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フィルムレスデータ作成作業の効率化に関する研究
フィルムレスデータ作成作業の効率化に関する研究 実施期間 平成 18 年度 地理情報部地図情報課 飯田 剛輔 池田 彰弘 勝田 啓介 石毛 正一 渡邉 三智夫 1.はじめに 地図情報課では,地図作成工程のうち地図製版工程に関する業務を担当している.地図製版工程は, 校正図の作成,校正,地図データから製版データへの変換,成果品となる製版データや製版ネガフィ ルムの作成・検査に細分される. 情報化社会においては,最新の情報をいち早く求められるようになる.地図の分野でもリアルタイ ムで高精度な地図情報の提供が求められている.このような社会的要請にこたえるため,地図製版工 程や,印刷工程においては,製版フィルムを作成しないフィルムレス製版が主流となってきている. 国土地理院においても,平成17年度から2万5千分1地形図の作成工程において試験的にフィルム レス製版を導入し,平成18年度には全面的に移行した.しかし,2万5千分1地形図以外の地図は従 来手法のフィルム製版で作業しており,フィルム製版とフィルムレス製版が混在することで作業が煩 雑化している.また,フィルム製版に使用している機器の老朽化や,フィルムレス製版に使用してい る機器(WS)の更新等の問題もでている.これらのことから,フィルムレスデータ作業の効率化の研 究を行い,地図製版工程の効率化を行うことにより,早急にPC使用のフィルムレス製版への全面的な 移行を目指すものである. 2.研究内容 本研究では,作業工程,使用機器について分析し,それぞれの問題点を抽出,整理した後,解決策 を検討した. ① 作業工程に関する分析 現在の作業工程は地図の縮尺ごとに工程が細分化されて複雑になっている.具体的には色数の 違い,データ版数の違い,重ね順の違いやくんせん版の有無など縮尺ごとに工程の差異が多岐に わたっている.また,2万5千分1地形図はフィルムレス製版に移行済みであるが,他の縮尺に ついては従来どおりのフィルム製版のままであることも,作業を複雑にさせている大きな要因と なっている. ② 使用している機器に関する分析 PCとWSを併用しているため,運用コストが嵩むという問題がある.また,耐用年数の過ぎた機 器を運用しているため,故障や品質劣化に起因する生産効率低下のリスクがある. ③ 解決策の検討 作業工程については,縮尺によってフィルムレス製版とフィルム製版に分かれていたものを, 全ての縮尺においてフィルムレス製版にしていくことを目指す. 使用する機器については,運用コストと作業の複雑さの解消のため,WSを併用せずにPCだけで 作業をおこなうことによりフィルムレスデータ作成作業の効率化を目指す.また,PCのソフトの 改良によって縮尺ごとに分かれているソフトの一本化を目指す. 3.得られた成果 使用機器の運用コストを削減するためには,作業環境をPCに統一することが最善である.PCに移行 するためにはPC上で動作する校正用ソフトウェアを用意しなくてはならないが,平成16年度に測図部 が開発した地形図ラスタエディタ(REDIT)に地図製版工程に使用する機能を追加することで対応する ことにし,REDIT改良作業を実施した. その結果,1万分1地形図,5万分1地形図及び20万分1地勢図の各刊行図において,2万5千分 1地形図との相違点に注意して製版処理工程(BRLデータのTIFFデータへの変換等)を構築することに より,フィルムレス製版に移行することができた. また,当初は,校正後の製版処理に要する時間は,製版フィルム作成時と同等以上の時間を要して いたが,作業工程の見直し・作業の習熟・機器の投入・ソフト開発などにより,所要時間を約1/3以下 に短縮することができた. 4.まとめ 2万5千分1地形図のフィルムレス製版をスタートしてから2年が経った平成19年3月現在,1万 分1地形図,5万分1地形図及び20万分1地勢図の各図についてもフィルムレス製版に移行し,複製 頒布委託分についてはすべて移行することができた. 現在直営印刷を行っている四六判等の大判地図に関しては,製版工程の後の印刷工程がフィルムレ ス製版に対応していないため,フィルム製版のままである.しかし,平成 19 年度に大判のフィルムレ ス製版に対応した CTP 装置(Computer To Plate)が地図画像課に導入される予定であるため,今後は 大判地図についてもフィルムレス製版への移行を目指す必要がある. また,今回実施した REDIT の改良により,REDIT 上で地図データの修正及び地図データの検査,及 び地図データから製版処理用データへの変換処理を行うことが可能となった.これにより,今まで WS 上で行っていた地図データの修正作業及び製版処理を,PC 上で動作する製版データ処理用 RIP ( Raster Image Processer)ソフトウェア(汎用ソフトウエアー)と REDIT に置き換える目途がたった.今後, 作業フローを PC 環境に完全に移行させ,製版工程の更なる効率化を目指す. 図-1 地形図ラスタエディタ(重なり検査及び校正機能使用時) 参考文献 池田彰弘,相澤望,勝田啓介,石毛正一,渡邉三智夫(2005):フィルムレスによる地図複製の調査研 究作業,平成17年度調査研究年報(国土地理院技術資料A・4-No.4),125-126.