Comments
Description
Transcript
バイク市場で存在感を増す“リターンライダー”
01 バイク市場で存在感を増す“リターンライダー” (千台) ▼図表1 二輪車の国内需要の推移 800 (%) 20 700 10 600 400 -10 小型二輪増減率 (前年度比・右目盛) 300 100 0 10代 2005 8 20代 30代 40代 16 20 21 平均 (%) 年齢 50代(以上) (歳) 42.7 36 0 500 200 ▼図表2 二輪新車購入層の推移 二輪需要台数 (左目盛) 2004 05 06 07 -30 原付第一種増減率 (前年度比・右目盛) 08 09 10 11 -20 12 -40 13(年度) 注)2013年度は一部推定値を使用 資料:(一社)日本自動車工業会「自動車需要台数推移」 2009 4 8 16 23 48 47.4 21 10 4 51.0 無回答 2013 4 5 10 22 (年度) 25 60代 56 70代 以上 注)2013年度は50歳以上を「50歳」「60歳」「70歳以上」の3区分にて表示 資料:(一社)日本自動車工業会「二輪車市場動向調査」 長らく低迷していた国内バイク市場だ るモデルも登場。そうした中で、「中高年 が、2 0 1 0 年度を底に回復の兆しがみえ のお客様は、ABS(アンチロックブレー る。業界団体によると、2 0 1 3 年度の国 キ)など安全装備を意識して選ぶ方が多い」 内需要は前年度比+ 6 . 1 % 増。とくに排 (同)という。また、胸部プロテクターやエ 気量 4 0 0 ㏄クラス以上の小型二輪は、2 アバッグ付ジャケットも、中高年では自発 ケタ増と健闘が目立つ(図表1)。この背景 的に着用する人が少なくないようだ。 には、結婚や子育てを機に一度はバイクを そして、“快適”志向が如実に現れるの 降りたものの、“リターンライダー”として が、カスタム(改造)の仕方だ。見た目や出 復活する中高年の増加がある。実際、最近 力アップを狙う若者とは違い、「ロングス の新車購入者の半数超は、5 0 歳以上との クリーン(風よけ)やグリップヒーター、荷 調査結果もあるほどだ(図表2) 。 物を入れるパニアケースなど、実用アイテ こうした人々のバイク選びは、 「実に多 ムが人気」(ホンダドリーム静岡・柴田店 様。外車を含めた大排気量の新型車、7 0 長)だ。柴田店長によると、「最近は、車体 ~ 8 0年代の旧車、2 5 0 ~ 4 0 0 ㏄でリハ の重心を下げて取り回しのしやすい新型車 ビリとさまざまです」 (レッドバロン静 が好評。乗り心地も快適で、シニアにもお 岡・天野店長)。なお、操作する楽しみを味 勧め」と、リターンライダーのさらなる増 わいたいためか、大型スクーターは意外に 加に期待をかける。 少数派だという。ただし、どのバイクを選 五感を駆使し、適度な緊張感を伴うバイ ぶにしても、社会人としての立場や家族へ クの操縦は、“健康に良く、若さを保てる” の心配り、体力の衰えをわきまえ、身を守 との研究結果もある。今回取材した店舗の るための“安全”、体に負担をかけない“快 常連には、「バイクに乗れば変身できる」を 適”へのこだわりは共通しているようだ。 合い言葉に旅を楽しむ 7 0 歳代のライダー まず、“安全”にはお金を惜しまないリ もいるという。若かりし頃を思い出し、久 ターンライダーが多い。たとえば最近は、 しぶりに近所のバイク専門店を覗いてみて バイクの電子制御化が進み、スイッチ1つ はどうだろうか。 のぞ でエンジン出力を変えたり、走りに合わせ てサスペンション設定を自動的に変えられ 研究員 近藤泰介 Taisuke Kondo SERI Monthly July 2014. No.595 31 02 健康イメージづくりで見直される“麻雀” ▲写真1 プロの指導を受けられる (朝日テレビカルチャー静岡スクール) マージャン かつて麻雀は、サラリーマンや学生から にも一役買っている。NPO法人「しずお 強く支持されてきた時期もあったが、とも か健康麻 将の会」では、県内 2 2 カ所で定 とばく マージャン ク ラ ブ すれば飲酒、喫煙、賭博など「不健康」なイ 期的に「健康麻将倶楽部」を開催しており、 メージがあった。しかし近年では、そうし 高齢者も多く参加している(写真2)。同会 た要素を排除し「飲まない、吸わない、賭 の松村範子氏は「麻雀は認知症の予防に最 けない」健康的な麻雀が注目されつつある。 適」と語る。一般に、「頭を使う」「手先を 先輩から雀荘に連れ出され“授業料”を払 使う」「人と話す」機会の多い人は認知症に いながら覚えるのではなく、カルチャーセ なりにくいと言われるが、麻雀はこの3要 ンターの講座を受講するのも当世流。たと 素をすべて満たしているからだ。 えば、朝日テレビカルチャー静岡スクール 初心者や女性も楽しめるのが同会の特長 では、月に6回「ビギナーズ麻雀」講座を開 で、「公民館など公的施設で開催すること 催している(写真1)。打ち筋をプロの目で で、抵抗なく来場してもらえるようになっ 指導してもらえれば、より効率的に上達で た。ゲーム開始前に『健康麻将のマナーに きるというわけだ。 ついて』を唱和するなど、マナー向上には 特筆すべきは、女性の愛好者が増えてい とくに注力している」という。料金も手ご ること。講師の平岡理恵氏は、 「雀荘への ろで、たとえばシズウエル(静岡県総合社 来店客数に大きな変化はないが、平日昼間 会福祉会館)会場では、年会費 1 , 0 0 0 円、 のスクールは子育てが一段落した主婦層か 各回(3時間)5 0 0 円で参加できる。 らの申込みが増えており、キャンセル待ち こうした新たなファン層を中心に、「『勝 のコースもある」と語る。麻雀に興味を持 ちたい』から『楽しく遊びたい』へ、ニーズ ちながらも、雀荘へ入ることには抵抗の のウエートが変化している」(平岡氏)との あった主婦層が「カルチャースクールなら 見方もある。萌 え系の麻雀アニメ「咲- 安心」と受講しているようだ。また、ネッ Saki-」のヒットや、任天堂が3 7年ぶりに トやゲームで麻雀を覚えたものの飽き足ら 麻雀牌を発売するなど話題も増えており、 なくなり「リアル感を求めてスクールや雀 趣味の1つとして、またコミュニケーショ 荘に来る人もいる」(平岡氏)という。 ンのツールとして、麻雀は新たな役割を広 一方、高齢化が進む中で、シニアの交流 32 ▲写真2 シズウエルで開催の「健康麻将午後倶楽部」 (NPO法人しずおか健康麻将の会) SERI Monthly July 2014. No.595 も げていきそうだ。 研究員 後藤淳一 Junichi Goto