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5 保育園所・幼稚園における実践例
5 保育園所・ 保育園所・幼稚園における 幼稚園における実践例 における実践例 「人とかかわる力 とかかわる力」~友だちや保護者など身近な人とかかわり、つながっていこうとする力~ 【実践事例1】 12月 活動名 クリスマス会の出し物(ジェスチャーゲーム)をしよう! ねらい (めざす姿) 苦手なことにも自分からかかわり、友だちと共通の目的に向かって最後まで取り組む。 活動の経過 クリスマス会を自分たちで盛り上げてみないかという保育者の投げかけで、年長 8 名の 幼児たちは考え始めた。決まった内容は、パネルシアターと男児 3 名考案の“ジェスチ ャーゲーム”。しかし、いざジェスチャーをしてみると、難しい。ヒントを出すにも、な かなか良いヒントが思いつかない。そして、最後の練習でK児はジェスチャーゲームが 楽しめなくなってきた様子だった。友だちは「もう少し、大きく動くと分かりやすいよ」 など、アドバイスをしようとしている。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ◎K児、クリスマス会当日、困った様子で登園。しかし、ジェスチャーゲームが「嫌だ」とか「しない」 とは保育者に言ってこない。 ▲母親より家での様子を聞き、K児の心配な気持ちを把握しておく。ゲーム仲間3人で、「お題」を確 認し合えるよう声かけをする。 ○クリスマス会で、ジェスチャーゲームをする幼児に注目できるような場を設ける。 【ゲーム前】 ◎答えは「木登りするサル」にしよ うと考えているけれど、できるか なぁと不安な様子。 【ゲーム後】 ◎上手にできた!と嬉しい様 子。 ‘やったね’の合図(友だち) ▲温かいまなざしで見守る。 ▲友だちに笑顔でうなずく。 「先生、できないかと思っ てたけど、僕できた」と耳 元で囁く。 ▲‘やったね’の合図を送 る。 「うん、僕うまくできないと思 ってたけど、うまくできた!」 【後日、4歳児に】 「 ジェ スチャ ーゲ ーム、教えてあげる よ」 【次の日、幼稚園で】 ◎積み木で舞台を作り、 「今から ジェスチャーゲームを始めま す」と友だちと楽しむ。 【反省会で】 「K君、バッチリできたね!(友だち)」 ▲上手くでき、友だちが認めてくれた喜びに共 感 【家で】 ◎「お母さん、ジェスチャーゲームし よう。何か当ててよ」と楽しむ。 ◎K児、上手くい ったことを母に 報告。 ▲保育者も報告。 小学校へつなぐ視点 ・自分たちで目標を設定し、成功した時のイメージを持つ力が育っているからこそ、苦手な活動に くじけずに立ち向かうことができる。 ・共通の目的を持つことで、励まし合い共感し合うなど、仲間意識が育っている。 ・‘できた’という達成感を味わうことで、自信と意欲につながっている。 小学校での学び ・身近な題材の特徴をとらえ、全身でなりきって表現する(体育) ・友だちと支え合い、認め合うことで目標に向かって最後まで取り組む - 24 - 「人とかかわる力 とかかわる力」~友だちや保護者など身近な人とかかわり、つながっていこうとする力~ 【実践事例2】 2月 活動名 こままわしをしよう! ねらい (めざす姿) 友だちと認め合い、見通しをもって、自分たちで遊びに挑戦し、すすめていく楽しさを 味わう。 活動の経過 年少時に木芯ゴマを練習し、ほとんどの子がひもは巻けるようになっている。そして、 年長になり、鉄芯ゴマに挑戦するようになるが、回せる子は楽しくて遊ぶが、回せない 子は興味をもたず、練習しようとしない。そこで、友だちとのかかわりの中で、挑戦す るきっかけになるように遊びをすすめた。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 ○クラスのみんなで一緒にこま回しをする場を設定する。 先生見て! 子どものつぶやき すごいね!よくま わっているね。 ▲保育者に見せて、認めてもらおうとする子に対して、 こまを遠く に投げてひ も引っ張る んだよ。 保育者は丁寧に受け止めて認めていく。 ◎回せる子は自信をもち、回せない子に教える姿が やってみ る~ 見られる。 手をこうし てみて! ◎回せない子も、教えてもらいながら繰り返し取り 組むようになる。 タイヤまわしに なった! ◎さらに、 「バトルしよう。」と回せる子同士の遊びが始まる。 ○クラスの友だち同士で、教えたり、認めたりしている子どもたちが、より意欲的に人とかかわって遊 べるよう年少組の子たちと一緒に遊び、見せたり、教えたりする場を設定する。 一緒にまわそう! こうしてまくひも なんだよ。 (年長) すごいね!まわっ たね。(年長) スリーツーワン ゴーシュー ありがとう (年少) バトルしよう! 誰が一番長く回 るか競争ね! すごいねぇ。よ くまわってる ね。 ▲年少児や友だちに教えたり、認めたりする姿を取り上げて、クラスの中で伝え、友だちの様子に気づ いていけるような言葉をかけていく。 小学校へつなぐ視点 ・自分なりに試行錯誤し、できたこと、工夫したことを次の活動で発展させる、さらに、体でわかっ たことを言葉で表現しようとする力が育っている。 ・すぐにできなくても、根気よく持続して取り組む姿から、自己発揮と自己抑制が相互に働き、人と のかかわりを通して自己調整力が育まれていると捉える。 小学校での学び ・相手に応じて話す事柄を順序立てて話す(国語) ・望ましい人間関係の形成(特活) ・友だちと仲良くし、助け合う(道徳) ・希望や目的をもって生きる態度の育成(特活) ・自分でやろうと思ったことをしっかり行う(道徳) - 25 - 「人とかかわる力 とかかわる力」~友だちや保護者など身近な人とかかわり、つながっていこうとする力~ 【実践事例3】 3 月 活動名 特別養護老人ホームのおじいさん おばあさんに感謝の気持ちを届けよう ねらい (めざす姿) 高齢者の方々に感謝の気持ちを歌で表現し、伝える喜びを味わう 活動の経過 ・ ・ ・ ・ ・ おじいさん おばあさんとの思い出について話し合い、感謝の気持ちを感じる。 感謝の気持ちを歌声に込め、その後をビデオに撮りプレゼントすることに決める。 おじいさん おばあさんが好きな歌をインタビューする。 (おひな祭り会) おじいさん おばあさんが好きな歌BEST3を歌いビデオに撮る 撮ったビデオをプレゼントする。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ○ おじいさん おばあさんとの楽しかった活動を振り返る場を ビデオだ ったら目 でも見ら れるし、耳 でも聞け る! 設け、発言しやすいように円になって座る。 (友だちの顔が見える隊形) ▲ 交流の中で嬉しかった事、楽しかった事を聞き、何故その様な 気持ちになったのかを投げ掛け、優しさや温かさをもらって いたことを感じられるようにする。 ◎ インタビューした結果を出し合い好きな歌ベスト 3 を決める。 ▲ おじいさん おばあさんの喜ぶ顔をイメージ しながら気持ちを込めて歌えるようにする。 1位 2位 3位 青い山脈 りんごの唄 春がきた ○ 撮った映像を編集しDVDに収める。 ◎ クラス皆で歌の映像を見る。 ▲ DVDをプレゼントし、喜ばれた嬉しさや満足感が十分に味わえるように援助する。 いままでありがとう! ビデオで撮ったんだよ。見てね。 先生の言う事よく聞いてがんばりなさいね。 おじいちゃんすごい!何でも弾ける! 小学校へつなぐ視点 これまでの経験を振り返り、イメージを共有し、それを活動の目的として意識して、段取りを 考え合う。自分たちの経験や豊かな感情体験を思い起こし、振り返り、クラス集団の中での共有 することで、さらに広がり、深まりのある活動が生み出される。学びの積み重ねの上に、見通し を持つ力が育まれていると考えられる。 小学校での学び ・高齢者など身近にいる人に温かい心で接し、親切にする(道徳) ・日ごろお世話になっている人々に感謝する(道徳) ・歌詞の表す情景や気持ちを想像し、思いをもって歌う(音楽) ・自分自身の成長を振り返り、多くの人々の支えにより自分が大きくなったことが分かり、支えて くれた人々に感謝の気持ちをもつ(生活) - 26 - 「生活する 生活する力 する力」~自分たちで生活をすすめていこうとする力~ 【実践事例4】 年間を通して 活動名 すすんで当番活動を楽しもう! ねらい (めざす姿) 生活に必要なマナーやルールを身につけ、自主的に役割分担をしたり、助け合って活動 する。 当番活動を喜び、人の為に役立とうとする気持をもち、すすんで手伝いをする。 活動の方法 ・4歳児後半から、保育者や 5 歳児の当番と一緒に、全クラスのタオルを集める経験を する事で、年長児の活動に憧れや期待をもち、責任感が芽生える。 ・当番の仕事として、当番バッチ(安全ピン)を自分で付け外しをする。給食の配膳前 に、タオルを絞り机を拭く。人数分の皿の数を数えたり、お盆にのせる皿のスペース を考えて配膳する。皆の前でリード役になってあいさつをする。これらの事が、苦手 な子どもは繰り返しの活動や保育者の援助により少しずつ一人で出来るようになって きた。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ○新しい当番活動への興味関心がもてるようにする。 ○自分に任されることによる喜びや意欲をもてるようにする。 ○保育者が見守る事により安心感をもって行動できるようにする。 集めたタオル、洗濯 機に入ったかな? まだ残っているク ラスのタオルを集 めに行こう! 野菜の苦手な友だちに は、少ない量のお皿を配 ろう ◎「次はこれ」と見通しを立てて行動できる。 ◎「自分でできる。 」という自信がつき、意欲をもって当番活動をすすめる。 ▲手伝う様子を見守り、工夫している点を認めて褒め、 「ありがとう」 「助かる」などと感謝の気持ちを 伝え、意欲を高めるとともに自信につながるようにする。 ▲クラスや家族の一員として助け合うことや「みんなの役に立っている」と子どもが感じる経験ができ るように、家庭でも役割分担等の協力を依頼する。 小学校へつなぐ視点 当番活動は、 「自分の役割を責任をもって果たす」 「人のために自分のするべきことを考える」とい った見通しをもって行動することにつながる。繰り返し経験することで、みんなの役に立ちたいとい う気持ちや自分をコントロールする力も高まってくる。これらは、自分の行動を調整し、見通しをも つ力となり、学びに向かう力が育まれていると考える。 小学校での学び ・集団や社会の一員として自分の役割や行動の仕方について考え、適切な行動ができる(生活) ・自分の役割を積極的に果たす(生活) - 27 - 「生活する 生活する力 する力」~自分たちで生活をすすめていこうとする力~ 【実践事例5】 活動名 2月 小学校のトイレを使ってみよう! ねらい (めざす姿) 小学校のトイレを見たり実際に使用したりすることで、入学後、小学校のトイレを安心 して正しく使うことができるようになる。 活動の経過 ・入園当初、実際にトイレに行って保育者から説明を聞いたり、絵本を見たりすること で、使い方や約束事を覚える。 ・洋式も和式も経験しながら、家庭のトイレ以外でも抵抗なく使用できるようになる。 ・スリッパを揃えることや、正しいトイレットペーパーの使い方などは、毎日使用する 中で意識して身につけていくことができるように言葉がけをしていった。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ◎小学校のトイレを見に行くにあたり、事前に“トイレを使う時の約束”を振り返る。 ▲幼稚園で使っているトイレの普段の約束事を確認し合うことができるようにする。 忘れずに流す! 紙を使いすぎない! 鍵、かけとかないと、入ってな いのかなと思って開けられる! 小学校のトイレっ て大きい!! スリッパをきちん と並べる! たくさんいる時は、 順番に並ぶ! 脱いだ上靴も揃える! 手を洗う! トイレットペーパーを きちんととちぎる! ◎小学校のトイレを見に行く。自分で座ったり流したりしてみる。 ○実物を見ることで、違いを知ったり使い方を覚えたりできるようにする。 ▲体験してみることで、感覚を味わうことができるようにし、抵抗や不都合がないかを見守る。 お尻、落ち ない? 幼稚園のと、流し 方が違うね。 大丈夫。 スリッパも、 大きい!! ここで手洗うん だって。 順番、順番。 小学校へつなぐ視点 幼稚園で身につけてきたトイレの使い方や排泄の仕方が、小学校に行っても小学校のトイレでで きるように、まずは小学校のトイレに対して抵抗や不安が生じないようにと考える。事前に小学校 のトイレを見て、使い方を知ったり実際に使用してみたりすることで、入学後、安心して使うこと ができることにつながる。また、授業時間や活動の前に行っておくなど、状況や先の活動を見通し て自分で判断し、適切なタイミングで行くことができる。 小学校での学び ・学校の施設の様子がわかり、安心して生活することができる(生活) ・約束やきまりを守り、生活する(道徳) - 28 - 「学ぶ力」~身近な環境に興味・関心をもち、考え、さまざまな方法で表現しようとする力~ 【実践事例6】 12~1月 活動名 かるた大会に向けて、自分達で考えたかるたを作ろう ねらい (めざす姿) 友だちと一緒に行う中で、相手の考えを受け止め、自分の考えも出し、協力して活動を する 活動の経過 年長組は、4月より文字や数字に慣れ親しめるようにしている。 また、普段より、言葉集め、言葉探し等も楽しみながら取り組んでいる。 今回は、みんなで大型かるたを作ることになった。読み札から、自分たちで考え、読み 札に合わせて、取り札の絵も描いた。協力して活動する様子が見られた。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき <かるた大会をしよう> ○各クラス50音を分担してかるたを作ることになった。それぞれ、読み札、取り札を作るために、ど のようにすすめていけばよいのか、考える場面を多く取り入れる。 ◎お正月遊びを通して、かるたの楽しさを知った子どもたちは、自分達で、かるたを作るためにどうし たらよいのかを考えている。 ◎冒頭の字から、イメージを膨らませ、友だちと一緒に文字にあった読み札を考える。 ▲相手の気持ちを聞いて、共感する姿を認め、自分の意見も取り入れながら一つのものを作るようにし ていく。 ▲十分に材料(パス、画用紙、絵の具、厚紙等)を揃え、進行具合を把握していく。 かるた大会の様子 面白い絵だね 楽しくなってき たね それ、いい考 えだね!! こんな読み 札どう? がんばるぞ! 小学校へつなぐ視点 ・わからないことをまわりに質問したり、友だちと一緒に考え合ったりし、伝え合う経験の積み重ね が、遊びに没頭し、深く考える行為につながる力を育んできている。そのような力が、集中してさ まざまなことに取り組む姿勢につながっている。 ・お互いの気持ちを受け入れて、伝え合いながらみんなで一つのものを作り上げていく経験は、達成 感を味わうとともに、友だちと協力して、一緒に活動するという協同性を育んでいる。 小学校での学び ・互いの話を聞き、話題に沿って話し合う。ひらがなを読み、書くこと(国語) ・身近な材料や扱いやすい用具を手を働かせて使うとともに、表し方を考えて表す(図画工作) - 29 - 「学ぶ力」~身近な環境に興味・関心をもち、考え、さまざまな方法で表現しようとする力~ 【実践事例7】 1月 活動名 雪の滑り台をつくろう! ねらい (めざす姿) 身近な自然とかかわり、友だちと一緒に考えたり、工夫したりしながら遊ぶ。 活動の経過 すきな遊びでは、幼児の興味・関心に基づいた遊びに取り組んできた。砂場のダムづく り(5 月~7 月)では、樋に高低をつけることで水が流れることや、ドングリ転がしゲーム (10 月~11 月)では、傾斜の角度によって転がる速度に違いがあることに気づいた。遊 びのなかで考えや気づいたことを伝え合えるよう保育者が働きかけることで、自分の思 いを友だちに伝え、イメージを共有しながら遊べるようになってきた。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ▲年間を通じて、身近な草花や生き物を見たり、触れたりしながら、自然の美しさやおもしろさ、不思 議さなどに気づかせ、幼児の興味・関心を高める。 ◎雪が降り積もった朝、 「今日は雪で遊うぼう!」と楽しみにしながら登園してくる。 小さい組の時に もつくったね。 階段のところが いいかなぁ ねえ、ねえ 雪の滑り 台作ろう 大きいスコ ッ プの方が、 い っぱい雪運 べ るで! 僕もそうしよう ◎遊びの場や必要な道具を自分たちで考え、言葉で思いを伝え合いながら遊びをすすめる。 ▲これまでの経験を生かし、自分たちで遊びをすすめていく姿を見守りながら、工夫しているところを 認め、活動への意欲が高まるようにする。 踏んで かためよう ストンと落ちてしまいそうだね… これくらい かな おっ! いい感じだよ ここに雪を積んで、平 らにして、もっと長い 滑り台にしよう 階段 階段 ◎課題解決に向けて、考えを出し合い、協力して作業をすすめ、満足して遊ぶ。 ▲幼児の気づきを受けとめて共感し、目的に向かって友だちと協力している姿を励まし、達成感を味わ えるようにする。 小学校へつなぐ視点 身近な環境に対する興味・関心が、幼児の探究心へとつながり、主体的にかかわっていく姿につ ながる。さまざまな遊びの中で、自分なりの予測をもって試したり、偶然の発見に驚いたりしなが ら自ら学び、心に刻み込まれた事柄を生かし、見通しをもって遊びをすすめる力がついている。 小学校での学び ・角度による傾斜の変化を体感した経験が、図形についての基礎的・基本的な知識につながる。 (算数) - 30 - 「学ぶ力」~身近な環境に興味・関心をもち、考え、さまざまな方法で表現しようとする力~ 【実践事例8】 活動名 2月 なわとびに挑戦しよう! ねらい (めざす姿) 友だちと一緒に身体を動かすことを楽しみ、自分なりの目標を持って意欲的に取り組も うとする。 活動の経過 12月初めからなわとびで遊び始め、この活動を通して体を動かす心地よさや、練習し て跳べた時の達成感や喜びを味わっている。友だちの刺激を受けながら、それぞれの目 標に向かってなわとびに取り組んでいけるよう取り組みをすすめた。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ○なわとびに興味をもってすすんで取り組んでいる姿や、できるようになったことを認められるように 話す機会を設ける。 ◎なわとびをした時に上手く跳べる子は次の戸外遊びの時もなわとびで遊ぶ姿が見られた。しかし、な かなかうまく跳ぶことが出来ない子はすぐに固定遊具や鬼ごっこで遊び、すすんでなわとびに取り組 もうとする姿が見られない。 ▲挑戦する姿を認め、励ましていく。コツを教えたり、なわとびが得意な子が教えてあげるように声を かける。 ◎跳べる子が「跳ぶ時は縄が下にきたら跳ぶんだよ。」 「リズムをとって跳ぶと跳びやすいよ。」 「私が跳 んでるの見ててね。 」などコツを教えながらいっしょになわとびをして楽しむ。 ◎友だちに聞いたコツや、跳び方を見ながら自分の目標に向かって取り組む。 ▲跳べるようになった喜びに共感し、認め合う。クラスの子どもたちに頑張って取り組んでいる様子な どを伝える。 縄が下にきたら跳ぶんだよ。 今日は5回跳ぶぞ! 私がとぶのを見ててね。 ヤッター!跳べた!! どうしたら跳べるの? 小学校へつなぐ視点 ・さまざまな遊びを経験する中で、少しの抵抗感を味わいながら、それを乗り越える達成感や充実 感を味わうからこその楽しさを体験することで、集中が続き、切り替えと発展を繰り返すことが できるようになっている。 ・取り組むことで変わっていく自分の姿を予測できるようになり、見通しを持つ力がついてきてい ることが、あきらめずに取り組む姿につながっている。 小学校での学び ・簡単なきまりや活動を工夫して、運動遊びを楽しむ(体育) ・だれとでも仲よくし、意欲的に運動をする(体育) ・自分でやろうと思ったことをしっかり行う(道徳) ・身近なことなどについて、事柄の順序を考えながら話す(国語) - 31 - 「学ぶ力」~身近な環境に興味・関心をもち、考え、さまざまな方法で表現しようとする力~ 【実践事例9】 活動名 10 月 “わくわく体操”(ロケット発射ポーズ) ねらい (めざす姿) 友だちとさまざまな体の動きを楽しみ、自分なりの目標をもって意欲的に取り組もうと する。 活動の経過 毎朝、4,5歳児交流で取り組んでいる“わくわく体操”の中で、子どもたち一人一人が 自分なりにさまざまな体の動きを楽しんでいる。一つ一つの動きを互いに見せ合ったり、 確かめ合ったりしながら、一人一人の動く意欲と動きの獲得につなげてきた。一方、外 遊びでは、平均台、登り棒、太鼓橋、跳び箱、鉄棒、巧技台など、さまざまな遊具や用 具で遊ぶ経験から、体を動かして遊ぶ楽しさを味わうと共に、自分なりの目標や課題、 考えをもって遊ぶ姿が見られるようになってきている。 <活動の内容> ○環境構成 ◎子どもの姿 ▲保育者の援助 子どものつぶやき ○毎朝の“わくわく体操”をした後に、子ども同士が見せ合える場を設ける。 ▲“わくわく体操”のロケット発射ポーズを取り上げ、力を入れる部位や姿勢、細かい形などについ て5歳児から引き出す。 ◎具体的に力を入れる体の部位や足の形などについて、言葉で伝えたり実際にポーズをとりやって見 せたりする。 こんな感じかな! ぼくたちもやっ てみよう! 足指に力を入 れるんだよ 背中はピンとね! かかとをくっつけ るのって難しいな 足を開くんだよ ◎他の子は、興味や関心をもって見たり、聞いたりしながら、自分たちも真似てやってみる。 ○互いのロケット発射ポーズを見せ合い、アドバイスや認め合えるかかわりを心がける。 ▲一人ひとりの動きや強くなってきた体を認め、外遊びの活動へ意欲が高まるようにする。 ◎外遊びの登り棒に友だちと挑戦し、満足感や達成感、次の目標をもって取り組む。 よし、登り棒 に挑戦だ! ロケット発射 ポーズみたい にしたら登れ るかも! やった!こ こまで登れ たよ! うまく登れないな 頑張って! 小学校へつなぐ視点 自分の体が動く喜びを感じ自信をつけ、自分なりの課題や目標を見つけて運動面のみならず、何事 にも意欲的に取り組もうとする力がついている。毎日継続した楽しく体を動かす経験により、体幹 やさまざまな運動能力が養われ、姿勢の保持や手先などの微細運動につながる。 小学校での学び ・簡単なきまりや活動を工夫して各種の運動を楽しくできるようにするとともに、その基本的な動 きを身に付け、体力を養う(体育) - 32 - 「わくわく体操」の取り組みについて 近年、姿勢保持の困難さ、手先の不器用さなど、子どもたちの動きの変化が気になります。生活様式 や生活環境の変化が、子どもたちの発育発達のみちすじに影響を与えているようです。人は誕生してか ら歩き出すまでの間に、さまざまな身体機能を順に獲得していきます。ところが、上記のように環境の 変化によって、その順番をとばして歩き出してしまう子が増えているそうです。そのことが、子どもた ちが成長する過程の中で、少なからず、影響を及ぼしているようです。 そこで、誕生から 2 足歩行に移るまでのさまざまな動きである寝返りや腹這い、ハイハイや高這いな ど、子どもたちに経験しておいてほしい基本的な体の動きを、子どもの生活の中で触れ合い、興味を持 っている虫や動物になぞらえ、「わくわく体操」として組み立てました。“さんぽ”をメインテーマに、 ストーリー仕立てに仕上げた運動です。心地よい音楽に合わせてそれぞれにイメージを広げ、思いきり、 しかも楽しく体を動かす運動は、子どもたちにとって、とても魅力的な活動です。毎朝、友だちといっ しょに、楽しく体を動かすことで体幹を育て直し、鍛えることができます。朝一番に取り組むことで、 脳の活性化にも好影響を及ぼします。成長発達の段階を踏む中で捨てていく動きを呼び起こし、長い人 生を生きていくためのしっかりとした体づくりをめざして取り組んでいます。 『わくわく体操』の基本的な動きと発育発達につながるポイント 体操の 体操の名称と 名称と写真 動き(動作の 動作の解説) 解説) 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント 動きをみる視点 きをみる視点 歩く ・膝を上げて歩く。 ・スクランブル交差点のように身を 歩く ・目線を上にして歩くこと で、姿勢が保たれる。 かわしながら楽しく歩く。 ・左右にフラフラしている子、かか とを常に上げて歩いている子など は、体の未発達が考えられる。 ・O脚…立つ方に体が倒れる。手の 横振りがみられる。 ・X脚…体をねじって歩く ・平均的に3歳児まではO脚傾向、 6歳児まではX脚傾向にあるの で、歩き方を注意するのではなく、 成長の指標として活用するのが望 ましい。 - 33 - 体操の 体操の名称と 名称と写真 動き(動作の 動作の解説) 解説) 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント 動きをみる視点 きをみる視点 寝返り 寝返り ・手足を伸ばしてお腹をつ ・手から回っている子は、足から回 けてゆっくり回る。 (ウル れるように誘導する。 トラマンポーズ) (上半身が先で足がついてくる段階か ・縮む動きと真っすぐ伸び ら、先に足を使って回る段階へ) る動きを連動させる。 ・うまく回れない子には、体をグー ・左右に行ったり来たりす (上向き時)パー(下向き時)と る。 (右にごろん、左にご 伸び縮みしながら回る動きをやっ ろん) てみる。 えんぴつころころ ・手と足を伸ばして転がる。 ・側面(わき腹)を使って回れてい (「まっすぐピーン」の声掛 け) るか見ていく。 ・唯一、体の横から(わき腹)の感 (手と足を床から浮かして 覚入力ができる動作である。 勢いよく転がる) ・止まったり、2,3 人つな がって回ったりする。 ・最初は手のひらを下にし 金魚( 金魚(オットセイの進化 オットセイの進化) 進化) ・手を動かして、足が動いていない て床につけ、上半身がブ 子は、 「足だよ」と声をかけ、まず レずにおへそから下を左 は足の動きができるようにする。 右に動かすように声をか 足の次は手も意識させる。 ける。 ・上半身、下半身の分離性が育つ。 ・次のステップとして、手 のひらを前で合わせて足 を左右に振る。 ↓ 足を動かしてもブレない上半身が 理想的である。 ・下半身の動きに対して、ブレない 上半身の安定性は視線がブレない この時に上半身が大きく ことにつながり、前方へ移動する。 ブレるようであれば、手 これ以降の運動発達のスムーズさ のひらを下にする動きに につながる。 変えて成長を見守る。 - 34 - 体操の 体操の名称と 名称と写真 動き(動作の 動作の解説) 解説) 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント きをみる視点 動きをみる 視点 ・床に手をつき、ひじを伸 ・肘で体を支える(on elbow)手(肘) かめ2( かめ2(エビ反 エビ反り) ばし、手とひじに体重を をしっかり伸ばして体を支える(on のせて上半身を反らす。 hands)になっているかが大事。 ・しっかり体が支えられるようにな ると、跳び箱や転んだ時に手がつ く動作につながる。 ・足裏と頭をつける(柔軟さを見る) ・手足を伸ばし、床から上 ・手は床につけて体を反らすところ げてエビ反りで伸びる。 から始め、出来るようになると手 ・初めは、足が曲がり肘が 床についているか、手が を床から上げる。 ・足は付け根から上げ、太ももが浮 曲がっているか。それが、 いている状態が良い。 (左右に揺れ 足が伸び、肘が伸びると ても良い) ・腹筋、背筋を使う動きである。特 良い。 に背筋力がないと、静止すること が難しい。 ・手で足首をもち背中を反 ・横や縦に揺れることで、背筋力が カメ1( カメ1(ゆりかご) ゆりかご) らせ、横や縦に揺れる。 つく。 (背筋力がついてくると、縦 揺れができるようになる) ・重たい足が持ち上げられているか どうかということも大切である。 ・胸郭の横への拡がりを促し、背骨 全体で伸展できる脊柱の柔軟性を 高めることにつながる。 ・手の平を胸の前で合わせ、 ・スクランブル交差点のように身を メダカ ひじを伸ばし、泳ぐよう かわしながら走る。 に走る。 (走る→かわす→方向転換) ・速く、遅く、さまざまな 方向に走る。 ・イメージをもって(お話をつくる 等)すると、より楽しく動くこと ができる。 ・手を前に出すことで視点が定まり、 ブレない体幹を育てる。 - 35 - 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント 体操の 体操の名称と 名称と写真 動き(動作の 動作の解説) 解説) 動きをみる視点 きをみる視点 ・肘をつき、足は動かさず ・手や肘を使って体をひっぱること 青虫( 青虫(ヤモリ) ヤモリ) (伸ばしたまま)腹這い になって進んでいく。 (手 はグーで進む) ができているかが大切。 ・足の動きが出ても構わない(クモ の動きにつながる)が、上にあげ たり、上げたまま揺れたりして前 に進まないのは理想的ではない。 ・前に進みにくい子は、金魚の動き も小さい子なので、金魚に戻って 足を動かす動作に取り組む。 クモ( クモ(スパイダーマン) スパイダーマン) ・片手ずつ前に出し、足も 引き寄せながら這う。 (右手と右足が縮んだ時に 左手、左足が伸びる) ・手足をしっかりと使いながら、横 腹の部分を伸ばしたり縮めたりし ながら、這って進む。 ・左右の股関節が均等に動いている か、体幹をくねらせているかを見 る。 トンボ ・両手を真横に広げて走る。 ・友だちをかわしながら、ぶつから ないように走る。 ・静止バランスができているか。 かかし停止 かかし停止 ・トンボの姿勢のまま、片 足をあげて静止する。 ・指先で地面をつかめているか、踏 ん張れているか。 ・止まる時、足の指先で床をつかむ ように止まっていれば褒める。 例:「その指最高だね」 ・止まることが大事ではなく、止ま ろうと足指を意識して力を入れて いることが大事。(褒める) - 36 - 体操の 体操の名称と 名称と写真 ワンワン( ワンワン(ハイハイ) ハイハイ) 動き(動作の 動作の解説) 解説) 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント きをみる視点 動きをみる 視点 ・膝の真上に腰がくるよう ・膝の上に腰がきて、膝が直角に曲 な姿勢でハイハイする。 がっていることを確かめ褒める。 ・手と足をしっかりと動か ・つま先をたてなくても良いが、し し、腕で体を支える。 っかりと足で蹴られる子は、立っ ているかもしれない。しかし、足 がハの字に開いている状態は良く ないので、垂直を意識させる。 ・手と足の使い方で発達段階が分か る。 (①手が先で右手右足、左手左 足と動く②手足が交互に動く) ・バックも取り入れても良い。 (できない子ははさみの使い方も不器 用) ワンワンダッシュ (スーパー赤 スーパー赤ちゃん) ちゃん) ・ワンワンの状態から、腰 を上げ、高這いになって勢 ・つま先でしっかりと地面を蹴るこ とができているか。 いよく前進する。 ぞう ・ひざ裏を伸ばした状態で 床に手をつき四つん這い で前進する。 ・床を蹴り上げた足の膝がしっかり 伸びているか。 (始めは膝がまがっていても良い が、手はしっかりと伸ばす) ・しっかりとしたつま先立ちを意識 する。 ・ひざ裏をしっかり伸ばす感覚を入 力することで、よい立位姿勢へと つながる。 - 37 - 体操の 体操の名称と 名称と写真 動き(動作の 動作の解説) 解説) <グーチーター> チーター ・手を前につき、足をつけ て蹴り、前へ進む。 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント きをみる視点 動きをみる 視点 ・ (パーチーターで)床についた手の 横にジャンプした後ろの足がきて いることが理想。できた時には「足 <パーチーター> が手のところまできたね」と認め ・手を前につき、足を開い る。 (体幹が曲がっていたり、前の て蹴り、前へ進む。 <グーパーチーター> めりになっていると、きちっと横 に足がこない。 ) ・足をグーパー交互にして 蹴り、前へ進む。 お座り ・足裏を合わせて、股関節 ・座骨の真上に頭がくることを意識 を広げて座る。この時、 すると背筋が伸びる。 (姿勢保持に 座骨を意識して座る。 つながる) ・左右に揺れる。 ・左右の他に前後にも揺れ、バラン スがとれるところが座骨。 だるま ・お座りのまま左右どちら かに倒れ、転がりながら ・体を丸め、伸びる力をつかって起 き上がる。 一周して起き上がる。 (手は床につかず、足を もったまま) ・手を広げてしゃがんだ姿 ・まずは、正しく蹲踞の姿勢ができ そんきょ アヒル 勢(蹲踞の姿勢)のまま 前進する。 ・つま先と膝の向きを合わ せて歩く。 ているか。 ・つま先が外を向き、膝が中を向い ている場合は、X脚の傾向がある。 ・つま先と膝が同じ方向を向いてい れば良いが、股関節を開く(足を 広げる)ことで、膝への負担が軽 くなる。 - 38 - 体操の 体操の名称と 名称と写真 動き(動作の 動作の解説) 解説) 発育発達につながるポイント 発育発達につながるポイント 動きをみる視点 きをみる視点 うさぎ ・手を伸ばし、膝を使い、 ・つま先で軽やかにジャンプできて つま先で床を蹴るように して軽やかに跳ぶ。 ・体の軸をしっかりとさせ いるか。(着地の音を聞く) ・着地よりも、蹴る方に意識を向け られるようにする。 て跳ぶ。 ロケットジャンプ ・かかとを合わせてしゃが ・かかとが離れている子は、足裏の そんきょ み、蹲踞の姿勢になる。 アーチが浅く(偏平足気味) 、母指 頭の上で手を合わせ、合 球にのれていない。しっかりと親 図で勢いよくジャンプす 指で支えられることが理想。 (なわ る。 とびやつま先シャンプをすると良 い) ロケットで走 ロケットで走る ・手を合わせて頭の上で伸 ばして走る。 ・ぶつからないように人をよけなが ら、さまざまな方向に走る。 ・走っていて止まった一歩先で片足 ロケットバランス ・ロケットの姿勢のまま、 片足を上げて静止する。 バランスができるのが理想。 (頭より前に足をつく) ・足でしっかりと踏ん張ってバラン スをとる。 ・両手を伸ばし、片足を後 ・かかとと指先が床についているか 飛行機 ろにあげてバランスをと る。 見る。 ・低空飛行や、左右に揺れる等、い ・足をまっすぐ、おへそが 下になるような姿勢にで きればなお良い。 ・足指が浮かないような足 のつき方をする。 - 39 - ろいろな動きをとり入れる。 ・前に倒れる子は、体幹が弱いこと が考えられる。