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勘定って何?
簿記 テレビ学習メモ 第4回 簿記の基礎 勘定って何? 講師 〜取引と勘定〜 粕谷和生 世間一般でいう取引と簿記でいう取引とは、少しち がいます。まず「簿記上の取引」とはどういうものか を学びましょう。次に、資産・負債・資本の増減や収 益・費用の発生を記録する項目である「勘定」につい て学びます。さらに勘定記入の方法と取引の分解につ いては、例題を解きながら学習しましょう。繰り返し 復習することもたいせつです。 調べておこう・覚えておこう 現金/借入金/給料/建物/ 備品/商品/商品売買益 簿記でいう取引とは 簿記でいう取引とは「資産・負債・資本を増減させたり、収益・費用を発生させたりすることが ら」のことです。次の 3 つのケースはそれぞれ、簿記上の取引に当たるものでしょうか? 考え てみましょう。 ①現金¥50,000 を銀行から借り入れた。 ② 1 か月¥200,000 の給料で従業員を雇い入れる契約をした。 ▼ ③火災によって建物に¥800,000 の損害が生じた。 簿記上の取引に当たるかどうかを判断するポイントは、資産・負債・資本が増減しているか、収 益・費用が発生しているかどうかです。 上記①は、現金という資産が¥50,000 増加し、借入金という負債も¥50,000 増加しています。 よって、簿記上の取引です。②は単に契約をしただけで、何も増減していませんし、何も発生して いません。よって、簿記上の取引ではありません。③は一般には取引といいませんが、建物に損害 が生じ、建物という資産が¥800,000 減少していますから、簿記上の取引にあたります。 ポイント 取引があると→資産・負債・資本の増減 収益・費用の発生 勘定はTのカタチ 次に勘定・勘定科目・勘定口座という 3 つの専門用語、さらに勘定記入の方法を学びます。内 容は専門的になりますが、番組ではやさしく具体的に解説しますので、無理なく学習できます。ま ず、勘定・勘定口座・勘定科目の意味を整理しておきましょう。 (1)勘定・勘定口座・勘定科目 勘 定:取引によって生じる資産・負債・資本の増減や収益・費用の発生を記録・計算す るために細分した項目のこと。 勘定科目:勘定につけた名前(項目名)のこと。 勘定口座:勘定ごとの増減額や発生額を記入できるように設けた帳簿上の場所のこと。 − 10 − 高校講座・学習メモ 簿記 4 勘定って何? 〜取引と勘定〜 勘定は抽象的な概念であり、勘定口座は具体的な概念です。簿記学習の初期段階では、両者を厳 密に区別する必要はありません。 わたび〜とさかっちがテンポよく解説しますので、その流れに乗って学んでいきましょう。また、 「借方」が左側を意味し、「貸方」が右側を意味することも覚えておきましょう。わたび〜が番組 の中で借方・貸方の覚え方を伝授します。 Key Word:勘定・勘定科目・勘定口座・借方・貸方 ポイント 記録・計算するための項目が勘定。勘定につけた名前が勘定科目。 勘定をTの形にして金額を記入できるようにした場所が勘定口座。 勘定口座 (借方) 現 金 ← 勘定科目 (貸方) なお番組では、実務で使用される勘定口座を略式にしたT字形の勘定口座を使っています。これ はT字形の勘定口座が簿記の学習に最も適した形だからです。 ▼ (2)勘定記入の方法 勘定の記入方法とは、各勘定における増加(発生)額または減少額を勘定口座の借方・貸方のど ちら側に記入するのかということです。下図のとおりまとめておきますので、番組視聴前に確認し ておきましょう。解説や覚え方のコツなどは番組のなかで紹介します。 資産の勘定 増加額 負債の勘定 減少額 減少額 資本の勘定 増加額 減少額 増加額 費用の勘定 収益の勘定 発生額 発生額 ポイント 増加(発生)額を借方・貸方のどちら側に記入するのかを覚えよう。 資産の増加額 → 借方 負債の増加額 → 貸方 資本の増加額 → 貸方 収益の発生額 → 貸方 費用の発生額 → 借方 取引を分解して勘定口座に記入 勘定口座には、増加(発生)額または減少額を記入しますから、まず、何勘定が増減したのかを つかみましょう。そしてその増減した金額はいくらなのかを確定します。初めのうちは、少し迷う かもしれません。しかし、「取引の分解」をするとこれらのことが、はっきり見えてきますので、 取引の分解をマスターすることはたいせつです。 − 11 − 高校講座・学習メモ 簿記 4 勘定って何? 〜取引と勘定〜 【例題】 次の取引を分解し、勘定記入の方法にしたがって、勘定口座に記入しなさい。 ①備品¥250,000 を買い入れ、代金は現金で支払った。 備 品 現 金 ②商品¥200,000(仕入価額¥160,000)を売り渡し、代金は現金で受け取った。 現 金 商 品 商品売買益 【解答】 ①分解:備品(資産)¥250,000の増加 ⇔ 現金(資産)¥250,000の減少 備 品 現 金 250,000 250,000 ▼ ※資産の勘定の増加は借方に記入 ※資産の勘定の減少は貸方に記入 ②分解:現金(資産)¥200,000の増加 ⇔ 商品(資産)¥160,000の減少 商品売買益(収益)¥40,000 の発生 現 金 商 品 200,000 160,000 ※資産の勘定の増加は借方に、減少は貸方に記入。 商品売買益 40,000 ※収益の発生は貸方に記入 分解のコツ:増減したことが、すぐにわかるものから分解する。たとえば、現金など。 − 12 − 高校講座・学習メモ