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高解像度の衛星画像・衛星写真を用いた環境変化の

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高解像度の衛星画像・衛星写真を用いた環境変化の
Nara Women's University Digital Information Repository
Title
[高解像度の衛星画像・衛星写真を用いた環境変化の解析 研究成果
報告書 概要]
Author(s)
相馬, 秀廣
Citation
高解像度の衛星画像・衛星写真を用いた環境変化の解析, pp.1-7
Issue Date
2002-03
Description
URL
http://hdl.handle.net/10935/966
Textversion
publisher
This document is downloaded at: 2017-03-29T21:53:19Z
http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace
平成11−13年度 科学研究費補助金・基盤研究(B)(2)研究成果報告書
研究課題
高解像度の衛星画像・衛星写真を用いた環境変化の解析
11480017
課題番号
研究組織
研究代表者
相馬 秀廣(奈良女子大学・文学部・教授)
研究分担者
戸祭由美夫(奈良女子大学・文学部・教授)
出田 和久(奈良女子大学・文学部・教授)
野間 晴雄(奈良女子大学・文学部・教授)
高田 将志(奈良女子大学・文学部・助教授)
秋津 元輝(奈良女子大学・文学部・助教授)
小方
登(平成11,12年度は奈良女子大学・文学部・助教授)
平成13年度は京都大学大学院・人間・環境学研究科助教授)
山門久美子(防衛大学・人文科学教室・講師
平成12年度は事1青により休職,13年度から復活)
研究協力者小堀巌(国連大学・顧問)
松田真一
何
頴
(奈良県立橿原考古学研究所・主任研究員)
(白鳳女子短期大学・講師)
宮崎良美
(奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程3回生)
安田 順恵(奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程2回生)
渡辺三津子(奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程2回生)
田
然
伊藤順子
(奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程2回生)
(奈良女子大学文学部国際社会文化学科地域環境学講座
平成12年3月卒業)
研究経費
平成11年度
平成12年度
平成13年度
計
2,900千円
2,200千円
1,900千円
7,000千円
(1)
研究成果発表
[学会口頭発表等]
・CORONA衛星写真から見たトルファン盆地のカレーズ
相馬秀廣・高田将志・池上三芳里・篠原美佳・三谷涼恵
(第10回日本沙漠学会学術大会,高知工科大学,1999年5月)
・シルクロード今昔一中央アジアを例として一
相馬二二
平成11年度奈良女子大学文学部公開講座『ひとあじ違う海外へのまなざし』,
奈良女子大学,平成11年10月)
・衛星写真でみるシリアの都市遺跡
小方 登
(1999年度人文地理学会大会,奈良大学,1999年11月)
・Corona衛星写真からみたカレーズの分類とその意義
相馬秀廣・高田将志・小堀巌・何頴・渡辺三津子
(1999年度人文地理学会大会,奈良大学,1999年11月)
・CORONA衛星写真からみたトルファン盆地におけるカレーズと遺跡
相馬秀廣・松田真一・渡辺三津子
(第11回日本沙漠学会学術大会,東京農業大学,2000年5月)
・トルファン盆地の遺跡の立地条件一CORONA衛星写真の判読を中心として一
相馬二二
(シルクロード学研究発表会 「トルファン地域と出土絹織物の総合的研究」,
奈良女子大学,2000年2月)
CORONA衛星写真からみた楼蘭遺跡群
相馬秀廣・安田順恵・田 然・渡辺三津子
(第12回日本沙漠学会学術大会,千葉工業大学,2001年5月)
・箱館奉行所一その跡地利用の変化と歴史的文化遺産としての意義
戸祭由美夫
(第44回歴史地理学会大会,道都大学紋別キャンパス,2001年7月)
・堆積と侵食一ベンガルデルタのチョールをめぐる開発と農民一
野間晴雄
(第44回歴史地理学会大会,道都大学紋別キャンパス,2001年7月)
内陸中央アジアの環境変化
相馬二二
(公開セミナー:人文地理学のフロンティア,人文地理学会主催,エル・おおさか,
2001年12月)
・中央アジアのシルクロード地帯の自然環境と遺跡・オアシスーCorona衛星写真の解析
を中心として一
相馬秀廣
(東京大学空間情報科学研究センター講演会:海外地学野外調査とGIS/リモートセンシ
(2)
ング,東京大学,2002年2月)
・中国タリム盆地南東部,米蘭付近における遺跡とオアシスの立地環境一一 Corona衛星
写真の判読を中心として一
相馬秀廣
(日本地理学会2002年度春季学術大会,日本大学,シンポジウム1「タクラマカン
沙漠およびその近傍における環境変化と人間活動」,2002年3月)
・チベット高原プマユムッオ湖周辺における地形と第四紀後期の古環境
高田将志・朱 立平
(日本地理学会2002年度春季学術大会,日本大学,2002年3月)
[国際シンポジウム発表1
・Corona衛星写真からみたトルファン盆地および周辺の遺跡と立地環境
相馬秀廣
(早稲田大学125周年記念シルクロード国際シンポジウムー甦るシルクロードー
早稲田大学,2001年11月)
[招待講演]
・星からみたシルクロード
相馬秀廣
(日本リモートセンシング学会第29回秋季学術講演会,奈良女子大学,
2000年11月)
[学会誌等]
トルファン盆地の遺跡の立地条件一CORONA衛星写真の判読を中心として一
相馬秀廣
(シルクロード学研究,V.8,37−78頁,2000年)
・バングラデシュの農村開発とデルタ社会
野間晴雄
(橋本征治編『人文地理学の広場』,大明堂,100−104頁,2001年)
・箱館奉行所方形囲郭に関する近代以降の跡地利用
戸祭由美夫
(歴史地理学,44−1,60−72頁,2002年)
・内陸中央アジアの環境変化一トルファン盆地のカレーズを中心として一
相馬丁子
(人文地理,54−1,78−82頁,2002年)
[ホームページへの掲載]
・三吟LE遺跡のCORONA衛星写真実体視画像
相馬秀廣
(奈良女子大学文学部国際文化学科地域環境学講座ホームページ
(3)
・楼蘭LE遺跡のCORONA衛星写真実体視画像
相馬秀廣
(奈良女子大学文学部国際文化学科地域環境学講座ホームページ
ht tp://www. nara−wn. ac. j p/bungaku/sges/sges/f i e l dO/020photo. htm
平成11年7月)
(4)
総括
最大で地上解像度2−3mとされるCorona衛星写真に関する情報を,本研究のメンバー
へ最初にもたらしたのはメンバーの一人,小方である.試験的にCorona衛星写真を利用
してみると,いわば空中写真とほぼ同様の使い勝手であることが判明した.その成果を,
小方・高田・相馬の三名で1998年日本地理学会春季学術大会ポスターセッションにて発
表した(発表要旨は,本報告書143−144頁).その時のことは今でも鮮明に記億に残って
いる.ポスターを張り出すのほぼ同時に見学者が訪れ,その後見学者は途切れることなく
夕:方まで続き,三名とも結局昼食の時間すら確保することができなかった.その時受けた
Corona衛星写真への関心の高さが本研究の申請へと発展した.
また,奈良女子大学文学部地理学教室は,これまで武久教授(現,奈良女子大学名誉教
授)を中心に,人文地理分野と自然地理分野の研究者が協力し,昭和62(1987)年以来
数次にわたり空中写真(一部に衛星画像を含む)を利用した景観復元などをテーマとして,
科学研究費の補助を受けてきた.本研究は,その一環をなすものでもある.
このような背景のもと,本研究は,Corona衛星写真を中心に,撮影年次の異なる高解
像度の衛星画像,空中写真を用いて,様々な地域・環境を対象とした景観復元と環境変化
の解析を行い,併せてその有効性を明らかにすることを目的とした.
その結果,Corona衛星写真の解析を中心に,地上解像度約30mのLANDSAT TM画像,
同じく10mのSPOT画像,さらには,大縮尺空中写真などを用いて,以下のような具体
的な成果が得られた.
相馬は,トルファン盆地を対象として,1)石器時代・春秋一門代・唐代(南北朝一宋代)
の各遺跡位置をLAND SAT TM画像およびCorona衛星写真のモザイク画像上で重ね合わ
せ,カレーズに依存するオアシスを除くと,人々は春秋一門代頃にはほぼ現在のオアシス
域に進出していたこと,2)Corona衛星写真の各種判読により,主要な故城遺跡の立地環
境が相違することおよび故城内外の詳細な遺跡分布などを明示し,併せて同じ故城遺跡で
も複数の活用時期が想定されること,3)Corona衛星写真で個々のカレーズシャフト(縦
穴)が識別できることから,カレーズの分布形状・規模・立地条件などを分類し,併せて
盆地へのカレーズ導入が15世紀頃のトルファンオアシスの盆地主二化に密接に関連する
こと,さらに新中国成立以降における水利用の変容・地下水位の低下に対応するカレーズ
の変容・地下水対策,などを明らかにした.また,中国長江中流域の洞庭湖における近年
の湖面の減少について,1960年代のCorona衛星写真および1970年代と1999年の
LAND SAT画像を比較し,それまでの洞庭湖へ注ぐ長江分流沿いを中心とした干拓・耕地
化が,新中国成立以降は湖面の干拓・耕地化へ変質したこと,後者の干拓は1950年代お
よび60年代にかけて積極的に推進され,1970年代にはかなり減少したことなどを明らか
にした.
三尉は,渤海国の主要道である五道の体系および日本道の範囲と経路について,先行研
究を整理するともに,渤海時代の遺跡である東京竜子府(八連城),薩其城,野里赫部城,
石頭河子古城,クラスキノ城周辺についてCorona衛星写真を用いた判読を行い,論考を
加えた.その結果,五道を「日本道」に関する具体的な交通路像の一端を明らかにした。
(5)
出田は,パキスタンのタキシラ地域のビール・マウンド,シルカップ,シルスフの各都
市遺跡および周辺の仏教遺跡について,かつて実施した現地調査の結果などを踏まえて,
実体視画像を含めたCorona衛星写真の高解像度デジタル化画像の判読により,周壁や稜
墨,さらには道路遺構などについて詳細な内容を報告した.
高田は,チベット高原南部のプマユムツオ湖周辺およびブータン西部の山岳地域を対象
として,1960年代のCorona衛星写真を購入し,1980 1990年代に撮影された衛星画像と
の比較,および現地調査の成果など踏まえて、氷河変動と環境変動に関わる解析を行った.
その結果,近年の温暖化に伴う氷河の後退と氷河湖の形成過程や、最終氷期以降の環境変
化の一端を明らかにした。
戸祭は,19世紀後半に北海道南端部に新営された江戸幕府の箱館奉行所の跡地利用につ
いて,建設当時の様子を示す古地図,昭和23(1948)年撮影の米軍モノクロ写真,平成!0
(1998)年撮影のカラー空中写真の判読を通して,具体的な変化を詳細に示した.
秋津は,岐阜県上矢作町における林野状況の経年変化を,集落単位を越えたややマクロ
な範囲について,1/5万地形図(明治24−44年(1891−1911年)),米軍空中写真(昭和
22(!947)年撮影),国土地理院撮影の二時期の空中写真(1968−!975年,1996−1998年)の
判読を通して明らかにし,併せて,(元)村直営林における林野状態の違いにより,その利
用が植林地から天然林の残存地へと拡大していることを示唆した.
小方は,メソポタミアの都城遺跡(アッシリア帝国の都であったホルサバード,ニネヴ
ェ,ニムルド,アッシュール,およびバビロン,セレウキア・ティグリス)の立地とプラ
ンについて,古い文献を引用しつつ,Corona衛星写真の詳細な判読を利用して古代の情
景の再現に努めた.
野間は,ベンガルデルタの河川起源のチョール(ベンガル語・ヒンディー語で広義の砂
州を意味し,堆積と侵食が同じ並行的に生起する)について,衰退デルタにみられるマン
グローブと堆積デルタにみられる水田を,Corona衛星写真で示し,併せて,開発をめぐ
る地域ポリティックスを紹介した.
以上の成果は,近年の新しい高解像度衛星画像データと1960年代に撮影されたCorona
衛星写真を利用することで,従来の衛星画像解析と較べ,より長期間にわたる具体的地域
の環境変化の実態に迫ることが可能であることを示し,併せて,本研究の着眼点・研究手
法は,具体的地域の環境問題の実態調査を行う際の,一つの重要なモデルになることを示
すものと判断される.
なお,相馬と小方は,本研究と同時進行で,『偵察衛星写真CORONAのデジタル化一
地理学・考古学分野への応用を探る一』の研究課題で,科学研究費補助金萌芽的研究の交
付を受けた(課題番号 11878012,代表者 相馬轡型,平成11−13年度).本研究がCorona
衛星写真利用の実践編であるとするならば,この萌芽的研究は,主にCorona衛星写真利
用の技術的側面を検討したものである.デジタル化したCorona衛星写真をパソコン上に
実体視できるように配置すること(本報告書の145頁),Corona衛星写真を拡大接写後,
デジタル化する方法など,そこで得られた研究成果の一部は本研究でも複数の研究者によ
り生かされている。
(6)
本研究を遂行する上で,現地調査,資料収集などに際して,多くの機関,個人にご協力
いただきました.それらのご助力無くして本研究は成果を挙げることができなかったもの
と推察されます.個々にお名前を挙げることは控えさせていただきますが,これらの機関,
方々に深く感謝いたします.
研究代表者 相馬 秀廣
キーワード
Corona衛星写真,高解像度衛星画像,空中写真,遺跡,氷河,湖沼,
景観復元,環境変化,アジア
(7)
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