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新 製 品・新 技 術 シリコンウェハライフタイム測定装置 −鉄濃度測定機能

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新 製 品・新 技 術 シリコンウェハライフタイム測定装置 −鉄濃度測定機能
新 製 品・新 技 術
NEW PRODUCTS AND NEW TECHNIQUES
シリコンウェハライフタイム測定装置 −鉄濃度測定機能について−
住江伸吾(工博)*・高松弘行(工博)**・橋爪英久***・射場邦夫***
*
**
電子・情報事業部・半導体本部
技術開発本部・電子情報研究所
半導体デバイスの集積度向上にともない,シリコンウェハの
***
ジェネシステクノロジー㈱・レオ事業本部
タイムとレーザによる注入キャリア密度の関係を計算した結果
加工やデバイスの製作プロセスにおける鉄や銅などの重金属汚
を第 2 図に示す。計算には文献2)に記載の物理定数をもちいた。
染が深刻な問題になっているが,酸化膜耐圧の劣化など,製品
光照射前後のライフタイムの増減は注入キャリア密度に依存
の性能に大きな影響を与えるためである。中でも鉄は SUS 系
し,また注入密度が低いときはドーパントであるボロン濃度に
の配管や高温熱処理時の拡散・酸化炉の壁面から混入しやす
よって大きく変化することがわかる。本装置では,鉄濃度を測
く,シリコンのバンドギャップの深いレベルに不純物準位を形
定する際には,ドーパント濃度の影響を避けるために高い注入
成するため,少数キャリアの再結合ライフタイム(以下ライフ
キャリア濃度をもちいている。
タイム)を劣化させることが知られている。したがって,ウェ
2.鉄濃度の測定結果と装置の外観
ハの汚染を高感度にモニタできるライフタイム測定が重要であ
1.E−02
るとともに,鉄濃度の定量測定に対する要求が高まっている。
3
Fe Conc.=1E10/cm
Lifetime by SRH s
当社では,レーザとマイクロ波を利用したμPCD
(Microwave
Photo-Conductivity Decay)法によるライフタイム測定装置 LTA
1.E−03
シリーズを製造・販売している。最近,鉄の汚染濃度の定量測
定に対する要求に応えて,LTA シリーズに鉄濃度測定機能を
搭載したので,その概要を紹介する。
1.E−04
1.E+10
1.装置構成と鉄濃度測定の原則
装置(第 1 図)は,μPCD 法によるライフタイム測定部と
鉄濃度測定のための光照射部(フラッシュライト)より構成さ
Fei(B:2E14)
Fei(B:1E15)
Fei(B:5E15)
Fe-B(B:2E14)
Fe-B(B:1E15)
Fe-B(B:5E15)
1.E+12
1.E+14
1.E+16
1.E+18
1.E+20
Injection Carrier Concentration 1/cm3
第2図
Fe−B ペアと Fei によるライフタイムの注入キャリア
密度依存性(SRH 理論によるシミュレーション)
れている。
DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)法によって求め
Flush Light
(Fe-B Dissociation)
Laser Diode
(904nm)
Microwave
Oscillator
(9.6GHz) Attenuator Circulator Waveguide
Pump
Beam
た鉄濃度と,本装置で測定した光照射前後のライフタイムτ0
及びτ1 の逆数の差を第 3 図にプロットした。両者には良好な
相関関係が認められた。したがって,第 3 図を検量線としても
ちいることにより,ライフタイムの測定結果からシリコンウェ
Silicon
Wafer
写真 1 に鉄濃度測定機能付きライフタイム測定装置の外観
Microwave Reflectivity
l
Recombination
Detector
Translation/Rotation Stage
Computer
(Lifetime & Fe-concentration Calculation)
全自動で測定できる。解析用のソフトウェアを含めた鉄濃度測
定機能はオプションであり,要求に応じて搭載することができる。
Time
μPCD 法によるライフタイム測定と鉄濃度測定機能
シリコンウェハにレーザ光を照射すると,ウェハ中に電子と
正孔(キャリア)が生成される。キャリア密度の変化はマイク
ロ波の反射パワーにより観測することができる(μPCD 法)。
ボロン(B)をドープした p 型ウェハに鉄(Fe)が混入すると,
鉄は正イオンになるため負にイオン化した格子位置のボロンと
結合し,Fe−B ペアを形成する。ウェハに強力な光を照射する
Fe Concentration 1/cm3
第1図
写真を示す。光照射部はウェハのマニュアルローディング部に
取り付けてあり,光照射前後のライフタイムマップと鉄濃度を
Lifetime(l/e)
l/e
ハ中の鉄濃度を求めることができる。
と,発生したプラズマにより Fe−B ペアは容易に壊され,格子
1.E+13
1.E+12
1.E+11
1.E+10
0.001
間の鉄(Fei)と置換ボロン(Bs)に解離する[式(1)
]。
Fe−B(光照射)→ Fei + Bs
…………………(1)
0.01
0.1
1/τ0 - 1/τ1 1/s
第3図
鉄濃度測定結果(検量線)
Fe−B ペアと Fei では,バンドギャップ中のエネルギ準位や,
電子・正孔の捕獲断面積が異なるため,ライフタイムが異なる。
写真 1 鉄濃度測定機能付きライフタイム測定装置
したがって,光照射前後のライフタイムを測定し,それらを比
較することによって鉄濃度を定量測定することができる。ウェ
ハの加熱によっても上記の解離可能1)であるが,当社では装置
化が容易な光照射方式を採用した。
ショックレー・リード・ホール(SRH)理論により,ライフ
参考資料
1)公開特許公報
特開平 6−69301.
2)L. Koster et al.:Jpn. J. Appl. Phys., Vol.34(1995)p.932.
問い合わせ先:電子・情報事業部 半導体本部 東京)TEL(03)5634−4065
神戸)TEL(078)992−2985
FAX(03)5634−4066
FAX(078)992−2990
神戸製鋼技報/Vol. 48 No. 3(Dec. 1998)
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