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4) 居住地整備方針 - 稲美町ホームページ
4) 居住地整備方針 (1) 市街地ゾーン かつての集落が、市街化区域内に組み込まれたところでは、特徴ある街なみを活かしつ つ も、一部に残る狭あい道路については建築物の建替え等にあわせた幅員の拡張を図る。既成 市街地の改善については、特に地域住民からの発意が重要であり、地区住民の意向等を大切 にしながら、行政と住民とが一体となってまちづくりに取り組んでいく。 土地区画整理事業の進行している地区においては、都市基盤施設の整備と同時に住宅等の 建築物の適切な誘導を図り、良質な住宅市街地の形成をめざす。これらの地区においては、 都市計画道路等の整備によって利便性も増大することから、引き続き住宅戸数の増加が見 込まれるが、市場原理に任せた開発のみでは必ずしも良質な市街地が形成されるとは限らな い。近年建設された戸建て住宅は敷地規模の小さなものが多く、植栽や駐車のためのスペー スが十分に確保されていない場合も見受けられる。町外からの流入人口の定着を図るために は、稲美町ならではの質の高い居住環境を提供することが必要であり、地区計画や建築協定 等の導入も視野に入れて、優れた環境創造のための取り組みを総合的に推進することが求め られる。 新たな住宅ゾーンにおいても、土地区画整理事業等の面的整備により計画的な基盤施設の 確保を図る。また、優良田園住宅の基準の適用を含め、住宅等の建築物の適切な誘導により、 緑豊かで快適な低層住宅市街地の形成をめざす。 宅地規模に関しては、「稲美町開発指導要綱 ( 平成 16 年 4 月 )」により、住宅の用に供す る開発事業における一戸当たりの宅地面積は 100 ㎡以上とし、宅地の平均面積は第 1 種低層 住居専用地域及び第 2 種低層住居専用地域にあっては 130 ㎡以上とすることが定められてい る。( ただし、中高層建築物及び計画戸数が 50 戸を超える共同住宅建築事業を除く。) とこ ろが、稲美町における自動車保有の現状を勘案すれば、これらの数値は、良好な住宅地にお ける戸建て住宅の最低敷地規模としては、決して十分な大きさではない。表Ⅱ -37 に示すよ うに、平成 19 年 4 月現在において、バスと特殊自動車を除く自動車及び軽自動車の所有台数 の合計は 26,285 台で、これを平成 19 年 4 月現在における稲美町の総世帯数 11,128で除する と、1 世帯当たり約 2.4 台の自動車または軽自動車が保有されていることになる。このよう なデータからも、公共交通機関の整備が十分ではない稲美町においては、1 住戸につき 2 台 の駐車スペースを確保することは必須であると考えられる。 表Ⅱ -37 稲美町における自動車等の所有状況 税務課「兵庫県自動車台数調べ」 -117Ⅱ . 全体構想 / 4. 都市整備方針 / 4) 居住地整備方針 一方で、良好な住宅地の形成のためには、駐車スペースの広さ以上の緑地が確保されるこ とが望ましい。また、建物の外壁は隣地境界から一定の距離以上後退する必要がある。これ らの空地を十分に確保するためには、比較的小規模な住宅である延べ床面積が 90 ㎡〜 110 ㎡ 程度の住宅でも 140 ㎡〜 160 ㎡程度以上の敷地面積が必要である。したがって、稲美町にお ける今後の宅地整備においては、このような実情を勘案して、戸建て住宅の敷地規模につい ても適切なものとするための取り組みを推進する。 図Ⅱ -69 車2台の駐車スペース及び駐車スペースの広さ以上の緑地を確保できる戸建て住宅のイメージ 敷地面積 165 ㎡、延床面積 110 ㎡(4LDK 程度)の場合 緑による良好な街なみの形成 車2台を駐車可能 -118- (2) 田園ゾーン 平成 13 年の都市計画法改正を受けて、兵庫県では平成 14 年に都市計画法施行条例が施行され、 特別指定区域制度が創設された。このことにより、全体構想の中で田園集落区域として指定した区 域内では、集落 ( 自治会の区域 ) ごとの土地利用計画を作成して特別指定区域を設けることで、市 街化調整区域内にある田園集落においても、指定条件を満たす建物を建築して、積極的にまちづく りを推進することが可能となった。このような法制度面における環境の変化を踏まえて、田園集落 区域においては、集落ごとの土地利用計画の策定を推進し、優れた田園環境と集落ごとの個性を尊 重した、次世代のための魅力的な居住空間の創造をめざす。 市街化調整区域内の既存集落では、一世帯当たり人員の減少傾向にともない、新たな住宅の建設 を可能にしない限り、人口が減少することにより集落の活力が低下することが懸念される。そこで、 集落の人口からみて大きすぎない区域を地縁者の住宅区域に指定し、いわゆる分家住宅等のための 敷地を同じ集落内に求めることを可能にする。さらに、人口の減少に対策が必要な集落については、 新規居住者のための住宅区域を指定して、田園集落での生活に魅力を感じる地縁者以外の人を新た な居住者として迎え入れる可能性についても検討する。 田園集落は、自然環境に恵まれた住宅地としてだけでなく、そこが農業を中心とした様々な活動 拠点としても機能することによって、活力ある地域コミュニティの場となり、楽しく安心して住む ことのできる生活空間となると考えられる。そこで、集落内で既存の公共施設や小規模店舗等が存 在する場所の周辺については、地縁者の小規模事業所区域や既存事業所の拡張区域等に指定し、そ れらが面する生活道路等を歩車共存の「くらしのみち」として再整備することにより、集落で生活 する人々の日常的な交流の場の育成を支援する。また、田園集落は、田園ゾーンにおける景観形成 の主要素であることを踏まえ、新しく建設される住宅等については、外観上も地域の景観特性と調 和した優れたものとなるよう、地域住民の参画のもと、地区計画や建築協定を含め、良好な居住環 境や景観の誘導方策を検討していく。一部に残る狭あい道路については、稲美町の道路体系上必要 なものについては幅員の拡張を図り、一方では安全で魅力的な自転車歩行者道としての活用も検討 する。 集落ごとの土地利用計画は、全体構想における土地利用方針に沿って作成されるが、集落内にお ける特別指定区域の範囲設定や、集落周辺の里山、河川、水路、鎮守の森及びため池周辺の自然等 を保全区域に指定することなどは、地域住民の合意があって、はじめて可能になる。そのためにも、 地域コミュニティが健全に維持されつつ、地域住民が積極的に自分たちの集落のまちづくりに参加 することが求められる。 -119Ⅱ . 全体構想 / 4. 都市整備方針 / 4) 居住地整備方針 図Ⅱ -70 既定の土地利用方針の例 田園集落区域 農業区域 水辺区域 樹林 公民館 ふれあい広場 神社 図Ⅱ -71 集落土地利用計画の例 既存事業所の拡張区域 地縁者の住宅区域 新規居住者の住宅区域 保全区域 自転車歩行者道の整備対象道路 樹林 公民館 ふれあい広場 神社 -120- 図Ⅱ -72 特別指定区域の指定イメージ 図Ⅱ -73 集落の将来イメージ -121Ⅱ . 全体構想 / 4. 都市整備方針 / 4) 居住地整備方針 (3) 住民主体による居住環境整備の推進 田園集落ゾーン、市街地ゾーンのいずれにおいても、これからの地域のまちづくりにおい ては住民の参加が欠かせない。集落ごとの土地利用計画の策定や、優れた市街地形成のため の協定の締結などには、地域住民の主体的な参加が不可欠である。さらに、自治体の限られ た財源を有効に活用するには、自治会や地域の様々な活動団体が、公益的事業の実現におい て、行政と協働しつつ一定の役割を果たすことが求められる。 また、稲美町を個性と魅力にあふれる田園居住都市とするには、地域のコミュニティが、 それぞれの場所の特性に応じたまちづくりの方策を提案し、住民と行政とが一体となって、 個々の場所の特性に応じた施策を推進していく必要がある。地形、植生及び水環境といった 自然要素と農地、集落、市街地及び道路といった人為的要素、そして地域の暮らしと結びつ いた年中行事やコミュニティ活動のあり方は、町内の個々の場所によって様々に異なっており、 それらの優れた点や改善すべき点を最もよく分かっているのは、その地域に住む人々である。 地域住民自らが積極的にまちづくりに関与することこそが、稲美町を誰もが誇りに思える、 多様な魅力と活力にあふれた町にすることにつながると考えられる。 -122-