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アジアREIT市場の動向と今後の見通し
ご参考資料 マーケットレポート 2014年12月24日 アジアREIT市場の動向と今後の見通し ~アジアREITの投資環境(2014年11月末現在)~ 引き続き好調なアジアREIT市場 ■ 好調なパフォーマンスのアジアREIT市場 アジア各国・地域のREIT市場は、年初から総じて堅調に推移しています(図1参照)。 香港市場は、9月末に起きた学生を中心とした抗議行動が投資家心理を冷やしたものの、実体経済や不動産市場への 影響は限定的との見方が台頭したことや、発表された決算が良好であったことから上昇しました。シンガポール市場もオ フィスを中心とした事業環境を背景に堅調に推移しております。 上昇傾向が続いているREIT市場ですが、シンガポールおよび香港のPBR(株価純資産倍率)を見ると1倍程度の水準 が続いており、過去平均と比較しても割安な水準にあります(図2参照)。 (図1)各国・地域のREIT指数の推移 (図2)各国・地域のPBRの推移 (2014年1月1日~2014年11月28日、日次) 135 (2010年1月末~2014年11月末、月次) (倍) 割高 1.8 シンガポール 香港 130 1.6 132.0 2010年 1月末から の平均値 香港 125 1.4 米国 127.8 120 115 1.2 日本 123.3 110 105 シンガポ-ル 1.1倍 1.0 香港 1.0倍 0.8 100 シンガポール 115.7 95 割安 90 14/1 14/3 14/5 14/7 14/9 14/11 (年/月) ※S&P REIT指数(現地通貨ベース、配当込み、為替ヘッジなし)の各国・ 地域のデータを2014年1月1日を100として指数化 (出所)S&P社のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 0.6 2010/1 2010/12 2011/11 2012/10 2013/9 2014/8 (年/月) ※PBR(株価純資産倍率):株価(REIT価格)が1株当たり純資産の何倍かを 示す指標で、相対的に値が低いほど割安と判断されます。 ※S&PグローバルREIT指数の香港・シンガポールのデータ (出所)S&P社のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ■ アジアREIT市場規模の拡大 アジアREIT市場(日本、韓国、タイ除く)での時価総額で見ると、シンガポールと香港の比率が依然として高く、2014年11 月末現在のアジアREIT市場(日本、韓国、タイ除く)の時価総額約560億ドルのうちシンガポールは約6割、香港は約3割と この2市場で全体の9割を占めています(図3参照)。用途別構成比を見ると、シンガポールでは物流・産業用施設や商業 施設を中心に比率が高く、香港ではショッピングモールなどの商業施設が約9割を占めるなど市場ごとに特徴があります (図4参照)。 2013年のREITの新規上場はシンガポールで13銘柄、香港で3銘柄です。2014年に入っても足もとまでシンガポールで9 銘柄上場されており、今後も市場規模の拡大が期待されます。 (図3)各国・地域の時価総額の推移 (億米ドル) 600 500 400 (図4)シンガポールと香港のREIT市場の概況 〈2008年10月末~2014年11月末、月次〉 台湾 マレーシア 香港 シンガポール 200 商業施設 27.3% (時価総額) 約2.3兆円 (銘柄数) 9 物流・産業用施設 26.5% 100 0 08/10 ホテル&リゾート 1.9% 分散型 2.2% (時価総額) 約3.9兆円 (銘柄数) 29 300 <香港> <シンガポール> 住居用施設 2.7% ヘルスケア 3.6% ホテル&リゾート 8.1% 09/8 10/6 11/4 12/2 12/12 13/10 14/8 (年/月) ※用途別構成比、時価総額、銘柄数は2014年11月末現在のS&P REIT指数の各国 ※2009年9月~2010年8月のマレーシアの時価総額はS&P社よりデータ 発表がないため掲載しておりません。 (出所)S&P社のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 インデックス、時価総額は2014年11月末の為替データを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメントが円換算しています。 (出所)S&P社のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/6 ご参考資料 アジアREIT投資への3つのポイント ①好調が続く不動産ファンダメンタルズ ~投資環境を確認~ ②投資対象としてのアジアREIT ~「価格上昇期待」と「配当利回り」~ ③今後のアジアREITの見通し ~タイでREIT初上場~ POINT 1 好調が続く不動産ファンダメンタルズ ~投資環境を確認~ シンガポール、香港 とも上昇傾向 (図5)香港賃料の推移 <香港> (2000年10-12月期~2014年7-9月期、四半期) 商業施設は9月下旬から始まった大規模デモの影響な どによってマイナス影響が見込まれた小売販売額です が、香港REITが保有している商業施設の大部分は日用 品を扱っている店舗が多く、香港小売全体の動きに比べ て売上低下の影響は限定的となりました。賃料に関して も引き続き堅調に推移していくことが期待されます。(図5 参照)。 オフィス市場は、元々大規模なスペースを確保すること が難しいことに加え、中国企業の進出などによって、空 室率が低位にあるだけでなく、賃料水準に関しても高水 準を維持しています(図5参照)。2015年に関しても引き 続き良好な需給バランスが保たれると考えられます。な お、11月に香港証券取引所と上海証券取引所の相互乗 り入れが始まったことから、中長期的に金融セクターの 需要拡大が見込まれることも香港のオフィス市場にとっ ては好材料と言えます。 250 200 150 100 50 0 00/12 02/8 14/4 (年/月) ※オフィスは上環地区~中心地区、商業は公表元の選定基準に基づくエリア、 2000年10-12月期を100として指数化 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 100 空室率に関しても買い物客数やテナントの売上動向に 左右されるものの、2014年第3四半期も総じて堅調に推 移しています(図7参照)。 オフィス 商業 200 シンガポールREITの第3四半期決算は概ね良好でした。 DPU(一口あたり分配金)成長率は第2四半期と同様に、 前年同期比+3%程度となりました。これは2013年に活発 化したAEI*や物件取得が一巡したことによるものです。 オフィス賃料は上昇傾向にあります。また、2015年に関 しても幅広い業種で需要が堅調に推移すると見込まれる 中、供給は限定的であることから、賃料も強含みで推移 すると期待されます。商業施設も総じて安定的に推移し ています(図6参照)。 09/4 10/12 12/8 (2000年10-12月期~2014年7-9月期、四半期) 250 150 幅広い業種で強い需要に支えられ、主要なオフィスの 稼働率は引き続き高い水準で推移しており、今後も高稼 働の状況が続くとみられます。 04/4 05/12 07/8 (図6)シンガポール賃料の推移 <シンガポール> * AEI(アセット・エンハンスメント・イニシアティブ)とは 物件価値の維持・向上を図るために大規模修繕や設備投資を行うこと。 オフィス 商業 50 0 00/12 02/8 04/4 05/12 07/8 09/4 10/12 12/8 14/4 (年/月) ※オフィス・商業は中央地区の全エリア、2000年10-12月期を100として指数化 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント 作成 (図7)シンガポールのオフィスおよび 商業施設の空室率の推移 (2011年1-3月期~2014年7-9月期、四半期) (%) 25 オフィス 商業施設 20 15 10 5 0 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 2011 2012 2013 2014 (年) ※オフィスおよび商業施設は公表元の選定基準に基づくエリア (出所)URA(シンガポール都市再開発庁)のデータを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/6 ご参考資料 ■ 香港とシンガポールの新規供給面積 (図8-9参照)のとおり、リーマンショック以降、香港のオフィスの新規供給面積は、供給は限定的に推移してい ます。香港は香港島を中心に新たなオフィスビルの開発余地が限られていることから、現時点で2015年の大規模 な供給予定はありません。シンガポールでは、2008年以降の大型ビルの竣工が続き、一時、空室率が上昇しまし たが、その後、供給が限定的であったことから、空室率は改善傾向にあります。シンガポールも、2015年の大規 模な供給予定はありません。なお、2014年は三菱地所などが共同出資している大型複合施設「キャピタグリー ン」が12月22日付で完成したと発表、「サウスビーチタワー」も2014年末に完成予定です。 (図8)香港の新規供給面積の推移 (図9)シンガポールの新規供給面積の推移 (2005年~2013年、年次) (2005年~2013年、年次) (出所)CBRE (出所)CBRE (ご参考)香港とシンガポールの主要商業エリア (出所)CBRE POINT 2 投資対象としてのアジアREIT ~「価格上昇期待」と「配当利回り」~ (図10)各国・地域のREITと10年国債利回り比較 ■ 配当利回りは引き続き堅調に推移 アジアREITの一株あたり配当金は、高い経済成 長に伴う不動産市場の拡大や、良好な需給を背景 とした賃料水準の上昇により、今後も増加が見込め ます。一方、アジアREITのリスクプレミアム(配当利 回りと10年国債利回りの差)は、他の先進国REITの リスクプレミアムよりも高く、魅力的な水準にありま す(図10参照)。 アジアREITのリスクプレミアムは、REIT市場の拡 大に伴う流動性の改善、堅調な業績動向やそれに 伴う配当金増加による株価の上昇などで、長期的 には縮小に向かうと考えられます。 (%) 7 6 (2014年11月末現在) REIT配当利回り 5.6 10年国債利回り 5.5 5 4.1 4 3.5 3.4 3.0 3 2.2 2 1 利回り差 3.5% 1.8 利回り差 2.3% 0.4 利回り差 3.0% 2.2 利回り差 1.3% 利回り差 2.5% 0 シンガポール 香港 日本 米国 オーストラリア ※REITの利回りはS&P REIT指数の各国・地域の配当利回り ※データは小数点以下第2位を四捨五入しています。 (出所)S&P社のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/6 ご参考資料 POINT 3 今後のアジアREITの見通し ~タイでREIT初上場~ (図11)アジア地域のREIT制度の導入状況 ■ 各国の不動産市場は拡大傾向 香港やシンガポールだけでなく、他のアジアの国 や地域でも経済規模の拡大を受けて、新たにREIT 制度の導入や検討が進められています(図11参照)。 この10月には、タイでREITが初めて上場されまし た。政府当局による強力な後押しと、民間セクター の不動産関連投資に関する強い需要が結び付い たものと言えます。タイでは経済成長に伴い都市開 発が加速していることから、今後REITを通じた資金 調達がより活発になるものと見込まれます。 またインドでもすでに8月にREIT制度が発足してお り、2020年までに200億ドル規模を目指して準備が 進められています。REITを通じた不動産市場の整 備が見込まれることにより、今後のアジアREIT市場 の拡大が期待されます。 REIT制度が導入されている国・地域 今後REIT制度の導入が検討されている国・地域 日本 パキスタン 韓国 中国 台湾 インド スリランカ タイ 香港 フィリピン マレーシア シンガポール インドネシア (出所)不動産証券化ハンドブック2014および各種資料を基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 (ご参考)タイREITについて 本年10月1日にタイ証券取引所で初のREITとなる「インパクトグロースリート」が上場されました。 タイ証券取引委員会におけるREITの規制における主な概要は以下のとおりです。 ①不動産開発事業は総資産の10%を限度 ②負債比率は上限35%(但し格付取得すれば60%) ③配当要件90%以上 ④外人保有比率の上限は49% など インパクトグロースリート <概要> タイ国内最大の会議場、展示場施設を持つ。現在は4資産から構成されている。会議および展示場業界は国内4社の寡占市場であ り、その中でも同社は収入ベースで約70%と圧倒的なマーケットシェアを誇る。立地条件や設備規模が優れていることから、大規模 イベント等の開催に特に強みを持つ。 IMPACT Forum IMPACT Arena IMPACT Challenger ※上記はREITのファンドへの組み入れを保証するものではありません。また、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。 (出所)三井住友信託銀行のデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 4/6 ご参考資料 (ご参考) 香港のREIT投資物件例 1 新界 商業・オフィス中心エリア (ホテル・官公庁施設など) オフィス中心エリア (金融・多国籍企業など) 九龍 チムサーチョイ (尖沙咀) 2 (インターナショナル コマースセンター) 商業中心エリア (高級百貨店・官庁・住宅など) (セントラル周辺) ションワン (上環) セントラル (中環) 3 ワンチャイ アドミラルティ (湾仔) (金鐘) コーズウェイベイ (銅羅湾) (タイムズスクエアタワー) 香港島 1 ロク・フー・プラザ 【概要】 地下鉄ロクフー駅に隣接し、日系スーパーであるユニーなどのテナントが入る 大型ショッピングモール。2013年に食料品フロアの全面改装を実施。統一感 のある洗練されたデザインの内装となり、テナント各店に清潔感や商品陳列 のクオリティ向上を目指す。テナント面積売上高は前年比+20%増加。 REIT名:Link REIT 2 プロスペリティ・プレイス 【概要】 地下鉄クントン駅に隣接し、倉庫を改装し、小売店舗、スポーツジム、中小企 業向けオフィスをテナントに抱える複合型物件へ転換した。エントランスに緑の 壁や屋上庭園など設置し、環境にも配慮を行っている。 REIT名:Prosperity REIT 3 シティバンク・プラザ 【概要】 1992年に完成。オフィス街の中環地区にあり、大手金融機関が入居する金融 センターで香港を代表する高層ビル。デザイン性にも定評がある。また安全性 と環境にも特徴があり、火災時に非常階段を分離する水カーテンシステムやフ ロアごとに気候センサーおよび制御システムなどが備わっている。 REIT名:Champion REIT ※各社所有状況等データは作成時点 ※区分所有物件を含みます。なお、上記は物件情報の一部であり、すべてを網羅したものではありません。 ※上記はREITのファンドへの組み入れを保証するものではありません。また、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。 (出所)各社HPおよび三井住友信託銀行、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 5/6 ご参考資料 【 ご留意事項 】 ● 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断 ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ● 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 6/6