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Title Author(s) Citation Issue Date URL On the Relation between the Ore Deposits and the Geologic Strueture of the Tsuchikura Mine Area,Shiga Prefecture, Japan( Abstract_要旨 ) Hatanaka, Takefumi Kyoto University (京都大学) 1965-03-23 http://hdl.handle.net/2433/211532 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University J rT /. ・ ・ 文 ∵巨 州博 仙学 批理 学 位 の 種 類 武 中 畠 氏 学 位 記 番 号 論 学位授与 の 日付 昭 和 40 年 3 月 2 3 日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当 学位論文題 目 O n th e R elation b etw een th e O re I)ep ositsRan d th e G eolog ic Stru ctu re of th e T su ch ik u ra M in e A rea , S h ig a P refectu re . Jap an . 理 博 第 97 号 M. 1 " (滋賀県土倉鉱 山地域 の鉱床 と地質構造 との関係 について) (主 査) 教 授 松 下 論 文 進 内 教 授 吉 沢 容 の 要 甫 教 授 中 沢 圭 二 ノ ノ ノ 論 文 調 査 委員 旨 日本の重要な銅 および硫化鉄 の鉱床で ある層状含銅硫化鉄鉱床 の多 くは, 西南 日本外帯 の三波川変成帯 の中に存在 し, 別子型鉱床 と呼 ばれ, それ につ いては明治以来, 多数 の調査研究 が行 なわれた。 これ に反 して著者 畠中武文が研究 した滋賀県木之本町 の山中にある土倉鉱山の含銅硫化鉄鉱床 は, 非変成の古生層 中に腔胎 す るもので, 特異 な形態を有 し, 地質家 の注 目をひきなが らも, これ まで本格的 に調査研究 され た ことがなか った。 著者 は10余年 にわた って同鉱 山に勤務 して, 同鉱 山の含鋼硫化鉱床 の探査 に従事 し, 鉱 山開発 に貢献す るところが大 きか った。 その際, 著者 は鉱床 と地質構造 との関係 に重点を着 いて精細 ・ 正確 な鉱床 の調査を遂行 す るとともに, 同鉱山地域 の上部古生層を広範囲 はわた って精密 に調査 して, 紘 床 の地質構造 との問 に密接な関係があることを明 らか に した。 主論文 は著者 のこの研究 をまとめたもので ある。 土倉鉱 山地域 に発達す る古生層 は岩相 によ って, 上か ら土倉累層 (厚 さ2,000m ) と八草層群 (2,000m ) とに分 け られ る。 土倉累層 は主 と してチ ャー トと緑 色岩か らな り, 粘板岩 ・ 砂岩 ・ レンズ状石 灰 岩 を 伴 うO 土倉累層 の主要部 は, 主 と してチ ャー トか らな り, 粘板岩 . 頁岩 ・ 砂岩 および輝線凝灰岩をはさむ。 鉱床 は土倉累層 中に歴胎 す る。 同累層 の下 に位す る八草累層 は粘板岩, 頁岩か らな り, 砂岩 ・ チャー 十を はさむ。 土倉鉱山の含銅硫化鉄鉱床 (以下, 土倉鉱床 とい う) は, 鉱山地域 の中央部を北か ら南- 流れ る杉野川 を境 に して東西 の 2 部 に分 け られ るが, 地質構造 は, これ らの 2 部で違 っている。 走 向は東部でN 70oE , 杉野川付近で東西, 西部で N 60oW ; 傾斜 は東部で 75 0- 85oS で あ るのに, 西部で は 65oN で あって, 杉 山川付近でね じれてい る。 土倉累屑 は槽 曲 しているが, 大 きな槽 曲に付属 してアコーデ ィオン槽 曲が存在 し, その軸が東へ 300- 450 傾 いている 各岩層は土倉岳方面で収欽す るO 探鉱 にあた って, この槽 曲構造を見分 けることによ っ . て新鉱体を発見 した場合 がある。 - 180 - 土倉累層 の地歴時代 は, その中の石 灰岩 に紡錘虫化石 が含 まれ ているので, 二畳紀 とい う.ことが知ちれ ていたが, 野上裕生 は N eoschw agerina sp . indet., P arafusulina sp . indet. ほか数種 を鑑定 し, その 時代 を初期二畳紀 の中 ・ 後期 と推定 した。 土倉鉱床 は地層 中に整合 に肱脂す る帯状 の鉱巣 をなすので あるが, その 鉱巣 の走 向は, 東部で N 70oE , 中部 (杉野川) で 東西, 西部で N 60oW で あるQ 鉱巣 の賦存す る幅は東部で 600m , 西部で 250m で, 全 適 (第 2 鉱巣) と南商会 適 (第 3 鉱巣) か らな 体 の長 さは約 4k m で ある。 東部鉱床 は本掴 (第 1 鉱巣), 商量 る0 本滴 は走 向方 向に 900m , 傾斜方 向に最大 400m 延 び る。 ore shoot は 10 - 100m の間隔で 40- 70m の幅をもってな らぶ。 落 しは東へ 300- 8000 本;適は明治40年 に発見 されたので あるが, 商量 適は昭和27年 適は昭和37年 に, いずれ も著者 らの探鉱で発見 された。 西 部鉱床 も同様 に, 著者 らの探鉱 によ っ に, 両 々参 て昭和31年 に発見 された。 その ore sh oot の落 しは西で ある。 上記 の通 り鉱巣 は地層 中に層状 に存在す る鉱床帯をなすが, そ の中にある鉱体 の形態 はレy ズ状 ・ 芋状 等, 多様で, 大 きさも小 は碁石大か ら大 は 2 トン大 まで種 々であ るが, 普通 は隠 1.5 - 3m で ある. 鉱床 は地質構造 の支配を受 けてい るのであ って, 東部鉱床 が上記 の 3 鉱巣 (鉱床帯) に分かれているの ほ, 槽 曲によ って同一鉱床帯が繰 り返 して現 われ るか らで ある。 鉱床帯 が存在 す る層準 は一定 してお り, 上盤 は縞状 チ ャー ト層で,・ 下盤 は塊状 チ ャー Tl層であ って, 鉱床帯 は地層 と完全 に調和 してい る。 参考論文 4 編 は, いずれ も土倉鉱床 に関 して著者がその研究過程 の途上 において発表 したもので あ る。 その 1 は, 土倉鉱床 の成 因を研究 して, 裂纏充填説で説 明 したもので, その 2 ほ土倉鉱床 を含む圧砕帯 に 重点をおいて研究 したもので ある。 また, その 3 ほ, 地質 ・ 鉱床 の研究 によって判 明 した探鉱指針を発表 したもので, その 4 は, 土倉鉱 山の一部 において実施 した電気探鉱 とその結果 の考察 を 述 べ た も の で あ る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 主論文 は著者 が10余年 にわた って地質技術者 と して勤務 した滋賀県土倉鉱 山の鉱床 と地質構造 との関係 に関す る研究 を まとめたものである。 同鉱 山の鉱床 は, 古生代秩父系 中に腫胎 す る含銅硫化鉄鉱床で あ る が, 元来 この種類 の鉱床 は 日本の重要な銅 ・ 硫化鉄 の鉱床で, その多 くは西南 日本外帯 の三波川変成帯 に 含 まれ る別子型 といわれ るもので あ って, 土倉 のよ うに内帯 の非変成 の古生層中にあるものは, きわめて 稀である。 別 子型 の含鋼硫化鉄鉱床 については明治時代か ら幾多の研究 が行 なわれ, 詳細 な事実が明 らか にされているのに反 して, 土倉 のものについては, 本格的な研究 はほとん どなされた ことがな く, 不 明な 点が多か った。 著者 はその土倉鉱床, 特 にそれ と同地域 の地質構造 との関係 について精細 ・ 綿密な研究 を 遂行 して, 両者 間 に密接な関係 があることを明 らか に し, その知見 に基づいて探鉱方針を立 て, 新鉱床 を 次々に発見 して, 鉱山開発 に貢献 した。 著者 は 土倉鉱 山の鉱床 が古生層中に 鉱床帯 をな して, 地層 に調和 して賦存 し, その層準や上 ・ 下盤 が 一定 していること, 古生層 の槽 曲によ って鉱床帯 が繰 り返 して出現す ること, 婿 曲軸 の plu n g e と Ore shoot の落 しの向 きとが一致す ることな ど, 鉱床 と層序 ・ 地質構造 との関係 が密接で あること を 解 明 し た0 1 - 1 8 1 - この研究 は, その方面で最初 のものであ り, それ 自体す ぐれてお り, その成果 は採鉱 の指針 に応用 され るものであ るが, その うえ に, 次 の点で価値 がある。 すなわ ち, ・別子型含銅硫化鉄鉱床 については, 上述 の通 り研究 が進んでいて, 幾多の事実 が明 らか にされているが, 変成岩 中にあ って,, 変成作用を受 けてい るために不 明確 な点 もあるので ある。 従 って, 非変成古生層 中に腔胎す る土倉鉱床 に関す る著者の研究成 果 が, 別子型鉱床 の一層の研究 にとって何 らか の参考 にな ることは間違いな く, この点で も著者の研 究 は 意 義 があ る。 参考論文 4 編 は, いずれ も土倉鉱山の鉱床 に関す る研究 の成果で あ って, 1 論文の基礎をなすものであ る。 要す るに, 著者 畠中武文 は長年 にわた る精細 ・ 丹念克研究 によって土倉鉱山の層状含銅硫化鉄鉱床 と, それが賦存す る非変成古生層の構造 との問 に密接な関係 があることを明 らかに して, その知識を鉱山開発 に役立 てたばか りでな く ,変成岩 中にある類似鉱床 についての一層の研究 に対 す る好資料 を提供 し, 応用 , 地質学上, 重要な寄与をな した。 よ って, 本論文 は理学 博士 の学位論文 と して価値 があるものと認 め る。 - 182 -