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高級スーパーの存在
だんでぃフジカワプレゼンツ ∼流通機能とスーパーの現状∼ 藤川 直樹 十六時間目:高級スーパーの存在 今回は高級スーパーについてです。ここまでイオンや西友といった EDLP、つまり常時低価格の実現を目標と して流通業界での勝ち残りを図る流れを発表してきましたが、今回は EDLP から対極となる高級スーパーにつ いての発表をしたいと思います。 まず高級スーパーとは何なのかというところを軽く説明します。高級スーパーとはその名の通り、普通のスー パーでは買えない高品質の食材を売るスーパーのことです。具体例をあげますと、紀伊国屋やクイーンズ伊勢 丹など、それとこの間行った六本木ヒルズにあるフードマガジンという西友のスーパーなどが上がります。高崎で 言うと、高崎駅東口にあるトミーや、観音山の方にあるマルシェなどがあたると思います。どの店舗も一歩入る だけで、普通のスーパーとは全く異なる雰囲気に気付くはずです。 1. 高級スーパーの方針 ① 百貨店と同等のグレード ・生産者表示の生鮮野菜 ・NB に頼らないレイアウト まずは百貨店、いわゆるデパ地下と同等のグレードで商品を提供することです。例えば青果で言えば、契約 農家の野菜が並び、製作者の氏名はもちろん住所までが載っています。魚は対面販売。そして普通のスーパ ーは NB を特売などすることによって客を集めますが、高級スーパーでは有名所の NB はほとんど見られません。 商品のほとんどは無添加・無着色のいわゆる高質商品や PB で固められています。 ② 本格的なデリカテッセン ・全てシェフ監督による手作り ・和洋中幅広い 次に本格的なデリカテッセンです。デリカテッセンとは簡単にいうと惣菜屋のことです。高級スーパーでは大 抵このデリカに力を入れていることが多いです。様々な料理が量り売りされ、作っているところはオープンキッチ ンにより見ることが出来ます。ここでは冷凍モノなどは使わず、シェフの監督のもと惣菜が作られます。 ③ 普通のスーパーでは買えない品揃え ・多数の輸入食品 ・少数のニーズに答える ⇒対価に見合った品揃え 品揃えも普通のスーパーでは売られていないものも多く並びます。たとえばアンティーブ、リーキ、レホール、 キンショーメロン、ハワイパパイヤなど、名前を聞いただけではわからない野菜や果物や、中華料理に使われる ジャンも普通の豆板醤以外にも数種類置かれています。チーズやワインといった輸入品もかなりの幅を取り、料 理好きや食べ物にこだわるヒトにはたまらないと思われます。 2. クイーンズ伊勢丹のマーケティング 《コンセプト》 「食をファッションとして追いかける」 『オンリーワン』のスーパーマーケット クイーンズ伊勢丹はその名の通り、伊勢丹の伊勢丹百貨店の系列スーパーです。昔はいたって普通のスー パーでしたが、1996年に百貨店から田村社長がクイーンズ伊勢丹に出向してから急変貌を遂げました。既存 店舗の前面改装、取扱商品の大幅入れ替え、店舗雰囲気も伊勢丹らしく「食をファッションとして追いかける」 をコンセプトに、社員の制服や、ロゴマーク、ストアカラーまで改革を進めました。結果、全店舗が125%から15 0%の驚異的に成長を遂げました。 もう一つのコンセプトは「オンリーワンのスーパーマーケット」です。これは後でふれる PB 戦略にも関連するの ですが、普通のスーパーでいう『今日はアレが安いからここのスーパーにしよう』ではなく、『アレはクイーンズ伊 勢丹しかないからココにしよう』というスーパーです。 《ターゲット》 都市生活者、一般より少し上の層 《製品開発》 NB より安い PB ではなく、独自性を持った高質の PB 《ローコストオペレーション》 後方部門の標準化、システム化 ターゲットは都市生活者や、一般家庭より少しお金がある層です。田村社長は都市生活者のニーズは「高 品質で安心安全、価格も値ごろ」だと考えています。このニーズに合わせ、外部はもちろん、内部開発の PB は、 一般の NB に比べて高めに設定されているものの、その品質は保証されています。高級スーパーは一つ一つが 手作りのためテェーン化しづらいのですが、クイーンズ伊勢丹は後方部門の標準化やシステム化を進めること によって、チェーンストアとしての企業力を得ました。