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丶言 東海大学医学部専門診療学系小児科学 事変ごし会
S
東海大学医学部専門診療学系小児科学抄読会
TOK<I
2012年4月16日
担当:新村 文男
腎臓関連3本立て:
1. TitleAssociation of Malodorous Urine with Urinary Tract lnfection in ChHdren Aged 1 to 36
months
Authors: Marie Gauthier, et aL カナダのモントリオール大学 小児科より
JoumaI: PediatriCs 129(5) pubHshed on 一ine April 2.2012 DOI: 10.1542/peds.201 1-2856
2.小児期高血圧への降圧薬
(日本循環器学会による小児期心疾患における薬物療法ガイドライン∼作成中∼より)
3.日本人小児における血清クレアチ二ン値の表(CKDステージ分類の参照値つき)
1.論文紹介:
発熱している36カ月未満の乳児で尿の悪臭があると尿路感染症の可能性が高くなる
<対象>発熱、易刺激性、噛吐を主訴に救急外来を受診し、尿路感染症を疑って検尿が指示さ
れた1-36ケ月の乳児331例。女58%、男42%。 90%以上が発熱を主訴。
<方法>尿培養はカテーテル尿88%、中間尿9%、膜朕穿刺1%。 51例(15%)の尿路感染症あり。
82%は大腸菌。無熱の児には尿路感染症いなかった。質問紙により親から情報収集。 「Have you
noticed that your child's urine smelled stronger than usual?」 0
<結果>悪臭ありは尿路感染症の57%、非尿路感染症の32%。オッズ比は2.83。他に、尿路感
染症に対するオッズ比は女児2.82、 VURあり2.39。月齢と尿路感染症の既往は関連なし。多変量
解析でも尿の悪臭は有意な因子として残った。陽性尤度比positive likelihood ratioは1.79、陰性
尤度比negative likelihood ratioは0.63。噛吐、下痢、排尿困難といった症状よりも、尿の悪臭は尿
路感染症を強く示唆する所見であった。尿の悪臭は尿定性でのエラスターゼ反応、亜硝酸塩とは
関連していたが、ケトン体とは関連なしであった。
<感想>
結構地味な着眼点であるにも関わらず、きちんとしたスタディデザインを構築して、 Pediatricsに出
しているのがスゴィ。
Discussionのところで、このスタディの限界を述べている。おそらく査読者から指摘されたものと思わ
れる。悪臭のありなしについて、客観的に判断することが不可能で、統一した基準で親が答えてい
るとは思えない。これに対して、その可能性を認めつつも、臨床的に応用する際には親からの問診
が情報源となるため、悪臭を数値化することができない現状では、親の判断を基にすることは妥当
と述べている。ものは言いようです。最近の論文では、 limitationを述べつつも、研究の妥当性を述
べているものが多いようです。
東海大学医学部専門診療学系小児科学抄読会
2.小児期高血圧の薬物治療ガイドライン
日本循環器学会のガイドラインの中で、小児高血圧に対する薬物治療ガイドラインの作成作業が
進んでいるようです(あるいはほぼ終了か)。都立小児の本田雅敬先生が担当しています。
以下、その内容を抜粋します。
<定義>米国小児高血圧ガイドラインにおける50パーセンタイル身長群の性別・年齢別血圧基準
値とした。低身長または高身長の場合は今回の基準値よりも収縮期で3-5mmHg、拡張期で12mmHg異なることを考慮すべき。
血圧は測定値により以下のように定義される4)0
・正常血圧:収縮期、拡張期血圧ともに90パーセンタイル未満の場合
・前高血圧(prehypertension) :収縮期、拡張期血圧の一方または両方が
90以上から95パーセンタイル未満、または(年齢の90パーセンタイル未満であっても)
120/80mmHgを越える場合
・高血圧(hypertension):収縮期、拡張期血圧の一方または両方が95パーセンタイル以上を
日または週を変えて3回以上認められた場合
> stage I :収縮期、拡張期の一方または両方が95パーセンタイルから
99パーセンタイル+5mmHgの範囲内にある場合
> stageⅡ :収縮期、拡張期の一方または両方が99パーセンタイル+5mmHgを越える場合
<血圧測定法>
・水銀血圧計を用いて聴診法での測定を原則とする。
・ 5分以上の安静後、肘を心臓の高さまで挙上し右腕で測定する。
・上腕周囲長の40%以上の幅でカフは上腕周囲の80%以上を囲む長さとし、
カフの幅と長さは1:2以上。
・コロトコフ第1音(Kl)を収縮期血圧、 K5を拡張期血圧とする。
K5がO mmHgでも聴取される場合は再度測定し、同様であればK4を拡張期血圧とする。
・ oscillometric式自動血圧計で90パーセンタイルを超える場合は聴診法にて再検する。
・白衣高血圧や仮面高血圧の鑑別のため24時間自動血圧測定を用いることが推奨される。欧
州小児高血圧ガイドラインには24時間自動血圧測定の基準値が掲載されている。
<薬物療法が適用される高血圧とは>
(1)症候性高血圧
(2)二次性高血圧
(3)高血圧に伴う標的臓器障害(左室肥大や高血圧性眼症、腎疲痕などの臓器障害)の合併
(4)糖尿病や慢性腎疾患に合併する高血圧
(5)非薬物治療(食事・運動療法)後も持続する高血圧
(6)重度高血圧(stage Ⅱ高血圧)
2
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<治療方針の原則>
・前高血圧症(90-95パーセンタイル):非薬物療法より開始し90パーセンタイル以下まで下げる。
・ stage Iで(1)-(4)のいずれも該当しない場合:非薬物療法より開始。
ただし、 (5)に該当する場合は薬物療法の適応。
・ stage Iで(1)-(4)のいずれかに該当する場合:薬物療法と非薬物療法を同時に開始。
・ stageⅡ (6)に該当する場合:非薬物療法とともに薬物療法を同時に開始。
・血圧の目標値は、本態性高血圧では95パーセンタイル未満、
二次性高血圧では90パーセンタイル未満。
・本態性高血圧では、食事療法、運動療法などの非薬物療法がより重要。
・薬物は単剤より開始し、血圧をみながら漸増する。最大投与量まで到達または副作用が出現し
た場合は別な系統の第2選択薬を追加する。薬物はアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、
アンギオテンシン受容体括抗薬仏RB)、 β遮断薬、カルシウム(Ca)括抗薬、利尿薬が適応.
・重度の症候性高血圧では静注薬を使用。
・二次性高血圧は治療法が原疾患によって異なる。
<重症高血圧の定義と治療>
重義こ
stage Ⅱ以上の高血圧であり、かつ急激な上昇により症状を呈しているもの。
高血圧緊急症(Hypertensive Emergency) -急性の臓器障害を伴い重篤な症状をきたす
高血圧切迫症(Hypertensive Urgency) ・ -急性の臓器障害を伴わない
緊急症では、脳症やけいれん、視覚異常、脳梗塞・出血、心不全などの臓器障害をきたし、速やか
な介入を要するのに対して、切迫症では噛気・堰吐などの症状を呈する程度である。この場合は、
数時間かけて血圧のコントロールを目指す。
薬物療法の実際:
溢水の所見が明らかである場合は、利尿剤投与を行う。また、慢性的に高血圧がある場合、内
膜下組織の細胞増生がおこっているため、急激な血圧低下は虚血をきたし、臓器障害を悪化させ
る可能性がある。従って、緊急高血圧管理では、降下速度を予想できるよう薬品は経静脈投与が
基本である。降圧剤投与中は、脳梗塞や虚血性脊髄症・視神経症に注意を要する。
(1)降圧速度
一般に6-8時間かけて1/4-1/3を降下させ、 48時間∼72時間かけてゆっくりと90パーセンタ
イル以下の血圧に調節する。切迫症の中には慢性的に徐々に高血圧が進行した例や降圧薬の内
服を継続している例もあるためより緩徐な降圧を要する。
(2)薬物療法
本邦では、以下の降圧薬を経静脈的に使用することが多い(class Ⅱa-C)。欧米諸国では、ニカ
ルジピンに加え、 α/βブロッカーであるラベタロールの静注製剤が第一選択となっている。ラベタ
ロールは気管支噛息には使用できないものの、心抽出量にはほとんど影響せずに、数分で末梢血
管抵抗を下げる降圧薬である。今後、本邦-の導入が期待される。本邦では次の薬品が用いられ
る。
3
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[1]緊急症
① ニカルジピン(ベルジピン⑧)卜3〃 g/kg/min
特徴:数分で効果が表れ、数時間で降圧目標に達する。ニトロプルシドよりも持続使用が可能
であるうえ、欧米では早産児・新生児にも有効とされる。
注意点:反応性の頻脈、顔面紅潮、動博、低血圧に注意。
② ニトロプルシド(ニトプロ⑧) 0.53-10〃g/kg/min 0.2〃g/kg/min ずつ増量
(3 〟 g/kg/min以下で持続)
特徴:数秒単位で効果を発揮し短時間作用型である。動脈、静脈ともに拡張作用を持つ。
注意点:光により失活、脳血流と脳圧を克進させる。 72時間以上の長期使用や肝・腎機能障
害での使用の場合はシアンの上昇に注意し、シアン中毒症状が出現した場合はチオ硫酸塩
を併用する。 2 〟 g/kg/分以上の投与速度で投与する場合は、総投与量が500〃 g/kg以上に
なると体内における解毒処理能力を越えてシアンが生成されることが知られているため、注意
を要する。
[2]切迫症
切迫症と判断され、急速な降圧を要さない場合は、内服薬投与も選択の一つであるが、初期治
療では切迫症でもニカルジピンが使われることが多い。二次性の場合はその病態に合わせて経口
可能なら早期にその薬品を使用する。
その他、以下の薬品が使用可能である。
①ニフェジピン(アダラート、セパミット⑧)0.25-0.5mg/kg/回 経口
注意点:成人では重症高血圧-の使用は脳梗塞と心筋虚血を惹起するため危険とされてい
るが、小児ではく0.25mg/kgの少量投与では有効とする報告もある。しかしながら、現段階では
より調節の容易な薬品が使用可能な場合は推奨されない。 (class Ⅱa-C)
②ヒドララジン(アプレゾリン⑧) 0.2-0.6mg/kg/回静注4時間毎
注意点:FDAの認可では1.5-3.5mg/kg/dであるが、それ以下での使用を推奨。反応性が不
確定であり、作用が遷延するなど調節性に欠ける。ニカルジピンに比較して即効性には劣るが、
効果が遷延するため少量から投与する。
③クロニジン(カタプレス⑧)0.05-0.1mg/kg/回経口
α2 agonistであるため一時的に血管ト-ヌスを克進させ、その後血圧と脈拍が低下する。注
意点:効果は不確定だが、 30-60分で効果が出現し8-24時間持続する。調節性に欠ける。
付録:
その1
高血圧判定基準と治療会誌基準の表
年齢別・性別の血圧基準値の表
その2
小児の慢性腎臓病判定表(酵素法による血清クレアチニン値による判定)
4
表2 :米国小児高血圧ガイドラインにおける高血圧判定基準と薬物治療開始基準
収縮期/拡張期血圧パーセンタイル 冩)Z榎9d
正常血圧 涛
7
ク5ィ985
88ケj)i
前高血圧 涛 7 ク5ィ985 88ク決 8 店7 ク5ィ985 88ケj)i -ネ+リ,モ 7 ク5ィ985 88ケj)i 」 #
高血圧Stage1 涛X7
リ5ィ985 88ク決 8
+5mmHg未満
高血圧Stage2 涛
ク5ィ985
ヨヤ r B
使用しない
8.調
慢性腎疾患、糖尿病などの合併症がない場合 は使用しない
祷7 韭
リ5ィ985 │8、ィ趙
88イ 治療開始基準を満たすかまたは合併症があれ
88イウVヨヤ
x決
2
直ちに治療を開始
表5:米国小児高血圧ガイドラインにおける50パーセンタイル身長小児の性別・年齢別血圧基準値
傾鳩鳩鳩臆臓鳩鳩臓噸順傾傾傾億噸欄
90th 95th 99th 90th 9
5th 99th
104/58 1 1 1/65
99/52 1 03/56
1 10/64 100/54
1 02/57 1 06/61
1 13/69 101/59
105/63 1 12/70
1 05/61 1 09/65
1 16/73 103/63
107/67 1 1 4/74
107/65 1 1 1/69
1 18/77 104/66
108/70 1 1 5/77
108/68 1 12/72
1 20/80 1 06/68
1 10/72 1 17/79
110/70 1 14/74
121/82 108/70
111/74 119/81
111/72 115/76
122/84 109/71
1 13/75 120/82
1 12/73 1 16/78
123/86 111/72
1 15/76 1 22/83
1 14/75 1 18/79
125/87 1 13/73
1 17/77 124/84
115/75 119/80
127/88 1 15/74
1 19/78 126/86
117/76 121/80
129/88 1 17/75
121/79 128/87
1 20/76 1 23/81
131/89 119/76
1 23/80 1 30/88
122/77 126/81
133/89 121/77
1 24/81 1 32/89
1 25/78 1 28/82
136/90 1 22/78
1 26/82 1 33/90
127/79 131/83
138/91 1 23/79
127/83 1 34/91
1 30/80 1 34/84
141/92 1 24/80
128/84 1 35/91
1 32/82 1 36/87
1 43/94 1 25/80
129/84 1 36/91
期/拡張期血圧(mmHg)
小児CKDステージ判定表
小児CKD対策委員会による日本人小児の血清クレアチニン基準値を元にして作成した, cltD
ステージ3-5の判定表です.
2歳未満(男女合計)小児血清クレアチニン基準値(mg/dl) 劔剄。回のアンケートの該当者
r2ikofo4豪農諾讐豊日の1J芸品蒜認諾㌍●
2.5 DerCentile 鉄
3-5ケ月
"
6-8ケ月
1歳
0.20
2
9-11ケ月
B
B
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r
0.41やOi80
0.21
2
0.23
0.23
97.5 DerCentile
R
繝
0.43∼0.台4
0.47ヤ0.92二
R
宝
ク5s2
ステージ4 刄Xテージ5
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0.47-0.9■望
X
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緜
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12歳以上16歳未満(男女別)小児血清クレアチニン基準値(mg/dl)
緜辻
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繝Rメ
[亘釘20.0年4月,日に最も近い採血日の) 時点での年齢で判定してください. 劔劔
(2歳未満は腎機能が未熟であり,正確なGFRが不明です.したがって正常者に対する割合を考え,
便宜的にステージ分類を行いました.)
2.5 perCentile 鉄
GFR (mi/汎in/1.73rd)
12歳
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120 涛
0.63
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V蹤免R
97.5 DerCentile
秦 白苒貳ニニツ
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I.ジ4
X
ク5sR
4ツ
15未満
4.望5-
2歳以上12歳未満(男女合計)小児血清クレアチニン基準値(mg/dl)今回のアンケートの鼓当者
L2*0芸%04豪農
篥ヲdヌEF橡dノ?ィ,ネ
2.5 percentile 田
GFR
(ml/mln/1.73zrf)
2歳
r
0.24
3歳
0.27
4歳
0.80
FW$6V蹤免R
120
涛
紊R
97.5 percentile
60東海30以上
0149-0.96
5歳
R
0.34
紊R
6歳
R
0.34
紊
X
塔
ク5s2
ステージ4
j)i
X決
纉rリ6モ
0.55-1.08
紊
ゥW畏ケViDi
0.69-1.36
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蔦"
0.61-1.20
2
X
S
ク5sR
13歳
紊
14歳
經B
15歳
紊r
0.59
0.65
0.68
繝
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X
纉8
白粤」C
窗蓼ェb
-
7
2.41-
8歳
0.37
r
9歳
0.41
10歳
11歳
0.40
經
テS2
經R
0.40
B
0.45
緜
緜
9歳と10歳でクレアチニンの数値が逆転して
いますが,日本人1.151例の実測に基づいた
L結果であり・+今回は羊の値を採用しています
0.75-1.48
紊蔦"纉b
0.81-1,60
緜
′0.83-1.64
0.81-1.60
0.91-1.80
は.ステージ3以上で透析・
腎移植を除いたものです.
ステージ4
2.73-
2.97-
1,05-2.0g
2L.09-4. 16
1.07-乳1豆
2.13-4.24
1.17-2.32
2. 33.-4.64
1.13-2.24
2.25-4.48
3.21-
緜Rモ2
繝
5.45-
2.73-
モ2
緜
5.21-
今回のアンケートの該当者
[童画2oOko嘉島提諾諾豊ア】
60未満30以上 「.8Lo未満15以上
7歳
4.73-
15未満
2.17-
モ"紊
rモ"縱"
倆CX+
新車額禁 僮;:謙L:こ.象:L守 迭紊B
ステージ3
0.69-1.36
菷闔ィ爾
1.93-
b
rモ"テs"
-
モ2
簽2緜
3.29-
3.21-
3.61-
14歳と15歳でクレアチニンの数値が逆転してい
ますが.日本人1.151例の実測に基づいた縮果
であり.今回はこの値を採用しています.
ステージ5
Fly UP