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マーケットレポート 欧州REIT市場の動向と今後の見通し(2016年5月
2016年8月26日 欧州REIT市場の動向と今後の見通し (2016年5月~2016年7月) 足もとの欧州REIT市場 ~英国民投票の結果を受けて急落するも回復基調へ~ 欧州REIT市場は、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票(6/23)が近づくにつれて、英国市場を中心に神経 質な動きとなりました。英国民投票は予想に反して離脱派が勝利したことから、欧州REIT市場は急落し、特に英国市場で 大幅安となりました。7月上旬には、実物不動産に投資する英国不動産ファンドが解約受付を停止したため、英国市場に 再び動揺が走りましたが、BOE(英中央銀行)やECB(欧州中央銀行)への政策期待やREITの好業績などを背景に上昇に 転じ、フランスやオランダ等の大陸欧州市場では英国民投票以前の水準を上回って推移しています。 各国・地域のREIT指数の推移 (2015年7月31日~2016年7月29日、日次) 125 120 115 110 105 100 95 90 85 80 75 15/7 欧州 オランダ 15/9 フランス 日本 15/11 16/1 英国 米国 16/3 騰落率 16/5 英国 ユーロ圏 その他欧州 -2.1% フランス -7.7% 12.4% 3.8% 英国 -22.5% 19.1% -7.7% オランダ -8.8% 10.6% 1.0% 日本(ご参考) -4.9% 8.7% 3.4% 米国(ご参考) -0.8% 9.1% 8.3% ※S&PグローバルREIT指数(現地通貨ベース、配当込み) の各国・ 地域のデータ (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを 基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ユーロ圏と英国の政策金利および 10年国債利回りの推移 (2006年12月末~2016年8月4日、月次) (%) 6 政策金利(ユーロ圏) 政策金利(英国) 10年国債利回り(ユーロ圏) 10年国債利回り(英国) 5 4 3 2 政策金利引き下げ、量的金融緩和の再開(2016年8月) 1 量的金融緩和決定:2015年1月(同12月、2016年3月:追加緩和 決定) マイナス金利導入:2014年6月 0 デンマーク:マイナス金利導入(2012年7月、2014年9月) スイス:マイナス金利導入(2014年12月) スウェーデン:マイナス金利導入(2015年2月) 14.9% ~英国も含め、欧州は低金利が継続~ 欧州各国の中銀は緩和的⾦融政策を継続 <欧州の中央銀行の金融政策の方向性> -14.7% (年/月) 欧州REIT・不動産市場の上昇期待 BOEは、英国民投票でのEU離脱派の勝利を受けて、英 国経済への悪影響を食い止めるために、政策金利の引き 下げとともに量的金融緩和の再開等を含む包括的な金融 緩和策を発表しました。BOE総裁は、さらに追加利下げの 必要性についても示唆しています。 その他欧州各国の中央銀行も緩和的な金融政策を継続 しており、不動産市場およびREIT市場を下支えすることが 期待されます。 欧州 16/7 ※2015年7月31日を100として指数化 通期 6/ 2 3 ~6/ 2 7 6 /2 7 ~7 / 29 6 / 2 3~7 / 2 9 英国を除き 投票結果を 反発 概ね投票以前 受けて下落 の水準に回復 ‐1 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年) 15 ※ユーロ圏の10年国債利回りは、ドイツのデータを使用 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/4 ご参考資料 ユーロ圏の景況感や消費動向は底堅い 足もとの景況感について、英国はEU離脱問題が重石となりPMI(購買担当者指数)が低下しているものの、ユーロ圏で は景気拡大の方向性を示す50以上を維持しています。 また、小売売上高については、ユーロ圏と英国の値は増加基調となっていることなどから、欧州全体の消費動向は底堅 いと考えられます。例えば、フランスでは経済成長の加速が見込まれており、好立地にある商業施設では賃料が上昇して いることが確認されるなど、商業施設の割合が約5割を占める欧州REITを下支えするものと思われます。 ユーロ圏と英国の総合PMI*および小売売上高指数の推移 欧州REITの用途別構成比率 (2013年7月~2016年7月、月次) 130 (2016年7月末現在) 65 産業用施設 6.4% PMI(英国)(右軸) 小売売上高(英国)(左軸) 120 60 110 55 100 その他 5.5% オフィス 11.2% 商業施設の割合 が約5割を占める 商業施設 46.9% 分散型 30.0% 50 PMI(ユーロ圏)(右軸) 小売売上高(ユーロ圏)(左軸) 90 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 45 16/7 (年/月) *PMIとは、企業の購買担当者へのアンケート調査に基づく景気の方向性を示す 指標で、50を超えると景気拡大と判断されます。 ※小売売上高(ユーロ圏)は2016年6月までのデータを使用、季節調整済み、 Eurostat公表ベース (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 魅力的な配当利回りとNAV ※S&PグローバルREIT指数の各国・地域インデックスを使⽤ (出所)S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを基に三井住友トラスト・ アセットマネジメント作成 ~バリュエーションは引き続き魅力的~ 配当利回りと国債の利回り差は⾼⽔準、NAVは概ね良好な⽔準 引き続き、欧州REITの配当利回り、国債との利回り差は概ね高水準となっています。また、英国を除く国のREITの価格 は足もとで概ねプレミアムの状態にあるものの、行き過ぎた割高感はありません。英国については、REIT市場の調整や 利下げに伴う国債利回りの低下を背景にバリュエーションは魅力的な水準になっています。 主要国のREITと国債の利回り差 (2016年7月末現在) (%) 6 REIT配当利回り 4.4% 4.2% 4 4.0% 3.5% 10年国債利回り 3.5% 3 80% 60% 3.1% 40% 20% 2 0.1% 0.0% 0.7% ‐20% ‐0.1% -1 割安 (ディスカウント) 0% 1.5% 1 0 (2007年7月~2016年7月、月次) フランス ドイツ オランダ 英国 米国(ご参考) 日本(ご参考) 100% ‐0.2% 利回り差 フランス 4.3% 利回り差 オランダ 4.2% 利回り差 ドイツ 4.1% 利回り差 英国 2.8% 利回り差 ⽶国 2.0% フランス オランダ ドイツ 英国 ⽶国 利回り差 ⽇本 3.2% ⽇本 割高 ( プレミアム) 5 主要国REITのNAVの推移 ‐40% ‐60% ‐80% 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) ※REIT配当利回りは、FTSE EPRA/NAREIT先進国REITインデックスのデータ ※上記はREITが投資対象とする不動産のNAV(現在の資産価値から負債を差し引いた ※利回り差は小数点第2位を四捨五入 正味資産価値)に対し、REITの価格がどの程度の水準にあるか判断する指標です。 (出所)FTSE、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 (出所)BNPパリバ インベストメント・パートナーズ ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/4 ご参考資料 7月上旬以降に解約受付を停止した実物不動産に投資する英国不動産ファンドは、その後も多くは解約受付の停止が 継続されている状況ですが、一部のファンドは7月半ばに解約受付を再開しています。 解約の受付を再開したファンドは、解約対応資金を確保するために、ロンドンのオックスフォード・ストリート(ロンドンの 大通りにあるショッピングストリート)にある店舗・オフィスビルを売却しましたが、投資家からの引き合いは強く、2015年12 月末時点の物件評価額を数%下回る程度の価格で売買が成立しています。 全般として英国不動産ファンドの資金フローは安定化の兆しが確認されており、解約申込み受付を継続していた複数の ファンドでは資金フローに著しい改善が見られ、資金フローが流入に転じています。 なお、英国不動産ファンド全体が保有する英国商業用不動産の割合は、約3%(約250億ポンド)程度に過ぎません。ま た、保有する不動産の用途は分散され、かつ不動産の平均的な規模も比較的小さく、多くがロンドン郊外に位置している ことから、英国商業用不動産市場への影響は限定的と見ています。 【英国不動産ファンドの解約対応のイメージ図】 オフィス 投資家 商業施設 など 保有する実物不動 産を売却 解約請求 不動産ファンド 解約代金 売却代金 ※上記はイメージ図であり、解約対応の全てを表したものではありません。 <商業施設> ドイツ国内のオフィスビル、大型商業施設、 目抜き通りにある物件で構成 <投資不動産例> ニューオフィス(NuOffice) 銘柄概要 ドイツのREITで、主に商業用不動産に投資していま す。所有する建物について所在地の人口、竣工時 期、不動産価格に基準を設け、収益性を確保してい ます。 • ミュンヘンにあるサステイナ ビリティ(持続可能性)に配 慮したオフィスビルです。 REIT価格と1口当たり配当金の推移 11 (ユーロ) (ユーロ) 予測値 10 REIT価格(左軸) 0.6 0.5 9 0.4 8 0.3 7 0.2 6 0.1 1口当たり配当金(右軸) 5 13 14 15 16 17 EUREFキャンパス(EUREF-Campus) • ベルリンにある環境配慮型 ビルで、研究施設や複数の 企業が入居しています。最 新の建築技術と素材を使用 し環境に配慮しています。 0.0 (年) ※REIT価格は2013年1月末~2016年7月末(月次)、1口当たり配当金は2013年~2017年(年次)、2016年~2017年の1口当たり配当金は当資料作成時点の Bloomberg予測値 ※区分所有物件を含みます。 (出所)BNPパリバ インベストメント・パートナーズ、Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成 ※上記は特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/4 ご参考資料 【 ご留意事項 】 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判 断ください。 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 4/4