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トマトキバガ(仮称)(PDF:2119KB)
主 な 未 侵 入 害 虫 の 解 説 生態 成虫は夜行性で、昼間は葉の間に隠れ る。雌成虫は生涯で約260個の卵を寄主植物の地 上部(主に葉の裏面)に産み付ける。幼虫は地上部 全体を食害し、土中、葉上、葉の食害痕中など で蛹化する。環境条件によるが、一世代期間は 29~38日で、年に10~12世代を繰り返す。 被害 南米と同様にヨーロッパでも特にトマ トに甚大な被害を及ぼしている。詳細について は、本誌90号を参照されたい。 防除 合成性フェロモン剤を用いたモニタリン トマトキバガ:(仮称) 学名:Tuta absoluta (Meyrick) 英名:Tomato leaf miner, South American tomato moth 本種はチョウ目キバガ科に含まれる南米原産 のトマトの重要害虫である。EPPO(ヨーロッパ 地中海地域植物防疫機関)は、本種の侵入を警 戒していたが、2006 年にスペインへ侵入したの を皮切りに EPPO 地域内外に分布を急速に拡大 した。 分布 (欧州)アルバニア、イタリア、イギ リス、オランダ、ギリシャ、スペイン、スイ ス、ハンガリー、フランス、ベルギー、ポルト ガル、ロシア、(中東)イスラエル、クウェー ト、トルコ、バーレーン、(アフリカ)アル ジェリア、チュニジア、モロッコ、(南米)ア ルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、コロン ビア、チリ、パラグアイ、ブラジル、ペルー、 ベネズエラ、ボリビアなど 寄 主 植 物 作物では、トマト(地上部全体)、 ジャガイモ(主に葉)、ナス(主に葉)。他に、ナ ス属(Solanum spp.)、チョウセンアサガオ属 (Datura spp.)、タバコ属(Nicotiana spp.)等ナ ス科植物。 形態 成虫及び幼虫の外観は下図1、2のとおり で、細部の特徴については、本誌90号を参照さ れたい。 図3 トマトキバガ成虫による被害果 図1 トマトキバガ成虫 (体長約 7 ~ 10mm) 図2 トマトキバガ幼虫 (体長約 7.5mm) -- グ、大量誘殺法が行われている。化学的防除と してスピノサド等が使用されるが、いくつかの 薬剤では抵抗性の発達が報告されている。その 他に耕種的防除として、輪作、被害苗の除去や 収穫後の残渣処理なども有効とされている。 我が国の植物検疫での対応 本種が分布する地 域からのナス科生果実は、チチュウカイミバエ 又はたばこべと病の発生により輸入が禁止され ている。例外的に、チリにはこれらの病害虫の 発生がなく、オランダ及びベルギーからは特別 な条件の下、トマトなどの輸入が可能である。 これらの検査に当たっては、トマトキバガに特 に注意して検査を実施しているが、これまでの ところ発見事例はない。 備考 本稿の写真は、EPPO Gallery (http://photos. eppo.org/index.php/search/tuta+absoluta) か ら 許 可 を得て掲載した。