
警察職員の地道に職務に当たる姿や厳しい現場での活動等の広報素材を積極的
に提供することにより、県民に警察の真の姿を伝え、安全・安心が感じられるよ
うな広報を推進する。
エ
心の健康づくりを始めとする組織的な健康管理対策の推進
職員個々の健康増進を図るため、心の健康づくりを始め、生活習慣病の予防及
び過重労働に伴う健康障害防止等の健康管理対策を組織的に推進する。
(3)
県民の立場に立った警察活動の推進
ア
相談者の立場に立った適切な警察安全相談等の推進
(ア)
県民から寄せられる相談に対する適切な対応
警察本部や警察署に設置されている警察安全相談室の警察官及び警察安全相談
専門員を中心に、相談者の立場に立った適切な相談業務を推進する。
(イ)
情報公開の推進と情報公開制度の適正な運用
警察の施策を表す訓令、通達等を県警ホームページで公表するなど、警察行
政の透明性の確保を一層推進するほか、情報公開請求に対しては、公開決定等
の客観性及び適正の確保を推進する。
イ
迅速・適正な苦情処理業務の推進
迅速かつ適正な苦情処理業務を推進し、職務執行における責任の明確化及び苦
情を活かした組織的な業務改善を図る。
ウ
より地域の実情に即した警察署協議会の開催
地域住民からの意見・要望に対し、真摯に対応することで警察署の業務運営に
ついて、住民の理解と協力が得られることから、より地域の実情に即した警察署
協議会の開催を推進する。
エ
きめ細やかな被害者支援活動の推進
第2次犯罪被害者等基本計画を踏まえ、犯罪被害者等基本法の適正な運用を図
るとともに、自治体、民間団体等関係機関と連携した、きめ細やかな被害者支援
活動を推進する。
- 32 -
オ
効果的・効率的な被疑者取調べ監督の推進
「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」の適正な運用に努めるととも
に、効率的・効果的な被疑者取調べ監督を推進し、不適正な取調べの未然防止を
図る。
カ
非違事案の未然(再発)防止対策の推進
過去の非違事案の原因、背景の分析及びこれを踏まえたリカバリー対策を推進
する。
- 33 -
第4
警察予算
1
警察費の概要
平成27年度当初予算は、安全で安心して暮らせる石川を実現するため、本年の県警
察の重点目標である「犯罪の起きにくい社会づくりの推進」など7項目を柱に、治安
情勢の更なる改善に向けた取組、警察施設や装備等の充実強化及び北陸新幹線金沢開
業に伴う治安対策を推進するため必要な予算を重点に編成を行った。
なお、本県では、国の大型補正に呼応して平成26年度第1次3月補正予算が編成さ
れたため、実務上は平成27年度当初予算と合わせた額を「実質当初予算」と呼称して
予算を編成した結果、平成27年度警察費実質当初予算額は24,915,967千円となり、平
成26年度6月補正後予算額に比べ1.6%の増となっている。
対前年度増額の主な要因は、警察官の増員、給与改定及び退職手当支給対象者の増
による人件費の増額である。
【 警 察 費 の 状 況 等 】
年 度 別
項 目 別
平成27年度実質当初予算
予算額(千円) 構成比(%)
平成26年度6月補正後
構成比(%)
予算額(千円)
費
24,915,967
100.0
24,527,070
100.0
388,897
+1.6
人 件 費 ・ 恩 給 費
警
察
予算額(千円)
増 減
率(%)
20,560,788
82.5
20,168,936
82.2
391,852
+1.9
費
4,355,179
17.5
4,358,134
17.8
-2,955
-0.1
費
919,353
3.7
823,163
3.4
96,190
+11.7
交 通 安 全 施 設 費
656,315
2,779,511
2.6
11.2
664,622
2,870,349
2.7
11.7
-8,307
-90,838
-1.2
-3.2
543,864,300
-
505,911,905
-
37,952,395
+7.5
物
件
警
一
察
般
施
物
設
件
費
(参考)県 一 般 会 計 予 算
※ 平成26年度当初予算は知事改選を控え準通年型編成のため6月補正後予算と比較
2
(1)
主要事業
北陸新幹線金沢開業に伴う治安対策の推進
犯罪抑止対策、繁華街対策、交通安全対策等を一層推進し、開業後の治安情勢の
変化に的確に対応するため、片町街頭防犯カメラシステムを更新整備するほか、JR
金沢駅周辺の主要交差点に交通監視用カメラを整備し、各種イベント開催時の交通
渋滞対策や駅を起点とした二次交通の定時性確保を図る。
また、鉄道警察隊事務所に相談員1人を配置し、行政サービスの向上や駅構内の
犯罪抑止対策を推進する。
(2)
犯罪の起きにくい社会づくりの推進
安全・安心なまちづくりを推進するため、防犯ボランティア講習会や地域住民へ
の安全情報の提供を継続するほか、精強な地域警察を構築し街頭活動の推進を図る
ため、引き続き通信指令システムの適正な運用維持、地域警察活動に不可欠な小型
警ら車の更新及び耐刃防護衣等の受傷事故防止用資機材の整備を実施する。
- 34 -
(3)
子供・女性・高齢者の安全確保と少年非行防止対策の推進
ストーカー・DV事案への先制・予防的活動を強化するため、監視警戒システム
やドライブレコーダーを整備するほか、少年非行防止対策として少年補導員等の活
動支援や、非行少年の立ち直りを支援する「農作業体験を通じた居場所づくり」
「ボ
ランティアリーダー育成研修会」を開催し、非行少年を生まない社会づくりを推進
する。
(4)
県民の生活を脅かす犯罪の徹底検挙
殺人未遂、強盗等の重要犯罪、特殊詐欺や危険ドラッグ等、県民の生活を脅かす
犯罪を早期検挙するため、防犯カメラ画像収集装置や、収集した画像を高度に解析
する画像鮮明化装置を整備する。
また、DNA型鑑定を始めとする各種鑑定機器の適正な運用維持や、新型の危険
ドラッグ対応薬物分析装置を整備し、科学捜査を一層推進するなどし、捜査力の充
実を図る。
(5)
交通死亡事故抑止等による安全な交通社会の実現
交通事故死者数過去最少を目指し、喫緊の課題である高齢者の交通事故防止対策
を推進するため、引き続き街頭における交通安全指導・保護誘導を通じて行う交通
安全教育、体験・実践型の自動車及び自転車運転者に対する安全運転教育を実施す
るほか、悪質性・危険性の高い違反に重点を置いた交通指導取締りを行うため、レ
ーダースピードメーターやアルコール測定器を計画的に整備する。
また、信号機等の交通安全施設を重点的、効果的に整備し、交通安全対策を推進
する。
(6)
多様化する脅威と自然災害等の緊急事態への対策の推進
東日本大震災の教訓を踏まえ、救助活動用装備資機材の計画的に整備し、自然災
害等への対処能力の更なる向上を図るなど、危機管理体制の充実強化を図る。
(7)
警察力の充実強化と県民の立場に立った警察活動の推進
警察力の充実強化のため、警察官9人を増員するほか、引き続き指導能力向上に
資するコーチング研修を実施するとともに、術科用具の整備を推進し、若手警察官
の早期戦力化と幹部の指揮能力向上を図る。
また、建て替え工事中の羽咋警察署新庁舎を完成させるほか、小松警察署粟津駅
前交番を移転するなど、警察施設を計画的に整備する。
さらに、七尾警察署和倉交番、輪島警察署門前交番のリノベーションや、運転免
許センターの改修を行い、来庁者の利便性の向上を図る。
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3
平成27年度実質当初予算
警察本部主要事業の概要
事 業 名
金 額 (千円)
説 明
1 北陸新幹線金沢開業に伴う治安対策の推進
(1) 犯罪抑止・繁華街対策の推進
・ 改正迷惑防止条例の的確な運用
2,930
片町街頭防犯カメラシステムの更新整備
(2) JR金沢駅周辺等を重点とした交通安全対策の推進
・ 金沢都心軸における交通円滑化対策の推進
34,047
拡 交通監視用カメラの整備
・ 総合的な駐車対策の推進
10,241
放置車両確認事務の委託、同管理システムの運用
(3) 行政サービスの向上
・ 鉄道警察隊の機能強化
2,376
新 相談員の配置(1人)
3,366
安全情報の提供、防犯ボランティア講習会の開催など
・ サイバー空間の安全と安心を確保する諸対策の推進
3,288
サイバー犯罪対策技術者の養成、捜査用資機材の整備など
・ 良好な生活環境を守る諸対策の推進
5,710
風俗営業所管理者講習の実施など
2 犯罪の起きにくい社会づくりの推進
(1) 安全・安心まちづくりの推進
・ 重層的な防犯ネットワークの整備・活用促進
(2) 悪質な生活経済事犯等の徹底検挙
・片町街頭防犯カメラシステムの更新整備(再掲)
(3) 精強な地域警察の構築及び街頭活動の推進
・ 通信指令機能の強化
・ 警察機動力の確保
261,082
72,928
通信指令システム、デジタル無線システムの運用など
小型警ら車、中型輸送車の更新整備、県警ヘリコプターの定期
点検・整備など
・ 受傷事故防止資機材の整備
・ 街頭活動等の推進
2,873
21,087
耐刃防護衣の整備など
盗難車両等照会システムの運用など
3 子供・女性・高齢者の安全確保と少年非行防止対策の推進
(1) 人身の安全を確保するための取組の推進
・ 積極的な先制・予防的活動の推進
1,157
ストーカー・DV対策用資機材の整備など
拡 ・監視警戒システム、ドライブレコーダーの整備
(2) 少年非行防止総合対策の推進
・ 非行少年を生まない社会づくりの推進
5,185
少年補導員等の活動支援、非行少年の立ち直り支援
・ 少年非行防止教室の開催
2,595
ピュアキッズスクール・薬物乱用防止教室の開催
・ 暴力団排除活動の推進
5,034
暴力団対策責任者講習の実施など
・ 国際犯罪の徹底検挙
6,370
国際捜査官の通訳力向上研修の実施など
4 県民の生活を脅かす犯罪の徹底検挙
(1) 重要犯罪・組織犯罪の徹底検挙
(2) 変容する捜査環境への的確な対応
・ 捜査支援機器の整備
44,383
防犯カメラ画像収集装置の整備など
拡 ・画像解析装置の整備
・ 科学捜査の積極的な推進
80,796
DNA型鑑定等の鑑定試料分析機器の運用など
拡 ・危険ドラッグ対応薬物分析装置の高度化更新整備
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事 業 名
金 額 (千円)
説 明
5 交通死亡事故抑止等による安全な交通社会の実現
(1) 交通事故防止対策等の推進
・ 交通安全対策の推進
9,645
交通安全教育、高齢運転者対策の推進
・高齢者対象の体験・実践型自動車運転講習の委託実施
・高校生交通安全フォーラムの開催 など
・ 重点的な交通指導取締りの推進
19,407
飲酒運転、著しい速度超過など悪質性・危険性の高い違反に
重点を置いた交通指導取締りの推進
・レーダースピードメーターの整備など
(2) 安全で快適な交通環境の整備
・ 重点的、効果的かつ効率的な交通安全施設整備の推進
656,315
交通管制システム、交通信号機、道路標識、道路標示の整備 拡 ・交通監視用カメラの整備(再掲) 34,047千円
・ 総合的な駐車対策の推進(再掲)
10,241
放置車両確認事務の委託、同管理システムの運用
6 多様化する脅威と自然災害等の緊急事態への対策の推進
・ 災害に係る危機管理体制の充実強化
2,847
・ 緊急事態対策の推進
5,638
災害警備活動用装備資機材の充実
・エンジンカッター、非常用食糧の計画配備など
災害対策訓練の実施、ヘリコプター・テレビシステムの運用など
7 警察力の充実強化と県民の立場に立った警察活動の推進
(1) 現場執行力・治安維持体制の充実強化
・ 警察官の増員
・ 若手警察官の早期戦力化、幹部の指揮能力向上
新 9人(増員後定数 1,960人)
4,097
指導能力向上のための研修会の実施、術科防具の整備など
(2) 警察活動の拠点となる治安基盤施設の計画的整備
・ 警察署庁舎建設費
669,706
羽咋警察署庁舎の建替え(平成28年1月竣工予定)
・ 交番等建設費
103,249
新 小松警察署粟津駅前交番の移転整備 56,559千円
老朽交番のリノベーション 36,049千円
・七尾警察署和倉交番、輪島警察署門前交番
用途廃止施設の解体費 10,641千円
・金沢東警察署森本交番、不動寺町駐在所
・ 運転免許センター整備費
95,529
拡 空調設備の改修など
(3) 県民の立場に立った警察活動の推進
・ 警察署協議会運営費
3,919
地域の実情に即した警察署協議会の開催
・ きめ細やかな被害者支援活動の推進
5,386
犯罪被害者の負担軽減及び広報相談活動の実施、支援
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