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-歴史と自然と生活文化が織りなす緑の古都 奈良-
第Ⅱ章 全体構想 3.3.公園・緑地の方針 1)総合的な緑のネットワークの形成 平成 23 年に策定された「奈良市緑の基本計画」に基づき、レクリエーション機能や都市環境維 持・改善機能、景観形成機能、防災機能など、緑が有する多様な機能に配慮しつつ、総合的な緑 のネットワークの観点から効果的な公園・緑地の整備に努めます。また、老朽施設の改修や多様 なニーズに応じた整備、地域住民との協働による整備・改修などにより、利用満足度の高い公園・ 緑地を創出します。 ①緑の基本理念 -歴史と自然と生活文化が織りなす緑の古都 奈良- ○悠久の歴史に培われた 風格のある緑を守る 長い歴史の中で培われてきた古都奈良の緑を、風格のある歴史・文化的財産として、大切に守 り育みます。 ○人と自然のかかわりを礎に 緑の文化を未来につなぐ 古くから人びとの生活を守り豊かにしてきた自然とのかかわりを大切にし、人びとの創意を集 めて、新しい時代に引き継ぐ緑の文化を育みます。 ○森林、田園、まちの緑をささえる 人の“わ”を育む 奈良の多様な緑を知り、学び、楽しみ、緑を通して人のつながりを育み、緑をささえる仕組み をつくります。 ②緑の将来像 【奈良盆地地域】 市街地の三方を取り巻く大和青垣を古都奈良の歴史的風土の骨格として、また、市街地の借景 となる緑として、保全・継承します。 加えて、旧市街地南部に広がる農地を、平城京の条坊や条里制の跡を今に残す貴重な歴史的風 土として位置付け保全することで、全体として市街地を取り囲む環状の緑を構成します。 市街地では、世界遺産や大規模公園(奈良公園)を緑の拠点として、また、社寺林、小規模な 公園や広場を核に、河川や道路で緑のネットワークを形成し、点~線~面と広がりのある緑豊か な街並みを形成します。 【大和高原地域】 高原の自然条件を活かした農林業の活性化により、その基盤となる農地や山林等の緑を維持管 理し、美しい里山の景観を継承します。 山里や河川の緑は、ホタルが舞い飛ぶ自然環境を育むとともに、都市住民と自然とのふれあい の場となります。また、地域の自然や歴史的資源からなる場のネットワーク化を図り、大和高原 地域の自然や歴史を巡り、楽しむ環境を提供します。 50 第Ⅱ章 全体構想 【西部丘陵地地域】 大和青垣の魅力的な自然景観を享受する矢田丘陵や西ノ京丘陵、河川やため池などの骨格的な 緑を維持します。 公園や教育・文化施設等の緑を地域の緑の核として保全し、河川や道路などが緑の軸として核 を結び、さらに住宅地の新たな緑を創出することで、全体として自然と共生する緑豊かな住宅市 街地を形成します。 ■緑の将来像図(緑の基本計画より) ■市街地における緑のネットワークの概念図(緑の基本計画より) 51 第Ⅱ章 全体構想 ③緑地の配置方針 本市の緑の特徴である骨格を構成する大和青垣の丘陵や農地、ため池等の緑を保全するととも に、緑の少ない市街地に地域の拠点となる公園緑地等を整備し、良質な緑の基盤の充実を図り、 奈良に住み続けたいと実感できる緑を配置します。 さらに、歩いて豊かな緑を実感できるよう、街路、河川や旧街道等を活用した緑のネットワー クの形成に努めます。また、緑のネットワークは、地域に根ざした防災資源として、地域防災力 の向上にも寄与します。 【都市公園等】 ・社会情勢の変化や財政状況等を踏まえ、本市の緑の現状や課題に対処すべく、効果的かつ計画 的な整備を推進するとともに、必要に応じ防災機能(施設)の整備を図ります。 【公共施設緑地等】 ・歴史的風土として西の大和青垣を構成する矢田丘陵において、緑の保全・活用の拠点となる里 山型の緑地の配置を図ります。 ・平城京域、社寺境内地跡、古墳等の遺跡のうち、史跡に指定され保存管理計画がまとまったも のについては、緑の歴史・文化拠点となる史跡公園等の整備を検討します。 ・平城宮跡から南に延びる朱雀大路跡(国営公園である史跡区域を除く)については、緑地とし ての確保を検討します。 【公共公益施設等の緑化】 ・美術館、教育施設等の公共公益施設は、その立地に応じた緑化を進めることにより、緑豊かな 景観形成を図ります。 ・学校等の公共公益施設の外周植栽では、延焼遮断帯としての機能の維持・向上に配慮します。 ・街路樹は、テーマ性、統一性をもたせるとともに、道路のもつ機能により、防火性の高い樹種 を選定し、市街地景観・防災機能の向上を図るとともに、樹種にあった剪定を行うなど適切な 管理に努めます。 ・児童遊園、ちびっ子広場については、地権者との調整のもと、機動的な確保に努めます。 【緑地保全地域及び特別緑地保全地区】 ・緑の山並みを構成する一帯を緑地保全地域として指定するとともに、その枢要な緑地について は、特別緑地保全地区の指定を行います。 【風致地区】 ・既存の指定区域の範囲を維持し、それぞれの自然的特性や歴史・文化的特性を勘案した保全方 針のもとに規制・誘導を図ります。 【歴史的風土保存区域、歴史的風土特別保存地区】 ・各地区の自然的特性や歴史・文化的特性に配慮し、適切な保存と規制に重点をおきます。 52